【実施例】
【0023】
[実施例1]
窒素置換した反応容器に、N,N−ジメチルナフタレン−2−スルホンアミド(23.5mg,0.10mmol)とTHF(4mL)を加えて、0℃に冷却し、Red−Al(65wt%トルエン溶液、0.30mL,1.0mmol)を加えた。同混合物を40℃で22時間加熱した。反応終了をTLCで確認し、0℃に冷却した後、激しく撹拌しながら硫酸ナトリウムの飽和水溶液を適量加え、酢酸エチル(10mL×2)を用いて通常の分液処理を行った。抽出した有機層は飽和塩化ナトリウム水溶液(5mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過、濃縮した。得られた濃縮物は、精製せずにそのまま以降の操作を続けた。得られた濃縮物にヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)(1mL)、水酸化カリウム(33.7mg,0.60mmol)を加え、約5気圧(0.5MPa)の酸素を封入した。この混合物を80℃で10時間加熱した。反応終了後、室温まで冷却し、そのままシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=1:1)にて生成物を分取し、目的の2−ナフタレンスルホン酸カリウム塩を収率71%(17.8mg)で得た。得られた2−ナフタレンスルホン酸カリウム塩のスペクトルデータは以下のとおり。
【0024】
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 7.55 (m, 2H), 7.85-8.00 (m, 4H), 8.34 (s, 1H).
13C NMR (100 MHz, d
6-DMSO:D
2O = 3:1) δ 124.0, 126.0, 128.5, 129.0, 129.1, 129.8, 129.9, 133.1, 134.7, 143.1. IR (KBr) 3422, 1624, 1230, 1186, 1101, 1045 cm
-1. HRMS (FAB-) calcd for C
10H
7O
3S [M-K]
- 207.0116, found 207.0118.
【0025】
[比較例1〜3]
実施例1のRed−Alの代わりに、比較例1ではDIBAL(水素化ジイソブチルアルミニウム)、比較例2ではLiAlH
4(水素化リチウムアルミニウム)、比較例3ではAlH
3(水素化アルミニウム)を用いた以外は、実施例1と同様にして反応を行った。具体的な反応条件及び結果を表1に示す。比較のために実施例1の反応条件及び結果も表1に示した。
【0026】
【表1】
【0027】
表1に示すように、還元剤としてDIBALを用いた比較例1では、還元反応が進行せず、未反応のスルホンアミドが定量的に回収された。また、還元剤としてLiAlH
4やAlH
3を用いた比較例2,3では、還元反応及びそれに続く酸化反応の後に、対応するスルホン酸カリウムがそれぞれ収率46%,49%で得られた。この比較例2,3では、還元反応でC−S結合が切断されたナフタレンが約30%副生し、これがスルホン酸カリウムの収率を中程度にとどめた原因となった。これに対して、還元剤としてRed−Alを用いた実施例1では、ナフタレンの副生を約5%にまで抑制することができ、目的とするスルホン酸カリウムが収率71%で得られた。
【0028】
[実施例2〜5]
実施例2〜5では、N,N−ジメチルナフタレン−2−スルホンアミドを下記式に記載した条件で実施例1に準じて還元及び酸化を行い、更にアンバーライトでイオン交換を行うことにより、目的の2−ナフタレンスルホン酸を高収率で得た。
【0029】
【化3】
【0030】
[実施例6]
実施例6では、下記式に示すように、N,N−ジメチルナフタレン−2−スルホンアミドをRed−Alで還元して対応するスルフィン酸を単離し、その後、単離したスルフィン酸を酸素で酸化して対応するスルホン酸を得た。以下にその実験手順を説明する。
【0031】
【化4】
【0032】
[6−1]還元反応
窒素置換した反応容器に、N,N−ジメチルナフタレン−2−スルホンアミド(23.5mg,0.10mmol)とTHF(4mL)を加えて、0℃に冷却し、Red−Al(65wt%トルエン溶液、0.15mL,0.50mmol)を加えた。同混合物を室温で5時間撹拌した。反応終了をTLCで確認し、0℃に冷却した後、激しく撹拌しながら硫酸ナトリウムの飽和水溶液を適量加え、酢酸エチル(10mL×2)を用いて通常の分液処理を行った。抽出した有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(5mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過、濃縮し、目的の2−ナフタレンスルフィン酸を収率95%(18.4mg)で得た。得られた2−ナフタレンスルフィン酸のスペクトルデータは以下のとおり。
【0033】
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 7.55 (m, 2H), 7.85-8.00 (m, 4H), 8.34 (s, 1H).
13C NMR (100 MHz, d
6-DMSO:D
2O = 3:1) δ 124.0, 126.0, 128.5, 129.0, 129.1, 129.8, 129.9, 133.1, 134.7, 143.1.
