特許第6261036号(P6261036)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261036
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/44 20060101AFI20180104BHJP
   F23L 1/00 20060101ALI20180104BHJP
   F23G 5/24 20060101ALI20180104BHJP
   F23M 5/00 20060101ALI20180104BHJP
   F23G 5/027 20060101ALI20180104BHJP
   F23G 5/00 20060101ALI20180104BHJP
   F23B 30/02 20060101ALI20180104BHJP
   F23B 50/02 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   F23G5/44 GZAB
   F23L1/00 E
   F23L1/00 B
   F23G5/24 C
   F23M5/00 F
   F23G5/027 Z
   F23G5/00 111
   F23B30/02
   F23B50/02
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-8704(P2014-8704)
(22)【出願日】2014年1月21日
(65)【公開番号】特開2014-159943(P2014-159943A)
(43)【公開日】2014年9月4日
【審査請求日】2017年1月18日
(31)【優先権主張番号】特願2013-12476(P2013-12476)
(32)【優先日】2013年1月25日
(33)【優先権主張国】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.平成25年12月12日に開催された、エコプロダクツ2013にてカタログ配布
(73)【特許権者】
【識別番号】512332390
【氏名又は名称】有限会社 トラスト21
(73)【特許権者】
【識別番号】513020629
【氏名又は名称】株式会社コクブン
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(72)【発明者】
【氏名】宮野 悦甫
(72)【発明者】
【氏名】國分 俊作
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭49−39972(JP,A)
【文献】 特開平11−37432(JP,A)
【文献】 特開平7−310915(JP,A)
【文献】 特開昭48−2972(JP,A)
【文献】 特開2003−336817(JP,A)
【文献】 特開2005−188850(JP,A)
【文献】 特開2011−94818(JP,A)
【文献】 特開2006−153348(JP,A)
【文献】 国際公開第02/29320(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/44
F23B 30/02
F23B 50/02
F23G 5/00
F23G 5/027
F23G 5/24
F23L 1/00
F23M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状燃焼室の中央に垂直送気管を配置し、前記円筒状燃焼室の下部に有機物をガス化するガス化空間を形成し、前記ガス化空間の上方に一次燃焼空間を形成し、前記一次燃焼空間の上方に二次燃焼空間を形成する燃焼装置であって、
前記一次燃焼空間と前記二次燃焼空間との間に位置する燃焼室内壁に、上昇流を阻止する邪魔板を設け、
前記一次燃焼空間に位置する前記垂直送気管に、前記一次燃焼空間内に旋回流を生じるように燃焼空気を噴出する複数の第1ノズルを設け、
前記二次燃焼空間に位置する前記垂直送気管に、前記二次燃焼空間内に旋回流を生じるように燃焼空気を噴出する複数の第2ノズルを設け、
前記一次燃焼空間に位置する前記燃焼室内壁に、前記一次燃焼空間内に旋回流を生じるように燃焼空気を噴出する複数の第3ノズルを設けたことを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記ガス化空間に燃焼空気を噴出する複数の第4ノズルを設け、
前記二次燃焼空間に位置する前記燃焼室内壁に、前記二次燃焼空間内に旋回流を生じるように燃焼空気を噴出する複数の第5ノズルを設けたことを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
複数の前記第3ノズルによる前記旋回流の方向を、複数の前記第1ノズルによる前記旋回流の方向と逆方向とし、
複数の前記第5ノズルによる前記旋回流の方向を、複数の前記第2ノズルによる前記旋回流の方向と逆方向としたことを特徴とする請求項2に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記第2ノズルから噴出される前記燃焼空気の噴出速度を、前記第1ノズルから噴出される前記燃焼空気の噴出速度よりも大きくしたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項5】
全ての前記第1ノズルから噴出される前記燃焼空気の噴出流量を、全ての前記第2ノズルから噴出される前記燃焼空気の噴出流量よりも多くしたことを特徴とする請求項4に記載の燃焼装置。
【請求項6】
前記第1ノズルに前記燃焼空気を供給する第1ノズル用ブロワーと、
前記第2ノズルに前記燃焼空気を供給する第2ノズル用ブロワーと、
