特許第6260263号(P6260263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6260263
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】位相制御弁
(51)【国際特許分類】
   F01L 1/356 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
   F01L1/356 E
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-267657(P2013-267657)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-124621(P2015-124621A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】向出 仁樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 重光
(72)【発明者】
【氏名】稲摩 直人
【審査官】 菅家 裕輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−227621(JP,A)
【文献】 特開2002−250208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 1/356
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転体と、前記内燃機関のカムシャフトと一体回転し前記駆動側回転体に対して相対回転する従動側回転体とを有し、進角室に流体が供給されることにより前記駆動側回転体と前記従動側回転体との相対回転位相が進角方向に変位し、遅角室に流体が供給されることにより前記相対回転位相が遅角方向に変位し、前記駆動側回転体と前記従動側回転体との相対回転位相を所定のロック位相に保持するロック機構を備えた弁開閉時期制御装置に用いられる制御弁であって、当該制御弁は、
前記内燃機関で駆動されるポンプから流体が供給されるポンプポートと、前記進角室に連通する進角ポートと、前記遅角室に連通する遅角ポートと、流体が排出されるドレンポートとを有する弁ケース、及び、
前記弁ケースに内装され前記弁ケースの内部を往復移動し、この往復移動時に前記ドレンポートと連通する連通路が形成されたスプールと、前記スプールがスプールの軸芯に沿って移動するように該スプールを駆動する電磁ソレノイドとを備え、
前記スプールは、
電磁ソレノイドに電力が供給されない場合に設定される初期ポジションに移動することが可能であり、
前記初期ポジションでは、前記進角室と前記遅角室との一方が前記ドレンポートに連通し、他方が前記ポンプポートに連通され、前記ポンプポートに連通された前記進角室と前記遅角室との一方が前記連通路を介して前記ドレンポートに連通され
前記進角ポートと、前記ポンプポートと、前記遅角ポートとが、当該位相制御弁の軸方向に沿ってこの順序で並んで形成され、前記連通路は、前記スプールが前記初期ポジションにある場合に、前記進角ポートと前記ポンプポートとを連通する第1流路と、前記遅角ポートと前記ポンプポートとを連通する第2流路とで構成されている位相制御弁。
【請求項2】
前記連通路は、前記進角ポート及び前記遅角ポートのうちの一方からの流体が、前記進角ポート及び前記遅角ポートのうちの他方を介さずに前記ドレンポートに対して排出されるように、前記位相制御弁の前記弁ケースと前記スプールとに形成されている請求項1記載の位相制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁開閉時期制御装置の回転位相を制御する位相制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、装置の回転速度が低下した場合に遅角室あるいは進角室に空気を流入させる空気流入機構を有する弁開閉時期制御装置が示されている。この空気流入機構は、エンジンの停止時、あるいは、エンジンの低速回転時に進角室と遅角室とから作動流体を排出する機能を有するものである。
【0003】
例えば、エンジンの停止時に弁開閉時期制御装置の進角室と遅角室とに作動流体が残留していると、エンジンの始動時に相対回転位相をロック位相に変位させる場合にも、内部に残留する作動流体の粘性等により作動速度が低下する。特許文献1では、このような不都合を解消するために進角室と遅角室とから作動流体を排出して、相対回転位相の迅速な変位を実現できるように構成しているのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010‐223212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
