特許第6261330号(P6261330)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6261330レトルト処理用の包装用フィルム用樹脂組成物およびレトルト処理用の包装用フィルム用積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261330
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】レトルト処理用の包装用フィルム用樹脂組成物およびレトルト処理用の包装用フィルム用積層体
(51)【国際特許分類】
   C08L 29/04 20060101AFI20180104BHJP
   C08L 27/18 20060101ALI20180104BHJP
   C08L 33/06 20060101ALI20180104BHJP
   B32B 27/28 20060101ALI20180104BHJP
   B65D 81/24 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   C08L29/04 B
   C08L27/18
   C08L33/06
   B32B27/28 102
   B65D81/24 M
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-266843(P2013-266843)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2014-141657(P2014-141657A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2016年11月21日
(31)【優先権主張番号】特願2012-284120(P2012-284120)
(32)【優先日】2012年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004101
【氏名又は名称】日本合成化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】井上 耕太
【審査官】 中西 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−076152(JP,A)
【文献】 特開平11−124478(JP,A)
【文献】 特開2005−059932(JP,A)
【文献】 特開2009−191255(JP,A)
【文献】 特開平11−060871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/14
B32B 1/00−43/00
B65D 81/24−81/30
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(A)に、ポリテトラフルオロエチレン(B)および下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル構造単位を主構造単位とする(メタ)アクリレート系ポリマー(C)を配合してなるレトルト処理用の包装用フィルム用樹脂組成物。
【化1】
〔式中、R1は水素またはメチル基、R2は炭素数5〜30のアルキル基を示す。〕
【請求項2】
エチレンービニルエステル共重合体ケン化物(A)100重量部に対するポリテトラフルオロエチレン(B)と(メタ)アクリレート系ポリマー(C)の総重量が0.1〜20重量部である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2記載の樹脂組成物を含有する層を少なくとも1層有するレトルト処理用の包装用フィルム用積層体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物(以下、「EVOH樹脂」と称することがある)を主要成分とするレトルト処理用の包装用フィルム用樹脂組成物に関するものであり、さらに詳しくはレトルト処理によるEVOH樹脂の溶出が少ないレトルト処理用の包装用フィルム用樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
EVOH樹脂は、高分子側鎖に存在する水酸基同士の水素結合のため、非常に強い分子間力を有する。それゆえに、結晶性が高く、非晶部分においても分子間力が高いため、酸素などの気体分子はEVOH樹脂のフィルムを透過しにくい。このようなEVOH樹脂のフィルムは優れたガスバリア性を示すことから、飲食料品をはじめとする各種の包装用フィルムとして多用されており、レトルト処理用の包装用フィルムに用いられるものも多い。
しかしながら、EVOH樹脂のフィルムを、レトルト処理した場合、EVOH樹脂の一部が溶出する問題があった。
【0003】
かかる問題を解決する為に、EVOH樹脂にポリアミド系樹脂を配合した樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、EVOH樹脂にポリアミド系樹脂を配合した樹脂組成物は、EVOH樹脂とポリアミド系樹脂の化学反応に起因するゲル化のために、長時間の溶融成形性(ロングラン性)が良くない問題があった。このゲル化は、ポリアミド系樹脂の末端のカルボキシル基とEVOH樹脂の水酸基のエステル化反応、あるいはアミド結合とEVOH樹脂の水酸基のアミド交換反応による架橋によって起こるものと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−253442
