(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1種類のコインと当該第1種類のコインよりも直径が大きい第2種類のコインをそれぞれ所定枚数挿入して操作部を操作することにより収容物収容部より収容物が取り出される収容物取出装置であって、
前記第1種類のコインと前記第2種類のコインをそれぞれ所定枚数保持可能なコイン保持部と、
前記操作部の初期操作に応じて、前記コイン保持部に第1種類のコインと第2種類のコインがそれぞれ所定枚数保持されているか否かを検出するコイン検出装置と、
からなり、
前記コイン保持部においては、保持可能な第1種類のコインと第2種類のコインの所定枚数をそれぞれ個別に少なくとも0枚と1枚の間で変更することが可能であり、
前記コイン検出装置は、
ストッパーと、
前記操作部の操作に伴い回転し、回転中心から離間する方向に突出した突出位置と、回転中心に接近する方向に没入した没入位置の間を移動可能な出没部材と、
を有し、
前記出没部材は突出位置にあるとき前記ストッパーと当接して回転が阻止されることにより前記操作部の操作を阻止可能であり、
前記コイン保持部において前記第1種類のコインまたは前記第2種類のコインのいずれか一方または両方が所定枚数保持されていないことを検出したとき、前記出没部材は突出位置となり、前記ストッパーと当接し回転が阻止されることにより、前記操作部の初期操作以降の操作を阻止し、
また、前記コイン保持部において前記第1種類のコインまたは前記第2種類のコインの両方が所定枚数保持されていることを検出したとき、前記出没部材は没入位置となり、前記ストッパーと当接せず回転が阻止されず、前記操作部の初期操作以降の操作を許容する、
ことを特徴とする収容物取出装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1乃至
図3に示すように、本発明にかかる実施形態の収容物取出装置10は、箱型の筐体11を有しており、筐体11の上部には、例えば玩具等をカプセル等の容器に包装した収容物Aを収容する収容物収容部である収納ケース12が設けられている。収納ケース12の底面は後部に向かって傾斜しており、底面の後部の中間壁13には、収容物Aが落下可能な取出孔131が1個設けられている。なお、本実施形態においては、収容物Aを玩具等をカプセル等の容器に包装したものとして説明するが、本発明が解決しようとする課題との関係からも明らかなとおり、収容物取出装置に収容可能であり、かつ、取出可能なものであれば、どのようなものでも良い。したがって、収容物には本実施形態のように固定形状のものも含まれるし、不定形の気体、液体でも良い。また、収容物は本実施形態のように自重により落下して取り出されるものでも良いが、自重による落下ではなく、何らかの手段により収容物取出装置外に送り出されることにより取り出されるものでも良い。
【0013】
さて、本実施形態においては、収納ケース12の底壁を構成する中間壁13には、購入者が収納ケース12から収容物Aを取り出す収容物取出機構としての回転台14が設けられている。回転台14には、収容物Aが通過可能な切欠141が複数形成されており、切欠141は収納ケース12の中間壁13に設けられている取出孔131に対応する位置を通過するようになっている。
【0014】
収納ケース12の下側の内部空間には、挿入されたコインを保持するコイン保持部、所定枚数のコインが保持されているか否かを検出するコイン検出装置70が内蔵されたユニット20および収容物取出時に操作される操作部40を有するが、詳細は後述する。
【0015】
また、収納ケース12の下方前面には、筐体11の前面開口を覆う前壁111が、ヒンジにより開閉自在に設けられている。前壁111からは、コインCを挿入するためのコイン挿入口22と、収納ケース12から取り出された収容物Aが排出される収容物取出口15が露出しており、また、返却されるコインが排出されるコイン受け皿16が設けられている。
【0016】