弁開閉時期制御装置に備えられるロック機構は、弁開閉時期制御装置の相対回転位相を維持することにより、冷熱状態のエンジンでも最適な状態での始動を実現する。また、ロック機構のロック状態にセットされた状態で次のエンジン始動を行えるよう、エンジン停止時には、ロック機構をロック状態に移行する制御が行われる。
【0006】
これに対して、例えば、過剰な負荷によりエンジンストールの状態に陥った場合や、エンジンの停止時に、ロック機構を適正にロック状態に移行できなかった場合には、エンジンの始動時に、始動性を向上させるためにロック機構をロック状態に移行する制御が行われている。
【0007】
しかしながら、流体の給排によって相対回転位相が変更される弁開閉時期制御装置では、特許文献1にも記載されるように、内部に残留する流体が弁開閉時期制御装置の相対回転位相を妨げるものであった。
【0008】
このような課題に対し、特許文献1に示されるように弁開閉時期制御装置に空気流入機構を備えることも考えられるが、この特許文献1の構成では弁開閉時期制御装置を加工する必要があり、特別な部品を必要とする点において改善の余地がある。
【0009】
本発明の目的は、内燃機関の停止時には弁開閉時期制御装置の内部の流体を排出することが可能な位相制御弁を合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の特徴は、内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転体と、前記内燃機関のカムシャフトと一体回転し前記駆動側回転体に対して相対回転する従動側回転体とを有し、進角室に流体が供給されることにより前記駆動側回転体と前記従動側回転体との相対回転位相が進角方向に変位し、遅角室に流体が供給されることにより前記相対回転位相が遅角方向に変位し、前記駆動側回転体と前記従動側回転体との相対回転位相を所定のロック位相に保持するロック機構を備えた弁開閉時期制御装置に用いられる制御弁であって、当該制御弁は、
前記内燃機関で駆動されるポンプから流体が供給されるポンプポートと、前記進角室に連通する進角ポートと、前記遅角室に連通する遅角ポートと、流体が排出されるドレンポートとを有する弁ケース、及び、前記弁ケースに内装され前記弁ケースの内部を往復移動し、この往復移動時に前記ドレンポートと連通する連通路が形成されたスプールと、前記スプールがスプールの軸芯に沿って移動するように該スプールを駆動する電磁ソレノイドとを備え、
前記スプールは、電磁ソレノイドに電力が供給されない場合に設定される初期ポジションに移動することが可能であり、前記初期ポジションでは、前記進角室と前記遅角室との一方が前記ドレンポートに連通し、他方が前記ポンプポートに連通され、前記ポンプポートに連通された前記進角室と前記遅角室との一方が前記連通路を介して前記ドレンポートに連通され
前記進角ポートと、前記ポンプポートと、前記遅角ポートとが、当該位相制御弁の軸方向に沿ってこの順序で並んで形成され、前記連通路は、前記スプールが前記初期ポジションにある場合に、前記進角ポートと前記ポンプポートとを連通する第1流路と、前記遅角ポートと前記ポンプポートとを連通する第2流路とで構成されている点にある。
【0011】
この構成のように位相制御弁が構成されることにより、内燃機関が停止し、電磁ソレノイドへの電力供給が停止した場合には、位相制御弁のスプールが初期ポジションに移動し保持される。具体的な例を挙げると、初期ポジションにおいて進角ポートとポンプポートとが連通し、遅角ポートとドレンポートとが連通するものでは、進角ポートが連通路によりドレンポートに連通する。これにより、遅角ポートに連通する遅角室の流体は遅角ポートからドレンポートに直接的に排出され、進角ポートが連通する進角室の流体は、進角ポートから連通路を介してドレンポートに排出される。
なお、進角ポートと遅角ポートとの連通関係が前述した例と逆の構成であっても、進角室と遅角室との流体をドレンポートに排出することが可能となる。
従って、位相制御弁を改良するだけで、内燃機関の停止時には弁開閉時期制御装置の内部の流体を排出し、この後の内燃機関の始動時には迅速に回転位相の変更が可能な位相制御弁が構成された。
また、内燃機関が停止している状態ではポンプポートに流体の圧力は作用していない。従って、初期ポジションにおいて進角ポートとポンプポートとが連通し、遅角ポートとドレンポートとが連通するものでは、第1流路が進角ポートとポンプポートを連通させると同時に、第2流路がポンプポートと遅角ポートを連通させることになる。つまり、遅角ポートに連通する遅角室の流体は遅角ポートからドレンポートに直接的に排出され、進角ポートが連通する進角室の流体は、進角ポートから連通路を介してドレンポートに排出される。なお、進角ポートと遅角ポートとの連通関係が前述した例と逆の構成でも同様に、第1流路と第2流路とによって進角室と遅角室との流体をドレンポートに排出することが可能となる。
