特許第6261176号(P6261176)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261176
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】開口部装置及び開口部装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20180104BHJP
   E06B 3/26 20060101ALI20180104BHJP
   E06B 3/88 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   E06B5/16
   E06B3/26
   E06B3/88
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-54219(P2013-54219)
(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公開番号】特開2014-177852(P2014-177852A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2015年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】平松 誠司
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−225149(JP,A)
【文献】 実開昭55−006312(JP,U)
【文献】 実公平07−008775(JP,Y2)
【文献】 特開2013−127168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00−5/20
E06B 3/04−3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、該枠体内に開閉可能に収納され、室外側金属框と室内側樹脂框とを框組みした障子と、を備えた開き戸からなる開口部装置であって、
前記障子は、四方框組みされており、
戸先側の室外側金属框と室内側樹脂框の外周面に跨るように金具が設けられ、
前記金具は、
戸先側の前記室外側金属框における前記障子の外周面に沿った部分を覆う固定部と、
戸先側の前記室内側樹脂框における前記障子の下側角部の側面を覆う第一板状部及び下側角部の底面を覆う第二板状部と、を備えており、
前記金具は、火災時に前記障子と前記枠体との間に形成される隙間を遮るように構成されていることを特徴とする開口部装置。
【請求項2】
前記枠体のうち前記金具に対向する部分には、第一加熱発泡材が設けられている
請求項1に記載の開口部装置。
【請求項3】
前記金具のうち前記枠体に対向する部分には、第二加熱発泡材が設けられている
請求項1又は請求項2に記載の開口部装置。
【請求項4】
枠体と、
該枠体内に開閉可能に収納され、室外側金属材框と室内側樹脂框とを框組みした障子と、
を備える開き戸からなる開口部装置の前記障子に対して、
戸先側の前記室内側樹脂框における外周面に沿った部分を覆うための金具を前記室外側金属框に固定する工程を含み、
前記金具は、
戸先側の前記室外側金属框における前記障子の外周面に沿った部分を覆う固定部と、
戸先側の前記室内側樹脂框における前記障子の下側角部の側面を覆う第一板状部及び下側角部の底面を覆う第二板状部と、を備え、
前記金具は、火災時に前記障子と前記枠体との間に形成される隙間を遮るように構成されており、
前記固定部を前記室外側金属框に固定することで前記室内側樹脂框における前記障子の下側角部の底面及び側面を覆うように前記金具を取り付ける
ことを特徴とする開口部装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部装置及び開口部装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口部に設けられる開口部装置として、開口部に取り付けられた枠体と、当該枠体に対して開閉可能に取り付けられた障子とを備える構成が知られている。このうち、障子の構成としては、金属材及び樹脂材の複合材で形成され、上桟、下桟及び左右の縦框からなる障子枠が四角形状に枠組みされた構成が知られている。
【0003】
近年では、防火特性の高い開口部装置が求められている。例えば、建物の室内で火災が発生した場合において遮炎性を確保するため、開口部装置の内外の空間が貫通しないことが求められている。これに対して、引用文献1に記載のように、枠体の下枠の表面に加熱発泡材が設けられた構成が知られている。この構成では、加熱発泡材が熱によって発泡して膨張し、障子との間に形成される隙間を埋めることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−217978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成においては、室内で火災が発生した場合、障子のうち室内側に配置された樹脂材が溶けて脱落し、当該樹脂材の脱落部分において障子が反ってしまい、障子と枠体との間に形成される隙間が大きくなる。このため、開口部装置の内外の空間が貫通してしまう可能性がある。
