(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の電源モジュールにおいては、以下のような課題があった。すなわち、近年の電源モジュールは、使用者の要求や使用環境の広がりを反映して、公差を小さくし、各部の寸法に関してより高い精度で作成されることが求められていた。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、寸法精度の高い電源モジュール及びこれに用いられるスペーサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面は、
配列された複数の蓄電素子及び、配列された前記蓄電素子の間に設けられたスペーサを有するセルスタックと、
前記セルスタックを前記蓄電素子の配列方向に沿って挟持するためのスタックバーとを備え、
前記スペーサは、それぞれの前記蓄電素子の、他の蓄電素子と隣接する主面の一つに重なる主面部と、少なくとも前記スタックバーとの対向面に重なる対向面部とを有し、
前記主面部及び前記対向面部は単一の絶縁性のシート基材により形成されている、
電源モジュールである。
【0008】
本発明の第2の側面は、
前記スペーサは、前記シート基材を折曲げることにより形成されている、
本発明の第1の側面の電源モジュールである。
【0009】
本発明の第3の側面は、
前記スペーサの前記対向面部は、前記蓄電素子の、前記主面に隣接する底面と、前記底面に隣接する側面とに対向するよう配置されている、
本発明の第1又は第2の側面の電源モジュールである。
【0010】
本発明の第4の側面は、
前記スペーサの、前記主面部と隣接する一対の前記対向面部との境界には切り欠きが形成されている、
本発明の第1から第3のいずれかの側面の電源モジュールである。
【0011】
本発明の第5の側面は、
前記スペーサの前記切り欠きの位置は、前記蓄電素子における前記主面と他の面とがなす稜の少なくとも一端の位置に対応している、
本発明の第4の側面の電源モジュールである。
【0012】
本発明の第6の側面は、
前記スペーサの前記対向面部の縁端は、前記蓄電素子における前記主面と他の面がなす稜に隣接している、又は稜上に位置している
【0013】
本発明の第1から第5のいずれかの側面の電源モジュールである。
【0014】
本発明の第7の側面は、
前記対向面部の、前記蓄電素子の表面との対向する面に、粘着部を有している、
本発明の第1から第6のいずれかの側面の電源モジュールである。
【0015】
本発明の第8の側面は、
スタックバーにより配列方向に挟持される、複数の前記蓄電素子の間に設けられたスペーサであって、
それぞれの前記蓄電素子の、他の蓄電素子と隣接する主面の一つに重なる主面部と、少なくとも前記スタックバーとの対向面に重なる対向面部とを有し、
前記主面部及び前記対向面部は単一の絶縁性のシート基材の折曲加工により形成されている、
スペーサである。
【発明の効果】
【0016】
以上のような本発明は、電源モジュールの寸法精度を高めることが可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
(1.電源パック)
図1は、本発明の実施の形態1に係る電源パック1の構成を示す斜視図であり、
図2は電源パック1に収容される電源モジュール本体を示す斜視図である。
【0020】
電源パック1は、
図1に示すように、ポリプロピレン等の合成樹脂製の開口箱状の容器本体10及び蓋部20から構成される、外形六面体のハウジングを備え、蓋部20の表面に露出した、図示しない外部負荷と接続するための負極の電極端子21a及び正極の電極端子21b、並びにハウジングの内部空間と連通する排気筒22を有する。なお、説明のためにハウジングは透視図として点線により輪郭のみ示した。
【0021】
また、電源パック1は、ハウジング内部に電源モジュール本体30を収容している。電源モジュール本体30は、
図2に示すように、複数の単電池を配列してなるセルスタック32と、セルスタック32に組み合わされるバスバーアセンブリユニット33とを備える。
【0022】
バスバーアセンブリユニット33の上面にはセルスタック32からのガスが排出される排気口31が設けられている。
図1に示すように、排気口31はハウジングの蓋部20の排気筒22に向かって開口されている。
【0023】