前記第3ノズル及び前記第5ノズルに前記燃焼空気を供給する燃焼室内壁用ブロワーと、前記第4ノズルに前記燃焼空気を供給するガス化用ブロワーと
を設けたことを特徴とする請求項5に記載の燃焼装置。
【請求項7】
前記ガス化空間に攪拌部材を設け、前記攪拌部材を回転する駆動源を設けたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項8】
所定値より大きなトルクが加わると前記攪拌部材の回転を停止し、前記トルクが前記所定値以下になると前記攪拌部材を回転することを特徴とする請求項7に記載の燃焼装置。
【請求項9】
前記攪拌部材に前記第4ノズルを設け、前記第4ノズルによる前記噴射の方向を、前記攪拌部材の回転方向としたことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の燃焼装置。
【請求項10】
前記ガス化空間を、第1ガス化室と第2ガス化室とで構成し、
前記第2ガス化室を前記円筒状燃焼室の前記下部に配置し、
前記第1ガス化室を前記第2ガス化室の側方に配置し、
前記攪拌部材を前記第2ガス化室に設け、
前記第1ガス化室に前記燃焼空気を噴出する第6ノズルを設け、
前記第6ノズルに前記燃焼空気を供給する第1ガス化室用ブロワーを設けたことを特徴とする請求項7から請求項9のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項11】
前記第1ガス化室と前記第2ガス化室とを、それぞれ耐火キャスターで形成し、
前記第1ガス化室を前記第2ガス化室から取り外し可能に設けたことを特徴とする請求項10に記載の燃焼装置。
【請求項12】
前記円筒状燃焼室を、分離可能な複数の耐火キャスターで形成したことを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項13】
前記一次燃焼空間に位置する前記垂直送気管に、水平方向に伸びる複数の第1水平送気管を設け、
前記二次燃焼空間に位置する前記垂直送気管に、水平方向に伸びる複数の第2水平送気管を設け、
前記第1水平送気管に、前記第1ノズルを設け、
前記第2水平送気管に、前記第2ノズルを設け、
前記第1水平送気管よりも前記第2水平送気管を長くしたことを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項14】
全ての前記第1ノズルから噴出される前記燃焼空気の噴出流量よりも、全ての前記第2ノズルから噴出される前記燃焼空気の噴出流量を多くしたことを特徴とする請求項13に記載の燃焼装置。
【請求項15】
全ての前記第1ノズル及び全ての前記第3ノズルから噴出される前記燃焼空気の噴出流量よりも、全ての前記第2ノズルから噴出される前記燃焼空気の前記噴出流量を多くしたことを特徴とする請求項14に記載の燃焼装置。
【請求項16】
全ての前記第1ノズル及び全ての前記第3ノズルから噴出される前記燃焼空気の前記噴出流量よりも、全ての前記第4ノズルから噴出される前記燃焼空気の噴出流量を少なくしたことを特徴とする請求項2に記載の燃焼装置。
【請求項17】
前記第4ノズルから噴出される前記燃焼空気の噴出速度を、前記第1ノズルから噴出される前記燃焼空気の噴出速度よりも大きくしたことを特徴とする請求項16に記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水ボイラー、冷暖房機の熱源として利用できる燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、木チップ、蓄糞、籾殻、食物残渣などの有機物を熱源とした燃焼装置が多数提案されている。
例えば、燃焼炉全体的に可燃ガスの分布を広く安定させて分布させることにより、良好な燃焼状態を確保することができる小型焼却装置が提案されている(特許文献1)。
特許文献1は、燃焼炉の軸線と平行に散気孔管を配置し、散気孔管には、燃焼炉の底部から上部へかけて複数段のノズル群を形成している。そして、最下段にある第1のノズル群内のノズルは燃焼炉の炉床位置から測って散気孔管全長の10%以内の位置に設けるとともに第1のノズル群のノズル全数の断面積合計値を、散気孔管全ノズル総断面積の5%以上15%以下の範囲内として、残りの85%以上95%以下のノズルの面積を第2のノズル群より上部のノズル群に割り当てるようにしている。
特許文献1では、ノズル列をいくつかのノズル群に偏在させることによって火焔もいくつかのグループにまとまり、空気の噴気流を連続した面状にまとめることによって、上層の火焔と下層の火焔が互いに隣の層の燃焼とガスの流動による影響を受けにくくなり各々独立した燃焼とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−188850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のように、散気孔管に形成しているノズル群からの噴出空気だけでは、燃焼ガスの上昇流動を押さえて、火焔を複数のグループに分け、独立した燃焼とするまでには至らない。
【0005】