【0034】
[6−2]酸化反応
続いて、窒素置換した反応容器に、2−ナフタレンスルフィン酸(96.1mg,0.50mmol)、ジメチルホルムアミド(DMF)(5mL)を加え、風船の酸素を封入した(1気圧)。この混合物を60℃で28時間加熱した。反応終了後、室温まで冷却し、溶媒を留去して、減圧乾燥(1〜2Torr)し、目的の2−ナフタレンスルホン酸を収率95%(100mg)で得た。
【0035】
[実施例7]
下記式にしたがって、ジスルホンイミド(化合物10)を出発物質として、目的とする3,3’−ジフェニル−1,1’−ビナフチル−2,2’ジスルホン酸(化合物22)を合成した。なお、化合物10は文献Eur. J. Org. Chem. 2010, p4181の記載にしたがって合成した。
【0036】
【化5】
【0037】
[7−1]ステップ1
窒素置換したシュレンク反応容器に、化合物10(R体、328.6mg,0.60mmol)、炭酸カリウム(249mg,1.80mmol)、塩化メチレン(10mL)を加えて、0℃に冷却した。トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート(266.2mg,1.80mmol)を加えた後、室温まで昇温し、4時間撹拌した。反応終了をTLCで確認した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を加え、酢酸エチル(15mL×2)を用いて通常の分液処理を行った。抽出した有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過、濃縮した。得られた濃縮物からシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にて生成物を分取し、目的の化合物12(R体)を収率>99%(337.0mg)で得た。化合物12のスペクトルデータは以下のとおり。
【0038】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 2.95 (s, 3H), 7.25 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.39-7.48 (m, 12H), 7.68 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 7.98 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 8.06 (s, 2H).
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 30.7, 127.3 (2C), 127.8 (2C), 127.9 (2C), 128.3 (2C), 128.4 (2C), 128.5 (2C), 128.7 (2C), 130.0 (2C), 130.4 (2C), 131.8 (2C), 132.2 (2C), 133.8 (2C), 134.5 (2C), 138.0 (2C), 139.0 (2C), 139.8 (2C). M.p. 278℃ (decomposed). IR (KBr) 3056, 2932, 1366, 1349, 1176, 1029 cm
-1. [α]
D24= 38.8 (c 1.0, CHCl
3, (R)). HRMS (FAB+) calcd for C
33H
24NO
4S
2 [M+H]
+ 562.1147, found 562.1150.
【0039】
[7−2]ステップ2
化合物12(561.1mg,1.0mmol)に対して、水酸化ナトリウム(8.0g,200mmol)、メタノール(100mL)を加えた。同反応溶液を70℃で15時間加熱した。室温に冷却し、反応終了をTLCで確認した後、メタノールを減圧留去したのち、酢酸エチル(30mL)と飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)を加え、酢酸エチル(15mL×2)を用いて通常の分液処理を行った。抽出した有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過、濃縮した。得られた濃縮物からシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=5:1)にて生成物を分取し、目的の化合物14(R体)を収率99%(601.7mg)で得た。化合物14のスペクトルデータは以下のとおり。
【0040】
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 2.30 (s, 3H), 6.96 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.16-7.38 (m, 6H), 7.39-7.48 (m, 4H), 7.51 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.57-7.69 (m, 4H), 7.76 (s, 1H), 7.80 (s, 1H), 7.85 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 7.87 (d, J = 8.2 Hz, 1H).
13C NMR (100 MHz, CD
3OD) δ 28.9, 127.3, 127.4, 127.7, 127.9, 128.2, 128.4, 128.5, 128.6, 129.4, 130.9, 131.2, 131.3, 132.8, 134.0, 134.5, 134.7, 135.4, 136.1, 138.7, 140.3, 140.4, 142.4, 142.7, 144.6. M.p. 273 ℃ (decomposed). IR (KBr) 3376, 1494, 1326, 1170, 1041 cm
-1. [α]
D23 = 155 (c 1.0, CH
3OH, (R)). HRMS (FAB+) calcd forC
33H
24NNa
2O
5S
2 [M+Na]
+624.0891, found 624.0899.
【0041】
[7−3]ステップ3
化合物14(120.3mg,0.20mmol)に、炭酸カリウム(69.1mg,0.50mmol)、塩化メチレン(7.5mL)を加えて、0℃に冷却した。トリエチルオキソニウムテトラフルオロボラート(1M塩化メチレン溶液、0.50mL,0.50mmol)を加えた後、室温まで昇温し、20時間撹拌した。反応終了をTLCで確認した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を加え、酢酸エチル(15mL×2)を用いて通常の分液処理を行った。抽出した有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過、濃縮した。得られた濃縮物からシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて生成物を分取し、目的の化合物16(R体)を収率98%(119.3mg)で得た。化合物16のスペクトルデータは以下のとおり。
【0042】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 0.93 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 2.33 (d, J = 5.0 Hz, 3H), 3.29 (q, J = 5.0 Hz, 1H), 3.70 (dq, J = 9.6, 6.9 Hz, 1H), 3.86 (dq, J = 9.6, 6.9 Hz, 1H), 7.25 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.29 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.37-7.55 (m, 8H), 7.57-7.74 (m, 5H), 7.79 (m, 1H), 7.91 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.93 (s, 1H), 7.94 (s 1H).
