【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 電気通信回線を通じて、平成25年7月1日(掲載日)に、以下の掲載アドレスのウエブサイトに発明を発表した。 http://tohnichi.jp/product/detail/024.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
弧状の第1ばね部および第2ばね部を左右対称に配置してリング状をなすように形成し、前記第1ばね部および前記第2ばね部の先端部を自由端として互いに重なり合う重なり合い部を形成する付勢部を有し、前記ロックボタンは、前記付勢部の前記重なり合い部と反対側に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のトルクレンチ。
弧状の第1ばね部および第2ばね部を左右対称に配置してリング状をなすように形成し、前記第1ばね部および前記第2ばね部の先端部を自由端として互いに重なり合う重なり合い部を形成する付勢部を有し、
前記ストッパー部は、前記リング状の付勢部の内側に配置したことを特徴とする請求項2に記載のトルクレンチ。
【背景技術】
【0002】
一般に、トルクレンチには、トグル機構等で構成されるトルクリミッターが設けられ、締め付けトルクが設定トルク値に達すると、トルクリミッターが作動し、急激に締め付け力が軽くなったことを操作者が感知してそれ以上の締め付け操作を停止する。これにより、ボルトなどの締結体が設定トルク値で締め付けられることになる。
【0003】
トルクレンチには、設定トルク値を操作者が変更できる構成のもの(以下、プレセット型トルクレンチと称す)がある(特許文献1)。このプレセット型トルクレンチにおいて、設定トルク値の変更操作は、トルクレンチのレバー後端部に臨む設定トルク値調整部材に、例えば六角レンチ等の調整治具を装着し、設定トルク値表示部を確認しながらこの治具を回転操作することで行われる。
【0004】
一方、トルク値が大きなもの、例えば500Nを超えるようなトルクレンチにおいては、レバーの長さが必然的に長くなり、例えば1m〜2mといった長さになる。このため、保管の容易性や持ち運びの容易性等から、トルクレンチ本体部の本体レバーに対し、延長レバーを取り外し可能に接続する2分割構造のものが提案されている。
【0005】
このようなレバーを2分割構造としたトルクレンチにおいて、延長レバーはねじ込み式のロック手段によりトルクレンチ本体部の本体レバーに接続固定される方式が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、長くて重いトルクレンチ本体部の本体レバーのねじ部に対し、重さのある延長レバーのねじ部をねじ込むのは面倒な作業となる。
【0008】
本発明の目的は、このような課題を解決するためになされたもので、操作が簡単で確実に延長レバーをトルクレンチ本体部にロックできるロック装置を備えたトルクレンチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の課題を解決するトルクレンチの構成は、中空形状のレバー部の先端部にヘッド部を配置したトルクレンチ本体部と、前記レバー部の後端部に取り外し可能に接続される中空形状の延長レバーと、前記レバー部の内部に配置されており、トルクリミッターの設定トルク値を調整する設定トルク値調整部材と、前記延長レバーの内部に配置されており、前記設定トルク値調整部材の後端部と連結されるハンドル部と、前記延長レバーを前記レバー部に対して差し込み嵌合によりロックするロック装置と、を備える。
前記ハンドル部は、直線状とクランク状とに形状変更可能であり、前記直線状の形状状態で前記延長レバー内に収納可能とし、前記クランク状の形状状態で前記設定トルク値調整部材を回転可能とする。前記ロック装置は、前記レバー部の後端部側の内部に配置され、前記レバー部の周壁に形成したロックボタン孔に没入する没入位置と、前記没入位置から外方に向けてばね付勢されて突出する突出位置との間を移動可能とするロックボタンと、前記延長レバーを前記レバー部の所定位置に差し込み嵌合した状態で前記ロックボタンと重なる位置に形成されたロックボタン係合孔と、を有し、前記ロックボタンは前記突出位置で前記ロックボタン係合孔に入り込むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、延長レバーをトルクレンチ本体部のレバー後端部に押し込み、ロックボタンを押し込みながらさらに延長レバーを所定位置まで押し込むという簡単な操作で、延長レバーをトルクレンチ本体部に確実に接続することができる。
