特許第6261311号(P6261311)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6261311通信システム、電子装置、通信方法及び通信プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261311
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】通信システム、電子装置、通信方法及び通信プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/48 20180101AFI20180104BHJP
   H04W 12/06 20090101ALI20180104BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20180104BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   H04W4/04 115
   H04W12/06
   H04W84/10 110
   H04M11/00 302
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-251658(P2013-251658)
(22)【出願日】2013年12月5日
(65)【公開番号】特開2015-109572(P2015-109572A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2016年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】三宅 隆
【審査官】 田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−222791(JP,A)
【文献】 特開2011−205547(JP,A)
【文献】 特表2008−530887(JP,A)
【文献】 特開2013−034147(JP,A)
【文献】 特開2011−026768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
H04L 12/28−12/955
B60R 16/00−17/02
H04M 11/00−11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末と、ユーザーに装着可能な通信装置と、前記携帯端末と接続可能な電子装置とを備えた通信システムであって、
前記通信装置は、
第1の通信方式により前記携帯端末とデータ通信を可能にする第1のデータ通信手段と、
前記第1のデータ通信手段を介して前記携帯端末の識別情報を取得する取得手段と、
第2の通信方式により前記電子装置とデータ通信を可能にする第2のデータ通信手段とを有し、
前記電子装置は、
前記第2のデータ通信手段を介して前記通信装置から前記携帯端末の前記第1の通信方式に従う識別情報を受信する受信手段と、
前記電子装置と無線通信可能な携帯端末を探索する探索手段と、
前記受信手段によって受信された前記第1の通信方式に従う識別情報に基づき前記探索手段によって探索された携帯端末を識別する識別手段と、
第3の通信方式により前記識別手段によって識別された携帯端末無線接続を可能にする接続手段と、を有し、
前記識別手段は、前記第3の通信方式が前記第1の通信方式と異なるとき、前記第1の通信方式に従う識別情報と前記第3の通信方式に従う識別情報との対応関係を規定する対応テーブルを参照して、前記第1の通信方式に従う識別情報に対応する前記第3の通信方式に従う識別情報を特定する、通信システム。
【請求項2】
前記電子装置はさらに、前記第2のデータ通信手段を介して前記携帯端末の識別情報の送信を要求する要求手段を含み、前記受信手段は、前記要求手段によって要求に基づいて送信された前記携帯端末の第1の通信方式に従う識別情報を受信する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記電子装置はさらに、識別された携帯端末を認証する認証手段を含み、前記接続手段は、前記認証手段による認証を条件に携帯端末を接続する、請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記第2のデータ通信手段は、近距離通信または人体通信である、請求項1ないし3いずれか1つに記載の通信システム。
【請求項5】
前記電子装置はさらに、接続された携帯端末を介してハンズフリー通話を行うハンズフリー通話手段を含む、請求項1ないしいずれか1つに記載の通信システム。
【請求項6】
第2の通信方式によりユーザーに装着可能な通信装置と接続され、第3の通信方式により携帯端末と接続可能な電子装置であって、
前記通信装置に接続され、前記通信装置に対応付けされた前記携帯端末の第1の通信方式に従う識別情報を受信する受信手段と、