以上のような事情に鑑み、本発明は、遮炎性を高めることが可能な開口部装置及び開口部装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る開口部装置は、枠体と、該枠体内に開閉可能に収納され、室外側金属框と室内側樹脂框とを框組みした障子と、を備えた開き戸からなる開口部装置であって、前記障子は、四方框組みされており、戸先側の室外側金属框と室内側樹脂框の外周面に跨るように金具が設けられ、前記金具は、戸先側の前記室外側金属框における前記障子の外周面に沿った部分を覆う固定部と、戸先側の前記室内側樹脂框における前記障子の下側角部の側面を覆う第一板状部及び下側角部の底面を覆う第二板状部と、を備えており、前記金具は、火災時に前記障子と前記枠体との間に形成される隙間を遮るように構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、室外側金属框が障子の外周面に沿った部分を覆う金具を備えるため、室内で火災が発生し、室内側樹脂框が脱落した場合であっても、障子の外周面が金具によって覆われた状態が維持される。このため、障子が反った場合であっても障子と枠体との隙間の広がりが抑制される。これにより、開口部装置の内外の空間が貫通しにくくなるため、遮炎性を高めることが可能となる。
【0008】
また、障子の下側角部では、室内側樹脂框の脱落時に障子と枠体との隙間が形成されやすいことが判明している。これに対して、本発明によれば、障子が四角形状に形成されており、金具が室内側樹脂框のうち障子の下側角部の底面及び側面を覆うように設けられているため、障子の下側角部における障子と枠体との隙間の広がりが抑制される。これにより、遮炎性をより効果的に高めることが可能となる。
【0009】
上記の開口部装置において、前記枠体のうち前記金具に対向する部分には、第一加熱発泡材が設けられている。
本発明によれば、枠体のうち金具に対向する部分に第一加熱発泡材が設けられているため、金具による障子と枠体との隙間の広がり抑制と、第一加熱発泡材による障子と枠体との隙間の封止と、によって相乗的に遮炎性を高めることが可能となる。
【0010】
上記の開口部装置において、前記金具のうち前記枠体に対向する部分には、第二加熱発泡材が設けられている。
本発明によれば、金具による障子と枠体との隙間の広がり抑制と、第二加熱発泡材による障子と枠体との隙間の封止と、によって相乗的に遮炎性を高めることが可能となる。
【0011】
本発明に係る開口部装置の製造方法は、枠体と、該枠体内に開閉可能に収納され、室外側金属材框と室内側樹脂框とを框組みした障子と、を備える開き戸からなる開口部装置の前記障子に対して、戸先側の前記室内側樹脂框における外周面に沿った部分を覆うための金具を前記室外側金属框に固定する工程を含み、前記金具は、戸先側の前記室外側金属框における前記障子の外周面に沿った部分を覆う固定部と、戸先側の前記室内側樹脂框における前記障子の下側角部の側面を覆う第一板状部及び下側角部の底面を覆う第二板状部と、を備え、前記金具は、火災時に前記障子と前記枠体との間に形成される隙間を遮るように構成されており、前記固定部を前記室外側金属框に固定することで前記室内側樹脂框における前記障子の下側角部の底面及び側面を覆うように前記金具を取り付けることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、開口部装置の障子に対して、室内側樹脂框のうち障子の外周面に沿った部分を覆うための金具を室外側金属框に固定することで、遮炎性の高い開口部装置を得ることができる。したがって、例えば既成の障子に対して金具を取り付けてもよく、この場合、簡単な作業によって遮炎性の高い開口部装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、熱によって障子が反った場合であっても、障子と枠体との隙間の広がりが抑制されるため、室内と室外との空間が貫通するのを抑制することができ、遮炎性を高めることが可能となる。また、簡単な作業によって遮炎性の高い開口部装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る開口部装置の全体構成を示す図。
図2図1におけるA−A断面に沿った開口部装置の構成を示す図。
図3図1におけるB−B断面に沿った開口部装置の構成を示す図。
図4】本実施形態に係る障子の底部の構成を示す図。
図5】本実施形態に係る金具の構成を示す図。
図6】本実施形態に係る金具の構成を示す図。
図7】本実施形態に係る障子の底部の構成を示す図。
図8】本実施形態に係る障子の底部の構成を示す図。
図9】比較例に係る障子の底部の構成を示す図。