【0011】
本発明によれば、ワンタッチ操作でロック装置によるロック解除で延長レバーを取り外すと、直ぐにハンドル部による設定トルク値の変更操作が行える。
【0012】
請求項
2に係る発明によれば、ロックボタンを強く押し込んでも没入位置を超えて押し込まれ、ロックボタン孔から脱落するおそれがない。
【0013】
請求項
3に係る発明によれば、ロックボタンをスムーズに付勢することができる。
【0014】
請求項
4に係る発明によれば、確実にロックボタンを没入位置に停止させることができる。
【0015】
請求項
5に係る発明によれば、ストッパー部を軸受部材に兼用させることができ、コンパクト化が図れる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明によるトルクレンチの実施形態を示す平面図で、(a)はトルクレンチ本体部から延長レバーを取り外した状態、(b)はトルクレンチ本体部、設定トルク値調整用の手回しハンドル部、延長レバーの分解状態を示す図。
図2はトルクレンチ全体の断面図で、(a)は延長レバーをトルクレンチ本体部に差し込み嵌合する前の状態、(b)は延長レバーをトルクレンチ本体部に差し込み嵌合した状態を示す。
【0019】
図1及び
図2において、本実施形態のプレセット型トルクレンチ(以下、単にトルクレンチとする)1は、トルクレンチ本体部10、延長レバー30、手回しハンドル部50およびロック装置80とを有する。本実施形態のトルクレンチ1は、例えば500N〜2100Nをトルク調整範囲とし、全長が例えば1950mm、トルクレンチ本体部10の全長を1160mmとしている。勿論、本発明はこのサイズのトルクレンチに限定されるものではなく、これよりも大きなサイズにも、また小さなサイズにも適用されることはいうまでもないことである。なお、
図2において、手回しハンドル部50の構成を省略している。
【0020】
トルクレンチ本体部10は、中空の筒形状に形成された第1レバー部11と、ヘッド部12と、ヘッド部12を第1レバー部11の先端側で回転自在に軸支する支持軸13とを有する。また、トルクレンチ本体部10は、例えばトグル機構からなるトグル部14と設定トルク値調整部15から構成されるトルクリミッター16を有する。さらに、トルクレンチ本体部10には、ロック装置80の係合部81が配置される。第1レバー部11の後端部は、外径がD1の第1差し込み部111に形成されている。
【0021】
ヘッド部12は、ヘッド本体部121と、ヘッド本体部121から後方に延びるヘッドレバー部122を有し、ヘッドレバー部122が第1レバー部11内にその先端部側から挿入される。
【0022】
トグル部14は、第1レバー部11の軸方向に移動するスラスター141と、ヘッドレバー部122の後端部との間に、前記軸方向に対してトグルリンク部材(不図示)を連結した構成としている。
【0023】
設定トルク値調整部15は、前記軸方向に移動可能な第1ばねシート151と、軸形状に形成され、外周面にねじ山が切られた設定トルク値調整ねじ部材(以下、単に調整ねじロッドと称す)152と、調整ねじロッド152に螺合する第2ばねシート153と、第1ばねシート151と第2ばねシート153との間に配置されたトルク値設定ばね154と、調整ねじロッド152を前記軸方向への移動を規制し、軸周りの回転を許容するスラスト軸受155を有する。また、第2ばねシート153の一部にトルク値を示す目盛(不図示)が表示され、第1レバー11の周壁部に形成した主目盛用表示窓112、副目盛用表示窓114を通して目視による前記目盛の確認を可能としている。第1ばねシート151には、スラスター141の後端が当接する。
【0024】
ヘッド本体部121の角軸部124に不図示のソケットを装着し、このソケットに不図示の締結部材、例えばボルトを係合させた状態で延長レバー30を握って手前側に引き、ボルトを中心にトルクレンチ1を回転させてねじ締めを行う。そして、設定トルク値に達するとトルクリミッター16が作動する。トルクリミッター16は、ヘッド部12に対して第1レバー11が回転すると、前記トグルリンクが前記軸線に対して傾斜角が緩やかになるように動くので、スラスター141がトルク値設定ばね154のばね力に抗して移動することで作動する。