ハウジング全体は気密性を有し、これにより、排気口31から排出されたガスはハウジングの内部に滞留した後、蓋部20の排気筒22から電源パック1の外部へ排気される。
【0024】
なお、電源モジュール本体のセルスタックにおける単電池の配列方向は、
図1に示すX軸、Y軸及びZ軸の直交座標系においてX軸と平行な直線上にあり、電源パック1を構成するハウジング、電源モジュール本体30等の各面は、おおよそX軸、Y軸及びZ軸とそれぞれ平行に位置するものとして定める。更に、以下の説明に際しては、図中矢印の方向を基準に、X軸方向を右から左、X軸方向を奥から手前、及びZ軸方向を下から上と定める。
【0025】
(2.電源モジュール本体)
図3は、電源モジュール本体30の構成を示す分解斜視図である。電源モジュール本体30は、
図3に示すように、非水電解質二次電池等の単電池320aを配列、締結してなるセルスタック32、セルスタック32の各単電池を電気的に接続するためのバスバーアセンブリユニット33を備える。
【0026】
セルスタック32は、複数の単電池320aが側面を揃えて配列された態様を有する。個々の単電池320aは、電極体及び電解液が封入されている、例えばアルミニウム又はステンレスを例とする、金属製の開口箱状の外装本体部320a1と、電極端子320a3及び320a4、安全弁320a5、並びに電解液注入口を封止する封止栓320a6が設けられ、外装本体部320a1の開口をレーザ溶接等により閉塞している、外装本体部320a1と同一の材料からなる蓋部320a2とを備え、蓋部320a2の表面及びその対向面である外装本体部320a1の底面を上下底面とした外形が扁平な角柱の形状を有する。なお、単電池320aにおいて、外装本体部320a1の表面はそのまま露出してもよいし、底面以外の側面が絶縁性のフィルムによって被覆される構成であってもよい。
【0027】
単電池320aにおいて各側面のうち面積の大きい面を主面320S1とし、隣接する単電池320aの主面320S1同士が、間にスペーサ320bを介して対向して配列されることにより、セルスタック32が構成される。なお、セルスタック32においては、単電池320aの一対の側面320S2が上面及び底面を形成する。
【0028】
次に、スペーサ320bは合成樹脂等の絶縁性材料により作成される部材であり、単電池320aの主面320S1に挟み込まれる主板部320b1と、主板部320b1の周囲に形成され、単電池320aの配列方向に沿って双方に突出し、単電池320aの底面及び一対の側面320S2を覆う側板部320b2とを有する。
【0029】
これにより、単電池320aとスペーサ320bとが隣接して配列された状態において、電極端子320a3及び320a4並びに安全弁320a5はセルスタック32の側面に露出する。
【0030】
セルスタック32において、一体化した状態にある単電池320a及びスペーサ320bは、その配列方向に沿って、スタックの両端にそれぞれ配置された一対のエンドプレート321aに挟持される。
【0031】
更に、単電池の配列方向を軸として、当該軸に対して上下対称を成すようにセルスタック32の図中X−Y平面に平行な側面にスタックバー322a及び322bが配置され、当該軸の左側、すなわち図中Z−Y平面に平行な平面となるセルスタック32の底面に2個一組のスタックバー322cが配置される。
【0032】
スタックバー322a〜322cはセルスタック32における配置を除いて同一の構成を有する、一対のエンドプレート321aにそれぞれ対向する外形略コの字状の部材であり、エンドプレート321aの周囲に開口された取付孔に締結ボルト323で締結することにより固定される。
【0033】
なお、エンドプレート321aとセルスタック32との間には合成樹脂製のスペーサ320cがそれぞれ配置されている。
【0034】
次に、バスバーアセンブリユニット33は、、ポリプロピレン等の、絶縁性及び電解液による腐食への耐性を有する合成樹脂等の部材であって、セルスタック32の、蓋部320a2寄りの側面の外形に対応した第1の枠体33a及び、第2の枠体33bを有する。第1の枠体33aは、セルスタック32の電極端子320a3及び320a4と接続される金属製のバスバー332a、332b及び332cを保持するとともに、安全弁320a5の配列位置に対応して形成された開口33a1を有する。なお、枠体330aの材料としては、PBT樹脂等の、絶縁性及び耐熱性を有する合成樹脂を用いるようにしてもよい。バスバー332a、332b及び332cの周囲は第1の枠体33aにより絶縁される。第2の枠体33bは、第1の枠体33a及びバスバー332a、332b及び332cの表面に被さこれを覆う部材であって、全面が樹脂製の台座として働き、エンドプレート、スタックバー等の拘束具、金属製の容器、蓋等の金属製の部品、部材を、バスバー332a、332b及び332cと絶縁された状態で配置させることが可能となる。更に、セルスタック32と電気的に接続されるハーネスその他の電装品を実装させることが可能となる。