また、前壁111には、収容物Aを収納ケース12から取り出すために操作する操作部40を構成する回転ハンドル41が前壁111から露出しており、前壁111に対して回転可能に配置されている。回転ハンドル41は、詳細を後述するが、初期状態から若干回転させること(初期操作)はコインの挿入の有無に関わらず可能だが、初期操作以降の操作は、所定のコインが所定枚数コイン保持部に保持されていることがコイン検出装置70において検出された場合にのみ可能となる。さらに、前壁111からは、挿入したコインを返却させるための返却レバー17が突出している。
【0017】
図2および
図3に示すように、操作部40においては、前壁111の前面に露出している回転ハンドル41の回転中心軸にギア連動機構の一部を構成する主軸体42の一端が取り付けられている。この主軸体42は筐体11の後壁112と前壁111に取り付けられた図示しない軸受により両支持されるとともに、他端に平歯車43を固定している。この平歯車43の上方にはこの平歯車43と噛み合う小歯車44が後壁112において回動可能に軸支されている。
さらに、この小歯車44の上方には、この小歯車44と噛み合う平歯車45が、回転可能に軸支されている。この平歯車45には互いに中心軸が同じとなる歯車部45Aが一体的に形成されている。
【0018】
一方、収納ケース12の底壁を構成する中間壁13の上には、回転台14が回転可能に設けられており、回転台14の底面には、歯型142が形成されていて、この歯型142に対して歯車部45Aが噛み合っている。
従って、回転ハンドル41を手動で矢印T1方向に回転させると、主軸体42を介して回転力が平歯車43に伝えられ、これに噛合している小歯車44および歯車45を介して矢印T2方向の回転力が回転台14に伝達される。
そして、回転ハンドル41の操作を続けることにより回転台14が所定角度回転して、回転台14の切欠141の一つが収納ケース13の中間壁13の取出孔131と一致すると、収納ケース12の中に収納された収容物Aの一つが、回転台14の切欠141を通って取出孔131から落ち、収容物取出口15に送られる。
【0019】
また、後壁112に回動軸支されている平歯車43の斜め下方には、この平歯車43と噛み合う平歯車46が筐体11の後壁112に回転自在に軸支されている。この平歯車46の下方には、この平歯車46と噛み合う小歯車47が一端に取り付けられた中間軸48が、前壁111と後壁112の間で回動可能に軸支されている。また、中間軸48の略中央部には、傘歯車49が取り付けられている。
【0020】
従って、購入者が回転ハンドル41を回転させると、主軸体42が回転して平歯車43を回転させる。これにより、一方では、小歯車44および平歯車45および歯車部45Aを介して回転台14を回転させる。また、他方では、平歯車43の回転により、平歯車46および小歯車47を介して中間軸48を回転させて、傘歯車49を回転させる。このため、後述するように、傘歯車49の回転を阻止すると、回転ハンドル41および回転台14の回転も阻止されることになる。
【0021】
さて、
図2に示すように、中間軸48の下方には、水平方向に延びる下段中間壁51が、設けられており、下段中間壁51の上には、断面コ字状の着脱部材52が配置されている。この着脱部材52は、詳細を後述するコイン検出装置70およびコイン保持部60を内蔵するユニット20が上側に着脱可能に搭載されるものであり、ユニット20のコイン保持部60から落下するコインCが、下段中間壁51に設けられた長孔(図示省略)を介して下方のコイン貯め部53内に落下するようになっている。
【0022】
なお、以上説明してきた収容物取出装置10の構造は、収容物Aを玩具等を包装したカプセル等の容器とした場合の実施例にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。すなわち、本発明を実施する際には、以上説明してきた部分については、収容物Aに応じて適切な構造を適宜選択すれば良い。
【0023】
さて、収容物取出装置10においては、第1種類のコインと当該第1種類のコインよりも直径が大きい第2種類のコインをそれぞれ所定枚数挿入した上で、操作部40(回転ハンドル41)を操作すると、物品収容部である収納ケース12から収容物Aが取り出されるものであり、コインは筐体11の前壁111から露出したコイン挿入口22から挿入される。コイン挿入口22は、本発明にいうコイン選別部21を構成するが、この点については後述する。
