【実施例】
【0112】
実施例1. ポリ(ビニルエーテル)ランダムコポリマー
A. アミン含有モノマーの組み込みのためのビニルエーテルモノマー
2-ビニルオキシエチルフタルイミドを、2-クロロエチルビニルエーテル(25g、0.24mol;CAS #110-75-8)およびフタルイミドカリウム(25g、0.135mol;CAS #1074-82-4)を100℃のN,N-ジメチルホルムアミド(DMF、75ml)中、相転移触媒として臭化テトラn-ブチルアンモニウム(0.5g;CAS #1643-19-2)を用いて反応させることにより調製した。この溶液を6時間加熱し、次いで水中で粉砕し、ろ過した。次いで、この固体をメタノールから2回再結晶して、白色結晶を得た。
【0113】
B. 水溶性、両親媒性、膜活性ポリ(ビニルエーテル)ポリアミンターポリマーの合成
Xmol%アミン保護ビニルエーテル(例えば、2-ビニルオキシエチルフタルイミド)を乾燥器で乾燥した丸底フラスコの窒素雰囲気下、無水ジクロロメタン中に加える。この溶液に
Ymol%低級疎水性基(例えば、プロピル、ブチル)ビニルエーテルおよび任意に
Zmol%高級疎水性基(例えば、ドデシル、オクタデシル)ビニルエーテルを加える(
図1)。溶液を-50から-78℃の浴に入れ、2-ビニルオキシエチルフタルイミドを沈澱させる。この溶液に10mol%BF
3・(OCH
2CH
3)
2を加え、-50から-78℃で2〜3時間反応を進行させる。メタノール中の水酸化アンモニウム溶液を加えて重合を停止する。ポリマーを減圧下で乾燥し、次いで1,4-ジオキサン/メタノール(2/1)に加える。フタルイミドに対し20mol当量のヒドラジンを加えて、アミンから保護基を除去する。溶液を3時間還流し、次いで減圧下で乾燥する。得られた固体を0.5mol/L HClに溶解し、15分間還流してポリマーの塩酸塩を生成し、蒸留水で希釈し、さらに1時間還流する。次いで、溶液をNaOHで中和し、室温(RT)まで冷却し、分子セルロースチューブに移し、蒸留水に対して透析し、凍結乾燥する。ポリマーをサイズ排除または他のクロマトグラフィを用いてさらに精製することもできる。ポリマーの分子量を、分析用サイズ排除クロマトグラフィおよび多角光散乱によるサイズ排除クロマトグラフィ(SEC-MALS)を含む、標準的手順によりカラムを用いて推定する。
【0114】
C. DW1360の合成
アミン/ブチル/オクタデシルポリ(ビニルエーテル)ターポリマーを、2-ビニルオキシエチルフタルイミド(5g、23.02mmol)、ブチルビニルエーテル(0.665g、6.58mmol)、およびオクタデシルビニルエーテル(0.488g、1.64mmol)モノマーから合成した。2-ビニルオキシエチルフタルイミドを、磁気撹拌子を含む乾燥器で乾燥した200mL丸底フラスコのアルゴン雰囲気下、36mLの無水ジクロロメタン中に加えた。この溶液にブチルビニルエーテルおよびn-オクタデシルビニルエーテルを加えた。モノマーを室温(RT)で完全に溶解し、澄明な均質溶液を得た。次いで、澄明溶液を含む反応容器を、ACS等級の変性アルコールおよびエチレングリコールの1:1溶液にドライアイスを加えて作った-50℃の浴に入れ、フタルイミドモノマーの目に見える沈澱を形成させた。約1.5分間冷却した後、BF
3・(OCH
2CH
3)
2(0.058g、0.411mmol)を加えて、重合反応を開始した。フタルイミドモノマーは重合開始後に溶解した。-50℃で3時間反応を進行させた。メタノール中1%水酸化アンモニウム5mLを加えて重合を停止した。次いで、溶媒をロータリーエバポレーションで除去した。
【0115】
次いで、ポリマーを30mLの1,4-ジオキサン/メタノール(2/1)に溶解した。この溶液にヒドラジン(0.147g、46mmol)を加え、混合物を3時間加熱還流した。次いで、溶媒をロータリーエバポレーションで除去し、次いで得られた固体を20mLの0.5mol/L HClに加え、15分間還流し、20mLの蒸留水で希釈し、さらに1時間還流した。次いで、この溶液をNaOHで中和し、RTまで冷却し、分子量3,500のセルロースチューブに移し、蒸留水に対して24時間(2×20L)透析し、凍結乾燥した。
【0116】
示したビニルエーテルモノマーを含むポリマーを記載しているが、本発明はこれらの特定のモノマーに制限されることはない。
【0117】
D. 水溶性、両親媒性、膜活性ポリ(アクリラート)ポリアミンターポリマーの合成
ポリ(アクリラート)およびポリ(メチルアクリラート)ヘテロポリマーを一般的なフリーラジカル反応スキームを用いて合成してもよい(本明細書において用いられるポリ(メタクリラート)ポリアミンはポリ(アクリラート)ポリアミン属の亜属である):
式中、Rは独立に水素またはメチル基であり、Xはポリマー中に所望の比で存在する所望のモノマー側基である。
【0118】
ポリマー合成のために、適切なモノマーには下記が含まれるが、それらに限定されるわけではない:
BOC保護アミン含有モノマー(M):
式中、n=1〜4であり、BOC保護基の除去により一級アミンが生じる。
低級疎水性基モノマー(N):
式中、n=1〜5であり、1つまたは複数の炭素は不飽和であってもよい。
高級疎水性基モノマー(O):
式中、n=8〜24であり、1つまたは複数の炭素は不飽和であってもよい。
【0119】
前述のモノマーを用いて、以下の組成の膜活性ヘテロポリマーを合成することができる:Mは50〜90mol%でありえ;Nは10〜50mol%でありえ;Oは0〜10mol%でありうる。
【0120】
E. 水溶性、両親媒性、膜活性ポリ(アクリラート)ポリアミンターポリマーの合成
R、R'、およびR''は独立に水素またはメチルであり
x=2、3、または4であり
y=0、1、2、3、4、または5[メチル(C1)〜ヘキシル(C6)]であり
z=≧8の整数[デシル(C10)またはそれ以上]であり
a、b、およびdはポリマーが所望の比の前述のモノマーを有するように選択した整数である。
【0121】
Xmol%アミン保護アクリラートモノマー、
Ymol%低級疎水性基アクリラートモノマー、および任意に
Zmol%高級疎水性基アクリラートモノマーを、撹拌子を備えた反応チューブに加える。適切な溶媒(例えば、アセトニトリルまたはジオキサン)と、続いて適切な触媒(例えば、AIBN)を加え、反応混合物をN
2でパージする。次いで、反応チューブに栓をし、油浴に移し、重合させるのに十分な時間(例えば、3時間)加熱する(例えば、60℃)。粗製ポリマーを、BOC保護基の除去の前に、透析、カラムクロマトグラフィ、および沈澱を含むが、それらに限定されるわけではない、適切な手段によって精製してもよい。BOC保護基を、氷酢酸中、2M HClとの反応により除去する。BOC保護基の除去によりポリマー一級アミンおよび水溶性膜活性ポリ(アクリラート)ポリアミンを得る。次いで、ポリマーを、透析、カラムクロマトグラフィ、および沈澱を含むが、それらに限定されるわけではない、適切な手段によって精製してもよい。
【0122】
(Ant 40911-3 23-28、Ant 40911-35-2)の合成
2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN、ラジカル開始剤)、アセトニトリル、およびジオキサンはSigma Aldrichから購入した。アクリラートおよびメタクリラートモノマーをろ過して阻害剤を除去した。3-(BOC-アミノ)1-プロパノール(TCI)を塩化アクリロイル(CAS 814-68-6)と反応させて、BOC-アミノプロピルアクリラート(BAPA)を生成した。
【0123】
撹拌子を備えた2L丸底フラスコ中、2-(2-アミノエトキシ)エタノール(21.1g、202.9mmol)を350mLのジクロロメタンに溶解した。別の1Lフラスコ中、無水BOC(36.6g、169.1mmol)を660mLのジクロロメタンに溶解した。2L丸底フラスコに滴加漏斗を取り付け、無水BOC溶液をフラスコに6時間かけて加えた。反応混合物を終夜撹拌した。2L分液漏斗中、生成物を各300mlの10%クエン酸、10%K
2CO
3、飽和NaHCO
3、および飽和NaClで洗浄した。生成物であるBOC保護2-(2-アミノエトキシ)エタノールをNa
2SO
4で乾燥し、重力ろ過し、ロータリーエバポレーションおよび高減圧を用いてDCMを蒸発させた。
【0124】
撹拌子を備え、アルゴンを流した、500ml丸底フラスコ中、BOC保護2-(2-アミノエトキシ)エタノール(27.836g、135.8mmol)と、続いて240mLの無水ジクロロメタンを加えた。ジイソプロピルエチルアミン(35.5ml、203.7mmol)を加え、系をドライアイス/アセトン浴に入れた。塩化アクリロイル(12.1ml、149.4mmol)を10mlのジクロロメタンを用いて希釈し、アルゴンを流した系に滴加した。系をアルゴン雰囲気下に維持し、室温に戻して、終夜撹拌した。生成物を各100mlのdH
2O、10%クエン酸、10%K
2CO
3、飽和NaHCO
3、および飽和NaClで洗浄した。生成物であるBOC-アミノエチルエトキシアクリラート(BAEEA)をNa
2SO
4で乾燥し、重力ろ過し、ロータリーエバポレーションを用いてDCMを蒸発させた。直径7.5cmのカラムを用い、29cmのシリカでのカラムクロマトグラフィにより生成物を精製した。用いた溶媒系はヘキサン中30%酢酸エチルであった。Rf:0.30。分画を集め、溶媒をロータリーエバポレーションおよび高減圧を用いて除去した。BAEEAを収率74%で得た。BAEEAをフリーザーで保存した。
【0125】
ポリマー40911-3 23-28:70%BAPA、25%メタクリル酸ブチル(CAS 97-88-1)、5%メタクリル酸オクタデシル(CAS 4813-57-4)、(3%AIBN触媒)モル供給比(合計0.0139mol)