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 14.4, 28.8, 66.2, 127.2, 127.54, 127.56, 127.61, 127.91, 127.94, 128.0, 128.3, 128.5, 128.8, 129.1, 129.1, 130.0, 132.1, 132.3, 132.5, 132.6, 132.7, 133.5, 133.9, 134.8, 136.1, 137.4, 138.5, 139.6, 140.0, 140.6. M.p. 140-142℃. IR (KBr) 3372, 3055, 1332, 1183, 1000 cm
-1. [α]
D25 = 186.4 (c 1.0, CHCl
3, (R)). HRMS (FAB+) calcd for C
33H
30NO
5S
2 [M+H]
+ 608.1565, found 608.1555.
【0043】
[7−4]ステップ4
化合物16(30.4mg,0.050mmol)に、炭酸カリウム(13.8mg,1.0mmol)、1,2−ジクロロエタン(2mL)を加えて、0℃に冷却した。トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート(14.8mg,0.10mmol)を加えた後、90℃まで昇温し、52時間撹拌した。反応終了をTLCで確認した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を加え、酢酸エチル(10mL×2)を用いて通常の分液処理を行った。抽出した有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過、濃縮した。得られた濃縮物からシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて生成物を分取し、目的の化合物18(R体)を収率85%(26.6mg)で得た。化合物18のスペクトルデータは以下のとおり。
【0044】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 0.94 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 2.10 (s, 6H), 3.73 (m, 1H), 3.90 (m, 1H), 7.27-7.32 (m, 2H), 7.33-7.50 (m, 8H), 7.53-7.78 (m, 6H), 7.86 (s, 1H), 7.88 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.94 (s, 1H).
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 14.5, 34.5, 66.3, 127.2, 127.3, 127.4, 127.5, 127.6, 127.7, 127.8, 127.9, 128.4, 128.9, 129.2, 129.8, 132.1, 132.2, 132.5, 132.6, 133.1, 133.7, 134.1, 135.1, 137.5, 137.7, 139.6, 139.9, 140.7, 141.4. IR (KBr) 3057, 2927, 1355, 1325, 1183, 1137 cm
-1. [α]
D24 = 337.5 (c 1.0, CHCl
3, (R)). HRMS (FAB+) calcd for C
36H
33NO
5S
2 [M+H]
+ 622.1722, found 622.1711.
【0045】
[7−5]ステップ5
化合物18(69.7mg,0.112mmol)にTHF(4mL)を加えて、0℃に冷却し、Red−Al(65wt%トルエン溶液、0.30mL,1.0mmol)を加えた。同混合物を40℃で6時間加熱した。反応終了をTLCで確認し、0℃に冷却した後、激しく撹拌しながら硫酸ナトリウムの飽和水溶液を適量加え、酢酸エチル(10mL×2)を用いて通常の分液処理を行った。抽出した有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(5mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過、濃縮した。得られた濃縮物は、精製せずにそのまま以降の操作を続けた。得られた濃縮物にヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)(1mL)、水酸化カリウム(33.7mg,0.60mmol)を加え、約5気圧(0.5MPa)の酸素を封入した。この混合物を80℃で10時間加熱した。反応終了後、室温まで冷却し、そのままシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=1:1)にて生成物を分取し、目的の化合物20(R体)を収率53%(38.2mg)で得た。化合物20のスペクトルデータは以下のとおり。
【0046】
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 7.06 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.18 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 7.26-7.35 (m, 6H), 7.41 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.66 (d, J = 7.6 Hz, 4H), 7.69 (s, 2H), 7.81 (d, J = 8.2 Hz, 2H).
13C NMR (100 MHz, CD
3OD) δ 127.0 (2C), 127.1 (2C), 127.6 (4C), 127.8 (2C), 128.3 (2C), 129.2 (2C), 131.4 (4C), 132.2 (2C), 134.2 (2C), 134.3 (2C), 138.1 (2C), 140.3 (2C), 140.4 (2C), 145.2 (2C). IR (KBr) 3056, 1231, 1186, 1038 cm
-1. [α]
D24 = 91.3 (c 0.80, CH
3OH, (R)). HRMS (FAB+) calcd for C
32H
21Na
2O
6S
2 [M-2K+2Na+H]
+611.0575, found 611.0584; (FAB-) calcd for C
32H
20NaO
6S
2 [M-2K+Na]
-587.0599, found 587.0608.
【0047】
[7−6]ステップ6
化合物20(37.9mg,0.059mmol)を陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR120H、100cm
3)に通した。次いで、回収液からメタノールを減圧留去し、トルエンにて共沸脱水を行った。その後、1〜2Torrにて12時間減圧乾燥し、化合物22(R体)を収率>99%(34.4mg)で得た。化合物22のスペクトルデータは以下のとおり。
【0048】
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 7.07 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.25 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 7.29-7.43 (m, 6H), 7.50 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 7.61 (d, J = 7.0 Hz, 4H), 7.80 (s, 2H), 7.89 (d, J = 7.8 Hz, 2H).