よって、内燃機関の停止時には進角室と遅角室との流体ドレンポートに排出して進角室と遅角室とに残留する作動油の量を低減する。
【0014】
本発明は、前記連通路は、前記進角ポート及び前記遅角ポートのうちの一方からの流体が、前記進角ポート及び前記遅角ポートのうちの他方を介さずに前記ドレンポートに対して排出されるように、前記位相制御弁の前記弁ケースと前記スプールとに形成されても良い。
【0015】
これによると、スプールが初期ポジションにある状態では、進角ポートと遅角ポートとのうちの一方からの流体を、連通路を介して直接的にドレンポートに排出することが可能となる。よって、内燃機関の停止時には進角室と遅角室との流体ドレンポートに排出して進角室と遅角室とに残留する作動油の量を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】弁開閉時期制御装置と位相制御弁との断面図である。
図2】弁開閉時期制御装置とロック制御弁との断面図である。
図3図1のIII-III線断面図である。
図4図1のIV-IV線断面図である。
図5】ロック解除状態の弁開閉時期制御装置の断面図である、
図6】位相制御弁の作動油の給排パターンを示す図である。
図7】初期ポジションの位相制御弁の断面図である。
図8】進角ポジションの位相制御弁の断面図である。
図9】中立ポジションの位相制御弁の断面図である。
図10】遅角ポジションの位相制御弁の断面図である。
図11】別実施形態の位相制御弁の初期ポジションの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1図5に示すように、弁開閉時期制御装置Aと、電磁操作型の位相制御弁CVと、電磁操作型のロック制御弁LVとを備えて弁開閉時期制御ユニットが構成されている。
【0018】
弁開閉時期制御装置Aは、内燃機関としてのエンジンEの吸気弁Vaの開閉時期(開閉タイミング)を設定する。位相制御弁CVは、流体としての作動油を弁開閉時期制御装置Aに給排することにより吸気弁Vaの吸気時期(タイミング)を制御する。ロック制御弁LVは、流体としての作動油を弁開閉時期制御装置Aに給排することにより弁開閉時期制御装置Aのロック機構Lを制御する。
【0019】
エンジンE(内燃機関の一例)は、乗用車などの車両に備えられるものである。このエンジンEは、シリンダブロック2に形成されたシリンダボアの内部にピストン4を収容し、このピストン4とクランクシャフト1とをコネクティングロッド5で連結した4サイクル型に構成されている。
【0020】
弁開閉時期制御装置Aは、エンジンEのクランクシャフト1と同期回転する駆動側回転体としての外部ロータ20と、エンジンEの吸気弁Vaを制御する吸気カムシャフト7と一体回転する従動側回転体としての内部ロータ30とを備えている。外部ロータ20(駆動側回転体の一例)と内部ロータ30(従動側回転体の一例)との間には進角室Caと遅角室Cbとが形成されている。また、外部ロータ20と内部ロータ30との相対回転位相を所定の位相にロック(固定)するロック機構Lを備えている。
【0021】
エンジンEには、クランクシャフト1の駆動力で駆動される油圧ポンプPを備えている。この油圧ポンプPは、エンジンEのオイルパンに貯留される潤滑油を、作動油(流体の一例)として供給油路8から位相制御弁CVとロック制御弁LVとに供給する。
【0022】
吸気カムシャフト7を回転自在に支持する軸受部10に対して供給油路8からの作動油が供給され、この軸受部10に供給された作動油を弁開閉時期制御装置Aの方向に供給する中間油路11が吸気カムシャフト7に形成されている。この中間油路11からの作動油は弁ハウジングH(弁ケースの一例)の軸状部Haに設けたチェック弁12を介して、この軸状部Haのポンプ流路13に供給される。
【0023】
位相制御弁CVは、進角室Caと遅角室Cbとの一方を選択して作動油を供給することにより外部ロータ20と内部ロータ30との相対回転位相(以下、相対回転位相と称する)を変更し、吸気弁Vaの開閉時期を設定する。更に、ロック制御弁LVは、ロック機構Lに作動油を供給することによりロック機構Lによるロック状態を解除し、作動油を排出することによりロック状態への移行を可能にする。
【0024】
位相制御弁CVとロック制御弁LVとは弁ハウジングHに収容され、この弁ハウジングHは弁開閉時期制御装置Aに一部(軸状部Ha)が挿入される形態で備えられている。この弁ハウジングHの構成は後述する。
【0025】
この実施形態では、吸気カムシャフト7に対して弁開閉時期制御装置Aを備えた構成を示しているが、排気シャフトに弁開閉時期制御装置Aを備えても良く、吸気カムシャフト7と排気カムシャフトとの双方に弁開閉時期制御装置Aを備えても良い。
【0026】
〔弁開閉時期制御装置の具体構成〕
図1図4に示すように、弁開閉時期制御装置Aは、外部ロータ20に対し、内部ロータ30を内包し、これらを吸気カムシャフト7の回転軸芯Xと同軸芯上で相対回転自在に配置している。外部ロータ20に形成された駆動スプロケット22Sと、クランクシャフト1で駆動されるスプロケット1Sとに亘ってタイミングチェーン6が巻回されている。また、内部ロータ30は、吸気カムシャフト7に対して連結ボルト33により連結されている。
