【実施例】
【0078】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
【0079】
(実施例1:第1のマクロ多孔性モノリスの作製)
表1に示す量のポリエチレングリコール(PEO)(シグマアルドリッチ製、分子量35000)を、体積比1:1で混合した濃度50mMの硝酸(岸田化学製、濃度65%)2.5mLおよびメタノール(岸田化学製)2.5mLの混合物に溶解させた。次に、得られた混合物を室温で30分間攪拌した後、得られた溶液に、トリメトキシシラン(HTMS)(東京化成工業製、>90%)2.1mL(16.5mmol)を加えた。次に、この混合物を2分間攪拌した後、攪拌を停止し、室温で放置した。放置後、15分以内にゲル化が始まった。次に、得られたゲルを室温で2日間熟成させ、メタノールで洗浄した後、40℃で2日間乾燥させて、多孔性モノリスを得た。なお、HTMS、メタノール、水および硝酸の混合比(モル比)は、1:3.7:8.4:7.6×10
−3であった。
【0080】
【表1】
【0081】
作製した各多孔性モノリスの構造を走査型電子顕微鏡(SEM)(JEOL製、JSM−6060S)を用いて観察した。PEOを加えなかったHY0では透明なゲルが得られ、マクロ孔が観察されなかった(
図1の(a))。一方、PEOの添加量を増すにつれて得られたゲルの透明性が低下し、マクロ孔が形成されることが確認された(
図1の(a)〜(e))。そして、サンプルHY150およびHY210では、骨格との共連続構造を有するマクロ孔の形成が明確に確認され(
図1の(c)、(d))、第1のマクロ多孔性モノリスの作製が確認された。
図1の(f)に、HY210モノリスの外観を示す。
図1の(f)には、HY210モノリスと当該モノリスのサイズの指標となる定規とが示されており、図中、上方の物品が円柱状のHY210モノリスである。HY150およびHY210の外観は白色であった。
【0082】
次に、HY150およびHY210に存在するマクロ孔の特性を水銀細孔分布測定装置(カンタクローム製、Pore Master 60−GT)を用いて評価した。各サンプルは、測定の前に200℃で6時間加熱して脱気(degas)した。評価結果を
図2に示す。
図2に示すように、両モノリスにおけるマクロ孔の孔径はシャープな分布を示した。すなわち、マクロ孔の孔径の均一性が高い第1のマクロ多孔性モノリスが得られていた。HY150モノリスにおけるマクロ孔の孔径分布のピークは3.3μm、HY210モノリスにおけるマクロ孔の孔径分布のピークは1.2μmであった。なお、HY150とHY210とでは、HY210の方がPEOの添加量が大きいが、HY150に比べてHY210ではマクロ孔の孔径が減少する一方で、細孔容積が増大した。
【0083】
次に、HY150およびHY210に存在するメソ孔およびマクロ孔の特性を、窒素ガス吸着法による細孔分布測定(日本ベル製、BELSORP−miniII)により解析した。各サンプルは、測定の前に200℃で6時間加熱して脱気(degas)した。評価結果を
図3に示す。
図3に示すようにHY150およびHY210の吸着−脱着等温線はタイプIVの特性を示し、メソ孔の存在が確認された。また、HY150およびHY210ともに、吸着ブランチを用いて得たBJH細孔サイズ分布曲線に示すように10nm未満の小さいメソ孔を主たる要因とする高いBET表面積が確認された(HY150が630m
2/g、HY210が800m
2/g)。HY210モノリスでは、最も多くを占めるメソ孔の直径(中心孔径)が3.2nmであったが、HY150モノリスでは2nmであった。
【0084】
次に、HY210に対して分光学的な特性評価を行い、その分子レベルの構造とSi−H結合の存在とを評価した。HY210に対するフーリエ変換赤外分光(FT−IR)測定は、フーリエ変換赤外分光光度計(島津製作所製、IRAffinity−1)により臭化カリウムを混合した標準試料を用いて行った。また、ラマン分光測定は、共焦点ラマン分光測定装置(HORIBA製、Xplora)を用いて行った。
図4Aおよび
図4Bに示すように、FT−IRおよびラマンのいずれにおいても、波数2250cm
−1にシャープなSi−H伸縮振動が確認された。また、FT−IRにおいて、波数1000〜1250cm
−1に強いSi−O−Siの振動と、波数800〜925cm
−1にO−Si−Hの振動が確認された。波数930cm
−1にあるSi−OHによる吸収はごく小さく無視できるレベルであるため、HTMSのSi−H結合が、作製したマクロ多孔性モノリスにそのまま残されていることが確認された。PEOは、波数1750cm
−1付近のエーテル単位による広いピークによって、モノリス中に残っていることが確認された。これに加えて、FT−IRスペクトルのピークを精査することによって、得られたモノリスの骨格の構造についてさらなる知見を得ることができた。具体的には、それぞれ波数1150cm
−1および波数875cm
−1に現れているSi−O−SiおよびH−Si−Oの振動は環構造によるものであり、1070cm
−1および830cm
−1のSi−O−SiおよびH−Si−Oの振動はランダムネットワークに対応していた。したがって、FT−IRの結果から、HY210モノリスの骨格は主にSi−H基が保たれたランダムネットワークおよび環構造から構成されていることがわかった。
【0085】
次に、HY210の熱安定性を評価するために、その熱重量−示差熱分析(TG−DTA)を実施した。分析は、リガク製、ThermoPlusTG8120を用いて、エアーを100mL/分で常時供給しながら昇温速度5℃/分で実施した。
図4Cに示すようにTGおよびDTA曲線によれば、150℃から200℃で大きく重量が減少し、350℃から500℃で重量が増加することがわかった。重量減少は、モノリス中のPEOの燃焼に対応すると考えられる。重量増加は、Si−H基のSi−O−Si結合およびSi−OH基への熱酸化によると考えられる。TG−DTA分析によれば、HY210モノリス内に存在するSi−H基は、350℃まで熱に安定であることがわかった。
【0086】
次に、HY210モノリス内に存在するSi−H基の量を固体
29Si CP/MAS NMR測定により評価した。固体
29Si CP/MAS NMR測定は、OPENCORE NMR(299.52MHzfor
1H、コンタクトタイム10ms、5mmプローブ使用(5kHz))により行った。なお、CP(交差分極)法がスペクトルに影響を及ぼさないことを、CP法無しで得たスペクトルとの比較により別途確認した。NMRスペクトル上の「T」シグナルは、HSiX
3(XはOSi、OCH
3またはOH)のSiに対応する。Si−Hの加水分解が生じた場合は、SiX
4単位によって「Q」シグナルが登場する。
図4Dに示すように、得られたNMRスペクトルでは、T
3ピークがT
2ピークよりもずっと大きく(ピーク面積にして94.5%のT
3、5.5%のT
2)、これはHY210モノリスにおいてHTMSの高程度の重縮合がなされていることを示す。これに加えて、Qシグナルは全く観察されず、HY210においてHTMSに由来するSi−H基の保存がなされていることが確認された。
【0087】
(実施例2:第2のマクロ多孔性モノリスの作製)
実施例2では、単一の金属から構成されたナノ粒子が配置された第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。
【0088】