前記電子装置と無線通信可能な携帯端末を探索する探索手段と、
前記受信手段によって受信された前記第1の通信方式に従う識別情報に基づき前記探索手段によって探索された携帯端末を識別する識別手段と、
前記第3の通信方式により前記識別手段によって識別された携帯端末無線接続を可能にする接続手段と、を有し、
前記識別手段は、前記第3の通信方式が前記第1の通信方式と異なるとき、前記第1の通信方式に従う識別情報と前記第3の通信方式に従う識別情報との対応関係を規定する対応テーブルを参照して、前記第1の通信方式に従う識別情報に対応する前記第3の通信方式に従う識別情報を特定する、電子装置。
【請求項7】
携帯端末と、ユーザーに装着可能な通信装置と、前記携帯端末と接続可能な電子装置とを備えた通信システムにおける携帯端末との通信方法であって、
第1の通信方式により前記携帯端末と前記通信装置とデータ通信を可能にするステップと、
前記通信装置において前記携帯端末の第1の通信方式に従う識別情報を取得するステップと、
前記通信装置で取得された前記携帯端末の第1の通信方式に従う識別情報を第2の通信方式により前記電子装置へ送信するステップと、
第3の通信方式により前記電子装置と無線通信可能な携帯端末を探索するステップと、
探索された携帯端末の中から前記第1の通信方式に従う識別情報に一致する携帯端末を識別するステップと、
第3の通信方式により識別された携帯端末と前記電子装置との無線接続を可能にするステップと、を有し、
前記識別するステップは、前記第3の通信方式が前記第1の通信方式と異なるとき、前記第1の通信方式に従う識別情報と前記第3の通信方式に従う識別情報との対応関係を規定する対応テーブルを参照して、前記第1の通信方式に従う識別情報に対応する前記第3の通信方式に従う識別情報を特定する、
る、通信方法。
【請求項8】
前記通信方法はさらに、識別された携帯端末を認証するステップを含む、請求項に記載の通信方法。
【請求項9】
前記通信方法はさらに、接続された携帯端末を介してハンズフリー通話を行うステップを含む、請求項またはに記載の通信方法。
【請求項10】
携帯端末と、ユーザーに装着可能な通信装置と、前記携帯端末と接続可能な電子装置とを備えた通信システムにおける通信プログラムであって、
前記通信装置において、
第1の通信方式により前記携帯端末とデータ通信を可能にし、前記携帯端末の第1の通信方式に従う識別情報を取得するステップと、
第2の通信方式により前記電子装置とデータ通信を可能にし、前記携帯端末の第1の通信方式に従う識別情報を前記電子装置に送信するステップとを有し、
前記電子装置は、
前記通信装置に前記携帯端末の識別情報を要求するステップと、
前記電子装置と無線通信可能な携帯端末を探索するステップと、
前記要求手段に応答して前記通信装置から送信された前記第1の通信方式に従う識別情報に基づき探索された携帯端末を識別するステップと、
第3の通信方式により識別された携帯端末を前記電子装置に無線接続させるステップと、を有し、
前記識別するステップは、前記第3の通信方式が前記第1の通信方式と異なるとき、前記第1の通信方式に従う識別情報と前記第3の通信方式に従う識別情報との対応関係を規定する対応テーブルを参照して、前記第1の通信方式に従う識別情報に対応する前記第3の通信方式に従う識別情報を特定する、通信プログラム。
【請求項11】
前記通信プログラムはさらに、識別された携帯端末を認証するステップを含む、請求項10に記載の通信プログラム。
【請求項12】
前記通信プログラムはさらに、接続された携帯端末を介してハンズフリー通話を行うステップを含む、請求項10または11に記載の通信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信可能なエリア内にある携帯端末を車載装置に接続するための通信システムに関し、特に、ユーザーに装着されたウエアラブルな通信装置を利用し、接続する携帯端末を識別しこれを認証する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
運転中に携帯電話により通話することが禁止され、これに伴いハンズフリー通話機能を搭載する車載機が普及している。つまり、ハンズフリー通話機能とは、運転者が携帯電話を手で持つことなく通話できる機能である。例えば、車内に持ち込まれた携帯電話をBluetooth(登録商標)等により車載機に無線接続し、ヘッドギアに装着されたマイクから音声を入力し、車載機のスピーカから音声を出力している。
【0003】
車内に複数の携帯電話が持ち込まれた場合、運転者の携帯電話を識別し、その携帯電話を車載機に接続することが望ましい。例えば、特許文献1では、運転者の携帯電話を識別するために、運転者の指紋情報と運転者が使用する携帯電話を特定する特定情報とを対応付けし、ハンドルに搭載された指紋検出センサにより検出された指紋パターンから携帯電話の特定情報を取得し、特定情報に合致する携帯電話を車内で検索することを開示している。
