(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中間開状態操作角度は、前記全閉状態操作角度と前記全開状態操作角度との中間値となる操作角度であり且つ前記可動弁体を第1の中間開状態に設定する第1の中間開状態操作角度と、この第1の中間開状態操作角度よりも大きく且つ前記可動弁体を前記第1の中間開状態よりも開度が大きい第2の中間開状態に設定する第2の中間開状態操作角度と、を備え、前記湯水混合水栓の操作部及び前記操作レバー部を前記全閉状態操作角度から前記第2の中間開状態操作角度まで操作したときに操作角度の増加に伴って前記連通路を通過する湯水の流量増加量の変化率である第1の流量増加率は、前記湯水混合水栓の操作部及び前記操作レバー部を前記第2の中間開状態操作角度から前記全開状態操作角度まで操作したときに操作角度の増加に伴って前記連通路を通過する湯水の流量増加量の変化率である第2の流量増加率よりも小さく設定されている請求項1記載の湯水混合バルブ装置。
前記連通路の流量絞り部は、突起部として形成されており、この突起部の基端から先端までの長さは、前記固定弁体の通湯路及び通水路の流路断面の幅寸法よりも小さく設定されている請求項1又は2に記載の湯水混合バルブ装置。
前記突起部は、平面視において、その幅寸法が前記固定弁体の前記通湯路と前記通水路との間の距離よりも大きく設定されている請求項3又は4に記載の湯水混合バルブ装置。
前記連通路の流量絞り部は、前記固定弁体の通湯路及び通水路と対向している前記連通路内の周面部分の一部が前記連通路の流路断面を狭めるように前記可動弁体の前後方向に対して所定角度傾けたテーパ形状に形成されている請求項1又は2に記載の湯水混合バルブ装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の第1実施形態による湯水混合バルブ装置について説明する。
まず、
図1は、本発明の第1実施形態による湯水混合バルブ装置が組み込まれた湯水混合水栓装置を斜め前方から見た概略斜視図である。
図1に示すように、本発明の第1実施形態による湯水混合バルブ装置1が組み込まれた湯水混合水栓装置2は、給湯源(図示せず)から供給される湯と給水源(図示せず)から供給される水を混合し、単一の操作ハンドル4を操作することにより湯水の流量と温度を調節した湯水をスパウト6の吐水口6aから吐止水することができる、いわゆる、シングルレバー式の湯水混合水栓装置である。
【0017】
すなわち、湯水混合水栓装置2は、台所のシンク又は洗面台のカウンター8上に配置され且つその内部に本実施形態の湯水混合バルブ装置1が内蔵された湯水混合水栓装置本体2aを備えている。この湯水混合水栓装置本体2aの外周部の下方領域には、スパウト6が設けられており、湯水混合水栓装置本体2aの上端部には、湯水混合バルブ装置1の後述する操作レバー部材(図示せず)と接続されている操作ハンドル4が設けられている。
【0018】
また、操作ハンドル4は、湯水混合バルブ装置1の後述する操作レバー部材(図示せず)と接続されている操作ハンドル本体4aを備えており、この操作ハンドル本体4aを水平左右方向に延びる所定の操作軸線A1を中心に鉛直平面内で上下方向に所定の操作角度θ(以下「流調操作角度θ」)の範囲内で
図1に示されている矢印「閉」の方向や矢印「開」の方向に回動操作可能となっており、流調操作角度θに応じて湯水混合水栓装置2を止水状態から最大流量の吐水状態まで湯水の吐水流量を調節する流調操作が可能となっている。
例えば、操作ハンドル4の先端部4bが最も下方に位置するときの操作ハンドル4の操作角度θを0度し(θ=0°)、この流調操作角度θが0度の状態を操作ハンドル4の閉位置とし、この閉位置から上方に(
図1に示されている矢印「開」の方向)に向かって流調操作角度θが最大で25度まで操作ハンドル4が回動可能となっており、流調操作角度θが0度から5度までの範囲内では、止水状態が維持され、流調操作角度θが5度よりも大きく且つ最大の25度までの範囲内では、吐水状態となり、操作角度θが大きい程、スパウト6の吐水口6aから吐出される湯水の流量を大きく設定することができるようになっている。
【0019】
さらに、操作ハンドル4は、湯水混合水栓装置本体2aと操作ハンドル本体4aのそれぞれの中心を上下方向に延びる中心軸線を操作軸線A2として、この操作軸線A2を中心に水平平面内で左右方向に所定の操作角度φ(以下「温調操作角度φ」)の範囲内で回動操作可能となっており、温調操作角度φに応じて湯水混合水栓装置2のスパウト6の吐水口6aから吐水される湯水の温度を調節する温調操作が可能となっている。すなわち、操作ハンドル4は、その温調操作角度φに応じて、混合湯水を吐水させる湯水混合操作領域、湯のみを吐水させる湯側操作領域、又は、水のみを吐水させる水側操作領域のいずれかに操作領域に設定可能となっている。
【0020】
つぎに、
図2は、本発明の第1実施形態による湯水混合バルブ装置が組み込まれた湯水混合水栓装置の概略平面図であり、混合湯水を吐水させる湯水混合操作領域、湯のみを吐水させる湯側操作領域、及び水のみを吐水させる水側操作領域を概略的に説明した図である。
図2に示すように 例えば、操作ハンドル4の先端部4bが湯水混合水栓装置本体2aの正面側に差し向けられ、この操作ハンドル4の先端部4bの中心C1が、平面視で操作軸線A2に対して垂直且つ前後方向に延びる軸線A3上にあるときの操作ハンドル4の温調操作角度φを0度とすると(φ=0°)、操作ハンドル4は、この温調操作角度φが0度のときの中央の温調操作位置P0から、
図1及び
図2の矢印「H」の水平方向(
図1及び
図2に示す操作軸線A2を上方から見て時計回り(右回り)の方向)に温調操作角度φの大きさが湯側の最大温調操作角度φ1(例えば、φ1=50°)まで回動させた温調操作位置P1まで設定可能となっている。さらに、操作ハンドル4は、
図1及び
図2の矢印「C」の水平方向(
図1及び
図2に示す操作軸線A2を上方から見て反時計回り(左回り)の方向)に温調操作角度φの大きさが水側の最大温調操作角度φ2(例えば、φ2=50°)まで回動させた温調操作位置P2まで設定可能となっている。
すなわち、操作ハンドル4を中央の温調操作位置P0から湯側の最大温調操作角度φ1に向かって回動操作している場合には、温調操作角度φの大きさが大きい程、スパウト6の吐水口6aから吐出される湯水の温度を高温側に設定することができるようになっており、操作ハンドル4を中央の温調操作位置P0から水側の最大温調操作角度φ2に向かって回動操作している場合には、温調操作角度φの大きさが大きい程、スパウト6の吐水口6aから吐出される湯水の温度を低温側に設定することができるようになっている。
【0021】
また、
図2に示すように、操作ハンドル4が温調操作時に水平方向に回動操作される操作領域Rは、湯水混合水栓装置2を正面前方から見て中央に位置する湯水混合操作領域R0と、
図2に示す湯水混合操作領域R0の左側(湯側)に位置する湯側操作領域R1と、
図2に示す湯水混合操作領域R0の右側(水側)に位置する水側操作領域R2とからなる。
湯水混合操作領域R0は、操作ハンドル4の温調操作角度φが0度ときの状態と、この状態から湯側と水側にそれぞれ左右対称に大きさが等しい所定の温調操作角度φ3,φ4(例えば、φ3=φ4=40°)で回動操作した状態までの操作領域であり、湯水を湯水混合水栓装置2の吐水口6aから混合湯水を吐水させる操作領域である。
また、湯側操作領域R1は、操作ハンドル4の温調操作角度φの大きさを湯側に所定の温調操作角度φ3の大きさよりも大きい操作角度に設定した状態から湯側の最大温調操作角度φ1まで回動操作させた状態までの操作領域であり、湯水を湯水混合水栓装置2の吐水口6aから湯のみを吐水させる操作領域である。
さらに、水側操作領域R2は、操作ハンドル4の温調操作角度φの大きさを水側に所定の温調操作角度φ4の大きさよりも大きい操作角度に設定した状態から水側の最大温調操作角度φ2まで回動操作させた状態までの操作領域であり、湯水を湯水混合水栓装置2の吐水口6aから水のみを吐水させる操作領域である。
【0022】
つぎに、
図1〜
図8により、本発明の第1実施形態による湯水混合バルブ装置の詳細について説明する。
まず、
図3は、本発明の第1実施形態による湯水混合バルブ装置を斜め後方から見た分解斜視図である。
図3に示すように、本実施形態による湯水混合バルブ装置1は、下方から上方に向って、下側ケーシング部材10と、この下側ケーシング部材10の外周に取り付けられるシール部材12と、下側ケーシング部材10内に上方から挿入して固定される固定弁体14と、この固定弁体14の上面に対して摺動可能に且つ回転可能に取り付けられる可動弁体16とを備えている。
また、湯水混合バルブ装置1は、固定弁体14の通湯路14a及び通水路14bと連通可能な可動弁体16の連通路16aに取り付けられて連通路16a内の湯水を整流化する網部材18と、この網部材18を介して可動弁体16に取り付けられる可動弁体ガイド部材20と、この可動弁体ガイド部材20に取り付けられる保持部材22とを備えている。
さらに、湯水混合バルブ装置1は、保持部材22を介して下端部24aが可動弁体ガイド部材20の上端部に接続される操作レバー部材24と、この操作レバー部材24に取り付けられるシール部材26と、これらの部材14〜26を収容する上側ケーシング部材28と、この上側ケーシング部材28の上端部を貫くように延びる操作レバー部材24の上端部24bと操作ハンドル本体4aとを接続する接続部材30とを備えている。
【0023】
つぎに、
図4は、本発明の第1実施形態による湯水混合バルブ装置において、湯水混合水栓装置の操作ハンドルを中央の温調操作位置(湯水混合水栓装置の正面位置)に設定し且つ流調操作角度を0度に設定したときの全閉状態の可動弁体と固定弁体を示す平面図である。
図3及び
図4に示すように、固定弁体14の下方の下側ケーシング部材10の底面には、湯水混合水栓装置2の外部の給湯源(図示せず)から供給される湯が通過する通湯路10aと、湯水混合水栓装置2の外部の給水源(図示せず)から供給される水が通過する通水路10bとが上下方向に貫くようにそれぞれ形成されており、下側ケーシング部材10の通湯路10a及び通水路10bのそれぞれは、固定弁体14の通湯路14a及び通水路14bのそれぞれと互いに上下方向に対向するように配置されて連通している。
また、下側ケーシング部材10の底面には、通湯路10a及び通水路10bに隣接して湯水混合路10cが形成され、固定弁体14には、通湯路14a及び通水路14bに隣接して湯水混合路14cが形成されている。可動弁体16が固定弁体14の通湯路14a及び通水路14bの少なくとも一方を開放している状態(開弁状態)では、給湯源(図示せず)から下側ケーシング部材10の通湯路10aを経て固定弁体14の通湯路14aを通過した湯が可動弁体16の連通路16a内に流入すると共に、給水源(図示せず)から下側ケーシング部材10の通水路10bを経て固定弁体14の通水路14bを通過した水が可動弁体16の連通路16a内に流入すると、これらの湯と水とが可動弁体16の連通路16a内で混合された後、固定弁体14の湯水混合路14cを通過して下側ケーシング部材10の湯水混合路10cを流出し、この流出した混合湯水が湯水混合水栓装置2のスパウト6内の通水路を経て吐水口6aから吐出されるようになっている。