上記作製した第1のマクロ多孔性モノリスのうち、HY210の一部(0.20g以上)を蒸留水20mLに浸漬し、室温で3時間放置して、水をマクロ孔内に拡散させた。次に、モノリスを浸漬させている水に、金属塩を水に溶解させた水溶液を表2に示す量加え、室温でさらに3時間放置した。金属塩の水溶液を混合した後、水素の発生と、析出する金属の種類に応じたモノリスの色調の変化(白色から、赤褐色(金)、黒褐色(銀)など)がすぐに確認された。混合して3時間が経過した時点で、水素の発生は停止した。上澄み液を除去し、モノリスを20mLのメタノールで3回洗浄した後、40℃で2時間乾燥させて、第2のマクロ多孔性モノリスを得た。表2の「試料名」の欄には、金属塩を構成する金属の種類、および当該金属とHY210とのモル比(金属/HY210)を示す。銀(Ag)の塩には硝酸銀(シグマアルドリッチ製)を、金(Au)の塩には塩化金酸四水和物(岸田化学製)を、パラジウム(Pd)の塩には硝酸パラジウム(和光純薬工業製)を、白金(Pt)の塩には塩化白金酸六水和物(東京化成工業製)を、それぞれ使用した。
【0089】
【表2】
【0090】
Si−H基が有する還元性ならびに水素の発生およびモノリスの色調の変化から、水溶液中に含まれる金属イオンが還元され、当該金属の析出が推定された。また、当該析出した粒子が、Si−H基のSi−OHまたはSi−O−Si結合へのさらなる酸化の触媒となることが推定された。Si−H基の酸化は、以下の反応式(1)に従うと考えられる。式(1)におけるM
n+は、Ag
+、Pd
2+、Au
3+またはPt
4+である。
nO
1.5Si−H + M
n+ + nH
2O
→ nO
1.5Si−OH + M(0) + n/2H
2 + nH
+ (1)
【0091】
式(1)によれば、金属の還元後、モノリスに残留するSi−H基の量は反応した金属塩の量に反比例する。このことが、異なる量のAgNO
3を還元した後におけるHY210モノリスに対するFT−IRの測定結果から確認された(
図5A参照)。また、その他の金属塩に対しても同様の結果が得られた(Auについて
図5B、Pdについて
図5CおよびPtについて
図5Dを参照)。具体的には、加えたAg
+の量(モノリスによって還元させたAg
+の量)をAg
1/100からAg
1/10に増やした場合、Si−HおよびO−Si−H振動の強度が低下し、Si−OH振動の強度が増加した。これは、Si−H基がSi−O結合に酸化されたことを示す。
【0092】
次に、AgNO
3、HAuCl
4、Pd(NO
3)
2またはH
2PtCl
6を還元した後の各モノリスに対して広角X線回折測定を実施したところ、析出した粒子に対応するブラッグ回折のピークが確認された(
図6A参照)。また、回折ピーク強度は、使用した金属塩の量に比例していた。すなわち、使用した金属塩の量が増加するにしたがって、モノリス内への粒子の配置量が増大することが確認された(Agについて
図6B、Auについて
図6C、Pdについて
図6D、Ptについて
図6Eを参照)。広角X線回折測定は、粉末X線回折装置(リガク製、RINT UltimaIII)により、入射ビームとしてCuKα線(波長λ=0.154nm)を用いて行った。
【0093】
広角X線回折の測定結果からシェラーの式を用いて算出した粒子サイズ(粒径)は、Ag、Au、PdおよびPtの全ての場合において、ナノメーターの範囲であった(以下の表3を参照)。すなわち、第1のマクロ多孔性モノリスにこれら金属の塩が溶解した水溶液を接触させることにより、当該金属の還元反応を進行させ、当該モノリス内に当該貴金属のナノ粒子を析出できることが確認された。上記4種類の金属のなかでは、AgおよびAuのナノ粒子の粒径が比較的大きく、これにPd、さらにPtのナノ粒子の粒径が続いた。表3に示すように、シェラーの式から算出したナノ粒子の粒径は、モノリスを浸漬させた水溶液における金属塩の濃度に依存するのではなく、金属の種類に依存していることがわかった。当該金属のカチオンの標準電極電位の値が析出したナノ粒子の粒径に比例し、当該カチオンの電荷(酸化数n)がナノ粒子の粒径に反比例していた。なお、水中でのSi−HからSi−O
−への酸化は−1.23Vで起こる。これは上記各金属のイオンの標準電極電位(E
0)の値よりも十分に小さいが、一連の反応に水素イオンの還元過程が含まれることから、実質的に、標準電極電位が正の値をとる金属種のみの還元が可能となる。価数の大きい金属イオンは、ヒドリドシリカの細孔表面に分布したSi−H基と複数回相互作用しなければ、中性原子への還元が完了しない。したがって同程度の濃度でヒドリドシリカ細孔表面に接触した場合でも、価数の低い金属ほど速やかに還元されて比較的大きい粒子サイズに成長する。一方、価数の高い金属は単位時間あたりの粒子成長が抑制されて比較的小さい粒子サイズとなる。このため、金属塩における比E
0/nが大きくなるほど、析出したナノ粒子の平均粒径も大きくなった(
図7参照)。
【0094】
【表3】
【0095】
次に、析出したナノ粒子のサイズおよびモノリス内における当該粒子の空間的な分布を、高角度散乱暗視野(走査透過電子顕微鏡)法(HAADF−STEM)により評価した。具体的には、塊状のサンプルを乳鉢ですりつぶした後、粉末状としたサンプルをCuグリッドにセットして実施した。高解像度TEM(JEOL製、JEM−2100F)は、球面収差補正装置(CEOS製)を備えたSTEMユニットを用いて200kVで走査した。これにより、直径にして0.1nmの像が得られる。HAADF−STEMイメージングの間、プローブの収束角を25mradとし、環状暗視野検出器の内角を52mradを超える状態とした。
【0096】
HAADF−STEMの観察結果を
図8に示す。
図8の(a)はサンプルAg
1/10、(b)はサンプルAu
1/10、(c)はサンプルPd
1/10、(d)はサンプルPt
1/10である。HAADF−STEMにおいて、得られた像のコントラストは、おおまかに述べて原子番号Zの二乗に比例する。したがって、
図8に示すHAADF−STEM像では、分散した金属のナノ粒子(Z=47のAg、Z=79のAu、Z=46のPd、Z=78のPtのナノ粒子)が、Z=1のH、Z=8のOおよびZ=14のSiから主として構成されるモノリスに比べて明るく見えている。
図8に示すように、ナノ粒子はモノリス骨格の表面(マクロ孔の壁面)だけではなく、骨格の内部にも分散していた。
図8において"骨格内"と示されているものがこれに相当する。金属塩の溶液がメソ孔を介して骨格の内部にまで拡散し、そこで還元されて、ナノ粒子が析出したと考えられる。また、骨格内部における粒子の成長には空間的な制限があるため、骨格の表面に存在するナノ粒子に比べて骨格内部に存在するナノ粒子は小さな粒径およびよりいびつな形状を有することが確認された。また、表3に示すように、サンプルAg
1/10、Au
1/10、Pd
1/10およびPt
1/10では、幅広いナノ粒子の粒径が実現していることがわかった。ただし、Ag
1/10では1nmから200nm、Au
1/10では5nmから150nmであったが、Pd
1/10では5nmから50nm、Pt
1/10では1nmから50nmと、金属の種類によってナノ粒子の粒子径が分布する幅がやや変化した。これは、シェラーの式により算出した粒径の結果と一致する。
【0097】
金属塩を還元した後、乾燥させた第2のマクロ多孔性モノリスにはクラックが見られなかった。
図9に示すように、当該モノリスは、金属塩を還元する前のモノリス(第1のマクロ多孔性モノリス)であるHY210モノリスのマクロ孔/骨格共連続構造を保っていた。このことから、第1および第2のマクロ多孔性モノリスともに、Si−H結合に基づく還元反応を実施する際の高い構造安定性を有することが確認された。なお、
図9の(a)はサンプルAg
1/10、(b)はサンプルAu
1/10、(c)はサンプルPd
1/10、(d)はサンプルPt