【0025】
設定トルク値は、調整ねじロッド152を回転して第2ばねシート153を前方に移動させるに従って高い値に設定することができる。調整ねじロッド152の後端部は、例えば角軸に形成された係合軸部156に形成され、手回しハンドル部50の後述する係合穴部61がこの係合軸部156に係合する。
【0026】
延長レバー30は、中空の筒形状に形成された第2レバー部31と、第2レバー部31の先端部に設けた内径がD2の第2差し込み部32を有する。第2差し込み部32の内径D2は、第1差し込み部111の外形よりも若干大径に形成され、第2差し込み部32が第1差し込み部111にガタなく所定の差し込み位置まで差し込まれて嵌合する。
【0027】
第2差し込み部32には、副目盛用のぞき窓33と、係合部81の後述するロックボタン82が係合するロックボタン係合孔34が形成されている。延長レバー30の第2差し込み部32をトルクレンチ本体部10の第1差し込み部111に差し込み、所定位置まで差し込むと、ロックボタン82がロックボタン係合孔34に係合し、延長レバー30がトルクレンチ本体部10から抜けることなく差し込み嵌合される。なお、係合部81の構成は後述する。
【0028】
図3は手回しハンドル部50を示し、
図4はロック装置80と手回しハンドル部50の分解斜視図を示す。
図3において、(a)は分解した状態を示し、(b)は直線状に延ばした状態、(c)は折り曲げて手回し可能な状態を示す。
【0029】
手回しハンドル部50は、中間ハンドル軸51と、先端ハンドル軸52と、基部ハンドル軸53と、パイプ状のグリップ部54と、基部ハンドル軸53を回転自在に軸支するハンドル軸受部55を有する。グリップ部54は、先端ハンドル軸52に回転自在に外装される。先端ハンドル軸52の先端には、C型止め輪52aが装着され、グリップ部54が先端ハンドル軸52からの抜けを防止する。
【0030】
中間ハンドル軸51は、両端部に断面コ字形状の第1、第2溝部56、57が
図3(a)において左右対称に形成されている。中間ハンドル軸51の先端側の第1溝部56には先端ハンドル軸52のほぞ部58が差し込まれ、先端ハンドル軸52が支軸59を中心に中間ハンドル軸51に回転自在に連結される。なお、ほぞ部58は支軸59を中心として±90度の範囲で回転可能とする。
【0031】
中間ハンドル軸51の基端側の溝部57には、基部ハンドル軸53のほぞ部60が差し込まれる。基部ハンドル軸53は、先端側の軸内部に係合穴部61が形成された第1軸部62、第1軸部62とほぞ部60との間に形成された第2軸部63を有する。第1軸部62は第2軸部63よりも大径に形成され、その境目に段部64が形成される。
【0032】
ハンドル軸受部55は、第1軸部62が軸支される内径部55aと、内径部55aに形成した内フランジ部65を有し、段部64が内フランジ部65に当接することにより、基部ハンドル軸53が軸方向後方(延長レバー30側)に向けて抜け出るのを防止する。
【0033】
基部ハンドル軸53のほぞ部60は、ハンドル軸受部55の内径部55aを貫通して外部に抜け出ており、中間ハンドル軸51の第2溝部57に嵌合する。この嵌合状態で、第2溝部57の両側に配置される支持壁部66に形成されたピン孔67と、ほぞ部60のピン孔68とを通して支軸69を差し込むことにより、中間ハンドル軸51が基部ハンドル軸53に連結される。中間ハンドル軸51は、基部ハンドル軸53に対し、支軸69を中心に±90度回転可能である。支軸69は、貫通端部側のピン孔70に抜け止めピン71を差し込むことにより、支軸69の抜けが防止される。
【0034】
本実施形態において、手回しハンドル部50はハンドル軸受部55を組み付けた状態で第1レバー部11にその後端側から内部に装入される。その際、基部ハンドル軸53の角穴形状の係合穴部61が調整ねじロッド152の係合軸部156に係合するようにして装入する。
【0035】
ハンドル軸受部55は、後端側の外周部にフランジ部72が形成され、前端側(ヘッド本体部121側)に所定の外径D3を有するストッパー軸部73が形成され、さらに、ストッパー軸部73とフランジ部72との間に、外周面にねじ溝が切られたねじ部74が形成されている。このねじ部74は、第1レバー部11の後端部の内周面に形成されたハンドル軸受用ねじ部に螺合する。また、フランジ部72は、円盤形状の外周の一部を切り欠いて平坦な端縁部72aを軸心を中心対称に形成している。したがって、ハンドル軸受部55のねじ部74を前記ハンドル軸受用ねじ部に螺合して所定位置まで螺進する際、端縁部72aを利用して締め付けすることができる。
