特許第6261258号(P6261258)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6261258透明導電性支持体、タッチセンサ、およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261258
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】透明導電性支持体、タッチセンサ、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20180104BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   H05K9/00 V
   H05K3/18 D
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-199399(P2013-199399)
(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公開番号】特開2015-65376(P2015-65376A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2016年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231361
【氏名又は名称】NISSHA株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森 富士男
(72)【発明者】
【氏名】嶋 浩孝
(72)【発明者】
【氏名】今井 健司
【審査官】 久松 和之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−53424(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/051516(WO,A1)
【文献】 特開2003−23236(JP,A)
【文献】 特開2001−85821(JP,A)
【文献】 特開2014−150118(JP,A)
【文献】 特開平9−18118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/18
H05K 3/24
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明支持体の表面に第1導電性膜層を形成する工程と、
前記第1導電性膜層の上にレジスト層を形成する工程と、
前記レジスト層を露光現像して前記第1導電性膜層の一部が露出した溝を形成する工程と、
前記溝の側面を微細な凹凸状にする工程と、
露出した第1導電性膜層の上のみに第2導電性膜層を形成する工程と、
前記レジスト層を全て剥離して第1導電性膜層を露出する工程と、
露出した第1導電性膜層をエッチングにより除去する工程とを備えた、透明導電性支持体の製造方法。
【請求項2】
透明支持体の表面に第1導電性膜層を形成する工程と、
前記第1導電性膜層の上にレジスト層を形成する工程と、
前記レジスト層を露光現像して引き回し回路パターンと微細な線状パターンとからなる溝を形成し前記第1導電性膜層の一部を露出する工程と、
前記線状パターンの溝の側面を微細な凹凸状にする工程と、
露出した第1導電性膜層の上のみに第2導電性膜層を形成する工程と、
前記レジスト層を全て剥離して第1導電性膜層を露出する工程と、
露出した第1導電性膜層をエッチングにより除去する工程とを備えた、タッチセンサの製造方法。
【請求項3】
前記溝の断面形状を楔状または湾曲状にする工程をさらに含む、請求項1に記載の透明導電性支持体の製造方法。
【請求項4】
前記溝の断面形状を楔状または湾曲状にする工程をさらに含む、請求項2に記載のタッチセンサの製造方法。
【請求項5】
透明支持体と、
前記透明支持体の表面に形成された第1導電性膜層と、
前記第1導電性膜層の上に並列に接して形成されたレジスト層と第2導電性膜層とを備え、
前記レジスト層と前記第2導電性膜層とが接している面が微細な凹凸状である、支持体。
【請求項6】
前記第2導電性膜層の断面形状が楔状または湾曲状である、請求項5に記載の支持体。
【請求項7】