1/10である。
【0098】
還元によって析出した金属のナノ粒子はモノリス骨格の表面および内部に固定されており、水、メタノール、エタノールおよびヘキサンをそれぞれ用いてモノリスを洗浄しても、金属粒子がモノリスから流出することはなかった。したがって、第2のマクロ多孔性モノリスは金属ナノ粒子の担体として使用できることが確認された。また、金属ナノ粒子を析出させたモノリスに対して、上述した方法で窒素ガス吸着法による細孔分布測定を行ったところ、以下の表4に示すように、第1のマクロ多孔性モノリスの状態における高い比表面積を維持していた。また、当該モノリスの吸着−脱着等温線は、
図10および
図11に示すように第1のマクロ多孔性モノリスであったときと同じく、タイプIVの特性を示しており、メソ孔がそのまま存在していることが確認された。サンプルAg
1/100からAg
1/10になるに従って、すなわち加えるAg
+の量が増加するに従って、得られた第2のマクロ多孔性モノリスにおける比表面積の若干の低下が確認されたが、これは、HY210モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が、増加したAgナノ粒子によりブロックされたことによると考えられる。
【0099】
【表4】
【0100】
(実施例3:第2のマクロ多孔性モノリスの作製)
実施例3では、2種類の金属塩(HAuCl
4およびH
2PtCl
6)を含む溶液を用い、AuおよびPtから構成されたナノ粒子(Au−Ptの二元系ナノ粒子)が配置された第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。これ以降の実施例において作製した第2のモノリスに対する各種の評価および測定は、特に記載がない限り、実施例2と同様に実施した。
【0101】
最初に、実施例1と同様にして、HY210相当の第1のマクロ多孔性モノリスを作製した。ただし、用いた各材料の量を実施例1の5倍とし、熟成は室温で24時間の実施とした。HTMS、メタノール、水および硝酸の混合比は、実施例1と同じである。作製した第1のマクロ多孔性モノリスの形状は、直径5.5mm、長さ225mmの円柱状であった。
【0102】
次に、作製した第1のマクロ多孔性モノリスの一部(53mg、1mmol相当)を、以下の表5に示す量の水、アセトン、塩化金酸四水和物(HAuCl
4)水溶液および塩化白金酸六水和物(H
2PtCl
6)水溶液の混合溶液に浸漬し、室温(実施例3−1,3−2)または50℃(実施例3−3)で、3時間(実施例3−1)、12時間(実施例3−2)または36時間(実施例3−3)放置した。各実施例における放置時間は、モノリスを浸漬する前の混合溶液における金属イオンに基づく着色が、目視において消失するまでとした。表5の「金属塩溶液」は、濃度0.1MのHAuCl
4水溶液と濃度0.1MのH
2PtCl
6水溶液とを体積で等量混合した(体積比1:1で混合した)溶液である。いずれの実施例においても、浸漬後、水素の発生がすぐに確認された。上記時間の浸漬後、溶液を除去し、モノリスを20mLのメタノールで3回洗浄した後、40℃で2時間乾燥させて、第2のマクロ多孔性モノリスを得た。浸漬前に白色であったモノリスの色は、浸漬後、黒色に変化し、モノリスを浸漬する前の混合溶液に見られた黄色の着色は、モノリスの浸漬によって消失し、溶液は透明になった(
図12参照。
図12には、実施例3−3におけるモノリスおよび混合溶液の色調の変化を示す)。
【0103】
【表5】
【0104】
Si−H基が有する還元性ならびに水素の発生およびモノリスの色調の変化から、水溶液中に含まれる金属イオンが還元され、当該金属の析出が推定された。実施例3−1〜3−3で作製したモノリスに対して実施した広角X線回折測定の結果を
図13に示す。
図13は、紙面の左側から、それぞれAuおよびPtの(111)面、(200)面および(220)面の回折を示す。
【0105】
図13に示すように、金属塩溶液の溶媒に占める水の割合が多い実施例3−1では、AuおよびPtのそれぞれの回折ピークが確認され、Auのナノ粒子およびPtのナノ粒子の各々が個別に析出していることが確認された。一方、実施例3−2から3−3へと、溶媒に占める水の割合が減少するにつれてAuおよびPtの個別の回折ピークが減少し、代わってAu−Pt合金のピークが増大する、すなわち、Au−Pt合金のナノ粒子が析出していることが確認された。特に、実施例3−3では、AuおよびPtの個別の回折ピークは確認されず、Au−Pt合金(Au
1Pt
1合金)の回折ピークのみが確認された。これは、以下の式(2)に示すように、第1のモノリスのSi−H基の酸化反応および溶液中の金属の還元反応に水が関係しているため、溶媒における水の割合が多い実施例3−1では当該反応の進行速度が速く、合金が形成される前に各金属のナノ粒子の形成が完了するためと考えられる。一方、溶媒における水の割合が小さい実施例3−3では、温度50℃ながらも36時間という他の実施例よりも長い浸漬に示されているように当該反応の進行速度が遅く、各金属のナノ粒子が形成する前にAuとPtとの合金が形成される反応ステージが存在できると考えられる。
M
1x++M
2y++(x+y)H−SiO
1.5+(x+y)H
2O → M
1(0)+M
2(0)+(x+y)HO−SiO
1.5+(x+y)/2H
2+(x+y)H
+ (2)
【0106】
式(2)におけるM
1x+およびM
2y+は金属イオン(実施例3では、Au
3+およびPt
4+)である。
【0107】
実施例3−3で作製した第2のモノリスに対するX線光電子分光(XPS)の測定結果を
図14に示す。XPS測定は、XPS測定装置(アルバックファイ製、MT−5500)により、MgKα線(1253.6eV)を用いて行った。測定のコアレベルは、284.6eVにセットした炭素(C)1sコアレベルピークの第1成分を参照して較正した。
図14に示すように、モノリス中にAuおよびPtの存在が確認された。
【0108】
実施例3−3で作製した第2のモノリスに対する
29Si固体NMRの結果を
図15に示す。
図15に示すように、第1のモノリス中のSi−H基の酸化により、SiX
4単位(XはOSi、OCH
3またはOH)に基づくQ
3およびQ
4シグナルが確認された。第1のモノリスに対する
29Si固体NMRの結果(
図4Dを参照)との対比により、第1のモノリスに存在していたSi−H基のうち28モル%が酸化されたことが確認された。この酸化量は、還元された金属塩の量に対応していた。
【0109】
実施例3−3で作製した第2のモノリスに対するSEM観察像を、金属塩の水溶液に浸漬する前の第1のモノリスに対するSEM観察像とともに
図16に示す。
図16の左側の像が浸漬前の第1のモノリスのSEM観察像、
図16の右側の像が浸漬後の第2のモノリスのSEM観察像である。
図16に示すように、浸漬の前後(ナノ粒子の析出の前後)において、マクロ多孔性モノリスの構造は維持されていた。
【0110】
実施例3−3で作製した第2のモノリスに対するHAADF−STEM観察像を
図17に示す。
図17の「f」と付された像に示すように、金属のナノ粒子が作製したモノリス中に分散して分布していることが確認された。また、エネルギー分散X線分光分析(EDS)検出器を併用することにより、HAADF−STEM像上におけるSi、AuおよびPtの各原子の分布を評価した。
図17の「g」「h」および「i」と付された像に、それぞれ、上記「f」の像の点線内の領域におけるSi、AuおよびPtの各原子の分布を示す。「g」にSi原子、「h」にAu原子、「i」にPt原子の分布が示される。これらの像に示すように、モノリスの骨格が存在する位置に相当するSi原子の分布に接するように、Au原子およびPt原子が同じ位置に分布していた。すなわち、Au−Pt合金のナノ粒子がモノリス中に分散して分布していることが、より明確に確認された。