BAPA(9.739mmol)(A)、メタクリル酸ブチル(3.478mmol)(B)、およびメタクリル酸オクタデシル(0.6957mmol)(D)を、撹拌子を備えた20mL反応チューブに加えた。アセトニトリル(16ml)と、続いてAIBN(0.4174mmol)を加えた。2回の反応を並行して行うために、前述の段階を繰り返した。反応混合物をN
2で30分間パージした。次いで、反応チューブに栓をし、油浴に移し、60℃で3時間加熱した。チューブを取り出し、内容物を合わせた。粗製ポリマーを脱イオン水中で沈澱させ、ニートトリフルオロ酢酸(40ml)と1.5時間反応させて、BOC保護基を除去し、一級アミンおよび水溶性膜活性ポリ(アクリラート)ポリアミンを生成した。200mLの脱イオンH
2O(dH
2O)を反応混合物に加え、溶液を3500MWカットオフセルロースチューブに移し、高塩に対して24時間と、次いでdH
2Oに対して18時間透析した。内容物を蒸発乾固し、100mLのdH
2Oに溶解し、凍結乾燥した。乾燥したポリマーを50%MeOH/100mMギ酸アンモニウム/0.2%ギ酸溶液に25mg/mlで溶解した。粗製ポリマー溶液(250mg、10ml)の3回の注入分を、S-200セファクリル担体で、XK50/30cmカラムを5.0ml/分の流速で用いて精製した。カラムを充填し、製造者の指示に従って用いた。(GE Healthcare、説明書56-1130-82 Al、52-2086-00 AH)。ポリマー溶出はShimadzu RID-10A屈折率コレクターを用いて検出した。23分から28分までの分画を集め、各注入ごとに合わせた。溶媒を蒸発させ、精製したポリマーを2回凍結乾燥した。
【0126】
ポリマーAnt 40911-35-2:80%BAEEA、15%メタクリル酸ブチル、5%アクリル酸オクタデシル、(3%AIBN触媒)モル供給比(合計0.013913mol)
BAEEA(A)(11.13mmol)、メタクリル酸ブチル(B)(2.086mmol)、およびアクリル酸オクタデシル(D)(0.6957mmol)を、撹拌子を備えた20mL反応チューブに加えた。ジオキサン(16ml)と、続いてAIBN(0.4174mmol)を加えた。2回の反応を並行して行うために、前述の段階を繰り返した。反応混合物をN
2で30分間パージした。次いで、反応チューブに栓をし、油浴に移し、60℃で3時間加熱した。チューブを取り出し、内容物を合わせた。ジオキサンをロータリーエバポレーションおよび高減圧により蒸発させ、粗製ポリマーを89.8%ジクロロメタン/10%テトラヒドロフラン/0.2%トリエチルアミン溶液に70mg/mlで溶解した。粗製ポリマー溶液(700mg、10ml)の3回の注入分を、Jordi gelジビニルベンゼン10
4Åカラム(内径:22mm、長さ:500mm)を5.0ml/分の流速で用いて精製した。ポリマー溶出はShimadzu RID-10A屈折率コレクターを用いて検出した。15.07分〜17.13分の分画を集めて合わせた。溶媒をロータリーエバポレーションにより蒸発させた。
【0127】
約10mgのポリマーを0.5mLの89.8%ジクロロメタン、10%テトラヒドロフラン、0.2%トリエチルアミンに溶解した。分子量および多分散性(PDI)を、Jordi 5μ 7.8×300 Mixed Bed LS DVBカラムを用い、Shimadzu Prominence HPLCに連結したWyatt Helos II多角光散乱検出器を用いて測定した。分子量172,000およびPDI 1.26を得た。
【0128】
精製したBOC保護ポリマーをニートトリフルオロ酢酸(7ml)と1.5時間(または氷酢酸中2M HClと0.5時間)反応させて、BOC保護基を除去し、アミンを生成した。40mLのdH
2Oを反応混合物に加え、溶液を3500MWカットオフセルロースチューブに移し、高塩に対して24時間と、次いでdH
2Oに対して18時間透析した。内容物を蒸発乾固し、20〜30mLのdH
2Oに溶解し、2回凍結乾燥した。ポリマー溶液を2〜8℃で保存した。
【0129】
アミンをポリマーの骨格に連結する炭素原子の数およびリンカーが分枝しているかどうかは、アミンのpKaおよびアミン付近の立体効果に影響をおよぼす。例えば、前述のポリマーについて、エチルアミンは約8.1のpKaを有し、プロピルアミンは約9.3のpKaを有し、ペンチルアミンは約10.2のpKaを有する。アミンのpKaまたはアミン付近の立体効果は、アミンに結合しているマスキング基の不安定性に影響をおよぼす。無水マレイン酸のアミンへの可逆的結合について、アミン結果のより高いpKaはアミンからの無水物のより遅い放出速度である。同様に、イソプロピルリンカーによるなどの、アミン付近の立体障害増大は、アミンのpKaを増大させうる。
【0130】
ポリマーLau 41305-38-17-19:80%BAPA、20%メタクリル酸エチル(CAS 97-63-2)、(3%AIBN触媒)モル供給比(合計0.0105mol)
BAPA(A)(8.40mmol)およびメタクリル酸エチル(B)(2.10mmol)を、撹拌子を備えた15mL反応チューブに加えた。アセトニトリル(11.5ml)と、続いてAIBN(0.315mmol)を加えた。2回の反応を並行して行うために、前述の段階を繰り返した。反応混合物をN
2で30分間パージした。次いで、反応チューブに栓をし、油浴に移し、60℃で3時間加熱した。チューブを取り出し、内容物を合わせた。アセトニトリルをロータリーエバポレーションおよび高減圧により蒸発させ、粗製ポリマーを74.8%ジクロロメタン/25%テトラヒドロフラン/0.2%トリエチルアミン溶液に50mg/mlで溶解した。粗製ポリマー溶液(500mg、10ml)の3回の注入分を、Jordi gelフッ化ジビニルベンゼン10
4Åカラム(内径:22mm、長さ:500mm)を5.0ml/分の流速で用いて精製した。ポリマー溶出はShimadzu RID-10A屈折率コレクターを用いて検出した。17.16分〜19.18分の分画を集めて合わせた。溶媒をロータリーエバポレーションにより蒸発させた。精製したBOC保護ポリマーを氷酢酸中2M HCl(7ml)と1.5時間反応させて、BOC保護基を除去し、アミンを生成した。40mLのdH
2Oを反応混合物に加え、溶液を3500MWカットオフセルロースチューブに移し、高塩に対して24時間と、次いでdH
2Oに対して18時間透析した。内容物を蒸発乾固し、30mLのdH
2Oに溶解し、2回凍結乾燥した。
【0131】
F. (保護)アミンモノマー、低級疎水性基モノマー、および高級疎水性基オクタデシル基から合成した同様のポリマーも、記載する発明の実施において有効であると予想される。
【0132】
ポリマー特徴付け
実施例2. DW1360の特徴付け
A. 両親媒性分析
1,6-ジフェニル-1,3,5-ヘキサトリエン(DPH、Invitrogen)蛍光(λ
ex=350nm;λ
em=452nm)は疎水性環境で増強される。この蛍光を用いてDW1360ポリマーを分析した。0.5μM(最終濃度)DPHを0.5mLの50mM HEPES緩衝液、pH8.0中10μgのDW1360に加えた。次いで、DPHの蛍光を測定することにより、溶液を疎水性環境におけるDPH蓄積について試験した。結合体存在下でのDPH蛍光の増大は、ポリマーによる疎水性環境の形成を示す。
【0133】
B. 分子量
ポリマー分子量(質量)(MW)を、バッチモードでのoptilab rEXと一緒にWyatt Dawn Heleos IIで分析して求めた。ポリマーを様々な濃度で適切な溶媒に加え、それぞれをWyattシステムにロードした。次いで、Astraソフトウェアで濃度の関数としての屈折率の変化を計算し(dn/dc)、これをZimmプロットで用いてMWを計算した。精製したDW1360について求めた平均分子量は4000〜6000Daであった。精製したアクリラートポリマーの平均分子量は約100〜120kDaであった。
【0134】
C. 分粒およびゼータ電位
ポリマーのゼータ電位をMalvern Zetasizerナノシリーズ(Nano ZS)機器を用いて測定した。CDMマスクポリマーのゼータ電位は0から-30mVの間で変動し、0から-20mVの間がより多かった。ゼータ電位は残留HEPESでpH8に緩衝化した等張グルコース中で測定した。pH7では、結合体はアミンの一部のプロトン化によりいくらかの正電荷を獲得すると予想される。
【0135】
D. CDM試薬修飾後の結合体中のアミン基の定量
DW1360ポリマーを前述のとおりに合成し、続いて14重量当量のHEPES塩基および7重量当量のCDM-NAGとCDM-PEGとの重量比2:1の混合物(平均11単位)で処理した。1時間後、無水マレイン酸誘導体処理した結合体のアミン含量を、100mM NaHCO
3中のトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)で処理することにより測定した。マレイン酸修飾していない結合体に対して規準化すると、修飾アミンの量は全体の約75%であると定量された。この修飾の程度は加える無水マレイン酸の量を変えるか、または反応条件を変更することで変動しうる。
【0136】
E. リポソーム溶解
10mgの卵ホスファチジルコリンを、100mMカルボキシフルオレセイン(CF)および10mM HEPES、pH7.5を含む緩衝液1mLで水和した。次いで、リポソームを孔径100nmのポリカーボネートフィルター(Nucleopore, Pleasanton, CA)を通して押し出した。捕捉されていないCFを、Sepharose 4B-200を用い、pH8の10mM HEPESおよび0.1mol/L NaClで溶出するサイズ排除クロマトグラフィにより除去した。一定量200μLのCFロードリポソームを等張緩衝液1.8mLに加えた。小胞懸濁液に0.25μgのポリマーを加えた30分後、蛍光(λ
ex=488、λ
em=540)を測定した。各実験終了時に、1%Triton X-100溶液40μlを加えて小胞を破壊し、最大溶解を判定した。
【0137】
実施例3. メリチン両親媒性ポリマーペプチド