【0004】
特許文献2のハンズフリー装置は、携帯電話がハンズフリーモードに設定されている場合には、携帯電話とハンズフリー装置とを自動的に無線接続させ、ハンズフリーを解除する場合には、ハンズフリー装置を使用することなく携帯電話から操作を可能にしている。これにより、運転席に別の人間が着座しているときに、運転者は携帯電話単独で通話することができる。
【0005】
特許文献3のハンズフリーシステムでは、利用者の音声特徴データと利用者が使用する携帯電話の識別データとを対応してメモリに登録しておき、データ検索部では、マイクから入力した音声の音声特徴データに対応する携帯電話の識別データをメモリから検索し、検索した識別データの携帯電話を選択して通信を行うことを可能にしている。特許文献4のハンズフリーシステムでは、運転者の携帯電話を識別するための識別情報が記憶された記憶送信装置を車内に持ち込むと、ハンズフリー装置が識別情報に基づき運転者の携帯電話と無線接続することを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4328706号公報
【特許文献2】特許第4675458号公報
【特許文献3】特許第3776805号公報
【特許文献4】特開2006−222791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
車内に複数の携帯電話が持ち込まれたとき、運転者の携帯電話を識別する方法には、特許文献1ないし4に示される方法以外にも、以下の2つの技術が存在する。
(1)車載機と無線通信可能な携帯電話に付与されたデバイスID(識別)を取得し、これの一覧をディスプレイに表示し、その中から所望のデバイスIDを運転者またはユーザーに選択させる方法。
(2)携帯電話に搭載された近距離通信機能、例えばNFC(Near Field Communication)通信機能を利用して、運転者の携帯電話を車内の特定場所にタッチすることで携帯電話のデバイスIDを取得する方法。
【0008】
しかしながら、上記(1)に示す方法では、運転者が選択する操作を行う必要がある。また、デバイスIDが類似している場合には、判別することができず、必ずしも正確にデバイスIDを選択することができない。また、(2)に示す方法では、運転者が携帯電話を取り出し、これを特定の場所にタッチさせる必要があり、煩雑である。
【0009】
本発明は、このような従来の課題を解決し、特別な操作を行うことなく携帯端末を識別可能な通信システム、電子装置、通信方法及び通信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る通信システムは、携帯端末と、ユーザーに装着可能な通信装置と、携帯端末と接続可能な電子装置とを備えたものであって、前記通信装置は、携帯端末とデータ通信を可能にする第1のデータ通信手段と、第1のデータ通信手段を介して携帯端末の識別情報を取得する取得手段と、前記電子装置とデータ通信を可能にする第2のデータ通信手段とを有し、前記電子装置は、前記第2のデータ通信手段を介して前記通信装置から携帯端末の識別情報を受信する受信手段と、前記電子装置と無線通信可能な携帯端末を探索する探索手段と、前記受信手段によって受信された前記識別情報に基づき前記探索手段によって探索された携帯端末を識別する識別手段と、前記識別手段によって識別された携帯端末の接続を可能にする接続手段とを有する。
【0011】
好ましくは電子装置はさらに、前記第2のデータ通信手段を介して携帯端末の識別情報の送信を要求する要求手段を含み、前記受信手段は、前記要求手段によって要求された識別情報を受信する。好ましくは電子装置はさらに、識別された携帯端末を認証する認証手段を含み、前記接続手段は、認証手段による認証を条件に携帯端末を接続する。好ましくは前記第2のデータ通信手段は、近距離通信または人体通信である。好ましくは前記識別手段は、前記受信手段により取得した識別情報と前記探索手段によって探索された携帯電話の識別情報との種別が異なるとき、前記電子装置が保持する識別情報に関する対応テーブルを用いる。好ましくは電子装置はさらに、接続された携帯端末を介してハンズフリー通話を行うハンズフリー通話手段を含む。
【0012】
本発明に係る電子装置は、ユーザーに装着可能な通信装置と接続され、携帯端末と接続可能な電子装置であって、前記通信装置に接続され、前記通信装置に対応付けされた携帯端末の識別情報を受信する受信手段と、前記無線通信可能な携帯端末を探索する探索手段と、前記受信手段によって受信された前記識別情報に基づき前記探索手段によって探索された携帯端末を識別する識別手段と、前記識別手段によって識別された携帯端末の接続を可能にする接続手段とを有する。
【0013】
