(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記弁体は、前記弁本体の内周面に摺接する一対のピストン体と、該一対のピストン体を連結して前記弁本体の軸方向に沿って延びる連結部材と、該連結部材に支持されて前記複数のポートを切り換える弁部材と、を有して構成され、
前記連結部材及び前記弁部材のいずれかに前記規制壁が一体に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスライド式切換弁。
流体である冷媒を圧縮する圧縮機と、冷却モード時に凝縮器として機能する第一熱交換器と、冷却モード時に蒸発器として機能する第二熱交換器と、前記第一熱交換器と前記第二熱交換器との間にて冷媒を膨張させて減圧する膨張手段と、請求項1〜5のいずれか一項に記載のスライド式切換弁と、を備え、
前記スライド式切換弁は、
前記弁体が前記第一位置に位置した状態において、前記圧縮機で圧縮した冷媒を前記流入ポートから前記弁本体の内部に流入させるとともに、前記第三ポートを介して前記第一熱交換器へ冷媒を流出させ、前記第二熱交換器から前記第二ポートに流入した冷媒を前記第一ポートから前記圧縮機に還流させるか、
又は、
前記弁体が前記第二位置に位置した状態において、前記圧縮機で圧縮した冷媒を前記流入ポートから前記弁本体の内部に流入させるとともに、前記第二ポートを介して前記第二熱交換器へ冷媒を流出させ、前記第一熱交換器から前記第三ポートに流入した冷媒を前記第一ポートから前記圧縮機に還流させる
ことを特徴とする冷凍サイクルシステム。
【背景技術】
【0002】
従来、ルームエアコン等の空気調和機で利用される冷凍サイクルとして、冷却モード(冷房)運転時に圧縮機、室外熱交換器、膨張弁、及び室内熱交換器を経由して冷媒を圧縮機に環流させ、加温モード(暖房)運転時に圧縮機、室内熱交換器、膨張弁、及び室外熱交換器を経由して冷媒を圧縮機に環流させるように、冷媒の環流方向を逆転させるものが利用されている。このような冷凍サイクルにおける冷媒の環流経路を逆転させる流路切換弁(所謂、四方切換弁)として、弁本体の内部にスライド自在に設けられた弁体を備えたスライド式切換弁が広く用いられている。
【0003】
スライド式切換弁の弁本体には、圧縮機の吐出口にD継手を介して接続されて高圧冷媒を流入させる流入ポートと、圧縮機の吸入口にS継手を介して接続されて冷媒を圧縮機に還流させる流出ポートと、室内熱交換器にE継手を介して接続される室内側ポートと、室外熱交換器にC継手を介して接続される室外側ポートと、が設けられている。そして、スライド式切換弁は、一方側にスライドさせた弁体によって流出ポートと室内側ポートとを連通させるとともに、弁本体内部によって流入ポートと室外側ポートとを連通させる冷却モードと、他方側にスライドさせた弁体によって流出ポートと室外側ポートとを連通させるとともに、弁本体内部によって流入ポートと室内側ポートとを連通させる加温モードと、が切り替えられるようになっている。
【0004】
このようなスライド式切換弁を利用するルームエアコンやパッケージエアコン等において、APF(Annual Performance Factor:通年エネルギー消費効率)の向上を意図し、流路抵抗による冷媒の流量低下や熱ロスを低減させるための構造が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0005】
特許文献1に記載のスライド式切換弁では、
図11に示すように、流入ポート101と室内側ポート102とが互いに対向する位置に設けられ、流入ポート101から流入させた高圧冷媒を室内側ポート102に向かって直線的に流すようにすることで、
図11(A)に示す加温(暖房)モードにおいて、流路抵抗の低減が図られている。
【0006】