【0024】
コイン挿入口22から挿入された第1種類、第2種類のコインCはそれぞれ第1コイン通路27、第2コイン通路28を通過して、筐体11の下側の内部空間にあるユニット20内のコイン保持部60にて一旦保持される。なお、第1コイン通路27、第2コイン通路28は、本発明にいうコイン選別部21を構成するが、この点については後述する。
【0025】
さて、
図7を参照しつつ、コイン保持部60について詳細に説明する。
コイン保持部60は、幅方向中央にコインCの下部と当接して支持するコイン支持部材61を有し、コイン支持部材61の左右には第1コインガイド部62R、第2コインガイド部62Lが設けられている。コイン支持部材61およびコインガイド部62L、62Rは、筐体11の前面に向かって傾斜しており、先端はコイン受け皿16に接続される。
なお、第1、第2コインガイド部62R、62Lを総称する際には、「コインガイド部62」と記し、区別する場合には「第1コインガイド部62R」、「第2コインガイド部62L」と記すこととする。
【0026】
第1コインガイド部62Rは、第1コイン通路27を通過してきた第1種類のコイン(例えば100円硬貨)の主面と当接し、支持可能である。また、第2コインガイド部62Lは、第2コイン通路28を通過してきた、第1種類のコインよりも直径が大きい第2種類のコイン(例えば、100円硬貨よりも直径が大きい10円硬貨)の主面と当接し、支持可能である。第1、第2コインガイド部62R、62Lは、それぞれコイン支持部材61とともに第1種類、第2種類のコインCをコイン保持部60にて保持し、落下を防止するとともに、コイン保持部60が保持可能な第1種類、第2種類のコインの枚数をそれぞれ個別に設定する機能を有する。
【0027】
さて、コイン枚数の設定機能について詳述する。
コインガイド部62には、所定間隔で複数のストッパ取付部621が設けられており、当該ストッパ取付部621にはストッパ622が着脱可能に取り付けられる。ストッパ622をどの位置のストッパ取付部621に取り付けるかによって、コイン保持部60が保持可能な第1種類、第2種類のコインの枚数を変更することができる。すなわち、ストッパ622には、コイン保持部60内に突出するコイン支持突起6221が設けられており、コイン支持突起6221は、コイン保持部60へと進入してきて、コイン支持部材61の傾斜に沿ってコイン保持部60内を筐体11の前方へ向けて転動しようとするコインCの側部と当接し、その位置で保持可能である。さらにコイン枚数の設定機能について具体的に説明すると、例えば、第1種類のコインが100円硬貨、第2種類のコインが10円硬貨である場合に、収容物Aの提供者が、収容物Aの価格を110円にすることを希望する場合は、収容物Aの提供者は、
図7に示すように、ストッパ622を、最も後方に位置するストッパ取付部621から1間隔分前方に位置するストッパ取付部621に取り付け、第1種類、第2種類のコインそれぞれをコイン保持部60で保持可能な枚数を1枚に設定すれば良い。
【0028】
次に、コイン選別部21について
図4乃至
図6に基づいて説明する。
コイン選別部21は、コインCを挿入するためのコイン挿入口22、コイン挿入口22と連続するコイン通路23、コイン通路23と連続する第1コイン通路27、第2コイン通路28を有している。
コイン挿入口22は、
図4および
図5に示すように、重力方向に対して傾けて設けられている。このことによりコイン挿入口22に挿入されたコインCは重力方向に対して傾いた傾斜状態で、コイン挿入口22の後方に連続して設けられたコイン通路23へと進入する。また、コイン挿入口22の下方には、挿入したコインCを返却させるための返却レバー17が突出する開口25が設けられている。また、外周部には、筐体11に取り付けるための取付部26が外側に突出して設けられている。
【0029】
