【実施例】
【0024】
次に、本発明の実施例に係る車載装置と携帯端末との接続について図面を参照して説明する。
図2(a)は、本発明の実施例に係る携帯端末の認証システムの構成例を説明するブロック図である。本実施例の携帯端末の認証システム10は、
図2(a)に示すように、携帯端末20と、ユーザーに装着可能なウエアラブルの通信装置30と、携帯端末20と接続可能な車載装置40とを備え、通信装置30は、携帯端末20の識別情報を取得することができ、車載装置40は、通信装置30から受け取った識別情報に基づき、ユーザーが所有する携帯端末20を識別し、これを認証することができる。以下の説明では、識別情報としてデバイスIDを例に用いる。
【0025】
携帯端末20は、例えば、Bluetoothなどの無線接続により、一定範囲内にある通信装置30と通信可能であり、ユーザーが装着する通信装置30とペアリングすることができる。
【0026】
通信装置30は、例えば、ユーザーの腕に装着することができ、ペアリングされた携帯端末20からデバイスIDとしてBluetoothアドレスを取得することができる。また、通信装置30は、車載装置40に接近または接触したとき、車載装置40とNFCにより通信することができる。さらに通信装置30は、自身に組み込まれたプログラムを実行することにより、あるいは車載装置40から携帯端末20のデバイスIDを要求されたとき、携帯端末20のデバイスIDを車載装置40に送信することができる。上記したように、通信装置30と車載装置40とは、NFC以外にも、例えば、生体を介して信号を送受信するHBCを利用してもよい。
【0027】
車載装置40は、無線通信可能なエリアを構築するためのWi−Fiなどの無線LANルータ機能を有し、例えば、自身の携帯端末20や他者の携帯端末など、無線通信可能なエリア内にある全ての携帯端末を探索することができ、各携帯端末からMACアドレス等のデバイスIDを取得することができる。
【0028】
図2(b)は、車載装置40が保持する携帯端末20のデバイスID対応テーブルを示す図である。デバイスID対応テーブルは、過去に利用されたり、予め登録された携帯端末に関する、BluetoothアドレスとMACアドレスとの対応を示すものであり、車載装置40は、通信装置30との通信方式が携帯端末の通信方式と異なるとき、デバイスID対応テーブルを参照する。なお、デバイスID対応テーブルは、これ以外にも、デバイスネーム等の他のデバイスIDとの対応を含むものであってもよい。
【0029】
車載装置40は、このようなデバイスID対応テーブルを参照し、通信装置30から受け取ったBluetoothアドレスに基づき、探索された全ての携帯端末の中から、該当するMACアドレスを特定し、ユーザーの携帯端末20を識別認証し、接続することができる。
【0030】
上記認証システム10では、通信手段H1がBluetoothで、通信手段H3が無線LAN(Wi−Fi)である例について説明したが、これらの通信手段H1、H3は、
図2Aに示すように、他の態様であってもよい。
【0031】
図2Aは、車載装置、通信装置および携帯端末間の通信手段の態様が異なる他の認証システムを示す図である。認証システム10Aでは、
図2A(a)に示すように、車載装置40と携帯端末20との間の通信手段H3には、Bluetoothが用いられる。この場合、車載装置40は、通信装置30から受け取ったBluetoothアドレスに基づき、探索された全ての携帯端末の中から、該当するBluetoothアドレスを特定し、ユーザーの携帯端末20を識別認証し、接続することができる。本例では、車載装置40と通信装置30間の通信方式が車載装置40と携帯端末20間の通信方式と同じであるので、デバイスID対応テーブルの参照を必要としない。通信装置30は、携帯端末20のBluetoothアドレスを車載装置40に送信した後、携帯端末20とのペアリングを解消することで、車載装置40は携帯端末20とBluetoothによる接続を可能にする。この場合、通信装置30は、携帯端末20とのBluetooth接続を解消するためのユーザー入力を備えることが好ましい。
