(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バインダ材料は、400nm〜700nmの可視スペクトルの範囲の1つ以上の波長の電磁放射線を少なくとも部分的に透過する、請求項1又は2に記載の視覚効果層。
前記視覚効果層(202)は、基体(205)上に配置されて、前記基体(205)と前記視覚効果層(202;300;310;OEL)とを備える視覚効果コーティング(OEC)を形成する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の視覚効果層。
前記非球状粒子(200;302〜305;312)は、血小板形状粒子、針形状粒子、及び、これらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の視覚効果層。
前記単調に増加又は減少する第1の関数(θ1)の値は、前記長さ(307)にわたって少なくとも30°の差の範囲にまたがる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の視覚効果層。
前記延在表面(306;313)に対して略垂直で前記第1の方向(x)とは異なる前記延在表面(306;313)内の第2の方向(y)に沿う前記視覚効果層(202;300;310;OEL)の第2の断面内で、
(i)前記第2の断面と交わる非球状粒子(200;302〜305;312)の対応する断面形状内で観察される最も長い寸法に沿う直線と、
(ii)前記第2の方向(y)と、
の間の局所平均角度は、前記第2の方向(y)に沿う位置の第3の関数(θ3)にしたがって変化し、前記第3の関数(θ3)が前記第2の方向(y)に沿う前記位置の交代関数である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の視覚効果層。
前記延在表面(306;313)に対して略垂直で前記第1の方向(x)とは異なる前記延在表面(306;313)内の第2の方向(y)に沿う前記視覚効果層(202;300;310;OEL)の第2の断面内で、
(i)前記第2の断面と交わる非球状粒子(200;302〜305;312)の対応する断面形状内で観察される最も長い寸法に沿う直線と、
(ii)前記第2の方向(y)と、
の間の局所平均角度は、前記第2の方向(y)に沿う位置の第4の関数(θ4)にしたがって変化し、前記第4の関数(θ4)は、前記第2の方向(y)に沿う前記位置の前記第1の関数(θ1)に等しい関数と、前記第2の方向(y)に沿う前記位置の第5の交代関数(θ5)との和である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の視覚効果層。
バインダ材料中に分散される磁性粒子又は磁化可能粒子(200;302〜305;312)を配向させることによって視覚効果層(202;300;310;OEL)を形成するためのデバイスであって、
該デバイスは、磁化された磁性板(MP,MP1....MPi)を有し、かつ、複合磁場を生み出すように構成される1つ以上の磁石(MP,MP1....MPi,DM)の配列を備え、
前記複合磁場は、
a)磁気双極子場と実質的に同様であって、そのN−S方向(D1)が前記磁化された磁性板(MP)と略平行に位置合わせされる第1の磁場成分と、
b)個々の局所双極子状磁場の重ね合わせを有し、前記N−S方向(D1)と略平行な第1の方向に沿うN極及びS極の交代性に対応する第2の磁場成分と、を備え、
前記第1の磁場成分及び前記第2の磁場成分は、少なくとも前記磁化された磁性板(MP)の延在表面に隣接する領域で重なり合い、
前記1つ以上の磁石は、配向関数θの主成分θ1にしたがって前記視覚効果層中の磁性粒子又は磁化可能粒子を配向させるように配置され、前記磁化された磁性板は、前記配向関数θの補助成分θ2にしたがって前記視覚効果層中の前記磁性粒子又は磁化可能粒子を配向させるように配置され、
前記配向関数θは、第1の方向(x)に沿う位置(P)の関数であり、前記主成分θ1は、単調に増加又は減少する位置の第1の関数であり、前記補助成分θ2は、交代する位置の第2の関数であり、
得られる前記粒子のそれぞれの配向は、少なくとも平均して、前記粒子の前記位置での前記磁場の磁力線の居所的な方向と一致し、前記デバイスは、請求項1〜12のいずれか一項に記載の視覚効果層を生成するように適合される、デバイス。
前記第1の磁場成分を生み出すように構成される前記1つ以上の磁石は、そのN−S方向D1が前記磁化された磁性板(MP)と略平行に位置合わせされる双極子磁石(DM)を備える、請求項14に記載のデバイス。
前記第1の磁場成分を生み出すように構成される前記1つ以上の磁石のうちの少なくとも1つは、前記磁化された磁性板(MP)の平面と略平行な平面内で回転できるように取り付けられる、請求項14又は15に記載のデバイス。
1つ以上の磁石(MP,MP1....MPi,DM)の前記配列が磁化された磁性板(MP)を備え、この磁化された磁性板は、前記磁化された磁性板内で前記磁化された磁性板の少なくとも1つの寸法に沿って配置される複数の個々の磁石要素を含み、前記寸法が前記第1の方向と略平行であり、それにより、前記寸法に沿って、前記磁石要素は、
− 列を形成し、
− それらのそれぞれの隣接する磁石要素から所定の隙間だけ離間され、
− それらの磁気軸がほぼ位置合わせされて同じ位置合わせ方向を向き、
前記磁石要素(ME)を含む前記磁化された磁性板(MP)は、前記第1及び第2の磁場成分を備える複合磁場をもたらすように構成される、請求項13に記載のデバイス。
前記磁化された磁性板(MP)は、磁化された磁性板の第2の寸法に沿って配置される更なる磁石要素(ME)を備え、前記第2の寸法が前記第1の寸法とは異なり、前記第2の寸法に沿っても、前記磁石要素(ME)は、それらのそれぞれの隣接する磁石要素(ME)から所定の隙間だけ離間されるとともに、それらの磁気軸がほぼ位置合わせされて同じ位置合わせ方向を向くようになっている、請求項17に記載のデバイス。
前記デバイスは、前記磁化された磁性板(MP)から距離(d)を隔てて前記視覚効果層を保持するための支持手段(SP)を更に備える、請求項13〜21のいずれか一項に記載のデバイス。
前記デバイスは、印刷装置の構成要素として構成されて、前記印刷装置の印刷プレート又は回転ユニットの凹部内へ挿入されるようになっている、請求項13〜25のいずれか一項に記載のデバイス。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】従来技術の「ローリングバー効果」として知られる2つの視覚効果層OELと、a)長い双極子磁石を使用して、及び、b)短い双極子磁石を使用して、視覚効果層を得ることができる方法とを概略的に示す。
【
図2】基体層上に配置される2つの別個の視覚効果層(OEL)構成要素を備える視覚効果コーティング(OEC)を概略的に示す。
【
図3a】平らな表面と、該表面に対して垂直で且つOELの延在表面内の第1の方向に沿う断面とを有するOELを概略的に示す。
【
図3b】湾曲した表面と、該表面に対して垂直で且つOELの延在表面内の第1の方向に沿う断面とを有するOELを概略的に示す。
【
図4】基体平面に対する血小板形状の色素粒子の仰角の変化を、基体上の本発明の一実施形態に係る前記粒子を備える例示的なOELの表示された線(R
1−R
2)に沿う断面で示す。
【
図5】
図4の表示された線(R
1−R
2)に沿って表示された3つの点A,B及びCで撮影された3つの同一平面上のSEM断面に見られた、基体平面に対する血小板形状の色素粒子の仰角を示す。
【
図6】本発明の一実施形態にしたがった、像がそれに沿って移動するように見えるOELの表面内の第1の方向xに対する粒子角度θ(本明細書中では「仰角」とも称される)の変化を、方向x、例えば、
図5に表示された線(R
1−R
2)に沿った長さにわたる位置の関数θとして、及び、対応する例示的な第1の関数θ
1として概略的に示す。
【
図7】傾斜視角(a−c,f−h)下及び略直交視角(d−e)下で見た、本発明の一例に係るOELを示す。
【
図8】本発明の実施形態の第1の主要な組の1つの例示的な実施形態に係るOELを形成するためのデバイスの構造を概略的に示す。
【
図9】本発明のデバイスの磁性板の2次元多極磁化の様々な例示的な磁化パターンを概略的に示す。
【
図10】本発明の実施形態の第1の主要な組の他の例示的な実施形態に係るOELを形成するためのデバイスの構造を概略的に示す。
【
図11】本発明の幾つかの実施形態に係るデバイスの1つ以上の磁性板の多極磁化を具現化するための有用な磁化パターンを概略的に示す。
【
図12】本発明の実施形態の第1の主要な組の更なる他の例示的な実施形態に係るOELを形成するためのデバイスの構造を概略的に示す。
【
図13】本発明の例示的な実施形態の第2の主要な組に係るOELを形成するためのデバイスの典型的な構造を概略的に示す。
【
図14】
図13のデバイスの磁性板を貫く長手方向断面を概略的に示す。
【
図15】
