(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のダンパー装置では、冷気等が通る空気通路が設けられた枠体(筒状のフレーム)の隣にモータユニットのケースが固定されている。モータユニットのケースは、モータや歯車の軸線方向の寸法よりも直動部材の移動方向の寸法の方が大きく、偏平な形状をしている。バッフルに係合する駆動力伝達機構の出力部材(突出部)は、直動部材の移動方向に突出するため、冷気等の通過方向と直動部材の移動方向とが直交するように、フレームとモータユニットが位置決めされている。しかしながら、このような配置では、冷気等の通過方向から見た場合のモータユニットの投影面積が大きく、ダンパー装置をコンパクトに構成するのが困難である。
【0006】
冷気等の通過方向から見た場合のモータユニットの投影面積を小さくするためには、偏平な形状をしているモータユニットの向きを90度変えてフレームに取り付けることが考えられる。しかしながら、このようにするためには、バッフルを駆動する出力部材の向きを90度変える必要がある。すなわち、特許文献1のようにモータの1方向回転で直動部材を往復移動させる場合、直動部材の動きをこれに直交する部材の動き(例えば、回転)に変換する機構を追加する必要がある。よって、駆動力伝達機構の構成が複雑になり、モータユニットのケース内に配置される部材が増えて小型化に不利である。
【0007】
また、特許文献1では、直動部材を駆動する欠歯車の回転位置を検出してモータを制御するため、欠歯車の回転軸に取り付けられたカム部と、カム部の回転位置に応じて接触状態と非接触状態に切り換えられるスイッチを構成する可動切片を備えている。これらの可動切片は、直動部材や他の機構と干渉することのないように、且つ、外部への配線取り出しに都合が良い場所に配置しなければならない。上記のように、直動部材の動きをこれに直交する部材の動きに変換する機構を追加した場合、追加した機構と可動切片との干渉も避けなければならない。従って、ケース内に効率良く部材を配置するのが困難であり、小型化が困難である。
【0008】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、モータの一方向の回転によってバッフルを開方向および閉方向に駆動できるダンパー装置の小型化を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のダンパー装置は、モータおよび駆動力伝達機構を備えるモータユニットと、当該モータユニットが取り付けられる枠体と、前記駆動力伝達
機構の出力に基づき、前記枠体に形成された開口を閉鎖する閉位置、および、当該開口を開放する開位置の間を移動する開閉部材とを有し、前記駆動力伝達機構は、前記モータの出力によって回転する歯車部材と、当該歯車部材の一方の方向への回転に基づいて直線方向に往復移動する直動部材と、当該直動部材の往復移動に基づいて揺動するレバーと、当該レバーの揺動中心に取り付けられ
、前記開口の縁に沿った位置に突出する出力軸とを備え、
前記開閉部材は、前記開口の縁に沿って延びる回転中心線を中心として回転可能に支持されており、前記モータユニットは、
前記歯車部材、前記直動部材、前記レバーおよび前記出力軸を含む前記駆動力伝達機構および前記歯車部材の回転位置を検出する可動切片を収納するケースを備え、当該ケース内において、
前記レバーの揺動中心は、前記直動部材から当該直動部材の移動方向と直交する方向に離れた位置
に配置され、前記直動部材に対して前記レバーの揺動中心と同じ側に前記可動切片の少なくとも一部が配置され
、前記駆動力伝達機構および前記可動切片を収納する前記ケースを前記枠体に取り付けた状態において、前記レバーの前記揺動中心に取り付けられた前記出力軸が前記開口の縁に沿った位置で前記開閉部材に取り付けられて、前記直動部材の往復移動に基づいて前記レバーが揺動することにより、前記開閉部材を前記閉位置と前記開位置との間で開閉動作させることを特徴としている。
【0010】