(表1)メリチンペプチドは高い膜活性を示すことを示した。
n.d.−判定していない。
a−ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン
b−CDM、CDM-gal、もしくはCDM-PEGまたはその組み合わせによる修飾は膜活性を阻害する。
【0138】
マスキング剤
実施例4. マスキング剤
A. 2-プロピオン酸-3-メチル無水マレイン酸マスキング剤前駆体(カルボキシジメチル無水マレイン酸またはCDM)の合成
無水テトラヒドロフラン50mL中の水素化ナトリウム(0.58g、25mmol)の懸濁液に2-ホスホノプロピオン酸トリエチル(7.1g、30mmol)を加えた。水素ガスの発生停止後、無水テトラヒドロフラン10mL中の2-オキソグルタル酸ジメチル(3.5g、20mmol)を加え、30分間撹拌した。次いで、水10mLを加え、テトラヒドロフランをロータリーエバポレーションにより除去した。得られた固体と水との混合物をエチルエーテル3×50mLで抽出した。エーテル抽出物を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、淡黄色油状物を得た。油状物をシリカゲルクロマトグラフィで、エーテル:ヘキサン=2:1で溶出して精製し、4g(収率82%)の純粋なトリエステルを得た。次いで、このトリエステルを、水酸化カリウム4.5g(5当量)を含む水およびエタノールの50/50混合物50mLに溶解することにより、2-プロピオン酸-3-メチル無水マレイン酸を生成した。この溶液を1時間加熱還流した。次いで、エタノールをロータリーエバポレーションにより除去し、溶液を塩酸でpH2まで酸性化した。次いで、この水溶液を酢酸エチル200mLで抽出し、分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、白色固体を得た。次いで、この固体をジクロロメタンおよびヘキサンから再結晶して、2g(収率80%)の2-プロピオン酸-3-メチル無水マレイン酸を得た。
【0139】
CDMを塩化オキサリルによりその酸塩化物に変換し、続いてチオール、エステル、またはアミンおよびピリジンを加えることにより、CDMからチオエステル、エステル、およびアミドを合成してもよい。CDMおよびその誘導体は、標的指向リガンド、立体安定化部分、荷電基、および他の反応性基で、当技術分野において標準の方法により、容易に修飾される。得られた分子を用いて、アミンを可逆的に修飾することができる。
【0140】
マスキング剤をCDMの修飾により合成して、好ましくは電荷中性物質を生成する:
式中、R1はASGPr標的指向リガンドまたは立体安定化部分(例えば、PEG)である。
【0141】
B. ASGPr標的指向基を含むマスキング剤
最も広く研究された肝実質細胞標的指向リガンドはガラクトースに基づいており、これは肝実質細胞上のアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPr)によって結合される。ガラクトースまたはガラクトース誘導体の結合は、オリゴ糖のキトサン、ポリスチレン誘導体、およびポリアクリルアミドHPMAを含む、少数の水溶性が高く、非荷電のポリマーの肝実質細胞標的指向を促進することが明らかにされている。ASGPr標的指向基は、ラクトース、すなわちガラクトース-グルコース二糖を用い、グルコース残基の修飾を介して、容易に生成される。ラクトビオン酸(LBA、グルコースが酸化されてグルオン酸となっている、ラクトース誘導体)は、標準のアミドカップリング技術を用いて、無水マレイン酸に容易に組み込まれる。
【0142】
C. 立体安定化部分CDM-PEGおよび標的指向基CDM-NAG(N-アセチルガラクトサミン)合成
塩化メチレン50mL中のCDM(300mg、0.16mmol)の溶液に塩化オキサリル(2g、10重量当量)およびジメチルホルムアミド(5μl)を加えた。反応を終夜進行させ、その後過剰の塩化オキサリルおよび塩化メチレンをロータリーエバポレーションにより除去して、CDM酸塩化物を得た。酸塩化物を塩化メチレン1mLに溶解した。この溶液に、塩化メチレン10mL中の、CDM-PEGについてはポリエチレングリコールモノメチルエーテル(MW平均550)またはCDM-NAGについては(アミノエトキシ)エトキシ-2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノシド(すなわち、アミノビスエトキシル-エチルNAG)1.1モル当量、およびピリジン(200μl、1.5当量)を加えた。次いで、溶液を1.5時間撹拌した。次いで、溶媒を除去し、得られた固体を水5mLに溶解し、0.1%TFA水/アセトニトリル勾配を用いての逆相HPLCにより精製した。
【0143】
好ましくは、5から20のエチレン単位を含むPEGを二置換無水マレイン酸に結合する。より好ましくは、10〜14のエチレン単位を含むPEGを二置換無水マレイン酸に結合する。PEGは様々な長さのものであってもよく、5〜20または10〜14エチレン単位の平均長を有する。または、PEGは、例えば、ちょうど11または13のエチレン単位を有する、単分散、均一または離散型であってもよい。
【0144】
上に示すとおり、PEGスペーサーは無水物基とASGPr標的指向基との間に位置してもよい。好ましいPEGスペーサーは1〜10のエチレン単位を含む。
【0145】
可逆的ポリマー修飾
実施例5. 膜活性ポリアミンの可逆的修飾/マスキング;すなわち、膜活性ポリマーのCDM-NAGまたはCDM-NAGプラスCDM-PEGの混合物による修飾
等張グルコース中の膜活性ポリアミン(例えば、前述のDW1360)xmgの溶液にHEPES遊離塩基14xmgと、続いてCDM-NAG 7xmgまたはCDM-NAG 2.3xmgおよびCDM-PEG 4.6xmgの混合物のいずれか、合計7xの二置換無水マレイン酸マスキング剤を加えた。次いで、動物への投与の前に、溶液を室温で少なくとも30分間インキュベートした。CDM-NAGまたはCDM-PEGのポリアミンとの反応により下記を得た:
式中、Rはポリマーであり、R1はASGPr標的指向部分または立体安定化部分を含む。無水物とポリマーアミンとの間の反応において生じた無水物カルボキシルは、予想された電荷の約1/20を示した(Rozema et al. Bioconjugate Chemistry 2003)。したがって、膜活性ポリマーは、高度に負に荷電したポリアニオンに変換されるのではなく、有効に中和される。
【0146】
実施例6. CDM-NAGによるメリチンの可逆的修飾/マスキング
修飾の前に、5×mgのCDM-NAGを氷酢酸の0.1%水溶液から凍結乾燥した。乾燥したNAG誘導体に、0.2×mLの等張グルコースおよび10×mgのHEPES遊離塩基中の×mgのメリチンの溶液を加えた。CDM-NAGが完全に溶解した後、動物への投与前に溶液を室温で少なくとも30分間インキュベートした。CDM-NAGのペプチドとの反応により下記を得た:
式中、Rはメリチンであり、R1はASGPr標的指向部分NAGを含む。無水物とポリマーアミンとの間の反応中に生じた無水物カルボキシルは、予想される電荷の約1/20を示す(Rozema et al. Bioconjugate Chemistry 2003)。したがって、膜活性ポリマーは、高度に負に荷電したポリアニオンに変換されるのではなく、有効に中和される。
【0147】
siRNA-結合体
実施例7. GalNAcクラスターの合成
A. {2-[2-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-エトキシ]-エトキシ}-酢酸ベンジルエステルの合成
2-[2-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-エトキシ]-エタノール(62.2g、414mmol)をアルゴン雰囲気下で無水DMF 875mLに溶解し、0℃に冷却した。NaH(12.1g、277mmol、鉱油中55%)を注意深く加え、氷浴を取り除き、撹拌を80℃で1時間続けた。反応混合物を周囲温度まで冷却し、ブロモ酢酸(18.98g、137mmol)をDMF溶液(20mL)として滴加漏斗より加えて処理した。75℃でさらに30分後、ブロモメチル-ベンゼン(23.36g、137mmol)をニートで加え、エステル化を30分間進行させた。冷却し、砕氷上に注意深く加え、酢酸エチルで抽出し、水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、すべての溶媒を蒸発させた後、フラッシュクロマトグラフィ(SiO
2、酢酸エチル/ヘプタン=8/2)により、6.41gの表題化合物を黄色油状物で得た。MS (ISP): 299.2 [M+H]
+。
【0148】
B. 酢酸(3aR,5R,6R,7R,7aR)-6-アセトキシ-5-アセトキシメチル-2-メチル-5,6,7,7a-テトラヒドロ-3aH-ピラノ[3,2-d]オキサゾル-7-イルエステル
市販の酢酸(2S,3R,4R,5R,6R)-4,5-ジセトキシ-6-アセトキシメチル-3-アセチルアミノ-テトラヒドロ-ピラン-2-イルエステル(10.0g、26mmol)を無水CH
2Cl
2 116mLに溶解し、トリメチルシリルトリフラート(14.27g、64mmol)で処理した。反応を45℃で終夜進行させた。0℃まで冷却した後、トリエチルアミン(4.88mL、35mmol)を加え、混合物をCH
2Cl
2で希釈し、NaHCO
3溶液および水で洗浄した。Na
2SO
4で乾燥し、溶媒を蒸発させて、10.3gの表題化合物を褐色油状物で得、これをそれ以上精製せずに次の段階で用いた。MS (ISP): 330.0 [M+H]
+。
【0149】
C. (2-{2-[2-((2R,3R,4R,5R,6R)-4,5-ジアセトキシ-6-アセトキシメチル-3-アセチルアミノ-テトラヒドロ-ピラン-2-イルオキシ)-エトキシ]-エトキシ}-エトキシ)-酢酸ベンジルエステル
