特許第6261322号(P6261322)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6261322-エアアクチュエータ・ユニット 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261322
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】エアアクチュエータ・ユニット
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/18 20060101AFI20180104BHJP
   F15B 11/00 20060101ALI20180104BHJP
   F15B 11/06 20060101ALI20180104BHJP
   B66F 3/24 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   F15B15/18
   F15B11/00 D
   F15B11/06 A
   B66F3/24 D
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-261293(P2013-261293)
(22)【出願日】2013年12月18日
(65)【公開番号】特開2015-117762(P2015-117762A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】505034418
【氏名又は名称】株式会社 タイコー
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】浅井 快春
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−125999(JP,A)
【文献】 実開昭58−018695(JP,U)
【文献】 特開2001−065505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/00−15/28
F15B 11/00−11/22
B66F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース板に、エアタンク、エアコンプレッサ、バッテリー及びエアアクチュエータを搭載して成り、前記エアタンク内には、前記バッテリーを電源とする前記エアコンプレッサによって逐次圧縮空気が供給され、前記エアアクチュエータは前記エアタンク内の圧縮空気によって駆動可能であり、
前記エアタンクは、耐圧管を前記ベース板の周縁に沿った形状に湾折曲して囲壁状に形成され、あるいは、前記エアタンクは、前記ベース板の上面全体又はその一部を覆う平坦な容体状に形成されることを特徴とするエアアクチュエータ・ユニット。
【請求項2】
前記エアタンクに、その内圧が常時一定範囲内に保たれるように作用する圧力スイッチが設置される、請求項に記載のエアアクチュエータ・ユニット。
【請求項3】
前記エアアクチュエータはエアシリンダ、揺動形アクチュエータ又はエアモータである、請求項1又は2に記載のエアアクチュエータ・ユニット。
【請求項4】
前記エアアクチュエータは、リフターを構成するエアシリンダである、請求項1又は2に記載のエアアクチュエータ・ユニット。
【請求項5】
前記ベース板は水平に配置され、その裏面にキャスター又はホイールが取り付けられることにより移動自在にされる、請求項1乃至のいずれかに記載のエアアクチュエータ・
ユニット。
【請求項6】
前記ベース板は、工場内の任意の個所に設置され、あるいは、工作機械その他の機器に固定される、請求項1乃至のいずれかに記載のエアアクチュエータ・ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアアクチュエータ・ユニットに関するものであり、より詳細には、例えば、エアシリンダによるリフター等のエアアクチュエータを搭載したユニットであって、エア配管や電気配線がないために使い勝手がよいエアアクチュエータ・ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車製造工場、その他の機械製造工場等において、重量物等の組み付けに際して重量物を作業位置に持ち上げるためにエアシリンダによるリフターが用いられる。このリフターの場合は、エアシリンダに、エアコンプレッサから延びる圧縮空気供給用エア配管が接続され、また、電動部品や電動計器が搭載されている場合には、電気コンセントから延びる電気コードが当該部品等に接続される。
【0003】