本発明は、このように、モータの一方の方向の回転に基づいて直動部材を往復移動させ、これに基づいてレバーを正逆方向に揺動させている。そして、直動部材によって揺動するレバーを介して、直動部材の移動方向と直交する方向に延びる出力軸を回転させて、
開口の縁に沿って延びる回転中心線を中心として開閉部材を回転させる。また、モータの出力によって回転する歯車部材、直動部材、レバーおよび出力軸を含む駆動力伝達機構および歯車部材の回転位置を検出する可動切片を収納するケースを開口が形成された枠体に取り付けた状態において、レバーの前記揺動中心に取り付けられた出力軸が開口の縁に沿った位置に突出して開閉部材に取り付けられている。このため、開口が設けられた枠体にモータユニットのケースを固定するにあたって、開口における冷気等の通過方向から見た場合のモータユニットの投影面積を小さくでき、ダンパー装置を全体としてコンパクトな形状にすることができる。更に、モータユニットのケース内において、直動部材の脇にレバーを配置したことによるデッドスペースを可動切片の配置スペースとして利用できる。従って、ケースの外形を小さくできる。よって、ダンパー装置の小型化に有利であり、狭いスペースへの設置に有利である。
【0011】
本発明において、前記歯車部材は、周方向の一部の部位に限定して歯部が形成された欠歯車部を備え、前記直動部材は、前記欠歯車部を間に挟んで平行に延びた一対の腕部を備え、当該一対の腕部における対向する内側側面の一方に第1のラック部が形成され、前記対向する内側側面の他方に第2のラック部が形成され、前記第1のラック部と前記第2のラック部は、一方が前記歯部と噛合した状態のとき、他方は前記歯部と噛合しないことが望ましい。このように、平行な2本の腕部を備える直動部材を用いることにより、直動部材の傾きを抑制できる。従って、バッフルの駆動精度の低下を抑制できる。
【0012】
また、本発明において、前記欠歯車部、前記第1のラック部および前記第2のラック部、並びに、前記直動部材における前記レバーとの係合部は、前記歯車部材の軸線方向の位置が少なくとも部分的に重なっていることが望ましい。このようにすると、モータユニットを薄型化できる。よって、ダンパー装置の小型化に有利である。
【0013】
この場合に、前記直動部材は、前記歯部と前記第1のラック部とが噛合して前記欠歯車部が前記一方の方向に回転することにより、前記開閉部材の開位置に対応する第1の位置から、前記開閉部材の閉位置に対応する第2の位置まで移動し、前記歯部と前記第2のラック部とが噛合して前記欠歯車部が前記一方の方向に回転することにより、前記第2の位置から前記第1の位置まで移動し、前記欠歯車部には、前記第1の位置にある前記直動部材の前記第1のラック部に係合して前記第2の位置側への移動を阻止すると共に、前記第2の位置にある前記直動部材の前記第2のラック部に係合して前記第1の位置側への移動を阻止する係合部が形成されていることが望ましい。このように、直動部材をその移動範囲の一端および他端に機械的に係合する構造とすることで、バッフル等の開閉部材を開位置および閉位置に保持できる。従って、バッフル等の開閉部材に設けられたクッション材からの反力などの力が加わったとしても、ダンパー装置を開状態および閉状態に維持できる。
【0014】
本発明において、前記駆動力伝達機構は減速歯車列を備え、当該減速歯車列の出力側の端部に前記歯車部材が配置され、前記ケース内において、前記直動部材に対して前記レバーの揺動中心と同じ側には、当該レバーの揺動中心、前記可動切片の少なくとも一部、および、前記減速歯車列の少なくとも一部が前記直動部材の移動方向に並んで配置されていることが望ましい。このようにすると、直動部材の脇にレバーを配置したことによるデッドスペースを可動切片および減速歯車列の配置スペースとして利用できる。従って、ケースの外形を小さくでき、ダンパー装置の小型化に有利である。
【0015】