上で調製した酢酸(3aR,5R,6R,7R,7aR)-6-アセトキシ-5-アセトキシメチル-2-メチル-5,6,7,7a-テトラヒドロ-3aH-ピラノ[3,2-d]オキサゾル-7-イルエステル(10.3g、26mmol)および{2-[2-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-エトキシ]-エトキシ}-酢酸ベンジルエステル(8.62g、29mmol)を520mLのCH
2Cl
2中で混合し、4オングストロームモレキュラーシーブス63gで処理した。1時間後、トリメチルシリルトリフラート(6.13g、28mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で週末の間撹拌した。トリエチルアミン(5.21mL、37mmol)を加え、モレキュラーシーブスをろ去し、ろ液をCH
2Cl
2で希釈し、NaHCO
3溶液および水で洗浄した。Na
2SO
4で乾燥し、溶媒を蒸発させた後、フラッシュクロマトグラフィ(SiO
2、酢酸エチル/AcOH/MeOH/水=60/3/3/2)により、15.7gの表題化合物を褐色油状物で得た。MS (ISP): 626.6 [M-H]
-。
【0150】
D. (2-{2-[2-((2R,3R,4R,5R,6R)-4,5-ジアセトキシ-6-アセトキシメチル-3-アセチルアミノ-テトラヒドロ-ピラン-2-イルオキシ)-エトキシ]-エトキシ}-エトキシ)-酢酸
上で調製した(2-{2-[2-((2R,3R,4R,5R,6R)-4,5-ジアセトキシ-6-アセトキシメチル-3-アセチルアミノ-テトラヒドロ-ピラン-2-イルオキシ)-エトキシ]-エトキシ}-エトキシ)-酢酸ベンジルエステル(15.7g、25mmol)を酢酸エチル525mLに溶解し、1.6gのPd/C(10%)で、1atmのH
2雰囲気下、周囲温度で3時間水素添加した。セライトを通してろ過し、溶媒を蒸発させた後、フラッシュクロマトグラフィ(SiO
2、CH
2Cl
2/MeOH=80/20)により、6.07gの表題化合物を褐色ゴムで得た。MS (ISP): 536.5 [M-H]
-。
【0151】
E. 酢酸エステル保護したGalNAcクラスターベンジルエステル
上で調製した(2-{2-[2-((2R,3R,4R,5R,6R)-4,5-ジアセトキシ-6-アセトキシメチル-3-アセチルアミノ-テトラヒドロ-ピラン-2-イルオキシ)-エトキシ]-エトキシ}-エトキシ)-酢酸(2.820g、5.246mmol)および(S)-6-アミノ-2-((S)-2,6-ジアミノ-ヘキサノイルアミノ)-ヘキサン酸ベンジルエステル塩酸塩(調製は下記参照、0.829g、1.749mmol)をCH
2Cl
2 32mLおよびDMF 3.2mLの混合物に溶解し、ヒューニッヒ塩基(2.096mL、12.25mmol)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(0.714g、5.248mmol)および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(1.006g、5.248mmol)で逐次処理し、周囲温度で終夜撹拌した。すべての揮発性物質を減圧(i.v.)下で除去し、粗製反応混合物を調製用HPLC(38回、Gemini、5μ、C18)で精製し、凍結乾燥後に1.650gの表題生成物を白色粉末で得た。MS (ISP): 1945.8 [M+Na]
+。
【0152】
F. 酢酸エステル保護したGalNAcクラスター遊離酸(糖ヒドロキシル保護)
(17S,20S)-1-((2R,3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)-20-(1-((2R,3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラ-ヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)-11-オキソ-3,6,9-トリオキサ-12-アザヘキサデカン-16-イル)-17-(2-(2-(2-(2-((2R,3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-アセトアミド)-11,18-ジオキソ-3,6,9-トリオキサ-12,19-ジアザヘニコサン-21-酸
上で調製したGalNAcクラスターベンジルエステル(0.674g、0.350mmol)をMeOH 50mLに溶解し、0.065gのPd/C(10%)で、1atmのH
2雰囲気下、周囲温度で4時間水素添加した。セライトを通してろ過し、溶媒を蒸発させて、0.620gの表題化合物を白色泡状物で得た。MS (ISP): 1917.0 [M+2H]
2+。
【0153】
実施例8. ガラクトースクラスター分枝点、(S)-6-アミノ-2-((S)-2,6-ジアミノ-ヘキサノイルアミノ)-ヘキサン酸ベンジルエステル塩酸塩の合成
A. (S)-6-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-ヘキサン酸ベンジルエステル
(S)-6-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-ヘキサン酸(5.00g、10.67mmol)およびフェニル-メタノール(2.305g、21.34mmol)をCH
2Cl
2 25mLに溶解し、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.933g、11.74mmol)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC、2.250g、11.74mmol)、およびエチル-ジイソプロピル-アミン(2.137mL、12.49mmol)で逐次処理した。90分間撹拌した後、揮発性物質を減圧下、周囲温度で除去し、残渣を酢酸エチルに溶解し、水、NH
4Cl溶液および食塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、蒸発させた。次いで、粗製混合物をエタノール20mLに溶解し、水10mLを加えて生成物を沈澱させた。ろ過し、乾燥して、5.669gの表題化合物を得、これをエタノール/ヘキサンから再結晶して、4.27gの純粋なベンジルエステルを得た。MS (ISP): 559.2 [M+H]
+。
【0154】
B. (S)-2-((S)-2,6-ビス-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ヘキサノイルアミノ)-6-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ヘキサン酸ベンジルエステル
上で調製した(S)-6-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシ-カルボニルアミノ)-ヘキサン酸ベンジルエステル(4.270g、7.643mmol)をTHF 15mLに溶解し、ジエチルアミン15mLで処理した。周囲温度で4時間後、MSおよびTLCは出発原料がないことを示した。溶媒を蒸発させ、トルエンと共沸乾燥して、4.02gの遊離アミンを得、これを次の段階で直接用いた。
【0155】
市販の(S)-2,6-ビス-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ヘキサン酸(3.177g、9.17mmol)をCH
2Cl
2 13mLに溶解し、0℃でエチル-ジイソプロピル-アミン(4.71mL、27.5mmol)、O-(1,2-ジドロ-2-オキソ-ピリジル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TPTU、2.725g、9.172mmol)で処理した。15分後、上で調製したアミンの最小限のCH
2Cl
2溶液およびエチル-ジイソプロピル-アミン1.57mL(1,2当量)で、反応を周囲温度で2時間進行させた。すべての揮発性物質を減圧下で除去し、残渣を酢酸エチルに溶解し、NaHCO
3溶液、NH
4Cl溶液および水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィ(SiO
2、ヘプタン/酢酸エチル=4/6)と、続いてヘプタン/最少量の酢酸エチルからの結晶化により、4.516gの表題化合物を白色固体で得た。MS (ISP): 665.4 [M+H]
+。
【0156】
C. (S)-6-アミノ-2-((S)-2,6-ジアミノ-ヘキサノイルアミノ)-ヘキサン酸ベンジルエステル3塩酸塩
上で調製した(S)-2-((S)-2,6-ビス-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ヘキサノイルアミノ)-6-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ヘキサン酸ベンジルエステル(4.516、6.793mmol)をジオキサン中4mol/L HClに溶解した。数分後、ガスが発生し、沈澱が生じた。周囲温度で3時間後、反応混合物を注意深く蒸発させ、徹底的に乾燥して、3.81gの表題化合物をオフホワイト泡状物で得、これをそれ以上精製せずに上の実施例7. E. GalNAcクラスターベンジルエステルで用いた。MS (ISP): 365.3 [M+H]
+。
【0157】
実施例9. ポリヌクレオチド標的指向部分
ポリヌクレオチド標的指向部分を、GalNAcクラスターおよび薬物動態調節剤のリジンまたはオルニチン骨格分子上のアミンへの結合により作成した。次いで、骨格上のカルボキシル基は、siRNAなどのRNAiポリヌクレオチドへの共有結合のために利用可能であった。
【0158】
