特許第6261303号(P6261303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261303
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/00 20180101AFI20180104BHJP
   F21S 43/00 20180101ALI20180104BHJP
   F21S 45/00 20180101ALI20180104BHJP
   F21V 29/76 20150101ALI20180104BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20180104BHJP
   F21W 104/00 20180101ALN20180104BHJP
   F21W 105/00 20180101ALN20180104BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20180104BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20180104BHJP
   F21Y 115/20 20160101ALN20180104BHJP
【FI】
   F21S8/10 141
   F21V29/76
   F21S8/10 151
   F21W101:10
   F21Y115:10
   F21Y115:20
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-247016(P2013-247016)
(22)【出願日】2013年11月29日
(65)【公開番号】特開2015-106465(P2015-106465A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2016年10月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】弘中 将太
(72)【発明者】
【氏名】藤田 侑佑
(72)【発明者】
【氏名】駒野 健二
【審査官】 鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−034789(JP,A)
【文献】 特開2012−230834(JP,A)
【文献】 特開平04−004502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空を有し、前側及び後ろ側が開口した非可撓性ハウジングと、
前記非可撓性ハウジングの後部に取り付けられ、前記非可撓性ハウジングの中空の後ろ側に通じる中空を有し、後ろ側が開口した可撓性ハウジングと、
前記非可撓性ハウジングの前側開口を閉塞する透明なアウターレンズと、
前記非可撓性ハウジングに揺動可能に取り付けられ、前記可撓性ハウジング内に嵌め込まれた取付部と、
前記非可撓性ハウジング、前記可撓性ハウジング及び前記アウターレンズによって囲われた灯室内に収容され、前記取付部の前面に取り付けられた発光モジュールと、
前記発光モジュールの前に配置され、前記取付部に固定され、前記灯室内に収容された投影レンズと、
前記取付部の後面に設けられ、前記可撓性ハウジングの外に露出する放熱フィンと、
を備え
前記可撓性ハウジングは、前記非可撓性ハウジングの後部に嵌め込まれた前部と、前記非可撓性ハウジングの後端から後方へ延出する後部とを有し、
前記発光モジュールは、前記可撓性ハウジングの後部の中空内に収容されている、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記取付部は、前方へ凸状の台座部を有し、
前記発光モジュールは、前記台座部の前面に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記非可撓性ハウジングの後部の外周面が前記可撓性ハウジングの内周面に密接し、
前記可撓性ハウジングの内周面に周方向に沿って設けられ、前記非可撓性ハウジングの後部の外周面に圧接されたシール部を更に備える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記可撓性ハウジングと一体となるよう前記可撓性ハウジングの内周面に周方向に沿って形成され、前記取付部の前面又は後面に当接するガスケット部と、