【0024】
つぎに、
図3に示すように、可動弁体ガイド部材20は、そのほぼ中央部から上方に突出する突出部20aを備え、この突出部20aは、保持部材22のほぼ中央部に上下方向に貫くように形成された貫通穴22aに下側から挿入されている。また、可動弁体ガイド部材20の突起部20aの内側には、操作レバー部材24の下端部24aが挿入して嵌合される嵌合穴20bが形成されている。
また、操作レバー部材24は、
図1及び
図3に示すように、流調操作角度θが0度の状態(閉弁状態)のときは、操作レバー部材24の長手方向の軸線A4が湯水混合水栓装置本体2aの上下方向に延びる中心軸線(操作軸線A2)と一致して起立した状態となっている。そして、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4について流調操作角度を角度θだけ大きくするように操作軸線A1回りに回動操作すると、操作レバー部材24についても、起立した状態から、操作レバー部材24の長手方向の軸線A4が湯水混合水栓装置本体2aの上下方向に延びる中心軸線(操作軸線A2)に対して操作角度θで傾くような姿勢となるにようになっている。
さらに、
図3に示すように、操作レバー部材24が操作ハンドル4の操作により流調操作角度θだけ傾くと、操作レバー部材24の下端部24aが可動弁体ガイド部材20を突出部20aについて押圧力fで可動弁体16を開弁する方向に押圧することにより、可動弁体ガイド部材20が保持部材22に対して移動するようになっている。そして、可動弁体ガイド部材20に固定されている可動弁体16が固定弁体14に対して開弁する方向に移動(摺動)するようになっている。すなわち、操作レバー部材24は、固定弁体14の上面及びこの上面に沿って摺動する可動弁体16の摺動面に対して垂直な平面内(鉛直平面内)で湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4と共に所定の流調操作角度θの範囲で回動することにより、可動弁体16を閉弁状態から開弁状態まで操作することができるようになっている。
なお、本実施形態では、操作レバー部材24は、固定弁体14の上面及びこの上面に沿って摺動する可動弁体16の摺動面に対して垂直な平面内(鉛直平面内)で湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4と共に所定の流調操作角度θの範囲で回動するような形態について説明するが、このような形態に限定されず、操作レバー部材24を可動弁体16の摺動面に対して交差する方向の平面内で回動させる形態であれば、操作レバー部材24を可動弁体16の摺動面に対して垂直な平面(鉛直平面)以外の平面内で回動させる形態であってもよい。
【0025】
さらに、操作ハンドル4の流調操作角度θに関わらず、操作ハンドル4を操作軸線A2回りに温調操作角度φだけ回転させると、操作レバー部材24がその長手方向軸線A4回りに回転し、この操作レバー部材24の下端部24aが接続されている可動弁体ガイド部材20が、可動弁体16と共に固定弁体14に対して水平な平面内で回転するようになっている。これにより、操作ハンドル4の温調操作角度φに応じて、固定弁体14の通湯路14a及び通水路14bにおける可動弁体16の連通路16aと連通する部分の流路断面積が変化し、可動弁体16の連通路16a内で混合された湯水の温度が調節されるようになっている。
例えば、可動弁体16の連通路16aと連通している固定弁体14の通湯路14aの開口断面積S1が大きく、可動弁体16の連通路16aと連通している固定弁体14の通水路14bの開口断面積S2が小さい程、可動弁体16の連通路16a内で混合された湯水の温度は高温側に調節され、可動弁体16の連通路16aと連通している固定弁体14の通湯路14aの開口断面積S1が小さく、可動弁体16の連通路16aと連通している固定弁体14の通水路14bの開口断面積S2が大きい程、可動弁体16の連通路16a内で混合された湯水の温度は低温側に調節されるようになっている。
【0026】
また、
図3に示すように、シール部材12は、上側ケーシング部材28が下側ケーシング部材10に取り付けられた状態でこれらの部材10,28の内部と外部とを液密的にシールするようになっている。また、シール部材26は、上側ケーシング部材28のほぼ中央部に操作レバー部材24の上端部24bが挿入可能に形成された挿入穴28aと、操作レバー部材24のボール状に形成された操作レバー部材24の中間部24cとの間に取り付けられ、上側ケーシング部材28の内部と外部とを液密的にシールするようになっている。
【0027】
つぎに、
図4に示すように、可動弁体16の連通路16aは、平面視において、可動弁体16の中心C2よりも後方側の領域が後方に向かって先細り形状に形成され、可動弁体16の中心C2よりも前方側の領域が、詳細は後述する流量絞り用の突起32,34以外の部分においてほぼ円弧形状に形成されている。
また、
図4に示すように、可動弁体16の連通路16aの内周面における前方部分には、平面視において、固定弁体14の前後方向に延びる中心軸線A5及び可動弁体の前後方向に延びる中心軸線A6に対して左右対称に対をなす形成された二つの流量絞り用の突起32,34が設けられ、これらの突起32,34は、可動弁体16の連通路16aを通過する湯水の流量を絞る流量絞り部として機能するようになっている。
さらに、
図4に示すように、各突起32,34における各基端部B1,B2から各先端部T1,T2までのそれぞれの長さh1,h2は、固定弁体14の通湯路14a及び通水路14bのそれぞれの流路断面における最小の幅寸法(縦寸法)H1,H2よりも小さく設定されている。より厳密には、各突起32,34の長さh1,h2は、可動弁体16の開閉方向(可動弁体16の中心軸線A6の軸線方向)及び固定弁体14の通湯路14aと通水路14bとを区画する区画壁14dにおける前後方向に延びる中心軸線A7の軸線方向)における固定弁体14の通湯路14a及び通水路14bのそれぞれの流路断面の最小の幅寸法(縦寸法)H1,H2よりも小さく設定されている。
【0028】
また、
図4に示すように、各突起32,34は、平面視において、ほぼ円弧形状に形成されており、各基端部B1,B2と各先端部T1,T2とを結ぶ直線に対して垂直な方向の最大幅寸法W1,W2が、固定弁体14の通湯路14aと通水路14bとの間の距離、すなわち、より厳密には、固定弁体14の区画壁14dの中心軸線A7の軸線方向に対して垂直な方向の幅寸法w1よりも大きく設定されている。
【0029】
つぎに、
図1〜
図9を参照して、上述した本発明の第1実施形態による湯水混合バルブ装置1の動作(作用)について説明する。
まず、
図1〜
図7を参照して、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4について温調操作角度φが0度である中央の温調操作位置P0に設定し、流調操作角度θを0度から25度までの範囲内で開閉操作した場合における本実施形態の湯水混合バルブ装置1の動作(作用)について説明する。
図5は、本発明の第1実施形態による湯水混合バルブ装置が組み込まれた湯水混合水栓装置の操作ハンドルの流調操作角度θと可動弁体の連通路と連通する固定弁体の通湯路及び通水路の開口面積S
Tとの関係について定性的に説明した線図であり、可動弁体の連通路に流量絞り用の突起が設けられていない場合の比較例と比較した図である。
ここで、
図5においては、縦軸は、本実施形態の湯水混合バルブ装置1の可動弁体16の連通路16aと連通する固定弁体14の通湯路14aの開口面積S1と通水路14bの開口面積S2とを加えた総開口面積S
T(=S1+S2)[mm
2]を示している。一方、
図5の横軸は、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4の流調操作角度θ[deg]を示しており、本実施形態の湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24の流調操作角度にも相当している。
【0030】
また、
図6は、本発明の第1実施形態による湯水混合バルブ装置が組み込まれた湯水混合水栓装置の操作ハンドルの流調操作角度θと流量Qとの関係について定性的に説明した線図であり、可動弁体の連通路に流量絞り用の突起が設けられていない場合の比較例と比較した図である。
ここで、
図6においては、縦軸は、本実施形態の湯水混合バルブ装置1の可動弁体16の連通路16aを通過する湯水の流量Q[L/min]を示しており、湯水混合水栓装置2のスパウト6の吐水口6aから吐水される湯水の流量にも相当している。
一方、
図6の横軸は、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4の流調操作角度θ[deg]を示しており、本実施形態の湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24の流調操作角度にも相当している。
また、
図6では、縦軸の流量Qが最大流量Qmaxの半分の流量Q
L(=Qmax/2)[L/min](例えば、Q
L=5.0[L/min])以下の領域(0≦Q≦Q
L)を「低流量域」とし、流量Qが流量Q0[L/min]よりも大きく且つ最大流量Qmax[L/min](例えば、Qmax=10.0[L/min])以下の領域(Q
L≦Q≦Qmax)を「高流量域」としている。
【0031】
さらに、
図7の(a)は、本発明の第1実施形態による湯水混合バルブ装置において、湯水混合水栓装置の操作ハンドルを中央の温調操作位置(湯水混合水栓装置の正面位置)に設定し且つ流調操作角度を15度に設定して湯水を吐水している状態の可動弁体と固定弁体を示し平面図である。一方、
図7の(b)は、
図7(a)に示す本発明の第1実施形態による湯水混合バルブ装置の可動弁体に対する比較例であり、可動弁体の連通路に流量絞り用の突起が設けられていない状態の可動弁体と固定弁体を示す平面図である。
【0032】
図1〜
図7に示すように、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4について温調操作角度φが0度である中央の温調操作位置P0に設定し、流調操作角度θを0度から25度までの範囲内で開閉操作した場合において、まず、
図5及び
図6に示す流調操作角度θが0度から角度θ0までの流調操作範囲では、本実施形態の湯水混合バルブ装置1の可動弁体16は、流調操作角度θが大きい程、固定弁体14に対して前方に僅かな距離だけ摺動するものの、
図5の開口面積S
Tは0となり、