【0035】
なお、
図1以下の各図中においては、説明を容易にするため、ハウジング内に設けられる、セルスタックの充放電を管理するBMU(Battery Management Unit)その他の電装品及び、ハウジングの負極の電極端子21a及び正極の電極端子21bとセルスタック32とを接続するバスバーその他の電気配線等を省略して示した。
【0036】
以上のような構成を有する電源パック1において、電源モジュール本体30は本発明の電源モジュールに相当する。単電池320aは本発明の蓄電素子に相当し、セルスタック32は本発明のセルスタックに相当する。
【0037】
また、スタックバー322a〜322cは本発明のスタックバーに相当し、スペーサ320bは本発明のスペーサに相当し、スペーサ320bの主面部320b1は本発明の主面部に相当し、側板部320b2は本発明の対向面部に相当する。
【0038】
このような構成を有する本実施の形態の電源モジュール本体30は、単電池320aの主面320S1に挟み込まれる主面部320b1と、主面部320b1の周囲に形成され、単電池320aの配列方向に沿って双方に突出し、単電池320aの底面及び一対の側面320S2を覆う側板部320b2とを有するスペーサ320bを備えたことを特徴とする。
【0039】
以下、
図4(a)及び(b)を参照して、本実施の形態のスペーサの構成について、更に詳細な説明を行う。ただし
図4(a)は、電源パック1におけるスペーサ320bを単体のスペーサ40として、単電池320aの各面に対向する側(以下、内側と称す)から示した斜視図であり、
図4(b)は単電池320aの各面と同一の側(以下、外側と称す)から示した斜視図である。
【0040】
図4(a)に示すように、スペーサ40は、後述する絶縁性シート製の基材を単電池320aの外形に沿って折曲加工することにより形成されており、組み合わせられる単電池320aの主面320S1に対向する内主面41a(
図3の主面部320b1の一方の面に相当する)と、内主面41aから略直交して延出し、単電池320aの底面及び一対の側面320S2に対向する内側面42a、43a及び44a(
図3の側板部320b2の一方の面を構成する)とを有する。なお、内側面44aは図中においては死角となり、対応する位置のみ示した。内側面42a、43a及び44aの各表面には両面テープ45a、45b等が貼り付けられている。両面テープ45a、45b等によりスペーサ40は単電池320aに固定される。
【0041】
スペーサ40と一体化した状態の単電池320aは、配列されてセルスタック本体320を構成する。なお、内側面部44aの表面にも両面テープが貼り付けられているが、図中死角となるので表示されない。
【0042】
また、両面テープ45a、45b等は本発明の粘着部に相当するが、スペーサ320bと単電池320aとを配列前の状態に一体化させるための仮組用のものであって、セルスタック32の完成時においては保持具により全体の位置が固定されているため、セルスタック本体320作成時においてスペーサ320bと単電池320aが分離しない程度の粘着力を有するものであればよい。また、テープの代わりに粘着材を塗布する構成であってもよい。
【0043】
次に、
図4(b)に示すように、スペーサ40は、当該スペーサ40に一体化して組み合わされる単電池320aに隣接する単電池320aの主面320S1に対向する外主面41b(
図3の主面部320b1の他の一面に相当する)と、内側面42a、43a及び44aの反対面であって、セルスタック32の完成時においてスタックバー322a〜322cに対向する外側面42b、43b及び44bとを有する。ただし図中角度の都合により外側面44bは
図4(a)に示される。
【0044】
なお、各主面と各側面との間には境界面が形成されている。これは後述するスペーサ40を得るための基材の性質に起因するもので、後に詳述する。
【0045】