前記レジスト層に微細な微粒子が含有された、請求項5または請求項6に記載の支持体。
【請求項8】
前記第2導電性膜層が微細な線状パターンに形成された、請求項5〜7のいずれかに記載の支持体。
【請求項9】
前記第2導電性膜層の上に前記第2導電性膜層よりも耐食性に優れたメッキ層が積層されている、請求項5〜8のいずれかに記載の透明導電性支持体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサ、液晶や有機EL用のディスプレイ前面板等の用途に適用可能な透明導電性支持体の製造方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ITOフィルムにとって代わる透明導電性支持体やタッチセンサとして、金属メッシュパターンからなる透明電極を使用するする試みがなされている。下記特許文献1の発明は、電磁波遮蔽用シートの発明であるが、金属層を透明基材上に形成した後に、金属層面へレジスト層をメッシュパターン状に設け、次いでレジスト層で覆われていない部分の金属層をエッチングにより除去した後に、レジスト層を除去する所謂フォトリソグラフイ法でメッシュパターンを形成する製造方法を開示している。
【0003】
そして、この特許文献1に記載の電磁波遮蔽用シートの製造方法は、メッシュ状に形成した金属層が銅であり、さらに金属層の表面及び側面に銅−コバルト合金粒子からなる黒化処理層を設け、金属層の光沢を抑制して透明性を維持し、ディスプレイ用前面板の用途に使用している。
【0004】
【特許文献1】特許4346607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1の発明は、形成した金属層の99.9%以上をエッチングにより除去廃棄することになるので、金属材料の浪費および高騰の原因になっていた。また、黒化処理層を設ける際にも希少金属であるコバルト合金を使用するので金属資源の枯渇の原因になっていた。そして、黒化処理には時間がかかるので、生産性が低い問題もあった。
【0006】
さらに、黒化処理層は金属層の光沢は抑えられるが、金属層の側面にも形成するので導電性が殆ど向上しないにもかかわらず、金属層の線幅が太くなり、太くなった分だけパターン見えが生じやすくなる。太くなるのを抑えるために粒径の細かい銅−コバルト合金粒子を用いれば金属層の光沢抑制効果が低下する。また、金属層全体に均一に形成されるわけでなく、メッシュパターンの交差した箇所に偏って形成されてしまう問題があった。したがって本発明は、エッチングによる除去廃棄の量を少なくし、黒化処理層を設けることなく金属層の光沢を抑制して透明性を維持できる透明導電性支持体の製造方法などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1実施態様は、微細な線状パターンからなり、第一導電性膜層と第二導電性膜層との積層金属膜で構成される透明導電性支持体の製造方法であって、透明支持体の表面に第一導電性膜層を形成し、該第一導電性膜層上に厚膜のレジスト層を形成して、該レジスト層を露光現像して前記第一導電性膜層の一部が露出した前記微細な線状パターンからなる溝を形成し、該露出した溝の第一導電性膜層上のみに厚膜の第二導電性膜層を電解メッキにより形成した後、前記レジスト層を全て剥離して前記レジスト層の下に形成されていた第一導電性膜層のみの層を露出させ、該露出した第一導電性膜層の層をエッチングにより除去して前記積層金属膜以外の箇所を透明化することを特徴とする透明導電性支持体の製造方法である。
【0008】
本発明の第2実施態様は、引き回し回路および微細な線状パターンからなる透明導電膜が、第一導電性膜層と第二導電性膜層の積層金属膜で構成されるタッチセンサの製造方法であって、透明支持体の表面に第一導電性膜層を形成し、該第一導電性膜層上に厚膜のレジスト層を形成して、該レジスト層を露光現像して前記第一導電性膜層の一部が露出した前記引き回し回路パターンおよび前記微細な線状パターンからなる溝を形成し、該露出した溝の第一導電性膜層上のみに厚膜の第二導電性膜層を電解メッキにより形成した後、前記レジスト層を全て剥離して前記レジスト層の下に形成されていた第一導電性膜層のみの層を露出させ、該露出した第一導電性膜層の層をエッチングにより除去して前記積層金属膜以外の箇所を透明化することを特徴とするタッチセンサの製造方法である。