【0036】
図5は、ハンドル軸受部55を第1レバー部11内の所定位置に固定した状態を示し、手回しハンドル部50は、基部ハンドル軸53と中間ハンドル軸51と先端ハンドル軸52が前記軸心に沿って一列に並んだ連結状態を示す。この一列連結状態の手回しハンドル部50は、延長レバー30をトルクレンチ本体部10に差し込み嵌合する際、延長レバー30内に収納される。その際、グリップ部54の外周にリング状突部54aを設けることにより、延長レバー30の内周面にリング状突部54aが当接し、トルクレンチの使用時あるいは持ち運びの際等に、グリップ部54がガタつくのを防止することができる。
【0037】
そして、設定トルク値を変更する場合には、
図7(a)(b)に示すように、延長レバー30をトルクレンチ本体部10から取り外し、
図7(b)に示すように、手回しハンドル部50を一列連結状態から、
図7(c)に示すクランク形状に折り、ハンドルとして機能できるようにする。この状態で、グリップ部54を手で握り、時計回り方向あるいは反時計回り方向に回転することにより、設定トルク値の変更が可能となる。設定トルク値の変更作業が終了すると、手回しハンドル部50を一列連結状態に戻し、延長レバー30をトルクレンチ本体部10に差し込み嵌合することで、再びねじ締め作業が行える。また、ねじ締め作業を行わない場合、あるいは持ち運びの際には、延長レバー30をトルクレンチ本体部10から取り外す。これにより、使用時には長いトルクレンチであっても、場所をとらずに保管や運搬を行える。
【0038】
本実施形態において、延長レバー30をトルクレンチ本体部10に対し、差し込み嵌合方式のロック装置80により取り外し可能に接続している。
【0039】
本実施形態のロック装置80は、トルクレンチ本体部10側に配置した係合部81と、延長レバー30側に配置した被係合部であるロックボタン係合孔34により構成している。
【0040】
係合部81は、第1レバー部11の後端部側で、ハンドル軸受部55のストッパー軸部73の位置に配置される。係合部81は、板ばねにより開いたループ状を形成した付勢部83と、付勢部83に取り付けた円柱形状のロックボタン82とを有する。付勢部83は、
図4および
図8(c)に示すように、例えば1枚の帯形状に形成された板ばねをC字形状に折り曲げた構成とし、弧状をなす第1ばね部84と、弧状をなす第2ばね部85を有する。第1ばね部84と第2ばね部85の先端は自由端とし、先端部同士が互いに摺動して重なり合う重なり部86を設けるようにしている。
【0041】
このような構成の付勢部83は、第1ばね部84と第2ばね部85とにより形成される円環部の内径が広がる方向に付勢力が作用し、重なり部86と反対側の部分を作用点としてロックボタン82を取り付けている。また、前記円環部の内側に向けてロックボタン82を押すと、これらの付勢力に抗して前記円環部の内径が小さくなる。その際、重なり部86の第1ばね部84と第2ばね部85が互いに摺動する。このため、付勢部83がなす円環は安定した収縮が行われる。
【0042】
本実施形態において、付勢部83の円環部の内側に、ハンドル軸受部55のストッパー軸部73が位置する。したがって、付勢部83はその円環部がストッパー軸部73に当接するまでその内径が収縮する(以下、最小径位置という)。また、付勢部83はその円環部が第1レバー部11の内周壁面に当接するまでその付勢力で内径が大きくなる(以下、最大径位置という)。
【0043】
第1レバー部11の周壁部には、ロックボタン82が装入されるロックボタン孔113が形成される。前記付勢部83の最大径位置において、ロックボタン82はロックボタン孔113を貫通し、前記ロックボタン係合孔34に係合する。また、前記付勢部83の最小径位置において、ロックボタン82は、ロックボタン係合孔34から退避し、かつロックボタン孔113内に没入する。この没入操作を作業者が指でロックボタン82を押し込むことで行える。
【0044】
次に、
図5、
図6及び
図8を参照して、ロック装置80のロック動作を説明する。
【0045】
延長レバー30が第1レバー11から取り外された状態を示す
図5は
図8(a)に対応し、延長レバー30が第1レバー11に差し込み嵌合した状態を示す
図6は
図8(b)に対応する。