【0111】
図18に、
図17のHAADF−STEM観察像から求めたAu−Pt合金ナノ粒子の粒径分布を示す。ナノ粒子の粒径は、1nmから27nmまで分布しており、5nm以下の分布が最も多く、平均粒径は5.5nmであった。
【0112】
実施例3−3で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布測定結果を
図19に示す。
図19の吸着−脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第1のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を示しており、メソ孔が存在していることが確認された。当該モノリスのBET比表面積は380m
2/gであった。還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ粒子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロックされたためと考えられる。
【0113】
次に、金属塩溶液に含まれるHAuCl
4およびH
2PtCl
6の絶対量を変化させて、実施例3−3と同様に第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。具体的に、濃度0.1MのHAuCl
4水溶液と濃度0.1MのH
2PtCl
6水溶液とを、混合溶液中に含まれる金属イオンの全量が使用した第1のマクロ多孔性モノリスの量(1mmol)の0.5モル%(すなわち絶対量は5μmol)となるように、体積で等量混合した(体積比1:1で混合した)金属塩溶液を用いて作製したモノリス(実施例3−4)と、上記各水溶液を、溶液中に含まれる金属イオンの全量が使用した第1のマクロ多孔性モノリスの量(1mmol)の4.0モル%(すなわち絶対量は40μmol)となるように、体積で等量混合した金属塩溶液を用いて作製したモノリス(実施例3−5)とを作製した。これらモノリスに対する広角X線回折測定の結果を
図20に示す。
図20に示すように、第1のマクロ多孔性モノリスを浸漬させる溶液における金属塩の絶対量が高くなるほど、X線回折のピーク強度が増加する、すなわち、多くの金属ナノ粒子が析出することが確認された。また、
図20に示すように、析出したナノ粒子は、Au−Pt合金(Au
1Pt
1)の回折ピークを示した。
【0114】
次に、以下の表6に示すように、金属塩溶液の組成を変化させた(HAuCl
4溶液とH
2PtCl
6溶液との混合比を変化させた)以外は実施例3−3と同様にして、第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。広角X線回折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒子の組成を評価したところ(
図21参照)、それぞれ表6に示す組成を有していた。すなわち、第1のマクロ多孔性モノリスを浸漬する溶液における金属塩の組成により、モノリスに析出するナノ粒子の組成を制御できることが確認された。具体的に、表6に示す実施例では、Au
4Pt
1からAu
1Pt
4に至るまでの組成を有するナノ粒子が配置された第2のマクロ多孔性モノリスを作製することができた。
【0115】
【表6】
【0116】
(実施例4:第2のマクロ多孔性モノリスの作製)
実施例4では、2種類の金属塩(HAuCl
4およびPdCl
2)を含む溶液を用い、AuおよびPdから構成されたナノ粒子(Au−Pdの二元系ナノ粒子)が配置された第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。PdCl
2は、東京化成工業製を用いた。
【0117】
具体的には、金属塩としてHAuCl
4とPdCl
2とを用い、以下の表7に示すように金属塩溶液の組成を変化させた(HAuCl
4溶液とPdCl
2溶液との混合比を変化させた)以外は実施例3−3と同様にして、第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。広角X線回折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒子の組成を評価したところ(
図22参照)、それぞれ表7に示す組成を有していた。具体的に、表7に示す実施例では、Au
4Pd
1からAu
1Pd
4に至るまでの組成を有するナノ粒子が配置された第2のマクロ多孔性モノリスを作製することができた。
【0118】
【表7】
【0119】
図23Aに、実施例4−2で作製した第2のモノリスに対するHAADF−STEM観察像を示す。
図23Aの上段左側および上段右側の像に示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子が当該モノリス中に分散して分布していることが確認された。上段右側の像は、左側の像の一部を拡大した像である。また、EDS検出器を併用することにより、HAADF−STEM像上におけるAuおよびPdの各原子の分布を評価した。
図23Aの下段に、その左側から、上段右側の像の点線内の領域における、AuおよびPdの各原子の分布を示す。これらの像に示すように、モノリスの骨格が存在する位置に相当するSi原子の分布に接するように、Au原子およびPd原子が同じ位置に分布していた。すなわち、Au−Pd合金(Au
3Pd
1合金)のナノ粒子がモノリス中に分散して分布していることが、より明確に確認された。
【0120】
図23Bに、
図23AのHAADF−STEM観察像から求めたAu−Pd合金ナノ粒子の粒径分布を示す。この粒径分布より求めた平均粒径は25nmであった。
【0121】
図24Aに、実施例4−4で作製した第2のモノリスに対するHAADF−STEM観察像を示す。
図24Aの「a」と付された像に示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子が当該モノリス中に分散して分布していることが確認された。また、EDS検出器を併用することにより、HAADF−STEM像上におけるSi、AuおよびPdの各原子の分布を評価した。
図24Aの「b」「c」および「d」と付された像に、それぞれ、「a」の像の点線内の領域におけるSi、AuおよびPdの各原子の分布を示す。これらの像に示すように、モノリスの骨格が存在する位置に相当するSi原子の分布に接するように、Au原子およびPd原子が同じ位置に分布していた。すなわち、Au−Pd合金(Au
1Pd
1合金)のナノ粒子がモノリス中に分散して分布していることが、より明確に確認された。
【0122】
図24Bに、
図24AのHAADF−STEM観察像から求めたAu−Pd合金ナノ粒子の粒径分布を示す。この粒径分布より求めた平均粒径は11.5nmであった。
【0123】
図24Cに、実施例4−4で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果(吸着−脱着等温線)を示す。当該吸着−脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第1のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を示しており、メソ孔が存在していることが確認された。当該モノリスのBET比表面積は410m