ここで、本発明において、前記ケースは、側面の高さが上面および底面における各辺の寸法よりも小さい偏平な直方体形状をしており、前記歯車部材は、前記底面に対して垂直な軸線回りに回転可能に支持され、前記直動部材は、前記ケースの一方の側面に沿って往復移動するように配置され、前記ケースの前記一方の側面に対向する他方の側面と、前記直動部材との間に、前記レバーの揺動中心および前記可動切片の少なくとも一部が、前記直動部材の移動方向に並んで配置されていることが望ましい。このようにすると、偏平な形状のモータケース内にスペース効率良く構成部品を配置でき、モータユニットを小型化できる。また、冷気等の通過方向から見た場合の投影面積が小さくなるようにモータユニットを取り付けることができる。従って、ダンパー装置の小型化に有利である。
【0016】
また、本発明において、前記可動切片は複数設けられ、前記歯車部材は、外周面に段部が形成されたカム部を備え、前記複数の可動切片は、前記直動部材に対して前記レバーの揺動中心と同じ側から前記カム部に向けて延びており、当該複数の可動切片の先端は前記カム部の外周面に向けて付勢されており、前記カム部の回転位置に応じて、前記複数の可動切片の接触状態が切り換えられることが望ましい。このような構成により、歯車部材の回転位置を検出でき、検出結果に基づいてバッフルの開閉状態を制御できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、直動部材によって揺動するレバーを介して、直動部材の移動方向と直交する方向に延びる出力軸を回転させて、
開口の縁に沿って延びる回転中心線を中心として開閉部材を回転させる。また、モータの出力によって回転する歯車部材、直動部材、レバーおよび出力軸を含む駆動力伝達機構および歯車部材の回転位置を検出する可動切片を収納するケースを開口が形成された枠体に取り付けた状態において、レバーの前記揺動中心に取り付けられた出力軸が開口の縁に沿った位置に突出して開閉部材に取り付けられている。このため、空気通路が設けられた枠体にモータユニットのケースを固定するにあたって、空気通路における冷気等の通過方向から見た場合のモータユニットの投影面積を小
さくでき、ダンパー装置を全体としてコンパクトな形状にすることができる。また、モータユニットのケース内において、直動部材の脇にレバーを配置したことによるデッドスペースを可動切片の配置スペースとして利用できる。従って、ケースの外形を小さくできる。よって、ダンパー装置の小型化に有利であり、狭いスペースへの設置に有利である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したダンパー装置の実施形態として、冷蔵庫内に取り付けて冷気の取り入れ量を調節するダンパー装置を説明する。なお、ダンパー装置はこのような用途に限定されるものではなく、気流の取り入れ口を開閉して流量を調節する各種の装置に用いることができる。例えば、通風用のダクト、洗濯機の排水弁等他の流体を制御する各種の装置に用いることができる。
【0020】
(ダンパー装置の全体構成)
図1は本発明を適用したダンパー装置の斜視図であり、
図2は本発明を適用したダンパー装置の分解斜視図である。ダンパー装置1は、モータユニット2と、モータユニット2が取り付けられる枠体3と、枠体3に形成された開閉口4を開閉するバッフル5(開閉部材)を有している。ダンパー装置1は、全体として直方体状をしており、枠体3の長手方向の一端側にモータユニット2が配置されている。
【0021】
枠体3は、モータユニット2のケース2Aの蓋板部分を構成する支持板31と、支持板31の一辺から支持板31に対して垂直に延びている長方形の枠板32を備えている。枠板32には長方形の開口33が形成されており、この開口33を囲み、支持板31と同じ側に側板部34、35、36が配置されている。側板部34、35、36および支持板31によって、開口33を囲む筒状体37が構成されている。筒状体37の内側には、開口33の縁に沿って開口枠部38が形成されている。開口枠部38は、枠板32の面方向に対して所定の角度だけ傾いた面で切断された形状となっており、この傾斜した開口部分が、バッフル5によって開閉される開閉口4となっている。筒状体37の長手方向の側面を構成する側板部34の上端部分には矩形の切り欠き部34aが形成されている。すなわち、筒状体37の枠板32が形成されている一方側の開口端とは反対の他方端側の開口端の側には矩形の切り欠き部34aが形成されている。切り欠き部34aは、開閉口4の幅に対応する切り欠き幅で、開閉口4の上端と同じ高さまで切り欠かれている。