【0009】
本発明の第3実施態様は、前記第1実施態様の透明導電性支持体の製造方法において、第二導電性膜層が電解メッキ膜であり、さらに該第二導電性膜層上に第二導電性膜よりも耐食性に優れたメッキ膜を形成した後、前記レジスト層を全て剥離して前記レジスト層の下部に形成されていた第一導電性膜層のみの層を露出させ、該露出した第一導電性膜層の層をエッチングにより除去して前記積層金属膜以外の箇所を透明化することを特徴とする透明導電性支持体の製造方法である。
【0010】
本発明の第4実施態様は、前記第2実施態様のタッチセンサの製造方法において、第二導電性膜層が電解メッキ膜であり、さらに該第二導電性膜層上に第二導電性膜よりも耐食性に優れたメッキ膜を形成した後、前記レジスト層を全て剥離して前記レジスト層の下部に形成されていた第一導電性膜層のみの層を露出させ、該露出した第一導電性膜層の層をエッチングにより除去して前記積層金属膜以外の箇所を透明化することを特徴とするタッチセンサの製造方法である。
【0011】
本発明の第5実施態様は、前記第1実施態様または第3実施態様の透明導電性支持体の製造方法において、露光現像して形成される線状パターンの溝の断面形状を楔状または湾曲状にすることを特徴とする透明導電性支持体の製造方法である。
【0012】
本発明の第6実施態様は、前記第2実施態様または第4実施態様のタッチセンサの製造方法において、露光現像して形成される線状パターンの溝および引き回し回路部の溝の断面形状を楔状または湾曲状にすることを特徴とするタッチセンサの製造方法である。
【0013】
本発明の第7実施態様は、前記第1実施態様または第3実施態様の透明導電性支持体の製造方法において、露光現像して形成される線状パターンの溝の側面を微細な凹凸状にすることを特徴とする透明導電性支持体の製造方法である。
【0014】
本発明の第8実施態様は、前記第2実施態様または第4実施態様のタッチセンサの製造方法において、露光現像して形成される線状パターンの溝の側面および引き回し回路部の溝の側面を微細な凹凸状にすることを特徴とするタッチセンサの製造方法である。
【0015】
本発明の第9実施態様は、前記第6実施態様の透明導電性支持体の製造方法において、レジスト層に微細な微粒子が含有され、該微粒子の存在によって露光現像して形成される線状パターンの溝の側面を微細な凹凸状にすることを特徴とする透明導電性支持体の製造方法である。
【0016】
本発明の第10実施態様は、前記第8実施態様のタッチセンサの製造方法において、レジスト層に微細な微粒子が含有され、該微粒子の存在によって露光現像して形成される線状パターンの溝の側面および引き回し回路部の溝の側面を微細な凹凸状にすることを特徴とするタッチセンサの製造方法である。
【0017】
本発明の第11実施態様は、透明支持体の表面に微細な線状パターンが形成された透明導電性支持体であって、該微細な線状パターンが第一導電性膜層と電解メッキで形成される第二導電性膜層との積層金属膜で構成されていることを特徴とする透明導電性支持体である。
【0018】
本発明の第12実施態様は、透明支持体の表面に微細な線状パターンが形成されたタッチセンサであって、該微細な線状パターンが第一導電性膜層と電解メッキで形成される第二導電性膜層との積層金属膜で構成されていることを特徴とするタッチセンサである。
【0019】
本発明の第13実施態様は、第11実施態様の電解メッキで形成される第二導電性膜層の上に第二導電性膜層よりも耐食性に優れたメッキ層が積層されていることを特徴とする透明導電性支持体である。
【0020】
本発明の第14実施態様は、第12実施態様の電解メッキで形成される第二導電性膜層の上に第二導電性膜層よりも耐食性に優れたメッキ層が積層されていることを特徴とするタッチセンサである。
【0021】
本発明の第15実施態様は、第13実施態様の電解メッキで形成される第二導電性膜層の断面形状が楔状または湾曲状になっていることを特徴とする透明導電性支持体である。
【0022】
本発明の第16実施態様は、第14実施態様の電解メッキで形成される第二導電性膜層の断面形状が楔状または湾曲状になっていることを特徴とするタッチセンサである。
【0023】