【0027】
外部ロータ20は、円筒状となるロータ本体21を有すると共に、回転軸芯Xに沿う方向でロータ本体21の一方の端部に配置されるリヤブロック22と、回転軸芯Xに沿う方向でロータ本体21の他方の端部に配置されるフロントプレート23とが複数の締結ボルト24で締結されている。リヤブロック22の外周には、クランクシャフト1から回転力が伝達される駆動スプロケット22Sが形成され、ロータ本体21には円筒状の内壁面と、回転軸芯Xに近接する方向(径方向内側)に突出する複数の突出部21Tとが一体的に形成されている。
【0028】
複数の突出部21Tの1つに対して回転軸芯Xから放射状となる姿勢で一対のガイド溝が形成されている。これらのガイド溝にプレート状のロック部材25が出退自在に挿入され、このロック部材25を回転軸芯Xに接近する方向(ロック方向)に付勢するロックスプリング26が備えられている。このように、ロック部材25と、これらを突出方向に付勢するロックスプリング26とでロック機構Lが構成されている。尚、ロック部材25の形状はプレート状に限るものではなく、例えば、ロッド状であっても良い。
【0029】
内部ロータ30には、回転軸芯Xと同軸芯上でシリンダ内面状となる内周面30Sが形成され、回転軸芯Xを中心とする円柱状の外周面が形成されている。この内部ロータ30のうち回転軸芯Xに沿う方向での一方の端部には鍔状部32が形成され、この鍔状部32の内周位置の孔部に挿通する連結ボルト33により内部ロータ30が吸気カムシャフト7に連結されている。
【0030】
また、内部ロータ30の外周面には外方に突出する複数のベーン31を備えている。この構成から、内部ロータ30を外部ロータ20に嵌め込む(内包する)ことでロータ本体21の内側表面(円筒状の内壁面及び複数の突出部21T)と内部ロータ30の外周面とで取り囲まれる領域に流体圧室Cが形成される。更に、この流体圧室Cをベーン31が仕切ることで進角室Caと遅角室Cbとが形成される。内部ロータ30には進角室Caに連通する進角流路34と、遅角室Cbに連通する遅角流路35と、ロック解除流路36とが形成されている。
【0031】
この内部ロータ30の外周には、一対のロック部材25が係合・離脱可能な中間ロック凹部37(係合部・ロック解除空間の一例)が形成されている。また、内部ロータ30の外周には、一対のロック部材25が中間ロック凹部37に対して係合する中間ロック位相より遅角方向Sbに変位した最遅角ロック位相において一方のロック部材25が係合する最遅角ロック凹部38が形成されている。中間ロック凹部37にはロック解除流路36が連通し、最遅角ロック凹部38には進角流路34が連通している。
【0032】
中間ロック位相では、図4に示すように、一対のロック部材25が中間ロック凹部37に嵌り込むと共に、中間ロック凹部37の周方向の端面に各々のロック部材25が当接する。この中間ロック位相においてロック解除流路36に作動油が供給されることにより図5に示すように、ロックスプリング26の付勢力に抗して2つのロック部材25を回転軸芯Xから離間する方向に移動させ係合が解除される(ロック状態が解除される)。
【0033】
最遅角ロック位相では、進角流路34に作動油が供給されることにより、ロックスプリング26の付勢力に抗してロック部材25を回転軸芯から離間する方向に移動させて係合が解除され(ロック状態が解除され)、このロック状態の解除の後に相対回転位相が進角方向Saに変位する。
【0034】
また、ベーン31が進角方向Saの移動端(回転軸芯Xを中心にした回動限界)に達した状態での相対回転位相を最進角位相と称し、ベーン31が遅角側の移動端(回転軸芯Xを中心にした回動限界)に達した状態での相対回転位相を最遅角位相と称している。
【0035】
中間ロック位相は、冷熱状態のエンジンEを始動する場合に弁開閉時期を最適に維持する位相である。エンジンEを停止する場合には、相対回転位相を中間ロック位相に変位させてロック機構Lによるロック状態に移行し、この後にエンジンEを停止する制御が行われる。最遅角ロック位相は、エンジンEの始動負荷を軽減する位相であり、例えば、アイドルストップのように暖機状態にあるエンジンEを再始動する場合には、相対回転位相を最遅角ロック位相で保持し、この後にエンジンEを停止する制御が行われる。
【0036】
外部ロータ20のリヤブロック22と内部ロータ30とに亘ってトーションスプリング27が備えられている。このトーションスプリング27は、最遅角ロック位相にある状態から、相対回転位相を中間ロック位相の付近に変位させる付勢力を作用させる。
【0037】
この弁開閉時期制御装置Aでは、タイミングチェーン6から伝えられる駆動力により外部ロータ20が駆動回転方向Sの方向に回転する。また、進角室Caに作動油が供給されることで相対回転位相を進角方向Saに変位させ、遅角室Cbに作動油が供給されることで相対回転位相を遅角方向Sbに変位させる。