【0022】
バッフル5は、開閉口4よりも一回り大きい矩形の開閉板5aと、開閉板5aの開閉口4側の面に取り付けられたクッション材5bを備えている。クッション材5bは、発泡ポリエチレンなどの弾性体からなる。バッフル5は、側板部36側の開閉口4の縁に沿って延びる回転中心線L1を中心として回転可能に支持されている。後述するように、モータユニット2は、支持板31を貫通して開閉口4の近傍に突出する出力軸27を備えており、この出力軸27の先端にバッフル5が取り付けられている。バッフル5は、出力軸27の回転に基づき、開閉口4を閉鎖する閉位置5Aと、側板部36と平行に延びた開位置5Bとの間を移動する。バッフル5が閉位置5Aのとき、クッション材5bが開閉口4に密着して開閉口4を完全に塞ぐ。なお、バッフル5の開位置5Bは
図1、
図2に示すような位置に限定されるものではなく、異なる角度としてもよい。
【0023】
図3(a)はモータユニット2の平面図であり、
図3(b)はスライダー25を取り外したモータユニット2の平面図である。また、
図4は駆動力伝達機構22の減速歯車列24の展開図であり、
図5はモータユニット2の分解斜視図である。モータユニット2は、モータ21と、モータ21の駆動力を伝達する駆動力伝達機構22(
図2、
図3(a)参照)と、駆動力伝達機構22を収納するケース2Aを構成するケース本体23を有している。モータ21および駆動力伝達機構22によってギヤードモータが構成されている。駆動力伝達機構22は、モータ21に接続された減速歯車列24と、この減速歯車列24の最終段の歯車部材(後述する5番車45)の一方の方向への回転によって直線方向に往復移動させられるスライダー25と、スライダー25の往復移動によって正逆方向に揺動するレバー26と、レバー26の揺動中心26aに取り付けられた出力軸27を備える。
【0024】
ケース2Aは、有底角筒状のケース本体23と、上述した支持板31によって構成されている。ケース本体23は、固定ネジ28によって支持板31にネジ止めされている。支持板31によってケース本体23の端部開口を閉鎖することで、駆動力伝達機構22等を収納する直方体形状のケース2Aが構成されている。支持板31の四隅には、ケース本体23に向けて突出する4本の突起31aが形成され、ケース本体23の四隅には突起31aに対応する形状の凹部23aが形成されている。突起31aは凹部23aに嵌合しており、凹部23aの底面に形成されたネジ孔23bに挿通された固定ネジ28が突起31aにネジ込み固定されている。
【0025】
ケース本体23は、支持板31と対向する底面23cを備えており、モータ21は、底面23cから円筒状に突出している。モータ21としては、一方向回転の小型AC同期モータを用いることができる。モータ21の一方向回転でバッフル5を開閉できるため、モータ21の回転方向を切り換える必要がなく、制御回路の構成を簡単にできる。あるいは、ブラシ付モータや他の一方向回転モータ、もしくはDCモータ、ステッピングモータ等の双方向に回転可能なモータを採用しても良い。ケース本体23の側面23d、23e、23f、23gの高さはケース本体23の底面23cおよび上面(支持板31)の各辺の寸法よりも小さく、ケース2Aは、全体として偏平な直方体形状をしている。モータ21の出力軸21aは、底面23cおよび支持板31に対して垂直に配置されている。
【0026】
図3(a)(b)に示すように、減速歯車列24は、モータ21の出力軸21aに固定されたピニオン21bと噛合する1番車41と、1番車41のピニオン部と噛合する2番車42と、2番車42のピニオン部と噛合する3番車43と、3番車43のピニオン部と噛合する4番車44と、4番車44と噛合する5番車45から構成されている。1〜5番車の軸線方向L(
図4参照/1〜5番車の回転中心線に沿った方向)は、いずれも、底面23cおよび支持板31に対して垂直な方向となっている。
