特許第6261049号(P6261049)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6261049キャビテーション検知装置、キャビテーション検知方法、およびキャビテーション検知プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261049
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】キャビテーション検知装置、キャビテーション検知方法、およびキャビテーション検知プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20180104BHJP
【FI】
   G01M99/00 Z
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-551980(P2014-551980)
(86)(22)【出願日】2013年11月25日
(86)【国際出願番号】JP2013082304
(87)【国際公開番号】WO2014091953
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2016年10月6日
(31)【優先権主張番号】特願2012-273447(P2012-273447)
(32)【優先日】2012年12月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100147809
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 順一
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 哲
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真也
(72)【発明者】
【氏名】山本 敬之
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 敬喜
(72)【発明者】
【氏名】林 司
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】生田 睦男
(72)【発明者】
【氏名】安達 勝
(72)【発明者】
【氏名】崎部 将弘
(72)【発明者】
【氏名】宮 健三
(72)【発明者】
【氏名】相馬 知也
(72)【発明者】
【氏名】高城 真弓
(72)【発明者】
【氏名】大石 敏之
【審査官】 伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−113561(JP,A)
【文献】 特開2011−248782(JP,A)
【文献】 特開2010−127417(JP,A)
【文献】 特開昭64−045975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00 − 13/04
G01M 99/00
F04D 15/00
F16K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電所内の液体収容部におけるキャビテーションの発生を検出するキャビテーション検知装置であって、
前記液体収容部へ流入する液体の液圧を測定する流入圧力計と、
前記液体収容部から流出する液体の液圧を測定する流出圧力計と、
前記流入圧力計および前記流出圧力計によって測定された測定データを収集して蓄積する情報蓄積手段と、
前記情報蓄積手段によって蓄積された、前記液体収容部内でキャビテーションが発生していない正常時のデータから、前記流入圧力計によって測定された測定データと前記流出圧力計によって測定された測定データとの相関関係を抽出してモデルを構築するモデル構築手段と、
前記モデル構築手段によって抽出された相関関係と、前記流入圧力計および前記流出圧力計によって測定された測定データとから、相関関係の崩れを前記液体収容部の内部におけるキャビテーションの発生として検出し、検出結果を出力するキャビテーション検出手段と、
を備えることを特徴とするキャビテーション検知装置。
【請求項2】
前記液体収容部内の液体の液圧を変化させる調整手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のキャビテーション検知装置。
【請求項3】
前記キャビテーション検出手段によってキャビテーションの発生が検出された場合に、その旨を通知する通知手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のキャビテーション検知装置。
【請求項4】
前記液体収容部は、液体を送り出すポンプであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のキャビテーション検知装置。
【請求項5】
前記モデル構築手段は、前記流入圧力計によって測定された測定データと前記流出圧力計によって測定された測定データとの間の相関関係を示す近似式およびフィット値を生成し、前記近似式およびフィット値をモデルとして記憶することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のキャビテーション検知装置。
【請求項6】
前記モデル構築手段は、生成された前記フィット値を予め定められた閾値と比較し、前記フィット値が予め定められた閾値以上である場合に、前記モデルを記憶することを特徴とする請求項5に記載のキャビテーション検知装置。
【請求項7】