【0038】
外部ロータ20に対して内部ロータ30が駆動回転方向Sと同方向へ回転する方向を進角方向Saと称し、この逆方向への回転方向を遅角方向Sbと称している。尚、この弁開閉時期制御装置Aでは、相対回転位相が進角方向Saに変位するほど吸気タイミングを早め、相対回転位相が遅角方向Sbに変位するほど吸気タイミングを遅らせる。
【0039】
〔弁ハウジング〕
図1図3に示すように、弁ケースとしての単一の弁ハウジングHに対し、位相制御弁CVの位相制御スプール41と、ロック制御弁LVのロック制御スプール51とが縦方向に往復移動するように各々が内装されている。この弁ハウジングHには横方向に突出する軸状部Haが一体的に形成されている。内部ロータ30には回転軸芯Xを中心とする内部空間が形成され、この内部空間に軸状部Haを挿通する形態で弁ハウジングHが支持されている。尚、位相制御弁CVでは、弁ハウジングHとガイドケース42とで弁ケースが構成されることになる。
【0040】
軸状部Haは回転軸芯Xを中心とする円柱状に形成されるものであり、この軸状部Haには油圧ポンプPから作動油が供給されるポンプ流路13が回転軸芯Xと平行する姿勢で形成されている。また、これと平行する姿勢で進角室Caに連通する進角流路34と、遅角室Cbに連通する遅角流路35と、中間ロック凹部37に連通するロック解除流路36とが形成されている。
【0041】
ポンプ流路13に設けられたチェック弁12は、油圧ポンプPの方向(供給油路8の方向)への作動油の逆流を阻止するようにボールとスプリングとで構成されている。
【0042】
内部ロータ30は回転軸芯Xを中心に回転し、弁ハウジングHはエンジンEの静止系に支持される。従って、弁開閉時期制御装置Aが回転軸芯Xを中心に回転する際にも作動油の供給と排出とを可能にするため、軸状部Haの外周と、内部ロータ30の内周面30Sとの間には複数のリング状のシール14が備えられている。
【0043】
尚、この位相制御弁CVとロック制御弁LVとは、図1図2に示す位置に支持されるものに限るものではなく、弁開閉時期制御装置Aから離間する部材に支持されるものであっても良い。このように支持した場合には、位相制御弁CVとロック制御弁LVとの間には流路が形成されることになる。
【0044】
〔ロック制御弁〕
図2図3に示すように、ロック制御弁LVは、ロック制御スプール51と、ボール弁52と、供給側スリーブ53と、排出側スリーブ54と、制御スプリング55と、ロック制御ソレノイド56とを備えて構成されている。
【0045】
ロック制御スプール51は、弁ハウジングHの内部に縦長姿勢で収容され、供給側スリーブ53と排出側スリーブ54とに上下方向に挿通する状態で上下方向に作動自在に支持されている。ボール弁52は、ロック制御スプール51の下端部が接当する位置に配置されている。供給側スリーブ53は、ボール弁52の下側に配置されている。排出側スリーブ54は、ボール弁52の上側でロック制御スプール51の下端部が挿通する位置に配置されている。制御スプリング55はロック制御スプール51を上方に変位させる付勢力を作用させる位置に配置されている。ロック制御ソレノイド56は、電力供給により制御スプリング55の付勢力に抗してロック制御スプール51を下方に変位させる操作力を与えるように構成されている。
【0046】
供給側スリーブ53と排出側スリーブ54との上下方向で間に制御空間57が形成され、この制御空間57の上下方向の間隔が、ボール弁52の直径より充分に大きく設定されている。また、制御空間57は、供給側スリーブ53の開口を介してポンプ流路13と連通している。制御空間57は、排出側スリーブ54の開口を介してドレン開口58に連通している。
【0047】
このロック制御弁LVにおいて、ロック制御ソレノイド56に電力を供給しない場合には、制御スプリング55の付勢力によりロック制御スプール51は上方に変位する。これにより、ポンプ流路13の作動油の圧力によりボール弁52は持ち上げられ排出側スリーブ54当接することにより、ポンプ流路13からの作動油がロック解除流路36に供給される。この作動油の圧力の作用によりロック部材25が中間ロック凹部37に対する係合が解除される方向に作動してロック機構Lのロック解除が行われる。つまり、ロック制御ソレノイド56に電力を供給しない状態ではロック機構Lのロックが解除される。
【0048】
また、ロック制御ソレノイド56に電力を供給した場合には、図3に示すように、制御スプリング55の付勢力に抗してロック制御スプール51が下方に変位し、ロック制御スプール51の下端部がボール弁52に当接してボール弁52を押し下げる。これにより、ボール弁52が供給側スリーブ53に当接し、ポンプ流路13から制御空間57へ向かう作動油は遮断される。この状態では、排出側スリーブ54の中央の開口を介して、ドレン開口58とロック解除流路36とが連通し、ロック解除流路36の作動油が排出され、ロック状態への移行が可能となる。