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ロングラン性が良好であり、かつレトルト処理によるEVOH樹脂の溶出が少ないレトルト処理用の包装用フィルム用EVOH樹脂組成物の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記実情に鑑み鋭意検討した結果、EVOH樹脂(A)に、ポリテトラフルオロエチレン(B)および下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル構造単位を主構造単位とする(メタ)アクリレート系ポリマー(C)を配合することで、EVOH樹脂のレトルト処理による溶出を抑制することができることを見出し、本発明を完成した。
【化1】
〔式中、Rは水素またはメチル基、Rは炭素数5〜30のアルキル基を示す。〕
【発明の効果】
【0007】
本発明のEVOH樹脂組成物は、レトルト処理用の包装用フィルムに使用した場合、レトルト処理によるEVOH樹脂の溶出が抑制される。
これは、ポリテトラフルオロエチレン(B)が、高結晶性でかつ分子間力が低いため、わずかな応力で繊維化する性質を有しており、また下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル構造単位を主構造単位とする(メタ)アクリレート系ポリマー(C)が、EVOH樹脂(A)中での繊維化したポリテトラフルオロエチレン(B)の分散性を高めることにより達成できる為だと考えられる。
なお、本発明のポリテトラフルオロエチレン(B)および(メタ)アクリレート系ポリマー(C)は、EVOH樹脂の水酸基と化学反応する官能基を有していないので、化学反応に起因するゲル化は起こりえない為、ロングラン性は良好である。
【化2】
〔式中、Rは水素またはメチル基、Rは炭素数5〜30のアルキル基を示す。〕
【0008】
なお、ポリテトラフルオロエチレン(B)と(メタ)アクリレート系ポリマー(C)を含有する樹脂組成物は、ポリオレフィン用の溶融張力向上剤として知られている(特開平11−124478)。 ここで、ポリオレフィンは、溶融張力が低く、加工上の問題がある為に、溶融張力を上げる必要があるが、EVOH樹脂は、水酸基による水素結合のために分子間力が強く、加工上の問題がないので、溶融張力向上剤を用いずとも容易に加工することができる。
従って、EVOH樹脂に対しては、ポリテトラフルオロエチレン(B)と(メタ)アクリレート系ポリマー(C)を含有する樹脂組成物のような溶融張力向上剤を配合しないのが一般的である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものであり、これらの内容に特定されるものではない。
【0010】
<EVOH樹脂組成物>
本発明のEVOH樹脂組成物は、EVOH樹脂(A)に、ポリテトラフルオロエチレン(B)および下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル構造単位を主構造単位とする(メタ)アクリレート系ポリマー(C)を配合して得られるものである。
【化3】
〔式中、Rは水素またはメチル基、Rは炭素数5〜30のアルキル基を示す。〕
【0011】
[EVOH樹脂(A)]
本発明で用いるEVOH樹脂(A)は、非水溶性の熱可塑性樹脂である。EVOH樹脂は通常、エチレンとビニルエステル系モノマーを共重合させた後にケン化させることにより得られる樹脂である。上記ビニルエステル系モノマーは、経済的な面から、一般的には酢酸ビニルが用いられる。重合法も公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合を用いることができるが、一般的にはメタノールを溶媒とする溶液重合が用いられる。得られたエチレン−ビニルエステル共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。
すなわち、EVOH樹脂は、エチレン構造単位とビニルアルコール構造単位を主とし、ケン化されずに残存した若干量のビニルエステル構造単位を含むものである。
【0012】
本発明で用いるEVOH樹脂(A)におけるエチレン構造単位の含有量は、通常20〜60モル%、好ましくは25〜50モル%、特に好ましくは29〜48モル%である。かかる含有量が低すぎる場合は、高湿時のガスバリア性、溶融成形性が低下する傾向があり、逆に高すぎる場合は、ガスバリア性が不足する傾向がある。
かかるエチレン構造単位の含有量は、例えば、ISO14663に準じて計測することができる。
【0013】
EVOH樹脂(A)におけるビニルエステル成分のケン化度は、通常80〜100モル%、好ましくは95〜99.99モル%、特に好ましくは99〜99.99モル%である。かかるケン化度が低すぎる場合にはガスバリア性、熱安定性、耐湿性等が低下する傾向がある。
かかるビニルエステル成分のケン化度は、例えば、JIS K6726(ただし、EVOH樹脂は水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液にて)に準じて計測することができる。
【0014】
EVOH樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2,160g)は、通常0.5〜100g/10分であり、好ましくは1〜50g/10分、特に好ましくは3〜35g/10分である。MFRが大きすぎる場合には、粘度が低すぎて製膜性が不安定になる傾向があり、小さすぎる場合には粘度が高くなり過ぎて溶融成形が困難となる傾向がある。
【0015】