図6の流量Qも0となるため、固定弁体14の通湯路14a及び通水路14bの双方が閉鎖された全閉状態(
図4参照)が維持され、湯水混合水栓装置2も止水状態が維持される。一方、
図5及び
図6に示す比較例についても、同様な全閉状態が維持される。
【0033】
また、
図5及び
図6に示すように、流調操作角度θが角度θ0を上回ると、可動弁体16による固定弁体14の通湯路14a及び通水路14bの開放が開始され、湯水混合水栓装置2の吐水口6aから湯水の吐水が開始され、流調操作角度θが角度θ0以下では、固定弁体14の通湯路14a及び通水路14bの双方が閉鎖された全閉状態が維持される。すなわち、流調操作角度θ0は、0度よりも大きく、この操作角度θ0を上回ると吐水が開始される操作角度であり、全閉状態が維持される操作角度の上限の操作角度を意味する。なお、本明細書中では、この流調操作角度θ0を「全閉状態操作角度θ0」と呼ぶ。
【0034】
つぎに、
図5及び
図6に示すように、流調操作角度θが角度θ0(例えば、θ0=5°)から角度θ2(例えば、θ2=15°)までの流調操作範囲(θ0<θ≦θ2)では、流調操作角度θが全閉状態操作角度θ0を上回ると、吐水が開始され、その吐水の流量を低流量域内(
図6参照)で調節することができるため、使用頻度が高い流調操作範囲である。この流調操作範囲(θ0<θ≦θ2)では、本実施形態の湯水混合バルブ装置1の可動弁体16が、流調操作角度θが大きい程、固定弁体14に対してさらに前方に摺動することにより、固定弁体14の通湯路14a及び通水路14bの双方が徐々に開放される。
また、この流調操作範囲(θ0<θ≦θ2)では、
図5に示すように、本実施形態の場合における流調操作角度θの増加に伴う総開口面積S
Tの増加量の変化率(以下「開口面積増加率k1」)が、比較例の場合における流調操作角度θの増加に伴う総開口面積S
Tの増加量の変化率(以下「開口面積増加率K1」)よりも小さくなっており、本実施形態の場合における固定弁体14の通湯路14a及び通水路14bのそれぞれの開口断面積S1,S2の総開口面積S
Tが、比較例の場合に比べて、小さな増加率で徐々に増加する。
【0035】
さらに、
図6に示すように、流調操作角度θを角度θ0から角度θ2まで設定したときの流調操作範囲(θ0<θ≦θ2)では、本実施形態の場合の流量Qが0[L/min]からQ1[L/min](例えば、Q1=3.0[L/min])まで増加したときにおける可動弁体16の連通路16aを通過する湯水の流量の増加量の変化率(以下「流量増加率m1」)が、比較例の場合の流量Qが0[L/min]からQ2[L/min](例えば、Q2=8.0[L/min])まで増加したときにおける可動弁体16の連通路16aを通過する湯水の流量の増加量の変化率(以下「流量増加率M1」)よりも小さくなっており、本実施形態の場合における固定弁体14の通湯路14a及び通水路14bのそれぞれから可動弁体16の連通路16aに流入する流量Qは、比較例の場合に比べて、小さな増加率で徐々に増加している。
なお、流調操作角度θ2(例えば、θ2=15°)は、角度θ0と角度θmax(例えば、θmax=25°)との中間値の流量操作角度であり、可動弁体16が全開状態のときよりも小さい開度で中間開状態となる操作角度(本明細書中では「中間開状態操作角度θ2」と呼ぶ)である。ちなみに、本明細書中では、固定弁体14の通湯路14a及び通水路14bの双方が全開状態で開放される操作角度については、「全開操作角度θmax」と呼ぶ。
【0036】
さらに、
図5及び
図7の(a)に示すように、流調操作角度θが中間開状態操作角度θ2(例えば、θ2=15°)に設定されている状態では、可動弁体16によって固定弁体14の通湯路14a及び通水路14bの双方が互いに等しい開口断面積S1,S2で開口している。
また、これらの開口断面積S1,S2のそれぞれは、固定弁体14の前後方向の中心軸線A5に対して互いに左右方向に対称となっており、可動弁体16の各突起32,34によって、
図7の(b)に示す比較例における固定弁体14の通湯路14a及び通水路14bのそれぞれの開口断面積S3,S4よりも小さくなっている。
したがって、
図6に示すように、本実施形態において固定弁体14の通湯路14a及び通水路14bのそれぞれから可動弁体16の連通路16aを通過する流量Qについても、比較例による可動弁体16’の場合に比べて絞られている。
【0037】
さらに、本実施形態では、
図6及び
図7の(a)に示すように、流調操作角度θが中間開状態操作角度θ2(例えば、θ2=15°)に設定されている状態では、可動弁体16の両突起32,34による流量絞り効果によって、可動弁体16の連通路16aを通過して固定弁体14の湯水混合路14cに流入する湯水の流量Q1(例えば、Q1=3.0[L/min])が、最大流量Qmax(例えば、Qmax=10.0[L/min])対する半分の流量Q
L(=Qmax/2)(例えば、Qmax/2=5.0[L/min])未満の低流量域内に設定されている。
【0038】
一方、
図6に示すように、流調操作角度θを角度θ0から角度θ2まで設定したときの比較例では、流量Qが、0[L/min]から、流量Q1よりも大きい高流量域内の流量Q2[L/min](例えば、Q2=8.0[L/min])まで増加しており、本実施形態の湯水混合バルブ装置1の流量増加率m1よりも大きい流量増加率M1でほぼ比例的に増加している。特に、比較例では、流調操作角度θが角度θ0から、この角度θ0よりも大きく且つ角度θ2よりも小さい角度θ1(例えば、θ1=12°)までは、流量Qは低流量域内で増加しているが、角度θ1を上回ると、流量Qは高流量域内で流量Q2まで増加している。
【0039】
つぎに、
図5に示すように、流調操作角度θが中間開状態操作角度θ2(例えば、θ2=15°)から中間開状態操作角度θ3(例えば、θ3=20°)までの流調操作範囲(θ2<θ≦θ3)では、本実施形態の場合における流調操作角度θの増加に伴う総開口面積S
Tの増加量の変化率(以下「開口面積増加率k2」)が、流調操作角度θが角度θ0から角度θ2(例えば、θ2=15°)までの流調操作範囲(θ0<θ≦θ2)の開口面積増加率k1よりも大きくなっている(k2>k1)。すなわち、流調操作角度θが角度θ2から角度θ3までの流調操作範囲(θ2<θ≦θ3)の総開口面積S
Tは、流調操作角度θが角度θ0から角度θ2までの流調操作範囲(θ0<θ≦θ2)の総開口面積S
Tに比べて、大きな増加率で増加している。
【0040】
また、
図5に示すように、流調操作角度θが中間開状態操作角度θ3(例えば、θ3=20°)に設定されている状態では、本実施形態の場合の可動弁体16によって固定弁体14の通湯路14a及び通水路14bの双方が互いに等しい開口断面積S1,S2で開口し、総開口面積S
T(=S1+S2)が、流調操作角度θが中間開状態操作角度θ2(例えば、θ2=15°)に設定されている状態よりも大きくなっているが、本実施形態の各開口断面積S1,S2は、比較例の場合の開口断面積S3,S4よりも小さくなっており、比較例による可動弁体16’に比べて流量が絞られている。
【0041】
さらに、
図6に示すように、流調操作角度θが中間開状態操作角度θ2(例えば、θ2=15°)から中間開状態操作角度θ3(例えば、θ3=20°)までの流調操作範囲(θ2<θ≦θ3)では、本実施形態の場合の流量QがQ1[L/min](例えば、Q1=3.0[L/min])からQ3[L/min](例えば、Q3=Q
L=5.0[L/min])まで増加したときにおける可動弁体16の連通路16aを通過する湯水の流量の増加量の変化率(以下「流量増加率m2」)は、流調操作角度θが角度θ0から角度θ2(例えば、θ2=15°)までの流調操作範囲(θ0<θ≦θ2)で流量Qが0[L/min]からQ1[L/min](例えば、Q1=3.0[L/min])まで増加したときにおける可動弁体16の連通路16aを通過する湯水の流量増加率m1に比べて大きくなる。
すなわち、流調操作角度θを中間開状態操作角度θ2から中間開状態操作角度θ3まで設定したときの流調操作範囲(θ2<θ≦θ3)では、低流量域内で吐水が行われているときの流量増加率m1よりも大きい流量増加率m2で且つ低流量域内での湯水の吐水流量の調節が可能となっている。
【0042】
つぎに、
図5に示すように、流調操作角度θが中間開状態操作角度θ3(例えば、θ3=20°)から全開状態操作角度θmax(例えば、θmax=25°)までの流調操作範囲(θ3<θ≦θmax)では、本実施形態の場合における流調操作角度θの増加に伴う総開口面積S
Tの増加量の変化率(以下「開口面積増加率k3」)が、流調操作角度θが角度θ2(例えば、θ2=15°)から角度θ3(例えば、θ3=20°)までの流調操作範囲(θ2<θ≦θ3)の開口面積増加率k2よりも大きく且つほぼ一定となっている(k3(=一定)>k2)。
すなわち、流調操作角度θが中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまでの流調操作範囲(θ3<θ≦θmax)の総開口面積S
Tは、流調操作角度θが角度θ2から角度θ3までの流調操作範囲(θ2<θ≦θ3)の総開口面積S
Tに比べて、大きな増加率でほぼ比例的に増加している。
【0043】
また、
図5に示すように、流調操作角度θが全開状態操作角度θmax(例えば、θmax=25°)に設定されている状態では、本実施形態の場合の可動弁体16によって固定弁体14の通湯路14a及び通水路14bの双方が互いに等しい開口断面積S1,S2で開口して総開口面積S
T(=S1+S2)が、流調操作角度θが中間開状態操作角度θ3(例えば、θ2=20°)に設定されている状態よりも大きくなっている。また、本実施形態の場合の各開口断面積S1,S2は、比較例の場合の開口断面積S3,S4よりも突起32,34の部分だけ小さくなっており、比較例による可動弁体16’に比べて流量が絞られている。
【0044】
さらに、
図6に示すように、流調操作角度θを中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまで設定したときの流調操作範囲(θ3<θ≦θmax)では、本実施形態の場合の流量QがQ3[L/min](例えば、Q3=Q
L=5.0[L/min])からQmax[L/min](例えば、Qmax=10.0[L/min])まで増加したときにおける可動弁体16の連通路16aを通過する湯水の流量の増加量の変化率(以下「流量増加率m3」)は、流調操作角度θが角度θ0から角度θ2(例えば、θ2=15°)までの流調操作範囲(θ0<θ≦θ2)における可動弁体16の連通路16aを通過する湯水の流量増加率m1や、流調操作角度θが角度θ2(例えば、θ2=15°)から角度θ3(例えば、θ3=20°)までの流調操作範囲(θ2<θ≦θ3)における可動弁体16の連通路16aを通過する湯水の流量増加率m2に比べて大きくなる。