【0049】
〔位相制御弁〕
図1図2図7に示すように、位相制御弁CVは、弁ハウジングHに縦向き姿勢に挿入された筒状のガイドケース42と、このガイドケース42に対して上下方向となるスプール軸芯Y(スプールの軸芯の具体例)に沿って作動自在に収容された位相制御スプール41と、位相制御スプール41に付勢力を作用させるスプールスプリング43と、このスプールスプリング43の付勢力に抗して位相制御スプール41を作動させる電磁ソレノイドとしての位相制御ソレノイド44とを備えて構成されている。
【0050】
ガイドケース42(弁ケースの一部を構成)には、上側から下側に進角ポート42aと、ポンプポート42pと、遅角ポート42bとが、位相制御弁CVの軸方向(スプール軸芯Yの方向)この順序で並んで形成され、下端部にはドレンポート42dが形成されている。進角ポート42aは進角流路34に連通し、ポンプポート42pはポンプ流路13に連通し、遅角ポート42bは遅角流路35に連通し、ドレンポート42dから排出された流体は、弁ハウジングHに形成された開口から外部に排出される。
【0051】
この位相制御弁CVでは、ガイドケース42を用いずに弁ハウジングHに対して進角ポート42aと、ポンプポート42pと、遅角ポート42bと、ドレンポート42dとを直接的に形成することにより構成しても良い。
【0052】
位相制御スプール41は、内部空間41Vを有し、下方に開放する筒状に構成されている。外周には大径となる第1ランド部41Laと第2ランド部41Lbとが形成されると共に、小径となる第1グルーブ部41Gaと、第2グルーブ部41Gbとが形成されている。また、第1グルーブ部41Gaには内部空間に連通するドレン用開口41Hが形成されている。尚、第1ランド部41Laと第2ランド部41Lbとの外形は、ガイドケース42の内径より僅かに小さい値に設定されている。
【0053】
この位相制御弁CVは、位相制御ソレノイド44に電力を供給しない(電力供給が停止した)状態では、スプールスプリング43の付勢力により位相制御スプール41が図7に示す初期ポジションQpに保持される。また、位相制御ソレノイド44に供給する電力を増大させることにより、図8に示す進角ポジションQaと、図9に示す中立ポジションQnと、図10に示す遅角ポジションQbとに操作自在に構成されている。この位相制御弁CVによる作動油の給排パターンを図6に示している。
【0054】
この位相制御弁CVでは、位相制御ソレノイド44に供給する電力を供給することにより設定される進角ポジションQaと、中立ポジションQnと、遅角ポジションQbとで位相制御ポジションが構成されている。
【0055】
〔進角ポジション〕
位相制御スプール41を進角ポジションQaに操作した場合には、図8に示すように、ポンプポート42pからの作動油を、第1グルーブ部41Gaを介して進角ポート42aに供給可能となる。また、このポジションでは第1ランド部41Laが進角ポート42aと第1グルーブ部41Gaとを遮断し、第2ランド部41Lbがポンプポート42pと遅角ポート42bとを遮断し、この第2ランド部41Lbの端部(下端部)が遅角ポート42bからの作動油をドレンポート42dに排出可能な状態となる。
【0056】
これにより、エンジンEが稼働する場合には、ポンプポート42pからの作動油を進角室Caに供給すると同時に、遅角室Cbから作動油をドレンポート42dから排出するため、弁開閉時期制御装置Aの相対回転位相を進角方向Saに変位させる。
【0057】
〔中立ポジション〕
位相制御スプール41を中立ポジションQnに操作した場合には、図9に示すように、第1ランド部41Laが進角ポート42aを閉塞すると共に、第2ランド部41Lbが遅角ポート42bを閉塞する位置に達する。
【0058】
これにより、エンジンEが稼働する状況でも、進角室Caと遅角室Cbとに対する作動油の給排は行われず、弁開閉時期制御装置Aの相対回転位相が維持される。
【0059】
〔遅角ポジション〕
位相制御スプール41を遅角ポジションQbに操作した場合には、図10に示すように、第1グルーブ部41Gaが進角ポジションQaと連通するため、進角ポート42aからの作動油をドレン用開口41Hからドレンポート42dに排出可能となり、ポンプポート42pからの作動油を遅角ポート42bに供給状態となる。また、この位置では、第1ランド部41Laがポンプポート42pから進角ポート42aへの作動油の流れを遮断し、第2ランド部41Lbがドレンポート42dを閉塞する状態となる。
【0060】
これにより、エンジンEが稼働する場合には、ポンプポート42pからの作動油を遅角ポート42bに供給すると同時に、進角室Caからの作動油をドレンポート42dに排出するため、弁開閉時期制御装置Aの相対回転位相を遅角方向Sbに変位させる。
【0061】
〔初期ポジション〕