【0032】
認証システム10Bでは、
図2A(b)に示すように、携帯端末20と通信装置30とのペアリングの通信手段H1に、無線LAN(Wi−Fi)が用いられる。この場合、車載装置40は、通信装置30から携帯端末20のMACアドレスを受け取ることができ、そのMACアドレスに基づき、探索された全ての携帯端末の中から、ユーザーの携帯端末20を識別認証し、Wi−Fiにより接続することができる。車載装置40と携帯端末20間の接続は、上記の例と同様に、通信装置30と携帯端末20間の接続を解除してから行われる。
【0033】
図3は、本発明の実施例に係る通信装置30の機能的な構成を示す機能ブロック図である。本発明の実施例に係る通信装置30は、携帯端末20との間で、データ通信を可能にする第1データ通信手段102と、第1データ通信手段102によりペアリングされた携帯端末20からデバイスIDを取得するデバイスID取得手段104と、車載装置40との間で、近距離によるデータ通信を可能にする第2データ通信手段106と、第2データ通信手段106により車載装置40からの要求等に応じてペアリングされた携帯端末20のデバイスIDを車載装置40に送信するデバイスID送信手段108とを有する。通信装置30は、これ以外にも、取得したデバイスIDを保持する機能、携帯端末20と車載装置40との間で、各種データの送受信を中継する中継機能などを有することができる。
【0034】
第1データ通信手段102は、例えば、Bluetoothにより、ユーザーが所有する携帯端末20など、Bluetooth機能を備えた一定距離内に存在する携帯端末あるいは予め設定された特定の携帯端末とのペアリングを可能にする。デバイスID取得手段106は、第1データ通信手段102により携帯端末20とペアリングされているとき、携帯端末20からデバイスIDを取得する。例えば、デバイスID取得手段106は、携帯端末20に対してデバイスIDの要求を行い、これに応答して携帯端末20がデバイスIDを通信装置30へ送信する。
【0035】
第2データ通信手段106は、例えば、近距離でデータ通信が行われるNFCであり、通信装置30が車載装置40の通信ポイント付近に移動したとき、車載装置40との通信が有効になる。デバイスID送信手段108は、第2通信手段106によりデータ通信可能なとき、車載装置40からの要求に応じて、あるいは第2通信手段106の通信が可能になったことに応答して、携帯端末20のデバイスIDを送信する。また、第2データ通信手段106は、通信ポイント42または始動ボタン50へのタッチにより通信が行われるHBCが用いられた場合には、ユーザーが通信ポイント42または始動ボタン50に接触したとき、車載装置40との通信を可能にする。
【0036】
図4は、本発明の実施例に係る車載装置の構成例を示すブロック図である。車載装置40は、自車位置周辺の道路地図を表示したり、目的地までの誘導経路を案内するナビゲーション部120と、CD、DVD、ブルーレイディスク、ハードディスク装置などから得られたオーディオデータやビデオデータを再生するマルチメディア再生部122と、接続された外部機器と通信手段H3によりデータ通信を行うデータ通信部124と、近距離通信可能な機器が接近または接触したことを検出するNFC機器検出部126と、無線通信可能なエリア内にある携帯端末を探索する携帯端末探索部128と、ユーザーからの指示を受け取る各種スイッチやタッチパネルを含む入力部130と、ナビゲーション画像や音声等を出力する出力部132と、プログラムやデータ等を記憶する記憶部134と、各部を制御する制御部136を含んで構成される。
【0037】
NFC機器検出部126は、NFCに対応する通信機器、例えば、通信装置30の接近または接触を検出する。NFC機器検出部126は、例えば、
図1に示すエンジンの始動ボタン50の周囲に設けられた通信ポイント42など、運転手となるユーザーの通常動作過程において接近または接触されるような位置に配置されることが望ましい。例えば、NFC機器検出部126は、車両のドア、鍵穴、ルームミラー、サイドミラーの操作ボタン、ハンドルなどの近傍に配置することができ、1つに限らず、複数の位置に配置してもよい。図には、NFC機器検出部126を例示するが、上記したようにNFC機器検出部126は、通信装置30がHBC通信を備える場合には、HBC通信検出部に置き換えられる。