図13のデバイスにより生成される対応する計算された磁場を示す。
【
図16】本発明の様々な実施形態に係るOELを形成するためのデバイスの磁石配列の一部として使用されてもよい様々な例示的な電磁石を概略的に示す。
【
図17】本発明の様々な実施形態に係るOELを形成するためのデバイスの磁石配列の一部として使用されてもよい様々な例示的な電磁石を概略的に示す。
【
図18】本発明の様々な実施形態に係るOELを形成するためのデバイスの磁石配列の一部として使用されてもよい様々な例示的な電磁石を概略的に示す。
【
図19】本発明の実施形態に係るOEL内の粒子の配向で彫り込まれた永久磁石支持プレートを更に使用することにより得られる視覚効果コーティングの写真を描く。
【
図20】実施形態の第1の主要な組の他の例示的な実施形態に係る本発明を具現化するための特定の例示的な磁石配列を概略的に示す。
【
図21】
図20の磁石の配列の計算された磁場の磁力線を示す。ここでは磁極表示が省かれる。
【
図22】支持プレート(SP)の位置で
図20の磁石配列によってもたらされる磁場の磁力線に沿う血小板形状色素粒子(色素フレーク)配向(
図22b))、及び、配向された血小板形状色素粒子に入射する光の対応する反射(
図22a))を概略的に示す。
【0023】
I.視覚効果層(OEL)
本発明に係る視覚効果層(「OEL」)は、バインダ材料と、非等方性の反射率を有し、バインダ材料中に分散される複数の作為的に配向された非球状粒子とを備える。
【0024】
この説明の全体にわたって、用語「配向」とは、配向された粒子の座標系と視覚効果層の座標系との間の一般的な関係のことである。正規直交座標系の場合には、粒子の配向を規定するために一般に3つの角度値(粒子軸線z,y,xを軸とする回転)が必要とされる。
【0025】
以下において、粒子の「仰角」という用語は、効果層の平面内で方向xに沿って効果層を貫く垂直断面において、(i)交差された粒子の対応する断面形状内の観察される最も長い寸法に沿う直線と、(ii)前記方向xとの間の容易に観察できる角度のことである。
【0026】
バインダ材料は、少なくともその固化状態(次の段落を参照)において、200nm〜2500nmの範囲内、すなわち、一般的に「光学スペクトル」と称される、電磁スペクトルの赤外部分、可視部分及びUV部分を含む波長範囲内の、1つ以上の波長の電磁放射線を少なくとも部分的に透過する。特に、バインダ材料は、400nm〜700nmの範囲内の可視スペクトルを少なくとも部分的に透過してもよい。したがって、OELにその表面を通じて入る入射電磁放射線、例えば可視光は、OEL内に分散される粒子に到達して、そこで反射され得る。その反射光は、所望の視覚効果をもたらすためにOELから再び放出されうる。可視範囲外、例えば近UV範囲内の波長が選択される場合には、OELは、潜在的セキュリティ機能としての機能を果たすことができ、その後に、一般に、選択された目に見えない波長を含むそれぞれの照明環境下でOELによって生成される(完全な)視覚効果を検出するために、技術手段が必要となるだろう。電磁スペクトルの赤外部分、可視部分及びUV部分は、700−2500nm、400−700nm、及び、200−400nmのそれぞれの波長範囲にほぼ対応する。
【0027】
また、バインダ材料は、バインダ材料中に分散された粒子が本質的に自由に回転できる第1の流体状態を有し、前記第1の流体状態は、粒子がそれらの採用された位置及び方向で固定されてもはや回転できない第2の固化状態へ変換され得る。例えば、バインダ材料は、コーティング組成物、特に、例えば紙幣印刷のためのセキュリティ用途で使用されるようなインク組成物であってもよい。流体バインダ材料が例えば適した光(例えばUV−VIS光)を用いた照射による乾燥又は硬化によって固化されると、前記バインダ材料は、粒子がそれらの現在の位置及び方向で固定されてバインダ材料中でもはや移動も回転もできない第2の固化状態へ変わる。
【0028】
図2は、本発明の幾つかの実施形態に係る、反射非球状粒子300がその内部に分散された例示的なOEL202の断面を概略的に示す。OEL202は、基体層205上に配置される2つの別個の層部203,204を備える。層部203,204は、断面に対して垂直な第3の次元で互いに接続されてもよく、接続されなくてもよく、また、基体とOEL自体とを備える視覚効果コーティング(「OEC」)を形成してもよい。OEL202は、少なくとも一時的に基体205上に配置されてもよい。これは、特に、OELがインク、例えばセキュリティインク、又は、何らかの他のコーティング材料に対応するとともに、OELが例えば印刷によって紙幣、パスポート又は他の有価文書のような基体上に恒久的に配置される用途において有用である。しかしながら、基体は、また、例えばOELの形成を容易にするために、特にバインダ材料が依然としてその流体状態にある間に、OELに対して一時的に付着されるだけであってもよい。その後、基体がOELから除去されてもよい。あるいは、基体が接着層を備えてもよく、それにより、機械やかなり高い労力を伴う印刷又は他のプロセスを用いることなく、OELと接着層とを備えるOECを全ての種類の文書又は他の物品もしくはアイテムに付着させることができる。特に、幾つかの実施形態において、OECは、別個の転写ステップで文書に対して又は物品に対して付着され得る転写箔の形態を成す。そのような場合には、基体が剥離コーティングを支持し、該剥離コーティング上に前述したようなOECが配置される。接着層が視覚効果コーティング上に更に存在してもよい。
【0029】
本明細書中に記載されるOELは、好ましくは放射線硬化コーティングであり、特に、可視及び/又はUV範囲のスペクトルの放射線、より好ましくは380nm〜420nm波長範囲の放射線によって硬化されるコーティング層であってもよく、その場合、LEDベースのUV硬化機器が利用できる或いは利用できる場合がある。
【0030】
基体205は、不織布材料、織布材料、金属、プラスチック高分子材料、及び、これらの組み合わせからなるグループから選択されてもよい。好ましい不織布材料は、紙、ボール紙、及び、Tyvek(登録商標)などのスパンボンド式オレフィン繊維である。好ましい織布材料は、インプリント可能な布地である。好ましいプラスチック高分子材料は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、特に2軸配向PP、及び、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。金属は、制限なく、金属硬貨の形成のために使用される金属、及び、金属化セキュリティスレッドなどの金属化プラスチック高分子材料の形成のために使用される金属を含む。特に好ましい基体は、紙幣用紙、ポリマー紙幣基体、及び、紙とポリマーの層又は部品又は繊維とを含む混成基体である。基体205は、透明材料及び不透明材料から更に選択されてもよく、また、印刷された、コーティングされた、又は、レーザーマーキングされた、あるいは、レーザー穿孔された証印を更に支持してもよい。また、基体205は、OELの上又は下に、あるいは、OELとは反対側の基体の表面上に、更なるコーティング又は層(図示せず)を更に支持してもよい。特に、基体は、例えば磁気転写される色素配向画像の画質を高めるために接着等を促進させる役目を果たすプライマー層を本発明のOELの下に支持してもよい。基体は、例えばその耐摩耗性及び耐汚水性を高めるためにその光沢等を変える役目を果たす保護コーティングをOEL上にわたって更に支持してもよい。
【0031】
前述した基体、OEL、及び/又は、任意の更なるコーティング層は、好ましくはUV/可視/IR発光物質、UV/可視/IR吸収物質、磁性物質、及び、これらの組み合わせから成るグループから選択される1つ以上のマーカー物質を更にまた備えてもよい。前記物質は、高速紙幣処理機械などの認証装置よる例えばセキュリティ文書の自動認証を可能にする更なるセキュリティ機能としての役目を果たしてもよい。
【0032】
バインダ材料中に分散される複数の非球状粒子のそれぞれは、バインダ材料が少なくともその固化状態で少なくとも部分的に透過する入射電磁放射線に対して非等方性の反射率を有する。ここで、用語「非等方性の反射率」とは、粒子の配向に応じて粒子により観察方向へ反射される入射放射線の割合が変動することである。したがって、配向された反射粒子を含むバインダ材料、すなわち、OELが、所定の照明環境下で観察方向に対して傾けられる場合には、各粒子の反射放射線の割合がそれぞれの粒子ごとに個別に変化し得る。一般に、バインダ材料中の粒子は、色素粒子、例えばインクなどのコーティング材料中の色素粒子であってもよい。
【0033】
粒子は、非球状を有しており、例えば、長楕円形もしくは扁平楕円形、血小板形、又は、針形の粒子、あるいは、これらの混合であってもよい。したがって、その非球状に起因して、単位表面積当たり(例えば、μm
2当たり)の固有の反射率がそのような粒子の表面全体にわたって一定である場合でも、反射率は非等方性である。これは、粒子の可視領域が、粒子が観察される方向に依存するからである。