実施例10. GalNAcクラスター-パルミトイル標的指向部分
A. (S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-6-ヘキサデカノイルアミノ-ヘキサン酸ベンジルエステル
市販のFmoc-Lys(パルミトイル)-OH(0.899g、1.481mmol)を15mLのCH
2C1
2に懸濁し、ベンジルアルコール(0.320g、0.305mL、2.96mmol、2当量)、ヒドロキシベンゾトリアゾル(HOBT、0.268g、1.63mmol、1.1当量)、l-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド.HCl(EDC、0.312g、1.63mmol、1.1当量)、およびN-エチル-ジイソプロピルアミン(0.224g、0.297mL、1.733mmol、1.17当量)で逐次処理した。次いで、黄色溶液を2時間撹拌した。砕氷/NH
4Cl溶液上に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、すべての溶媒を蒸発させた後、フラッシュクロマトグラフィ(SiO
2、酢酸エチル/ヘプタン=1/1)により0.692gの表題化合物をオフホワイト固体で得た。MS (ISP): 697.6 [M+H]
+。
【0159】
B. (S)-2-アミノ-6-ヘキサデカノイルアミノ-ヘキサン酸ベンジルエステル
上で調製した(S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-6-ヘキサデカノイル-アミノ-ヘキサン酸ベンジルエステル(0.692g、0.993mmol)を15mLのTHFに溶解し、19mLのジエチルアミン(約18当量)で処理した。周囲温度で3時間後、すべての揮発性物質を減圧下で除去し、粗製反応混合物をフラッシュクロマトグラフィ(SiO
2、CH
2Cl
2/MeOH(10%))で精製して、0.355gの表題化合物を白色固体で得た。MS (ISP): 475.3 [M+H]
+。
【0160】
上で調製したGalNAcクラスター遊離酸(実施例7F)(17S,20S)-1-((2R,3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)-20-(1-((2R,3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラ-ヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)-11-オキソ-3,6,9-トリオキサ-12-アザヘキサデカン-16-イル)-17-(2-(2-(2-(2-((2R,3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)-エトキシ)アセトアミド)-11,18-ジオキソ-3,6,9-トリオキサ-12,19-ジアザヘニコサン-21-酸(0.185g、0.101mmol)を2.0mLのCH
2Cl
2に溶解し、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt、0.014g、0.101mmol、1当量)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド・HCl(EDC、0.019g、0.101mmol、1当量)、およびN-エチル-ジイソプロピルアミン(0.013g、0.017mL、0.101mmol、1当量)で逐次処理した。周囲温度で15分間撹拌した後、最少量のCH
2Cl
2に溶解した(S)-2-アミノ-6-ヘキサデカノイルアミノ-ヘキサン酸ベンジルエステル(0.048g、0.101mmol、1当量)を加え、反応を2時間進行させた。次いで、溶媒を蒸発させ、粗製混合物をフラッシュクロマトグラフィ(SiO
2、CH
2Cl
2/MeOH(7%〜>10%))で精製して、0.133gの表題化合物を白色泡状物で得た。MS (ISP): 1167.1 [M+2Na]
2+/2。
【0161】
上で調製したベンジルエステル(0.130g、0.057mmol))を5mLのMeOHに溶解し、0.024gのPd/C(10%)で、1atmのH
2雰囲気下、周囲温度で3時間水素添加した。セライトを通してろ過し、溶媒を蒸発させて、0.123gの表題化合物を無色油状物で得た。MS (ISP): 2221.0 [M+Na]
+。
【0162】
実施例11. オルニチンリンカーを有するGalNAcクラスターパルミトイル(C16)の合成
実施例10と類似であるが、Fmoc-Lys(パルミトイル)-OHの代わりにFmoc-L-Orn(パルミトイル)-OHを用い、白色泡状物として調製。MS (ISP): 1093.1 [M+2H]
2+/2。
【0163】
実施例12. GalNAcクラスター(E)-ヘキサデカ-8-エノイル(C16)の合成
A. (S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-6-((E)-ヘキサデカ-8-エノイルアミノ)-ヘキサン酸2-トリメチルシラニル-エチルエステル
Fmoc-Lys((E)-ヘキサデカ-8-エノイル)-OH(0.500g、0.827mmol)を15mLのCH
2Cl
2に懸濁し、2-(トリメチルシリル)エタノール(0.196g、0.236mL、1.65mmol、2当量)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt、0.123g、0.909mmol、1.1当量)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド.HCl(EDC、0.174g、0.909mmol、1.1当量)、およびN-エチル-ジイソプロピルアミン(0.125g、0.164mL、0.967mmol、1.17当量)で逐次処理した。次いで、黄色溶液を週末の間撹拌した。砕氷/HCl溶液上に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、すべての溶媒を蒸発させた後、フラッシュクロマトグラフィ(SiO
2、CH
2Cl
2/MeOH=9/1)で精製し、AcOEt/ヘプタンから結晶化して、0.488gの表題化合物をオフホワイト半固体で得た。MS (ISP): 705.6 [M+H]
+。
【0164】
B. (S)-2-アミノ-6-((E)-ヘキサデカ-8-エノイルアミノ)-ヘキサン酸2-トリメチルシラニル-エチルエステル
上で調製した(S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-6-((E)-ヘキサデカ-8-エノイルアミノ)-ヘキサン酸2-トリメチルシラニル-エチルエステル(0.488g、0.690mmol)を15mLのTHFに溶解し、1.35mLのジエチルアミン(約18当量)で処理した。周囲温度で3時間後、すべての揮発性物質を減圧下で除去し、粗製反応混合物をフラッシュクロマトグラフィ(SiO
2、CH
2Cl
2/MeOH(10%))で精製して、0.259gの表題化合物を黄色油状物で得た。MS (ISP): 483.6 [M+H]
+。
【0165】
C. GalNacクラスター(E)-ヘキサデカ-8-エノイル(C16)
上記化合物を、(S)-2-アミノ-6-((E)-ヘキサデカ-8-エノイルアミノ)-ヘキサン酸2-トリメチルシラニル-エチルエステルを用い、保護基を以下のとおりに切断して、前述のとおりに調製した:終わりから2番目の段階の後、得られた2-トリメチルシラニル-エチルエステル(245mg、0.107mmol、1.00当量)を無水THF(5mL)と混合して無色溶液を得た。フッ化テトラブチルアンモニウム三水和物(168mg、0.533mmol、5.00当量)を0℃で加え、反応混合物をフリーザーに終夜保存した。砕氷上に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、すべての溶媒を蒸発させて、粘稠油状物を得た。アセトニトリルおよび水に溶解し、凍結乾燥して、最終的に0.120gの表題化合物を白色固体で得た。MS (ISP): 1121.5 [M+2Na]
2+/2。
【0166】
実施例13. GalNAcクラスターオレイル(C18)の合成
上記実施例と類似であるが、(S)-2-アミノ-6-((E)-ヘキサデカ-8-エノイルアミノ)-ヘキサン酸2-トリメチルシラニル-エチルエステルの代わりに(S)-2-(トリメチルシリル)エチル2-アミノ-6-オレアミドヘキサノアートを用い、オフホワイト泡状物として調製。MS (ISP): 1113.6 [M+2H]
2+/2。
【0167】
実施例14. GalNAcクラスター(9E,12E)-オクタデカ-9,12-ジエノイル(C18)の合成
上記実施例と類似であるが、(S)-2-アミノ-6-((E)-ヘキサデカ-8-エノイルアミノ)-ヘキサン酸2-トリメチルシラニル-エチルエステルの代わりに(S)-2-(トリメチルシリル)エチル2-アミノ-6-((9E,12E)-オクタデカ-9,12-ジエンアミド)ヘキサノアートを用い、黄色の凍結乾燥固体として調製。MS (ISP): 1134.55 [M+2Na]
2+/2。
【0168】
実施例15. GalNAcクラスター-オクタノイル(C8)の合成。
前述のとおりであるが、Fmoc-Lys(パルミトイル)-OHの代わりにFmoc-Lys(オクタノイル)-OHを用い、淡黄色泡状物として調製。MS (ISP): 1044.5 [M+2H]
2+/2。
【0169】
実施例16. GalNAcクラスター-ドデカノイル(C12)の合成
前述のとおりであるが、Fmoc-Lys(パルミトイル)-OHの代わりにFmoc-Lys(ドデカノイル)-OHを用い、淡黄色泡状物として調製。MS (ISP): 2166.04 [M+Na]
+。
【0170】
実施例17. GalNAcクラスター-C20-アシルの合成