すなわち、流調操作角度θを中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまで設定したときの流調操作範囲(θ3<θ≦θmax)では、低流量域内で吐水が行われているときの流量増加率m1,m2よりも大きい流量増加率m3で且つ高流量域内での湯水の吐水流量の調節が可能となっている。
【0045】
つぎに、
図5、
図6及び
図8を参照して、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4について、温調操作角度φを湯側の最大温調操作角度φ1(例えば、φ1=50°)に設定して最も湯側の温調操作位置P1に設定し、流調操作角度θを0度から25度までの範囲内で開閉操作した場合における本実施形態の湯水混合バルブ装置1の動作(作用)について説明する。
図8の(a)は、本発明の第1実施形態による湯水混合バルブ装置において、湯水混合水栓装置の操作ハンドルを最も湯側の温調操作位置に設定し且つ流調操作角度を15度に設定して湯のみを吐水している状態の可動弁体と固定弁体を示す平面図である。また、
図8の(b)は、
図8の(a)に示す本発明の第1実施形態による湯水混合バルブ装置の可動弁体に対する比較例であり、可動弁体の連通路に流量絞り用の突起が設けられていない状態の可動弁体と固定弁体を示す平面図である。
【0046】
図5、
図6及び
図8に示すように、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4について、温調操作角度φを湯側の最大温調操作角度φ1に設定して湯側の温調操作位置P1に設定した場合、可動弁体16が開閉する方向(可動弁体16の中心軸線A6の軸線方向)が、平面視において、固定弁体14の前後方向の中心軸線A5に対して所定の温調操作角度φ1だけ傾いていることにより、固定弁体14の通湯路14aのみが可動弁体16によって開閉される点以外の点ついては、上述した湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4について温調操作角度φが0度である中央の温調操作位置P0に設定した場合の動作(作用)と共通している。
【0047】
また、
図5及び
図6に示すように、可動弁体16が閉弁状態であるときの全閉状態操作角度θ0から中間開状態操作角度θ3までの流調操作角度θの範囲(θ0≦θ≦θ3)は、中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまでの流調操作角度θの範囲(θ3<θ≦θmax)よりも大きく設定される。また、全閉状態操作角度θ0から中間開状態操作角度θ3まで操作したときに流調操作角度θの増加に伴って、固定弁体14の通湯路14aから可動弁体16の連通路16aを通過する湯の流量増加率m1,m2が、中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまで操作したときに流調操作角度θの増加に伴って、固定弁体14の通湯路14aから可動弁体16の連通路16aを通過する湯の流量増加量の変化率である流量増加率m3よりも小さく設定される。
これらにより、湯水混合水栓装置2の低流量域(Q≦Q
L)内の湯のみの吐水が要求されている場合には、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24を全閉状態操作角度θ0から中間開状態操作角度θ3までの大きな操作範囲(θ0≦θ≦θ3)で流調操作することにより、固定弁体14の通湯路14aから可動弁体16の連通路16aを通過した湯のみが湯水混合水栓装置2の吐水口6aから低流量域(Q≦Q
L)内の流量で吐水される。
一方、湯水混合水栓装置2の高流量域(Q
L<Q≦Qmax)内の湯のみの吐水が要求されている場合には、中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまでの小さい操作範囲(θ3<θ≦θmax)で湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24を流調操作することにより、固定弁体14の通湯路14aから可動弁体16の連通路16aを通過した湯のみが湯水混合水栓装置2の吐水口6aから高流量域(Q
L<Q≦Qmax)内の流量で吐水される。
【0048】
また、代表的な例で説明するが、
図8の(a)に示すように、流調操作角度θを中間開状態操作角度θ2(例えば、θ2=15°)に設定し、可動弁体16によって開放されている状態の固定弁体14の通湯路14aの開口断面積S1は、各突起32,34が設けられていない
図8の(b)に示す比較例の可動弁体16’によって開放される通湯路14aの開口断面積S3よりも狭められている。
【0049】
同様に、
図5、
図6及び
図9を参照して、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4について、温調操作角度φを水側の最大温調操作角度φ2(例えば、φ2=50°)に設定して水側の温調操作位置P2に設定し、流調操作角度θを0度から25度までの範囲内で開閉操作した場合における本実施形態の湯水混合バルブ装置1の動作(作用)について説明する。
図9の(a)は、本発明の第1実施形態による湯水混合バルブ装置において、湯水混合水栓装置の操作ハンドルを最も水側の温調操作位置に設定し且つ流調操作角度を15度に設定して水のみを吐水している状態の可動弁体と固定弁体を示す平面図であり、
図9の(b)は、
図9の(a)に示す本発明の第1実施形態による湯水混合バルブ装置の可動弁体に対する比較例であり、可動弁体の連通路に流量絞り用の突起が設けられていない状態の可動弁体と固定弁体を示す平面図である。
図5、
図6及び
図9に示すように、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4について、温調操作角度φを水側の最大温調操作角度φ2に設定して水側の温調操作位置P2に設定した場合、可動弁体16が開閉する方向(可動弁体16の中心軸線A6の軸線方向)が、平面視において、固定弁体14の前後方向の中心軸線A5に対して所定の温調操作角度φ2だけ傾いていることにより、固定弁体14の通水路14bのみが可動弁体16によって開閉される点以外の点ついては、上述した湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4について温調操作角度φが0度である温調操作位置P0に設定した場合の動作(作用)と共通している。
【0050】
すなわち、
図5及び
図6に示すように、全閉状態操作角度θ0から中間開状態操作角度θ3までにおける湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24の流調操作角度θの範囲(θ0≦θ≦θ3)が、中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまでの流調操作角度θの範囲(θ3<θ≦θmax)よりも大きく設定される。
【0051】
また、全閉状態操作角度θ0から中間開状態操作角度θ3まで操作したときに流調操作角度θの増加に伴って、固定弁体14の通水路14bから可動弁体16の連通路16aを通過する水の流量増加量の変化率である流量増加率m1,m2が、中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまで操作したときに流調操作角度θの増加に伴って、固定弁体14の通水路14bから可動弁体16の連通路16aを通過する水の流量増加量の変化率である流量増加率m3よりも小さく設定される。
これらにより、湯水混合水栓装置2の低流量域(Q≦Q
L)内の水のみの吐水が要求されている場合には、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24を全閉状態操作角度θ0から中間開状態操作角度θ3までの大きな操作範囲(θ0≦θ≦θ3)で流調操作することにより、固定弁体14の通水路14bから可動弁体16の連通路16aを通過した水のみが湯水混合水栓装置2の吐水口6aから低流量域(Q≦Q
L)内の流量で吐水される。
【0052】
一方、湯水混合水栓装置2の高流量域(Q
L<Q≦Qmax)内の水のみの吐水が要求されている場合には、中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまでの小さい操作範囲(θ3<θ≦θmax)で湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24を流調操作することにより、固定弁体14の通水路14bから可動弁体16の連通路16aを通過した水のみが湯水混合水栓装置2の吐水口6aから高流量域(Q
L<Q≦Qmax)内の流量で吐水される。
【0053】
また、代表的な例で説明するが、
図9の(a)に示すように、流調操作角度θを中間開状態操作角度θ2(例えば、θ2=15°)に設定し、可動弁体16によって開放されている状態の固定弁体14の通水路14bの開口断面積S2は、各突起32,34が設けられていない
図9の(b)に示す比較例の可動弁体16’によって開放される通水路14bの開口断面積S4よりも狭められている。
【0054】
上述した本発明の第1実施形態による湯水混合バルブ装置1によれば、湯水混合水栓装置2の吐水口6aから吐水される湯水の流量を調節する際、湯水混合水栓装置6の操作ハンドル4の操作によって操作レバー部材24を可動弁体16の摺動面に対して垂直な平面内で、全閉状態操作角度θ0から全開状態操作角度θmaxまでの範囲内で回動させることにより、可動弁体16を閉弁状態から最大流量Qmaxの湯水を通過させる開弁状態まで固定弁体14に対して摺動させて操作することができる。
また、可動弁体16の連通路16aが流量絞り用の突起32,34を備えていることにより、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24が、全閉状態操作角度θ0と全開状態操作角度θmaxとのほぼ中間の操作角度である中間開状態操作角度θ2に設定されているときに可動弁体16の連通路16aを通過する湯水の流量Q1が最大流量Qmaxの半分未満の低流量域(Q≦Q
L)内に設定されるため、特に、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24を少なくとも全閉状態操作角度θ0から中間開状態操作角度θ2まで設定している使用頻度が高い操作範囲では、湯水混合水栓装置2から吐水が開始されてから低流量域(Q≦Q
L)内で吐水を行うことができる。したがって、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24の操作範囲全体(0≦θ≦θmax)のうち、使用頻度が高く且つ低流量域(Q≦Q
L)内の吐水が可能な操作範囲(θ0<θ≦θ3)を大きく確保することができるため、流量調節をし易くすることができる。
【0055】