【0034】
幾つかの実施形態において、粒子は、OELのバインダ材料中で粒子を所望の配向パターンにしたがって配向させるために、外部磁場を使用できるようにする磁性材料又は磁化可能材料を備えてもよい。それにより、永久磁性粒子は、その磁気軸がその粒子の位置での外部磁場の磁力線の方向と位置合わせされるように配向される。固有の永久磁場を伴わない磁化可能粒子は、外部磁場によって、その最も長い寸法(以下、粒子の長さ又はサイズとも称される)の方向がその粒子の位置での磁場の磁力線と位置合わせされるように配向される。
【0035】
磁場の磁力線に沿って配向されるように、磁性粒子又は磁化可能粒子は、非球形状、例えば扁長形状又は偏球形状を有さなければならない。適した磁性粒子又は磁化可能粒子は、任意のタイプの磁性色素、好ましくは血小板(フレーク)もしくは針又はその混合物となり得る。有用な磁性粒子の例は、制限なく、コバルト、鉄もしくはニッケル、又は、マンガン、コバルト、鉄もしくはニッケルの磁性合金、又は、クロム、マンガン、コバルト、鉄もしくはニッケルの磁性の純酸化物又は混合酸化物、あるいは、これらの混合物などの強磁性材料又はフェリ磁性材料を備える血小板形状(例えばフレーク形状)又は針形状の粒子を含む。磁性酸化物の例は、制限なく、ヘマタイト(Fe
2O
3)、針状マグネタイト(Fe
3O
4)、磁性フェライト(MFe
2O
4)、磁性オルトフェライト(RFeO
3)、磁性ヘキサフェライト(MFe
12O
19)、磁性ガーネット(R
3Fe
5O
12)などの純粋な及び混合された酸化鉄、酸化コバルト(Co
3O
4)、ならびに、二酸化クロム(CrO
2)を含む。なお、Mは2価の金属イオンであり、Rは、イットリウム及びレアアースを含む群の3価のイオンである。
【0036】
最も好適な磁性粒子又は磁化可能粒子は、光学可変磁性粒子である。粒子は、特に、光学的に変化できる色素フレームであってもよい。幾つかの好ましい実施形態において、粒子は、例えば米国特許第4,838,648号明細書、欧州特許第686,675号明細書、国際公開第02/73250号、又は、国際公開第03/00801号に開示されるような吸収体/誘電体/磁性体/誘電体/吸収体の5層配列、又は、吸収体/誘電体/反射体/磁性体/反射体/誘電体/吸収体の7層配列を備える色発生薄膜ファブリーペロー干渉積層体を更に備えてもよい。対応するインク及びコーティング組成物が国際公開第2007/131833号に開示されている。光学的に変化できる磁性粒子の色は、注目すべきことに、色素フレークの平面に対する視角に依存し、その結果、異なる色の縁が視覚効果層(OEL)の明るい領域を横切って現れる。例えば、直交視下で緑色に見えるとともに斜視下で青色に見える緑−青光学可変色素フレークの場合、OELの明るい領域は、暗い下地上に青色の縁を伴って緑色で現れる。したがって、本発明のOELにおける光学可変磁性色素の使用は、明るい領域のコントラストを高めるとともに、文書セキュリティ及び装飾の用途におけるOELの視覚的影響を改善する。また、光学的に変化できる磁性粒子の使用は、セキュリティの更なる層をOELに付加する。これは、そのようなタイプの材料がセキュリティ印刷産業に留保されており、公衆に対して市販されていないからである。可視放射線の場合、両方の存在、すなわち、領域の見かけの移動、及び、視角の変化に伴う色の変化は、肉眼によって容易に確認される。
【0037】
バインダ材料中に分散される粒子は、OELの延在面内の第1の方向(x)に沿う長さにわたって延びるパターンにしたがって配向され、例えば
図2の例では、この延在面がOEL202の上端面となり得る。
【0038】
OEL中の非球状粒子の配向は、
図3a及び
図3bに示されるように規定されてもよい。
【0039】
図3aは、全体的にOEL300を示しており、このOELは、該OEL300中に分散される複数の粒子を表す典型的な粒子302〜305を伴う。一般に、非球状粒子はOELの全体積にわたって分散され、一方、OEL中の粒子の配向について論じる目的で、典型的な粒子302〜305の全ては、以下で更に詳しく説明される仮想平面301により規定されるOELの同じ平坦な(第1の)断面308内に配置される。典型的な粒子302〜305は平面301内に配置されるため、これらの粒子は、平面301及び(第1の)断面308のそれぞれと交わり、したがって、この面は、図式的に描かれる各粒子302〜305における断面形状を、その断面形状内に現れるその最も長い直径を表す短い線によってそれぞれ規定する。典型的には、非球状粒子303に関してのみ、該粒子の断面形状が楕円としても描かれ、その最も長い直径は、粒子303を表す短い線に対応する。OEL中の非球状の反射粒子の総数は、所望の用途の機能で適切に選択されてもよいが、目に見える効果をもたらす表面被覆パターンを形成するためには、OEL表面の平方ミリメートル当たり数千個の粒子が一般に必要とされる。視覚効果を一緒にもたらす複数の非球状粒子は、バインダ材料中に分散される粒子の総数の全て又は一部のみに対応してもよい。例えば、視覚効果をもたらす粒子は、バインダ材料中に含まれる従来の着色顔料粒子又は特別な着色顔料粒子であってもよい他の粒子と組み合わされてもよい。
【0040】
物理的物体としてのOELは一般に3つの寸法Dim1,Dim2,Dim3を有し、また、少なくとも1つの寸法に沿うその延在長さ、例えば
図3aに示されるように、Dim2に沿うその厚さは、一般に、他の寸法、例えば
図3aにおける寸法Dim1,Dim3に沿うその延在長さよりもかなり短い。したがって、寸法のうちの少なくとも1つ、例えばDim1に沿うOELの延在長さが抜きんでていてもよい。実用的な目的のため、すなわち、かなりの長さにわたって延びる視覚効果を形成するために、通常、1つは、所望の視覚効果を示すためのOELのより大きな表面部、又は、より大きな表面部のうちの1つ、例えば外面、を選択する。好ましくは、OELの寸法のうちの2つにわたって広がるOELの表面部又は外面が選択され、それらの寸法に沿ってOELがその最も長い延在長さを示す。したがって、
図3aの例では、寸法Dim1,Dim3がOEL300のそのような表面306に広がっている。この選択された表面部又は外面は、OEL300の延在表面、又は同様にバインダ材料の延在表面306と称することができ、また、延在表面306内の第1の方向xを選択することができ、この方向に沿って、第1の方向xに対する視角が変化するときに、少なくとも第1の方向xに沿って長さ307にわたって移動するように見える視角依存性の像が生じる。前記長さは、第1の方向に沿うOELの延在長さと同じか、又はそれより短くてもよい。視角は、例えば、第1の方向306と視線との間の(観察)角度が変化するようにOEL300の延在表面306が観察者の眼とOEL300との間の視線に対して傾けられるときに変化する。この効果は、以下で詳しく説明されるように、OEL中に分散される複数の粒子によってもたらされる。好ましくは、第1の方向xに沿う長さ307は、視角が変化するときに像のより一層の目を引く見かけの移動を与えるために、少なくとも20mmである。
【0041】
粒子は、OEL300の延在表面306内で少なくとも第1の方向xに沿って長さ307にわたって延びる配向パターンを形成する無作為でない配向をOEL300内で有する。粒子の配向を表すために断面301が規定され、この断面は、延在表面内の第1の方向xと、層の延在表面に対する法線NMとに広がっている。
図3aの例では、法線NMがOELの寸法Dim2に沿う。したがって、断面301は、OELを貫く垂直断面308を規定する。
図3aでは、典型的な粒子302〜205がそれぞれこの断面308内に配置され、また、粒子を表す短い線は、断面308を規定する平面301内の粒子の断面形状内の粒子のそれぞれの最も長い直径を示す。
【0042】
図3bは、粒子312が内部に分散された他の例のOEL310を示し、このOELは、第1の寸法Dim1及び第3の寸法Dim3に沿って延びる湾曲した、特に円筒状の延在表面313を有する。この例においても、平面は、延在表面313内の第1の方向xと、例えば第2の寸法Dim2と平行な延在表面に対する法線NMとによって規定されて広がっている。
図3a及び
図3bの例において、第1の方向は第1の寸法Dim1に沿っており、また、それぞれの法線NMは第2の寸法Dim2に沿っている。したがって、平面は、例示的な粒子312が内部に配置される湾曲したOELを貫く断面311を規定する。
【0043】
このとき、粒子の配向は、第1の方向xと平面301内の粒子の断面形状の最も長い寸法に沿う線との間の容易に測定できる仰角θによって表され得る。それぞれの粒子ごとに、位置Pは、粒子の断面形状上の1つの点の第1の方向に沿う座標として規定され得る。特に、座標は、粒子上の点の前記第1の方向上への垂直投影に対応してもよい。例えば、粒子の断面形状上の点は、粒子の断面形状の重心として、又は、断面形状内の粒子の最も長い寸法の中心点として、又は、粒子の断面形状上の任意の点の前記第1の方向に沿う最も小さい(あるいは最も大きい)座標値を有する断面形状内の点として、解釈されてもよい。後者のケースが