【0038】
携帯端末探索部128は、無線通信可能なエリア内にある携帯端末を探索し、探索された携帯端末のデバイスIDを取得する。探索により取得されたデバイスIDは、制御部116へ提供され、それらデバイスIDに対応する携帯端末の中から、通信装置30から取得したデバイスIDに該当するものが認証される。
【0039】
データ通信部124は、例えば、無線LAN、Wi−Fi、Bluetoothなどの各種接続方式により携帯端末等の外部機器を接続することができる。データ通信部124は、無線通信以外にも、USB(登録商標)などの有線を用いて外部機器を接続することができる。
【0040】
記憶部134には、システム動作に必須のプログラム以外にも、ナビゲーションに必要な道路地図データ、メディア再生に必要な楽曲データなどを記憶することができる。
【0041】
制御部136は、好ましい態様では、ROM、RAMなどを含むマイクロコントローラから構成され、ROMまたはRAMは、車載装置の各部の動作を制御するための種々のプログラムを格納することができる。さらに本実施例では、接続する携帯端末を識別し認証するための携帯端末の認証プログラム140が含まれる。
【0042】
図5は、本実施例に係る認証プログラムの機能の構成を示すブロック図である。接続する携帯端末を認証する認証プログラム140は、データ通信部124を介して無線LANにより通信可能なエリアを構築し、車内に持ち込まれた携帯端末とデータ通信を可能にする無線LAN通信手段142と、NFC機器検出部126によって検出された通信装置30との間でデータ通信を可能にする近距離通信手段144と、近距離通信手段144により通信装置30が保持する携帯端末20のデバイスIDを要求するデバイスID要求手段146と、携帯端末探索部128によって探索された無線通信可能なエリア内にある全ての携帯端末のデバイスIDを保持するデバイスID保持手段148と、デバイスID要求手段146により通信装置30から受け取ったデバイスIDとデバイスID保持手段148によって保持されたデバイスIDとを比較し、一致するデバイスIDを識別するデバイスID識別手段150と、一致したデバイスIDが識別されたとき当該デバイスIDの携帯端末の認証を行うデバイスID認証手段152と、デバイスID選択手段152によって選択されたデバイスIDの携帯端末との接続を可能にする接続手段154とを有する。
【0043】
デバイスID要求手段146は、NFC機器検出部126によって通信装置30の接近が検出されたとき、通信装置30にペアリングされた携帯端末20のデバイスIDを通信装置30に要求するが、この要求は必ずしも必須ではない。通信が確立されたとき、通信装置30が自発的にデバイスIDを発するようにしてもよい。
【0044】
デバイスID認証手段152は、デバイスID識別手段150によって識別されたデバイスIDの認証を行うが、この認証は、必ずしも必須ではない。例えば、接続手段154は、デバイスID識別手段150によって識別されたデバイスIDの携帯端末との接続を行うようにしてもよい。また、デバイスID認証手段152を実行する場合には、例えば認証したデバイスIDをディスプレイに表示させ、ユーザーからの最終的な承認を得るようにしてもよい。例えば、認証コードを入力させるようにしてもよい。
【0045】
次に、本発明の実施例に係る携帯端末の認証システムにおける認証動作を
図6のプローチャートを参照して説明する。ここでは、
図1に示すように、ユーザーが腕に通信装置30を装着し、エンジンの始動ボタンを押す行為に伴い、ユーザー(運転者)の携帯端末20を車載装置40に接続する例について説明する。
【0046】