また、本実施形態による湯水混合バルブ装置1によれば、可動弁体16が閉弁状態であるときの全閉状態操作角度θ0から、この全閉状態操作角度θ0と全開状態操作角度θmaxとの中間値となる中間開状態操作角度θ2よりも大きい中間開状態操作角度θ3までの湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24の流調操作角度θの範囲(θ0≦θ≦θ3)が、中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまでの流調操作角度θの範囲(θ3<θ≦θmax)よりも大きく設定されると共に、全閉状態操作角度θ0から中間開状態操作角度θ3まで操作したときに流調操作角度θの増加に伴って可動弁体16の連通路16aを通過する湯水の流量増加量の変化率である流量増加率m1,m2が、中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまで操作したときに流調操作角度θの増加に伴って可動弁体16の連通路16aを通過する湯水の流量増加量の変化率である流量増加率m3よりも小さく設定されている。これにより、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24の操作範囲全体(0≦θ≦θmax)のうち、全閉状態操作角度θ0から中間開状態操作角度θ3までの大半の操作範囲(θ0≦θ≦θ3)を、低流量域(Q≦Q
L)内の吐水を実現する操作範囲として割り当てることができると共に、第2の中間開状態操作角度から全開状態操作角度までの比較的小さい操作範囲を、高流量域(Q
L<Q≦Qmax)内の吐水を実現する操作範囲として割り当てることができる。
したがって、湯水混合水栓装置2の低流量域(Q≦Q
L)内の吐水が要求されている場合には、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24を全閉状態操作角度θ0から中間開状態操作角度θ3までの大きな操作範囲(θ0≦θ≦θ3)で流調操作することにより、湯水混合水栓装置2から吐水が開始されてから低流量域(Q≦Q
L)内で吐水を行うことができるため、可動弁体16の連通路16aを通過する湯水を、流量増加率m3よりも小さい流量増加率m1,m2で細やかに流量調節を行うことができる。
一方、湯水混合水栓装置2の高流量域(Q
L<Q≦Qmax)内の吐水が要求されている場合には、中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまでの小さい操作範囲(θ3<θ≦θmax)で湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24を流調操作することにより、可動弁体16の連通路16aを通過する湯水を、流量増加率m1,m2よりも大きい流量増加率m3で迅速に流量調節を行い、高流量域(Q
L<Q≦Qmax)内で吐水を行うことができ、使用者に対して高い操作性を実現することができる。
【0056】
なお、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24の操作範囲全体(0≦θ≦θmax)のうち、低流量域(Q≦Q
L)の吐水を実現する操作範囲(θ0≦θ≦θ3)の上限値である中間開状態操作角度θ3は、全体状態操作角度θmaxが25度に設定した場合(θmax=25°)、可能な限り25°に近づけるのが好ましい。
【0057】
さらに、本実施形態による湯水混合バルブ装置1によれば、可動弁体16の連通路16aに流量絞り用の突起32,34が形成されており、各突起32,34における各基端部B1,B2から各先端部T1,T2までのそれぞれの長さh1,h2(
図4参照)が、固定弁体14の通湯路14a及び通水路14bのそれぞれの流路断面における最小の幅寸法(縦寸法)H1,H2、より厳密には、可動弁体16の開閉方向(可動弁体16の中心軸線A6の軸線方向)及び固定弁体14の通湯路14aと通水路14bとの区画壁14dの中心軸線A7の軸線方向)における固定弁体14の通湯路14a及び通水路14bのそれぞれの流路断面の最小の幅寸法(縦寸法)H1,H2よりも小さく設定されているため、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24を少なくとも全閉状態操作角度θ0から中間開状態操作角度θ3まで設定している使用頻度が高い操作範囲(θ0≦θ≦θ3)では、可動弁体16によって開放される固定弁体14の通湯路14a及び通水路14bの各開口面積S1,S2を各突起32,34によって適度に狭めることができる。したがって、湯水混合水栓装置2から吐水が開始されてから低流量域(Q≦Q
L)内で吐水を効果的に行うことができ、流量調節をし易くすることができる。
一方、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24を中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまで設定している使用頻度が低い操作範囲(θ3<θ≦θmax)では、固定弁体14の通湯路14a及び通水路14bの少なくとも一方から可動弁体16の連通路16aに流入した湯水が、各突起32,34の周囲を通過しやくなるため、高流量域(Q
L<Q≦Qmax)内で吐水を行うことができ、使用者に対して高い操作性を実現することができる。
【0058】
また、本実施形態による湯水混合バルブ装置1によれば、可動弁体16の各突起32,34が平面視においてほぼ円弧形状に形成されていることにより、特に、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24の操作により低流量域(Q≦Q
L)内の吐水状態から高流量域(Q
L<Q≦Qmax)内の吐水状態に切り替える流量調節を行う際に、流調操作角度θの切り替えの前後で、流調操作角度θの増加に伴って可動弁体16の連通路16aを通過する湯水の流量増加率m1,m2,m3を非線形的に変化させることができるため、吐水流量をより滑らかに変化させて細やかな流量調節を行うことができる。
【0059】
さらに、本実施形態による湯水混合バルブ装置1によれば、可動弁体16の各突起32,34において、各基端部B1,B2と各先端部T1,T2とを結ぶ直線に対して垂直な方向の最大幅寸法W1,W2(
図4参照)が、固定弁体14の通湯路14aと通水路14bとの間の距離、すなわち、より厳密には、固定弁体14の通湯路14aと通水路14bとの区画壁14dの中心軸線A7に対して垂直な方向の幅寸法w1(
図4参照)よりも大きく設定されている。したがって、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24の操作角度θ,φに応じて可動弁体16の連通路16aの突起32又は突起34が固定弁体14の通湯路14aと通水路14bとの間に跨って配置される状態のときには、この突起32又は突起34が固定弁体14の通湯路14aと通水路14bのそれぞれの流路断面を部分的に確実に狭めることができる。したがって、固定弁体14の通湯路14aと通水路14bのそれぞれから可動弁体16の連通路16aに流入する湯水に対して効果的に流量を絞ることができる。
【0060】
つぎに、
図10〜
図14を参照して、本発明の第2実施形態による湯水混合バルブ装置について説明する。
図10は、本発明の第2実施形態による湯水混合バルブ装置が組み込まれた湯水混合水栓装置の概略平面図であり、混合湯水を吐水させる湯水混合操作領域、湯のみを吐水させる湯側操作領域、及び水のみを吐水させる水側操作領域を概略的に説明した図である。また、
図11は、本発明の第2実施形態による湯水混合バルブ装置において、湯水混合水栓装置の操作ハンドルを中央の温調操作位置(湯水混合水栓装置の正面位置)に設定し且つ流調操作角度を0度に設定したときの全閉状態及び全開状態の可動弁体と固定弁体を示す平面図である。ここで、
図11に示す可動弁体116においては、全閉状態の可動弁体116を実線及び符号「C」で示し、全開状態の可動弁体116を鎖線及び符号「O」で示している。
【0061】
まず、
図10及び
図11に示すように、本発明の第2実施形態による湯水混合バルブ装置100においては、その固定弁体114と可動弁体116の構造のみが、上述した本発明の第1実施形態による湯水混合バルブ装置1の固定弁体14と可動弁体16の構造と異なっており、操作ハンドル4の温調操作角度φを0度に設定し、操作ハンドル4を中央の温調操作位置P0に設定した状態で、流調操作角度θを操作することにより可動弁体116を開弁させると、湯水混合水栓装置2のスパウト6の吐水口6aから水のみが吐水されるようになっている点で、本発明の第実施形態による湯水混合バルブ装置1と異なっている。
したがって、本発明の第2実施形態による湯水混合バルブ装置100、及び、この湯水混合バルブ装置100が組み込まれた湯水混合水栓装置2においては、上述した本発明の第1実施形態による湯水混合バルブ装置1、及び、この湯水混合バルブ装置1が組み込まれた湯水混合水栓装置2と同一部分については同一の符号を付し、これらの説明は省略し、異なる部分のみについて説明する。
【0062】
図10に示すように、湯水混合操作領域R100は、操作ハンドル4の温調操作角度φを0度から湯側(
図10の「H側」)に温調操作角度φ104だけ回動操作した状態から、温調操作角度φを湯側(
図10の「H側」)に温調操作角度φ3まで回動操作した状態までの操作可能な領域である。
また、水側操作領域R102は、操作ハンドル4を温調操作角度φ104から水側(
図10の「C側」)に温調操作角度φ2まで回動操作した状態まで操作可能な領域である。特に、水側操作領域R102内において、操作ハンドル4を温調操作角度φが0度である中央の温調操作位置P0に設定したときには、湯水混合水栓装置2の吐水口6aから水のみが吐水される点が、上述した第1実施形態と異なっている。
【0063】
また、
図11に示すように、本発明の第2実施形態による湯水混合バルブ装置100においては、固定弁体114の区画壁14dにおける中心軸線A107が固定弁体114の前後方向に延びる中心軸線A105に対して所定角度α[°]だけ傾いた状態で設けられている。
さらに、
図11に示す可動弁体116のほぼ中央部に形成された連通路116aの平面視において、可動弁体116の中心軸線A106に対して固定弁体114の通湯路114a側(
図11の中心軸線A106よりも左側)に形成され且つ可動弁体116のほぼ中心C102よりも前側に位置する領域の内壁部は、連通路116aの内側に向かって突出する突状部116bを形成している。このような突状部116bの構造において、
図10に示す操作ハンドル4の温調操作角度φを0度に設定し、操作ハンドル4を中央の温調操作位置P0に設定した状態で、流調操作角度θを操作し、可動弁体116を
図11の前方に移動させて可動弁体116が
図11に実線で示す全閉状態Cから
図11に鎖線で示す全開状態Oとなっても、固定弁体114の通湯路114aのみが、