図10】本実施形態に係る障子の底部の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る開口部装置100の室内側視点における構成を示す図である。図2は、図1におけるA−A断面に沿った構成を示す図である。図3は、図1におけるB−B断面に沿った構成を示す図である。
図1図3に示すように、開口部装置100は、枠体10と、障子20とを備えている。開口部装置100は、いわゆるスイング型の障子20を備えた構成であり、例えばテラスドア、玄関ドア、勝手口ドア等に用いられる。
【0016】
枠体10は、建物の躯体の開口部に取り付けられる。枠体10は、四角形状に枠組みされた上枠11、下枠12、左縦枠13及び右縦枠14を有している。これら上枠11、下枠12、左縦枠13及び右縦枠14は、例えば金属材及び樹脂材の複合材で構成されている。すなわち、上枠11は、金属上枠11a及び樹脂上枠11bを有している。下枠12は、金属下枠12a及び樹脂下枠12bを有している。左縦枠13は、金属縦枠13a及び樹脂縦枠13bを有している。右縦枠14は、金属縦枠14a及び樹脂縦枠14bを有している。
【0017】
金属上枠11a、金属下枠12a及び金属縦枠13a、14aは、アルミ部材などの金属材によって構成されており、室外側に配置されている。樹脂上枠11b、樹脂下枠12b及び樹脂縦枠13b、14bは、硬質塩ビ材などの樹脂材によって構成されており、それぞれ金属上枠11a、金属下枠12a及び金属縦枠13a、14aのうち室内側の露出部分を覆うように配置されている。
【0018】
金属上枠11aには、下側に伸びるパッキン保持部11cが形成されている。パッキン保持部11cには、上部戸当りパッキン15が取り付けられている。樹脂上枠11bは、パッキン保持部11cの室内側を覆うように形成されている。同様に、金属下枠12aには、上側に伸びるパッキン保持部12cが形成されている。パッキン保持部12cには、下部戸当りパッキン16が取り付けられている。樹脂下枠12bは、パッキン保持部12cの室内側を覆うように形成されている。
【0019】
また、樹脂縦枠13b、14bには、それぞれ障子20側に伸びるパッキン保持部13c、14cが形成されている。パッキン保持部13c、14cには、それぞれ戸当りパッキン17及び戸当りパッキン18が取り付けられている。
【0020】
障子20は、蝶番20aを介して枠体10に取り付けられる。障子20は、蝶番20aの軸芯を中心として例えば室外側に回動可能に設けられている。障子20は、障子枠25、ガラス体26及びドアノブ27を有している。使用者はドアノブ27に手を掛けてドアノブ27を垂直方向に回動させることにより、障子20を蝶番20aの軸芯の回りに回動させて室外側に開くことができる。
【0021】
障子枠25は、上桟21、下桟22、左縦框23、右縦框24を有している。上桟21は、金属上桟21a及び樹脂上桟21bを有している。下桟22は、金属下桟22a及び樹脂下桟22bを有している。左縦框23は、金属縦框23a及び樹脂縦框23bを有している。右縦框24は、金属縦框24a及び樹脂縦框24bを有している。
【0022】
金属上桟21a、金属下桟22a及び金属縦框23a、24aは、アルミ部材などの金属材によって構成されており、室外側に配置されている。これら金属上桟21a、金属下桟22a及び金属縦框23a、24aは、室外側金属框を構成している。樹脂上桟21b、樹脂下桟22b及び樹脂縦框23b、24bは、それぞれ金属上桟21a、金属下桟22a及び金属縦框23a、24aのうち室内側の露出部分を覆うように配置されている。これら樹脂上桟21b、樹脂下桟22b及び樹脂縦框23b、24bは、室内側樹脂框を構成している。
【0023】
また、枠体10及び障子20の各部には、加熱発泡材51〜66が取り付けられている。加熱発泡材51〜66は、熱によって発泡し、膨張することにより室内側と室外側とを連通する隙間を塞ぐことができる構成となっている。
【0024】
ガラス体26は、矩形の板状に形成されており、障子枠25に嵌め込まれている。ガラス体26としては、例えば複層ガラスが用いられている。ガラス体26は、室外側に配置された室外側ガラス26aと、室内側に配置された室内側ガラス26bとを有している。室外側ガラス26aとしては、例えば網入りガラスが用いられている。室内側ガラス26bとしては、例えば網の無い普通ガラス又は強化ガラスが用いられている。室外側ガラス26a及び室内側ガラス26bは、スペーサ29を狭持するように設けられており、グレージングチャネル28を介して障子枠25に装着されている。
【0025】
図4は、障子20の底部の構成を示す平面図である。なお、図4では、上側から見たときの構成を示している。
図4に示すように、障子枠25のうち戸先側の下側角部には、金具40、41が設けられている。金具40、41は、例えばスチール材などで形成されている。金具40は、ネジなどの固定部材42を介して金属縦框24aの側面24fに固定されている。同様に、金具41は、ネジなどの固定部材43を介して金属下桟22aの底面22fに固定されている。このように、金具40、41は、それぞれ障子枠25のうち金属材の部分に固定されている。