前記キャビテーション検出手段は、前記流入圧力計によって測定された測定データおよび前記流出圧力計によって測定された測定データの一方を、前記モデル構築手段で生成された近似式に代入することで、前記流入圧力計によって測定された測定データおよび前記流出圧力計によって測定された測定データの他方の予測値を算出し、前記予測値と予め定められた閾値とを比較することにより、前記相関関係の崩れを判断することを特徴とする請求項5または請求項6に記載のキャビテーション検知装置。
【請求項8】
発電所内の液体収容部におけるキャビテーションの発生を検出するキャビテーション検知方法であって、
前記液体収容部へ流入する液体の液圧を測定する流入圧力計と、前記液体収容部から流出する液体の液圧を測定する流出圧力計とを設け、
前記流入圧力計および前記流出圧力計によって測定された測定データを収集して蓄積し、
前記液体収容部内でキャビテーションが発生していない正常時のデータから、前記流入圧力計によって測定された測定データと前記流出圧力計によって測定された測定データとの相関関係を抽出してモデルを構築し、
抽出された相関関係と、前記流入圧力計および前記流出圧力計によって測定された測定データとから、相関関係の崩れを前記液体収容部の内部におけるキャビテーションの発生として検出し、検出結果を出力することを特徴とするキャビテーション検知方法。
【請求項9】
発電所内の液体収容部におけるキャビテーションの発生を検出するキャビテーション検知プログラムであって、
前記液体収容部へ流入する液体の液圧を測定する流入圧力計と前記液体収容部から流出する液体の液圧を測定する流出圧力計とから測定データを収集して蓄積する処理と、
前記液体収容部内でキャビテーションが発生していない正常時のデータから、前記流入圧力計によって測定された測定データと前記流出圧力計によって測定された測定データとの相関関係を抽出してモデルを構築する処理と、
抽出された相関関係と、前記流入圧力計および前記流出圧力計によって測定された測定データとから、相関関係の崩れを前記液体収容部の内部におけるキャビテーションの発生として検出し、検出結果を出力する処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするキャビテーション検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電所内の液体収容部内におけるキャビテーションの発生を検出するキャビテーション検知装置、キャビテーション検知方法、およびキャビテーション検知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の関連技術として、液体収容部に音響センサや超音波センサを設置し、これら音響センサや超音波センサによる測定データを利用して、液体収容部内でキャビテーションが発生したことを検知する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2010−534791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような音響センサや超音波センサは、キャビテーションの発生を検知することのみを目的とした専用品であり、専用品である音響センサや超音波センサを設置することで、設備投資が増大するという問題があった。
また、本発明者等の観測によれば、発電所内で用いられるポンプ等においても、キャビテーションが発生し、キャビテーションによる悪影響を早期に発見することが、発電を安定に行なうためには不可欠であることが判明した。更に、発電所で用いられるポンプ等の液体収容部の数は多く且つ大容量である。このため、発電所専用のキャビテーション検知装置を開発し、設置することは、経済性の面で非常に不利である。
そこで、本発明は、上記した問題を解決するものである。すなわち、本発明の目的は、キャビテーション検知に特化した専用のセンサを必要とすることなく、キャビテーションの発生を検知することが可能なキャビテーション検知装置、キャビテーション検知方法、およびキャビテーション検知プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のキャビテーション検知装置は、発電所内の液体収容部におけるキャビテーションの発生を検出するキャビテーション検知装置であって、前記液体収容部へ流入する液体の液圧を測定する流入圧力計と、前記液体収容部から流出する液体の液圧を測定する流出圧力計と、前記流入圧力計および前記流出圧力計によって測定された測定データを収集して蓄積する情報蓄積手段と、前記情報蓄積手段によって蓄積された、前記液体収容部内でキャビテーションが発生していない正常時のデータから、前記流入圧力計によって測定された測定データと前記流出圧力計によって測定された測定データとの相関関係を抽出してモデルを構築するモデル構築手段と、前記モデル構築手段によって抽出された相関関係と、前記流入圧力計および前記流出圧力計によって測定された測定データとから、相関関係の崩れを前記液体収容部の内部におけるキャビテーションの発生として検出し、検出結果を出力するキャビテーション検出手段と、を備えることにより、前述した課題を解決したものである。