一方、各側面同士の間はスリット46として間隔が設けられており、スリット46の終端は内側面44a及び外側面44bを貫通するピンホール47が形成されている。ピンホール47には単電池320aの底面側の頂角が嵌り込む。なお、ピンホール47は本発明の切り欠きに相当する。
【0046】
次に、
図5はスペーサ40の基材140の構成を示す平面図である。基材140はポリプロピレンその他合成樹脂製の絶縁性を有するシート状の部材であり、一例として、0.1〜0.5mm厚のシートを切り出して作成することができる。
【0047】
基材140は、スペーサ40(スペーサ320a)の主面部320b1の形状に対応する矩形の主面領域141、側板部320b2の各部の形状に対応して主面領域141の短辺を長辺として共有する矩形の一対の側面領域142、及び主面領域141の長辺を長辺として共有する矩形の側面領域143、並びに主面領域141と側面領域142をつなぐ境界面をなす境界領域145及び主面領域141と側面領域143をつなぐ境界面をなす境界領域146に分けられる。互いに直交する境界領域145と146との交点に一部が開いた略円形の形状を有し、完成後のスペーサ40においてピンホール47を形成するピンホール147が開口されている。なお、ピンホール147の平面形状は円形の他、楕円、矩形、細長いスリット状等、任意であってよい。
【0048】
基材140は、一対の境界領域145と境界領域146を介して残りの各領域が互いに直交するよう折曲ることにより、
図4(a)(b)に示すスペーサ40の形状を完成する。ここで境界領域145及び146は、主面領域141と側面領域142、及び主面領域141と側面領域143のそれぞれが直交するよう、基材140の弾性や厚みに起因する変形を吸収する役割を果たす。したがって、スペーサ40上における境界面の形状は、成果物としては基材140の材質、寸法並びに折曲の具体的な条件に依存した任意形状の曲面となる。一方で、境界領域145及び146は単電池の形状に対応したものとしてもよい。これは、外装本体部320a1が例えばアルミニウムの絞り加工により作成されることにより、単電池320aの主面320S1と底面及び一対の側面320S2とがそれぞれなす稜の部分が、各面の境界として、一定の幅をもった曲面となることに基づく。
【0049】
なお、両面テープ45a、45b等は基材140の折曲げ前に側面領域142及び143にあらかじめ貼り付けておくことが望ましい。なお、両面テープ45a、45b等の粘着部は、側面領域142及び143の全体に設けず、一部にのみ設ける構成としてもよい。
【0050】
以上のような構成を有する本実施の形態のスペーサは、主面部320b1によりセルスタック32において隣接する単電池320a同士の絶縁に加えて、側板部320b2によりセルスタック本体320を締結するためのスタックバー322a〜322cと単電池320aとを絶縁するとともに、以下の効果を奏する。
【0051】
すなわち、
図2及び
図3に示すように、電源モジュール本体30は、セルスタック本体320のバスバーアセンブリユニット33の装着面を除く残りの側面が、エンドプレート321aに締結されたスタックバー322a〜322cにより囲まれている。したがって、エンドプレート321a及びスタックバー322a〜322cが構成する保持具の寸法に対して、保持具により締結されるセルスタック本体320の寸法が小さい場合等、両者の寸法の間に開きが有る場合、セルスタック本体320は適切な圧力で締結されない、又は電源パック1内における配置が安定しない、等の不具合が生ずる場合があった。
【0052】
これに対し、スペーサ320bは、側板部320b2がセルスタック本体320の側面を覆っていることにより、保持具のスタックバー322a〜322cとセルスタック本体320のとの間に位置して、その厚み分の寸法が上記各部の寸法の差を補償するバッファとして働く。これにより、電源モジュール本体30のセルスタック32の寸法精度が高められ、ひいては寸法精度の高い電源モジュールを得ることが可能となる。
【0053】
また、スペーサ320bの厚み分寸法は、
図5に示す一枚の絶縁性シートの輪郭を加工してなる基材140の厚みに対応するため、厚みの異なる絶縁性シートを用意することにより、セルスタック本体320と保持具の種類に容易に対応することができ、汎用性が高く低コストな電源モジュールを得ることが可能となる。
【0054】
更に、スペーサ320bは、