【0027】
5番車45は、4番車44と噛合する歯車部46、および、歯車部46と同軸に構成された欠歯車部47を備える歯車部材である。欠歯車部47は、5番車45の軸線方向の先端に配置されている。歯車部46は、その全周にわたって歯が形成されている。一方、欠歯車部47には、周方向における所定の角度範囲(例えば、約56度)にわたって3つの歯からなる歯部47aが形成されている。また、欠歯車部47のうち、歯部47aに対して周方向に隣接する領域は、薄板状の係合部47bになっている。係合部47bの厚さは、歯部47aの厚さの約半分となっている。
【0028】
スライダー25は、欠歯車部47を間に挟んで対向する一対の腕部51、52と、腕部51、52の端部を連結する連結部53とを備えた板状部材である。一対の腕部51、52は、欠歯車部47の径方向に互いに平行に配設されている。一対の腕部51、52は、互いに平行に延びる一対の内側端面51a、52aを備えている。対向する内側端面51a、52aのうち、一方の内側端面51aには第1のラック部54が形成され、他方の内側端面52aには第2のラック部55が形成されている。
【0029】
図5に示すように、第1のラック部54には、4つの歯部54a、54b、54c、54dが形成されており、これらの歯部のうち、2番目の歯部54bの厚さは、他の3つの歯部54a、54c、54dより薄く形成されている。また、第2のラック部55には、3つの歯部55a、55b、55cが形成されており、これらの歯部のうち、3番目の歯部55cの厚さは、他の2つの歯部55a、55bより薄く形成されている。
【0030】
図3(a)(b)に示すように、ケース本体23の底面23cには、ケース本体23の一方の側面23dの近傍において側面23dと平行に延びるガイドリブ56aが形成されている。ガイドリブ56aは、スライダー25の腕部51と重なる位置に配置されており、腕部51には、ガイドリブ56aの先端が挿入されるスライド溝56b(
図5参照)が形成されている。また、ケース本体23の側面23dと直交する側面23eの近傍には、スライダー25の連結部53と重なる位置にリブ57a、57bが形成されている。更に、スライダー25のもう一方の腕部52と重なる位置に、ガイドリブ56aと平行なガイドリブ58aが形成されている。腕部52には、ガイドリブ58aの先端が挿入されるスライド溝58b(
図5参照)が形成されている。スライダー25は、腕部51、52がガイドリブ56a、58aに支持されて案内されることで、底面23cと平行な姿勢で、側面23dと平行な移動方向Yに往復移動する。このとき、連結部53は、リブ57a、57bによって底面23c側から支持される。
【0031】
図5に示すように、5番車45には、カム部48が一体形成されている。カム部48は、欠歯車部47とケース本体23の底面23cとの間に配置されている。カム部48の外周面には複数の段部48aが形成されている。ケース本体23の側面のうち、側面23dと対向する側面23fには、カム部48に面する位置に、端子取り出し部60が形成されている。端子取り出し部60から、可動切片61、62の一端に設けられた端子a、bがケース本体23の外部に突出している。可動切片61、62は、端子取り出し部60からカム部48に向けて延びる線バネ状の部材である。可動切片61、62の先端はカム部48の外周面に向けて付勢されており、カム部48が回転すると、回転位置に応じて可動切片61、62の一方あるいは双方が段部48aに落ち込んで、可動切片61、62の接触状態が切り換わる(
図6参照)。可動切片61、62は、バッフル5を開閉動作するための制御回路において、モータ21の駆動を制御するスイッチAを構成する。
【0032】
図1、
図2に示すように、モータユニット2は、端子取り出し部60が設けられた側面23fを、開閉口4における冷気等の気流の通過方向Xと直交する方向を向けるようにして、枠体3に対して固定されている。このようにすると、端子取り出し部60の端子a、bに接続される配線が気流と直交する方向を向いて接続される。
【0033】