本発明は、一次燃焼空間での燃焼ガスの滞留時間を長くでき、二次燃焼空間での二次燃焼効率を高めることができる燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の燃焼装置は、円筒状燃焼室の中央に垂直送気管を配置し、前記円筒状燃焼室の下部に有機物をガス化するガス化空間を形成し、前記ガス化空間の上方に一次燃焼空間を形成し、前記一次燃焼空間の上方に二次燃焼空間を形成する燃焼装置であって、前記一次燃焼空間と前記二次燃焼空間との間に位置する燃焼室内壁に、上昇流を阻止する邪魔板を設け、前記一次燃焼空間に位置する前記垂直送気管に、前記一次燃焼空間内に旋回流を生じるように燃焼空気を噴出する複数の第1ノズルを設け、前記二次燃焼空間に位置する前記垂直送気管に、前記二次燃焼空間内に旋回流を生じるように燃焼空気を噴出する複数の第2ノズルを設け、前記一次燃焼空間に位置する前記燃焼室内壁に、前記一次燃焼空間内に旋回流を生じるように燃焼空気を噴出する複数の第3ノズルを設けたことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の燃焼装置において、前記ガス化空間に燃焼空気を噴出する複数の第4ノズルを設け、前記二次燃焼空間に位置する前記燃焼室内壁に、前記二次燃焼空間内に旋回流を生じるように燃焼空気を噴出する複数の第5ノズルを設けたことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の燃焼装置において、複数の前記第3ノズルによる前記旋回流の方向を、複数の前記第1ノズルによる前記旋回流の方向と逆方向とし、複数の前記第5ノズルによる前記旋回流の方向を、複数の前記第2ノズルによる前記旋回流の方向と逆方向としたことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の燃焼装置において、前記第2ノズルから噴出される前記燃焼空気の噴出速度を、前記第1ノズルから噴出される前記燃焼空気の噴出速度よりも大きくしたことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項4に記載の燃焼装置において、全ての前記第1ノズルから噴出される前記燃焼空気の噴出流量を、全ての前記第2ノズルから噴出される前記燃焼空気の噴出流量よりも多くしたことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項5に記載の燃焼装置において、前記第1ノズルに前記燃焼空気を供給する第1ノズル用ブロワーと、前記第2ノズルに前記燃焼空気を供給する第2ノズル用ブロワーと、前記第3ノズル及び前記第5ノズルに前記燃焼空気を供給する燃焼室内壁用ブロワーと、前記第4ノズルに前記燃焼空気を供給するガス化用ブロワーとを設けたことを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の燃焼装置において、前記ガス化空間に攪拌部材を設け、前記攪拌部材を回転する駆動源を設けたことを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項7に記載の燃焼装置において、所定値より大きなトルクが加わると前記攪拌部材の回転を停止し、前記トルクが前記所定値以下になると前記攪拌部材を回転することを特徴とする。
請求項9記載の本発明は、請求項7又は請求項8に記載の燃焼装置において、前記攪拌部材に前記第4ノズルを設け、前記第4ノズルによる前記噴射の方向を、前記攪拌部材の回転方向としたことを特徴とする。
請求項10記載の本発明は、請求項7から請求項9のいずれかに記載の燃焼装置において、前記ガス化空間を、第1ガス化室と第2ガス化室とで構成し、前記第2ガス化室を前記円筒状燃焼室の前記下部に配置し、前記第1ガス化室を前記第2ガス化室の側方に配置し、前記攪拌部材を前記第2ガス化室に設け、前記第1ガス化室に前記燃焼空気を噴出する第6ノズルを設け、前記第6ノズルに前記燃焼空気を供給する第1ガス化室用ブロワーを設けたことを特徴とする。
請求項11記載の本発明は、請求項10に記載の燃焼装置において、前記第1ガス化室と前記第2ガス化室とを、それぞれ耐火キャスターで形成し、前記第1ガス化室を前記第2ガス化室から取り外し可能に設けたことを特徴とする。
請求項12記載の本発明は、請求項1に記載の燃焼装置において、前記円筒状燃焼室を、分離可能な複数の耐火キャスターで形成したことを特徴とする。
請求項13記載の本発明は、請求項1に記載の燃焼装置において、前記一次燃焼空間に位置する前記垂直送気管に、水平方向に伸びる複数の第1水平送気管を設け、前記二次燃焼空間に位置する前記垂直送気管に、水平方向に伸びる複数の第2水平送気管を設け、前記第1水平送気管に、前記第1ノズルを設け、前記第2水平送気管に、前記第2ノズルを設け、前記第1水平送気管よりも前記第2水平送気管を長くしたことを特徴とする。
請求項14記載の本発明は、請求項13に記載の燃焼装置において、全ての前記第1ノズルから噴出される前記燃焼空気の噴出流量よりも、全ての前記第2ノズルから噴出される前記燃焼空気の噴出流量を多くしたことを特徴とする。
請求項15記載の本発明は、請求項14に記載の燃焼装置において、全ての前記第1ノズル及び全ての前記第3ノズルから噴出される前記燃焼空気の噴出流量よりも、全ての前記第2ノズルから噴出される前記燃焼空気の前記噴出流量を多くしたことを特徴とする。
請求項16記載の本発明は、請求項2に記載の燃焼装置において、全ての前記第1ノズル及び全ての前記第3ノズルから噴出される前記燃焼空気の前記噴出流量よりも、全ての前記第4ノズルから噴出される前記燃焼空気の噴出流量を少なくしたことを特徴とする。
請求項17記載の本発明は、請求項16に記載の燃焼装置において、前記第4ノズルから噴出される前記燃焼空気の噴出速度を、前記第1ノズルから噴出される前記燃焼空気の噴出速度よりも大きくしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、邪魔板によって一次燃焼空間での燃焼ガスの滞留時間を長くできるため燃焼効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例による燃焼装置の縦断面構成図
図2図1のX−X線断面図
図3図1のY−Y線断面図
図4図1のZ−Z線断面図
図5】本発明の他の実施例による燃焼装置の縦断面構成図
図6】同燃焼装置の一次燃焼空間を示す断面図