前述のとおりであるが、Fmoc-Lys(パルミトイル)-OHの代わりにFmoc-Lys(イコサノイル)-OHを用い、淡黄色泡状物として調製。MS (ISP): 1150.58 [M+2Na]
2+/2。
【0171】
実施例18. GalNAcクラスター-C24-アシルの合成
を、前述のとおりであるが、Fmoc-Lys(パルミトイル)-OHの代わりにFmoc-Lys(テトラコサノイル)-OHを用い、淡黄色泡状物として調製した。MS (ISP): 2312.24 [M+H]
+。
【0172】
実施例19. GalNAcクラスター-ジオクタノイル(2×C8)の合成
A. (S)-6-((S)-2,6-ビス-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ヘキサノイルアミノ)-2-(9H-フルオレン-9-イル-メトキシカルボニルアミノ)-ヘキサン酸
丸底フラスコ内で、Fmoc-Lys-OH(1.393g 3.78mmol、1.00当量)をCH
2Cl
2(16mL)に溶解して淡黄色溶液を得た。ヒューニッヒ塩基(1.955g、2.57mL、15.1mmol、4.00当量)およびトリメチルクロロシラン(0.863g、1.00mL、7.94mmol、2.10当量)を加え、反応混合物を20分間撹拌した。
【0173】
第二の丸底フラスコ内で、Boc-Lys(Boc)-OH(1.31g、3.78mmol、1.00当量)をDMF(16mL)に溶解して無色溶液を得た。ヒューニッヒ塩基(0.587mg、0.77mL、4.54mmol、1.20当量)およびTPTU[125700-71-2](1.123g、3.78mmol、1.00当量)を加え、反応混合物を15分間撹拌した。次いで、対応するシリルエステルモノシリルアミンを含む第一のフラスコからの溶液を加え、反応混合物をさらに2時間撹拌した。混合物を砕氷/NH
4Cl上に注ぎ、AcOEtで2回抽出し、H
2Oおよび食塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、蒸発乾固させた。フラッシュクロマトグラフィSiO
2(CH
2Cl
2中8%MeOH)により、2.324gの表題化合物をオフホワイト泡状物で得た。MS (ISP): 697.5 [M+H]
+、719.4 [M+Na]
+。
【0174】
B. (S)-6-((S)-2,6-ビス-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ヘキサノイルアミノ)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシ-カルボニルアミノ)-ヘキサン酸ベンジルエステル
上で調製した(S)-6-((S)-2,6-ビス-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ヘキサノイルアミノ)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-ヘキサン酸(2.32g、3.33mmol、1.00当量)およびフェニル-メタノール(0.720g、6.66mmol、2.00当量)を30mLのCH
2Cl
2に溶解し、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt、0.498g、3.66mmol、1.10当量)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC、0.702g、3.66mmol、1.10当量)、およびエチル-ジイソプロピル-アミン(0.503g、0.66mL、3.90mmol、1.17当量)で逐次処理した。120分間撹拌した後、揮発性物質を減圧下で除去した。続くフラッシュクロマトグラフィ(CH
2Cl
2中8%MeOH)により、2.573gの表題化合物を淡黄色ろう状固体で得た。MS (ISP): 787.5 [M+H]
+。
【0175】
C. (S)-6-((S)-2,6-ジアミノ-ヘキサノイルアミノ)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-ヘキサン酸ベンジルエステル
上で調製した(S)-6-((S)-2,6-ビス-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ヘキサノイルアミノ)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-ヘキサン酸ベンジルエステル(塩酸塩として、0.613g、0.779mmol、1.00当量)をジオキサン(4mL)に溶解し、3.89mLのジオキサン中4M HCl(10当量)で処理した。3時間後、MSは出発原料がないことを示した。すべての揮発性物質を減圧下で除去し、0.519gの表題化合物を塩酸塩で得、これをそれ以上精製せずに次の段階で用いた。MS (ISP): 587.3 [M+H]
+。
【0176】
D. (S)-6-((S)-2,6-ビス-オクタノイルアミノ-ヘキサノイルアミノ)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシ-カルボニルアミノ)-ヘキサン酸ベンジルエステル
上で調製した(S)-6-((S)-2,6-ジアミノ-ヘキサノイルアミノ)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシ-カルボニルアミノ)-ヘキサン酸ベンジルエステル(0.519g、0.771mmol、1.00当量)およびカプリル酸(0.234g、1.619mmol、2.10当量)を12mLのCH
2Cl
2に溶解し、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt、0.220g、1.619mmol、2.10当量)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC、0.310g、1.619mmol、2.10当量)、およびエチル-ジイソプロピル-アミン(0.498g、0.666mL、3.855mmol、5.00当量)で逐次処理した。180分間撹拌した後、混合物を砕氷上に注ぎ、AcOEtで2回抽出し、水で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、蒸発乾固させた。AcOEt/ヘキサンから結晶化して、0.453gの表題化合物を白色固体で得た。MS (ISP): 839.8 [M+H]
+、861.8 [M+Na]
+。
【0177】
E. (S)-2-アミノ-6-((S)-2,6-ビス-オクタノイルアミノ-ヘキサノイルアミノ)-ヘキサン酸ベンジルエステル
上で調製した(S)-6-((S)-2,6-ビス-オクタノイルアミノ-ヘキサノイルアミノ)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-ヘキサン酸ベンジルエステル(0.450g、0.536mmol)を2.2mLのTHFに懸濁し、2.2mLのジエチルアミン(約40当量)で処理した。周囲温度で24時間激しく撹拌した後、すべての揮発性物質を減圧下で除去し、粗製反応生成物をEtOEtで2回粉砕して、0.258gの表題化合物を白色固体で得た。MS (ISP): 617.5 [M+H]
+。
【0178】
F. GalNAcクラスター-ジオクタノイル(2×C8)
前述のとおりであるが、(S)-2-アミノ-6-ヘキサデカノイルアミノ-ヘキサン酸ベンジルエステルの代わりに(S)-2-アミノ-6-((S)-2,6-ビス-オクタノイルアミノ-ヘキサノイルアミノ)-ヘキサン酸ベンジルエステルを用い、白色泡状物として調製。MS (ISP): 2342.19 [M+H]
+。
【0179】
実施例20. ポリヌクレオチド標的指向部分-siRNA合成
A. 材料
無水メタノール(MeOH)、ナトリウムメチラート、Amberlite IR-120、硫酸ナトリウム、無水N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、無水ジクロロメタン(DCM)、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)および酢酸ナトリウム溶液(3M、pH5.2)はSigma Aldrich Chemie GmbH(Taufkirchen、ドイツ)から購入した。RP-HPLC用の酢酸トリエチルアンモニウム(TEAA)緩衝液(2.0M、pH7.0)およびアセトニトリル(ACN)(HPLC品質)はBiosolve(Valkenswaard、オランダ)から購入した。エタノール(EtOH)(p.a.)はMerck(Darmstadt、ドイツ)から購入した。Optilab HF(Membra Pure、ドイツ)システムから精製した水を用いた。Resource RPC 3mLカラム(10×0,64cm;粒径15μm)はGE Healthcare(Freiburg、ドイツ)から購入した。HPLC精製はAKTA Explorer 100(GE Healthcare)を用いて実施した。
【0180】
B. GalNAcクラスター-siRNA結合体の合成
化合物1(150mg;0.082mmol)を無水MeOH(5.5ml)に溶解し、ナトリウムメチラート42μLを加えた(MeOH中25%溶液)。混合物をアルゴン雰囲気下、室温で2時間撹拌した。同量のメタノールと、カチオン交換樹脂のAmberlite IR-120を分割して加え、pH約7.0とした。Amberliteをろ過により除去し、溶液をNa
2SO
4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。化合物2を白色泡状物として定量的収率で得た。TLC(SiO
2、DCM/MeOH 5:1+0.1%CH
3COOH):R