13C NMR (100 MHz, CD
3OD) δ 127.5 (2C), 127.6 (2C), 127.9 (4C), 128.6 (2C), 128.7 (2C), 129.0 (2C), 131.0 (4C), 132.8 (2C), 134.0 (2C), 134.5 (2C), 138.4 (2C), 138.6 (2C), 140.0 (2C), 144.2 (2C). IR (KBr) 3420, 3053, 1229, 1182, 1035 cm
-1. [α]
D24 = 121 (c 1.0, MeOH, (R)). HRMS (FAB+) calcd for C
32H
22O
6S
2 [M]
+ 566.0858, found 566.0862.
[7−7]ステップ7
窒素置換したシュレンク反応容器に、化合物22(31.0mg,0.055mmol)、炭酸カリウム(69.1mg,0.50mmol)、塩化メチレン(2mL)を加えて、0℃に冷却した。トリエチルオキソニウムテトラフルオロボラート(1M塩化メチレン溶液、0.50mL,0.50mmol)を加えた後、室温まで昇温し、15時間撹拌した。反応終了をTLCで確認した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を加え、酢酸エチル(15mL×2)を用いて通常の分液処理を行った。抽出した有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過、濃縮した。得られた濃縮物からシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にて生成物を分取し、目的の化合物24(R体)を収率84%(28.8mg)で得た。化合物24の光学純度は、HPLCで決定し、>99%eeであることを確認した[ダイセルキラルカラムIA,ヘキサン:イソプロパノール=9:1,1.0mL/min,t
R=9.0min(S),16.9min(R)]。化合物24のスペクトルデータは以下のとおり。
【0049】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 0.94 (t, J = 6.9 Hz, 6H), 3.66-3.75 (m, 2H), 3.79-3.88 (m, 2H), 7.25 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.39-7.75 (m, 14H), 7.92 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.96 (s, 2H).
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ14.5, 66.3, 127.5, 127.8, 127.9, 128.1, 129.3, 129.7, 130.3, 132.2, 132.7, 133.0, 134.1, 137.7, 138.9, 140.6. IR (KBr) 3056, 2984, 2256, 1580, 1493, 1444, 1354, 1185, 1001 cm
-1. [α]
D24 = 112.0 (c 0.20, CHCl
3, (R)). HRMS (FAB+) calcd for C
36H
31O
6S
2 [M+H]
+ 623.1562, found 623.1563.
【0050】
[比較例4〜7]
表2に示すように、前出の化合物10,12,14,16につき、実施例7のステップ5,6と同様の還元・酸化反応及びイオン交換反応を試みたところ、目的とする化合物22は全く得られなかった。
【0051】
【表2】
【0052】
[実施例8]
下記式にしたがって、ジスルホンイミド(化合物26(S体))を出発物質として、目的とする3,3’−ジアリール−1,1’−ビナフチル−2,2’ジスルホン酸(化合物40a〜40c)を合成した。なお、化合物26は文献Eur. J. Org. Chem. 2010, p4181の記載にしたがって合成した。
【0053】
【化6】
【0054】
[8−1]ステップ1
窒素置換したシュレンク反応容器に、化合物26(27.7mg,0.050mmol)、炭酸カリウム(20.7mg,0.15mmol)、塩化メチレン(2mL)を加えて、0℃に冷却した。トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート(22.2mg,0.15mmol)を加えた後、室温まで昇温し、20時間撹拌した。反応終了をTLCで確認した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を加え、クロロホルム(15mL×2)を用いて通常の分液処理を行った。抽出した有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過、濃縮した。得られた濃縮物からシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1〜3:1)にて生成物を分取し、目的の化合物28(S体)を収率>99%(28.3mg)で得た。化合物28のスペクトルデータは以下のとおり。
【0055】
1HNMR (400 MHz, CDCl
3) δ 3.36 (s, 3H), 7.00 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.36 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 7.66 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.91 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 8.51 (s, 2H).
13CNMR (100 MHz, CDCl
3) δ 31.5, 114.1 (2C), 127.6 (2C), 128.4 (2C), 128.7 (2C), 130.7 (2C), 131.2 (2C), 135.5 (2C), 137.3 (4C), 140.8 (2C). M.p. 283℃ (decomposed). IR (KBr) 3419, 1551, 1372, 1348, 1183, 1156, 1132, 1044 cm
-1. [α]
D25 = 131.2 (c 0.20, CHCl
3, (S)). HRMS (EI+) calcd for C
21H
13Br
2NO
4S
2 [M+H]
+564.8653, found 564.8657.