本発明に係る通信方法は、携帯端末と、ユーザーに装着可能な通信装置と、携帯端末と接続可能な電子装置とを備えた通信システムにおけるものであって、携帯端末と通信装置とをデータ通信を可能にするステップと、通信装置において携帯端末の識別情報を取得するステップと、通信装置で取得された前記識別情報を電子装置へ送信するステップと、電子装置と無線通信可能な携帯端末を探索するステップと、探索された携帯端末の中から前記識別情報に一致する携帯端末を識別するステップと、識別された携帯端末と電子装置との接続を可能にするステップとを有する。
【0014】
本発明に係る通信プログラムは、携帯端末と、ユーザーに装着可能な通信装置と、携帯端末と接続可能な電子装置とを備えた通信システムにおけるものであって、前記通信装置において、携帯端末とデータ通信を可能にし、携帯端末の識別情報を取得するステップと、電子装置とデータ通信を可能にし、前記識別情報を車載装置に送信するステップとを有し、電子装置は、前記通信装置に前記携帯端末の識別情報を要求するステップと、前記車載装置と無線通信可能な携帯端末を探索するステップと、前記要求手段に応答して前記通信装置から送信された前記識別情報に基づき探索された携帯端末を識別するステップと、識別された携帯端末を電子装置に接続させるステップとを有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ユーザーに装着された通信装置を介して携帯端末の識別情報を電子装置へ提供し、電子装置は、この識別情報に基づき携帯端末の識別ないし認証を行い、携帯端末を接続するようにしたので、ユーザーは特別な操作を行うことなく自身の携帯端末と電子装置とを接続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例に係る携帯端末の認証システムの概要を示す概略図である。
図2図2(a)は本発明の実施例に係る携帯端末の認証システムの構成例を説明するブロック図であり、図2(b)は車載装置が保持する携帯端末のデバイスID対応テーブルを示す図である。
図2A】車載装置、通信装置および携帯端末間の通信手段の態様が異なる他の認証システムを示す図である。
図3】本発明の実施例に係る通信装置の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
図4】本発明の実施例に係る車載装置の構成例を示すブロック図である。
図5】本実施例に係る認証プログラムの機能の構成を示すブロック図である。
図6】本発明の実施例に係る認証プログラムによる認証動作を説明するプローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の携帯端末の通信システムの好ましい態様は、携帯端末の認証システムに利用される。図1は、本実施例に係る携帯端末の認証システムの概要を示す概略図である。本発明の実施例に係る携帯端末の認証システム10は、携帯端末20と、ユーザーに装着可能なウエアラブルな通信装置30と、携帯端末20と接続可能な車載装置40とを備える。ユーザーが装着する通信装置30と自身が所有する携帯端末20とは通信可能な状態にあり、通信装置30は、その携帯端末20から識別情報を取得することができる。通信装置30は、携帯端末20と接続されたときに自動的に識別情報の送信を携帯端末20に要求したり、あるいは通信装置30は、車載装置40からの指示に応答して識別情報の送信を要求することができる。一方、車載装置40は、例えば、エンジンの始動ボタン50の周囲に設けられた通信ポイント42に通信装置30が接近または接触したとき、近距離通信(NFC等)により通信装置30と通信することができる。また、通信装置30は生体を通信路として利用する人体通信(Human Body Communication:HBC)に対応するウエアラブル機器であることができ、この場合には、ユーザーが通信ポイント42または始動ボタン50にタッチ(接触)したとき、車載装置40は、通信装置30と通信することができる。車載装置40は、上記したように通信装置30から携帯端末20の識別情報を受け取り、無線通信可能なエリア内にある複数の携帯端末20A、20Bを探索することができ、通信装置30から取得した識別情報に基づき携帯端末20を識別し、その携帯端末20との接続を許可することができる。
【0018】
好ましい態様では、ユーザーは、携帯端末20を車内に持ち込んだとき、エンジンの始動ボタン50を押すなどの通常の動作過程において、装着した通信装置30を車載装置40の通信ポイント42に接近させ、自身の携帯端末20の識別情報を、通信装置30を介して車載装置40へ提供させる。これにより、ユーザーは、自身の携帯端末20をカバン22等に収納させている場合でも、それを取り出すことなく、携帯端末20の識別情報を自動的に車載装置40へ提供することができる。また、他者の携帯端末20A、20Bが車内に持ち込まれた場合、車載装置40は、ユーザーが所有する携帯端末20を識別し、これを車載装置40に接続させることができる。
【0019】