本発明の第17実施態様は、第11実施態様または第13実施態様の電解メッキで形成される第二導電性膜層の側面が凹凸形状になっていることを特徴とする透明導電性支持体である。
【0024】
本発明の第18実施態様は、第12実施態様または第14実施態様の電解メッキで形成される第二導電性膜層の側面が凹凸形状になっていることを特徴とするタッチセンサである。
【発明の効果】
【0025】
本発明の第1実施態様の透明導電性支持体の製造方法は、第一導電性膜層の一部が露出した前記微細な線状パターンからなる溝を形成し、該露出した溝の第一導電性膜層上のみに厚膜の第二導電性膜層を電解メッキにより形成することを特徴とするので、本発明の第11実施態様のような透明導電性支持体を製造することができる。したがって、電解メッキに使用される金属材料の消費量が必要最低限で済む効果がある。また、エッチングにより除去するのはレジスト層の下に形成されていた薄膜の第一導電性膜層が大部分であるので、除去される金属材料の廃棄量も少なくて済む効果がある。したがって、環境に優しくかつコストパフォーマンスにも優れた透明導電性支持体を製造することができる。
【0026】
本発明の第2実施態様のタッチセンサの製造方法は、透明導電膜の部分とともに引き回し回路の部分も同時に形成することを特徴とするので、本発明の第12実施態様のようなタッチセンサを製造することができる。したがって、工程が短縮され、透明導電膜のパターンと引き回し回路のパターンとの位置合わせが不要になるので、生産性が大幅に向上しコストダウンができる効果がある。また、第一導電性膜層と厚膜の第二導電性膜層の積層金属膜で構成されるため電気抵抗値が低くなり、応答感度に優れたタッチセンサになる効果がある。
【0027】
本発明の第3実施態様の透明導電性支持体の製造方法または第4実施態様のタッチセンサの製造方法は、第二導電性膜層が電解メッキ膜であり、さらに該第二導電性膜層上に第二導電性膜よりも耐食性に優れたメッキ膜を形成して、本発明の第13実施態様のような透明導電性支持体または第14実施態様のようなタッチセンサを製造することを特徴とする。したがって、該メッキ膜によって第二導電性膜層が覆われ、第二導電性膜層表面の腐食を防止できる効果がある。第二導電性膜層表面の光沢が抑制されるため、該光沢によって視認されていた微細な線状パターンからなる透明導電膜のパターン見えを軽減できる効果がある。また、該メッキ膜には第二導電性膜層上のみに形成されるので、該メッキ膜の材料の使用量も少なくて済み、かつ第二導電性膜層の側面には形成されないので透明導電膜の微細な線状パターンの線幅は該メッキ膜より太くならない。よって、透明導電膜の微細な線状パターンの開口率はそのまま維持され、透明性に優れた透明導電膜およびタッチセンサを製造できる効果がある。
【0028】
本発明の第5実施態様の透明導電性支持体の製造方法または第6実施態様のタッチセンサの製造方法は、露光現像して形成される線状パターンの溝の断面形状を楔状または湾曲状にすることを特徴とする。したがって、該製造方法によって形成される第二導電性膜層はその側面が第15実施態様の透明導電性支持体または第16実施態様のタッチセンサのような隠される形状になるため、該第二導電性膜層の側面が光沢を有していても、該光沢が視認されにくいため、微細な線状パターンからなる透明導電膜のパターン見えを軽減できる効果がある。
【0029】
本発明の第7実施態様の透明導電性支持体の製造方法または第8実施態様のタッチセンサの製造方法は、露光現像して形成される線状パターンの溝の側面が微細な凹凸状になっていることを特徴とする。したがって、該製造方法によって形成される第二導電性膜層はその側面が第17実施態様の透明導電性支持体または第18実施態様のタッチセンサのような微細な凹凸状になり、該微細な凹凸によって該側面の光沢も抑制されるため、該側面の光沢によって視認されていた微細な線状パターンからなる透明導電膜のパターン見えをさらに軽減できる効果がある。
【0030】
本発明の第9実施態様の透明導電性支持体の製造方法および第10実施態様のタッチセンサの製造方法は、レジスト層に微細な微粒子が含有され、該微粒子の存在によって露光現像して形成される線状パターンの溝の側面が微細な凹凸状になることを特徴とする。したがって、容易に線状パターンの溝の側面を微細な凹凸状にすることができ、生産性が向上する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】第1実施態様にかかる製造方法の全工程例を示す断面図である。