【0056】
[8−2]ステップ2
窒素置換した反応容器に、化合物28(567mg,1.0mmol)、フェニルボロン酸(366mg,3mmol)テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(116mg,0.1mmol)、炭酸カリウム(1.38g,10mmol)、THF(20mL),水(5mL)を加えて、85℃に加熱して12時間撹拌した。反応終了をTLCで確認した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)を加え、クロロホルム(30mL×2)を用いて通常の分液処理を行った。抽出した有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過、濃縮した。得られた濃縮物からシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1〜3:1)にて生成物を分取し、目的の化合物30a(S体)を収率87%(490mg)で得た。また、化合物30b(S体),30c(S体)については、フェニルボロン酸の代わりに、それぞれ4−ビフェニルボロン酸及び3,5−ジフェニルフェニルボロン酸を用いることにより、収率89%及び90%で得た。化合物30b,30cのスペクトルデータは以下のとおり。
【0057】
化合物30b:
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 3.00 (s, 3H), 7.27 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.35 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 7.39-7.49 (m, 6H), 7.51-7.60 (m, 4H), 7.62-7.74 (m, 10H), 8.00 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 8.07 (s, 2H).
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 30.7, 125.8, 126.5, 127.1, 127.4, 128.2, 128.4, 128.7, 129.1, 129.9, 130.8, 131.6, 131.9, 133.8, 134.4, 137.5, 138.7, 138.9, 140.3, 140.5. M.p. 194-196℃. IR (KBr) 3028, 1576, 1487, 1369, 1349, 1177 cm
-1. [α]
D23 = 12.8 (c 0.50, CHCl
3, (S)). HRMS (FAB+) calcd for C
45H
31NO
4S
2 [M]
+ 713.1694, found 713.1702.
【0058】
化合物30c:
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 3.00 (s, 3H), 7.30-7.40 (m, 6H), 7.40-7.50 (m, 10H), 7.66-7.76 (m, 14H), 7.87 (m, 2H), 8.01 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 8.16 (s, 2H).
13CNMR (100 MHz, CDCl
3) δ 30.7, 125.3, 126.4, 127.2, 127.4, 127.5, 127.6, 128.2, 128.3, 128.8, 128.9, 130.0, 131.7, 132.0, 133.9, 134.4, 137.6, 139.1, 140.6, 140.7, 141.2. M.p. 194-196℃. IR (KBr) 2940, 1593, 1574, 1496, 1370, 1349, 1177, 1028 cm
-1. [α]
D24 = -30.0 (c 0.50, CHCl
3, (S)). HRMS (EI+) calcd for C
57H
39NNaO
4S
2 [M]
+ 865.2321, found 865.2336.
【0059】
[8−3]ステップ3
実施例7のステップ2と同様にして、化合物30a〜30cから化合物32a〜32c(いずれもS体)をそれぞれ収率93%,96%,90%で得た。化合物32b,32cのスペクトルデータは以下のとおり。
【0060】
化合物32b:
1H NMR (400 MHz, d8-THF) δ 2.10 (s, 3H), 4.30 (br, 1H), 6.90 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.12 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.16-7.22 (m, 2H), 7.23-7.32 (m, 2H), 7.32-7.46 (m, 6H), 7.55-7.84 (m, 16H).
13C NMR (100 MHz, d8-THF) δ 28.8, 126.1, 126.3 126.9, 127.3, 127.6, 128.1, 128,2, 128.4, 129.0, 129.4, 129.6, 131.0, 131.4, 131.7, 132.5, 132.6, 133.8, 134.2, 134.4, 135.5, 135.9, 137.6, 139.3, 139.8, 140.8, 141.1, 141.2, 141.3, 141.9, 142.7, 144.0. M.p. 284-286℃. IR (KBr) 3373, 3065, 1486, 1393, 1329, 1229, 1203, 1042 cm
-1. [α]
D22 = -81.9 (c 0.20, CHCl
3, (S)). HRMS (ESI-) calcd for C
45H
32NO
5S
2 [M-Na]
- 730.1727, found 7301723.
【0061】
化合物32c:
1H NMR (400 MHz, d8-THF) δ 2.18 (s, 3H), 4.10 (br, 1H), 7.03 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.14 (m, 2H), 7.20 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.24-7.50 (m, 14H), 7.68-8.05 (m, 18H).
13CNMR (100 MHz, d8-THF) δ 28.9, 124.4, 125.6, 127.3, 127.6, 127.9, 128.0, 128.1, 128.3, 128.4, 129.0, 129.4, 129.6, 129.7, 132.6, 133.1, 134.0, 134.2, 134.3, 136.3, 136.5, 138.3, 139.5, 139.9, 140.8, 141.4, 141.7, 141.9, 142.2, 143.7, 145.2. M.p. 282-284℃. IR (KBr) 3374, 3058, 1593, 1496, 1330, 1232, 1169, 1040 cm
-1. [α]
D23 = -125.2 (c 0.20, CHCl
3, (S)). HRMS (ESI-) calcd for C
57H
40NO
5S
2 [M-Na]
- 882.2353, found 882.2367.