携帯端末20は、多機能型携帯電話(スマートフォン)、携帯電話、タブレット型PC、モバイル型ゲーム機、その他の携帯型端末であることができる。携帯端末20は、オーディオデータやビデオデータを保持、再生機能、車載装置と通信する機能、アプリケーションを搭載しこれを実行する機能などを備えることができる。
【0020】
好ましい態様では、通信装置30は、ユーザーの身体に装着可能なウエアラブル装置であって、ユーザーの指、腕、手首、首、耳、頭、足首等に装着したり、ユーザーが着用する手袋、帽子、カツラ、メガネ、衣服、靴、時計、ブレスレッド等に組み込み、あるいは取り付けることができる。そして、通信装置30は、例えば、Bluetooth、Wi−Fi(登録商標)等の無線接続による通信手段H1により、ユーザーの所有する携帯端末20とペアリングされ、携帯端末20の識別情報を取得し、保持することができる。また、通信装置30は、例えば、近距離通信(NFC)、人体通信(HBC)等の通信手段H2により、車載装置40と通信可能であり、通信装置30は、少なくとも携帯端末20の識別情報を車載装置40に送信する中継として機能する。
【0021】
車載装置40は、概して車両に搭載された電子装置であり、種々の機能を搭載することができる。例えば、車載装置は、目的地までの経路を案内するナビゲーション機能、オーディオデータやビデオデータを再生する機能、テレビ/ラジオ放送を受信する機能、無線や有線により携帯端末等の外部機器に接続する通信機能、携帯端末をハンズフリー通話可能にする機能、携帯端末の出力装置として機能するミラーリンク機能などを搭載することができる。車載装置40は、通信手段H2により通信装置30と接続され、通信手段H3により携帯端末20と接続可能である。
【0022】
好ましい態様では、車載装置40は、無線LANホストであり、車内に持ち込まれた携帯端末を探索し、通信手段H3により無線接続することができる。また、通信手段H3は、Bluetoothであってもよい。好ましい態様では、車載装置40は、通信装置30から受け取った識別情報に基づき、車内にある携帯端末20を識別し、これを認証することができる。携帯端末20が接続されると、車載装置40は、携帯端末20が保持する各種機能や各種データを共有することができ、例えば、ハンズフリー機能により通話したり、携帯端末20にあるアプリケーションソフトやメディアデータを利用することができる。
【0023】
好ましい態様では、携帯端末の識別情報は、携帯端末を識別可能な情報であればよく、例えば、固有のデバイスID、携帯端末に設定されたアカウント情報、ユーザー名、電子メールなどである。固有のデバイスIDには、例えば、ネットワーク機器を識別するためのデバイスネーム、BluetoothアドレスやMACアドレスなどが利用される。
【実施例】
【0024】
次に、本発明の実施例に係る車載装置と携帯端末との接続について図面を参照して説明する。図2(a)は、本発明の実施例に係る携帯端末の認証システムの構成例を説明するブロック図である。本実施例の携帯端末の認証システム10は、図2(a)に示すように、携帯端末20と、ユーザーに装着可能なウエアラブルの通信装置30と、携帯端末20と接続可能な車載装置40とを備え、通信装置30は、携帯端末20の識別情報を取得することができ、車載装置40は、通信装置30から受け取った識別情報に基づき、ユーザーが所有する携帯端末20を識別し、これを認証することができる。以下の説明では、識別情報としてデバイスIDを例に用いる。
【0025】
携帯端末20は、例えば、Bluetoothなどの無線接続により、一定範囲内にある通信装置30と通信可能であり、ユーザーが装着する通信装置30とペアリングすることができる。
【0026】
通信装置30は、例えば、ユーザーの腕に装着することができ、ペアリングされた携帯端末20からデバイスIDとしてBluetoothアドレスを取得することができる。また、通信装置30は、車載装置40に接近または接触したとき、車載装置40とNFCにより通信することができる。さらに通信装置30は、自身に組み込まれたプログラムを実行することにより、あるいは車載装置40から携帯端末20のデバイスIDを要求されたとき、携帯端末20のデバイスIDを車載装置40に送信することができる。上記したように、通信装置30と車載装置40とは、NFC以外にも、例えば、生体を介して信号を送受信するHBCを利用してもよい。
【0027】
車載装置40は、無線通信可能なエリアを構築するためのWi−Fiなどの無線LANルータ機能を有し、例えば、自身の携帯端末20や他者の携帯端末など、無線通信可能なエリア内にある全ての携帯端末を探索することができ、各携帯端末からMACアドレス等のデバイスIDを取得することができる。
【0028】
図2(b)は、車載装置40が保持する携帯端末20のデバイスID対応テーブルを示す図である。デバイスID対応テーブルは、過去に利用されたり、予め登録された携帯端末に関する、BluetoothアドレスとMACアドレスとの対応を示すものであり、車載装置40は、通信装置30との通信方式が携帯端末の通信方式と異なるとき、デバイスID対応テーブルを参照する。なお、デバイスID対応テーブルは、これ以外にも、デバイスネーム等の他のデバイスIDとの対応を含むものであってもよい。