図3aに示され、この場合、位置Pを第1の方向に沿う対応する座標として規定するために、粒子302,305の断面形状のそれぞれの最も左側の点が選択される。
【0044】
その位置P(前述のように規定される)が第1の方向に沿う1つの位置Pに中心付けられる区間内に入る複数の粒子中の粒子の仰角θ(前述したように規定される)の平均値は、少なくとも第1の方向に沿う長さにわたる、例えば
図3aでは長さ407にわたる位置Pの関数θ(P)を規定する。この平均角度は、「仰角θの局所平均」又は「角度の局所平均」とも称され、したがって、OELを貫く垂直(第1の)断面内に配置される粒子の局所群にわたるそれぞれの仰角の平均値として解釈される。それにより、角度の前記局所平均化は、長さ2δの区切られた区間[P−δ;P+δ]内で断面(例えば、
図2の断面308又は311)と交わる粒子にわたってのみ行われ、局所平均角度として、断面に沿う位置Pに起因する。前記長さ2δは一般に50〜1000マイクロメートルの範囲内にある。平均化されるべき角度は、交わる非球状粒子の対応する断面内で観察される最も長い寸法に沿う直線と位置Pにおける第1の方向xとの間の角度である。
【0045】
本発明によれば、バインダ材料中に分散される複数の非球状粒子中の粒子の局所平均仰角は、第1の関数θ
1(P)と第2の関数θ
2(P)との和に等しい関数である対応する関数θ(P)を満たす。第1の関数θ
1(P)は、前記位置Pの単調に増加又は単調に減少する第1の関数であり、また、第2の関数θ
2(P)は、前記位置Pの第2の交代関数である。ここで、交代関数とは、ゼロの平均値を中心にプラス値とマイナス値との間で振動する任意の関数を意味する。
【0046】
図4は、本発明の一実施形態に係るOELの一例及び該OEL内の粒子の対応する配向パターンに関する平面図を示す。OEL像は、直交入射光の非球状粒子による反射によってもたらされる。この例において、粒子は、他の2つの寸法におけるそれらの延在長さよりもかなり小さい厚さを有する平坦な血小板形状の粒子形態である。OELの目に見える延在表面内の第1の方向が点R
1,R
2間をつなぐ線として示され、また、第1の方向に対する粒子の平均配向の変化が、前記線の上側に示される(例示目的のため、概略的に示される粒子は、R
1,R
2間をつなぐ線により規定される軸線周りに90°回転されて示される)とともに、像の下側にも再びコピーされている(見やすくするため)。したがって、粒子配向は、
図6の顕微鏡写真と同様に、例えば前記線に沿う垂直切断の研磨トレンチの電子顕微鏡写真から得られるような線R
1−R
2に沿うフレークの垂直断面の形態で示される。粒子は血小板形状の粒子であるため、粒子の断面形状は細い線にほぼ対応する。粒子は、それらの形状に基づき、それらの延在表面に対して垂直な方向でそれらの最大反射率(最大投影面積)を有し、したがって、直交視したときに、OELの画像内において、明るい領域は、その配向が表面の方向とほぼ一致する粒子、すなわち、OELの表面に対して低い角度θを有する粒子に対応し、それにより、入射光は、同じ(直交)方向に反射されて戻される。一方、OEL像の暗い領域は、その配向がOELの延在表面に対してかなり傾けられる粒子に対応し、それにより、それらの粒子は、該粒子へ向かってくる光を直交方向から離れるように反射する。しかしながら、
図4の像が、単に、直交入射光における反射像であって、像に対して90°の視角に関する反射像を示していることに留意しなければならない。
図4は、OELの像の視角依存性、したがって、本発明に係る実際のOELによってのみ達成され得、且つ、単一の視角から撮られるその写真だけによっては達成され得ない移動像の所望の効果を示しておらず、また、示すことができない。
【0047】
図5は、OELの延在(上端)表面に対して垂直に切断された
図4のOELの断面の3つの電子顕微鏡写真を示す。この例において、OELは、基体上に配置され、したがって、OECを形成する。顕微鏡写真は、第1の方向に沿って、すなわち、表示された線(R
1−R
2)に沿って
図4に示される位置A,B,Cのそれぞれで撮られたものであり、それぞれの顕微鏡写真は、配向された血小板形状粒子500を備えるOELによって覆われる基体(底部にある)を示す。
図5の対応する顕微鏡写真A,B,Cとの比較によって確認され得るように、それぞれの区間[P−δ;P+δ]内で第1の方向xに沿って位置Pに配置される粒子の平均配向が、
図4の前記位置A,B,Cに関して報告されて示される。
【0048】
図6は、第1の方向xに沿うそれぞれの区間[P−δ;P+δ]内に分布される色素粒子の局所平均仰角θ(P)(「フレーク配向」)、言い換えると、第1の方向x、すなわち、
図4及び
図5の線(R
1−R
2)に沿うOELの表面に対する色素フレークの配向を、前記線(太い波状曲線参照)上の色素粒子のそれぞれの位置Pの関数として図式的に描く。θ(P)の曲線付近の灰色領域は、区間[P−δ;P+δ]内の粒子(フレーク)のフレーク仰角θ(P)の分布の標準偏差σを概略的に示す(原寸に比例していない)。注目すべきことに、フレーク又は粒子は、決して完全に位置合わせされず、そのため、それらの粒子の配向、したがって粒子の仰角も、標準偏差にしたがい平均値付近で変動する。
【0049】
図6における例示的な破線は、10°の平均仰角に対応する。破線が波状関数θ(P)を横切る位置Pにある全ての粒子は、入射する電磁放射線を、同じ方向に、すなわち、OEL上の同じ視線に沿って対応する視角で反射する。したがって、OELの表面に向かってくる入射電磁放射線が観察者の方向で視線に沿って反射されるように、OEL内の約10°の仰角を有するフレークが配向されるOEL表面に対する視角でOELが見られる場合には(
図4では、入射光の方向及び視線の両方が、図示されたOELの延在表面に対して略垂直である)、これらの粒子の位置Pで(例えば、
図4における位置Bで)、OELが明るく見える。一方、入射放射線及び視線の方向に対して粒子がかなり小さい反射率を示すような、その平均粒子配向が実質的に10°と異なるOELの領域は、(例えば、
図4における位置A,Cで)暗く見える。視角が変化する場合、例えばOEL及びその第1の方向が視線に対して傾けられるとき、
図6において、これは、より高い方及びより低い方の局所平均仰角θのそれぞれへ向けて、破線を上及び下のそれぞれに移動させることに等しい。したがって、破線とθ(P)の曲線との間の交点も第1の方向に沿って異なる位置Pへ移動し、その結果、OELの延在表面上の明るい領域及び暗い領域のパターンも第1の方向xに沿って移動するように見える。特に、破線とθ(P)の極大値又は極小値との交点に破線が達し、更にOELが傾けられると、極大値又は極小値に対応する明るい領域が見えなくなる。同様に、OELを傾けることによって、移動する破線が上端から極大値に、及び下端から極小値にそれぞれ近づき、したがって、以前に交点が存在しなかった位置Pで移動する破線が新たな交点を生じると、新たな明るい領域が生み出される。
【0050】
図6に示される更なる(真っ直ぐな)曲線は、約35°の最大値θ
1,maxから約−35°の最小値θ
1,minまで長さ(すなわち、この例では、0mmから25mmまでの位置の範囲)に沿って単調に減少する、したがって、この例では70°である、ゼロでない値の範囲にまたがる第1の関数θ
1(P)の例示的な実施形態を表す。好ましくは、最大値θ
1,maxと最小値θ
1,minとの間の差は少なくとも30°である。すなわち、単調に増加する又は減少する第1の関数θ
1(P)の値は、前記長さにわたって少なくとも30°の差の範囲にまたがる。第1の方向に沿って所定の長さにわたって直線であっても直線でなくてもよい第1の関数の他の選択も想定し得る。
【0051】
このとき、第2の関数θ
2(P)(
図6には描かれない)は、関数の差θ
2(P)=θ(P)−θ
1(P)に等しい。それは交代関数である。すなわち、第2の関数は、ゼロの平均値を中心にプラス値とマイナス値との間で振動する。好ましくは、その振幅は、第1の関数θ
1(P)の値が及ぶ範囲の半分又はそれよりも小さい。したがって、第2の関数θ
2(P)を第1の関数θ
1(P)の変調として解釈できる。そのため、第1の関数を関数θ(P)=θ
1(P)+θ
2(P)の主成分、第2の関数を補助成分と見なすことができる。
【0052】
主成分θ
1(P)は、実質的に、第1の方向に沿う長さにわたる粒子の局所平均仰角を決定し、一方、交代補助成分は、主成分によって決定される局所平均粒子仰角の変調を引き起こす。再び
図4及び
図5を参照すると、領域A内の粒子はそれらの前面を左上に向け、領域B内の粒子はそれらの前面を上方に向け、かつ、領域C内の粒子はそれらの前面を右上に向ける。主成分は、第1の方向に沿う長さにわたって単調に増加又は減少してもよい。特に、主成分は、
図1の場合のように双極子磁石(DM)の磁場の放物線状の磁力線の直線勾配に対応する一次関数θ