EVOH樹脂(A)としては、その平均値が、上記要件を充足する組合せであれば、エチレン含有率、ケン化度、MFRが異なる2種以上のEVOHを混合して用いてもよい。
【0016】
EVOH樹脂(A)は、本発明の効果を阻害しない範囲(例えば10モル%以下)で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合されたものでもよい。かかる単量体としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1,2−ジオール等のヒドロキシル基含有α−オレフィン類やそのエステル化物、アシル化物などの誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類、アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類、メタアクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類、炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル化合物類、トリメトキシビニルシラン等のビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル等のハロゲン化アリル化合物類、アリルアルコール、ジメトキシアリルアルコール等のアリルアルコール類、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
【0017】
特に、共重合によって一級水酸基が側鎖に導入されたEVOH樹脂は、溶融成型性が良好になる点で好ましく、中でも下記一般式(2)で表される1,2−ジオール構造を側鎖に有するEVOH樹脂が好ましい。
【化4】
【0018】
[一般式(2)において、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。]
【0019】
〜Rは、いずれも通常炭素数1〜30、特には炭素数1〜15、さらには炭素数1〜4の飽和炭化水素基または水素原子であることが好ましく、水素原子が最も好ましい。従って、R〜Rがすべて水素であるものが最も好ましい。
【0020】
〜Rに用いることができる有機基としては、特に限定されず、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の飽和炭化水素基、フェニル基、ベンジル基等の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、水酸基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、スルホン酸基等が挙げられる。
【0021】
また、一般式(2)で表わされる構造単位中のXは、代表的には単結合である。従って、上記一般式(2)で表される1,2−ジオール構造単位における最も好ましい構造は、R〜Rがすべて水素原子であり、Xが単結合である。すなわち、下記構造式(2a)で示される構造単位が最も好ましい。
【0022】
【化5】
【0023】
尚、一般式(2)におけるXは、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、結合鎖であってもよい。結合鎖としては、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素鎖(これらの炭化水素はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていても良い)の他、−O−、−(CH2O)m−、−(OCH2)m−、−(CH2O)mCH2−等のエーテル結合部位を含む構造、−CO−、−COCO−、−CO(CH2)mCO−、−CO(C64)CO−等のカルボニル基を含む構造、−S−、−CS−、−SO−、−SO−等の硫黄原子を含む構造、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−等の窒素原子を含む構造、−HPO−等のリン原子を含む構造などのヘテロ原子を含む構造、−Si(OR)−、−OSi(OR)−、−OSi(OR)2O−等の珪素原子を含む構造、−Ti(OR)−、−OTi(OR)−、−OTi(OR)O−等のチタン原子を含む構造、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−等のアルミニウム原子を含む構造などの金属原子を含む構造等が挙げられる(Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基が好ましく、またmは自然数であり、通常1〜30、好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜10である。)。これらの結合鎖のうち、製造時あるいは使用時の安定性の点から、−CHOCH−、および炭素数1〜10の炭化水素鎖が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6の炭化水素鎖、特に好ましくは炭素数1である。
【0024】
さらに、本発明で用いられるEVOH樹脂(A)としては、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化等の「後変性」されたEVOH樹脂を用いることもできる。
【0025】
[ポリテトラフルオロエチレン(B)]
本発明で用いるポリテトラフルオロエチレン(B)は、テトラフルオロエチレンを主成分とする単量体を乳化重合することにより得られるものである。