図7】同燃焼装置の二次燃焼空間を示す断面図
図8】同燃焼装置のガス化空間を示す断面図
図9】同燃焼装置の異なる使用態様を示す縦断面構成図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による燃焼装置は、一次燃焼空間と二次燃焼空間との間に位置する燃焼室内壁に、上昇流を阻止する邪魔板を設け、一次燃焼空間に位置する垂直送気管に、一次燃焼空間内に旋回流を生じるように燃焼空気を噴出する複数の第1ノズルを設け、二次燃焼空間に位置する垂直送気管に、二次燃焼空間内に旋回流を生じるように燃焼空気を噴出する複数の第2ノズルを設け、一次燃焼空間に位置する燃焼室内壁に、一次燃焼空間内に旋回流を生じるように燃焼空気を噴出する複数の第3ノズルを設けたものである。本実施の形態によれば、邪魔板によって一次燃焼空間での燃焼ガスの滞留時間を長くできるため燃焼効率を高めることができ、第3ノズルによって燃焼室内壁に沿って上昇する燃焼ガスを、燃焼室内壁から剥離させて渦流を発生させることで上昇速度を遅らせ、一次燃焼空間での燃焼効率を高めることができる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による燃焼装置において、ガス化空間に燃焼空気を噴出する複数の第4ノズルを設け、二次燃焼空間に位置する燃焼室内壁に、二次燃焼空間内に旋回流を生じるように燃焼空気を噴出する複数の第5ノズルを設けたものである。本実施の形態によれば、第4ノズルによってガス化を促進し、第5ノズルによって燃焼室内壁に沿って上昇する燃焼ガスを、燃焼室内壁から剥離させて渦流を発生させることで上昇速度を遅らせ、二次燃焼空間での燃焼効率を高めることができる。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態による燃焼装置において、複数の第3ノズルによる旋回流の方向を、複数の第1ノズルによる旋回流の方向と逆方向とし、複数の第5ノズルによる旋回流の方向を、複数の第2ノズルによる旋回流の方向と逆方向としたものである。本実施の形態によれば、第3ノズルによって燃焼室内壁に沿って上昇する燃焼ガスを、第1ノズルによる旋回流の方向と逆方向とすることで、更に上昇速度を遅らせて一次燃焼空間での燃焼効率を高め、第5ノズルによって燃焼室内壁に沿って上昇する燃焼ガスを、第2ノズルによる旋回流の方向と逆方向とすることで、更に上昇速度を遅らせて二次燃焼空間での燃焼効率を高めることができる。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3のいずれかの実施の形態による燃焼装置において、第2ノズルから噴出される燃焼空気の噴出速度を、第1ノズルから噴出される燃焼空気の噴出速度よりも大きくしたものである。本実施の形態によれば、二次燃焼空間での旋回流を早くすることで、二次燃焼空間での渦流の発生を高めるとともに一次燃焼空間からの上昇を抑え、燃焼効率を高めることができる。
【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第4の実施の形態による燃焼装置において、全ての第1ノズルから噴出される燃焼空気の噴出流量を、全ての第2ノズルから噴出される燃焼空気の噴出流量よりも多くしたものである。本実施の形態によれば、一次燃焼空間での燃焼効率を高めることができる。
【0014】
本発明の第6の実施の形態は、第5の実施の形態による燃焼装置において、第1ノズルに燃焼空気を供給する第1ノズル用ブロワーと、第2ノズルに燃焼空気を供給する第2ノズル用ブロワーと、第3ノズル及び第5ノズルに燃焼空気を供給する燃焼室内壁用ブロワーと、第4ノズルに燃焼空気を供給するガス化用ブロワーとを設けたものである。本実施の形態によれば、一次燃焼空間、二次燃焼空間、及びガス化空間に供給する燃焼空気量や噴出速度をそれぞれ異ならせることができる。
【0015】
本発明の第7の実施の形態は、第1から第6の実施の形態による燃焼装置において、ガス化空間に攪拌部材を設け、攪拌部材を回転する駆動源を設けたものである。本実施の形態によれば、有機物のガス化を促進することができる。
【0016】
本発明の第8の実施の形態は、第7の実施の形態による燃焼装置において、所定値より大きなトルクが加わると攪拌部材の回転を停止し、トルクが所定値以下になると攪拌部材を回転するものである。本実施の形態によれば、有機物のガス化の状態に応じて攪拌できるとともに、省エネ効果を有する。
【0017】
本発明の第9の実施の形態は、第7又は第8の実施の形態による燃焼装置において、攪拌部材に第4ノズルを設け、第4ノズルによる噴射の方向を、攪拌部材の回転方向としたものである。本実施の形態によれば、攪拌部材の回転方向に溜まる有機物に対して第4ノズルから燃焼空気を噴出させるため、有機物の分離を促進するとともに有機物の隙間に燃焼空気を吹き込むことで燃焼を高めることができる。
【0018】
本発明の第10の実施の形態は、第7から第9のいずれかの実施の形態による燃焼装置において、ガス化空間を、第1ガス化室と第2ガス化室とで構成し、第2ガス化室を円筒状燃焼室の下部に配置し、第1ガス化室を第2ガス化室の側方に配置し、攪拌部材を第2ガス化室に設け、第1ガス化室に燃焼空気を噴出する第6ノズルを設け、第6ノズルに燃焼空気を供給する第1ガス化室用ブロワーを設けたものである。本実施の形態によれば、第1ガス室と第2ガス室とで水分含有率の高い有機物の炭化を促進し、燃焼性の高い燃焼ガスを発生させることができる。
【0019】
本発明の第11の実施の形態は、第10の実施の形態による燃焼装置において、第1ガス化室と第2ガス化室とを、それぞれ耐火キャスターで形成し、第1ガス化室を第2ガス化室から取り外し可能に設けたものである。本実施の形態によれば、既に乾燥させた有機物を用いる場合には、第1ガス室を取り外して用いることができ、水分含有率の高い有機物であっても、あらかじめ乾燥させた有機物であっても対応できる。