1(P)=aP+bであってもよい。主成分は、例えば先の例における線(R
1−R
2)上の第1の方向xに沿う長さにわたる位置Pのより洗練された関数に従ってもよい。
【0053】
補助成分としての機能を果たす交代関数は、正弦関数などの周期Kの周期関数θ
2(P+K)=θ
2(P)、又は、より一般的な非周期関数のいずれかであってもよい。特に、幾つかの実施形態において、第2の関数は、第1の関数θ
1(P)及び第2の関数θ
2(p)の和θ(P)が非単調関数となるようにするために十分大きな振幅を有し、前記非単調関数の一次導関数は、第1の方向に沿う長さにわたって少なくとも2回符号を変える。好ましくは、補助成分の振幅、すなわち、平均粒子仰角からの前記角度のプラス又はマイナスの偏りを引き起こす局所平均粒子仰角の変調は、5°〜30°の範囲内、より好ましくは、第1の成分の高さの少なくとも2倍の値の範囲に対応する10°〜20°の範囲内である。したがって、このとき、θの最小値とその後の最大値(又は、逆もまた同様)との間の、
図5における「隆起」の高さは、変調の2倍、すなわち、主成分が及ぶ−35°〜+35°の値の範囲、つまり、全体で70°の範囲よりも小さく、好ましくは10°〜60°、より好ましくは20°〜40°にほぼ対応する。そのため、主成分は、補助成分の変化にもかかわらず優位を占め得る。一般に、視角が変化するにつれて目立つ態様で長さに沿って移動するように見える像を所望の視覚効果が与えることを達成するためには、補助成分に優る主成分の優位性(振幅に関して)が望ましい。
【0054】
幾つかの実施形態において、配向パターンは、OEL及びバインダ材料のそれぞれの延在表面内で第2の方向yに沿っても延びており、第2の方向yは第1の方向xと異なる。このとき、前記延在表面に対して略垂直な第2の方向yに沿う前記OELの第2の断面内で、(i)前記第2の断面と交わる非球状粒子の対応する断面形状内で観察される最も長い寸法に沿う直線と(ii)前記第2の方向yとの間の局所平均角度は、前記第2の方向yに沿う位置の第3の関数(θ
3)にしたがって変化する。したがって、第3の関数は、第1及び第2の関数θ
1,θ
2と同様の態様であるが、異なる方向yに沿って規定される。特に、幾つかの実施形態において、この第3の関数θ
3は、前記第2の方向yに沿う前記位置の交代関数であってもよい。
【0055】
更なる実施形態において、第2の方向yに沿う前記局所平均角度は、前記第2の方向yに沿う位置の第4の関数θ
4にしたがって変化してもよい。この第4の関数θ
4は、前記位置の前記第1の関数θ
1に等しいが、前記第2の方向yに沿う関数(第1の方向xに沿う第1の関数自体と同様ではない)と前記第2の方向yに沿う前記位置の第5の交代関数θ
5との和である。したがって、OEL視覚効果の延在表面内で配向された非球状粒子によりもたらされる像は、第1の方向に沿うだけでなく少なくとも第2の方向yにも沿う構造を示す。
【0056】
特定の実施形態において、関数θ(P)は、実質的に、バインダ材料の前記延在表面内における、延在表面上の特定の点の周りでの、少なくとも選択された回転角度における所定の回転角度分の第1の方向の回転に関して、回転対称性を示す。言い換えると、そのような回転対称性が生じる回転角度だけ第1の方向がOELの延在表面内で回転されれば、この回転によって関数θ(P)が変化しない。したがって、関数θ(P)によって規定される視覚効果もそのような回転下では不変のままである。
【0057】
例えば、幾つかの実施形態では、第1の関数θ
1(P)及び第2の関数θ
2(x)がいずれもOELの延在表面内での第1の方向の回転に関して不変であると、和関数θ(P)がこの不変性を示す。したがって、そのようにして得られるOELは、好ましい方向を有さないが、代わりに、OELの延在表面に対する入射放射線の方向及び所定の視角に関して同じ視覚効果を任意の方向に沿って示す。
【0058】
更なる他の特に好ましい実施形態では、主成分及び補助成分のうちの一方のみが、第1の方向の回転に関し、少なくとも選択された回転角においてそのような回転対称性を示す。
【0059】
OELの特定の実施形態において、第1の方向と直交する像要素の小さいスライスは、セキュリティ要素を具現化するために使用される。前記像要素は、前述したように視角に応じて「出現する」及び「消失する」特性を有しており、文書上の「潜像」、すなわち、決定された視角下でのみ見え、したがってコピーすることが難しい像を具現化するために使用され得る。
【0060】
OELの更なる特定の実施形態において、前記第1の方向と直交する像要素の1つ又は複数のスライスは存在しないか又は隠されており、それにより、視角の変化に伴って視覚効果コーティングOECの像要素が動的に動く外観ではなく、存在する像要素の「ON−OFF切り換え」外観がもたらされる。これは、一般に、幾つかのOEL要素から形成される不連続なOECを用いて達成され得る。
【0061】
図7は、本発明に係るOELの典型的な像を前記第1の方向に沿う8個の異なる傾斜角度で示す。大きいエッジは、観察者に近い像の側を示し、小さいエッジは、観察者から離れた像の側を示す。言い換えると、
図7aにおいて観察者の位置はOELの上端側にあり、一方、
図7hにおいて観察者の位置は下端側にある。対応する傾斜角、つまり、OELの表面に対する視角は、以下の通りである。すなわち、
図7a:−60°;
図7b:−45°;
図7c:−30°;
図7d:−15°;
図7e:+15°;
図7f:+30°;
図7g:+45°;
図7h:+60°。透明な暗い知覚された像要素の目を引く写真複写不可能な見かけの前進又は後退は、OELを傾ける際に直ちに肉眼で見える。
【0062】
最後に、幾つかの実施形態において、OELは、前記複数の非球状粒子に加えて、傾けても色が変わらない磁性粒子、無色磁性粒子、傾けると色が変わる非磁性粒子、傾けても色が変わらない非磁性粒子、及び、無色非磁性粒子のうちの少なくとも1つを備えてもよい。したがって、OELの更なる特性、例えば、視角に伴うOELの色及び/又は色ずれは、前述した動的な視覚効果に加えて与えられるか、又は変化し得る。特に、そのような更なる粒子が色素粒子であってもよい。
【0063】
II.配向デバイス
また、本発明は、バインダ材料中に分散される磁性粒子又は磁化可能粒子を配向させるためのデバイスも開示する。したがって、当該粒子が磁性粒子又は磁化可能粒子である場合に、デバイスは、前述したようなOELを形成するために使用され得る。
【0064】
デバイスは、磁化された磁性板を備えるとともに複合磁場を生み出すように構成される1つ以上の磁石の配列を備える。複合磁場は第1の磁場成分と第2の磁場成分とを備える。第1の磁場成分は、磁気双極子場とほぼ同様であり、そのN−S方向が前記磁化された磁性板と略平行に位置合わせされる。第2の磁場成分は、個々の局所双極子状磁場の重ね合わせを備え、したがって、前記N−S方向と略平行な第1の方向に沿うN極及びS極の交代性に対応する。第1の磁場成分及び第2の磁場成分は、少なくとも前記磁化された磁性板の延在表面に隣接する領域で、すなわち、磁化された磁性板が境界を成す該磁性板の表面の近傍の領域で、重なり合う。この領域は、OELがその内部に分散された非等方性の反射率を有する非球状の磁性粒子又は磁化可能粒子を配向させるべく配置されるようになっている配向領域を規定する。この配向領域内において、磁石配列の磁場の磁力線は、本明細書中で先に定められた所望の粒子配向にしたがって所望の形態を有する。
【0065】
バインダ材料中の磁性粒子又は磁化可能粒子は、バインダ材料が流体状態にあって且つ粒子がバインダ材料中で回転できるときには、本明細書中で先に説明したように、それら自体を磁力線に沿って位置合わせするため、粒子の得られるそれぞれの配向(磁性粒子の場合にはそれらの磁気軸、又は、磁化可能粒子の場合にはそれらの最も大きい直径)は、少なくとも平均して、粒子の位置での磁場の磁力線の局所的な方向と一致する。したがって、デバイスは、本発明の第1の態様に係るOELを形成するのに適している。
【0066】
本明細書中で以下に記載される主要な実施形態の第1の組において、1つ以上の磁石の磁石配列は、第1の磁場成分を生み出すように構成される1つ以上の磁石(以下、「1つ/複数の「第1の磁石」)と、第2の磁場成分を生み出すように構成される磁化された磁性板MPとを備える。したがって、主要な実施形態の第1の組において、2つの磁場成分は、別々に、すなわち、別個の磁石によって生成される。
【0067】
幾つかの実施形態において、第1の磁石は、そのN極とS極を結ぶ線により規定される磁気軸が、第1の方向又はその接線と略平行に位置合わせされるように構成される双極子磁石DMを備える。
図1a及び
図1bはそのような形態の例を示し、ここで、示される双極子磁石DMは第1の磁石を表す。従来技術に関連する
図1a及び
図1bにおいて、第2の磁場成分を生成する磁性板が欠けていることが留意される。
【0068】