ポリテトラフルオロエチレンの特性を損なわない範囲で、共重合成分としてヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素オレフィンや、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート等の含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを含むことができる。共重合成分の含量は、テトラフルオロエチレンに対して10重量%以下であることが好ましい。
【0026】
ポリテトラフルオロエチレン(B)の分子量は、標準比重から求められる数平均分子量において100万〜1,000万、より好ましく200万〜900万である。
【0027】
ポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液におけるポリテトラフルオロエチレン(B)の粒子径は、0.05〜1.0μmであることが好ましい。
【0028】
ポリテトラフルオロエチレン粒子分散液としては、旭ICIフロロポリマー社製の商品名『フルオンAD−1,AD−936』、ダイキン工業社製の商品名『ポリフロンD−1,D−2』、三井デュポンフロロケミカル社製の商品名『テフロン30J』等を代表例として挙げることができる。
【0029】
[(メタ)アクリレート系ポリマー(C)]
本発明で用いる一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル構造単位を主構造単位とする(メタ)アクリレート系ポリマー(C)は、一般式(3)で表される単量体成分をラジカル重合あるいはイオン重合等で重合することにより得られるものである。
【0030】
【化6】
〔式中、Rは水素またはメチル基、Rは炭素数5〜30のアルキル基を示す。〕
【0031】
かかる単量体の具体例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの単量体は単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
かかる単量体と共重合可能な単量体としては、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−クロルスチレン、o−クロルスチレン、p−メトキシスチレン,o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレート系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体等を挙げることができる。これらの単量体は、単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
【0032】
本発明の樹脂組成物において、ポリテトラフルオロエチレン(B)と(メタ)アクリレート系ポリマー(C)の含有量比〔(C)/(B)〕(重量比)は、0.2以上が好ましく、0.5以上であることがより好ましい。(C)/(B)の含有量比が0.2未満ではポリテトラフルオロエチレンの分散性が低下する恐れがある。
【0033】
EVOH樹脂(A)の100重量部あたりポリテトラフルオロエチレン(B)と(メタ)アクリレート系ポリマー(C)の総重量は、通常0.1〜20重量部であり、好ましくは0.1〜10重量部であり、特に好ましくは0.1〜5重量部である。かかる含有量が低すぎた場合は、EVOH樹脂組成物中でポリテトラフルオロエチレン成分が微細フィブリル状に均一分散せず、レトルト処理中にEVOH樹脂組成物が溶け出す傾向があり、逆に高すぎた場合は、ガスバリア性が不足する傾向がある。
【0034】
本発明の樹脂組成物において、ポリテトラフルオロエチレン(B)と(メタ)アクリレート系ポリマー(C)を含有する樹脂組成物は、ポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液と(メタ)アクリレート系ポリマー粒子水性分散液とを混合して凝固またはスプレードライする製法(α)により粉体として得られる。また、ポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液と(メタ)アクリレート系ポリマー粒子水性分散液とを混合した分散液中でさらにエチレン性不飽和結合を有する単量体を重合した後に凝固またはスプレードライする製法(β)によっても粉体として得られる。
【0035】
上記製法(β)のエチレン性不飽和結合を有する単量体としては、特に制限はなく、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−クロルスチレン、o−クロルスチレン、p−メトキシスチレン,o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン単量体;ブタジエン、イソプレン、プレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体等の中から選択することができる。これらの単量体は、単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
【0036】
ポリテトラフルオロエチレン(B)および(メタ)アクリレート系ポリマー(C)を含有する樹脂組成物としては、三菱レイヨン株式会社製の商品名『メタブレン A3000』等を代表例として挙げることができる。
【0037】
〔その他の添加物〕
本発明の樹脂組成物は、本発明の趣旨を阻害しない範囲(例えば1重量%以下)において、上記成分以外に可塑剤、フィラー、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、着色剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、滑剤等の公知の添加剤を適宜配合することができる。