前記取付部に締結され、前記取付部との間に前記ガスケット部を挟み込む固定具と、を更に備える、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光軸調整機能を有しつつ、放熱効率の高い車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、LEDモジュール(23)、リフレクタ(25)、投影レンズ(30)及びヒートシンク(26)がブラケット(18)に組み付けられることによって、これらからなる灯具ユニット(10)が構成される。この灯具ユニット(10)は、ランプボディ(12)及びカバー(14)によって囲われた灯室(16)内に収容されている。また、ブラケット(18)がランプボディ(12)の内側に取り付けられたエイミングスクリュー(21,22)に連結され、エイミングスクリュー(21,22)を回転させることによって灯具ユニット(10)を傾かせ、その光軸を調整する。また、灯室(16)内にはファン(28)が設けられ、ファン(28)によって強制対流を発生させ、ヒートシンク(26)の放熱効率を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−230834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の技術では、ヒートシンク(26)が灯室(16)内に収容されているから、たとえファン(28)があったとしても、放熱効率の向上には限界がある。ヒートシンク(26)を灯室(16)の外に配置しようとすると、灯具ユニット(10)が傾動するようになっているため、灯室(16)の密閉性を確保するためには何かしらかの工夫・創作が必要である。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、光軸調整機能を有しつつ、放熱効率の高い車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題の解決するべく、本発明に係る車両用灯具は、中空を有し、前側及び後ろ側が開口した非可撓性ハウジングと、前記非可撓性ハウジングの後部に取り付けられ、前記非可撓性ハウジングの中空の後ろ側に通じる中空を有し、後ろ側が開口した可撓性ハウジングと、前記非可撓性ハウジングの前側開口を閉塞する透明なアウターレンズと、前記非可撓性ハウジングに揺動可能に取り付けられ、前記可撓性ハウジング内に嵌め込まれた取付部と、前記非可撓性ハウジング、前記可撓性ハウジング及び前記アウターレンズによって囲われた灯室内に収容され、前記取付部の前面に取り付けられた発光モジュールと、前記発光モジュールの前に配置され、前記取付部に固定され、前記灯室内に収容された投影レンズと、前記取付部の後面に設けられ、前記可撓性ハウジングの外に露出する放熱フィンと、を備え、前記可撓性ハウジングは、前記非可撓性ハウジングの後部に嵌め込まれた前部と、前記非可撓性ハウジングの後端から後方へ延出する後部とを有し、前記発光モジュールは、前記可撓性ハウジングの後部の中空内に収容されている。
【0006】
好ましくは、前記取付部は、前方へ凸状の台座部を有し、前記発光モジュールは、前記台座部の前面に取り付けられている。
【0007】
好ましくは、前記非可撓性ハウジングの後部の外周面が前記可撓性ハウジングの内周面に密接し、前記車両用灯具が、前記可撓性ハウジングの内周面に周方向に沿って設けられ、前記非可撓性ハウジングの後部の外周面に圧接されたシール部を更に備える。
【0008】
好ましくは、前記車両用灯具が、前記可撓性ハウジングと一体となるよう前記可撓性ハウジングの内周面に周方向に沿って形成され、前記取付部の前面又は後面に当接するガスケット部と、前記取付部に締結され、前記取付部との間に前記ガスケット部を挟み込む固定具と、を更に備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、発光モジュールから発した熱が取付部及び放熱フィンを通じて可撓性ハウジングの外側に放熱される。放熱フィンが可撓性ハウジングの外側に露出するので、放熱効率が高くなる。
取付部が可撓性ハウジング内に嵌め込まれているので、灯室の密閉性を密閉することができる。そして、可撓性ハウジングだからこそ、取付部が非可撓性ハウジングに対して動かそうとすると可撓性ハウジングが変形するため、取付部を揺動させることができる。これにより、光軸の傾きを調整することができる。
取付部に投影レンズ及び発光モジュールが取り付けられているから、取付部、投影レンズ及び発光モジュールが一体的に動き、投影レンズによって投影される光の色合いや配光の崩れ・変化等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】車両用灯具の斜視図である。
図2】前記車両用灯具の斜視図である。
図3】前記車両用灯具の分解斜視図である。
図4】前記車両用灯具の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための形態に係る車両用灯具について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用灯具1をその斜め前から見て示した斜視図である。図2は、この車両用灯具1をその斜め後ろから見て示した斜視図である。図3は、車両用灯具1の分解斜視図である。図4は、車両用灯具1の断面図である。図4に示す断面は、車両用灯具1の光軸Axを通って水平面に直交する。