2/gであった。この値は、還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ粒子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロックされたためと考えられる。
【0124】
図24Dに、実施例4−4で作製した第2のモノリスのSEM観察像を示す。作製した第2のモノリスにおいて、第1のモノリスの多孔構造が維持されるとともに、大きなサイズを有する粒子が当該構造に存在しないことが確認された。
【0125】
図25Aに、実施例4−6で作製した第2のモノリスに対するHAADF−STEM観察像を示す。図中、右側の像は、左側の像の一部を拡大した像である。
図25Aに示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子(XRDの結果によれば、Au
1Pd
3合金ナノ粒子)が当該モノリス中に分散して分布していることが確認された。
【0126】
図25Bに、
図25AのHAADF−STEM観察像から求めたAu−Pd合金ナノ粒子の粒径分布を示す。この粒径分布より求めた平均粒径は6.9nmであった。
【0127】
図23B、
図24Bおよび
図25Bに示す粒径分布から、合金ナノ粒子におけるPdの組成比が大きくなるにしたがって、当該粒子の粒径が小さくなる傾向にあることが確認された。これは単独の金属粒子を析出させる際に、Au粒子に比べてPd粒子の粒径の方が小さくなる傾向に対応していた。
【0128】
(実施例5:第2のマクロ多孔性モノリスの作製)
実施例5では、2種類の金属塩(RhCl
3およびPdCl
2、ならびにRhCl
3およびH
2PtCl
6)を含む溶液を用い、RhおよびPdから構成されたナノ粒子(Rh−Pdの二元系ナノ粒子)が配置された第2のマクロ多孔性モノリスと、RhおよびPtから構成されたナノ粒子(Rh−Ptの二元系ナノ粒子)が配置された第2のマクロ多孔性モノリスとを作製した。RhCl
3は、東京化成工業製を用いた。
【0129】
最初に、金属塩としてPdCl
2とRhCl
3とを用い、以下の表8に示すように金属塩溶液の組成を変化させた(PdCl
2溶液とRhCl
3溶液との混合比を変化させた)以外は実施例3−3と同様にして、第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。広角X線回折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒子の組成を評価したところ(
図26参照)、それぞれ表8に示す組成を有していた。具体的に、表8に示す実施例では、Pd
4Rh
1からPd
1Rh
4に至るまでの組成を有するナノ粒子が配置された第2のマクロ多孔性モノリスを作製することができた。
【0130】
【表8】
【0131】
図27Aに、実施例5−4で作製した第2のモノリスに対するHAADF−STEM観察像を示す。図中、「h」と付された像は、「g」と付された像の一部を拡大した像である。
図27Aに示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子(XRDの結果によれば、Pd
1Rh
1合金ナノ粒子)が当該モノリス中に分散して分布していることが確認された。
【0132】
図27Bに、
図27AのHAADF−STEM観察像から求めたPd−Rh合金ナノ粒子の粒径分布を示す。この粒径分布より求めたPd
1Rh
1合金ナノ粒子の平均粒径は5.5nmであった。
【0133】
図28に、実施例5−4で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す。
図28の吸着−脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第1のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を示しており、メソ孔が存在していることが確認された。当該モノリスのBET比表面積は440m
2/gであった。この値は、還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ粒子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロックされたためと考えられる。
【0134】
図29に、実施例5−4で作製した第2のモノリスに対するXPSスペクトルの測定結果を示す。当該スペクトルに示すように、モノリス中にPdおよびRhの存在が確認された。
【0135】
図30に、実施例5−4で作製した第2のモノリスのSEM観察像を示す。SEM観察像からは、作製した第2のモノリスにおいて、第1のモノリスの多孔構造が維持されるとともに、大きなサイズを有する粒子が当該構造に存在しないことが確認された。
【0136】
次に、金属塩としてHPtCl
6とRhCl
3とを用い、以下の表9に示すように金属塩溶液の組成を変化させた(H
2PtCl
6溶液とRhCl
3溶液との混合比を変化させた)以外は実施例3−3と同様にして、第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。広角X線回折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒子の組成を評価したところ(
図31参照)、それぞれ表9に示す組成を有していた。具体的に、表9に示す実施例では、Pt
4Rh
1からPt
1Rh
4に至るまでの組成を有するナノ粒子が配置された第2のマクロ多孔性モノリスを作製することができた。
【0137】
【表9】
【0138】
図32Aに、実施例5−11で作製した第2のモノリスに対するHAADF−STEM観察像を示す。図中、「f」と付された像は、「e」と付された像の一部を拡大した像である。
図32Aに示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子(XRDの結果によれば、Pt
1Rh
1合金ナノ粒子)が当該モノリス中に分散して分布していることが確認された。
【0139】
図32Bに、
図32AのHAADF−STEM観察像から求めたPt−Rh合金ナノ粒子の粒径分布を示す。この粒径分布より求めたPt
1Rh
1合金ナノ粒子の平均粒径は4.2nmであった。
【0140】
図33に、実施例5−11で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す。
図33の吸着−脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第1のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を示しており、メソ孔が存在していることが確認された。当該モノリスのBET比表面積は410m
2/gであった。この値は、還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ粒子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロックされたためと考えられる。
【0141】
図34に、実施例5−11で作製した第2のモノリスのSEM観察像を示す。SEM観察像からは、作製した第2のモノリスにおいて、第1のモノリスの多孔構造が維持されるとともに、大きなサイズを有する粒子が当該構造に存在しないことが確認された。
【0142】
図35に、実施例3−3(Au
1Pt
1)、実施例4−4(Au
1Pd
1)、実施例5−4(Pd
1Rh
1)および実施例5−11(Pt