また、特許文献2に記載のスライド式切換弁では、室内側ポート及び室外側ポートのそれぞれに対向する2箇所に流入ポートが形成され、各流入ポートに向かって二股に分岐した高圧導管(D継手)が設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1、2に記載されたような従来のスライド式切換弁においてもAPFの向上は不十分であり、さらなる効率化が望まれている。すなわち、特許文献1に記載のスライド式切換弁では、
図11(A)に示す加温(暖房)モードにおける流路抵抗の低減が図られているものの、
図11(B)に示す冷却(冷房)モードにおいては、流入ポート101から室外側ポート103へと向かう冷媒の流路が存在することから、冷媒の流量低下が生じてしまい、APFを十分に向上させることができない。一方、特許文献2に記載のスライド式切換弁では、二股に分岐したD継手内部における流路抵抗が増大し、冷媒の流量低下や熱ロスが生じるとともに、D継手の構造が複雑になることから、製造コストの増加やスライド式切換弁の大型化などを招いてしまうという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、製造コストの増大や大型化を抑制しつつAPFの向上を図ることができるスライド式切換弁及び冷凍サイクルシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のスライド式切換弁は、筒状の弁本体と、該弁本体の内部にスライド自在に設けられた弁体と、前記弁本体の周面に開口して設けられた複数のポートと、を備えたスライド式切換弁であって、前記複数のポートは、前記弁本体の内部に流体を流入させる流入ポートと、該流入ポートに対して前記弁本体の径方向反対側に設けられる第一ポート、第二ポート、及び、第三ポートと、を有し、前記弁本体の軸方向に沿って前記第一ポートの一方側にて前記流入ポートに対向して前記第二ポートが設けられ、前記第一ポートの他方側に前記第三ポートが設けられ、前記弁体は、前記弁本体の軸方向に沿った一方側にスライドして前記第一ポートと前記第二ポートとを連通させる第一位置と、前記弁本体の軸方向に沿った他方側にスライドして前記第一ポートと前記第三ポートとを連通させる第二位置と、の間を移動することで流路を切り換え、前記弁体には、前記流入ポートから前記弁本体の内部に流入した流体の流れを規制する規制壁が設けられ、前記弁体の前記第一位置において、前記流入ポート及び前記第二ポートよりも一方側に前記規制壁が位置し、前記弁体の前記第二位置において、前記流入ポート及び前記第二ポートよりも他方側に前記規制壁が位置することを特徴とする。
【0011】
このような本発明によれば、流入ポートに対向して第二ポートが設けられているので、弁体が第二位置にある状態(例えば、加温モード時)において、流入ポートから弁本体内部に流入させた流体を第二ポートに向かって直線的に流すことができ、流路抵抗の低減を図ることができる。また、弁体には規制壁が設けられ、弁体が第二位置にある状態において、流入ポート及び第二ポートよりも他方側に規制壁が位置することで、この規制壁よりもさらに他方側への流体の流れを規制することができ、流入ポートから第二ポートへ向かう流体の流量低下を抑制することができる。一方、弁体が第一位置にある状態(例えば、冷却モード時)において、流入ポート及び第二ポートよりも一方側に規制壁が位置することで、この規制壁よりもさらに一方側への流体の流れを規制するとともに、流体を他方側すなわち第三ポート側に案内することができ、これにより流入ポートから第三ポートへ向かう流体の流量低下を抑制することができる。
【0012】
また、弁体に規制壁を設け、この規制壁によって弁本体内部における流体の流れを適宜に規制することで、流入ポートに接続されるD継手を特殊形状にする必要がなくなることから、D継手の内部における流路抵抗の増大を防止して流体の流量低下や熱ロスを抑制することができる。さらに、D継手の構造が複雑になることがないので、製造コストを抑制しつつスライド式切換弁が大型化することを防止することができる。
【0013】