また、第1の磁石のうちの少なくとも1つは、前記磁化された磁性板MPの平面に対して略平行な面内で回転できるように取り付けられてもよい。したがって、第1の関数に対応する有効磁場成分は、少なくともあるおおよその度合いまで回転対称性を示すように生成され得る。また、磁性板は、例えば第1の磁石と組み合わせて、同じ軸線の周りで回転できてもよく、その場合には、少なくとも所定の回転角度範囲にわたって回転対称な磁石配列を回転させることによって有効磁場を生み出すことができる。このようにして、OELの非球状の磁性粒子又は磁化可能粒子が配向されることにより、磁石配列の回転中に、そのOEL内に対応する回転対称性がもたらされる。
【0069】
特に、回転が360°以上の全回転におよぶ場合には、OELの平面内の任意の傾斜軸の下で、好ましい方向を有しないが任意の方向に沿って本発明の視覚効果を示すOELの形成のために、循環的に平均化された磁場が生み出される。
【0070】
磁化された磁性板MPは、第1の延在表面と、反対側の第2の延在表面とを有してもよく、その場合、第1の表面は、第2の延在表面よりも配向領域に近接して配置され、また、磁化された磁性板MPは、少なくともその第1の表面にわたって多極磁化を有する。特に、磁性板MPのこの多極磁化は、交互の二次元多極磁化であってもよい。
【0071】
OELの先の説明との比較により、1つ以上の第1の磁石が、配向関数θの主成分θ
1にしたがってOEL中の磁性粒子又は磁化可能粒子を配向させることに関与することがわかる。磁化された磁性板MPは、配向関数の補助成分θ
2にしたがってOEL中の磁性粒子又は磁化可能粒子を配向させることに関与する。したがって、第1の磁石は、視角依存性の移動像の基本的な効果をもたらすことに関与し、一方、磁化された磁性板MPは、本発明により与えられる改善された視覚効果を得るために更に必要な主成分の変調をもたらすことに関与する。
【0072】
ここで、
図8を参照して、主な実施形態の第1の組に係るデバイスの例示的な実施形態について説明する。この例において、磁性板MPは、少なくともその上面にわたってN極及びS極を交互に入れ替える多極磁化を有する。前記磁性板MPの下面の下側には、そのN−S距離D1が前記磁性板MPの平面に対して略平行な双極子磁石DMが配置される。磁性板上には、好ましくは磁性板に対して略平行に、支持プレートSPの形態を成す支持手段が設けられてもよい。また、支持プレートの上面は、磁場の磁力線の形態に応じて、磁性板MPから距離dを隔てて配置されてもよく、それにより、支持手段の上面よりも上側の配向領域に所望の形態の磁力線が生じる。この距離dは、一般に、0.1〜5ミリメートルの範囲内である。好ましい実施形態では、支持プレートSPの厚さが前記距離dに等しく、それにより、中間空隙を伴わないデバイスの機械的に隙間のない組み立てが可能になる。支持プレートSPは、非磁性材料又は磁性材料から成っていてもよい。
【0073】
固化されないバインダ材料の層であって、該バインダ材料中に分散された非球状の磁性粒子又は磁化可能粒子を含む層が、磁石配列の上側の支持プレート上に配置されると、(流体)層中の磁性粒子又は磁化可能粒子は、該粒子の位置における双極子磁石DM及び磁性板MPの複合磁場の磁力線と位置合わせするように配向される。
【0074】
前記磁性板MPの前記多極磁化は、決定された方向D1での規則的な直線ストライプパターン、不規則な直線ストライプパターン(
図9a)、又は、湾曲状のストライプパターン(
図9b)、又は、任意に形成されたストライプパターンなど、N極及びS極の任意のストライプであってもよい。磁性板MPの交互の多極磁化は、更に、円形パターン(
図9c)、楕円パターン、又は、より一般的には任意の閉ループ(closed−loop)パターンであってもよい。
【0075】
多極磁化は、更に、磁性板MPの単一の表面(例えば上面)のみに存在してもよく、又は、磁性板の厚さ全体にわたって延びて、磁性板の両方の反対側の延在表面(例えば、上面及び下面)上に等しい強度を伴って存在してもよい。
【0076】
双極子磁石DMのN−S距離D1は設計要件にしたがって選択されてもよく、また、注目すべきことに、この距離が第1の方向xを規定し、この第1の方向に沿って、形成されたOELは、例えばそれを第1の方向xと直交する軸線周りで傾けるときに、視角の変化に伴う知覚された像要素の見かけの移動を表す。
【0077】
図10を参照して、デバイスの別の例示的な実施形態について説明する。ここでの磁性板MPは、正方形パターン(
図11a)、長方形パターン、三角形パターン(
図11b)、六角対称性から得られるパターン(
図11c)、又は、交互変化のN極/S極を伴う表面の任意の不定の規則的又は不規則的な傾きなど、N極及びS極の任意の表面被覆交互配列であってもよい二次元多極磁化を有する。さもなければ、この実施形態は
図9の実施形態に類似する。
【0078】
図12を参照して、デバイスの更なる他の別の例示的な実施形態について説明する。ここでの磁性板MPは、重ね合わされる第1及び第2の磁性板MP1,MP2のそれぞれの組み合わせとして具現化され、この場合、第1の磁性板MP1は、第1の磁性板の平面内の第1の磁石の(例えば双極子磁石DMの)有効NS極間の正味磁気軸の方向D1に等しくてもよい第1の方向D2に沿って交互磁気極性を伴う1次元多極磁化を有し、また、第2の磁性板MP2は、第2の磁性板の平面内の第2の方向D3に沿って交互磁気極性を伴う1次元多極磁化を有し、また、第1の磁性板及び第2の磁性板は互いに略平行に配置される。
【0079】
第1の磁性板MP1の交互磁気極性の方向D2と第2の磁性板MP2の交互磁気極性の方向D3との間の回転角アルファαは、制限されず、特定の設計ニーズに対応してもよい。
【0080】
第1及び第2の磁性板MP1,MP2は、第1の磁性板MP1がその延在表面を第2の磁性板MP2の延在表面上に緊密に配置された状態、又は幾らかの距離を隔てて、例えばスペーサにより離した状態で配置されるように、互いに対して配置され、それにより、それらの磁場がOELの位置で複合作用を展開する。
【0081】
一般に、幾つかの実施形態において、前記磁性板MPは、前記磁性板の少なくとも1つの延在表面にわたって交互磁気極性を伴う個々の1次元又は2次元多極磁化を有する2つ以上の磁性板MP1,MP2,...,MPiの組み合わせとして実施されてもよい。第1及び第2の磁性板MP1,MP2,...,MPiの1次元多極磁化は、この場合も先と同様に、規則的な直線ストライプパターン、不規則な直線ストライプのパターン(
図9a)、又は、湾曲状のストライプのパターン(
図9b)、又は、任意に形成されたストライプのパターンなど、N極及びS極の任意のストライプ状の交互配列であってもよく、あるいは、更に、円形パターン(
図9c)、楕円パターン、又は、より一般的には任意の閉ループ(closed−loop)パターンであってもよい。必要とされる多極磁化は、更に、前記磁性板MP,MP1,MP2,...,MPiの単一の表面(例えば上面)にだけ存在してもよく、あるいは、磁性板MP,MP1,MP2,...,MPiの厚さ全体にわたって延びて、磁性板MP,MP1,MP2,...,MPiの上面上及び下面上の両方に等しい強度を伴って現れてもよい。
【0082】
双極子磁石DMは、OELの第1の方向xを規定するそのN−S方向D1が前記磁性板MP又は前記組み合わせ磁性板MP1,MP2,...,MPiの平面に対して略平行であるように配向されてもよい。更に、個々の磁性板MP1,MP2,...,MPiが互いに略平行であってもよい。
【0083】
図13,14,15に関連して、以下で説明される本発明のデバイスの主要な実施形態の第2の組において、1つ以上の磁石の磁石配列は、複数の個々の磁石要素MEを含む磁化された磁性板MPを備え、複数の個々の磁石要素は、共に合わさって第1の磁場成分を生み出すとともに、個々の局所双極子状磁場の重ね合わせを第2の磁場成分として生成するように構成される。したがって、主要な実施形態の第2の組では、一緒に、すなわち、同じ磁石により、2つの磁場成分が生成される。
【0084】
磁化された磁性板MPは、複数の個々の磁石要素を含み、あるいは、これらの個々の磁石要素から成り、これらの個々の磁石要素は、磁性板内の少なくとも1つの方向に沿って磁性板MP内に配置され、前記方向が前記第1の方向と略平行であり、また、これらの個々の磁石要素は、実質的に磁性板の平面内に、それらの磁気軸、すなわち、それらのN−S方向を有するとともに、それらのそれぞれの隣接する磁石要素から所定の隙間だけ離間される。隙間は、第1の方向D1に沿うN極及びS極の交互配列に対応する個々の局所双極子状磁場の重ね合わせを第2の交互磁場成分として生成する。また、これらの磁気要素は、共に合わさって、第1の方向に沿って、第1の単調な磁場成分ももたらし、このことは、これらの磁気要素の磁気軸が、磁性板の平面内でランダムに方向付けられず、平面の全体の磁場を共同して生み出すように方向付けられることを意味する。
【0085】