【0062】
[8−4]ステップ4
実施例7のステップ3と同様にして、化合物32a〜32cから化合物34a〜34c(いずれもS体)をそれぞれ収率68%,78%,78%で得た。化合物34b,34cのスペクトルデータは以下のとおり。
【0063】
化合物34b:
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 0.95 (t, J = 7.8 Hz, 3H), 2.38 (d, J = 4.9 Hz, 3H), 3.48 (q, J = 5.0 Hz, 1H), 3.77 (dq, J = 10.1, 7.1 Hz, 1H), 3.92 (dq, J = 10.1, 7.1 Hz, 1H), 7.25-7.53 (m, 10H), 7.60-7.83 (m, 13H), 7.88 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.94 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.99 (s, 1H), 8.01 (s, 1H).
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 14.9, 28.8, 66.3, 126.0, 126.6, 126.9, 127.1, 127.2, 127.3, 127.4, 127.6, 127.7, 127.8, 128.0, 128.1, 128.8, 128.9, 129.0, 129.2, 129.6, 130.6, 132.2, 132.4, 132.7, 132.8, 133.6, 134.1, 134.8, 135.9, 137.2, 138.7, 139.1, 139.8, 140.0, 140.3, 140.7, 141.2. M.p. 163-165℃. IR (KBr) 3373, 3030, 1487, 1353, 1331, 1183 cm
-1. [α]
D23 = -76.0 (c 0.20, CHCl
3, (S)). HRMS (FAB+) calcd for C
47H
38NO
5S
2 [M+H]
+ 760.2191, found 760.2203.
【0064】
化合物34c:
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 0.85 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 2.40 (d, J = 5.0 Hz, 3H), 3.56 (q, J = 5.5 Hz, 1H), 3.75 (m, 1H), 3.86 (m, 1H), 7.29-7.54 (m, 16H), 7.59-7.67 (m, 2H), 7.70-7.80 (m, 8H), 7.82-8.00 (m, 7H), 8.03 (m, 1H), 8.08 (s, 1H), 8.10 (s 1H).
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 14.6, 29.2, 66.4, 125.3, 126.2, 126.9, 127.5, 127.7, 127.9, 128.5, 128.6, 129.2, 129.3, 129.4, 129.6, 132.6, 132.8, 132.9, 133.0, 133.9, 134.3, 135.2, 136.3 137.6, 139.0, 140.1, 140.3, 140.4, 140.8, 141.0, 141.1, 141.2, 141.4, 141.7, 141.8, 142.0. M.p. 193-194℃. IR (KBr) 3376, 3034, 1593, 1496, 1330, 1182 cm
-1. [α]
D22 = -112.0 (c 0.20, CHCl
3, (S)). HRMS (FAB+) calcd for C
59H
46NO
5S
2 [M+H]
+ 912.2817, found 912.2814.
【0065】
[8−5]ステップ5
実施例7のステップ4と同様にして、化合物34a〜34cから化合物36a〜36c(いずれもS体)をそれぞれ収率91%,>99%,98%で得た。化合物36b,36cのスペクトルデータは以下のとおり。
【0066】
化合物36b:
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 0.97 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 2.16 (s, 6H), 3.79 (dq, J = 10.1, 7.3 Hz, 1H), 3.79 (dq, J = 10.1, 7.3 Hz, 1H), 7.30-7.52 (m, 10H), 7.58-7.80 (m, 14H), 7.79-7.96 (m, 3H), 7.99 (s, 1H).
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 14.5, 34.5, 66.3, 126.0, 126.4, 126.9, 127.1, 127.4, 127.5, 127.6, 127.7, 127.9, 128.0, 128.8, 128.9, 129.2, 130.3, 132.2, 132.3, 132.5, 132.8, 133.1, 133.7, 134.1, 135.2, 137.1, 137.4, 139.8, 139.9, 140.1, 140.3, 140.4, 140.5, 140.7. M.p. 171-173℃. IR (KBr) 3029, 1487, 1355, 1324, 1136, 1067 cm
-1. [α]
D24 = -91.9 (c 0.20, CHCl
3, (S)). HRMS (FAB+) calcd for C
48H
40NO
5S
2 [M+H]
+ 774.2348, found 774.2359.
【0067】
化合物36c:
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 0.86 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 2.20 (s, 6H), 3.77 (m, 1H), 3.90 (m, 1H), 7.30-7.52 (m, 16H), 7.59-7.68 (m, 2H), 7.70-8.03 (m, 17H), 8.09 (s, 1H).
13CNMR (100 MHz, CDCl
3) δ 14.4, 34.8, 66.2, 124.7, 125.1, 126.0, 127.2, 127.3, 127.4, 127.5, 127.7, 127.9, 128.0, 128.9, 129.0, 129.1, 129.3, 132.3, 132.7, 133.1, 133.7, 134.1, 135.2, 137.3, 137.4, 139.9, 140.1, 140.6, 140.8, 140.9, 141.2, 141.6, 142.3. M.p. 189-191℃. IR (KBr) 3035, 1593, 1576, 1497, 1355, 1322, 1183, 1137 cm
-1. [α]
D23 = -93.9 (c 0.20, CHCl
3, (S)). HRMS (FAB+) calcd for C
60H
48NO
5S
2 [M+H]
+ 926.2974, found 926.2969.