この際、前記規制壁は、前記弁本体の軸方向一方側に向かって凸状かつ他方側に向かって凹状に形成されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、規制壁が弁本体の軸方向他方側に向かって凹状に形成されていることで、弁体が第一位置にある状態において、規制壁の凹状の内面によって流体を他方側に円滑に案内することができ、流入ポートから第三ポートへ向かう流体の流路抵抗の低減を図ることができる。
【0015】
また、前記弁体は、前記弁本体の内周面に摺接する一対のピストン体と、該一対のピストン体を連結して前記弁本体の軸方向に沿って延びる連結部材と、該連結部材に支持されて前記複数のポートを切り換える弁部材と、を有して構成され、前記連結部材及び前記弁部材のいずれかに前記規制壁が一体に形成されていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、一対のピストン体、連結部材、及び弁部材を有して弁体が構成された場合に、連結部材及び弁部材のいずれかに規制壁が一体に形成されることで、部品点数の増加を招くことなく、規制壁を設けることができる。
【0017】
さらに、前記弁部材は、前記規制壁が一体成形された樹脂材料から形成されているか、又は、前記連結部材は、前記規制壁が切り起こされて一体成形された金属板材から形成されていることが好ましい。
【0018】
これらの構成によれば、樹脂材料からなる弁部材に規制壁が一体成形されることで、弁部材のコストや製造工数を増加させることなく規制壁を設けることができる。一方、金属板材からなる連結部材の一部を切り起こして規制壁が一体成形されることで、連結部材のコストや製造工数を増加させることなく規制壁を設けることができる。
【0019】
本発明の冷凍サイクルシステムは、流体である冷媒を圧縮する圧縮機と、冷却モード時に凝縮器として機能する第一熱交換器と、冷却モード時に蒸発器として機能する第二熱交換器と、前記第一熱交換器と前記第二熱交換器との間にて冷媒を膨張させて減圧する膨張手段と、前記いずれかのスライド式切換弁と、を備え、前記スライド式切換弁は、前記弁体が前記第一位置に位置した状態において、前記圧縮機で圧縮した冷媒を前記流入ポートから前記弁本体の内部に流入させるとともに、前記第三ポートを介して前記第一熱交換器へ冷媒を流出させ、前記第二熱交換器から前記第二ポートに流入した冷媒を前記第一ポートから前記圧縮機に還流させるか、又は、前記弁体が前記第二位置に位置した状態において、前記圧縮機で圧縮した冷媒を前記流入ポートから前記弁本体の内部に流入させるとともに、前記第二ポートを介して前記第二熱交換器へ冷媒を流出させ、前記第一熱交換器から前記第三ポートに流入した冷媒を前記第一ポートから前記圧縮機に還流させることを特徴とする。
【0020】
このような本発明の冷凍サイクルシステムによれば、弁体が第一位置に位置した状態において、圧縮機で圧縮した冷媒を流入ポートから第三ポートを介して第一熱交換器へ流出させ、第二熱交換器から第二ポートに流入した冷媒を第一ポートから圧縮機に還流させることで、冷却モード(冷房)運転が実施される。この冷却モード(冷房)運転時において、前述と同様に、スライド式切換弁の流入ポート及び第二ポートよりも一方側に規制壁が位置することで、冷媒を他方側の第三ポートに案内して流量低下を抑制することができる。
【0021】
一方、弁体が第二位置に位置した状態において、圧縮機で圧縮した冷媒を流入ポートから第二ポートを介して第二熱交換器へ流出させ、第一熱交換器から第三ポートに流入した冷媒を第一ポートから圧縮機に還流させることで、加温モード(暖房)運転が実施される。この加温モード(暖房)運転時において、前述と同様に、流入ポートから第二ポートに向かって直線的に冷媒を流すことができ、流路抵抗の低減を図ることができる。さらに、スライド式切換弁の流入ポート及び第二ポートよりも他方側に規制壁が位置することで、流入ポートから第二ポートへ向かう冷媒の流量低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のスライド式切換弁及び冷凍サイクルシステムによれば、製造コストの増加やスライド式切換弁の大型化を抑制しつつ、流体の流量低下や熱ロスを抑制してAPF(通年エネルギー消費効率)の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。