位相制御ソレノイド44に電力が供給されない場合には、位相制御スプール41は図7に示す初期ポジションQpにスプールスプリング43の付勢力により移動し保持される。この初期ポジションQpは、ポンプポート42pからの作動油を、第1グルーブ部41Gaを介して進角ポート42aに供給可能となる。また、この位置では第1ランド部41Laが進角ポート42aと第1グルーブ部41Gaとを遮断し、この第2ランド部41Lbの端部(下端部)が遅角ポート42bからの作動油をドレンポート42dに排出可能な状態に達する。
【0062】
特に、この位相制御弁CVでは、初期ポジションQpにおいて、進角ポート42aをドレンポート42dに連通させる連通路Wが形成されている。この連通路Wは、進角ポート42aとポンプポート42pとを連通させる第1流路W1と、遅角ポート42bとポンプポート42pとを連通させる第2流路W2とで構成されている。
【0063】
前述したように、位相制御スプール41が進角ポジションQaにある場合には、ポンプポート42pからの作動油を進角ポート42aに供給を許容する位置に第1ランド部41Laがある。従って、位相制御スプール41が初期ポジションQpにある場合には、ポンプポート42pと進角ポート42aとの間に作動油の流通が可能な第1流路W1が形成される。
【0064】
この位相制御弁CVでは、第2グルーブ部41Gbの外周に対応する位置のガイドケース42の内周を大径化して作動油の流動空間を拡大している。この構造から、ガイドケース42の内周で遅角ポート42bの近傍に突出片42Tが形成される。また、第2ランド部41Lbのうち、上端に近い部位の外周に円周状の溝部41Tが形成されている。
【0065】
これにより、位相制御スプール41が初期ポジションQpに位置する場合には、ガイドケース42の突出片42Tが溝部41Tの外周に達し、この突出片42Tと溝部41Tとの間隙に作動油の流通が可能な第2流路W2が形成される。
【0066】
エンジンEを停止させた状態では、油圧ポンプPが停止すると共に、位相制御ソレノイド44に電力が供給されないため、位相制御弁CVは、初期ポジションQpに保持され、ポンプポート42pに作動油は供給されない。この状態で遅角室Cbのオイルは遅角ポート42bからドレンポート42dに直接的に排出される。また、進角室Caの作動油は第1流路W1により進角ポート42aからポンプポート42pに流れ、更に第2流路W2により、ポンプポート42pから遅角ポート42bに流れ、この遅角ポート42bからドレンポート42dに排出される。
【0067】
従って、エンジンEが停止する状態では弁開閉時期制御装置Aの進角室Caと遅角室Cbとの作動油は、自重により位相制御弁CVの方向に流れ、この位相制御弁CVにおいて自重においてドレンポート42dに流れる形態で排出され、進角室Caと遅角室Cbとに残留することがない。
【0068】
弁開閉時期制御ユニットでは、エンジンEを停止する場合には、エンジンEが完全に停止する以前に相対回転位相を中間ロック位相に変位させ、ロック機構Lをロック状態に移行させる制御が実行される。この後にエンジンEを始動させる場合には、始動に適した弁開閉時期に維持(相対回転位相を維持)して良好な始動を可能にする。
【0069】
しかしながら、前述した制御によってもロック機構Lにより相対回転位相を中間ロック位相の保持できなかった場合、あるいは、エンジンストールのようにロック機構Lがロック状態に移行しない状況でエンジンEが停止した場合には、次に、エンジンEを始動させる際にロック機構Lをロック状態に移行させる制御が行われる。
【0070】
エンジンEの始動時にロック機構Lをロック状態に移行させる制御では、弁開閉時期制御装置Aの相対回転位相に基づき、相対回転位相を中間ロック位相に移行させるポジション(位相制御ポジションの何れか)に位相制御弁CVが操作される。この制御として、例えば、進角室Caに作動油が残留している状況で、相対回転位相を遅角方向Sbに変化させる制御を行う場合には、進角室Ca残留する作動油を排出する必要があるため、作動油の粘性の作用等により回転位相の変位速度が低下することになる。
【0071】
この不都合を改善するため、本発明の弁開閉時期制御ユニットでは、エンジンEが停止する状況では、位相制御弁CVを初期ポジションQpに保持することで連通路Wが進角室Caの作動油の排出を行うようにしている。このように進角室Caから作動油を排出するため(位相制御弁CVの構成から遅角室Cbの作動油も排出される)、エンジンEの始動時に相対回転位相を中間ロック位相の方向に変化させる制御では変位速度を高速化して安定的なエンジンEの始動を可能にする。
【0072】
また、エンジンEの始動時には、セルモータの駆動時に吸気カムシャフト7から変動トルクが作用するため、進角室Caと遅角室Cbとの一方の容積増大時に他方の容積が呼吸するように減少する作動が反復し、進角室Caと遅角室Cbとに作動油が残留していても作動油の排出が行われる。このように作動油が排出されることにより、作動油の抵抗を排除した状態で相対回転位相をロック位相まで迅速に変位させ、ロック状態に移行することが可能となる。