【0068】
[8−6]ステップ6
実施例7のステップ5と同様にして、化合物36a〜36cから化合物38a〜38c(いずれもS体)をそれぞれ収率55%,66%,57%で得た。化合物38b,38cのスペクトルデータは以下のとおり。また、このステップ6の別例として、Red−Alによる還元反応をTHF中、40℃で行い、続く酸化反応をDMF中、水酸化カリウム存在下、約1気圧(0.1MPa)の酸素を封入して60℃で24時間行った。そうしたところ、化合物36a〜36cから化合物38a〜38c(いずれもS体)がそれぞれ収率39%,52%,43%で得られた。このように汎用性の高いDMFを用いて1気圧という緩和した条件で酸化反応を行った場合でも、円滑に反応が進行することがわかった。
【0069】
化合物38b:
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 7.04 (m, 2H), 7.18 (t, J = 8.2 Hz, 2H), 7.30 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 7.42 (t, J = 7.6 Hz, 6H), 7.59 (d, J = 8.2 Hz, 4H), 7.66 (d, J = 7.8 Hz, 4H), 7.72-7.81 (m, 6H), 7.83 (d, J = 7.8 Hz, 2H).
13C NMR (100 MHz, CD
3OD) δ 126.4, 127.2, 127.9, 128.0, 128.1, 128.4, 129.2, 129.7, 131.7, 132.3, 134.2, 134.4, 138.3, 139.8, 140.2, 142.7, 144.2. IR (KBr) 3371, 1620, 1485, 1220, 1175, 1036 cm
-1. [α]
D23 = -10.0 (c 0.20, CH3OH, (S)). HRMS (FAB-) calcd for C
44H
28NaO
6S
2 [M-2K+Na]
- 739.1225, found 739.1205.
【0070】
化合物38c:
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 7.10 (m, 2H), 7.24 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 7.32 (t, J = 7.3 Hz, 4H), 7.40-7.53 (m, 10H), 7.73-7.85 (m, 10H), 7.86-8.00 (m, 8H).
13CNMR (100 MHz, CD
3OD) δ 124.8, 127.4, 128.1, 128.4, 128.5, 129.2, 129.3, 129.7, 132.5, 134.3, 134.4, 138.3, 139.8, 141.4, 143.0, 146.0. IR (KBr) 3406, 1594, 1215, 1182, 1038 cm
-1. [α]
D23 = -72.0 (c 0.20, CH
3OH, (S)). HRMS (FAB-) calcd for C
56H
36NaO
6S
2 [M-2K+Na]
- 891.1851, found 891.1841.
【0071】
[8−7]ステップ7
実施例7のステップ6と同様にして、化合物38a〜38cから化合物40a〜40c(いずれもS体)をいずれも収率>99%で得た。化合物40b,40cのスペクトルデータは以下のとおり。
【0072】
化合物40b:
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 7.10 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.27 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 7.33 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 7.44 (t, J = 7.8 Hz, 4H), 7.51 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.62-7.67 (m, 4H), 7.68-7.74 (m, 8H), 7.86 (s, 2H), 7.91 (d, J = 8.2 Hz, 2H).
13CNMR (100 MHz, CD
3OD) δ 126.5, 127.7, 127.9, 128.1, 128.7, 128.8, 129.1, 129.8, 131.6, 132.9, 134.1, 134.6, 138.5, 138.7, 139.7, 140.6, 142.4, 143.3. IR (KBr) 3382, 1697, 1486, 1220, 1164, 1033 cm
-1. [α]
D22 = -20.8 (c 1.0, MeOH, (S)). HRMS (FAB-) calcd for C
44H
29O
6S
2 [M-H]
- 717.1406, found 717.1391.
【0073】
化合物40c:
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 7.16 (br, 2H), 7.27 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 7.32 (t, J = 7.3 Hz, 4H), 7.40-7.53 (m, 10H), 7.73-7.85 (m, 10H), 7.86-8.00 (m, 8H).
13CNMR (100 MHz, CD
3OD) δ 124.9, 127.6, 128.2, 128.4, 128.5, 128.6, 129.2, 129.3, 129.7, 132.7, 134.2, 134.5, 139.9, 141.5, 142.8, 145.4. IR (KBr) 3389, 1497, 1218, 1186, 1035 cm
-1. [α]
D23 = -69.2 (c 0.20, CH
3OH, (S)). HRMS (FAB-) calcd for C
56H
37O
6S
2 [M-H]
- 869.2032, found 869.2014.