図5に示す一枚の絶縁シート状の基材140を、一枚のシートを所定形状に切り出す工程により得ることができ、さらにスペーサ自体の作成は、基材140を折曲げる単純な工程により作成することができる。これにより、低コストで製造が可能となり、ひいては低コストな電源モジュールを得ることが可能となる。
【0055】
更に、スペーサ320bは、主面部320b1と主面部320b1に直交する側板部320b2とを備えたことにより、簡易な構成で単電池320aへの装着が可能となっており、製造工程を簡素化した生産性の高い電源モジュールを得ることが可能となる。
【0056】
さらに、スペーサ320bは、側板部320b2が、単電池320aの、主面320S1と隣接する底面、あるいは主面320S1と隣接する一対の側面320S2のいずれか一方の面に例示されるように、単電池320aにおいて、他の単電池と接することなくセルスタック32の表面を形成する面に対向するよう配置されている。これにより、セルスタック32単体を覆うフィルム等を省略して、より簡易な構成で、セルスタック32の表面を、スタックバー322a〜322cや電源モジュールの他の電装品、部材から絶縁することが可能となっている。
【0057】
さらに、スペーサ320bは、
図4(a)に示すように、側板部320b2が、単電池320aの一対の側面320S2及び底面を覆い、その縁端は各側面又は底面と主面320S1上に位置していることを特徴とするが、さらに各面の間、特に単電池320a2の一対の側面320sと底面との間に形成されるR部上にまではみ出すものとしてもよい。すなわち、スペーサ320bにおいては、折り曲げ易さを確保する等の理由で一対の側面320sと底面との間のそれぞれの対向面の間にピンホール47を設けているが、この部分がスペーサ320bにより覆われないことで、絶縁性能の低下の恐れがあるところ、ピンホール47から延長するスリット状の隙間である、上記R部にまで側板部320b2の縁端がはみ出すことにより、絶縁性能の低下を抑制することが可能となる。
【0058】
なお、R部上において側板部320b2の縁端は単電池の表面に追従して密着していても良いし、単電池の側面、底面に追従してR部から離隔したまま延出する構成としてもよい。これにより、本実施の形態は、上記の構成とすることにより、単電池320の外装をより確実に絶縁することが可能となる。なお、上記の説明において、R部は本発明の稜に相当する。
【0059】
更に、スペーサ320bは、側板部320b2の直交する側面においてピンホール47を形成したことにより、ピンホール47が単電池320aの底面側の頂角に嵌り込んで、単電池320aの形状に対して追従性高くカバーしている。これにより、完成後のセルスタック32においてスペーサの位置ずれが生じにくくなっており、信頼性の高い電源モジュールを得ることが可能となっている。
【0060】
更に、スペーサ320bは、ピンホール47を備えたことにより、以下の効果を奏する。すなわち、ピンホール47は、スペーサ完成後に側板部320b2を協働して形成する基材140上の側面領域142及び側面領域143からそれぞれ連続し、互いに直交する境界領域145と146との交点に形成されたピンホール147に基づくものである。スペーサの作成時に主面領域141に対して境界領域145及び146をそれぞれ折曲げた際に、境界領域145と146はその間がピンホール147により離隔されていることにより、基材140のこれら領域には皺が生じにくくなる。すなわち、
図3に示すスペーサ320bにおいて、側板部320b2の、単電池320aの一対の側面320S2をそれぞれ覆う部分と、単電池320aの底面部を覆う部分とをシートを折り曲げて形成する際に、皺が生じにくくなる。これにより、折曲げ加工を容易に行うことができるとともに、完成後のスペーサ40の形状を精度よく仕上げることを可能としている。
【0061】
一方で、ピンホール47が設けられた部分は単電池320aの外装本体部320a1が露出することとなるが、
図6(a)に示すように、配列されたセルスタック本体320においては、隣接する単電池320aの底面の頂角は、スペーサ320bの側板部320b2により(一部がピンホール47により欠損した状態で)覆われた部分と、外装本体部320a1が全面的に露出する部分とが隣接している。この場合において、
図6(a)の領域Aの拡大図である