【0073】
更に、この構成では、温度低下により作動油の粘性が高まる状況にあっても、エンジンEの始動時には、進角室Caと遅角室Cbとに残留する作動油の量は僅かであり、作動油が残留していても、その作動油を強制的に送り出し、相対回転位相の変位時間を短縮してロック状態への移行を迅速に行えるのである。
【0074】
尚、エンジンEが稼働する状況において、位相制御ソレノイド44に対する電力供給が停止した場合には、位相制御スプール41が初期ポジションQpに移動することになるが、進角室Caと遅角室Cbとがドレンポート42dに連通するため、進角室Caと遅角室Cbとに作動油は供給されることはない。
【0075】
特に、この構成では、位相制御弁CVの改良によって弁開閉時期制御装置Aの進角室Caと遅角室Cbとからの作動油の排出が可能になるものであり、例えば、弁開閉時期制御装置Aに対して、作動油を排出するための加工や、部品を付加する必要がない。
【0076】
〔位相制御弁の変形例〕
この実施形態では、位相制御ポジションとして、上側に進角ポジションQaを配置し、下側に遅角ポジションQbを配置していたが、これに代えて、位相制御スプール41の構成はそのままで、上側から下側に遅角ポート42bと、ポンプポート42pと、進角ポート42aとを、この順序で形成し、初期ポジションQpにおいて遅角ポート42bからの作動油をドレンポート42dに排出する連通路Wを形成しても良い。
【0077】
この変形例では、位相制御ソレノイド44に電力を供給しない状態で位相制御スプール41が初期ポジションQpに保持される。また、この構成の位相制御弁CVでは、遅角ポート42bとポンプポート42pとを第2流路W2が連通させ、進角ポート42aとポンプポート42pとを第1流路W1が連通させるように連通路Wが構成されることになる。
【0078】
この変形例では、エンジンEが停止した状態では、位相制御スプール41が初期ポジションQpにある。このように初期ポジションQpにある場合には、連通路Wが遅角室Cbの作動油を排出することになる。従って、エンジンEの始動時に相対回転位相を中間ロック位相の方向に変化させるために遅角方向Sbに変化させる場合でも作動速度を高速化して安定的なエンジンEの始動を可能にする。
【0079】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い。
【0080】
前述した実施形態の連通路Wに代えて、進角ポート42aの作動油をドレンポート42dに対して直接的に排出するように構成してもよい。具体的には、前述した実施形態と同様に初期ポジションQpと、進角ポジションQaと、中立ポジションQnと、遅角ポジションQbとにおいて作動油が制御されるものにおいて、図11に示すように、位相制御スプール41が初期ポジションQpにある場合に、進角ポート42aの作動油をドレンポート42dに対して直接的に排出するようにガイドケース42の外周に形成したドレン溝部42Gと、位相制御スプール42形成した連通孔とにより連通路Wを形成する。
【0081】
この別実施形態では、エンジンEが停止した状態で進角室Caの作動油をドレン溝部42Gから連通孔に対して自然に流し出すために、位相制御スプール41を横向き姿勢で作動させるように位相制御スプール41の姿勢を設定する必要があるものの、実施形態の第2流路W2が不要となる。
【0082】
このよう連通路Wを形成することにより、進角ポート42aから作動油が直接的にドレンポート42dに排出され、相対回転位相の変更を迅速に行えることになる。尚、この別実施形態においても、前述した実施形態の変形例のように進角ポート42aと遅角ポート42bとを配置したものに適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、流体の制御により弁開閉時期制御装置の回転位相を設定する位相制御弁に利用することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 クランクシャフト
7 カムシャフト(吸気カムシャフト)
20 駆動側回転体(外部ロータ)
30 従動側回転体(内部ロータ)
41 スプール(位相制御スプール)
42 弁ケース(ガイドケース)
42a 進角ポート
42b 遅角ポート
42d ドレンポート
42p ポンプポート
42G 連通路(ドレン溝部)
44 電磁ソレノイド(位相制御ソレノイド)
A 弁開閉時期制御装置
Ca 進角室
Cb 遅角室
CV 位相制御弁
LV ロック制御弁
E 内燃機関(エンジン)
H 弁ケース(弁ハウジング)
L ロック機構
P ポンプ(油圧ポンプ)
Qp 初期ポジション
Qa 進角ポジション
Qn 中立ポジション
Qb 遅角ポジション
Y スプールの軸芯(スプール軸芯)
W 連通路
W1 第1流路
W2 第2流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11