【0020】
本発明の第12の実施の形態は、第1の実施の形態による燃焼装置において、円筒状燃焼室を、分離可能な複数の耐火キャスターで形成したものである。本実施の形態によれば、ユニット化することで車輌での運搬移動を容易に行え、農道や山道などの狭い道での移動を可能にする。
【0021】
本発明の第13の実施の形態は、第1の実施の形態による燃焼装置において、一次燃焼空間に位置する垂直送気管に、水平方向に伸びる複数の第1水平送気管を設け、二次燃焼空間に位置する垂直送気管に、水平方向に伸びる複数の第2水平送気管を設け、第1水平送気管に、第1ノズルを設け、第2水平送気管に、第2ノズルを設け、第1水平送気管よりも第2水平送気管を長くしたものである。本実施の形態によれば、第2水平送気管を第1水平送気管よりも長くすることで、二次燃焼空間に燃焼空気を均一に供給して二次燃焼を促進することができる。
【0022】
本発明の第14の実施の形態は、第13の実施の形態による燃焼装置において、全ての第1ノズルから噴出される燃焼空気の噴出流量よりも、全ての第2ノズルから噴出される燃焼空気の噴出流量を多くしたものである。本実施の形態によれば、二次燃焼空間での燃焼を促進することで、燃焼効率を高め、燃焼ガスを完全燃焼させることができる。
【0023】
本発明の第15の実施の形態は、第14の実施の形態による燃焼装置において、全ての第1ノズル及び全ての第3ノズルから噴出される燃焼空気の噴出流量よりも、全ての第2ノズルから噴出される燃焼空気の噴出流量を多くしたものである。本実施の形態によれば、二次燃焼空間での燃焼を促進することで、燃焼効率を高め、完全燃焼を行わせることができる。
【0024】
本発明の第16の実施の形態は、第2の実施の形態による燃焼装置において、全ての第1ノズル及び全ての第3ノズルから噴出される燃焼空気の噴出流量よりも、全ての第4ノズルから噴出される燃焼空気の噴出流量を少なくしたものである。本実施の形態によれば、ガス化空間での燃焼を押さえて、有機物のガス化を促進することができる。
【0025】
本発明の第17の実施の形態は、第16の実施の形態による燃焼装置において、第4ノズルから噴出される燃焼空気の噴出速度を、第1ノズルから噴出される燃焼空気の噴出速度よりも大きくしたものである。本実施の形態によれば、投入された有機物の内部でのガス化を促進することができる。
【実施例】
【0026】
以下に本発明の一実施例による燃焼装置を図1から図4に示す。
図1は本実施例による燃焼装置の縦断面構成図、図2図1のX−X線断面図、図3図1のY−Y線断面図、図4図1のZ−Z線断面図である。
【0027】
本実施例による燃焼装置は、円筒状燃焼室10の中央に鉛直方向に垂直送気管20を配置している。
円筒状燃焼室10は、下部に有機物をガス化するガス化空間Aを形成し、ガス化空間A上方に一次燃焼空間Bを形成し、一次燃焼空間Bの上方に二次燃焼空間Cを形成する。
一次燃焼空間Bと二次燃焼空間Cとの間に位置する燃焼室内壁11には邪魔板31を設けている。また、二次燃焼空間Cの上部に位置する燃焼室内壁11には邪魔板32を設けている。邪魔板31は一次燃焼空間Bに位置する燃焼室内壁11に沿って上昇する燃焼ガスの上昇流を阻止して一次燃焼空間Bでの燃焼ガスの滞留時間を長くする。また、邪魔板32は二次燃焼空間Cに位置する燃焼室内壁11に沿って上昇する燃焼ガスの上昇流を阻止して二次燃焼空間Cでの燃焼ガスの滞留時間を長くする。邪魔板31、32は、リング状部材を燃焼室内壁11にフランジ状に設けることで、通路断面積を縮小している。
垂直送気管20は、外管21と内管22との二重管で構成され、内管22内に空気通路23が形成され、外管21と内管22との間に水路24が形成されている。空気通路22には、第1ブロワー(第1ノズル用ブロワー及び第2ノズル用ブロワー)41から燃焼空気が供給される。水路24には、水タンク42から冷却水が供給される。垂直送気管20に水路24を形成して冷却水を供給することで、垂直送気管20を保護することができる。
【0028】
垂直送気管20には、水平方向に伸びる複数の第1水平送気管51と、水平方向に伸びる複数の第2水平送気管52とを設けている。
第1水平送気管51は、一次燃焼空間Bに位置する垂直送気管20に設け、第2水平送気管52は、二次燃焼空間Cに位置する垂直送気管20に設けている。
本実施例では、一次燃焼空間Bに位置する第1水平送気管51は、同一平面上に放射状に等間隔に6本配置し、垂直方向に3段設けている。また、二次燃焼空間Cに位置する第2水平送気管52についても、同一平面上に放射状に等間隔に6本配置し、垂直方向に3段設けている。第2水平送気管52は、第1水平送気管51よりも長くしている。第2水平送気管52を第1水平送気管51よりも長くすることで、二次燃焼空間Cに燃焼空気を均一に供給して二次燃焼を促進することができる。
【0029】
それぞれの第1水平送気管51には、一次燃焼空間B内に旋回流を生じるように燃焼空気を噴出する複数の第1ノズル51aを設けている。それぞれの第2水平送気管52には、二次燃焼空間C内に旋回流を生じるように燃焼空気を噴出する複数の第2ノズル52aと、二次燃焼空間C内の燃焼室内壁11に向けて燃焼空気を噴出する径方向ノズル52bとを設けている。
第1ノズル51a及び第2ノズル52aは、水平方向に燃焼空気を噴き出すことで旋回流を生じさせる。なお、第1ノズル51a及び第2ノズル52aは、水平よりも斜め下方向に燃焼空気を噴き出させることで、燃焼ガスの上昇を抑制することができる。
【0030】