図11に鎖線で示す可動弁体116の突状部116bにより閉鎖され、固定弁体114の通水路114b及び湯水混合路114cが開放されるようになっている。これにより、湯水混合水栓装置2のスパウト6の吐水口6aから水のみが吐水されるようになっている。
【0064】
さらに、
図11に示すように、本発明の第2実施形態による湯水混合バルブ装置100においては、可動弁体116の連通路116aの内周面における前方部分には、単一の流量絞り用の突起132が設けられ、この突起132は、可動弁体16の連通路16aを通過する湯水の流量を絞る流量絞り部として機能するようになっている。
また、可動弁体116の連通路116aの突起132においては、その基端部B101から先端部T101までの長さh101が、突状部116bの前後方向の幅寸法H100よりも小さく設定されている。さらに、突起132の長さh101は、固定弁体114の通湯路114a及び通水路114bのそれぞれの流路断面における最小の幅寸法(縦寸法)H101,H102、より厳密には、固定弁体114の通湯路114aと通水路114bとの区画壁114dの中心軸線A107の軸線方向における固定弁体14の通湯路14a及び通水路14bのそれぞれの流路断面の最小の幅寸法(縦寸法)H101,H102よりも小さく設定されている。
【0065】
さらに、
図11に示すように、突起132は、平面視において、ほぼ円弧形状に形成されており、その基端部B101と先端部T101とを結ぶ直線に対して垂直な方向の最大幅寸法W101が、固定弁体114の通湯路114aと通水路114bとの間の距離、すなわち、より厳密には、固定弁体114の区画壁114dの中心軸線A107の軸線方向に対して垂直な方向の幅寸法w101よりも大きく設定されている。
これらの固定弁体114及び可動弁体116における各部寸法の設定により、
図10に示す操作ハンドル4の温調操作角度φを0度に設定した状態で流調操作角度θを操作して可動弁体116が
図11に鎖線で示す全開状態Oとなっても、固定弁体114の通湯路114aのみが、
図11に鎖線で示す可動弁体116の突状部116bにより閉鎖され、通水路114b及び湯水混合路114cが開放され、湯水混合水栓装置2のスパウト6の吐水口6aから水のみが吐水されるようになっている。
【0066】
つぎに、
図5、
図6、
図10〜
図14を参照して、上述した本発明の第2実施形態による湯水混合バルブ装置1の動作(作用)について説明する。
図12の(a)は、本発明の第2実施形態による湯水混合バルブ装置において、湯水混合水栓装置の操作ハンドルを中央の温調操作位置(湯水混合水栓装置の正面位置)に設定し且つ流調操作角度を15度に設定して水のみを吐水している状態の可動弁体と固定弁体を示す平面図であり、
図12の(b)は、
図12の(a)に示す本発明の第2実施形態による湯水混合バルブ装置の可動弁体に対する比較例であり、可動弁体の連通路に流量絞り用の突起が設けられていない状態の可動弁体と固定弁体を示す平面図である。
また、
図13の(a)は、本発明の第2実施形態による湯水混合バルブ装置において、湯水混合水栓装置の操作ハンドルを最も湯側の温調操作位置に設定し且つ流調操作角度を15度に設定して湯のみを吐水している状態の可動弁体と固定弁体を示す平面図であり、
図13の(b)は、
図13の(a)に示す本発明の第2実施形態による湯水混合バルブ装置の可動弁体に対する比較例であり、可動弁体の連通路に流量絞り用の突起が設けられていない状態の可動弁体と固定弁体を示す平面図である。
さらに、
図14の(a)は、本発明の第2実施形態による湯水混合バルブ装置において、湯水混合水栓装置の操作ハンドルを最も水側の温調操作位置に設定し且つ流調操作角度を15度に設定して水のみを吐水している状態の可動弁体と固定弁体を示す平面図であり、
図14の(b)は、
図14(a)に示す本発明の第2実施形態による湯水混合バルブ装置の可動弁体に対する比較例であり、可動弁体の連通路に流量絞り用の突起が設けられていない状態の可動弁体と固定弁体を示す平面図である。
【0067】
なお、本発明の第2実施形態による湯水混合バルブ装置100の動作(作用)については、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4の流調操作角度θと、可動弁体116の連通路116aと連通する固定弁体114の通湯路114a及び通水路114bの開口面積S(=S101+S102)との関係が、上述した本発明の第1実施形態による湯水混合バルブ装置1の動作(作用)において
図5に示した関係と定性的に一致している。また、本発明の第2実施形態による湯水混合バルブ装置100における、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4の流調操作角度θと流量Qとの関係についても、上述した本発明の第1実施形態による湯水混合バルブ装置1の動作(作用)において
図6に示した関係と定性的に一致している。したがって、本発明の第2実施形態による湯水混合バルブ装置100の動作(作用)の説明では、
図5及び
図6に相当する線図については省略し、流調操作角度θと固定弁体114の通湯路114a及び通水路114bの各開口面積S101,S102との関係や、流調操作角度θと流量Qとの関係を説明する場合には、適宜、
図5や
図6を用いて説明する。
【0068】
まず、
図5、
図6及び
図10〜
図12に示すように、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4について、温調操作角度φが0度である中央の温調操作位置P0に設定し、流調操作角度θを0度から25度までの範囲内で開閉操作した場合、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24の流調操作角度θの範囲(θ0≦θ≦θ3)が、中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまでの流調操作角度θの範囲(θ3<θ≦θmax)よりも大きく設定される。また、全閉状態操作角度θ0から中間開状態操作角度θ3まで操作したときに流調操作角度θの増加に伴って、固定弁体114の通水路114bから可動弁体116の連通路116aを通過する水の流量増加量の変化率である流量増加率m1,m2が、中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまで操作したときに流調操作角度θの増加に伴って、固定弁体114の通水路114bから可動弁体116の連通路116aを通過する水の流量増加量の変化率である流量増加率m3よりも小さく設定される。
【0069】
これらにより、湯水混合水栓装置2の低流量域内の水のみの吐水が要求されている場合には、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24を全閉状態操作角度θ0から中間開状態操作角度θ3までの大きな操作範囲(θ0≦θ≦θ3)で流調操作することにより、固定弁体114の通水路114bから可動弁体116の連通路116aを通過した水のみを湯水混合水栓装置2の吐水口6aから低流量域(Q≦Q
L)内で吐水することができる。
一方、湯水混合水栓装置2の高流量内の水のみの吐水が要求されている場合には、中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまでの小さい操作範囲(θ3<θ≦θmax)で湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24を流調操作することにより、固定弁体114の通水路114bから可動弁体116の連通路116aを通過した水のみが湯水混合水栓装置2の吐水口6aから高流量域(Q
L<Q≦Qmax)内で吐水することができる。
【0070】
また、代表的な例で説明するが、
図12の(a)に示すように、流調操作角度θを中間開状態操作角度θ2(例えば、θ2=15°)に設定し、可動弁体116によって開放されている状態の固定弁体114の通水路114bの開口断面積S102は、突起132が設けられていない
図12の(b)に示す比較例の可動弁体116’によって開放される固定弁体114の通水路114bの開口断面積S104よりも狭められている。
【0071】
同様に、
図5、
図6、
図10、
図11及び
図13に示すように、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4について、温調操作角度φを湯側の最大温調操作角度φ1に設定して湯側の温調操作位置P1に設定し、流調操作角度θを0度から25度までの範囲内で開閉操作した場合、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24の流調操作角度θの範囲(θ0≦θ≦θ3)が、中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまでの流調操作角度θの範囲(θ3<θ≦θmax)よりも大きく設定される。また、全閉状態操作角度θ0から中間開状態操作角度θ3まで操作したときに流調操作角度θの増加に伴って、固定弁体114の通湯路114aから可動弁体116の連通路116aを通過する湯の流量増加量の変化率である流量増加率m1,m2が、中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまで操作したときに流調操作角度θの増加に伴って、固定弁体114の通湯路114aから可動弁体116の連通路116aを通過する湯の流量増加量の変化率である流量増加率m3よりも小さく設定される。
【0072】
これらにより、湯水混合水栓装置2の低流量域(Q≦Q
L)内の湯のみの吐水が要求されている場合には、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24を全閉状態操作角度θ0から中間開状態操作角度θ3までの大きな操作範囲(θ0≦θ≦θ3)で流調操作することにより、固定弁体114の通湯路114aから可動弁体116の連通路116aを通過した湯のみを湯水混合水栓装置2の吐水口6aから低流量域(Q≦Q
L)内で吐水することができる。
一方、湯水混合水栓装置2の高流量域(Q
L<Q≦Qmax)内の湯のみの吐水が要求されている場合には、中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまでの小さい操作範囲(θ3<θ≦θmax)で湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24を流調操作することにより、固定弁体114の通湯路114aから可動弁体116の連通路116aを通過した湯のみが湯水混合水栓装置2の吐水口6aから高流量域(Q
L<Q≦Qmax)内で吐水することができる。
【0073】
また、代表的な例で説明するが、