【0029】
車載装置40は、このようなデバイスID対応テーブルを参照し、通信装置30から受け取ったBluetoothアドレスに基づき、探索された全ての携帯端末の中から、該当するMACアドレスを特定し、ユーザーの携帯端末20を識別認証し、接続することができる。
【0030】
上記認証システム10では、通信手段H1がBluetoothで、通信手段H3が無線LAN(Wi−Fi)である例について説明したが、これらの通信手段H1、H3は、図2Aに示すように、他の態様であってもよい。
【0031】
図2Aは、車載装置、通信装置および携帯端末間の通信手段の態様が異なる他の認証システムを示す図である。認証システム10Aでは、図2A(a)に示すように、車載装置40と携帯端末20との間の通信手段H3には、Bluetoothが用いられる。この場合、車載装置40は、通信装置30から受け取ったBluetoothアドレスに基づき、探索された全ての携帯端末の中から、該当するBluetoothアドレスを特定し、ユーザーの携帯端末20を識別認証し、接続することができる。本例では、車載装置40と通信装置30間の通信方式が車載装置40と携帯端末20間の通信方式と同じであるので、デバイスID対応テーブルの参照を必要としない。通信装置30は、携帯端末20のBluetoothアドレスを車載装置40に送信した後、携帯端末20とのペアリングを解消することで、車載装置40は携帯端末20とBluetoothによる接続を可能にする。この場合、通信装置30は、携帯端末20とのBluetooth接続を解消するためのユーザー入力を備えることが好ましい。
【0032】
認証システム10Bでは、図2A(b)に示すように、携帯端末20と通信装置30とのペアリングの通信手段H1に、無線LAN(Wi−Fi)が用いられる。この場合、車載装置40は、通信装置30から携帯端末20のMACアドレスを受け取ることができ、そのMACアドレスに基づき、探索された全ての携帯端末の中から、ユーザーの携帯端末20を識別認証し、Wi−Fiにより接続することができる。車載装置40と携帯端末20間の接続は、上記の例と同様に、通信装置30と携帯端末20間の接続を解除してから行われる。
【0033】
図3は、本発明の実施例に係る通信装置30の機能的な構成を示す機能ブロック図である。本発明の実施例に係る通信装置30は、携帯端末20との間で、データ通信を可能にする第1データ通信手段102と、第1データ通信手段102によりペアリングされた携帯端末20からデバイスIDを取得するデバイスID取得手段104と、車載装置40との間で、近距離によるデータ通信を可能にする第2データ通信手段106と、第2データ通信手段106により車載装置40からの要求等に応じてペアリングされた携帯端末20のデバイスIDを車載装置40に送信するデバイスID送信手段108とを有する。通信装置30は、これ以外にも、取得したデバイスIDを保持する機能、携帯端末20と車載装置40との間で、各種データの送受信を中継する中継機能などを有することができる。
【0034】
第1データ通信手段102は、例えば、Bluetoothにより、ユーザーが所有する携帯端末20など、Bluetooth機能を備えた一定距離内に存在する携帯端末あるいは予め設定された特定の携帯端末とのペアリングを可能にする。デバイスID取得手段106は、第1データ通信手段102により携帯端末20とペアリングされているとき、携帯端末20からデバイスIDを取得する。例えば、デバイスID取得手段106は、携帯端末20に対してデバイスIDの要求を行い、これに応答して携帯端末20がデバイスIDを通信装置30へ送信する。
【0035】
第2データ通信手段106は、例えば、近距離でデータ通信が行われるNFCであり、通信装置30が車載装置40の通信ポイント付近に移動したとき、車載装置40との通信が有効になる。デバイスID送信手段108は、第2通信手段106によりデータ通信可能なとき、車載装置40からの要求に応じて、あるいは第2通信手段106の通信が可能になったことに応答して、携帯端末20のデバイスIDを送信する。また、第2データ通信手段106は、通信ポイント42または始動ボタン50へのタッチにより通信が行われるHBCが用いられた場合には、ユーザーが通信ポイント42または始動ボタン50に接触したとき、車載装置40との通信を可能にする。
【0036】
図4は、本発明の実施例に係る車載装置の構成例を示すブロック図である。車載装置40は、自車位置周辺の道路地図を表示したり、目的地までの誘導経路を案内するナビゲーション部120と、CD、DVD、ブルーレイディスク、ハードディスク装置などから得られたオーディオデータやビデオデータを再生するマルチメディア再生部122と、接続された外部機器と通信手段H3によりデータ通信を行うデータ通信部124と、近距離通信可能な機器が接近または接触したことを検出するNFC機器検出部126と、無線通信可能なエリア内にある携帯端末を探索する携帯端末探索部128と、ユーザーからの指示を受け取る各種スイッチやタッチパネルを含む入力部130と、ナビゲーション画像や音声等を出力する出力部132と、プログラムやデータ等を記憶する記憶部134と、各部を制御する制御部136を含んで構成される。