また、本発明のキャビテーション検知方法は、発電所内の液体収容部におけるキャビテーションの発生を検出するキャビテーション検知方法であって、前記液体収容部へ流入する液体の液圧を測定する流入圧力計と、前記液体収容部から流出する液体の液圧を測定する流出圧力計とを設け、前記流入圧力計および前記流出圧力計によって測定された測定データを収集して蓄積し、前記液体収容部内でキャビテーションが発生していない正常時のデータから、前記流入圧力計によって測定された測定データと前記流出圧力計によって測定された測定データとの相関関係を抽出してモデルを構築し、抽出された相関関係と、前記流入圧力計および前記流出圧力計によって測定された測定データとから、相関関係の崩れを前記液体収容部の内部におけるキャビテーションの発生として検出し、検出結果を出力することにより、前述した課題を解決したものである。
また、本発明のキャビテーション検知プログラムは、発電所内の液体収容部におけるキャビテーションの発生を検出するキャビテーション検知プログラムであって、前記液体収容部へ流入する液体の液圧を測定する流入圧力計と前記液体収容部から流出する液体の液圧を測定する流出圧力計とから測定データを収集して蓄積する処理と、前記液体収容部内でキャビテーションが発生していない正常時のデータから、前記流入圧力計によって測定された測定データと前記流出圧力計によって測定された測定データとの相関関係を抽出してモデルを構築する処理と、抽出された相関関係と、前記流入圧力計および前記流出圧力計によって測定された測定データとから、相関関係の崩れを前記液体収容部の内部におけるキャビテーションの発生として検出し、検出結果を出力する処理と、をコンピュータに実行させることにより、前述した課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、液体の液圧を測定するために設置される既存の圧力計の測定データを利用して、液体収容部内でキャビテーションが発生したことを検知することが可能であるため、キャビテーション検知に特化した専用のセンサを必要とすることなく、キャビテーションの発生を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1は、本発明の一実施形態であるキャビテーション検知装置の構成を概略的に示す説明図である。
図2は、圧力計および情報蓄積部の動作を示すフローチャート図である。
図3は、モデル構築部の動作を示すフローチャート図である。
図4は、キャビテーション検出部の動作を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態であるキャビテーション検知装置を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0009】
本実施形態のキャビテーション検知装置は、発電所内に設置されたポンプ2内におけるキャビテーションの発生を検出するものである。
キャビテーション検知装置は、図1に示すように、流入圧力計10と、流出圧力計20と、調整手段としての調整機40と、情報蓄積手段としての情報蓄積部50と、モデル構築手段としてのモデル構築部60と、キャビテーション検出手段としてのキャビテーション検出部70と、通知手段としての通知部80とを備えている。
流入圧力計10は、図1に示すように、液体収容部としてのポンプ2の流入口側に設置され、ポンプ2へ流入する水の水圧を測定する。なお、流入圧力計10は、ポンプ2に設置してもよく、また、ポンプ2の流入口側の配管1に設置してもよい。
流出圧力計20は、図1に示すように、ポンプ2の流出口側に設置され、ポンプ2から流出する水の水圧を測定する。なお、流出圧力計20は、ポンプ2に設置してもよく、また、ポンプ2の流出口側の配管1に設置してもよい。
調整機40は、配管1内の水の量や圧力等を調整する。本実施形態では、調整機40は、配管1内の水圧を制御する制御弁として構成されている。
ポンプ2と圧力計10、20と調整機40とは、図1に示すように、配管1で繋がれている。
情報蓄積部50は、CPU、ROM、RAM等で構成され、圧力計10、20によって測定された測定データと測定時刻の時刻データとを、圧力計10、20から受けとって蓄積する。
モデル構築部60は、CPU、ROM、RAM等で構成され、キャビテーションが発生していない正常時の一定時間分の測定データを、情報蓄積部50から受け取り、測定データの相関関係を抽出する。
キャビテーション検出部70は、CPU、ROM、RAM等で構成され、抽出された相関関係をモデル構築部60から受け取るとともに、情報蓄積部50から一定時間分の測定データを受け取り、これらを基にポンプ2内におけるキャビテーションの発生を検知する。
通知部80は、アラーム機やディスプレイ等で構成され、キャビテーション検出部70が検知したキャビテーションの発生をアラーム音やメッセージ等で通知する。なお、情報蓄積部50、モデル構築部60、及びキャビテーション検出部は、単一のコンピュータで構成されても良いし、個別に設けられた複数のコンピュータによって構成されても良い。
次に、図2を用いて、圧力計10、20および情報蓄積部50の動作を説明する。
まず、圧力計10、20は、ポンプ2の流入口側および流出口側において水圧を常に測定している(ステップ201)。
次に、圧力計10、20によって測定された測定データは、測定時刻の時刻データとともに情報蓄積部50へ通知される(ステップ202)。
情報蓄積部50は、圧力計10、20から受け取ったデータ(測定データおよび時刻データ)を蓄積する(ステップ203)。
上述したステップ201〜203の動作は、常時、繰り返し行われる。
なお、情報蓄積部50による情報蓄積の態様としては、リレーショナルデータベースのような機構を用いてもよいし、単純なテキストファイルで保持してもよい。また、蓄積された情報は、圧力計10、20による測定データと測定時刻の時刻データとから構成され、一般に時系列データと呼ばれている形態となる。
次に、図3を用いて、モデル構築部60の動作を説明する。