本実施形態の冷凍サイクル1は、ルームエアコン等の空気調和機に利用されるものであって、冷媒を圧縮する圧縮機2と、冷却モード時に凝縮器として機能する第一熱交換器としての室外熱交換器3と、冷却モード時に蒸発器として機能する第二熱交換器としての室内熱交換器4と、室外熱交換器3と室内熱交換器4との間にて冷媒を膨張させて減圧する膨張手段としての膨張弁5と、スライド式切換弁である四方切換弁10と、四方切換弁10の流路を切換え制御するパイロット電磁弁6と、を備え、これらが冷媒配管によって連結されている。なお、膨張手段としては、膨張弁5に限らず、キャピラリでもよい。
【0025】
この冷凍サイクル1は、
図1に示す加温モード(暖房運転)において、圧縮機2、四方切換弁10、室内熱交換器4、膨張弁5、室外熱交換器3、四方切換弁10及び圧縮機2の順に冷媒が流れる暖房サイクルを構成する。一方、
図2に示す冷却モード(冷房運転)において、圧縮機2、四方切換弁10、室外熱交換器3、膨張弁5、室内熱交換器4、四方切換弁10及び圧縮機2の順に冷媒が流れる冷房サイクルを構成する。この暖房サイクルと冷房サイクルとの切換えは、パイロット電磁弁6による四方切換弁10の切換え動作によって行われる。
【0026】
本発明の第1実施形態に係る四方切換弁を
図3〜7に基づいて説明する。
図3、4に示すように、第1実施形態の四方切換弁10は、円筒状の弁本体11と、この弁本体11の内部にスライド自在に設けられた弁体12と、圧縮機2の吐出口に連通する高圧側導管(D継手)13と、圧縮機2の吸込口に連通する低圧側導管(S継手)14と、室内熱交換器4に連通する室内側導管(E継手)15と、室外熱交換器3に連通する室外側導管(C継手)16と、を備えて構成されている。
【0027】
円筒状の弁本体11は、その軸方向両端部を塞ぐ栓体17,18と、弁本体11の内部に固定された弁座19と、を有し、全体に密閉されたシリンダーとして構成されている。栓体17,18には、それぞれパイロット電磁弁6に連通された導管17A,18Aが接続されている。弁座19には、低圧側導管14、室内側導管15、及び室外側導管16の先端が挿入されるとともに、後述する第一〜第三のポート11B,11C,11Dを構成する開口が設けられている。弁座19の内面19Aは、弁体12をスライド案内する案内面となっている。
【0028】
弁本体11には、その周面に開口した複数のポート11A,11B,11C,11Dが形成されている。すなわち、高圧側導管13が接続されて弁本体11の内部に冷媒を流入させる流入ポート11Aと、流入ポート11Aに対して弁本体11の径方向反対側にて弁座19に開口する第一ポート11B、第二ポート11C、及び、第三ポート11Dと、が設けられている。第一ポート11Bは、弁本体11の軸方向略中央に設けられ、第二ポート11Cは、弁本体11の軸方向に沿って第一ポート11Bの一方側(
図3、4の左側)に隣り合って設けられ、第三ポート11Dは、弁本体11の軸方向に沿って第一ポート11Bの他方側(
図3、4の右側)に設けられている。
【0029】
流出ポートとしての第一ポート11Bには、低圧側導管14が接続され、第二ポート11Cに室内側導管15が接続されることで、当該第二ポート11Cが室内側ポートを構成し、第三ポート11Dに室外側導管16が接続されることで、当該第三ポート11Dが室外側ポートを構成している。流入ポート11Aと第二ポート11Bとは、互いに弁本体11の径方向に対向して設けられ、これにより高圧側導管13と室内側導管15とが一直線上に位置して接続されている。高圧側導管13は、流入ポート11A周辺の弁本体11にろう付け固定され、低圧側導管14、室内側導管15及び室外側導管16は、それぞれ第一〜第三のポート11B,11C,11D周辺の弁本体11及び弁座19にろう付け固定されている。
【0030】