【0013】
この車両用灯具1は、フォグランプ、ヘッドランプ又はコーナーリングランプ等として利用される。この車両用灯具1は、発光モジュール10、回路基板20、ヒートシンク30、投影レンズ40、遮光板45、非可撓性ハウジング50、アウターレンズ55、可撓性ハウジング60及び調整機構部70等を備える。
【0014】
発光モジュール10は発光素子11、パッケージ12及び端子13等を有し、発光素子11及び端子13がパッケージ12に取り付けられている。発光素子11は発光ダイオード、有機発光ダイオード(有機エレクトロルミネッセンス素子)、無機エレクトロルミネッセンス素子その他の半導体発光素子である。
【0015】
この発光モジュール10は端子13及びリード線等によって回路基板20に接続されている。回路基板20は正面から見て発光モジュール10の上下及び左を囲うように発光モジュール10の周囲に配置されている。この回路基板20に各種の電気素子(例えば、ダイオード、抵抗器、コンデンサ、トランジスタ、ICチップ等)が実装されて、回路が回路基板20に設けられている。回路基板20に設けられる回路は、例えば発光モジュール10の発光素子11を駆動したり、その発光素子11を保護したりするものである。
【0016】
発光モジュール10は、熱伝導率の高い材料(例えば金属)からなるヒートシンク30に取り付けられている。このヒートシンク30は台座部32、取付板(取付部)31及び複数の放熱フィン33等を有する。取付板31が円形状の金属板である。台座部32が取付板31の前面に凸状に設けられている。複数の放熱フィン33は取付板31の後面に立てられた状態に設けられており、これら放熱フィン33は取付板31の後面から後方へ突出する。これら放熱フィン33は隣同士の間に隙間をおいて配列されている。
【0017】
発光モジュール10は複数の締結部材(例えば、ネジ、リベット、止めピン等)15によって台座部32の前面に締結されている。発光モジュール10が台座部32に取り付けられた状態では、発光素子11が前方に向けられており、発光素子11から前方に延びる光軸Axが設定される。
【0018】
回路基板20は複数の締結部材(例えば、ネジ、リベット、止めピン等)21によって台座部32の周囲において取付板31に取り付けられている。具体的には、締結部材21は、回路基板20の前から回路基板20の穴に通され、取付板31の前面に凸状に設けられたボス34に締結されている。
【0019】
回路基板20(特に回路基板20に設けられた回路)には複数本のリード線22が接続されており、それらリード線22が取付板31を前後に貫通した貫通孔35に通されている。リード線22の中途部にはシール部材23が外装され、そのシール部材23が貫通孔35に嵌め込まれて、リード線22と貫通孔35の内周面の隙間がシール部材23によって塞がれている。
【0020】
ヒートシンク30の前面には投影レンズ40及び遮光板45が次のように固定されている。
投影レンズ40の周縁部には支持部41が設けられ、支持部41と投影レンズ40が一体に形成されている。一方、取付板31の前面には、ボス36が凸状に設けられている。そして、遮光板45が投影レンズ40の後ろに配置されているとともにボス36と支持部41との間に挟まれ、複数の締結部材(例えば、ネジ、リベット、止めピン等)42によって支持部41と遮光板45がボス36に共締めされている。
【0021】
この遮光板45の中央部には透光穴46が形成され、発光素子11が透光穴46の後ろに配置され、光軸Axが透光穴46を通る。発光素子11によって放射状に発せられる光のうち投影レンズ40の周縁の外側に向かう余分な光は遮光板45によって遮光され、投影レンズ40の周縁の内側に向かう光は透光穴46を通過する。透光穴46を通過した光は投影レンズ40によって前方に投影される。投影レンズ40によって投影される光の配光はフォグランプ、すれ違い用ヘッドランプ、走行用ヘッドランプ又はコーナーリングランプ等の規格を満たす。この車両用灯具1単体でそれらの規格を満たすか、又はこの車両用灯具1と他の灯具を組み合わせてそれらの規格を満たす。
【0022】
以上のように発光モジュール10、回路基板20、ヒートシンク30、投影レンズ40及び遮光板45が一体に組み付けられ、これらによって一体の灯具ユニットが構成される。この灯具ユニットが非可撓性ハウジング50に対して相対的に上下に揺動可能に設けられ、灯具ユニットの光軸Axを上下に振ることによって灯具ユニットの光軸Axの向きを調整することができる。
【0023】
非可撓性ハウジング50は中空を有する筒状(より具体的には、円筒状)に形成されており、非可撓性ハウジング50の中心軸線が前後方向に延在する。