【0026】
図5(a)〜図5(c)は、金具40の構成を縦方向、横方向及び奥行方向の三方向から見た時の構成を示す図である。図6(a)及び図6(b)は、金具41の構成を平面方向及び厚さ方向の二方向から見た時の構成を示す図である。図7は、障子20の戸先の下側角部の構成を示す斜視図である。
【0027】
図5(a)〜図5(c)及び図7に示すように、金具40は、第一板状部40a、第二板状部40b及び固定部40cを有している。第一板状部40aは、例えば矩形の帯状に形成されており、樹脂縦框24bの側面24gを覆っている。第一板状部40aと側面24gとの間には、接着剤等は設けられなくてもよい。側面24gは、障子枠25の外周面25a(図1参照)の一部を構成する。このため第一板状部40aは、樹脂縦框24bのうち障子枠25の外周面25aに沿った部分を覆っている。
【0028】
第二板状部40bは、第一板状部40aと同様、例えば矩形の帯状に形成されており、樹脂縦框24bの底面24hを覆っている。第二板状部40bは、第一板状部40aに対して90°の角度で折り曲げられた状態となっている。第二板状部40bと底面24hとの間には、接着剤等は設けられなくてもよい。底面24hは、側面24gと同様、障子枠25の外周面25a(図1参照)の一部を構成する。このため第二板状部40bは、樹脂縦框24bのうち障子枠25の外周面25aに沿った部分を覆っている。第二板状部40bは、第一板状部40aと一体に形成されている。このため、樹脂縦框24bの戸先下側の角部が覆われた状態となっている。
【0029】
固定部40cは、連結部40fを介して第一板状部40aに連結されている。本実施形態では、樹脂縦框24bの側面24gが金属縦框24aの側面24fよりも右縦枠14側に配置されている。このため、連結部40fは、固定部40c及び第一板状部40aが共に対象面(金属縦框24aの側面24f、樹脂縦框24bの側面24g)に当接するように形成されている。固定部40cは、矩形の板状に形成されており、金属縦框24aの側面24fに当接されている。固定部40cは、例えば2箇所に開口部40eを有している。当該開口部40eには、ネジなどの固定部材42が挿入される。固定部40cの表面(右縦枠14に対向する面)側には、加熱発泡材40dが貼り付けられている。加熱発泡材40dのうち開口部40eに重なる位置には、固定部材42を挿入するための貫通孔が設けられている。
【0030】
本実施形態では、金具40を固定部材42によって金属縦框24aに固定することにより、第一板状部40a及び第二板状部40bが樹脂縦框24bの側面24g及び底面24hを覆った構成の障子20を簡単に製造することができる。
【0031】
図6(a)及び図6(b)及び図7に示すように、金具41は、カバー部41a及び固定部41bを有している。カバー部41aは、例えば矩形の帯状に形成されており、角部が切り欠かれた状態となっている。カバー部41aは、樹脂下桟22bの底面22gを覆っている。カバー部41aと底面22gとの間には、接着剤等は設けられなくてもよい。底面22gは、障子枠25の外周面25a(図1参照)の一部を構成する。このためカバー部41aは、樹脂下桟22bのうち障子枠25の外周面25aに沿った部分を覆っている。
【0032】
固定部41bは、カバー部41aと一体に形成されている。固定部41bは、矩形の板状に形成されており、金属下桟22aの底面22fに当接されている。固定部41bは、例えば2箇所に開口部41cを有している。当該開口部41cには、ネジなどの固定部材43が挿入される。固定部41bの表面(下枠12に対向する面)側には、加熱発泡材41dが貼り付けられている。加熱発泡材41dのうち開口部41cに重なる位置には、固定部材43を挿入するための貫通孔が設けられている。
【0033】
本実施形態では、金具41を固定部材43によって金属下桟22aに固定することにより、カバー部41aが樹脂下桟22bの底面22gを覆った構成の障子20を簡単に製造することができる。
【0034】
上記構成のうち金具40、41が設けられない構成の従来の開口部装置200において、室内で火災が発生した場合には、図9に示すように、室内側に配置された樹脂材(樹脂縦框124bなど)が脱落する。この場合、当該樹脂縦框124bの脱落部分において障子120が反ってしまい、障子120と枠体110との間に形成される隙間が大きくなる。このため、開口部装置200の内外の空間が貫通してしまう可能性がある。
【0035】
また、図9に示すように、樹脂縦框124bに加え、樹脂縦枠114bや戸当りパッキン118など、樹脂材で形成された部分が脱落する。このため、障子120の反りが形成されない場合であっても、障子120と枠体110との間に直線状の隙間(図中矢印で示す)が形成されてしまう場合があった。
【0036】