弁体12は、弁本体11の内周面に摺接する左右一対のピストン体21,22と、一対のピストン体21,22を連結して弁本体11の軸方向に沿って延びる連結部材23と、連結部材23に支持される弁部材24と、を有して構成されている。弁本体11の内部空間は、一対のピストン体21,22間に形成される高圧室R1と、一方のピストン体21と栓体17との間に形成される第一作動室R2と、他方のピストン体22と栓体18との間に形成される第二作動室R3と、に仕切られている。
【0031】
連結部材23は、金属板材からなり、弁本体11の軸方向に沿って延び弁座19の内面19Aと平行に設けられる連結板部23Aと、連結板部23Aの一方側端部が折り曲げられてピストン体21に固定される固定片部23Bと、連結板部23Aの他方側端部が折り曲げられてピストン体22に固定される固定片部23Cと、を有して形成されている。連結板部23Aには、弁部材24を保持する保持孔23Dと、冷媒を流通させる2箇所の貫通孔23Eと、が形成されている。
【0032】
弁部材24は、合成樹脂製の一体成形部材であって、
図5、6にも示すように、弁座19に向かって凹状に開口した椀部25と、この椀部25の開口縁から外方に延びるフランジ部26と、椀部25の一方側にてフランジ部26に直交して立ち上がる規制壁27と、を有して形成されている。椀部25は、平面視で長円形状を有したドーム状に形成され、連結部材23の保持孔23Dに挿入されている。椀部25の内部には、第一ポート11Bと第二ポート11Cとを連通させて第三ポート11Dを連通させないか、又は、第一ポート11Bと第三ポート11Dとを連通させて第二ポート11Cを連通させないような連通空間25Aが形成されている。
【0033】
フランジ部26は、平面視で外形が長方形状に形成され、弁座19の内面19Aと摺接する摺接面26Aと、この摺接面26Aと反対側(
図3、4の上側)にて連結部材23の連結板部23Aに対向する対向面26Bと、を有して形成されている。このフランジ部26は、弁座19と連結部材23との間に配置される。そして、弁部材24に作用する高圧と低圧の圧力差により摺接面26Aが弁座19の内面19Aに密接され、椀部25の連通空間25Aが弁座19に対して閉じられるようになっている。
【0034】
規制壁27は、椀部25の一方側の外面に沿って立ち上がる平面視(弁座19の内面19Aに直交する方向から見た場合に)略C字状の壁であって、弁本体11の軸方向一方側(
図3、4の左側)に向かって凸状、かつ、他方側(
図3、4の右側)に向かって凹状に形成されている。すなわち、規制壁27は、凸状の外面部27Aと、凹状の内面部27Bと、を有して形成されている。また、規制壁27の上端面27Cは、弁本体11の内周面に沿って円弧状に形成されるとともに、一方側から他方側に向かうにしたがい弁座19側に接近する傾斜(テーパ)を有して形成されている。この規制壁27は、弁本体11の内周面と接近して隙間ができるだけ小さくなるように設けられており、これにより高圧室R1において、一方側から他方側、又は、他方側から一方側へ向かう冷媒の流れを規制できるように構成されている。
【0035】
以上の四方切換弁10では、パイロット電磁弁6及び導管17Aを介して第一作動室R2に圧縮機2から吐出された高圧冷媒が導入されると、
図3に示すように、ピストン体21が押圧されて弁体12が弁本体11の軸方向他方側にスライドされる。また、パイロット電磁弁6及び導管18Aを介して第二作動室R3に高圧冷媒が導入されると、
図4に示すように、ピストン体22が押圧されて弁体12が弁本体11の軸方向一方側にスライドされる。ここで、弁本体11の軸方向一方側にスライドされた弁体12の位置(
図4に示す位置)を第一位置とし、弁本体11の軸方向他方側にスライドされた弁体12の位置(
図3に示す位置)を第二位置とする。
【0036】
弁体12が第二位置にある状態において、