1Rh
1)で作製した第2のモノリスにおける各合金ナノ粒子の平均粒径を示す。
図35に示すように、金属塩における比E
0/nの合計が大きくなるほど、析出したナノ粒子の平均粒径が大きくなった。
【0143】
(実施例6:第2のマクロ多孔性モノリスの作製)
実施例6では、3種類の金属塩(HAuCl
4、PdCl
2、H
2PtCl
6およびRhCl
3から選ばれる3つ)を含む溶液を用い、Au、PdおよびPtから構成されたナノ粒子(Au−Pd−Ptの三元系ナノ粒子)、Au、PdおよびRhから構成されたナノ粒子(Au−Pd−Rhの三元系ナノ粒子)、Au、PtおよびRhから構成されたナノ粒子(Au−Pt−Rhの三元系ナノ粒子)またはPd、PtおよびRhから構成されたナノ粒子(Pd−Pt−Rhの三元系ナノ粒子)が配置された第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。
【0144】
最初に、金属塩としてHAuCl
4、PdCl
2およびH
2PtCl
6を用い、以下の表10に示す金属塩溶液の組成とした以外は実施例3−3と同様にして、第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。広角X線回折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒子の組成を評価したところ(
図36参照)、Au
1Pd
1Pt
1の組成を有していた。
図36には、Au単独、Pt単独およびPd単独のX線回折プロファイルを併せて示す。これらプロファイルの対比により、Au−Pd−Pt合金の形成に伴い格子サイズが変化することが確認された。
図36の右側のプロファイルは、左側のプロファイルの一部を拡大したものである。
【0145】
【表10】
【0146】
図37Aに、実施例6−1で作製した第2のモノリスに対するHAADF−STEM観察像を示す。
図37Aの「a」と付された像および「b」と付された像に示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子が当該モノリス中に分散して分布していることが確認された。図中、「b」と付された像は、「a」と付された像の一部を拡大した像である。また、EDS検出器を併用することにより、HAADF−STEM像上におけるSi、Au、PdおよびPtの各原子の分布を評価した。
図37Aの「c」「d」「e」および「f」と付された像に、それぞれ、「b」の像の点線内の領域におけるSi、Au、PdおよびPtの各原子の分布を示す。これらの像に示すように、モノリスの骨格が存在する位置に相当するSi原子の分布に接するように、Au原子、Pd原子およびPt原子が同じ位置に分布していた。すなわち、Au−Pd−Pt合金(Au
1Pd
1Pt
1合金)のナノ粒子がモノリス中に分散して分布していることが、より明確に確認された。
【0147】
図37Bに、
図37AのHAADF−STEM観察像から求めたAu−Pd−Pt合金ナノ粒子の粒径分布を示す。この粒径分布から求めた平均粒径は13nmであった。
【0148】
図38に、実施例6−1で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す。
図38の吸着−脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第1のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を有しており、メソ孔が存在していることが確認された。当該モノリスのBET比表面積は450m
2/gであった。この値は、還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ粒子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロックされたためと考えられる。
【0149】
図39に、実施例6−1で作製した第2のモノリスに対するXPSスペクトルの測定結果を示す。当該スペクトルに示すように、モノリス中にAu、PdおよびPtの存在が確認された。
【0150】
図40に、実施例6−1で作製した第2のモノリスのSEM観察像を示す。SEM観察像からは、作製した第2のモノリスにおいて、第1のモノリスの多孔構造が維持されるとともに、大きなサイズを有する粒子が当該構造に存在しないことが確認された。
【0151】
次に、金属塩としてHAuCl
4、PdCl
2およびRhCl
3を用い、以下の表11に示す金属塩溶液の組成とした以外は実施例3−3と同様にして、第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。広角X線回折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒子の組成を評価したところ(
図41参照)、Au
1Pd
1Rh
1の組成を有していた。
図41には、Au単独、Rh単独およびPd単独のX線回折プロファイルを併せて示す。これらプロファイルの対比により、Au−Pd−Rh合金の形成に伴い格子サイズが変化することが確認された。
図41の右側のプロファイルは、左側のプロファイルの一部を拡大したものである。
【0152】
【表11】
【0153】
図42Aに、実施例6−2で作製した第2のモノリスに対するHAADF−STEM観察像を示す。図中、「h」と付された右側の像は、「g」と付された左側の像の一部を拡大した像である。
図42Aに示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子(XRDの結果によれば、Au
1Pd
1Rh
1合金ナノ粒子)が当該モノリス中に分散して分布していることが確認された。
【0154】
図42Bに、
図42AのHAADF−STEM観察像から求めたAu
1Pd
1Rh
1合金ナノ粒子の粒径分布を示す。この粒径分布より求めたAu
1Pd
1Rh
1合金ナノ粒子の平均粒径は236nmであった。
【0155】
図43に、実施例6−2で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す。
図43の吸着−脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第1のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を有しており、メソ孔が存在していることが確認された。当該モノリスのBET比表面積は315m
2/gであった。この値は、還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ粒子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロックされたためと考えられる。
【0156】
図44に、実施例6−2で作製した第2のモノリスに対するXPSスペクトルの測定結果を示す。当該スペクトルに示すように、モノリス中にAu、PdおよびRhの存在が確認された。
【0157】
図45に、実施例6−2で作製した第2のモノリスのSEM観察像を示す。SEM観察像からは、作製した第2のモノリスにおいて、第1のモノリスの多孔構造が維持されるとともに、大きなサイズを有する粒子が当該構造に存在しないことが確認された。
【0158】
次に、金属塩としてHAuCl
4、H
2PtCl
6およびRhCl