図13の(a)に示すように、流調操作角度θを中間開状態操作角度θ2(例えば、θ2=15°)に設定し、可動弁体116によって開放されている状態の固定弁体114の通湯路114aの開口断面積S101は、突起132が設けられていない
図13の(b)に示す比較例の可動弁体116’によって開放される固定弁体114の通湯路114aの開口断面積S103よりも狭められている。
【0074】
同様に、
図5、
図6、
図10、
図11及び
図14に示すように、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4について、温調操作角度φを水側の最大温調操作角度φ2に設定して水側の温調操作位置P2に設定し、流調操作角度θを0度から25度までの範囲内で開閉操作した場合、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24の流調操作角度θの範囲(θ0≦θ≦θ3)が、中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまでの流調操作角度θの範囲(θ3<θ≦θmax)よりも大きく設定される。また、全閉状態操作角度θ0から中間開状態操作角度θ3まで操作したときに流調操作角度θの増加に伴って、固定弁体114の通水路114bから可動弁体116の連通路116aを通過する水の流量増加量の変化率である流量増加率m1,m2が、中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまで操作したときに流調操作角度θの増加に伴って、固定弁体114の通水路114bから可動弁体116の連通路116aを通過する水の流量増加量の変化率である流量増加率m3よりも小さく設定される。
【0075】
これらにより、湯水混合水栓装置2の低流量域(Q≦Q
L)内の水のみの吐水が要求されている場合には、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24を全閉状態操作角度θ0から中間開状態操作角度θ3までの大きな操作範囲(θ0≦θ≦θ3)で流調操作することにより、固定弁体114の通水路114bから可動弁体116の連通路116aを通過した水のみを湯水混合水栓装置2の吐水口6aから低流量域(Q≦Q
L)内で吐水することができる。
一方、湯水混合水栓装置2の高流量域(Q
L<Q≦Qmax)内の水のみの吐水が要求されている場合には、中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまでの小さい操作範囲(θ3<θ≦θmax)で湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24を流調操作することにより、固定弁体114の通水路114bから可動弁体116の連通路116aを通過した水のみが湯水混合水栓装置2の吐水口6aから高流量域(Q
L<Q≦Qmax)内で吐水することができる。
【0076】
また、代表的な例で説明するが、
図14の(a)に示すように、流調操作角度θを中間開状態操作角度θ2(例えば、θ2=15°)に設定し、可動弁体116によって開放されている状態の固定弁体114の通水路114bの開口断面積S102は、突起132が設けられていない
図14の(b)に示す比較例の可動弁体116’によって開放される固定弁体114の通湯路114aの開口断面積S104よりも狭められている。
【0077】
上述した本発明の第2実施形態による湯水混合バルブ装置100によれば、湯水混合水栓装置2の吐水口6aから吐水される湯水の流量を調節する際、湯水混合水栓装置6の操作ハンドル4の操作によって操作レバー部材24を可動弁体16の摺動面に対して垂直な平面内で、全閉状態操作角度θ0から全開状態操作角度θmaxまでの範囲内で回動させることにより、可動弁体16を閉弁状態から最大流量Qmaxの湯水を通過させる開弁状態まで固定弁体14に対して摺動させて操作することができる。特に、操作ハンドル4を中央の温調操作位置P0に設定した状態で、流調操作角度θを操作することにより、湯水混合水栓装置2のスパウト6の吐水口6aから水のみを吐水することができる。
また、可動弁体116の連通路116aが流量絞り用の突起132を備えていることにより、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24が、全閉状態操作角度θ0と全開状態操作角度θmaxとのほぼ中間の操作角度である中間開状態操作角度θ2に設定されているときに可動弁体16の連通路16aを通過する湯水の流量Q1が最大流量Qmaxの半分未満の低流量(Q≦Q
L)域内に設定されるため、特に、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24を少なくとも全閉状態操作角度θ0から中間開状態操作角度θ2まで設定している使用頻度が高い操作範囲では、湯水混合水栓装置2から吐水が開始されてから低流量域(Q≦Q
L)内で吐水を行うことができる。したがって、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24の操作範囲全体(0≦θ≦θmax)のうち、使用頻度が高く且つ低流量域(Q≦Q
L)内の吐水が可能な操作範囲(θ0<θ<θ3)を大きく確保することができるため、流量調節をし易くすることができる。
【0078】
また、本実施形態による湯水混合バルブ装置100によれば、可動弁体116が閉弁状態であるときの全閉状態操作角度θ0から、この全閉状態操作角度θ0と全開状態操作角度θmaxとの中間値となる中間開状態操作角度θ2よりも大きい中間開状態操作角度θ3までの湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24の流調操作角度θの範囲(θ0≦θ≦θ3)が、中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまでの流調操作角度θの範囲(θ3<θ≦θmax)よりも大きく設定されると共に、全閉状態操作角度θ0から中間開状態操作角度θ3まで操作したときに流調操作角度θの増加に伴って可動弁体116の連通路116aを通過する湯水の流量増加量の変化率である流量増加率m1,m2が、中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまで操作したときに流調操作角度θの増加に伴って可動弁体116の連通路116aを通過する湯水の流量増加量の変化率である流量増加率m3よりも小さく設定されている。これにより、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24の操作範囲全体(0≦θ≦θmax)のうち、全閉状態操作角度θ0から中間開状態操作角度θ3までの大半の操作範囲(θ0≦θ≦θ3)を、低流量域(Q≦Q
L)内の吐水を実現する操作範囲として割り当てることができると共に、第2の中間開状態操作角度から全開状態操作角度までの比較的小さい操作範囲を、高流量域(Q
L<Q≦Qmax)の吐水を実現する操作範囲として割り当てることができる。
したがって、湯水混合水栓装置2の低流量域(Q≦Q
L)内の吐水が要求されている場合には、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24を全閉状態操作角度θ0から中間開状態操作角度θ3までの大きな操作範囲(θ0≦θ≦θ3)で流調操作することにより、湯水混合水栓装置2から吐水が開始されてから低流量域内で吐水を行うことができるため、可動弁体116の連通路116aを通過する湯水を、流量増加率m3よりも小さい流量増加率m1,m2で細やかに流量調節を行うことができる。
一方、湯水混合水栓装置2の高流量域(Q
L<Q≦Qmax)内の吐水が要求されている場合には、中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまでの小さい操作範囲(θ3<θ≦θmax)で湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24を流調操作することにより、可動弁体116の連通路116aを通過する湯水を、流量増加率m1,m2よりも大きい流量増加率m3で迅速に流量調節を行い、高流量域(Q
L<Q≦Qmax)内で吐水を行うことができ、使用者に対して高い操作性を実現することができる。
【0079】
なお、本発明の第2実施形態において、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置100の操作レバー部材24の操作範囲全体(0≦θ≦θmax)のうち、低流量域(Q≦Q
L)の吐水を実現する操作範囲(θ0≦θ≦θ3)の上限値である中間開状態操作角度θ3は、全体状態操作角度θmaxが25度に設定した場合(θmax=25°)、可能な限り25°に近づけるのが好ましい。
【0080】
さらに、本実施形態による湯水混合バルブ装置100によれば、可動弁体116の連通路16aに流量絞り用の突起132が形成されており、この突起132における基端部B101から先端部T101までのそれぞれの長さh101,h102(
図11参照)が、固定弁体114の通湯路114a及び通水路114bのそれぞれの流路断面における最小の幅寸法(縦寸法)H1,H2、より厳密には、固定弁体114の通湯路14aと通水路14bとの区画壁14dの中心軸線A107の軸線方向における固定弁体14の通湯路14a及び通水路14bのそれぞれの流路断面の最小の幅寸法(縦寸法)H101,H102よりも小さく設定されているため、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24を少なくとも全閉状態操作角度θ0から中間開状態操作角度θ3まで設定している使用頻度が高い操作範囲(θ0≦θ≦θ3)では、可動弁体116によって開放される固定弁体114の通湯路114a及び通水路114bの各開口面積S101,S102を突起132によって適度に狭めることができる。したがって、湯水混合水栓装置2から吐水が開始されてから低流量域(Q≦Q
L)内で吐水を効果的に行うことができ、流量調節をし易くすることができる。
一方、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置1の操作レバー部材24を中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまで設定している使用頻度が低い操作範囲(θ3<θ≦θmax)では、固定弁体114の通湯路114a及び通水路114bの少なくとも一方から可動弁体116の連通路116aに流入した湯水が、突起132の周囲を通過しやくなるため、高流量域(Q
L<Q≦Qmax)内で吐水を行うことができ、使用者に対して高い操作性を実現することができる。
【0081】