径方向ノズル52bを設けない場合には、全ての第1ノズル51aから噴出される燃焼空気の噴出流量よりも、全ての第2ノズル52aから噴出される燃焼空気の噴出流量を多くしている。一次燃焼空間Bと二次燃焼空間Cとの空間大きさが同じ場合には、全ての第2ノズル52aから噴出される燃焼空気の噴出流量は、全ての第1ノズル51aから噴出される燃焼空気の噴出流量の2倍以上、好ましくは3倍以上とする。すなわち、全ての第2ノズル52aから噴出される燃焼空気の単位体積当たりの噴出流量は、全ての第1ノズル51aから噴出される燃焼空気の単位体積当たりの噴出流量の2倍以上、好ましくは3倍以上とする。
全ての第1ノズル51aから噴出される燃焼空気の噴出流量よりも、全ての第2ノズル52aから噴出される燃焼空気の噴出流量を多くすることで、二次燃焼空間Cでの燃焼を促進でき、燃焼効率を高め、燃焼ガスを完全燃焼させることができる。
また本実施例のように、径方向ノズル52bを設ける場合には、全ての第1ノズル51aから噴出される燃焼空気の噴出流量よりも、全ての第2ノズル52a及び径方向ノズル52bから噴出される燃焼空気の噴出流量を多くしている。全ての第2ノズル52a及び径方向ノズル52bから噴出される燃焼空気の単位体積当たりの噴出流量は、全ての第1ノズル51aから噴出される燃焼空気の単位体積当たりの噴出流量の2倍以上、好ましくは3倍以上とする。
【0031】
一次燃焼空間Bに位置する燃焼室内壁11に、一次燃焼空間B内に旋回流を生じるように燃焼空気を噴出する複数の第3ノズル53aを設けることが好ましい。第3ノズル53aを設けることで、一次燃焼空間Bの燃焼室内壁11に沿って上昇する燃焼ガス流れを燃焼室内壁11から引き離して旋回流とすることができ、一次燃焼効率を高めることができる。
第3ノズル53aは、円筒状燃焼室10の壁面に埋め込まれた第3送気管53に形成されている。第3ノズル53aは、燃焼室内壁11の接線方向から45度以内の範囲でかつ水平方向に燃焼空気を噴き出すことで旋回流を生じさせる。なお、第3ノズル53aは、水平よりも斜め下方向に燃焼空気を噴き出させることで、燃焼ガスの上昇を抑制することができる。第3送気管53には、第2ブロワー(燃焼室内壁用ブロワー)43から燃焼空気が供給される。
【0032】
本実施例のように、第3ノズル53aを設ける場合には、全ての第1ノズル51a及び全ての第3ノズル53aから噴出される燃焼空気の噴出流量よりも、全ての第2ノズル52aから噴出される燃焼空気の噴出流量を多くしている。全ての第2ノズル52aから噴出される燃焼空気の単位体積当たりの噴出流量は、全ての第1ノズル51a及び全ての第3ノズル53aから噴出される燃焼空気の単位体積当たりの噴出流量の2倍以上、好ましくは3倍以上とする。
また、径方向ノズル52bを設ける場合には、全ての第1ノズル51a及び全ての第3ノズル53aから噴出される燃焼空気の噴出流量よりも、全ての第2ノズル52a及び径方向ノズル52bから噴出される燃焼空気の噴出流量を多くする。全ての第2ノズル52a及び径方向ノズル52bから噴出される燃焼空気の単位体積当たりの噴出流量は、全ての第1ノズル51a及び全ての第3ノズル53aから噴出される燃焼空気の単位体積当たりの噴出流量の2倍以上、好ましくは3倍以上とする。
全ての第1ノズル51a及び全ての第3ノズル53aから噴出される燃焼空気の噴出流量よりも、全ての第2ノズル52aから噴出される燃焼空気の噴出流量を多くすることで、二次燃焼空間Cでの燃焼を促進でき、燃焼効率を高め、燃焼ガスを完全燃焼させることができる。
【0033】
円筒状燃焼室10の下部は、すり鉢状に形成されている。すなわち、すり鉢状に形成された円筒状燃焼室10の下部は、傾斜面12が形成される。
傾斜面12には、ガス化空間Aに燃焼空気を噴出する複数の第4ノズル54aを設けている。第4ノズル54aは、円筒状燃焼室10の傾斜面12に埋め込まれた第4送気管54に形成されている。第4ノズル54aは、ガス化空間Aに向けて燃焼空気を噴き出す。第4送気管54には、第3ブロワー(ガス化用ブロワー)44から燃焼空気が供給される。
【0034】
全ての第4ノズル54aから噴出される燃焼空気の噴出流量は、全ての第1ノズル51a及び全ての第3ノズル53aから噴出される燃焼空気の噴出流量よりも少なくしている。全ての第4ノズル54aから噴出される燃焼空気の単位体積当たりの噴出流量は、全ての第1ノズル51a及び全ての第3ノズル53aから噴出される燃焼空気の単位体積当たりの噴出流量の1/2以下、好ましくは1/3以下とする。全ての第4ノズル54aから噴出される燃焼空気の噴出流量を、全ての第1ノズル51a及び全ての第3ノズル53aから噴出される燃焼空気の噴出流量よりも少なくすることで、ガス化空間Aでの燃焼を押さえて、有機物のガス化を促進することができる。
第4ノズル54aから噴出される燃焼空気の噴出速度は、第1ノズル51a、第2ノズル52a、又は第3ノズル53aから噴出される燃焼空気の噴出速度よりも大きくしている。第4ノズル54aから噴出される燃焼空気の噴出速度を、第1ノズル51a、第2ノズル52a、又は第3ノズル53aから噴出される燃焼空気の噴出速度よりも大きくすることで、投入された有機物の内部でのガス化を促進することができる。
【0035】
ガス化空間Aには、攪拌部材61と火格子62とを設けている。火格子62は攪拌部材61よりも下方に配置している。攪拌部材61及び火格子62には、複数の開口が形成されており、炭化した有機物を落下させる。攪拌部材61及び火格子62は、駆動軸63によって回転し、駆動軸63は駆動源45によって回転する。攪拌部材61及び火格子62を駆動源45によって回転することで、有機物のガス化を促進することができる。
攪拌部材61に所定値より大きなトルクが加わると駆動軸63は回転を停止し、攪拌部材61に加わるトルクが所定値以下になると駆動軸63を回転することで、有機物のガス化の状態に応じて攪拌できるとともに、省エネ効果を有する。