図3に示すように、弁部材24の椀部25は、その連通空間25Aによって第一ポート11Bと第三ポート11Dとを連通させる。また、椀部25が第二ポート11Cよりも他方側に位置することから、この第二ポート11Cは、弁本体11の内部(高圧室R1)を介して流入ポート11Aと連通される。すなわち、弁体12が第二位置にある状態は、流入ポート11Aと第二ポート11Cとが連通され、第一ポート11Bと第三ポート11Dとが連通された加温モード(暖房運転)となる。
【0037】
加温モードにおいて、第二位置にある弁体12の規制壁27は、
図7(A)にも示すように、流入ポート11A及び第二ポート11Cよりも他方側に位置することとなる。従って、流入ポート11Aから高圧室R1に流入した高圧冷媒は、直線的に第二ポート11Cに向かって流れるとともに、規制壁27によって他方側への流れが規制されることによって、第二ポート11Cに向かう冷媒の流量低下を抑制することができるようになっている。
【0038】
このような本実施形態の四方切換弁10に対して、従来の四方切換弁では、
図11(A)に示すように、加温モードにおいて、流入ポート101から室内側ポート102に向かって直線的に高圧冷媒を流すようにはなっているものの、高圧冷媒の一部は弁体104の周辺を通って他方側(室外側ポート103側)へ流れ、これにより冷媒の流量低下や熱ロスを招いてしまっていた。
【0039】
次に、弁体12が第一位置にある状態において、
図4に示すように、弁部材24の椀部25は、その連通空間25Aによって第一ポート11Bと第二ポート11Cとを連通させる。また、椀部25が第三ポート11Dよりも一方側に位置することから、この第三ポート11Dは、弁本体11の内部(高圧室R1)を介して流入ポート11Aと連通される。すなわち、弁体12が第一位置にある状態は、流入ポート11Aと第三ポート11Dとが連通され、第一ポート11Bと第二ポート11Cとが連通された冷却モード(冷房運転)となる。
【0040】
冷却モードにおいて、第一位置にある弁体12の規制壁27は、
図7(B)にも示すように、流入ポート11A及び第二ポート11Cよりも一方側に位置することとなる。従って、流入ポート11Aから高圧室R1に流入した高圧冷媒は、弁体12の周辺を通過しつつ他方側(第三ポート11D側)に流れるとともに、規制壁27によって一方側への流れが規制されることによって、第三ポート11Dに向かう冷媒の流量低下を抑制することができるようになっている。この際、規制壁27が他方側に向かって凹状の内面部27Bを有することで、この内面部27Bによって高圧冷媒を第三ポート11Dに向かって円滑に案内することができ、流路抵抗が抑制できるようになっている。
【0041】
このような本実施形態の四方切換弁10に対して、従来の四方切換弁では、
図11(B)に示すように、冷却モードにおいて、流入ポート101から流入した高圧冷媒は、弁体104によって流れが阻害されるとともに、多くの高圧冷媒が室外側ポート103とは反対の一方側に流れてしまい、これにより冷媒の流路抵抗が増大することで大幅な流量低下を招いてしまっていた。
【0042】
以上の本実施形態によれば、弁体12が第一位置(冷却モード)及び第二位置(加温モード)のいずれの位置にある状態においても、規制壁27によって高圧冷媒の流れを規制することによって、流入ポート11Aから第二又は第三のポート11C,11Dへ向かう冷媒の流量低下を抑制することができる。特に、弁体12が第二位置(加温モード)にある状態において、熱ロスの低減も図ることができる。
【0043】
また、弁体12の弁部材24に規制壁27が設けられるだけで、この弁部材24以外の弁本体11や高圧側導管13は一般的な形態の部材が用いられているので、高圧側導管13内部における流路抵抗の増大を防止して冷媒の流量低下や熱ロスを抑制することができる。さらに、高圧側導管13の構造が複雑になることがなく、製造コストを抑制しつつスライド式切換弁が大型化することを防止することができる。
【0044】
また、樹脂材料からなる弁部材24に規制壁27が一体成形されているので、部品点数の増加を招かず、さらには製造工数やコストを増加させることなく規制壁27を設けることができる。さらに、規制壁27が弁本体11の軸方向他方側に向かって凹状の内面部27Bを有することで、弁体12が第一位置にある状態において、規制壁27の内面部27Bによって冷媒を他方側に円滑に案内することができ、流入ポート11Aから第三ポート11Dへ向かう冷媒の流路抵抗の低減を図ることができる。