図2】第2実施態様にかかる製造方法によって製造されたタッチセンサの断面図である。
図3】第3実施態様にかかる製造方法の一部を示す製造工程断面図である。
図4A図3の積層金属膜を拡大した断面図である。
図4B図3の積層金属膜を拡大した断面図である。
図5A】第7実施態様にかかる製造方法の一部を示す製造工程断面図である。
図5B】第7実施態様にかかる製造方法の一部を示す製造工程断面図である。
図6A】第7実施態様にかかる製造方法の一部を示す製造工程断面図である。
図6B】第7実施態様にかかる製造方法の一部を示す製造工程断面図である。
図7図5の微細な凹凸形状のプロファイル例を示した図である。
図8図6の微細な凹凸形状のプロファイル例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳述する。しかし、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0033】
図1は本発明の第1実施態様の透明導電性支持体の製造方法の全工程例を示す断面図である。図1に示すように、透明導電性支持体の製造方法は、透明支持体40の表面に第一導電性膜層10を形成し(図1(a))、第一導電性膜層10上に厚膜のレジスト層50を形成する(図1(b))。次に、レジスト層50を露光現像して第一導電性膜層10の一部が露出した微細な線状パターンからなる溝1を形成し(図1(c))、露出した溝1の第一導電性膜層10上のみに厚膜の第二導電性膜層20を電解メッキにより形成する(図1(d))。そして、レジスト層50を全て剥離して前記レジスト層50の下に形成されていた第一導電性膜層10の層を露出させ(図1(e))、露出した第一導電性膜層10の層をエッチングにより除去して積層金属膜30以外の箇所を透明化する(図1(f))。
【0034】
この製造方法により得られる透明導電性支持体400は透明支持体40の表面に透明導電膜が形成されており、透明導電膜は微細な線状パターンからなり少なくとも第一導電性膜層10と第二導電性膜層20との積層金属膜30で構成されている。なお、透明導電膜の微細な線状パターンとしては、線幅0.5〜10μmで、線間が線幅の10倍〜1000倍のメッシュ状またはハニカム状パターンなどが挙げられる。
【0035】
図2は、本発明の第2実施態様のタッチセンサの製造方法によって製造されたタッチセンサ300の例を示す断面図である。図2に示すように、引き回し回路200および微細な線状パターンからなる透明導電膜100が、第一導電性膜層10と第二導電性膜層20の積層金属膜30で構成されている。
【0036】
図3は、本発明の第三実施態様の透明導電性支持体の製造方法の工程例の一部を示す断面図である。図3に示すように、本発明の第三実施態様では、露出した溝1の第一導電性膜層10上のみに厚膜の電解メッキ膜からなる第二導電性膜層20を形成した後(図3(a))、さらに第二導電性膜層20上に第二導電性膜層20よりも耐食性に優れたメッキ層25が形成する(図3(b))。したがって、この製造方法により得られる透明導電膜は微細な線状パターンからなり、第一導電性膜層10と第二導電性膜層20と耐食性に優れたメッキ層25との積層金属膜で構成されている。
【0037】
図4A図4Bは、図3(b)で形成された積層金属膜30を拡大した断面図である。図4A図4Bに示すように、積層金属膜30は、露光現像して線状パターンの溝1を形成する工程において露光時間を長めにしたり、第一導電性膜層10のエッチング時間を長めにしたりして、第二導電性膜層20の断面が楔状または湾曲状にえぐられた形状33になっている。積層金属膜30が、上記の形状33のように構成されることにより、第二導電性膜層20の側面は第二導電性膜層20よりも耐食性に優れたメッキ層25によって覆い隠されるので、透明導電膜の微細な線状パターンの線幅は太くならず、また第二導電性膜層20の側面が光沢を有していても、その光沢は外部から視認されにくくなるため、微細な線状パターンのパターン見えが軽減されるものとなっている。
【0038】