【0074】
[実施例9]
実施例8のステップ6の代わりに、下記式のように、ステップ1で化合物36a〜36cのスルホン酸エステルをスルホン酸ナトリウム塩(化合物37a〜37c)に変換し、そのナトリウム塩を単離せず、ステップ2でRed−Alによる還元反応をTHF中、35℃で行い、更に酸化反応をDMF中、水酸化カリウム存在下、約1気圧(0.1MPa)の酸素を封入して60℃で38時間行うことにより、化合物38a〜38cを得た。なお、ステップ2は、実施例8のステップ6の別例と同様である。ステップ3では、実施例8のステップ7(実施例7のステップ6)と同様にして、化合物40a〜40cを得た。以下には、ステップ1の手順について、化合物36aを化合物37aに変換する場合を例に挙げて説明する。
【0075】
【化7】
【0076】
反応容器に、化合物36a(124.4mg,0.20mmol)と水酸化ナトリウム(1.60g,40mmol)とメタノール(20mL)を加えて、70℃に加熱し、5時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、2M塩酸で中和した。酢酸エチル(20mL×3)を用いて通常の分液処理を行った。抽出した有機層は硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過、濃縮し、目的とする化合物37aをほぼ定量的に得た。この化合物37aは精製せずに次の反応(連続的還元・酸化)に用いた。化合物37b,37cもこれと同様にして得た。化合物37a〜37cのスペクトルデータは以下のとおり。
【0077】
化合物37a:
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 2.12 (s, 6H), 6.98 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.20-7.39 (m, 7H), 7.40-7,50 (m, 3H), 7.51-7.60 (m, 3H), 7.63 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 7.75 (s, 1H), 7.76 (s, 1H), 7.87 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.88 (d, J = 8.2 Hz, 1H).
13C NMR (100 MHz, CD
3OD) Many peaks overlapped. δ 35.5, 127.3, 127.4, 127.7, 128.0, 128.1, 128.2, 128.3, 128.4, 128.5, 128.7, 129.5, 129.6, 130.5, 130.9, 131.4, 132.8, 133.3, 133.7, 134.3, 134.5, 135.0, 135.6, 136.1, 139.2, 140.5, 143.4, 143.8, 144.6. M.p. 283℃ (decomposed). IR (KBr) 3444, 3054, 2923, 1491, 1322, 1188, 1135, 1042 cm
-1. [α]
D22= 88.8 (c 1.0, CH
3OH, (R)). HRMS (FAB-) calcd for C
34H
26NO
5S
2 [M-Na]
- 592.1252, found 592.1252.
【0078】
化合物37b:
1H NMR (400 MHz, d
8-THF) δ 1.91 (s, 6H), 6.77 (br, 1H), 6.90 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.09-7.27 (m, 8H), 7.30-7.39 (m, 5H), 7.42-7.47 (m, 4H), 7.52-7.53 (m, 4H), 7.60-7.65 (m, 2H), 7.78-7.85 (m, 4H).
13C NMR (100 MHz, d
8-THF) Many peaks overlapped. δ 33.9, 124.9, 125.8, 126.5, 126.6, 126.7, 126.8, 127.1, 127.5, 127.7, 128.3, 128.4, 128.7, 130.8, 131.4, 131.7, 131.9, 132.8, 133.0, 133.9, 134.3, 134.8, 137.8, 138.7, 138.9, 140.3, 140.5, 140.8, 141.4, 142.8, 143.0. M.p. 289-292℃ (decomposed). IR (KBr) 3422, 3029, 1619, 1487, 1322, 1190, 1041 cm
-1. HRMS (FAB-) calcd for C
46H
34NO
5S
2[M-Na]
- 744.1878, found 744.1878.
【0079】
化合物37c:
1H NMR (400 MHz, d
8-THF) δ2.00 (s, 6H), 6.98 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.14-7.34 (m, 13H), 7.37-7.45 (m, 4H), 7.66-7.88 (m, 18H), 7.95 (br, 1H).
13C NMR (100 MHz, d
8-THF) Many peaks overlapped. δ34.5, 123.2, 124.0, 126.0, 126.6, 126.9, 127.1, 127.1, 127.3, 127.5, 128.2, 128.5, 128.7, 129.0, 131.9, 132.7, 133.1, 133.3, 133.7, 135.0, 137.6, 138.7, 139.8, 140.0, 140.5, 140.7, 140.9, 141.1, 141.5, 142.8, 143.2, 144.7. M.p. 293-296℃ (decomposed). IR (KBr) 3407, 3057, 3033, 2923, 1594, 1497, 1319, 1188, 1041 cm
-1. HRMS (FAB-) calcd for C
58H
42NO
5S
2 [M-Na]
-896.2504, found 896.2504.
【0080】
化合物36a〜36cから化合物38a〜38cへの変換効率は、実施例8よりも実施例9の方が高い。その理由は、以下のように考えられる。化合物36a〜36cのRed−Alによる還元反応では、ビナフチル化合物のスルホンアミド部位はスルフィン酸に、スルホン酸エステル部位はスルホン酸に変換されるのが、次の酸化反応で最も効率よく酸化される。しかし、実際には、Red−Alによる還元反応では、スルホン酸エステル部位はチオールやジスルフィドに変換されてしまうことが確認されている。実施例9では、スルホン酸エステル部位をスルホン酸ナトリウム塩にすることで、これらの還元反応が抑制され、スルホン酸への選択的な変換効率が上がったと考えれる。