【0045】
次に、本発明の第2実施形態に係る四方切換弁を
図8〜10に基づいて説明する。本実施形態の四方切換弁10Aは、第1実施形態の四方切換弁10に対して、弁体12Aの構成が相違し、他の構成は同一又は同様である。以下、第1実施形態との相違点について詳しく説明し、第1実施形態と同一又は同様な構成については同符号を付して説明を省略することがある。
【0046】
本実施形態の四方切換弁10Aにおいて、弁体12Aは、
図8、9に示すように、左右一対のピストン体21,22と、一対のピストン体21,22を連結する連結部材23と、連結部材23に支持される弁部材24と、を有して構成されている。連結部材23は、連結板部23Aと、固定片部23B,23Cと、を有し、連結板部23Aには、保持孔23Dと、貫通孔23Eと、が形成されている。弁部材24は、椀部25と、フランジ部26と、を有して形成され、前記規制壁27が省略されている。
【0047】
連結部材23には、保持孔23の一方側にて連結板部23Aに直交して立ち上がる規制壁28が形成されている。規制壁28は、保持孔23の一方側の端縁に沿って立ち上がる平面視略C字状の壁であって、連結板部23Aから切り起こされて一体成形されている。この規制壁28は、弁本体11の軸方向一方側(
図8、9の左側)に向かって凸状の外面部28Aと、他方側(
図8、9の右側)に向かって凹状の内面部28Bと、を有して形成されている。また、規制壁28の上端面28Cは、弁本体11の内周面に沿って円弧状に形成されるとともに、一方側から他方側に向かうにしたがい弁座19側に接近する傾斜(テーパ)を有して形成されている。この規制壁28は、弁本体11の内周面と接近して隙間ができるだけ小さくなるように設けられており、これにより高圧室R1において、一方側から他方側、又は、他方側から一方側へ向かう冷媒の流れを規制できるように構成されている。
【0048】
以上の四方切換弁10Aでは、弁体12が第二位置にある状態において、
図8に示すように、第一ポート11Bと第三ポート11Dとが椀部25の連通空間25Aによって連通され、流入ポート11Aと第二ポート11Cが高圧室R1を介して連通される。この加温モードにおいて、第二位置にある弁体12の規制壁28は、流入ポート11A及び第二ポート11Cよりも他方側に位置することとなる。従って、流入ポート11Aから高圧室R1に流入した高圧冷媒は、直線的に第二ポート11Cに向かって流れるとともに、規制壁28によって他方側への流れが規制されることによって、第二ポート11Cに向かう冷媒の流量低下を抑制することができるようになっている。
【0049】
一方、弁体12が第一位置にある状態において、
図9に示すように、第一ポート11Bと第二ポート11Cとが椀部25の連通空間25Aによって連通され、流入ポート11Aと第三ポート11Dとが高圧室R1を介して連通される。この冷却モードにおいて、第一位置にある弁体12の規制壁28は、流入ポート11A及び第二ポート11Cよりも一方側に位置することとなる。従って、流入ポート11Aから高圧室R1に流入した高圧冷媒は、弁体12の周辺を通過しつつ他方側(第三ポート11D側)に流れるとともに、規制壁28によって一方側への流れが規制されることによって、第三ポート11Dに向かう冷媒の流量低下を抑制することができるようになっている。この際、規制壁28が他方側に向かって凹状の内面部28Bを有することで、この内面部28Bによって高圧冷媒を第三ポート11Dに向かって円滑に案内することができ、流路抵抗が抑制できるようになっている。
【0050】
以上の本実施形態によれば、弁体12が第一位置(冷却モード)及び第二位置(加温モード)のいずれの位置にある状態においても、規制壁28によって高圧冷媒の流れを規制することによって、流入ポート11Aから第二又は第三のポート11C,11Dへ向かう冷媒の流量低下を抑制することができる。特に、弁体12が第二位置(加温モード)にある状態において、熱ロスの低減も図ることができる。