この種リフターの場合は、底面にホイールやキャスターを備えていて、使用時に、自動車や機械の組立ラインに沿って移動可能にしたものが少なくないが、その場合、上記エア配管や電気コード類が邪魔になりやすく、また、その移動範囲は、それらのエア配管や電気コードの長さによって制限を受けることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−125999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来のリフター等のエアアクチュエータで、自動車や機械の組立ラインに沿って移動可能にしたものの場合、移動に際してそのエア配管や電気コード類が邪魔になりやすく、また、移動範囲も制限されるという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、外方に伸び出るエア配管や電気コードをなくすことにより、それらが存在することによって起こる問題、即ち、スムーズな移動が妨げられるとか、移動範囲が制限されるとかいった問題を解消し、以て、工場内の作業環境を向上させて組立作業等の効率を高めることを可能にするエアアクチュエータ・ユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に係る発明は、ベース板に、エアタンク、エアコンプレッサ、バッテリー及びエアアクチュエータを搭載して成り、前記エアタンク内には、前記バッテリーを電源とする前記エアコンプレッサによって逐次圧縮空気が供給され、前記エアアクチュエータは前記エアタンク内の圧縮空気によって駆動可能であり、前記エアタンクは、耐圧管を前記ベース板の周縁に沿った形状に湾折曲して囲壁状に形成され、あるいは、前記エアタンクは、前記ベース板の上面全体又はその一部を覆う平坦な容体状に形成されることを特徴とするエアアクチュエータ・ユニットである。
【0008】
一実施形態においては、前記エアタンクに、その内圧が常時一定範囲内に保たれるように作用する圧力スイッチが設置される。
【0009】
また、一実施形態においては、前記エアアクチュエータはエアシリンダ、揺動形アクチュエータ又はエアモータとされ、あるいは、前記エアアクチュエータは、リフターを構成するエアシリンダとされる。
【0010】
また、一実施形態においては、前記ベース板は水平に配置され、その裏面にキャスター又はホイールが取り付けられることにより移動自在にされ、あるいは、前記ベース板は、工場内の任意の個所に設置され、あるいは、工作機械その他の機器に固定される。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述したとおりであって、ベース板に、エアタンク、エアコンプレッサ、バッテリー及びエアアクチュエータが搭載され、前記エアタンク内には、前記バッテリーを電源とする前記エアコンプレッサによって逐次圧縮空気が供給され、前記エアアクチュエータは前記エアタンク内の圧縮空気によって駆動可能とされるため、ユニット外に延出するエア配管や電気コード類が存在しない。そのため、それらが存在することによって作業の邪魔になったり、スムーズな移動が妨げられたりすることがなく、また、エア配管や電気コードの長さによって移動範囲が制限されず、狭隘な場所での使用も可能となるので、工場内の作業環境の向上を図ることができると共に、組立作業等の効率を高め、作業コストの削減を図ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るエアアクチュエータ・ユニットの一実施形態の正面図である。
図2】本発明に係るエアアクチュエータ・ユニットの一実施形態の側面図である。
図3】本発明に係るエアアクチュエータ・ユニットの一実施形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態につき、添付図面を参照しつつ説明する。本発明に係るエアアクチュエータ・ユニットは、ベース板1に、エアタンク2、エアコンプレッサ3、バッテリー4及びエアアクチュエータを、適宜配置にて搭載して構成される。通例、エアタンク2を含めてベース板1は水平状態とされるが、設置個所(他の工作機械に設置されることもある。)に対応して、傾斜状態とされることもある。また、多くの場合、本アクチュエータ・ユニットは可動式とされ、そのためにベース板1の裏面に、キャスター6、ホイール等の移動手段が設置される。また、ホイール駆動用のモータを搭載することで、自走機能を持たせることもできる。
【0014】
通例、エアタンク2は、耐圧管を湾折曲させて、ベース板1の周縁に沿った囲枠として配設される。図示したベース板1は四角形状であり、エアタンク2はそれに対応する、角に丸みを有する四角形状とされている。また、図示した実施形態の場合は、ベース板1の四隅に、キャスター6の上面に固定される補助板1aが取り付けられていて、エアタンク2の四隅がこの補助板1a上に載置固定される構成とされている。
【0015】
エアタンク2は上記四角形状に限らず、ベース板1の形状に対応して、円形、楕円形、三角形等とされる。また、エアタンク2は囲枠とは限らず、ベース板1の上面全体を覆う、あるいは、その一部を覆う平板状に形成されることもある。その場合は、エアタンク2上に、エアタンク2、エアコンプレッサ3、バッテリー4及びエアアクチュエータ等を搭載するための上側ベース板が設置される。
【0016】