図3(a)、
図5に示すように、スライダー25には、腕部52と連結部53とが接続される角部に係合孔59が形成されている。係合孔59は、スライダー25の移動方向Yと直交する方向に長い長孔であり、レバー26の一端が係合されている。レバー26の他端にはレバー26の揺動中心26aが設けられている。揺動中心26aは、ケース本体23の底面23cに設けられた支軸に回転可能に支持されている。レバー26は、揺動中心26aを中心として、モータ21および減速歯車列24の軸線方向Lと平行な軸線回りに揺動可能となっている。スライダー25が側面23dと平行な移動方向Yに往復移動すると、レバー26が正逆方向に揺動する。レバー26の揺動中心26aは、スライダー25とケース本体23の側面23fとの間に配置されている。このように、スライダー25に対し、スライダー25の移動方向Yと直交する方向Zに離れた位置に揺動中心26aを配置したことによって、スライダー25の回転に基づいてレバー26が回転するように構成されている。
【0034】
レバー26の揺動中心26aには、モータ21の軸線方向および減速歯車列24を構成する歯車部材(1番車41〜5番車45)の軸線方向Lと平行に延びる出力軸27が取り付けられている。モータユニット2が支持板31にネジ止め固定されると、支持板31に設けられた貫通部を通り、出力軸27が開閉口4の縁に沿った位置に突出するようになっている。
【0035】
(モータユニットのケース内における部品配置)
ここで、モータユニット2のケース本体23内における駆動力伝達機構22等の部品配置は、上述したように、ケース本体23の一方の側面23dに沿ってスライダー25を往復移動させるように配置し、この側面23dに対向する他方の側面23fとスライダー25との間のスペースを利用して他の部品を配置するようになっている。すなわち、スライダー25には、その移動方向Yの一端にレバー26を係合させる係合孔59が設けられ、レバー26の揺動中心26aは、スライダー25から側面23f側に離して配置されている。つまり、側面23fとスライダー25との間のスペースの一端側に、レバー26の揺動中心26aが配置されている。一方、側面23fとスライダー25との間のスペースの他端側には、減速歯車列24を構成する歯車部材の一部が配置されている。そして、減速歯車列24とレバー26との間のスペースは、側面23fの端子取り出し部60からカム部48に向けて延びる可動切片61、62の配置スペースとして利用されている。
【0036】
このように、本形態では、ケース本体23内において、スライダー25に対して、その移動方向Yと直交する方向Zに離れた位置にレバー26の揺動中心26aを配置し、更に、スライダー25に対して、揺動中心26aと同じ側に可動切片61、62および減速歯車列24の一部をこの順で並べて配置することで、ケース本体23内のデッドスペースを少なくし、モータユニット2を従来よりも小型化している。
【0037】
また、本形態では、スライダー25とレバー26との係合部、および、スライダー25と欠歯車部47との係合部は、欠歯車部47を備える5番車45の軸線方向L(すなわち、支持板31に対して垂直な方向)の位置が少なくとも部分的に重なるように構成されている。具体的には、スライダー25とレバー26との係合部である係合孔59と、スライダー25と欠歯車部47との係合部である第1、第2のラック部54、55は、少なくとも一部が軸線方向Lに重なり合うように配置され、且つ、欠歯車部47についても、少なくとも一部がこれらと軸線方向Lに重なり合うように配置されている。このような配置により、これらの部材の軸線方向Lの配置スペースを小さくできる。従って、モータユニット2のケース2Aを偏平な形状にすることができ、ダンパー装置1の小型化に有利である。
【0038】
また、本形態では、軸線方向Lにおいて、支持板31側からスライダー25、減速歯車列24、カム部48、可動切片61、62、モータ21の順で設けられている。このような配置により、ダンパー装置1をダクト等に取り付ける場合、可動切片61、62を支持板31から離して配置することができる。従って、可動切片61、62の端部に設けられた端子a、bに接続される配線がダクト等と位置的に干渉しにくく、配線の自由度が向上する。また、モータユニット2を軸線方向Lに薄型化しやすい。