3を用い、以下の表12に示す金属塩溶液の組成とした以外は実施例3−3と同様にして、第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。広角X線回折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒子の組成を評価したところ(
図46参照)、Au
1Pt
1Rh
1の組成を有していた。
図46には、Au単独、Rh単独およびPt単独のX線回折プロファイルを併せて示す。これらプロファイルの対比により、Au−Pt−Rh合金の形成に伴い格子サイズが変化することが確認された。なお、
図46の右側のプロファイルは、左側のプロファイルの一部を拡大したものである。
【0159】
【表12】
【0160】
図47Aに、実施例6−3で作製した第2のモノリスに対するHAADF−STEM観察像を示す。図中、「j」と付された右側の像は、「i」と付された左側の像の一部を拡大した像である。
図47Aに示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子(XRDの結果によれば、Au
1Pt
1Rh
1合金ナノ粒子)が当該モノリス中に分散して分布していることが確認された。
【0161】
図47Bに、
図47AのHAADF−STEM観察像から求めたAu
1Pt
1Rh
1合金ナノ粒子の粒径分布を示す。この粒径分布より求めたAu
1Pt
1Rh
1合金ナノ粒子の平均粒径は、5.5nmであった。
【0162】
図48に、実施例6−3で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す。
図48の吸着−脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第1のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を有しており、メソ孔が存在していることが確認された。当該モノリスのBET比表面積は350m
2/gであった。この値は、還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ粒子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロックされたためと考えられる。
【0163】
図49に、実施例6−3で作製した第2のモノリスに対するXPSスペクトルの測定結果を示す。当該スペクトルに示すように、モノリス中にAu、PtおよびRhの存在が確認された。
【0164】
図50に、実施例6−3で作製した第2のモノリスのSEM観察像を示す。SEM観察像からは、作製した第2のモノリスにおいて、第1のモノリスの多孔構造が維持されるとともに、大きなサイズを有する粒子が当該構造に存在しないことが確認された。
【0165】
次に、金属塩としてPdCl
2、H
2PtCl
6およびRhCl
3を用い、以下の表13に示す金属塩溶液の組成とした以外は実施例3−3と同様にして、第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。広角X線回折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒子の組成を評価したところ(
図51参照)、Pd
1Pt
1Rh
1の組成を有していた。
図51には、Pd単独、Pt単独およびRh単独のX線回折プロファイルを併せて示す。これらプロファイルの対比により、Pd−Pt−Rh合金の形成に伴い格子サイズが変化することが確認された。
図51の右側のプロファイルは、左側のプロファイルの一部を拡大したものである。
【0166】
【表13】
【0167】
図52Aに、実施例6−4で作製した第2のモノリスに対するHAADF−STEM観察像を示す。図中、「l」と付された右側の像は、「k」と付された左側の像の一部を拡大した像である。
図52Aに示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子(XRDの結果によれば、Pd
1Pt
1Rh
1合金ナノ粒子)が当該モノリス中に分散して分布していることが確認された。
【0168】
図52Bに、
図52AのHAADF−STEM観察像から求めたPd
1Pt
1Rh
1合金ナノ粒子の粒径分布を示す。この粒径分布より求めたPd
1Pt
1Rh
1合金ナノ粒子の平均粒径は、7.5nmであった。
【0169】
図53に、実施例6−4で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布測定結果を示す。
図53の吸着−脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第1のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を有しており、メソ孔が存在していることが確認された。当該モノリスのBET比表面積は480m
2/gであった。この値は、還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ粒子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロックされたためと考えられる。
【0170】
図54に、実施例6−4で作製した第2のモノリスに対するXPSスペクトルの測定結果を示す。当該スペクトルに示すように、モノリス中にPd、PtおよびRhの存在が確認された。
【0171】
図55に、実施例6−4で作製した第2のモノリスのSEM観察像を示す。SEM観察像からは、作製した第2のモノリスにおいて、第1のモノリスの多孔構造が維持されるとともに、大きなサイズを有する粒子が当該構造に存在しないことが確認された。
【0172】
(実施例7:第2のマクロ多孔性モノリスの作製)
実施例7では、4種類の金属塩(HAuCl
4、H
2PtCl
6、PdCl
2およびRhCl
3)を含む溶液を用い、Au、Pt、PdおよびRhから構成されたナノ粒子(Au−Pt−Pd−Rhの四元系ナノ粒子)が配置された第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。
【0173】
具体的には、金属塩としてHAuCl
4、PdCl
2、H
2PtCl
6およびRhCl
3を用い、以下の表14に示す金属塩溶液の組成とした以外は実施例3−3と同様にして、第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。広角X線回折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒子の組成を評価したところ(
図56参照)、Au
1Pd
1Pt
1Rh
1の組成を有していた。
図56には、Au単独、Pd単独、Pt単独およびRh単独のX線回折プロファイルを併せて示す。これらプロファイルの対比により、Au−Pd−Pt−Rh合金の形成に伴い格子サイズが変化することが確認された。
図56の右側のプロファイルは、左側のプロファイルの一部を拡大したものである。
【0174】
【表14】
【0175】
図57に、実施例7で作製した第2のモノリスに対するHAADF−STEM観察像を示す。
図57の「m」と付された像に示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子が当該モノリス中に分散して分布していることが確認された。また、EDS検出器を併用することにより、HAADF−STEM像上におけるSi、Au、Pd、PtおよびRhの各原子の分布を評価した。