なお、ガス化空間Aよりも上方には燃焼物投入口13を設けている。
【0036】
本実施例のように、第1ノズル51a及び第2ノズル52aに燃焼空気を供給する第1ブロワー(第1ノズル用ブロワー及び第2ノズル用ブロワー)41と、第3ノズル53aに燃焼空気を供給する第2ブロワー(燃焼室内壁用ブロワー)43と、第4ノズル54aに燃焼空気を供給する第3ブロワー(ガス化用ブロワー)44とを設けることで、第1ノズル51a(又は第2ノズル52a)と、第3ノズル53aと、第4ノズル54aとから噴出させる燃焼空気量や噴出速度をそれぞれ異ならせることができる。
また、第1ノズル51a及び第2ノズル52aは、共通の第1ブロワー41(第1ノズル用ブロワー及び第2ノズル用ブロワー)によって燃焼空気を供給するが、第1水平送気管51と第2水平送気管52との長さを異ならせ、第1ノズル51aと第2ノズル52aとの数や大きさを異ならせることで、第1ノズル51aと第2ノズル52aとから噴出させる燃焼空気量や噴出速度をそれぞれ異ならせることができる。なお、第1ブロワー41を、第1ノズル用ブロワーと第2ノズル用ブロワーとに分けてもよい。
【0037】
以下に本発明の他の実施例による燃焼装置を図5から図9に示す。
図5は本実施例による燃焼装置の縦断面構成図、図6は同燃焼装置の一次燃焼空間を示す断面図、図7は同燃焼装置の二次燃焼空間を示す断面図、図8は同燃焼装置のガス化空間を示す断面図、図9は同燃焼装置の異なる使用態様を示す縦断面構成図である。
【0038】
本実施例による燃焼装置は、円筒状燃焼室10の中央に鉛直方向に垂直送気管20を配置している。
円筒状燃焼室10は、下部に有機物をガス化するガス化空間Aを形成し、ガス化空間A上方に一次燃焼空間Bを形成し、一次燃焼空間Bの上方に二次燃焼空間Cを形成する。
円筒状燃焼室10は、分離可能な複数の耐火キャスターで形成している。本実施例では、一次燃焼空間Bを形成する一次燃焼空間ユニット、二次燃焼空間C及びその上部を形成する二次燃焼空間ユニット、二次燃焼空間Cの上部空間を形成するとともに垂直送気管20を通す貫通孔を形成する蓋体ユニットとで構成している。円筒状燃焼室10を、一次燃焼空間ユニット、二次燃焼空間ユニット、及び蓋体ユニットとで構成し、一次燃焼空間ユニット、二次燃焼空間ユニット、及び蓋体ユニットを順に積み上げて連結できる構成とすることで、車輌での運搬移動を容易に行え、農道や山道などの狭い道での移動を可能にする。
【0039】
一次燃焼空間Bと二次燃焼空間Cとの間に位置する燃焼室内壁11には邪魔板31を設けている。また、二次燃焼空間Cの上部に位置する燃焼室内壁11には邪魔板32を設けている。邪魔板31は一次燃焼空間Bに位置する燃焼室内壁11に沿って上昇する燃焼ガスの上昇流を阻止して一次燃焼空間Bでの燃焼ガスの滞留時間を長くする。また、邪魔板32は二次燃焼空間Cに位置する燃焼室内壁11に沿って上昇する燃焼ガスの上昇流を阻止して二次燃焼空間Cでの燃焼ガスの滞留時間を長くする。邪魔板31、32は、リング状部材を燃焼室内壁11にフランジ状に設けることで、通路断面積を縮小している。
垂直送気管20は、第1ノズル51aに燃焼空気を供給する第1送気管23aと、第2ノズル52aに燃焼空気を供給する第2送気管23bとの二重管で構成されている。第1送気管23aには、第1ノズル用ブロワー41aから燃焼空気が供給される。第2送気管23bには、第2ノズル用ブロワー41bから燃焼空気が供給される。
【0040】
一次燃焼空間Bに位置する垂直送気管20である第1送気管23aには、一次燃焼空間B内に旋回流を生じるように燃焼空気を噴出する複数の第1ノズル51aを複数段設け、二次燃焼空間Cに位置する垂直送気管20である第2送気管23bには、二次燃焼空間C内に旋回流を生じるように燃焼空気を噴出する複数の第2ノズル52aを複数段設けている。
また、一次燃焼空間Bに位置する燃焼室内壁11には、一次燃焼空間B内に旋回流を生じるように燃焼空気を噴出する複数の第3ノズル53aを複数段設け、攪拌部材61には、ガス化空間Aに燃焼空気を噴出する複数の第4ノズル54bを複数段設け、二次燃焼空間Cに位置する燃焼室内壁11には、二次燃焼空間C内に旋回流を生じるように燃焼空気を噴出する複数の第5ノズル55aを複数段設けている。
なお、第1送気管23aは、二次燃焼空間Cでは第2送気管23bの内部を貫通し、一次燃焼空間Bに延出している。
燃焼室内壁用ブロワー43は、第3ノズル53a及び第5ノズル55aに燃焼空気を供給する。ガス化用ブロワー44は、第4ノズル54bに燃焼空気を供給する。
本実施例によれば、第1ノズル用ブロワー41aと、第2ノズル用ブロワー41bと、燃焼室内壁用ブロワー43と、ガス化用ブロワー44とを設けることで、一次燃焼空間B、二次燃焼空間C、及びガス化空間Aに供給する燃焼空気量や噴出速度をそれぞれ異ならせることができる。
第2ノズル52aから噴出される燃焼空気の噴出速度は、第1ノズル51aから噴出される燃焼空気の噴出速度よりも大きくしている。本実施例によれば、二次燃焼空間Cでの旋回流を早くすることで、二次燃焼空間Cでの渦流の発生を高めるとともに一次燃焼空間Bからの上昇を抑え、燃焼効率を高めることができる。
また、全ての第1ノズル51aから噴出される燃焼空気の噴出流量は、全ての第2ノズル52aから噴出される燃焼空気の噴出流量よりも多くしている。本実施例によれば、一次燃焼空間Bでの燃焼効率を高めることができる。
【0041】
図6に示すように、第1ノズル51aは、第1送気管23aの円周方向に燃焼空気を噴き出すことで旋回流を生じさせる。
また、第3ノズル53aについても、燃焼室内壁11に沿って燃焼空気を噴き出すことで旋回流を生じさせる。ただし、第3ノズル53aによる旋回流の方向は、第1ノズル51aによる旋回流の方向と逆方向としている。