f2=0.03;検出のために、MeOH中の硫酸の溶液(5%)を用い、続いて加熱した。ESI-MS、直接注入、負モード;[M-H]
-1計算値:1452.7;[M-H]
1-測定値:1452.5。
【0181】
化合物2(20mg;0.014mmol)をピリジンおよびジクロロメタンと同時蒸発させた。残渣を無水DMF(0.9ml)に溶解し、アルゴン雰囲気下で撹拌しながらDMF中のN-ヒドロキシスクシンイミドの溶液(1.6mg;0.014mmol)を加えた。0℃でDMF中のDCCの溶液(3.2mg;0.016mmol)をゆっくり加えた。反応混合物を室温まで加温し、終夜撹拌した。化合物3をそれ以上精製せずにC-6アミノリンカーを有するRNAへの結合に用いた、化合物4。
【0182】
B. GalNAcクラスター-PK-RNA結合体の合成
化合物1で表される一般構造の化合物を無水MeOHに溶解し、ナトリウムメチラート(9当量)を加えた(MeOH中25%溶液)。混合物をアルゴン雰囲気下、室温で2時間撹拌した。反応混合物をメタノールで希釈し、続いてカチオン交換樹脂Amberlite IR-120を分割して加え、pH約7.0とした。Amberliteをろ過により除去し、溶液をNa
2SO
4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。化合物2で表される一般構造の化合物を白色泡状物として定量的収率で得た。
【0183】
次の段階で、化合物2で表される一般構造の化合物をNHS生成により活性化した。化合物2をピリジンおよびジクロロメタンと同時蒸発させた。残渣を無水DMFに溶解し、アルゴン雰囲気下で撹拌しながらDMF中のN-ヒドロキシスクシンイミドの溶液(1.0当量)を加えた。0℃でDMF中のDCCの溶液(1.1当量)をゆっくり加えた。反応混合物を室温まで加温し、終夜撹拌し続けた。得られた化合物3で表される一般構造の活性化化合物をそれ以上精製せずにRNAへの結合に用いた。ポリヌクレオチド標的指向部分をRNAの5'末端に炭素6個を含むアミノリンカーを介して結合した(化合物4で表される)。
【0184】
C. アミノ修飾RNAの合成
センス鎖の5'末端にC-6-アミノリンカーを有するRNAを、AKTA Oligopilot 100(GE Healthcare、Freiburg、ドイツ)および固体支持体として細孔制御ガラス(controlled pore glass)(Prime Synthesis, Aston, PA, USA)を用い、1215μmolの規模で、固相上、標準のホスホラミダイト化学により産生した。2'-O-メチルヌクレオチドを含むRNAを、対応するホスホラミダイト、2'-O-メチルホスホラミダイトおよびTFA-ヘキシルアミノリンカーアミダイト(Sigma-Aldrich、SAFC、Hamburg、ドイツ)を用いて生成した。切断および脱保護ならびに精製を、当技術分野において公知の方法により達成した(Wincott F., et al, NAR 1995, 23,14, 2677-84)。アミノ修飾RNAをアニオン交換HPLCにより特徴付け(純度:96.1%)、同一性をESI-MSにより確認した([M+H]
1+計算値:6937.4;[M+H]
1+測定値:6939.0。配列:
;u、c:対応する塩基の2'-O-メチルヌクレオチド、s:ホスホロチオアート。
【0185】
D. GalNAcクラスターRNA結合体(化合物4)の合成
5'末端にC-6アミノリンカーを有するRNA(2.54μmol)を凍結乾燥し、250μLのホウ酸ナトリウム緩衝液(0.1Mホウ酸ナトリウム、pH8.5、0.1M KCl)および1.1mL DMSOに溶解した。8μLのDIPEAを加えた後、RNA溶液を持続的に撹拌しながら、これにDMF中の化合物3の溶液(理論的には0.014mmol)をゆっくり加えた。反応混合物を35℃で終夜撹拌した。反応をRP-HPLC(Resource RPC 3mL、緩衝液:A:水中100mM TEAA、B:95%ACN中100mM TEAA、勾配:20CVで5%Bから22%B)を用いてモニターした。-20℃でEtOH中の酢酸ナトリウム(3M)を用いてRNAを沈澱させた後、RNA結合体を前述の条件を用いて精製した。純粋な分画を集め、所望の結合体、化合物4を酢酸ナトリウム/EtOHを用いて沈澱させた。化合物4を収率59%で単離した(1.50μmol)。化合物4の純度をアニオン交換HPLCで分析し(純度:91.7%)、同一性をESI-MSにより確認した([M+H]
1+計算値:8374.4;[M+H]
1+測定値:8376.5。
【0186】
E. GalNAcクラスター-PK-RNA結合体(化合物4)の一般合成
5'末端にC-6アミノリンカーを有するRNAを凍結乾燥し、ホウ酸ナトリウム緩衝液(0.1Mホウ酸ナトリウム、pH8.5、0.1M KCl)およびDMSOの比率1:4の混合物に溶解した。DIPEAを加えた後、RNA溶液を持続的に撹拌しながら、これにDMF中の化合物3の溶液(6当量)をゆっくり加えた。反応混合物を35℃で終夜撹拌した。反応をRP-HPLC(Resource RPC 3mL、緩衝液:A:水中100mM TEAA、B:95%ACN中100mM TEAA、勾配:20CVで5%Bから70%B)を用いてモニターした。-20℃でEtOH中の酢酸ナトリウム(3M、pH5.2)を用いてRNAを沈澱させた後、RNA結合体を前述の条件を用いて精製した。純粋な分画を集め、一般構造4の所望の結合体を酢酸ナトリウム/EtOHを用いて沈澱させて、純粋なRNA結合体を得た。
【0187】
F. siRNAのアニーリング
RNAセンス鎖を有する化合物4を2'-O-メチル-修飾アンチセンスRNA鎖とアニールさせた:アンチセンス配列:
。アポリポタンパク質B mRNAに向けたsiRNA結合体を、アニーリング緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、pH6.8;100mM塩化ナトリウム)中の相補鎖の等モル溶液を混合し、85〜90℃の水浴中で3分間加熱し、3〜4時間の間に室温まで冷却することにより生成した。二重鎖形成を、未変性ゲル電気泳動により確認した。
【0188】
インビボsiRNA送達
実施例21. インビボでのRNAiポリヌクレオチドの投与、および肝実質細胞への送達
RNAiポリヌクレオチド結合体およびマスクしたポリマーを前述のとおりに合成した。6から8週齢のマウス(C57BL/6またはICR系統、それぞれ約18〜20g)をHarlan Sprague Dawley(Indianapolis IN)から入手した。マウスを注入前に少なくとも2日間収容した。給餌はHarlan Teklad Rodent Diet(Harlan, Madison WI)で適宜行った。RNAiポリヌクレオチド結合体およびマスクしたポリマーを前述のとおりに合成した。マウスに送達ポリマーの溶液0.2mLおよびsiRNA結合体0.2mLを尾静脈に注入した。ポリマーおよびsiRNAの同時注入のために、注入前にsiRNA結合体を修飾ポリマーに加え、全量0.4mlを注入した。組成物は生理的条件において可溶性かつ非凝集性であった。ポリマーおよびsiRNAを別々に注入するために、ポリマーを製剤溶液0.2mL中で注入し、siRNAを等張グルコース0.2mL中で注入した。溶液を尾静脈内への点滴により注入した。他の血管への注入、例えば、眼窩後注入も等しく有効であった。
【0189】
血清ApoBレベル判定
マウスを4時間(ラットの場合は16時間)絶食させた後、顎下出血により血清を採取した。血清ApoBタンパク質レベルを標準のサンドイッチELISA法により求めた。簡単に言うと、ポリクローナルヤギ抗マウスApoB抗体およびウサギ抗マウスApoB抗体(Biodesign International)を、それぞれ捕捉および検出抗体として用いた。HRP結合ヤギ抗ウサギIgG抗体(Sigma)を後で適用し、ApoB/抗体複合体を結合した。次いで、テトラメチル-ベンジジン(TMB、Sigma)発色の吸光度をTecan Safire2(オーストリア、欧州)マイクロプレート読み取り器により450nmで測定した。
【0190】
血漿第VII因子(F7)活性測定
マウスからの血漿試料を、標準の手順に従い、0.109mol/Lクエン酸ナトリウム抗凝固剤(1体積)を含むマイクロ遠沈管中に顎下出血により血液(9体積)を採取して調製した。血漿中のF7活性を、BIOPHEN VIIキット(Hyphen BioMed/Aniara, Mason, OH)を製造者の推奨に従って用いる発色法により測定する。発色の吸光度をTecan Safire2マイクロプレート読み取り器を用いて405nmで測定した。
【0191】
実施例22. siRNAは以下の配列を有していた:
apoB siRNA:
第VII因子siRNA
小文字=2'-O-CH
3置換
s=ホスホロチオアート連結
ヌクレオチドの後のf=2'-F置換
ヌクレオチドの前のd=2'-デオキシ
【0192】
ガラクトースクラスター-PK標的指向siRNA
実施例23. siRNA-ガラクトースクラスター-薬物動態調節剤結合体をマスクしたDW1360送達ポリマーと同時投与して用いる、インビボでのsiRNAの肝実質細胞への送達
siRNAおよび送達ポリマーを、示した用量のsiRNAおよびポリマーを用い、前述のとおりに調製し、投与した。
【0193】
A. siRNA-結合体およびマスクしたLau 41305-38-17-19送達ポリマーの同時投与
Lau 41305-38-17-19を7重量当量のCDM-PEG:CDM-NAG 2:1で修飾した。完全2'F/MeO安定化第VII因子siRNAをGalNAc