エアタンク2内には、エアコンプレッサ3からの圧縮空気が、その導入口2aを通して逐次供給される。エアコンプレッサ3は、バッテリー4を電源として作動する。バッテリー4としては、例えば、リチウムイオンバッテリーが用いられる。エアタンク2には、その内圧が一定の値になると自動的にエアコンプレッサ3のスイッチをオフとし、その内圧が下がると自動的にそのスイッチをオンとして、エアタンク2内の圧力が常時一定範囲内に保たれるように作用する圧力スイッチ7が設置される。
【0017】
エアアクチュエータはエアタンク2内の圧縮空気を駆動源とするもので、図示した例におけるエアアクチュエータはエアシリンダ5であるが、揺動形アクチュエータ又はエアモータの場合もあり得る。図示した例におけるエアシリンダ5はリフターを構成しており、垂直方向に動作するように配置されている。この場合のエアシリンダ5としては、中間停止、非常停止、落下防止等に適したロック付きシリンダで、オートスイッチ付きのものを採用することが好ましい。
【0018】
この実施形態におけるエアアクチュエータはリフターを構成するために、ベース板1上に支柱8が立設され、エアシリンダ5は、その上端部に設置されたブラケット9を介して支柱8に固定される。例えば、支柱8は鞘構造となっていて、内側の可動部8aが外側の固定部に沿って上下動可能にされ、可動部8aに、L字型のテーブルブラケット10の垂直部が固定される。そして、テーブルブラケット10の水平部の裏面にエアシリンダ5のシリンダロッド5aの先端が固定され、その水平部の上面にテーブル11が設置される。なお、詳細は示してないが、エアシリンダ5にその制御装置が付設される。
【0019】
上記構成のリフターの場合は、本エアアクチュエータ・ユニットを手押しにより(又は自走機能を利用して)工場内の作業位置に移動させ、部品をテーブル11上に載置した後、エアシリンダ5に伸動作をさせると、テーブルブラケット10を介してテーブル11が押し上げられる。その押し上げ動作は、支柱8によって支持される。そして、テーブル11を所望高さにまで上昇させてその位置に停止させた後、当該部品の組み付け作業を行う。組み付け作業終了後は、エアシリンダ5に縮動作をさせてテーブル11を元の位置に戻し、次の作業に備える。
【0020】
なお、修理・交換等のために高位置の部品を回収するような場合は、上記と逆に、先ずその部品の位置にテーブル11を上昇させておき、当該部品を取り外してテーブル11上に載置し、テーブル11を下降させる。また、エアアクチュエータがエアシリンダ5以外の場合も、そのエアアクチュエータ自体の機能が異なる他は、基本的に使用方法に変わりはない。
【0021】
本エアアクチュエータ・ユニットは上記構成であって、1枚のベース板1上に、エアタンク2、エアタンク充填用のエアコンプレッサ3、エアコンプレッサ駆動用のバッテリー4及びエアタンク2内の圧縮空気によって駆動されるエアシリンダ5等のエアアクチュエータが集約配備される。そして、コンプレッサ3は搭載バッテリー4を電源とし、また、エアシリンダ5はエアタンク2内の圧縮空気によって駆動されるため、ユニット外に延出するエア配管や電線類が存在しない。
【0022】
そのため、そのまま工場内の所望位置に移動させ、その位置においてエアアクチュエータを使用することができるものである。そして、エア配管や電線類がユニット外に出ることがないため、その移動に際してそれらが邪魔になることはなく、また、小回りがきくため、狭隘な場所での使用が可能であり、しかも、エアアクチュエータ・ユニットないために、移動範囲が制限されることはない。
【0023】
上述した実施形態のエアアクチュエータ・ユニットにおけるベース板1は水平状態に維持され、且つ、キャスター6が設置されて移動自在に構成されているが、本エアアクチュエータ・ユニットは、工場内の適宜位置に設置することができ(その場合、キャスター6が不要となることは言うまでもない。)、あるいは、他の工作機械や加工機械に固定状態に設置することもできる。また、エアタンク2は、設置場所等に合わせて任意の形状となし得る。
【0024】
これらいずれの場合においても、コンプレッサ3は搭載バッテリー4を電源として稼働して、逐次エアタンク2内に圧縮空気を供給し、また、エアシリンダ5等のエアアクチュエータは、エアタンク2内の圧縮空気を駆動源として動作する。そして、いずれの場合においても、外に出るエア配管や電線類が存在しないことによるメリットを享受することができることに変わりはない。
【0025】
この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは明白である。従って、この発明は、添付請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。
【符号の説明】
【0026】
1 ベース板
1a 補助板
2 エアタンク
2a 導入口
3 エアコンプレッサ
4 バッテリ
5 エアシリンダ
5a シリンダロッド
6 キャスター
7 圧力スイッチ
8 支持柱
8a 可動部
9 ブラケット
10 テーブルブラケット
11 テーブル
図1
図2
図3