図6(b)に示すように、一方の単電池320aの側板部320b2の外側面44bに対向する、他方の単電池320aの外装本体部320a1が露出する頂角は曲面Rを有するため、一方の外側面44bからは十分な絶縁距離が確保されており、単電池320aの配列方向における絶縁性能が損なわれることはない。
【0062】
このように、本実施の形態の電源モジュール本体30においては、電源モジュール本体30は、単電池320aの主面320S1に挟み込まれる主面部320b1と、主面部320b1の周囲に形成され、単電池320aの配列方向に沿って双方に突出し、単電池320aの底面及び一対の側面320S2を覆う側板部320b2とを有するスペーサ320bを備えたことにより、単電池間及びスタックバーと単電池間を良好に絶縁するとともに、電源モジュールの寸法精度を高めることが可能となる。
【0063】
なお、上記の説明においては、スペーサ320b(スペーサ40)は、単電池320aの底面及び一対の側面320S2を覆う側板部320b2を有するものとしたが、本発明のスペーサは、セルスタックにおいて隣接する単電池同士の絶縁及び当該セルスタックを締結するためのスタックバーと単電池との間を絶縁するとともに、スタックバーとセルスタックとの間に位置して、その厚み分の寸法がスタックバーとセルスタックとの寸法の差を補償するバッファとして働くものであればよい。
【0064】
したがって、本発明のスペーサは、
図7に示す基材150のように、主面部320b1の形状に対応する矩形の主面領域151と、側板部320b2に対応する、スタックバー322a〜322cと重なる位置にのみ設けられ、主面領域141の短辺の一部を長辺として共有する矩形の一対の側面領域152、及び主面領域141の長辺の一部を長辺として共有する矩形の側面領域153が形成された構成に基づくものとしてもよい。
【0065】
この場合でも
図5の構成と同様の効果を奏し、さらに基材150として省資源で低コストにスペーサを得ることができ、ひいては電源モジュールの低コスト化を実現することが可能となる。ただし、
図5の構成のように、側板部320b2が、単電池320aの側面及び底面全体を覆う構成とすることは、完成後のセルスタック本体320の表面における金属部分の露出を低減でき、別途絶縁用のフィルム等を用いてセルスタック本体320を被覆する必要が無く、より好適である。
【0066】
更に、本発明のスペーサは、
図8に示す基材160のように、側板部320b2に対応する側面領域162、及び側面領域163において、境界領域165、166とそれぞれと同一寸法の境界領域168、169を付加した構成に基づくものとしてもよい。
【0067】
この場合でも
図5の構成と同様の効果を奏し、さらに側板部320b2が、境界領域168、169を有することにより、単電池320aの外装本体部320a1の各側面において、主面部320b1により覆われない他方の主面320S1の輪郭に位置する曲面部分に係合することにより、外装本体部320a1は側板部320b2に固定される。これにより、両面テープ45a、45b等を省略して、スペーサの構成を簡素化し、電源モジュールの低コスト化を実現することが可能となる。
【0068】
更に、上記の説明においては、スペーサ320b(スペーサ40)は、単電池320aの底面及び一対の側面320S2を覆う側板部320b2を有するものとしたが、本発明のスペーサは、セルスタックにおいて隣接する単電池同士の絶縁及び当該セルスタックを締結するためのスタックバーと単電池との間を絶縁するとともに、スタックバーとセルスタックとの間に位置して、その厚み分の寸法がスタックバーとセルスタックとの寸法の差を補償するバッファとして働くものであればよく、側板部320b2の構成は、セルスタックにおけるスタックバーとの関係に対応するものであれば、任意の形状、個数であってよい。
【0069】
したがって、
図9(a)に示す構成例のように、本発明のスペーサは、主面部320b1の形状に対応する矩形の主面領域141と、主面領域141の短辺を長辺として共有する矩形の一対の側面領域142のみが形成された構成に基づくものとしてもよい。この場合、スペーサは、
図3に示すセルスタック32において、2個一組のスタックバー322cが省略された構成に対応することができる。同様に、
図9(a)に示す構成例のように、本発明のスペーサは、主面部320b1の形状に対応する矩形の主面領域141と、主面領域141の長辺を長辺として共有する矩形の側面領域143のみが形成された構成に基づくものとしてもよい。この場合、スペーサは、