【0039】
(ダンパー装置の動作)
図6はダンパー装置1の動作を示す説明図であり、(a)〜(d)はバッフル5および駆動力伝達機構22の状態を示し、(a1)〜(d1)はスイッチAの状態(裏側から見た可動切片61、62とカム部48の状態)を示している。ダンパー装置1のモータ21を駆動すると、その出力回転によって減速歯車列24の出力側の端部に設けられた5番車45がに回転し、5番車45に設けられた欠歯車部47およびカム部48が
図6に示すCCW方向(反時計回り方向)に回転する。また、
図7は欠歯車部47およびカム部48が1回転する間のバッフル5およびスイッチAの状態変化を示すタイミングチャートであり、横軸は欠歯車部47およびカム部48の回転位置を示す。
【0040】
図6(a)は、バッフル5が
図2において実線で示す開位置5Bまで移動した直後の駆動力伝達機構22の状態(
図7のタイミングチャートにおける回転位置T1の状態)である。この状態では、欠歯車部47の歯部47aが第1のラック部54の歯部54b、54c、54dから離脱し、スライダー25は、その移動範囲の一端25B(欠歯車部47の回転中心に最も近づいた位置)に移動している。また、レバー26は揺動範囲の一端26Bに移動している。
【0041】
図6(a)の状態から、欠歯車部47がCCW方向に回転すると、欠歯車部47の歯部47aが第2のラック部55の歯部55a、55b、55cと噛み合い始めるまでは、スライダー25を移動させることなく欠歯車部47のみが回転する。すなわち、欠歯車部47の歯部47aが第1のラック部54の歯部54b、54c、54dから離脱した後、第2のラック部55の歯部55a、55b、55cと噛み合うまでの回転区間(
図7の回転位置T1からT2までの区間)において、レバー26は揺動範囲の一端26Bから動かず、バッフル5は開位置5Bから動かない(
図6(b)参照)。
【0042】
一方、スイッチAは、バッフル5が開位置5Bに停止している区間において、カム部48の回転に伴って一定時間t1(
図7の回転位置T3からT4までの回転時間)だけOFF状態からON状態に切り換わる。
図6(a1)はバッフル5が開位置5BでスイッチAがON状態に切り換わった状態(
図7の回転位置T3とT4の間の状態)を示し、
図6(b1)はバッフル5が開位置5BでスイッチAがOFF状態に切り換わった状態(
図7の回転位置T4とT2の間の状態)を示している。
【0043】
図7の回転位置T2から、更に欠歯車部47がCCW方向に回転すると、欠歯車部47の歯部47aが第2のラック部55の歯部55a、55b、55cに噛み合って、第2のラック部55に駆動力を伝達する。このとき、歯部47aは、第1のラック部54とは噛み合っていないため、
図6(c)に示すように、欠歯車部47の回転によってスライダー25が移動方向Yの一方側に移動する。これに伴い、レバー26が時計回り方向CWに回転して、バッフル5は開位置5Bから閉位置5Aに向けて移動し始める。
図7の回転位置T5に到達すると、欠歯車部47の歯部47aが第2のラック部55の歯部55a、55b、55cから離脱するため、スライダー25が移動範囲の他端25A(欠歯車部47の回転中心から最も離れた位置:
図6(d)参照)で停止する。これにより、レバー26が揺動範囲の他端26A(
図6(d)参照)で停止し、バッフル5は閉位置5Aで停止する。
【0044】
回転位置T5において欠歯車部47と第2のラック部55との噛み合いが外れた後、
図7の回転位置T0において欠歯車部47の歯部47aと第1のラック部54の歯部54a、54c、54dと再び噛み合い始めるまでは、
図6(d)に示すように、スライダー25は移動せず、欠歯車部47のみがCCW方向に回転する。従って、この回転区間(
図7の回転位置T5からT0までの区間)では、レバー26は揺動範囲の他端26Aから動かず、バッフル5は閉位置5Aから動かない。
【0045】