3-パルミトイル標的指向部分または他の示した標的指向部分に結合した。siRNA-結合体およびLau 41305-38-17-19送達ポリマーの、20gのICRマウス(n=3)への同時投与は、血清第VII因子タンパク質レベルの低下を引き起こし、siRNAの肝実質細胞への送達および第VII因子遺伝子発現の阻害を示していた。効率的な送達は、送達ポリマーおよびRNAiポリヌクレオチドへの標的指向部分結合の両方を必要とした(表2)。非結合siRNAでは有意なノックダウンは観察されなかった。同時投与した送達ポリマー非存在下では標的遺伝子ノックダウンは観察されなかった。GalNAc
3-パルミトイル標的指向リガンドは、GalNAc
3標的指向部分またはコレステロールポリヌクレオチド標的指向部分に比べて、siRNAの肝細胞への送達改善を提供した。
【0194】
(表2)siRNA-GalNAcクラスター結合体プラス送達ポリマー注入後のインビボでの標的遺伝子のノックダウン、ポリマー用量の効果
a動物体重1キログラムあたりのsiRNAまたはポリマーmg
bタンパク質相対%
【0195】
B. siRNA-結合体およびマスクしたメリチン送達ペプチドの同時投与
Tyr-メリチンを5重量当量のCDM-NAGで修飾した。完全2'F/MeO安定化第VII因子siRNAをGalNAc
3-パルミトイル標的指向部分または他の示した標的指向部分に結合した。siRNA-結合体およびTyr-メリチン送達ペプチドの、20gのICRマウス(n=3)への同時投与は、血清第VII因子タンパク質レベルの低下を引き起こし、siRNAの肝実質細胞への送達および第VII因子遺伝子発現の阻害を示していた。効率的な送達は、送達ペプチドおよびRNAiポリヌクレオチドへの標的指向部分結合の両方を必要とした(表3)。非結合siRNAでは有意なノックダウンは観察されなかった。同時投与した送達ポリマー非存在下では標的遺伝子ノックダウンは観察されなかった。GalNAc
3-パルミトイル標的指向リガンドは、コレステロールポリヌクレオチド標的指向部分に比べて、siRNAの肝細胞への送達改善を提供した。
【0196】
(表3)siRNA-GalNAcクラスター結合体プラス送達ポリマー注入後のインビボでの標的遺伝子のノックダウン、ポリマー用量の効果
a動物体重1キログラムあたりのsiRNAまたはペプチドmg
bタンパク質相対%
【0197】
C. マスクしたDW1360送達ポリマーと同時送達した場合のsiRNA-ガラクトースクラスター-薬物動態調節剤結合体の送達に対する疎水性基サイズの効果
DW1360を7重量当量のCDM-PEG:CDM-NAG 2:1で修飾した。完全2'F/MeO安定化apoB siRNAを示した疎水性PK基を有するGalNAc
3-PK標的指向部分に結合した。siRNA-結合体およびDW1360送達ペプチドの、20gのICRマウス(n=3)への同時投与は、血清ApoBタンパク質レベルの低下を引き起こし、siRNAの肝実質細胞への送達およびApoB遺伝子発現の阻害を示していた。効率的な送達は、送達ペプチドおよびRNAiポリヌクレオチドへの標的指向部分結合の両方を必要とした(表4)。炭素原子16〜20個のPK基(15〜19個の炭素原子疎水性基)を有するポリヌクレオチド標的指向リガンドで、最適な送達が観察された。
【0198】
(表4)siRNA-GalNAcクラスター結合体プラス送達ポリマー注入後のインビボでの標的遺伝子のノックダウン、ポリマー用量の効果
a動物体重1キログラムあたりのsiRNAまたはポリマーmg
bタンパク質相対%
【0199】
実施例24. インビボで投与したsiRNA-GalNAcクラスター-PKの生体内分布
様々な疎水性側鎖を含む6つの異なるGalNAcクラスター-PK標的指向部分を、ApoBに向けたsiRNAに共有結合した。これらの結合体を雄Wistarラットに2.5mg/kgの用量で静脈内(静脈内ボーラス)投与した(表5)。血液試料を異なる動物から投与後5、15、30、60、90、120、240および360分の時点で採取した(各時点でn=2)。採血直後にEDTA血漿を生成し、これを続いてプロテイナーゼK(Epicentre Biotechnologies、米国)で処理した。肝臓および脾臓組織試料(500mg)を、屠殺した動物(n=2)から投与後1.5および6時間の時点で回収した。凍結組織片を粉砕して微粉を得た。各組織の一定量を秤量し、Lysis Mixture(Panomics、米国)、プロテイナーゼK(Epicentre Biotechnologies、米国)およびSONOPULS HD 2070(Bandelin、ドイツ)超音波ホモジナイザーを用いてホモジナイズした。得られた最終組織溶解物は約50mg/mLの濃度を有していた。
【0200】
血漿および組織試料中のsiRNA濃度を、独占権下にあるオリゴヌクレオチド検出法を用いて判定した。簡単に言うと、siRNA定量は、相補的な蛍光(Atto-425)標識PNAプローブとsiRNA二重鎖のアンチセンス鎖とのハイブリダイゼーションおよびAEX-HPLC分離に基づいていた。定量は、対応する非結合ApoB二重鎖の一連の希釈液から生成した外部較正曲線に対する蛍光検出によって行った。この二重鎖は、PK実験で試験したすべての結合体に共通の同一のアンチセンス鎖で構成されていた。血漿試料(0.2〜2μL)および組織試料(約1mg)をHPLC装置に注入した。
【0201】
肝臓について組織の結果を表5に示す。肝臓において、PK調節剤を欠く(さらなる疎水性鎖なし)標的指向部分を有するsiRNAで最低濃度が見られた。標的指向部分上に疎水性側鎖PK調節剤を有するすべての結合体で、肝臓におけるsiRNA濃度はより高かった。1.5時間後の最高濃度は、GalNAcクラスターに加えて2つのオクタノイル側鎖を有する標的指向部分で見られた。投与の6時間後、GalNAcクラスターに加えてC
20-アシル側鎖を有する標的指向部分は最も高い肝臓濃度を示した。したがって、疎水性側鎖が標的指向部分に組み込まれている場合、GalNAc-結合siRNAの肝臓取り込みは、PK特性を調節することによって高めることができる。
【0202】
具体的なメカニズムは不明であるが、PK調節剤が血漿タンパク質結合の増大と、したがって循環時間の延長を引き起こすことが可能である。次いで、循環時間の延長は組織標的指向の増大をもたらした。反対に、PK調節剤非存在下では、siRNAは腎ろ過によって循環からより速やかに排出された。
【0203】
分布特性は部分的には側鎖の疎水性と相関しうる。PK調節剤なし、およびC8 PK調節剤は、循環からより速やかに排出され、最も低い肝臓を標的とする分布を有し、最小の標的遺伝子ノックダウンを示した。これに対し、16〜20個の炭素原子を有するPK調節剤の存在は、循環からの排出がより遅く、より高い肝臓を標的とする分布を有し、標的遺伝子ノックダウンの増大を示した(
図7)。
【0204】
(表5)投与1.5時間後の肝臓中のsiRNA
a注入の1.5時間後
【0205】
実施例25. 薬物動態調節剤の使用による腫瘍標的指向の増大
siRNAを葉酸もしくはコレステロールのいずれか単独または葉酸-コレステロール薬物動態調節剤に結合した。5mgのsiRNAをKB異種移植マウスに注入した。次いで、腫瘍を分離し、siRNAの存在について検定した。注入の2時間後、葉酸-コレステロール薬物動態調節剤に結合したsiRNA(>500ng/g)では、葉酸またはコレステロールのいずれか単独に結合したsiRNA(100ng/g未満)に比べて、腫瘍中に有意に多くのsiRNAが認められた。注入の6時間後、差はさらに顕著で、約500ng/gと<50ng/gであった。
【0206】
KB異種移植モデル:KB細胞はATCCから入手し、10%FBSを補足したGIBCO/Invitrogenからの葉酸を含まないRPMI 1640培地(# 27016)中で成長させた。KB細胞は、宿主マウスへの注入前に葉酸を含まない培地中で2週間培養すべきである。Athymic Nude-Foxnl
nu(Fox Chase Nude)はHarlan laboratoryから入手した。マウスに葉酸を含まない飼料(DYET# 17772、Dyets Inc.、Bethlehem、PA 18017から)を腫瘍接種の2〜3週間前からと、接種後与えた。コンフルエント以下のKB細胞をトリプシン処理し、PBSで洗浄し、PBS中に100万/100μlで懸濁した。100〜200万個の細胞を左側腹下に皮下注入し、腫瘍成長を1週間に2回デジタルキャリパーでモニターした。腫瘍が5〜8mmの間のサイズになり、したがって十分に血管新生化していると予測されれば(典型的には7〜10日)、マウスにsiRNAを注入した。
【0207】
siRNA定量:組織試料を凍結状態で微粉砕し、15〜25mgの凍結粉末をヌクレアーゼを含まない水中で1:3希釈したLysis Solution(Panomics/Affymetrix)1mLに懸濁した。試料を超音波スティックで超音波処理し、続いてプロテイナーゼK(Panomics/Affymetrix)により65℃で30分間処理した。プロテイナーゼK処理後、20μLの3M KClを200μLの組織超音波処理物に加えてSDSを沈澱させた。試料を氷上に10分間置き、続いて4℃、4000rcfで15分間遠心分離した。siRNA定量のために上清を回収した。上清100μLをアンチセンス鎖を標的とする10μM Atto610-PNA-プローブ溶液5μLと混合した。ハイブリダイゼーション緩衝液(50mMトリス-Cl、pH8.0)を加えて最終量200μLとした。試料をサーマルサイクラー中95℃で15分間インキュベートし、次いで温度を50℃まで下げ、さらに15分間インキュベートすることによりハイブリダイズさせた。較正曲線を同じ条件下で一連のsiRNA希釈液から生成し、次いですべての試料をHPLCオートサンプラーに入れた。試料を100μLの量で50℃に加熱したDionex DNAPac PA-100 4×250mmカラムに注入した。試料を二成分勾配を用い、1mL/分の流速で溶離した。緩衝液A:lOmMトリス、30%ACN、lOOmM NaCl、pH7。緩衝液B:lOmMトリス、30%ACN、900mM NaCl、pH7。試料を島津RF-lOAxl蛍光検出器(励起:436nm、発光:484nm)を用いて分析した。