まず、ユーザーが装着する通信装置30が第1データ通信手段102(例えば、Bluetooth)により、所有する携帯端末20とペアリングされる(S100)。このペアリングが行われるタイミングは任意であるが、少なくともユーザーが車内に乗り込む前に行われる。これにより、通信装置30と携帯端末20との間でデータ通信が可能になる。ペアリングされると、通信装置30のデバイスID取得手段104は、ペアリングされた携帯端末20からデバイスIDを取得する(S101)。通信装置30は、携帯端末20とペアリングされている間、または携帯端末20とペアリングされてから一定期間、取得したデバイスIDを保持することができる。
【0047】
次に、ユーザーがエンジンの始動ボタンを押すと、通信装置30が車載装置40の通信ポイント42に接近し(S102)、車載装置40のNFC機器検出部126が通信装置30を検出する(S103)。これにより、通信装置30と車載装置40とのデータ通信が可能になり、デバイスID要求手段146は、通信装置30に対しデバイスIDの送信を要求する(S104)。その要求を受け、通信装置30のデバイスID送信手段108により、保持する携帯端末20のデバイスIDを車載装置40に送信し(S105)、車載装置40は、通信装置30にペアリングされた携帯端末20のデバイスIDを取得する。
【0048】
また、車載装置40では、デバイスIDの要求と時間的に前後して、携帯端末探索部128が車内に存在する携帯端末を探索する(S106)。これにより、車内に持ち込まれた全ての携帯端末のデバイスIDが取得され、これらがデバイスID保持手段148によって保持される。車内にある全ての携帯端末が探索されると、デバイスID識別手段150は、通信装置30から受け取ったデバイスIDとデバイスID保持手段148に保持されたデバイスIDとを比較し、一致するデバイスIDを識別し、必要に応じて識別されたデバイスIDを認証する(107)。デバイスID識別手段150は、装置間の通信方式が異なる場合には、デバイスID対応テーブルを参照して一致するデバイスIDを識別する。そして、接続手段154は、識別ないし認証された携帯端末20を車載装置40に接続する(S108)。
【0049】
ユーザーは、自身の携帯端末20が車載装置40に接続されると、車載装置40を介してハンズフリー通話を行ったり、携帯端末20に記憶された音楽、動画、インストールされた各種アプリケーションを利用することができる。また、車載装置40は、接続された携帯端末20から個人仕様データ等を取得することができ、例えば、車内の音響システムや車両に関するデジタル表示など、ユーザーの好む仕様に変更することができる。あるいは、車載装置40は、デバイスIDに対応するユーザー仕様の情報を備えている場合には、識別されたデバイスIDに対応するユーザー仕様を車載装置に自動で設定するようにしてもよい。
【0050】
このように本実施例によれば、ユーザーは、携帯端末を特定の位置にかざしたり、携帯端末をカバン等から取り出すような特別な行為をすることなく、ウエアラブルな通信装置を介してこれにペアリングされた携帯端末の識別情報を車載装置へ提供し、自身の携帯端末を車載装置に接続させることができる。
【0051】
上記実施例では、携帯端末のデバイスIDを用いて携帯端末の識別ないし認証を行う例を示したが、識別情報は、デバイスIDに代えて、あるいはデバイスIDとともに他の情報、例えば、携帯端末の電話番号、携帯端末のアプリケーション等に設定されているアカウント情報、ユーザー名、電子メールアドレスなどの利用も可能である。さらに上記実施例では、通信装置30と車載装置40間の通信にNFCを利用したが、これは一例であって他のデータ通信であってもよい。さらに上記実施例では、携帯端末の識別ないし認証を例示したが、この識別ないし認証を利用すれば、車両の運転者を特定することも可能である。さらに上記実施例では、車内空間における携帯端末の識別ないし認証を例示したが、これに限らず、本人を特定する必要性がある環境下であれば本発明を利用することが可能である。
【0052】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形・変更が可能である。また、本発明は、第1または第2の実施例をそれぞれ単独で実施すること、あるいは組み合わせて実施することも包含し得る。