そして、スイッチAは、バッフル5が閉位置5Aに停止している区間において、カム部48の回転に伴って一定時間t2(
図7の回転位置T6から回転位置T7まで回転する時間)だけOFF状態からON状態に切り換わるように構成されている。
図6(c1)はバッフル5が閉じる途中でスイッチAがON状態に切り換わった状態(
図7の回転位置T6とT7の間の状態)を示し、
図6(d1)はバッフル5が閉じた状態でスイッチAがOFF状態に切り換わった状態(
図7の回転位置T7とT0の間の状態)を示している。
【0046】
このように、スイッチAは、バッフルが開位置5Bに移動すると、短時間t1だけON状態に切り換わり、バッフルが閉位置5Aに移動するときは、t1よりも長い時間t2だけON状態に切り換わる。従って、スイッチAのON時間の長短に基づいてバッフル5の開閉状態を検出して、モータ21の駆動を制御することができる。
【0047】
図8は、欠歯車部47によるスライダー25のロック状態を示す説明図である。バッフル5が開位置5Bのとき、
図8(a)に示すように、欠歯車部47の係合部47bが、移動範囲の一端25Bにあるスライダー25の第2のラック部55の第2歯部55bと連結部53の内周面との間に係合して、スライダー25の移動方向Yへの移動を阻止した状態が形成される。このとき、第2のラック部55の第3歯部55cは、軸線方向Lに見たとき薄板状の第1係合部47bと重なっている。また、バッフル5が閉位置5Aのとき、
図8(b)に示すように、移動範囲の他端25Aにあるスライダー25における第1のラック部54の第1歯部54aと第3歯部54cとの間に欠歯車部47の係合部47bが係合して、スライダー25の移動方向Yへの移動を阻止した状態が形成される。このとき、第1のラック部54の第2歯部54bは、軸線方向Lに見たとき薄板状の第2係合部47cと重なっている。
【0048】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のダンパー装置1は、モータ21の一方の方向の回転に基づいてスライダー25を往復移動させ、これに基づいてレバー26を正逆方向に揺動させている。従って、バッフル5を開閉するためにモータ21の回転方向を切り換える必要がなく、制御回路の構成を単純にすることができる。また、スライダー25によって揺動するレバー26を介して、スライダー25の移動方向Yと直交する方向に延びる出力軸27を回転させてバッフル5を駆動できる。このため、開閉口4が設けられた枠体3にモータユニット2のケース2Aを固定するにあたって、開閉口4における冷気等の気流の通過方向Xから見た場合のモータユニット2の投影面積を小さくでき、ダンパー装置1を全体としてコンパクトな形状にすることができる。更に、モータユニット2のケース2A内において、スライダー25の脇にレバー26の揺動中心26aを配置したことによるデッドスペースを可動切片61、62等の配置スペースとして利用できる。従って、ケース2Aの外形を小さくできる。よって、ダンパー装置1の小型化に有利であり、狭いスペースへの設置に有利である。
【0049】
また、本形態では、スライダー25に平行な2本の腕部51、52が設けられ、腕部51、52に設けられた第1、第2のラック部54、55の間に欠歯車部47が配置されている。このように、欠歯車部47の両側に平行な2本の腕部51、52を配置することにより、スライダー25の傾きを抑制できる。また、ケース2A内にはガイドリブ56a、58aおよびリブ57a、57bが形成され、これらによって支持された状態で、スライダー25が往復移動する。従って、スライダー25の姿勢変化を抑制でき、バッフル5の駆動精度の低下を抑制できる。
【0050】
更に、本形態では、欠歯車部47にスライダー25と係合する係合部47bが形成されており、欠歯車部47の回転を停止することで、スライダー25の移動を機械的に阻止することができる。従って、バッフル5を開位置5Bおよび閉位置5Aに保持でき、バッフル5に設けられたクッション材5bからの反力などの力が加わったとしても、ダンパー装置1を開状態および閉状態に維持できる。