図8(c)に示す付勢部83は、ストッパー軸部73の軸方向前後に形成されたガイド部73a、73bによりガイドされ、軸方向へのずれが防止される。
【0046】
付勢部83は、ハンドル軸受部55を第1レバー11内に装着する前に、その円環部を縮めて第1レバー11の第1差し込み部111側の内部に装入する。ロックボタン82がロックボタン孔113まで達すると、
図8(d)に示すように、ロックボタン82がロックボタン孔113に入り込んで貫通する。ロックボタン82の基部外径はロックボタン孔113の内径よりも大径に形成しているので、ロックボタン82の基部がロックボタン孔113と係合してそれ以上径方向外方に向けて突出することが防止される。
【0047】
次いで、ハンドル軸受部55を第1差し込み部111の内部にねじ込み、さらにフランジ部72が第1レバー11の後端面に当接するまでねじ込む。このねじ込み状態で、ハンドル軸受55のストッパー軸部73が付勢部83の円環部内に位置する。
【0048】
このように構成したロック装置80は、作業者の手の指でロックボタン82を押し込むと、ロックボタン82はロックボタン孔113内に没入する。そこで、延長レバー30の第2差し込み部32を第1差し込み部111に差し込んで押し込み、延長レバー30の先端縁がロックボタン82に当接した状態でロックボタン82をロックボタン孔113に没入させながら延長レバー30をさらに押し込むと、
図8(e)に示すように、第2差し込み部32の内側にロックボタン82が入り込む。
【0049】
そして、さらに延長レバー30を差し込み、第2差し込み部32のロックボタン係合孔34がロックボタン82の真上に達すると、
図8(f)に示すように、ロックボタン82が付勢部83の付勢力でロックボタン係合孔34内に入り込み、延長レバー30がトルクレンチ本体部10に係合し、軸方向の移動および軸回りの回転が規制され、
図8(b)に示すように、延長レバー30がトルクレンチ本体部10に一体に連結される。
【0050】
また、
図8(b)に示す延長レバー30がトルクレンチ本体部10に一体に連結された状態を解除し、
図8(a)に示すように取り外すには、ロックボタン係合孔34内のロックボタン82を作業者の手の指で押し込み、付勢部83の円環部がハンドル軸受部55のストッパー軸部73に当接すると、ロックボタン82とロックボタン係合孔34との係合が解除され、この状態で延長レバー30を引けば、延長レバー30をトルクレンチ本体部10から取り外すことができる。
【0051】
本実施形態によれば、トルクレンチ本体部10に対して延長レバー30が装着された状態において、2間接リンク構造の手回しハンドル部50が直線状に延びた状態で延長レバー30内に収納されている。このため、設定トルク値を変更する際に、延長レバー30を取り外すと、手回しハンドル部50が現れるので、手回しハンドル部50をクランク状に折り曲げることで手回しハンドルが組み上がり、ハンドルを手で回せば容易に設定トルク値の変更が行える。その際、手回しハンドル部50はトルクレンチ本体部部10に一体に組み付けられているので、紛失の恐れもない。
【0052】
上記した実施形態において、ヘッド12は、支持軸13を支点として第1レバー部11と相対的に回動可能としているが、このような形式に限定されることはなく、角軸の周りにカム部を設け、トルク値設定ばねのばね力が伝達されるローラを前記カム部に当接させ、設定トルク値までボルトなどの締結部材を締め付けると、前記カム部が前記ローラを前記トルク値設定ばねのばね力に抗して移動させ、前記カム部のカム頂部が前記ローラを乗り越える構成であっても良く、この場合にはヘッド部はレバー部と固定された構造としている。
【0053】
上記した実施形態では、ハンドル軸受部55にストッパー軸部73を設け、ロックボタン82を押し込んだ際に、付勢部83の円環部がこのストッパー軸部73に当接することで収縮する最小径を制限し、ロックボタン82がロックボタン孔113から内側に抜け落ちるのを防止している。しかし、手回しハンドル部50を一体に第1レバー部11に設けない場合には、ストッパー軸部73に代わり、同等のストッパー機能を有するストッパー部材を設けることができる。その際、調整ねじロッド152の係合軸部156に対し、別体のハンドル部材が係合できるような貫通孔を前記ストッパー部材に設ける。
【0054】
上記した実施形態において、ロック装置80の係合部81は、円環状の付勢部83にロックボタン82を取り付けた構成としている。しかし、本発明はこのロック装置80の構成に限定されるものではない。