なお、第1ノズル51a及び第3ノズル53aは、水平方向又は水平よりも斜め下方向に燃焼空気を噴き出させることで、燃焼ガスの上昇を抑制することができる。
本実施例によれば、邪魔板31によって一次燃焼空間Bでの燃焼ガスの滞留時間を長くできるため燃焼効率を高めることができ、第3ノズル53aによって燃焼室内壁11に沿って上昇する燃焼ガスを、燃焼室内壁11から剥離させて渦流を発生させることで上昇速度を遅らせ、一次燃焼空間Bでの燃焼効率を高めることができる。
また、本実施例によれば、第3ノズル53aによって燃焼室内壁11に沿って上昇する燃焼ガスを、第1ノズル51aによる旋回流の方向と逆方向とすることで、更に上昇速度を遅らせて一次燃焼空間Bでの燃焼効率を高めることができる。
【0042】
図7に示すように、第2ノズル52aは、第2送気管23bの円周方向に燃焼空気を噴き出すことで旋回流を生じさせる。
また、第5ノズル55aについても、燃焼室内壁11に沿って燃焼空気を噴き出すことで旋回流を生じさせる。ただし、第5ノズル55aによる旋回流の方向は、第2ノズル52aによる旋回流の方向と逆方向としている。
なお、第2ノズル52a及び第5ノズル55aは、水平方向又は水平よりも斜め下方向に燃焼空気を噴き出させることで、燃焼ガスの上昇を抑制することができる。
本実施例によれば、邪魔板32によって二次燃焼空間Cでの燃焼ガスの滞留時間を長くできるため燃焼効率を高めることができ、第5ノズル55aによって燃焼室内壁11に沿って上昇する燃焼ガスを、燃焼室内壁11から剥離させて渦流を発生させることで上昇速度を遅らせ、一次燃焼空間Bでの燃焼効率を高めることができる。
また、本実施例によれば、第5ノズル55aによって燃焼室内壁11に沿って上昇する燃焼ガスを、第2ノズル52aによる旋回流の方向と逆方向とすることで、更に上昇速度を遅らせて二次燃焼空間Cでの燃焼効率を高めることができる。
【0043】
円筒状燃焼室10の下部には、第2ガス化室Abを配置している。第2ガス化室Abの側方には第1ガス化室Aaを配置している。
本実施例では、ガス化空間Aは、第1ガス化室Aaと第2ガス化室Abとで構成されている。第1ガス化室Aaと第2ガス化室Abとは、それぞれ耐火キャスターで形成している。また、第1ガス化室Aaには第1ガス化バーナー71を有し、第2ガス化室Abには第2ガス化バーナー72を有している。
第1ガス化室Aaには、燃焼空気を噴出する第6ノズル56aを設けている。第6ノズル56aには、第1ガス化室用ブロワー46によって燃焼空気が供給される。
第2ガス化室Abには攪拌部材61を設けている。
第2ガス化室Abには、攪拌部材61と火格子62とを設けている。火格子62は攪拌部材61よりも下方に配置している。火格子62には、複数の開口が形成されており、炭化した有機物を落下させる。攪拌部材61は、駆動軸63によって回転し、駆動軸63は駆動源45によって回転する。攪拌部材61を駆動源45によって回転することで、有機物のガス化を促進することができる。
攪拌部材61に所定値より大きなトルクが加わると駆動軸63は回転を停止し、攪拌部材61に加わるトルクが所定値以下になると駆動軸63を回転することで、有機物のガス化の状態に応じて攪拌できるとともに、省エネ効果を有する。
なお、第1ガス化室Aaの上流で上方には燃焼物投入口13aを設けている。
【0044】
図8に示すように、第4ノズル54bによる噴射の方向は、攪拌部材61の回転方向としている。第4ノズル54bによる噴射の方向を、攪拌部材61の回転方向とすることで、攪拌部材61の回転方向に溜まる有機物に対して第4ノズル54bから燃焼空気を噴出させるため、有機物の分離を促進するとともに有機物の隙間に燃焼空気を吹き込むことで燃焼を高めることができる。
【0045】
本実施例によれば、ガス化空間Aを、第1ガス化室Aaと第2ガス化室Abとで構成し、第2ガス化室Abを円筒状燃焼室10の下部に配置し、第1ガス化室Aaを第2ガス化室Abの側方に配置し、攪拌部材61を第2ガス化室Abに設け、第1ガス化室Aaに燃焼空気を噴出する第6ノズル56aを設け、攪拌部材61に第2ガス化室Abに燃焼空気を噴出する第4ノズル54bを設けたことで、第1ガス化室Aaと第2ガス化室Abとで水分含有率の高い有機物の炭化を促進し、燃焼性の高い燃焼ガスを発生させることができる。
【0046】
図9に示すように、第1ガス化室Aaを第2ガス化室Abから取り外して使用することもできる。
第2ガス化室Abを取り外し、第2ガス化室Abの上方に燃焼物投入口13bを取り付けることで、既に乾燥させた有機物を用いる場合には、燃焼物投入口13bから有機物を投入する。このように、第1ガス化室Aaを取り外して用いることができ、水分含有率の高い有機物であっても、あらかじめ乾燥させた有機物であっても対応できる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、温水ボイラー、冷暖房機の熱源、又は熱風の発生装置として利用できる。
【符号の説明】
【0048】
10 円筒状燃焼室
11 燃焼室内壁
12 傾斜面
13 燃焼物投入口
20 垂直送気管
23a 第1送気管
23b 第2送気管
31 邪魔板
32 邪魔板
41 第1ブロワー
41a 第1ノズル用ブロワー
41b 第2ノズル用ブロワー
42 水タンク
43 燃焼室内壁用ブロワー(第2ブロワー)
44 ガス化用ブロワー(第3ブロワー)
45 駆動源
51 第1水平送気管
51a 第1ノズル
52 第2水平送気管
52a 第2ノズル
53 第3送気管
53a 第3ノズル
54 第4送気管
54a 第4ノズル
54b 第4ノズル
55a 第5ノズル
61 攪拌部材
62 火格子
63 駆動軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9