【0037】
NFC機器検出部126は、NFCに対応する通信機器、例えば、通信装置30の接近または接触を検出する。NFC機器検出部126は、例えば、図1に示すエンジンの始動ボタン50の周囲に設けられた通信ポイント42など、運転手となるユーザーの通常動作過程において接近または接触されるような位置に配置されることが望ましい。例えば、NFC機器検出部126は、車両のドア、鍵穴、ルームミラー、サイドミラーの操作ボタン、ハンドルなどの近傍に配置することができ、1つに限らず、複数の位置に配置してもよい。図には、NFC機器検出部126を例示するが、上記したようにNFC機器検出部126は、通信装置30がHBC通信を備える場合には、HBC通信検出部に置き換えられる。
【0038】
携帯端末探索部128は、無線通信可能なエリア内にある携帯端末を探索し、探索された携帯端末のデバイスIDを取得する。探索により取得されたデバイスIDは、制御部116へ提供され、それらデバイスIDに対応する携帯端末の中から、通信装置30から取得したデバイスIDに該当するものが認証される。
【0039】
データ通信部124は、例えば、無線LAN、Wi−Fi、Bluetoothなどの各種接続方式により携帯端末等の外部機器を接続することができる。データ通信部124は、無線通信以外にも、USB(登録商標)などの有線を用いて外部機器を接続することができる。
【0040】
記憶部134には、システム動作に必須のプログラム以外にも、ナビゲーションに必要な道路地図データ、メディア再生に必要な楽曲データなどを記憶することができる。
【0041】
制御部136は、好ましい態様では、ROM、RAMなどを含むマイクロコントローラから構成され、ROMまたはRAMは、車載装置の各部の動作を制御するための種々のプログラムを格納することができる。さらに本実施例では、接続する携帯端末を識別し認証するための携帯端末の認証プログラム140が含まれる。
【0042】
図5は、本実施例に係る認証プログラムの機能の構成を示すブロック図である。接続する携帯端末を認証する認証プログラム140は、データ通信部124を介して無線LANにより通信可能なエリアを構築し、車内に持ち込まれた携帯端末とデータ通信を可能にする無線LAN通信手段142と、NFC機器検出部126によって検出された通信装置30との間でデータ通信を可能にする近距離通信手段144と、近距離通信手段144により通信装置30が保持する携帯端末20のデバイスIDを要求するデバイスID要求手段146と、携帯端末探索部128によって探索された無線通信可能なエリア内にある全ての携帯端末のデバイスIDを保持するデバイスID保持手段148と、デバイスID要求手段146により通信装置30から受け取ったデバイスIDとデバイスID保持手段148によって保持されたデバイスIDとを比較し、一致するデバイスIDを識別するデバイスID識別手段150と、一致したデバイスIDが識別されたとき当該デバイスIDの携帯端末の認証を行うデバイスID認証手段152と、デバイスID選択手段152によって選択されたデバイスIDの携帯端末との接続を可能にする接続手段154とを有する。
【0043】
デバイスID要求手段146は、NFC機器検出部126によって通信装置30の接近が検出されたとき、通信装置30にペアリングされた携帯端末20のデバイスIDを通信装置30に要求するが、この要求は必ずしも必須ではない。通信が確立されたとき、通信装置30が自発的にデバイスIDを発するようにしてもよい。
【0044】
デバイスID認証手段152は、デバイスID識別手段150によって識別されたデバイスIDの認証を行うが、この認証は、必ずしも必須ではない。例えば、接続手段154は、デバイスID識別手段150によって識別されたデバイスIDの携帯端末との接続を行うようにしてもよい。また、デバイスID認証手段152を実行する場合には、例えば認証したデバイスIDをディスプレイに表示させ、ユーザーからの最終的な承認を得るようにしてもよい。例えば、認証コードを入力させるようにしてもよい。
【0045】
次に、本発明の実施例に係る携帯端末の認証システムにおける認証動作を図6のプローチャートを参照して説明する。ここでは、図1に示すように、ユーザーが腕に通信装置30を装着し、エンジンの始動ボタンを押す行為に伴い、ユーザー(運転者)の携帯端末20を車載装置40に接続する例について説明する。
【0046】