好ましい変形例において、個々の磁石は、磁化された磁性板MP内の第2の方向に沿っても、磁化された磁性板MP内に配置される。第2の方向は、第1の方向とは異なり、それぞれの個々の磁石が、第2の方向に沿ってそのそれぞれの隣接する個々の磁石から所定の隙間だけ離されるようになっており、また、個々の磁石は、それらの磁気軸が磁性板全体の磁場をもたらすように方向付けられる。幾つかの実施形態において、この配置は、「チェックボード」に対する類似性を示し、黒い(又は白い)領域のみが磁気要素を支持する一方で白い領域(黒い領域のそれぞれ)が隙間を表す。
【0086】
これらの違いを除き、主要な実施形態における第2の組の実施形態は、主要な実施形態の第1の組に類似し、したがって、これらの違いに厳格に基づかない主要な実施形態の第1の組に関連する説明のそれぞれの部分は、主要な実施形態の第2の組にも適用される。
【0087】
図13,14,15を参照して、主要な実施形態の第2の組の一例について更に詳しく説明する。
【0088】
図13は、磁性板MP自体が更に双極子磁石DMの機能を担うようにレイアウトされるデバイスを示す。そのような実施形態において、好ましくは永久磁石である多くの磁石要素MEは、前記磁性板MPの平面を形成するとともに、i)交互のN−S極間に間隔(磁石隙間)をもたらすように、また、ii)磁性板の全正味双極子場を前記磁性板MPの平面と略平行な方向D1でもたらすように配置されて固定される。前記間隔(磁石隙間)が空きスペースであってもよい。磁石要素MEが非磁性ベースプレート上に固定されてもよい。あるいは、前記間隔(磁石隙間)が非磁性材料で満たされてもよい。いずれの場合にも、これは、機械的に更に隙間のない構成をもたらすという利点を有する。好ましくは、隙間のサイズと磁石要素MEのサイズとの比率は少なくとも0.1である。
【0089】
図14は、N極がNで示されるとともにS極がSで示されるそのような磁性板の典型的な実施形態の長手方向断面を概略的に描く。
【0090】
図15は、対応する計算された磁場を示す。ここでは随意的な支持プレートSPによって具現化される概略的に描かれる二次元領域の位置で、支持プレートSPの図示の断面に沿った支持プレートSPの平面に対する磁場の磁力線の仰角は、主成分(すなわち、方向D1に沿う巨視的な双極子場の効果)としての単調に減少してもよい前述した第1の関数θ
1と、補助成分(すなわち、磁気ギャップの効果)としての交代関数θ
2との和であり、したがって、
図6に描かれて
図6に関連して前述した状態を反映する。
【0091】
以下の説明も、先と同様に一般に適用でき、したがって、第1又は第2の主要な実施形態に固有のものではない。
【0092】
磁性板MP及び組み合わせ磁性板MP1,MP2,...MPiのそれぞれは、磁性板境界における磁場の偏りに起因する境界効果を回避するために、形成されるべきOELよりも延ばされることが好ましい。
【0093】
前記磁性板MPと主要な実施形態の第1の組の場合には前記組み合わせ磁性板MP1,MP2,...,MPiとのそれぞれを含む、磁石配列の磁石のうちの任意の1つ、並びに、第1の磁石のうちの任意の1つ、例えば前記双極子磁石DMは、永久磁石、電磁石、又は、これらの組み合わせを更に備えてもよい。永久磁石は固定磁場の利点を有し、それにより、使い易さのための全ての方法に関する1つの方法で配向デバイスを組み立てて調整することができる。電磁石は、可変磁場及び極反転を可能にするという利点を有し、これは、1つの同じデバイスを使用して複数の異なる効果のコーティングが実現されなければならない更にフレキシブルな動作において有用である。したがって、フレキシブルな動作を可能にするために、デバイスの磁石の1又は複数が電磁石として具現化されてもよい。電磁石は鉄ヨークとして具現化され、この鉄ヨークは、必要とされる形態及び磁極を有するとともに、通常は絶縁された銅配線又はアルミニウム配線(「磁石配線」)からなる適切な配線巻線を支持し、この場合、対応する磁場を生み出すために電流を立ち上げることができる。
【0094】
例えば
図16,17,18の実施形態において、磁性板MPもしくは双極子磁石DM、又は更に、付加的な垂直磁石VM、あるいは、これらの任意の組み合わせは、可変磁場を可能にするべく電磁石として具現化されてもよい(
図16参照)。
図17及び
図18は、1次元多極磁性板及び2次元多極磁性板のそれぞれに関して、磁極と配線巻線とを伴う鉄ヨークの例示的な実施形態を概略的に示す。また、更に一層差別化される可変磁場のためのデバイスを具現化することもでき、その場合、鉄ヨークの各極にはそれ自体の個々の巻線が設けられる。永久磁石の場合には、任意の種類の永久磁石材料を使用して、磁石を具現化することができ、例えば前述した関連する実施形態では、磁性板MP,MP1,MP2,...,MPi及び双極子磁石DMを具現化することができる。永久磁石は、例えば、アルニコ、バリウム−又はストロンチウム−ヘキサフェライト、コバルト合金、あるいは、レアアース−鉄合金、例えばネオジム−鉄−ホウ素合金からなってもよい。しかしながら、特に好ましいのは、ストロンチウムヘキサフェライト(SrFe
12O
19)又はネオジム−鉄−ホウ素(Nd
2Fe
14B)粉末などの永久磁石フィラーをプラスチックタイプ又はゴムタイプのマトリクス中に備える、容易に加工可能な磁性複合材料である。そのような材料は、当該技術分野では、「プラストフェライト」と見なされてきた。
【0095】
磁性板MP及び組み合わせ磁性板MP1,MP2,...,MPiのそれぞれは、それらのそれぞれの表面上に表面起伏、彫り込み又は切り欠きを支持してもよく、それにより、第1の磁性部品の更なる変調、例えば幾つかの実施形態では双極子磁石DMの更なる変調が引き起こされ、これは、形成されるべきOELにより与えられる像の効果を有するとともに、更に同時に、
図19及び後述する実施例2に示されるように、OELへの図式的な証印の転写を可能にする。
【0096】
本発明の全ての実施形態における一般的な原理として、OELの位置、例えば二次元領域の位置と磁石配列との間の距離dは、第1の関数θ
1に対応する第1の磁場成分と第2の関数θ
2(x)に対応する第2の磁場成分に起因する交番変調との適切なバランスをとるように選択されることが好ましい。一方、小さい距離dに関して、交代する第2の磁場成分が支配的であってもよく、また、巨視的な第1の磁場成分が相対的にかなり無視できてもよい。他方では、大きな距離dに関して、交代する第2の磁場成分が無視できるようになってもよく、また、巨視的な第1の磁場成分が支配的であってもよい(純粋な「ローリングバー」効果に類似する効果をもたらす)。したがって、本発明の好ましい実施形態では、OELの最適化された所望の視覚効果を得るべく、粒子が配向されるときに第1及び第2の磁場成分の両方が適した強度でOELの位置に存在するような距離dが選択される。
【0097】
同様の理由により、好ましくは、(i)前記第1の方向と平行な方向に沿って測定される磁化された磁性板MPの長さと、(ii)前記距離dとの比率は、5.0の値を超える。
【0098】
デバイスは、バインダ材料中の磁性粒子又は磁化可能粒子の配向中にバインダ材料を支持するための表面を有する支持手段を更に備えてもよく、この場合、配向領域が支持手段の表面に隣接する空間として規定されるようになっている。特に、支持手段は、印刷装置のプレート又は回転ユニットであってもよい。また、支持手段は、OELを配向領域内で又はその近傍で支持するための別個のプレートなど、デバイスの別個の構成要素であってもよい。更なる変形において、支持手段は、OELを配向領域内で支持するエアクッションを生成するための構成要素を備えてもよい。本発明の変形において、支持プレートSPは、特に永久磁石材料からなる磁性材料、好ましくはストロンチウムヘキサフェライト(SrFe
12O
19)又はネオジム−鉄−ホウ素(Nd
2Fe
14B)粉末などの永久磁石フィラーをプラスチックタイプ又はゴムタイプのマトリクス中に備える容易に加工可能な磁性複合「プラストフェライト」タイプ材料からなる磁性材料を備える。特に、この変形の好ましい実施形態において、磁性材料の支持プレートSPは、永久に磁化されてもよく、また、表面起伏、彫り込み、又は、切り欠きの形態をなす証印を支持してもよい。(前述した)証印を支持する磁化された磁性板の場合のように、この実施形態は、更に同時に、
図19及び後述する実施例2に示されるように、OELへの図式的な証印の転写を可能にする。
【0099】
デバイスの幾つかの好ましい実施形態において、磁石配列は、一般に、印刷装置の構成要素として構成されてもよい。特に、磁石配列は、印刷装置のプレート内又は回転ユニット内の凹部内へ挿入されるようになっている挿入体として構成されてもよい。このとき、配向領域は、少なくとも部分的に、プレート又は回転ユニットの外面に隣接する空間として規定されてもよく、あるいは、前記表面から所定の距離を隔てた領域として規定されてもよい。幾つかの特定の実施形態では、磁石配列が特に印刷装置のプレート又は円筒状の回転ユニットの凹部内へ挿入されるようになっており、磁石配列が挿入されると、磁石配列の残りの外面がプレートの表面及び回転ユニットの表面のそれぞれと位置合わせされるようになる。そのような場合、磁性板MP、又は、組み合わせ磁性板MP1,MP2,...,MPi、ならびに、随意的な支持プレートSPは、それに対応して設計されるとともに、基体との良好な接触を確保するために回転ユニットの円筒状の表面に適合される。