図6に示すように、コイン挿入口22の後方(すなわち、筐体11の内部)にはコイン通路23が連続して設けられている。また、コイン通路23には、コイン姿勢変更部24が設けられており、収容物取出装置10で使用される二種類のコインCのいずれか一方の姿勢を変更可能である。具体的には、収容物取出装置10で第1種類のコインと当該第1種類のコインよりも直径が大きい第2種類のコインが使用可能であるとした場合、通過中の第2種類のコインの上部と接触することにより、第2種類のコインの姿勢を重力方向に対して傾斜した傾斜状態から重力方向と平行となる平行状態に向けて変更可能である。また、本実施形態においては、コイン姿勢変更部24は、第1種類のコインについては、その上部と接触しないため、姿勢を変更することなく、重力方向に対して傾斜した傾斜状態のまま通過することを許容する。また、コイン通路23(すなわち、コイン姿勢変更部24)に連続している第1コイン通路27は、コイン挿入口22が重力方向に対して傾斜している方向の側(本実施形態でいう右側)に設けられている。すなわち、第1コイン通路27は、コイン姿勢変更部24を通過した傾斜状態のままの第1種類のコインの進行方向に存在することになるため、コイン姿勢変更部24を通過した第1種類のコインは、傾斜状態のまま、第1コイン通路27に進入することになる。また、第2コイン通路28は同様にコイン通路23に連続しているが、第1コイン通路27と対向する側(本実施形態でいう左側)に設けられている。すなわち、コイン姿勢変更部24を通過して重力方向と平行となる平行状態に向けて姿勢が変更された第2種類のコインの進行方向に存在することになるため、コイン姿勢変更部24を通過した第2種類のコインは、第1コイン通路27ではなく、第2コイン通路28に進入することになる。以上のとおりであるから、コイン選別部21は、コイン挿入口22から挿入されたコインCについて、その直径の大きさに応じたコイン姿勢変更部24での姿勢変更の有無に基づき、第1コイン通路27と第2コイン通路28のいずれかに進入させる。つまり、コイン選別部21は、コイン挿入口22から挿入されたコインCについて、その直径の大きさに応じたコイン姿勢変更部24での姿勢変更の有無に基づき、コインCを選別できる。
【0030】
より具体的には、100円硬貨のような小径のコインCをコイン挿入口22に挿入すると、傾いた小径コインCは傾いたままコイン通路23(コイン姿勢変更部24)を通って、右方向へ導かれ、第1コイン通路27へと進入する。
一方、10円硬貨のような大径のコインCをコイン挿入口22に挿入すると、傾いた大径コインCの上部がコイン通路23の上に設けられているコイン姿勢変更部24によって傾斜と反対方向(左側)へと案内され、反対側に傾いて左方向へ導かれ、第2コイン通路28へと進入する。
【0031】
なお、第1コイン通路27および第2コイン通路28からコイン保持部60までの途中に、投入されたコインCが適切なコインCであるか否かを検出するコインセレクタを設けることができる。例えば、第1コイン通路27に設けるコインセレクタは、コインCが100円硬貨であるか否かを検出し、第2コイン通路28では、100円硬貨より直径が大きい10円硬貨か否かを検出する。コインCが適正なものでない場合には、コイン受け皿16に返却する。
【0032】
図8および
図9に示すように、コイン支持部材61は、第2種類のコインCを保持する第2コイン保持部63と、第1種類のコインCを保持する第1コイン保持部64を有し、第2コイン保持部63および第1コイン保持部64を移動可能に保持するベース部65を有する。
ベース部65は、筐体11の前面に向かって幅が細くなる細長い板状部材であり、上面の略四隅に係止ブロック651が設けられている。係止ブロック651には、左右両外側および上方に向かって開口する係止凹部652が設けられている。
【0033】
第2コイン保持部63および第1コイン保持部64は、ベース部65に対応して、筐体11の前面に向かって幅が細くなる細長い板状部材である保持部材本体631,641を有している。また、保持部材本体631,641の後端部(
図8において右端部)には、係止ブロック632および係止ブロック642が設けられている。
【0034】
係止ブロック632,642は、保持部材本体631,641から上方へ延びる支柱部633,643と、支柱部633,643の上端から水平に延びるとともに、内側に屈曲した係止部634,644を有する。
なお、