まず、ポンプ2内でキャビテーションが一切発生していない正常動作時において、調整機40を調整して配管1、ポンプ2に流れる水圧を少しずつ変化させる(ステップ301)。なお、この際、水圧を上げる方向、下げる方向が混在しても構わない。
この場合、調整機40の操作により変化する水圧を、圧力計10、20が検知し、その測定データおよび時刻データを情報蓄積部50へ通知し、情報蓄積部50は、受け取った情報を随時蓄積する(ステップ302、図2のステップ201〜203)。
モデル構築部60は、情報蓄積部50から、調整機40を操作して水圧を変化させた期間の測定データを受け取る(ステップ303)。
続いて、モデル構築部60は、受け取った測定データから、ポンプ2の流入囗側で測定された水圧値とポンプ2の流出口側で測定された水圧値との間に、相関関係があるかどうかを確認する(ステップ304)。
ここでは、情報蓄積部50から入手した2点の一定時間の時系列データから、2点間の相関関係として、B=f(A)のような近似式を生成する。近似式の生成方法としては、例えば、線形回帰と呼ばれている方法や、ほかにも既に様々な方法が提案されているため、ここでは詳細について述べない。さらに、生成した近似式と、生成時に利用した時系列データとから、モデル構築部60は、実際のデータを近似式がどの程度近似できているかどうかの指標であるフィット値を生成する。線形回帰として最小二乗法を用いて近似した場合、フィット値は最小二乗法における決定係数とすることができる。
次に、フィット値と予め定められた閾値を比較し、閾値以上であれば(ステップ305のN)、モデル構築部60は2点間の関係(近似式およびフィット値)をモデルとして記憶して処理を終了する(ステップ306)。また、フィット値が閾値以下の場合(ステップ305のY)、処理を終了する。
なお、以下では、記憶された2点間の関係をモデルと呼ぶ。
次に、図4を用いて、キャビテーション検出部70の動作を説明する。
なお、キャビテーション検出部70の動作のためには、予め、モデル構築部60によってモデルが構築されている必要がある。さらに、情報蓄積部50には、常に圧力計10、20からの測定データが充分に蓄積されているものとする。
まず、キャビテーション検出部70は、情報蓄積部50から、キャビテーションを検知すべき時間、即ち、ある時刻tから過去一定時間分の測定データを取得する(ステップ401)。ここで、ある時刻tとは、現在時刻より若干の過去の時刻とする。仮に現在時刻の測定データが常に情報蓄積部50に蓄積されている場合は、時刻tは現在時刻でも構わない。
次に、モデル構築部60に記憶されているモデルを取得する(ステップ402)。
続いて、キャビテーション検出部70は、モデルから、流入圧力と流出圧力の関係(近似式B=f(A)およびフィット値)を取得する(ステップ403)。
次に、キャビテーション検出部70は、情報蓄積部50から入手した測定データに含まれる流出圧力の値を近似式B=f(A)へ代入し、結果である流入圧力の予測値を求める(ステップ404)。
更に、キャビテーション検出部70は、求められた流入圧力予測値と情報蓄積部50から入手した流入圧力値の差異Rを算出する(ステップ405)。
キャビテーション検出部70は、差異Rが予め定められた閾値を超えている場合(ステップ406のY)、近似式B=f(A)の関係が成り立っていない状態と判断し、ポンプ2にキャビテーションが発生している可能性があると判断して、通知部80へ通知する(ステップ407)。
次に、ステップ407で通知を行った後、および、差異Rが予め定められた閾値を超えていない場含(ステップ406N)、時刻tを一定時間△t分だけ進めて、キャビテーション検出部70は、ステップ401からの処理を繰り返す。
ここで△tは、キャビテーションを検知したい間隔から設定されるものであるが、圧力計10、20が情報蓄積部50へ測定した結果を通知する間隔よりも大きい必要がある。
このようにして得られた本実施形態のキャビテーション検知装置では、水圧を測定するために設置される既存の圧力計10、20の測定データを利用して、ポンプ2内でキャビテーションが発生したことを検知することが可能であるため、キャビテーション検知に特化した専用のセンサを必要とすることなく、キャビテーションの発生を検知することができる。
また、本実施形態のキャビテーション検知装置は、上記した操作を常時繰り返すことにより、キャビテーション発生の初期段階で検知することができる。
さらに、キャビテーション発生の初期段階で、水圧等を調整することで、ポンプ2内のプロペラ等の部品がキャビテーションによって破損することを防ぐことができる。
なお、上述した実施形態では、液体収容部がポンプであるものとして説明したが、液体収容部の具体的態様は、液体を収容し、その内部でキャビテーションが生じうるものであれば如何なるものでもよい。
また、上述した実施形態では、液体が水であるものとして説明したが、液体の具体的態様は、液体内部でキャビテーションが生じうるものであれば如何なるものでもよい。
【符号の説明】
【0010】
1 ・・・ 配管
2 ・・・ ポンプ(液体収容部)
10 ・・・ 流入圧力計
20 ・・・ 流出圧力計
40 ・・・ 調整機(調整手段)
50 ・・・ 情報蓄積部(情報蓄積手段)
60 ・・・ モデル構築部(モデル構築手段)
70 ・・・ キャビテーション検出部(キャビテーション検出手段)
80 ・・・ 通知部(通知手段)
この出願は、2012年12月14日に出願された、日本特許出願第2012−273447号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
図1
図2
図3
図4