非可撓性ハウジング50の前端と後端が開口し、非可撓性ハウジング50の中空が前側及び後ろ側において開放される。非可撓性ハウジング50の前端にアウターレンズ55が取り付けられ、非可撓性ハウジング50の前側開口がアウターレンズ55によって閉塞されている。このアウターレンズ55は透明であって、光を素通しするものである。
非可撓性ハウジング50の内側にはエクステンション51が設けられ、非可撓性ハウジング50の中空がエクステンション51によってエクステンション51よりも前側の領域と後ろ側の領域に仕切られている。エクステンション51の中央部には、開口52が形成されており、投影レンズ40がこの開口52内に収まる。
【0024】
この非可撓性ハウジング50にはヒートシンク30が次のようにして上下に揺動可能に取り付けられている。ヒートシンク30の取付板31の前面の左右両側には、軸止め部37がそれぞれ形成されている。軸止め部37の側面には、雌ねじ38が形成されている。一方、非可撓性ハウジング50の左右側面には軸受部53(図3では、片方の軸受部53が見えて、もう片方の軸受部53が非可撓性ハウジング50によって隠れている)がそれぞれ形成されており、軸受部53には軸孔54が左右に貫通するように形成されている。そして、段付きねじ39が軸受部53の側方から軸孔54に通されて雌ねじ38に締め付けられている。段付きねじ39がヒートシンク30の上下揺動の中心軸となり、その中心軸が左右に延在し、段付きねじ39のラジアル荷重が軸受部53に受けられるとともに、段付きねじ39の頭部のアキシアル荷重が軸受部53に受けられる。なお、ヒートシンク30が取付板31の前にある中心軸を中心にして上下揺動可能となって非可撓性ハウジング50に取り付けられているのであれば、その構造は軸止め部37、軸受部53及び段付きねじ39に限るものではない。
【0025】
非可撓性ハウジング50の後部に可撓性ハウジング60が取り付けられている。可撓性ハウジング60がゴム弾性材料(例えば、EPDM:エチレン・プロピレン・ジエンゴム)からなり、可撓性を有する。この可撓性ハウジング60は中空を有する筒状(より具体的には、円筒状)に形成されており、可撓性ハウジング60の中心軸線が前後方向に延在する。可撓性ハウジング60の前端と後端が開口し、可撓性ハウジング60の中空が前側及び後ろ側において開放される。
【0026】
可撓性ハウジング60の前部の内周面には複数の凸状シール部61が形成されており、それらシール部61が周方向に延在してリング状に設けられている。非可撓性ハウジング50の後部が可撓性ハウジング60の前側開口に嵌め込まれ、可撓性ハウジング60の後部が非可撓性ハウジング50の後端から後方へ延び出ている。これにより、可撓性ハウジング60の中空が非可撓性ハウジング50の中空の後ろ側に通じている。
【0027】
可撓性ハウジング60の前側開口が非可撓性ハウジング50によって僅かに拡径され、可撓性ハウジング60の弾性力によってシール部61が非可撓性ハウジング50の外周面に圧接されている。これにより、非可撓性ハウジング50の外周面と可撓性ハウジング60の内周面の隙間が密閉される。なお、シール部61の代わりにゴム製のOリング(シール部)が非可撓性ハウジング50の後部の外周面と可撓性ハウジング60の内周面との間に挟持されてもよい。
【0028】
以上のように可撓性ハウジング60及びアウターレンズ55が非可撓性ハウジング50に組み付けられることによって、非可撓性ハウジング50、可撓性ハウジング60及びアウターレンズ55によって囲われた灯室2がそれらの内側に形成される。
【0029】
灯具ユニットのうち発光モジュール10、回路基板20、投影レンズ40、遮光板45及び台座部32は灯室2内に収容されている。取付板31が可撓性ハウジング60の後ろ側開口に嵌め込まれてその後ろ側開口を閉塞し、複数の放熱フィン33が可撓性ハウジング60の外に配置されて露出する。可撓性ハウジング60の内周面の左右両側には凹部62がそれぞれ形成され、段付きねじ39の頭部が凹部62にそれぞれ収まっている。
【0030】
可撓性ハウジング60の内周面の後端にリング状のガスケット部63が周方向に沿って形成され、そのガスケット部63が可撓性ハウジング60の内周面から内側へ突出する。ガスケット部63は可撓性ハウジング60と一体成形されている。そのガスケット部63が取付板31の後面の周縁部とリング状の固定具65との間に挟まれ、その固定具65がネジ66によって取付板31に締結されている。これにより可撓性ハウジング60の後ろ側開口が密閉されている。
なお、ガスケット部63が取付板31の前面の周縁部に当接してもよい。その場合、リング状の固定具65が灯室2内からガスケット部63を取付板31との間に挟み込んで、取付板31に締結されている。
【0031】
続いて、調整機構部70について説明する。調整機構部70は、動力源(例えば、モーター)又は人力の動力を灯具ユニットに伝えて、その動力に係る回転運動を灯具ユニットの上下揺動に変換するものである。この調整機構部70はブラケット71、ナット73、ブラケット75、スクリュー77及び弾性部材79等を有する。