図8(B)に示すように、係止部634,644は上下方向にずれて設けられており、第2コイン保持部63および第1コイン保持部64が互いに接近しても、係止部634,644が互いに干渉しないようになっている。なお、どちらの係止部634,644が上であるかは、任意である。
【0035】
第2コイン保持部63および第1コイン保持部64の保持部材本体631,641には、長円形状のネジ穴635,645が前後方向に傾斜して設けられている。
すなわち、第2コイン保持部63の保持部材本体631においては、ネジ穴635は後方に向かって左端部側へ傾斜しており、第1コイン保持部64のネジ穴645は、後方に向かって右端部側へ傾斜している。すなわち、ネジ穴635およびネジ穴645は、八の字形状となっている。
【0036】
両ネジ穴635,645にはネジ66が挿通されており、ネジ66はベース部65の下面に締結されている。
従って、第2コイン保持部63および第1コイン保持部64を、ベース部65に対して相対的に後方へ移動させることにより、ネジ66がネジ穴635,645の前端に移動する。これにより、第2コイン保持部63および第1コイン保持部64は互いに離間する方向へ移動するので、コイン支持部材61の全幅が大きくなる。常時は、付勢部材(図示省略)により第2コイン保持部63および第1コイン保持部64が拡がる方向へ付勢されてこの状態となっている。すなわち、この状態が第2コイン保持部63および第1コイン保持部64が初期位置にある状態であり、この時に第2コイン保持部63および第1コイン保持部64がコインCを保持できる。
【0037】
一方、第2コイン保持部63および第1コイン保持部64を、ベース部65に対して相対的に前方へ移動させることにより、ネジ66がネジ穴635,645の後端に移動する。これにより、第2コイン保持部63および第1コイン保持部64は互いに接近する方向へ移動するので、コイン支持部材61の全幅が小さくなる。すなわち、第2コイン保持部63および第1コイン保持部64は退避位置へと略同時に移動する。すると、第2コイン保持部63および第1コイン保持部64それぞれにおけるコインCの支持も略同時に解除され、保持されていたコインCは自重により落下することになる。
【0038】
次に、コイン検出装置70について詳細に説明する。
図7に示すように、コイン保持部60の後方(
図7において左側)には、コイン検出装置70が設けられている。コイン検出装置70は、第1種類および第2種類のコインCが、各々所定枚数コイン保持部60に保持されているか否かを検出し、保持されていることを検出した場合にのみ回転ハンドル41の回転を許容して収容物Aの取出を可能にするとともに、コイン保持部60に保持されているコインCをコイン貯め部53へ落下させて収容するものである。
【0039】
第1コイン通路27および第2コイン通路28の下方位置には、各々略三角形状の揺動部材71R、71Lが揺動可能かつ、常時、
図7中において時計方向へ付勢されて
図7に示す位置にある。
なお、左右の揺動部材を総称する際には、「揺動部材71」と記し、左右を区別する場合には「揺動部材71L」、「揺動部材71R」と記すこととする。
【0040】
揺動部材71は、コインCが投入されていない状態では,頂部711が略上を向いて傾斜面712が前上方に向いている。
従って、第1コイン通路27および第2コイン通路28から落下してきたコインCは、各々揺動部材71の傾斜面712に当接してコイン支持部材61の上に保持される。このとき、投入されたコインCの枚数が,所定の枚数に達していない場合には、コイン支持部材61の上を転動して前方へ移動し、コインガイド部62に設定されているストッパ622に当接して停止し、コイン支持部材61の上に保持される。
所定枚数のコインCが投入されると、最後のコインCは揺動部材71を
図7中時計回りに回動させた状態で停止する。
【0041】
揺動部材71L、71Rと同じ鉛直面内にそれぞれ出没部材72L、72Rが設けられている。
なお、出没部材72Rについては、図示を省略している。また、左右の出没部材を総称する際には、「出没部材72」と記し、左右を区別する場合には「出没部材72L」、「出没部材72R」と記すこととする。
【0042】