【0051】
また、弁体12の連結部材23に規制壁28が設けられるだけで、この連結部材23以外の弁本体11や高圧側導管13は一般的な形態の部材が用いられているので、高圧側導管13内部における流路抵抗の増大を防止して冷媒の流量低下や熱ロスを抑制することができる。さらに、高圧側導管13の構造が複雑になることがなく、製造コストを抑制しつつスライド式切換弁が大型化することを防止することができる。
【0052】
また、金属板材からなる連結部材23に規制壁28が一体成形されているので、部品点数の増加を招かず、さらには製造工数やコストを増加させることなく規制壁28を設けることができる。さらに、規制壁28が弁本体11の軸方向他方側に向かって凹状の内面部28Bを有することで、弁体12が第一位置にある状態において、規制壁28の内面部28Bによって冷媒を他方側に円滑に案内することができ、流入ポート11Aから第三ポート11Dへ向かう冷媒の流路抵抗の低減を図ることができる。
【0053】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。例えば、前記実施形態では、ルームエアコン等の空気調和機に利用される冷凍サイクル1を例示したが、本発明の冷凍サイクルは、空気調和機に限らず、加温モードと冷却モードとが切り換えられる機器であればどのようなものにも利用可能である。また、本発明のスライド式切換弁は、冷凍サイクルにおける切換弁に利用されるものに限らず、気体や液体などの様々な流体を流通させる各種の配管システムに利用可能である。
【0054】
また、前記実施形態では、弁本体11において、高圧側導管13が接続される流入ポート11Aと、室内側導管15が接続される第二ポート11Cと、が弁本体11の径方向に対向して設けられ、加温モードにおいて、流入ポート11Aから流入した高圧冷媒が第二ポート11Cに向かって直線的に流れる構成を説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、流入ポート11Aと、室外側導管16が接続される第三ポート11Dと、が弁本体11の径方向に対向して設けられ、冷却モードにおいて、流入ポート11Aから流入した高圧冷媒が第三ポート11Dに向かって直線的に流れる構成であってもよい。
【0055】
また、前記実施形態では、弁体12における弁部材24に規制壁27が設けられるか、又は、弁体12における連結部材23に規制壁28が設けられる構成を開示したが、規制壁は弁部材や連結部材に設けられるものに限らず、弁体の適宜な位置に設けられていればよい。すなわち、弁体が連結部材と弁部材とを有して構成されずに、これらを一体とした部材で構成される場合には、その部材に規制壁が設けられていればよいし、弁体が連結部材及び弁部材に加えて他の部材を備えて構成される場合には、他の部材に規制壁が設けられていてもよい。さらに、規制壁は、連結部材又は弁部材と一体に形成されるものに限らず、別体の壁部材を連結部材や弁部材に固定して構成されていてもよい。
【0056】
また、本発明のスライド式切換弁において、弁体が第一位置にある場合に第三ポートよりも他方側に位置し、流入ポートから弁本体の内部に流入した流体を第三ポートに向かって案内する案内壁が弁体に設けられていてもよい。具体的には、前記実施形態の
図4、9に示すように、弁体12が第一位置にある場合において、案内壁は、第三ポート11Dよりも他方側(図中右側)に位置するように、図中右側の貫通孔23Eのさらに右側(ピストン体22側)の略半周に沿って、連結部材23の連結板部23Aから立ち上がって形成されていればよい。このような案内壁が設けられていれば、弁体12が第一位置にある冷却モードにおいて、流入ポート11Aから第三ポート11Dに向かう冷媒の流量低下をさらに抑制することができる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。