【0032】
ブラケット71はヒートシンク30の取付板31の後面に設けられて、その後面から後方に延出する。そのブラケット71が薄板状に設けられ、開口72がブラケット71の上面から下面に貫通するようそのブラケット71に形成され、上から見てブラケット71が枠状に形成されている。ナット73がブラケット71の下からブラケット71の開口に嵌め込まれ、ナット73の周面の下端に形成されたフランジ74がブラケット71の下面に引っ掛かっている。
【0033】
ブラケット75は非可撓性ハウジング50の下面に設けられて、その下面から下方に延出して、後方へ屈曲する。ブラケット75の後端部を通し孔76が上下に貫通し、その通し孔76がブラケット71の開口72の下に配置される。スクリュー77が遊びをもって通し孔76に通され、そのスクリュー77がナット73にねじ込まれている(螺合する)。スクリュー77の頭部78は摘みであり、その頭部78がブラケット75の下面に当接する。
【0034】
スクリュー77が弾性部材79に通され、その弾性部材79がスクリュー77の周囲に巻かれている。弾性部材79はナット73とブラケット75との間に挟まれて、圧縮されている。弾性部材79の弾性力によってナット73のフランジ74がブラケット71に下面に押し当てられている。
以上のように構成された調整機構部70は非可撓性ハウジング50及び可撓性ハウジング60の外に配置されている。
【0035】
スクリュー77を回転することによってナット73がブラケット75から離れるよう上昇し、これにより灯具ユニットの光軸Axが下に傾く。一方、スクリュー77を逆に回転することによってナット73がブラケット75に近づくように下降し、これにより灯具ユニットの光軸Axが上に傾く。弾性部材79はナット73とブラケット71を一体に組み付けるものであり、ナット73がブラケット71の開口72に差し込まれているため、灯具ユニットの光軸Axが傾く際にスクリュー77の軸が僅かに傾く。また、灯具ユニットの光軸Axが傾く際には、可撓性ハウジング60が灯具ユニットの傾動に追従して曲がる。
【0036】
以上の実施の形態によれば、以下のような効果を奏する。
(1) 放熱フィン33が非可撓性ハウジング50及び可撓性ハウジング60の外側にあるから、発光モジュール10から発した熱が台座部32、取付板31及び放熱フィン33を通じて外部に放熱される。そのため、発光モジュール10を効率よく冷却することができる。取付板31の後面も露出しているから、取付板31の後面から外部に放熱される。
【0037】
(2) 可撓性ハウジング60が可撓性であるからこそ、灯具ユニットの光軸Axの傾きによって可撓性ハウジング60を変形させることができつつ、可撓性ハウジング60及び非可撓性ハウジング50の内側に密閉空間を形成することができる。
【0038】
(3) 非可撓性ハウジング50が非可撓性・剛体であるので、非可撓性ハウジング50を車両に簡単に取り付けることができる。
【0039】
(4) 可撓性ハウジング60及び非可撓性ハウジング50を利用して、可撓性ハウジング60及び非可撓性ハウジング50の内側に密閉空間を形成することができる。そのため、外部の空気が可撓性ハウジング60及び非可撓性ハウジング50の内側の密閉空間に侵入して、その密閉空間の湿度が上昇することを防止することができる。その密閉空間が低湿度に維持されていれば、投影レンズ40及び非可撓性ハウジング50の曇りを防止することができる。
【0040】
(5) 可撓性ハウジング60の内周面のシール部61が非可撓性ハウジング50の外周面に圧接するため、気密性・止水性を確保することができる。ガスケット部63が取付板31の後面の周縁部とリング状の固定具65との間に挟持されるため、気密性・止水性を確保することができる。リード線22に設けられたシール部材23によっても気密性・止水性を確保することができる。
【0041】
(6) 調整機構部70が非可撓性ハウジング50及び可撓性ハウジング60の外側にあるから、非可撓性ハウジング50と可撓性ハウジング60を分解せずとも調整機構部70を操作することができる。非可撓性ハウジング50と可撓性ハウジング60を分解することによる空気の侵入を抑えつつ、灯具ユニットの光軸Axの傾きを調整することができる。
【0042】
(7) 灯具ユニットの光軸Axの傾きを調整する際には、投影レンズ40だけ又は発光モジュール10だけが動くのではなく、投影レンズ40と発光モジュール10と遮光板45が一体的に動く。そのため、光軸調整によって投射光の明部の位置が上下にずれるだけとなり、その投射光の色合い及び配光の崩れ・変化がない。
【符号の説明】
【0043】
1 車両用灯具
2 灯室
10 発光モジュール
31 取付板(取付部)
33 放熱フィン
40 投影レンズ
50 非可撓性ハウジング
55 アウターレンズ
60 可撓性ハウジング
62 シール部
63 ガスケット部
65 固定具
図1
図2
図3
図4