左右の出没部材72L、72Rは、回転軸(図示省略)により一体的に連結されており、回転軸回りに一体で回転する。また、左右の出没部材72L、72Rは、それぞれ個別に回転中心から離間する方向に突出した突出位置と、回転中心に接近する方向に没入した没入位置の間を移動可能となっており、図示しない付勢部材により没入位置から突出位置に向かう方向へと付勢されている。すなわち、左右の出没部材72L、72Rは初期状態においては突出位置にある。また、この回転軸には、傘歯車49と噛合する傘歯車75(
図2参照)が取り付けられている。従って、回転ハンドル41の回転に伴い、傘歯車49が回転しようとすると、傘歯車75も回転しようとするので、出没部材72も回転しようとする。前述のとおり、左右の出没部材72L、72Rと揺動部材71L、71Rとは同じ鉛直面内にあるため、出没部材72が回転することにより、左右の出没部材72L、72Rと揺動部材71L、71Rとは当接することになる。このとき、コイン保持部60に保持されている第1種類のコインCまたは第2種類のコインCの少なくとも一方が所定の枚数に達していない場合には、揺動部材71L、71Rの少なくとも一方は、突出位置にある出没部材71と当接することにより、前方(
図7でいう反時計方向)へと回動させられる。そして、出没部材71がさらに回転すると、出没部材71は突出位置にあるまま揺動部材71の位置を通過し、その下方にある図示しないストッパーと当接して、回転を阻止される。なお、出没部材71が回転して揺動部材71の位置を通過するまでの回転ハンドル41の操作が初期操作にあたり、コイン保持部60に保持されているコインCの枚数に関わらず行える動作である。前述のとおり、コイン保持部60に所定枚数のコインCが保持されていない場合は、出没部材71の回転が阻止されるため、回転ハンドル41も初期操作以降の操作が阻止される。また、従って、出没部材72が回転を阻止されることにより、傘歯車75および傘歯車49も回転を阻止され、回転ハンドル41が回転できないので、回転台14が回転せず、収容物Aを取り出すことができないようになっている。
【0043】
次に、コイン保持部60に保持されている第1種類のコインおよび第2種類のコインのいずれもが所定枚数に達した状態において、回転ハンドル41を回転させた場合について説明する。回転ハンドル41が回転すると、出没部材72も回転し、左右の出没部材72L、72Rと揺動部材71L、71Rとが当接する。しかし、揺動部材71L、71Rは前方(
図7における反時計方向)へと回動しようとするが、コイン保持部60に保持されているコインCの存在により回動不能となっている。すると、逆に出没部材72が揺動部材71により押圧されることになり、付勢部材による付勢に抗して没入位置へ向かって移動する。この状態のまま、出没部材71がさらに回転して揺動部材71の位置を通過しても、出没部材71は突出位置にないためストッパーと当接せず、以降の回転も阻止されない。したがって、回転ハンドル41は、初期操作以降の操作が許容され、回転台14が回転し、収容物Aを取り出すことができる。
【0044】
また、出没部材72と同じ回転軸には、出没部材72とともに回転する回転板73が設けられている。回転板73の周縁はカムとなっており、当該カムは回転に伴って第2コイン保持部63の係止ブロック632および第1コイン保持部64の係止ブロック642と当接し、第2コイン保持部63および第1コイン保持部64を前方へと押す。このことにより、第2コイン保持部63および第1コイン保持部64は互いに接近する方向へ移動、すなわち、略同時に退避位置へ移動する。すると、コイン支持部材61の全幅が小さくなり、コインCの支持が略同時に解除されるため、コインCは落下してコイン貯め部53に収容される。すなわち、本発明にいう本実施形態における解除手段は、第2コイン保持部63の係止ブロック632、第1コイン保持部64の係止ブロック642、出没部材72の回動に伴って第2コイン保持部63の係止ブロック632および第1コイン保持部64の係止ブロック642を前方へと押す回転板73、第2コイン保持部63および第1コイン保持部64を、それぞれの前方への移動に伴い、互いに接近する方向、すなわち、略同時に退避位置へと移動させるように案内するベース部65、ネジ穴635、634、ネジ66により構成されていることになる。
【0045】
次に、収容物Aの購入動作について説明する。