まず、ユーザーが装着する通信装置30が第1データ通信手段102(例えば、Bluetooth)により、所有する携帯端末20とペアリングされる(S100)。このペアリングが行われるタイミングは任意であるが、少なくともユーザーが車内に乗り込む前に行われる。これにより、通信装置30と携帯端末20との間でデータ通信が可能になる。ペアリングされると、通信装置30のデバイスID取得手段104は、ペアリングされた携帯端末20からデバイスIDを取得する(S101)。通信装置30は、携帯端末20とペアリングされている間、または携帯端末20とペアリングされてから一定期間、取得したデバイスIDを保持することができる。
【0047】
次に、ユーザーがエンジンの始動ボタンを押すと、通信装置30が車載装置40の通信ポイント42に接近し(S102)、車載装置40のNFC機器検出部126が通信装置30を検出する(S103)。これにより、通信装置30と車載装置40とのデータ通信が可能になり、デバイスID要求手段146は、通信装置30に対しデバイスIDの送信を要求する(S104)。その要求を受け、通信装置30のデバイスID送信手段108により、保持する携帯端末20のデバイスIDを車載装置40に送信し(S105)、車載装置40は、通信装置30にペアリングされた携帯端末20のデバイスIDを取得する。
【0048】
また、車載装置40では、デバイスIDの要求と時間的に前後して、携帯端末探索部128が車内に存在する携帯端末を探索する(S106)。これにより、車内に持ち込まれた全ての携帯端末のデバイスIDが取得され、これらがデバイスID保持手段148によって保持される。車内にある全ての携帯端末が探索されると、デバイスID識別手段150は、通信装置30から受け取ったデバイスIDとデバイスID保持手段148に保持されたデバイスIDとを比較し、一致するデバイスIDを識別し、必要に応じて識別されたデバイスIDを認証する(107)。デバイスID識別手段150は、装置間の通信方式が異なる場合には、デバイスID対応テーブルを参照して一致するデバイスIDを識別する。そして、接続手段154は、識別ないし認証された携帯端末20を車載装置40に接続する(S108)。
【0049】
ユーザーは、自身の携帯端末20が車載装置40に接続されると、車載装置40を介してハンズフリー通話を行ったり、携帯端末20に記憶された音楽、動画、インストールされた各種アプリケーションを利用することができる。また、車載装置40は、接続された携帯端末20から個人仕様データ等を取得することができ、例えば、車内の音響システムや車両に関するデジタル表示など、ユーザーの好む仕様に変更することができる。あるいは、車載装置40は、デバイスIDに対応するユーザー仕様の情報を備えている場合には、識別されたデバイスIDに対応するユーザー仕様を車載装置に自動で設定するようにしてもよい。
【0050】
このように本実施例によれば、ユーザーは、携帯端末を特定の位置にかざしたり、携帯端末をカバン等から取り出すような特別な行為をすることなく、ウエアラブルな通信装置を介してこれにペアリングされた携帯端末の識別情報を車載装置へ提供し、自身の携帯端末を車載装置に接続させることができる。
【0051】
上記実施例では、携帯端末のデバイスIDを用いて携帯端末の識別ないし認証を行う例を示したが、識別情報は、デバイスIDに代えて、あるいはデバイスIDとともに他の情報、例えば、携帯端末の電話番号、携帯端末のアプリケーション等に設定されているアカウント情報、ユーザー名、電子メールアドレスなどの利用も可能である。さらに上記実施例では、通信装置30と車載装置40間の通信にNFCを利用したが、これは一例であって他のデータ通信であってもよい。さらに上記実施例では、携帯端末の識別ないし認証を例示したが、この識別ないし認証を利用すれば、車両の運転者を特定することも可能である。さらに上記実施例では、車内空間における携帯端末の識別ないし認証を例示したが、これに限らず、本人を特定する必要性がある環境下であれば本発明を利用することが可能である。
【0052】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形・変更が可能である。また、本発明は、第1または第2の実施例をそれぞれ単独で実施すること、あるいは組み合わせて実施することも包含し得る。
【符号の説明】
【0053】
10:認証システム 20:携帯端末
30:通信装置 40:車載装置
42:通信ポイント 50:始動ボタン
102:第1データ通信手段 104:デバイスID取得手段
106:第2データ通信手段 108:デバイスID送信手段
120:ナビゲーション装置 122:マルチメディア再生部
124:データ通信部 126:NFC機器検出部
128:携帯端末探索部 130:接続部
132:入出力部 134:記憶部
136:制御部 140:認証プログラム
142:無線LAN通信手段 144:近距離通信手段
146:デバイスID要求手段 148:デバイスID保持手段
150:デバイスID識別手段 152:デバイスID認証手段
154:接続手段
図1
図2
図2A
図3
図4
図5
図6