図57の「n」「o」「p」「q」および「r」と付された像に、それぞれ、「m」の像の点線内の領域におけるSi、Au、Pd、PtおよびRhの各原子の分布を示す。これらの像に示すように、モノリスの骨格が存在する位置に相当するSi原子の分布に接するように、Au原子、Pd原子、Pt原子およびRh原子が同じ位置に分布していた。すなわち、Au−Pd−Pt−Rh合金(Au
1Pd
1Pt
1Rh
1合金)のナノ粒子がモノリス中に分散して分布していることが、より明確に確認された。
【0176】
図58に、
図57のHAADF−STEMの観察像から求めたAu−Pd−Pt−Rh合金ナノ粒子の粒径分布を示す。当該分布から求めたAu−Pd−Pt−Rh合金ナノ粒子の平均粒径は245nmであった。
【0177】
図59に、実施例7で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す。
図59の吸着−脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第1のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を有しており、メソ孔が存在していることが確認された。当該モノリスのBET比表面積は280m
2/gであった。この値は、還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ粒子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロックされたためと考えられる。
【0178】
図60に、実施例7で作製した第2のモノリスに対するXPSスペクトルの測定結果を示す。当該スペクトルに示すように、モノリス中にAu、Pd、PtおよびRhの存在が確認された。
【0179】
図61に、実施例7で作製した第2のモノリスのSEM観察像を示す。SEM観察像からは、作製した第2のモノリスにおいて、第1のモノリスの多孔構造が維持されるとともに、大きなサイズを有する粒子が当該構造に存在しないことが確認された。
【0180】
図62に、実施例6−1〜6−4および7で作製した第2のモノリスにおける各合金ナノ粒子の平均粒径を示す。
図62に示すように、金属塩における比E
0/nの合計が大きくなるほど、析出したナノ粒子の平均粒径が大きくなった。
【0181】
(実施例8:第2のマクロ多孔性モノリスを触媒に用いた還元反応の実施)
実施例8では、第2のマクロ多孔性モノリスに配置された金属ナノ粒子を触媒に、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH
4)を還元剤に用いて、4−ニトロフェノールの4−アミノフェノールへの液相還元を室温で実施した。
【0182】
具体的には、以下のように行った。最初に、実施例2〜7において作製した、以下の表15に示す組成の金属ナノ粒子が配置された第2のマクロ多孔性モノリス0.2〜0.5mg(モノリスに対して所定のモル数の金属ナノ粒子が配置された量を選択)を準備し、これをイオン交換水およびメタノールの混合溶液(体積比1:1)5mLに浸漬した。次に、当該溶液に0.5mL(0.5モル相当)のNaBH
4および0.25mL(0.1モル相当)の4−ニトロフェノールを加え、モノリスによる4−ニトロフェノールの還元を実施した。4−ニトロフェノールが還元される程度は、一定時間毎に0.1mLの溶液を抜き取り、それを2mLの蒸留水に薄めたものを紫外線吸収分光(UV)測定することにより評価した。UV吸収スペクトルにおいて、NaBH
4の存在下では、4−ニトロフェノールの吸収ピークが400nm付近に、4−アミノフェノールの吸収ピークが300nm付近にそれぞれ観察される。その変化の一例を
図63に示す。
図63に示す例は、Au
1Pt
3合金ナノ粒子が0.92モル配置された第2のマクロ多孔性モノリスを用いた例である。
図63に示すように、NaBH
4および4−ニトロフェノールの添加の後、時間の経過とともに、波長400nm付近の吸収が減少しながら300nm付近の吸収が増加している。この吸収の変化から、時間の経過に伴う4−ニトロフェノールの濃度の減少率、すなわち、還元反応の反応定数κを求めることができ、例えば、
図63に示す例のκは2.615/時間であり、金属ナノ粒子がAu粒子である場合のκは0.353/時間、金属ナノ粒子がPt粒子である場合のκは0.564/時間であった。二元系合金から構成されるのAu
1Pt
3ナノ粒子の方が、Auナノ粒子およびPtナノ粒子に比べて、反応定数が大きくなった。
図63に示されている波長400nm付近の吸収ピークは、上から、0時間後、0.166時間後、0.333時間後、0.500時間後、0.667時間後、0.833時間後、1.000時間後、1.166時間後である。波長300nm付近の吸収ピークは、下から、0時間後、0.166時間後、0.333時間後、0.500時間後、0.667時間後、0.833時間後、1.000時間後、1.166時間後である。
【0183】
第2のモノリスについて、触媒となる金属ナノ粒子1モルに対する、1時間の間に還元された反応分子(4−ニトロフェノール)のモル数の比(TOF)の値を表15に示す。TOFの値は、最も反応効率が高くなると考えられる、各モノリスに対して4モルの金属ナノ粒子が配置された場合について求めた。実施例1で作製したHY210を用いて同様の還元反応を試みた場合のTOF値も併せて表15に示す。
【0184】
【表15】
【0185】
表15に示すTOF値から判断されるように、金属ナノ粒子が配置されたいずれの第2のマクロ多孔性モノリスにおいても、当該ナノ粒子を触媒として、4−ニトロフェノールの還元反応を進行させることができた。特に触媒としての能力が高いナノ粒子は、Pd
3Rh
1、Pd
1Rh
4、Pt
1Rh
3およびPt
1Rh
4の各二元系合金のナノ粒子であった。
【0186】
次に、Pd
1Rh
4合金ナノ粒子が配置された第2のマクロ多孔性モノリスを用いて、連続的に4−ニトロフェノールおよびNaBH
4を含む溶液を当該モノリスに流しながら、当該モノリスにおいて4−ニトロフェノールの還元反応を進行させることが可能な反応器(流体反応システム)を作製した(
図64参照)。この反応器の具体的な作製方法を、以下に示す。
【0187】
最初に、実施例5−7と同様に、長さ22mm、直径5mmの円柱形(重量53mg)であって、0.04mmolのPd
1Rh
4合金ナノ粒子が配置された第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。次に、これを、同じ直径を有する一対の円柱形のシリカモノリスで挟持し、円筒形のカラム(樹脂製)に挿入した。シリカモノリスは、Kei Morisato et al., Journal of Chromatography A, 1216 (2009) pp.7384-7387に記載の製法により作製したモノリスであり、当該モノリスには金属ナノ粒子が配置されておらず、マクロ孔およびメソ孔の階層的な多孔構造を有している。
【0188】
このようにして作製した反応器を、当該反応器内を流れる流体の流速を制御できるように、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)のポンプに接続した。そして、別途準備しておいた50mmolの4−ニトロフェノールおよび0.2mmolのNaBH
4を含む水/メタノール混合溶液(媒体である水とメタノールの混合比は体積比にして1:1)を、室温にて、この反応器に流した。反応器から流出した溶液に対してUV吸収分光測定を実施し、4−ニトロフェノールの4−アミノフェノールへの還元反応率を評価したところ、流速0.2mL/分のときに98%、流速1.0mL/分のときに78%の還元反応率が達成された。