【0100】
最後に、
図20〜
図22を参照すると、再び主要な実施形態の第1の組に対する例示目的で、多極磁性板MPと双極子磁石DMとの組み合わせの加工原理は、プログラムVizimag 2.5(J.Beeteson,2003)を使用した本発明のそのような実施形態に係るデバイスの磁場の計算によって裏付けられる。計算で使用される磁石配列が
図20に示される。この例において、磁性板MPは、N極及びS極が鉛直方向に交代する、平行に配置された6つの相対強度20の磁石から構成される。磁性板MPの下側に水平に配置される双極子磁石DMは、相対強度100を有する。この磁石配列に基づいて計算された磁場パターンが
図21に描かれる。支持プレートSPを横切る磁場ベクトルの漸進的変化が、太字で描かれる磁力線FLによっておおよそ与えられる。
図22aは、太字で描かれる前記磁力線FLに沿って位置合わせされるプレート状粒子に垂直に入射する光の正反射を描く。
図22bは、太字で描かれる前記磁力線FLに対応するOEL内の色素フレーク配向パターンを描く。
【0101】
ここで、
図22aを参照すると、以下が分かる。
【0102】
i)各領域「1」、「2」、「3」内で、正反射の位置、すなわち、像の明るい部分は、視角の変化に伴って移動するように見える。すなわち、像を上から見ると、「a」のマークが付された位置が正反射状態にあり、また、ここで視角を左上に変えると、「b」のマークが付された位置が正反射状態になる、すなわち、像の明るい部分が左へ移動するように見える。同様に、視角を右上に変えると、「c」のマークが付された位置が正反射状態になる、すなわち、像の明るい部分が右へ移動するように見える。
【0103】
ii)視角の変化に伴う明るい領域の見かけの移動は、他の側から見るときに、すなわち、磁気配向デバイスを下からの代わりに上から適用することにより得られるコーティングの場合、そして、表面側からも裏面側からも見えるような透明な基体上のコーティングの場合、方向を反転させる。
【0104】
iii)幾つかの領域は、限られた視角で視野から完全に「消失」する。すなわち、領域「1」は、左斜め側の視野から略直交視野(領域1の位置「c」)までの範囲の視角で明るく見えるが、右下側の視角では暗く見える(「消失する」)。これは、領域「1」における前記下側の視角では、もはや正反射状態にある色素フレークが存在しないからである。領域「2」は、約30°左側の視野から約30°右側の視野までの範囲の視角で明るく見えるとともに、両側の斜視野で「消失」する。領域「3」は、右側斜視野から略直交視野までの範囲の視角で明るく見えるとともに、左下側の視角で「消失する」。
【0105】
III.OELを形成するための方法
本発明は、OELを形成するための方法と、該方法から得ることができるOELとを更に開示する。視覚効果層を形成する方法は、流体バインダ材料を先のセクションIIで説明したデバイスの磁場に晒すステップを備え、流体バインダ材料は、200nm〜2500nmの範囲の1つ以上の波長の電磁放射線を少なくとも部分的に透過するとともに、非等方性の反射率を有し且つ先のセクションIで説明したように前記バインダ中に、すなわち、OEL中に分散される複数の非球状の磁性粒子又は磁化可能粒子を備える。OELは、デバイスの磁化された磁性板MPの延在表面に隣接する前記領域で磁場に晒され、それにより、バインダ材料中の非球状の磁性粒子又は磁化可能粒子が配向される。方法は、同時に或いはその後に、非球状の磁性粒子又は磁化可能粒子をそれらのとられた位置及び方向で固定するためにバインダ材料を固化させるステップを更に備える。
【0106】
OELは、配向デバイスの複合磁場に晒される間に、配向デバイスの磁性板MPから距離dを隔てて保持されることが好ましい。距離dは、特に0.1〜5ミリメートルの範囲であってもよい。
【0107】
バインダ材料は放射線硬化によって固化されるのが好ましく、これは、硬化放射線に晒された後にコーティング組成物の粘度の瞬間的な増大をもたらし、それにより、粒子の任意の更なる移動が防止され、その結果、磁気配向ステップ後に情報の任意の損失が防止されるという利点を有する。
【0108】
好ましいのは、電磁スペクトルのUVの波長部分又は青色成分(一般的には300nm〜550nm;最も好ましくは380nm〜420nm;「UV可視硬化」)を有する化学光の影響下での光重合による放射線硬化である。UV可視硬化のためのバインダ材料は、それに対応して、少なくとも1つの光開始剤を備えて処方されるべきである。UV可視硬化のための機器は、例えばPHOSEON Technologyから入手可能な高出力発光ダイオード(LED)ランプ、又は、中圧水銀アーク(MPMA)又は金属蒸気アークランプなどのアーク放電ランプを化学線源として備えてもよい。
【0109】
基体と少なくとも1つのOELとを備えるOECの場合、配向デバイスの磁場は、少なくとも1つのOELを支持する基体の側から、又はOELとは反対の基体の側から更に印加されてもよい。好ましくは、基体Sは、OEL中の粒子の配向の最中にデバイスの支持プレートSP上に配置される。
【0110】
方法の特定の実施形態において、磁石の配列、又は、第1の磁場成分を生成する磁石配列の少なくとも一部は、少なくとも概略的にかつ輪状に平均化される磁場を生成するために、配向ステップ中に、OELと略平行な平面内で及び/又はデバイスの磁化された磁性板MPの平面と略平行な平面内で回転される。そのようにして得られるOELは、実質的には好ましい方向を有さないが、OELの平面内の任意の傾斜軸の下で任意の方向に沿って本発明の効果を示す。
【0111】
OECの場合の方法の特定の実施形態において、基体は、表面側及び裏面側の両方からOELを見ることができるようにする透明な基体である。本発明のOELは、注目すべきことに、表面側から又は裏面側からそれぞれ見られれば、視角の変化に伴うその見かけの移動の方向が反転するという特殊性を有する。暗い像要素は、OELの表面側では、見かけ上、視角の増大に伴って前進するが、これらの暗い像要素は、同じOELの裏面側では、見かけ上、視角の増大に伴って退行する。
【0112】
プロセスの更なる他の実施形態によれば、少なくとも第1及び第2のOELが基体Sと同じ表面上で組み合わされ、第1のOELは、OELを支持する基体の側(表面側)から本発明の前述した配向デバイスの磁場を印加することによって配向されて硬化され、また、第2のOELは、OELとは反対の基体の側(裏面側)から前記同じ決定されたデバイスの磁場を印加することによって配向されて硬化される。この場合、第1のOEL及び第2のOELの延在表面内の前記第1の方向dir1は、前記第1及び前記第2の印加において同じである。
【0113】
前記実施形態の更なる変形において、第1及び第2のOELは、少なくとも部分的に、互いの上に配置される。第1の方向、例えば配向デバイスの複合磁場の第1の磁場成分を生成する双極子磁石DMの方向D1に対応するOELの方向が、観察者の2つの眼間の線に沿うように見られると、組み合わされたOELは、セキュリティ要素として又は装飾機能として役立つ3次元奥行き効果を示す。
【0114】
前記実施形態の更なる他の変形は、第1の方向D1がデバイスの前記第1及び前記第2の印加において異なる場合に、又は、第1のデバイスが前記第1の印加において使用され、且つ第2の異なるデバイスが前記第2の印加において使用される場合に得られる。
【0115】
また、前記OELの表面上に、又はOECの基体上に、又はOECの一部上に1つ以上の更なるコーティング又は層を設けることもできる。OECの場合、更なるコーティング又は層は、基体に対して本発明のOELを適用する前又は後に付加されてもよい。特に、磁気的に転写された色素配向像の画質を高めるために、又は、接着を促進させるために、プライマー層が本発明のOELの前に基体に加えられてもよく、及び/又は、例えばOELの耐摩耗性及び耐汚水性を高める役目を果たすか、又はOELの視覚的外観を向上させる、例えば特定のニーズに応じてOELに光沢を付与する、又は艶消しをするのに役立つ保護コーティングが、本発明のOEL上にわたって塗布されてもよい。
【0116】
更なる他の実施形態において、OELは、別個の転写ステップで文書又は物品に対して加えられ得る転写箔の形態で形成される。この目的のため、基体には剥離コーティングが設けられ、該剥離コーティング上に前述したように視覚効果コーティングOELが形成される。そのようにして形成されたOEL上にわたって接着層が塗布されてもよい。
【0117】
本発明に係るOELは、例えば、装飾目的のために、及び、紙幣、有価文書、識別文書、及び、アクセス文書などのセキュリティ文書、金融取引カード、輸送チケット、又は、製品ラベルを保護して認証するために、使用されてもよい。したがって、装飾物体又はセキュリティ文書が本発明に係るOELを支持してもよい。