図5A図5B図6A図6Bは、本発明の第七実施態様の透明導電性支持体の製造方法の工程例の一部を示す断面図である。図5A図6Aに示すように、第七実施態様の製造方法では、レジスト層50に微細な微粒子55が含有されている。図5B図6Bに示すように、上記微粒子55の存在によって露光現像して形成される線状パターンの溝1の側面が微細な凹凸形状11になっており、それによって上記の製造方法で製造される第二導電性膜層20の側面は光沢が抑えられた艶消し状態になり、微細な線状パターンのパターン見えが軽減されている。
【0039】
図7は、図5の微細な凹凸形状11のプロファイル例を示した図であり、図8は、図6の微細な凹凸形状11のプロファイル例を示した図である。図7図8に示すように、基準点51はレジスト層50の表面と溝1の交点51とする。横軸は基準点から溝1の深さ方向の距離を,縦軸は各深さでの側面の位置を示している。プラス側は基準点より外側にはみ出た状態,マイナス側は基準点より凹んだ状態を示している。
【0040】
上記製造方法において、露光は、所定のパターンマスクを取り付け、その上から紫外線などの露光光線を照射するとよい。通常の露光では、ネガ型のレジスト層を使用して露光光線を長く照射しすぎると露光光線が回り込んで硬化し現像後のレジスト層の断面形状が逆楔型のような台形形状になってしまうので良くないとされるが、本発明では故意にレジスト層の断面形状をそのような逆楔型の形状にして、それに伴って第二導電性膜層の断面形状を楔状の形状に製造することができ、断面形状が楔状の形状になれば第二導電性膜層の側面に光沢があっても、該光沢が外部から視認されず、微細な線状パターンのパターン見えが軽減されるようになっている。
【0041】
エッチングは、第一導電性膜層が金属膜、導電性金属酸化物膜、金属含有導電性コーティング膜などの場合は、塩化第二鉄エッチング液や硫酸・過酸化水素エッチング液などを用いたウエットエッチング法を用い、有機導電性コーティング膜などの場合はフッ素系ガスなどを用いたドライエッチング法を用いるとよい。透明化する第一導電性膜層をエッチングをすると、それのみならず第二導電性膜層の側面もエッチングされ第二導電性膜層の断面は湾曲状にえぐられた形状になるが、該湾曲状の形状は前記の楔状の形状と同様に、第二導電性膜層の側面に光沢があっても、該光沢が外部から視認されにくい形状になり、微細な線状パターンのパターン見えが軽減される。
【0042】
なお異方性エッチングの場合は、第二導電性膜層の側面はエッチングされず、第二導電性膜層の側面は湾曲状にえぐられた形状にならないため、側面の光沢を抑制するためには第二導電性膜層の断面形状を前記の楔状の形状のようにするか、第二導電性膜層の側面を艶消し状態にする必要がある。第二導電性膜層の側面を艶消し状態にするためには、レジスト層に微細な微粒子を含有させるなどして溝の側面を微細な凹凸形状に形成しておく必要がある。
【0043】
透明支持体は、熱可塑性樹脂、熱や紫外線や電子線や放射線などで硬化する硬化性樹脂のほか、ガラス、セラミックス、無機材などからなる。透明な熱可塑性樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等のビニル系樹脂、ニトロセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリジメチルシクロヘキサンテレフタレート、芳香族ポリエステル等のエステル系樹脂、ABS樹脂、これらの樹脂の共重合体樹脂、これらの樹脂の混合樹脂が挙げられる。透明な硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂が挙げられる。
【0044】
第一導電性膜層は、無電解メッキによって形成される銀、銅などの金属膜のほか、真空蒸着やスパッタリングによって形成されるアルミニウムや銅などの金属膜、酸化チタンなどの導電性金属酸化物膜、金属ナノワイヤや金属粒子などを含有する金属含有導電性コーティング膜、カーボンナノチューブや導電性ポリマー、導電性カーボンペーストなどの有機導電性コーティング膜などからなる。その中でも、第二導電性膜層との密着性や電解メッキおよびエッチング除去の効率性を考慮すると、無電解メッキによって形成される金属膜がとくに好ましい。膜厚は0.03〜3μmの範囲が好ましい。
【0045】