また、本実施形態による湯水混合バルブ装置100によれば、可動弁体116の突起132が平面視においてほぼ円弧形状に形成されていることにより、特に、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置100の操作レバー部材24の操作により低流量域(Q≦Q
L)内の吐水状態から高流量域(Q
L<Q≦Qmax)内の吐水状態に切り替える流量調節を行う際に、流調操作角度θの切り替えの前後で、流調操作角度θの増加に伴って可動弁体116の連通路116aを通過する湯水の流量増加率m1,m2,m3を非線形的に変化させることができるため、吐水流量をより滑らかに変化させて細やかな流量調節を行うことができる。
【0082】
さらに、本実施形態による湯水混合バルブ装置100によれば、可動弁体116の突起132において、その基端部B101と先端部T101とを結ぶ直線に対して垂直な方向の最大幅寸法W101(
図11参照)が、固定弁体114の通湯路114aと通水路114bとの間の距離、すなわち、より厳密には、固定弁体114の通湯路114aと通水路114bとを区画する区画壁114dの幅寸法w101(
図4参照)よりも大きく設定されているため、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置100の操作レバー部材24の操作角度θ,φに応じて可動弁体116の連通路116aの突起132が固定弁体114の通湯路114aと通水路114bとの間に跨って配置される状態のときには、この突起132が固定弁体114の通湯路114aと通水路114bのそれぞれの流路断面を部分的に確実に狭めることができる。したがって、固定弁体114の通湯路114aと通水路114bのそれぞれから可動弁体116の連通路116aに流入する湯水に対して効果的に流量を絞ることができる。
【0083】
つぎに、
図15〜
図18を参照して、本発明の第3実施形態による湯水混合バルブ装置について説明する。
図15は、本発明の第3実施形態による湯水混合バルブ装置において、湯水混合水栓装置の操作ハンドルを中央の温調操作位置(湯水混合水栓装置の正面位置)に設定し且つ流調操作角度を0度に設定したときの全閉状態及び全開状態の可動弁体と固定弁体を示す平面図である。ここで、
図15に示す可動弁体216においては、全閉状態の可動弁体216を実線及び符号「C」で示し、全開状態の可動弁体216を鎖線及び符号「O」で示している。
また、
図16の(a)は、本発明の第3実施形態による湯水混合バルブ装置において、湯水混合水栓装置の操作ハンドルを中央の温調操作位置(湯水混合水栓装置の正面位置)に設定し且つ流調操作角度を15度に設定して水のみを吐水している状態の可動弁体と固定弁体を示す平面図であり、
図16の(b)は、
図16の(a)に示す本発明の第3実施形態による湯水混合バルブ装置の可動弁体に対する比較例であり、可動弁体の連通路に流量絞り用のテーパ部が設けられていない状態の可動弁体と固定弁体を示す平面図である。
さらに、
図17の(a)は、本発明の第3実施形態による湯水混合バルブ装置において、湯水混合水栓装置の操作ハンドルを最も湯側の温調操作位置に設定し且つ流調操作角度を15度に設定して湯のみを吐水している状態の可動弁体と固定弁体を示す平面図であり、
図17の(b)は、
図17の(a)に示す本発明の第3実施形態による湯水混合バルブ装置の可動弁体に対する比較例であり、可動弁体の連通路に流量絞り用のテーパ部が設けられていない状態の可動弁体と固定弁体を示す平面図である。
また、
図18の(a)は、本発明の第3実施形態による湯水混合バルブ装置において、湯水混合水栓装置の操作ハンドルを最も水側の温調操作位置に設定し且つ流調操作角度を15度に設定して水のみを吐水している状態の可動弁体と固定弁体を示す平面図であり、
図18の(b)は、
図18の(a)に示す本発明の第3実施形態による湯水混合バルブ装置の可動弁体に対する比較例であり、可動弁体の連通路に流量絞り用のテーパ部が設けられていない状態の可動弁体と固定弁体を示す平面図である。
【0084】
ここで、
図15〜
図18(a)に示す本発明の第3実施形態による湯水混合バルブ装置200においては、その可動弁体216の連通路216aの構造のみが、上述した本発明の第2実施形態による湯水混合バルブ装置100の可動弁体116の連通路116aの構造と異なっている。
したがって、本発明の第3実施形態による湯水混合バルブ装置200においては、上述した本発明の第2実施形態による湯水混合バルブ装置100と同一部分については同一の符号を付し、これらの説明は省略し、異なる部分のみについて説明する。
【0085】
まず、
図15に示すように、本発明の第3実施形態による湯水混合バルブ装置200にでは、
図15に示す可動弁体216の連通路216aの平面視において、可動弁体216の中心軸線A206に対して固定弁体114の通湯路114a側(
図15の中心軸線A206よりも左側)に形成され且つ可動弁体216のほぼ中心C202よりも前側に位置する領域の内壁部は、連通路216aの内側に向かって突出する突状部216bを形成している。このような突状部216bの構造においては、
図10に示す操作ハンドル4の温調操作角度φを0度に設定し、操作ハンドル4を中央の温調操作位置P0に設定した状態で、流調操作角度θを操作し、可動弁体216を
図15の前方に移動させて可動弁体216が
図15に実線で示す全閉状態Cから
図15に鎖線で示す全開状態Oとなっても、固定弁体114の通湯路114aのみが
図15に鎖線で示す可動弁体216の突状部216bにより閉鎖され、固定弁体114の通水路114b及び湯水混合路114cが開放されるようになっている。これにより、湯水混合水栓装置2のスパウト6の吐水口6aから水のみが吐水されるようになっている。
また、可動弁体216の連通路216aを通過する湯水の流量を絞る流量絞り部として、可動弁体216の連通路116aの内周面における前方部分における可動弁体216の前後方向の中心軸線A206に対して片側の部分がテーパ形状に形成されたテーパ部232が設けられている。このテーパ部232においては、
図15に示すように、テーパ部232の表面であるテーパ面232aが、平面視で可動弁体216の中心軸線A206に対して所定のテーパ角度β[°](例えば、β=45°)で形成されている。なお、テーパ角度βについては、30°〜60°に設定されるのが好ましく、40°〜50°に設定されるのがより好ましく、45°に設定されるのが最も好ましい。
さらに、可動弁体216の連通路216aのテーパ面232aにおいては、その前端部から後端部までの前後方向の幅寸法h201が、突状部216bの前後方向の幅寸法H200よりも小さく設定されている。これらの寸法の設定により、
図10に示す操作ハンドル4の温調操作角度φを0度に設定した状態で流調操作角度θを操作して可動弁体216が
図15に鎖線で示す全開状態Oとなっても、固定弁体114の通湯路114aのみが、
図11に鎖線で示す可動弁体116の突状部116bにより閉鎖され、通水路114b及び湯水混合路114cが開放され、湯水混合水栓装置2のスパウト6の吐水口6aから水のみが吐水されるようになっている。
【0086】
また、代表的な例で説明するが、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4について、温調操作角度φが0度である中央の温調操作位置P0に設定し、
図16の(a)に示すように、流調操作角度θを中間開状態操作角度θ2(例えば、θ2=15°)に設定した場合、可動弁体216によって開放されている状態の固定弁体114の通水路114bの開口断面積S202は、テーパ部232が設けられていない
図15の(b)に示す比較例の可動弁体216’によって開放される固定弁体114の通水路114bの開口断面積S204よりも狭められている。
【0087】
同様に、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4について、温調操作角度φを湯側の最大温調操作角度φ1に設定して湯側の温調操作位置P1に設定し、
図17の(a)に示すように、流調操作角度θを中間開状態操作角度θ2(例えば、θ2=15°)に設定した場合、可動弁体216によって開放されている状態の固定弁体114の通湯路114aの開口断面積S201は、テーパ部232が設けられていない
図17の(b)に示す比較例の可動弁体216’によって開放される固定弁体114の通湯路114aの開口断面積S203よりも狭められている。
【0088】
さらに、同様に、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4について、温調操作角度φを水側の最大温調操作角度φ2に設定して水側の温調操作位置P2に設定し、
図18の(a)に示すように、流調操作角度θを中間開状態操作角度θ2(例えば、θ2=15°)に設定した場合、可動弁体216によって開放されている状態の固定弁体114の通水路114bの開口断面積S202は、テーパ部232が設けられていない
図18の(b)に示す比較例の可動弁体216’によって開放される固定弁体114の通水路114bの開口断面積S204よりも狭められている。
【0089】
上述した本発明の第3実施形態による湯水混合バルブ装置200によれば、固定弁体114の通湯路114a及び通水路11bと対向している可動弁体216の連通路216a内の周面部分の一部が連通路216aの流路断面を狭めるように可動弁体216の中心軸線A206に対して所定のテーパ角度β傾けたテーパ形状に形成されている流量絞り用のテーパ部232を採用することによって、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置200の操作レバー部材24を少なくとも全閉状態操作角度θ0から中間開状態操作角度θ3まで設定している使用頻度が高い操作範囲(θ0≦θ≦θ3)では、可動弁体216によって開放される固定弁体114の通湯路114a及び通水路114bの各開口面積S201,S202をテーパ部232によって適度に狭めることができる。したがって、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置200の操作レバー部材24の操作範囲全体(0≦θ≦θmax)のうち、使用頻度が高く且つ低流量域(Q≦Q
L)内の吐水が可能な操作範囲(θ0<θ≦θ3)を大きく確保することができるため、流量調節をし易くすることができ、低流量域(Q≦Q
L)内で吐水を効果的に行うことができ、流量調節をし易くすることができる。一方、湯水混合水栓装置2の操作ハンドル4及び湯水混合バルブ装置200の操作レバー部材24を中間開状態操作角度θ3から全開状態操作角度θmaxまで設定している使用頻度が低い操作範囲状態(θ3<θ≦θmax)では、固定弁体114の通湯路114a及び通水路114bの少なくとも一方から可動弁体216の連通路216aに流入した湯水が、テーパ部232を通過しやくなるため、高流量域(Q
L<Q≦Qmax)内で吐水を行うことができ、使用者に対して高い操作性を実現することができる。