一方、本実施形態に係る開口部装置100が設けられた建物において、室内で火災が発生した場合、同様に室内側に配置された樹脂材(樹脂上桟21b、樹脂下桟22b、樹脂縦框23b、24b)が高温下で溶けて脱落する。このとき、本実施形態では、樹脂材(21b〜24b)が脱落した場合であっても金具40、41が残ることになる。つまり、図8に示すように、樹脂縦框24bの側面24g及び底面24hには、金具40の第一板状部40a及び第二板状部40bが配置され、樹脂下桟22bの底面22gには金具41のカバー部41aが配置された状態となる。これにより、障子20と枠体10との間の隙間の広がりが抑制されるため、開口部装置100の内外の空間が貫通しにくくなる。
【0037】
これに加えて、金具40に設けられた加熱発泡材40dや金具41に設けられた加熱発泡材41dが熱によって発泡し、金具40、41と右縦枠14、下枠12との間に入り込むため、障子20と枠体10との間を塞ぐことができる。これにより、室内と室外との空間が貫通されるのを防ぐことができる。
【0038】
また、障子20の反りは、障子20の下側よりも上側に大きく発生する。一方、障子20の上側は温度の上昇が下側よりも早いため、加熱発泡材51〜66のうち枠体10の上側に配置された加熱発泡材は、枠体10の下側に配置された加熱発泡材よりも早く膨張する。このように、障子20と枠体10との間が下側よりも早く塞がれるため、障子20の上側においては、室内と室外との空間が貫通しにくい。これに対して、枠体10の下側には熱が伝わりにくいため、加熱発泡材51〜66のうち枠体10の下側に配置された加熱発泡材については、発泡のタイミングが遅れる場合がある。この場合、従来の構成では、金具40、41が設けられないため、障子の下側が反った状態となってから加熱発泡材によって隙間が塞がれるまでの間、室内と室外との空間が貫通される場合があった。これに対して、本実施形態では、障子20の下側角部に金具40、41が設けられるため、障子20と枠体10との間の隙間の広がりが抑制されることとなる。これにより、室内と室外との空間が貫通されるのをより確実に防ぐことが可能となる。
【0039】
また、本実施形態では、図10に示すように、樹脂材(21b〜24b)が脱落した場合であっても金具40、41が残るため、障子20と枠体10との間に直線状の隙間が形成されるのを回避することができる。これにより、室内と室外との空間が貫通されるのをより確実に防ぐことが可能となる。
【0040】
以上のように、本実施形態によれば、樹脂材(21b〜24b)のうち障子枠25の外周面25aに沿った部分を覆う金具40、41が金属材(21a〜24a)に固定されているため、室内で火災が発生し、樹脂材(21b〜24b)が脱落した場合であっても、障子枠25の外周面25aが金具40、41によって覆われた状態が維持される。この場合、障子20と枠体10との間の隙間の広がりが抑制されるため、開口部装置100の内外の空間が貫通しにくくなる。これにより、遮炎性を高めることが可能となる。
【0041】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上述した実施形態では、金属と樹脂の複合材が用いられた開口部装置100について説明したが、本発明は複合サッシに限定されることなく、金属製のサッシについても適用できることはいうまでもない。
【0042】
また、上記実施形態においては、いわゆるスイング型の障子を備えた開口部装置を例に挙げて説明したが、これに限られることは無く、引き違い式の障子を備えた開口部装置や、縦すべり式の障子を備えた開口部装置に適用することも可能である。
【0043】
また、上記実施形態の構成に対して、例えば右縦枠14に設けられた加熱発泡材(加熱発泡材63など)が金具40の第一板状部40aや固定部40cに対向する位置に配置された構成であってもよい。同様に、下枠12に設けられた加熱発泡材(加熱発泡材54など)が金具40の第二板状部40bや、金具41のカバー部41aに対向する位置に配置された構成であってもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、障子20の戸先の下側に金具40、41が取り付けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限られることはない。例えば、障子20の外周面25aの何れの位置に金具40、41などを配置しても、上記実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0045】
10 枠体
11 上枠
12 下枠
12a 金属下枠
12b 樹脂下枠
13 左縦枠
13a、14a 金属縦枠
13b、14b 樹脂縦枠
14 右縦枠
20 障子
22 下桟
22a 金属下桟
22b 樹脂下桟
24 右縦框
24a 金属縦框
24b 樹脂縦框
25 障子枠
25a 外周面
40 金具
40d 加熱発泡材
41 金具
41d 加熱発泡材
42 固定部材
43 固定部材
51〜66 加熱発泡材
100 開口部装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10