まず、コインCを投入する前は、回転ハンドル41の初期操作以降の回転が阻止されており、収容物Aを取り出す回転台14が回転しないので、収容物Aを取り出すことはできない。
【0046】
次に、コイン挿入口22からコインCを投入すると、第1種類のコインCおよび第2種類のコインCは、コイン姿勢変更部24の作用により第1コイン通路27に進入するもの(すなわち、第1種類のコイン)と、第2コイン通路に進入するもの(すなわち、第2種類のコイン)に選別される。コインCは第1コイン通路27および第2コイン通路28内を転動し、各々コイン支持部材61の第1コイン保持部64および第2コイン保持部63の上に保持される。
【0047】
コイン保持部60に落下してきたコインCは、第2コイン保持部63および第1コイン保持部64の傾斜により前方へ移動して、コインガイド部62に取り付けられているストッパ622に当接して停止する。そして、保持されるコインCが所定枚数に達すると、最後のコインCが揺動部材71L、71Rに当接して後方(
図7における時計方向)へ回動させ、前方(
図7における反時計方向)への回動を不能にする。これにより揺動部材71に当接した出没部材72が突出位置から没入位置に向けて移動するため、出没部材72は揺動部材71の位置を越えて回動可能になり、結果として、回転ハンドル41の初期操作以降の回転操作が可能になる。
【0048】
さらにこの状態で回転ハンドル41を回転させると、傘歯車49および傘歯車75を介して出没部材72および回転板73が回転し、第2コイン保持部63および第1コイン保持部64を前方に押す。これにより、コイン支持部材61の全幅が小さくなり、コインCの支持が解除されるため、コインCは落下してコイン貯め部53に収容される。
一方、同時に、収容物Aを保持した回転台14が回転して、回転台14の切欠141が、中間壁13の取出孔131の位置に来たときに、収容物Aを落下し、収容物取出口15に収容物Aを取り出す。
【0049】
以上、説明した本実施形態にかかる収容物取出装置10によれば、二種類のコインCを用いて収容物Aを購入できるので、価格設定の自由度を増すことができる。
【0050】
また、本実施形態にかかる収容物取出装置10におけるコイン選別部21では、重力方向に対して傾斜して形成されたコイン挿入口22と、コイン挿入口から挿入されたコインが通過するコイン通路23と、コイン通路23に設けられ、コイン挿入口22に挿入され重力方向に対して傾斜した傾斜状態でコイン通路23を通過中の第1種類のコインについては、傾斜状態のまま通過することを許容し、コイン挿入口22から挿入されて重力方向に対して傾斜した傾斜状態でコイン通路23を通過中の第2種類のコインについては、その上部と接触することにより、第2種類のコインの姿勢を傾斜状態から重力方向と平行となる平行状態に向けて変更するコイン姿勢変更部24と、コイン姿勢変更部24を傾斜状態のまま通過した第1種類のコインが進入する第1コイン通路27と、コイン姿勢変更部24により姿勢を変更された第2種類のコインが進入する第2コイン通路28を有するので、第1種類のコインと第1種類のコインより直径が大きな第2種類のコインとを機械的に選別することができる。
【0051】
また、本実施形態においては回転板73等からなる解除手段が、第2コイン保持部63および第1コイン保持部64を退避位置へと略同時に移動させ、第2コイン保持部63および第1コイン保持部64それぞれにおけるコインの支持を略同時に解除するため、保持しているコインC同士が干渉することが少なく、コイン詰まりが起きづらい。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明に係る収容物取出装置は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変化が可能である。
すなわち、前述した実施形態では、1台の収容物取出装置10について説明したが、2台の収容物取出装置10を上下に積層して使用することができる。これにより、店舗の限られたスペースの有効利用を図るとともに、例えば年少の背の低い子供などが下段の収容物取出装置を操作し、大人が上段の収容物取出装置の操作を行うことができる。