図3に示すセルスタック32において、スタックバー322a及び322bが省略された構成に対応することができる。
【0070】
更に、上記の説明においては、スペーサ320b(スペーサ40)は、側板部320b2の直交する側面においてピンホール47を形成した構成であるとしたが、本発明のスペーサの切り欠きの形成位置は、単電池320aの外装の形状において頂角を与える主面320S1、側面320S2及び底面がなす曲面の他、単電池(蓄電素子)の外装を構成する各面同士がなす稜の端部のいずれか少なくとも一つに対応していれば、単電池の外装の具体的な形状に限定されるものではない。
【0071】
すなわち、単電池(蓄電素子)において、外装を構成する各面は、実際には隣接する平行面の組合のみで構成されるものではなく、外装の工法、素材の寸法等の原因により、隣接する面の稜が、線ではなく一定の幅を持った部位として形成される。
【0072】
スペーサにおいてこの稜の部位を考慮した構成とする場合、特に本実施の形態のスペーサのように、折曲によって外装の隣接する各面を追従性高くカバーするためには、シート基材において、上記稜位が対応することとなる境界領域(例えば
図5の境界領域145及び146)に、例えばスリットを設けて厚みを減ずる構成とする必要があるが、これは完成後のスペーサにおいて単電池(蓄電素子)の外装との間に隙間を生じさせ、スペーサの絶縁性を損なわせる恐れがある。
【0073】
これに対し、本発明においては、切り欠きの位置を、稜の端部に対応する位置に一致させることにより、上述のように、単電池320aの外装の形状のバリエーションに追従して、スペーサを単電池320aの形状に対して追従性高くカバーするとともに、折り曲げの工程を精度良く行うことができ、スペーサを製造容易とすることが可能となる。なお、切り欠きの位置は、単電池(蓄電素子)の外装が形成された稜の端部の全てに対応させる必要は無く、必要に応じて一部のみに定めてよい。更に、この場合において、単電池(蓄電素子)の外装の各面がなす稜の端部は、主面や側面の間に生ずる頂角部として、先に説明した単電池320aの曲面Rのように曲面を有していてもよいし、面取りして平面をなすものであってもよい。また、頂角部は外から見て凹みとして形成されるものであってもよい。
【0074】
更に、上記の説明においては、セルスタック32の保持具はスタックバー322a〜322cとエンドプレート321aとの組合せであるとしたが、本発明は、エンドプレートを省略してスタックバーのみでセルスタックを締結する構成として実現してもよい。
【0075】
また、上記の説明においては、本発明のハウジングは、合成樹脂製の、溶着等により密閉された容器本体10及び蓋部20から構成される、外形が直方体の容器であるとした。一方で、ハウジングは、金属その他の材料及びこれらの組合せとして実現してもよく、更に、3つ以上の部材の組合せとして実現してもよい。更に、ハウジングの外形は立方体、円筒形、または多角柱状の形状であってもよい。要するに、本発明のハウジングは、その形状、具体的な材料または構成によって限定されるものではない。 さらにハウジングに設けられる排気筒22は本発明の排気口の例であるが、本発明の排気口は外とハウジング内部との間を連通させることができれば形状、寸法等は任意のものであってよく、本実施の形態の円筒形の排気筒22の形状に限定されるものではない。一例としては、壁体に設けられた高さ(長さ)を有さない開口として実現してもよい。
【0076】
また、上記の説明においては、セルスタックを構成する単電池としての本発明の蓄電素子は、リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池であるとしたが、電気化学反応により充放電可能な電池であれば、ニッケル水素電池その他各種の二次電池を用いてもよい。また、一次電池であってもよい。更に、電気二重層キャパシタその他各種のキャパシタであってもよい。要するに、本発明の蓄電素子は電極体と電解液を収納容器内に封入してなる電気を蓄積可能な素子であれば、起電力を発生させるための具体的な方式によって限定されるものではない。
【0077】
要するに、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲内であれば、以上説明したものを含め、上記実施の形態に種々の変更を加えたものとして実施してもよい。