第二導電性膜層は、電解メッキによって形成される銀、銅などの金属膜からなる。その中でも、電解メッキの効率性や材料の汎用性およびコストを考慮すると、銅の電解メッキ膜がとくに好ましい。銅の電解メッキ膜は硫酸銅や青化銅などのメッキ液に浸漬して形成する。膜厚は第一導電性膜層の膜厚の3〜100倍の範囲が好ましい。該膜厚が第一導電性膜層の膜厚の3倍未満であると、第一導電性膜層をエッチング除去する際に第二導電性膜層の側面の形状が必要以上に湾曲状にえぐられて、抵抗値が高くなるだけでなく層自体の強度が低下して破損しやすくなる。一方、該膜厚が第一導電性膜層の膜厚の100倍を超えると、第一導電性膜層をエッチング除去する際に第二導電性膜層の側面が湾曲状にならなくなり、第二導電性膜層の側面の光沢が目立って透明導電膜のパターン見えを軽減しにくくなる場合がある。
【0046】
メッキ膜は、電解メッキまたは無電解メッキのいずれで形成しても構わないが、第二導電性膜層よりも耐食性に優れていることが必要であり、着色や彩度が少なく、光沢の少ないマット調の膜に形成するのが好ましい。そのようなメッキ膜の例としては、ニッケルメッキ膜、スズメッキ膜、ロジウムメッキ膜、パラジウムメッキ膜、銅−スズ−亜鉛の合金メッキ膜などが挙げられる。
【0047】
レジスト層は、露光光線が当たった箇所が分解し現像液に溶けて除去されるポジ型、露光光線が当たった箇所が重合により現像液に溶けなくなり露光光線が当たらなかった箇所を除去するネガ型のいずれでも構わない。しかしネガ型のレジスト層は、前述したように露光光線を長く照射することにより溝の断面形状を逆楔型のような台形形状にすることができ、最終的に微細な線状パターンのパターン見えを軽減できるメリットがあるので、ネガ型のレジストの方が好ましい。
【0048】
レジスト層の材質としては、オレフィン系、ビニル系、アクリル系、ウレタン系、スチレン系、セルロース系、ポリエステル系、エポキシ系、アルキッド系などの単体樹脂およびこれらの樹脂の混合樹脂や共重合体樹脂などが挙げられる。とくに、ウレタンアクリレート系樹脂やシアノアクリレート系樹脂が好ましい。膜厚は5〜200μm程度で適宜設定するとよい。形成方法は汎用の各種印刷方法のほかコーターや塗装、ディッピングなどが挙げられる。
【0049】
レジスト層に含有される微細な微粒子は、オレフィン系、ビニル系、アクリル系、ウレタン系、スチレン系、セルロース系、ポリエステル系、エポキシ系、アルキッド系などの硬化または未硬化の樹脂微粒子、アルミナ・酸化亜鉛・酸化チタン、酸化ケイ素などの無機微粒子などが挙げられる。これらの微細な微粒子は、現像工程における現像液によって溶解してレジスト層の側面を凹凸形状に形成するタイプであってもよいし、現像液によっても溶解せずレジスト層内に残存したままでレジスト層の側面を凹凸形状に形成するタイプであってもよい。
【0050】
溝の側面の微細な凹凸形状は、最終的に第二導電性膜層の側面が艶消し状態にさえ成るようにできればいずれの凹凸形状であっても構わないが、数値的には図7図8のプロファイルにおいて算術平均粗さRaが0.3〜2μm程度になるのが好ましい。そのためには微細な微粒子の平均粒子径は0.1〜5μm程度のものが好ましく、この範囲外であると凹凸形状が細かすぎ又は粗すぎて最終的に第二導電性膜層の側面に光沢が発現して、透明導電膜のパターン見えを軽減しにくくなる場合がある。なお、微細な微粒子の形状としては球状・鱗片状などが挙げられる。
【0051】
なお、第一導電性膜層をエッチング除去して得た透明導電性支持体やタッチセンサは、透明支持体に対し積層金属膜を凸部とする厚みの段差が生じており、また第二導電性膜層の側面はそのままでは電解メッキ膜がむきだしの錆び易い状態になっているため、該段差を少なくして平坦化しかつ該第二導電性膜層の側面の防錆目的として、直ちに積層金属膜が形成されていない凹部に透明の樹脂層などを充填しておく方が好ましい。
【符号の説明】
【0052】
1 線状パターンの溝
10 第一導電性膜層
11 微細な凹凸形状
20 第二導電性膜層
25 メッキ層
30 積層金属膜
32 第二導電性膜層側面断面の楔状の形状
33 第二導電性膜層側面断面の湾曲状の形状
40 透明支持体
50 レジスト層
51 基準点
55 微粒子
100 透明導電膜
200 引き回し回路
300 タッチセンサ
400 透明導電性支持体
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8