【0038】
〔樹脂組成物の調製方法〕
本発明の樹脂組成物は、EVOH樹脂(A)に、ポリテトラフルオロエチレン(B)、(メタ)アクリレート系ポリマー(C)を混合することによって調製できる。かかる混合方法としては、ドライブレンド、溶融混合法、溶液混合法等が挙げられる。生産性の点からは溶融混合法が好ましい。
溶融混合法としては、例えば、各成分を一括にドライブレンドした後に溶融して混合する方法や、予めポリテトラフルオロエチレン(B)と(メタ)アクリレート系ポリマー(C)を含有する樹脂組成物を上述の製法(α)または製法(β)によって製造し、これをEVOH樹脂(A)とドライブレンドした後に溶融して混合する方法が挙げられる。
また、溶融混合には、例えば、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、プラストミルなどの公知の混練装置を使用して行うことができるが、通常は単軸又は二軸の押出機を用いることが工業上好ましく、また、必要に応じて、ベント吸引装置、ギヤポンプ装置、スクリーン装置等を設けることも好ましい。
【0039】
また、ポリテトラフルオロエチレン(B)、(メタ)アクリレート系ポリマー(C)をEVOH樹脂(A)の一部を混合しマスターバッチを作成した後、残部のEVOH樹脂(A)をさらに添加、混合するなどの多段階の混合も可能である。
【0040】
溶融混練温度としては、通常、押出機及びダイの設定温度として170〜250℃の範囲であり、好ましくは180〜240℃、特に好ましくは180〜230℃である。かかる温度が低すぎた場合には、樹脂が未溶融状態となり、加工状態が不安定になる傾向があり、高すぎた場合には、樹脂組成物が熱劣化して、得られる成形品の品質が低下する傾向にある。
【0041】
〔樹脂組成物の用途〕
本発明の樹脂組成物は、溶融成形により例えばフィルム、シート、カップやボトルなどに成形することができる。かかる溶融成形方法としては、押出成形法(T−ダイ押出、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、異型押出等)、射出成形法が主として採用される。溶融成形温度は、通常150〜300℃の範囲から選ぶことが多い。
【0042】
成形物はそのまま各種用途に用いてもよいが、通常はさらに強度を上げたり他の機能を付与したりするために他の基材と積層して積層体とする。
かかる他の基材としては熱可塑性樹脂が有用である。熱可塑性樹脂としては例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン類、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のポリオレフィン類、これらポリオレフィン類を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したグラフト化ポリオレフィン類、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂(共重合ポリアミドも含む)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のハロゲン化ポリオレフィン、芳香族または脂肪族ポリケトン、更にこれらを還元して得られるポリアルコール類等が挙げられるが、積層体の物性(特に強度)等の実用性の点から、ポリオレフィン系樹脂やポリアミド系樹脂が好ましく、特にはポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく用いられる。
【0043】
これら基材樹脂には、本発明の趣旨を阻害しない範囲において、従来知られているような酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、核材、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、ワックス等を含んでいても良い。
【0044】
本発明の樹脂組成物を他の基材と積層するときの積層方法は公知の方法にて行うことができる。例えば、本発明の樹脂組成物のフィルム、シート等に他の基材を溶融押出ラミネートする方法、逆に他の基材に該樹脂を溶融押出ラミネートする方法、該樹脂と他の基材とを共押出する方法、該樹脂(層)と他の基材(層)とを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法、他の基材上に該樹脂の溶液を塗工してから溶媒を除去する方法等が挙げられる。
これらの中でも、コストや環境の観点から考慮して共押出しする方法が好ましい。
【0045】
積層体の層構成は、本発明の樹脂組成物含有層をa(a1、a2、・・・)、熱可塑性樹脂含有層をb(b1、b2、・・・)とするとき、a/bの二層構造のみならず、b/a/b、a/b/a、a1/a2/b、a/b1/b2、b2/b1/a/b1/b2、b2/b1/a/b1/a/b1/b2等任意の組み合わせが可能である。また、該積層体を製造する過程で発生する端部や不良品当等を再溶融成形して得られる、該EVOH樹脂組成物と熱可塑性樹脂の混合物を含むリサイクル層をRとするとき、b/R/a、b/R/a/b、b/R/a/R/b、b/a/R/a/b、b/R/a/R/a/R/b等とすることも可能である。
【0046】
なお、上記の層構成において、それぞれの層間には、必要に応じて接着性樹脂層を設けることができ、かかる接着性樹脂としては、公知ものを使用すればよい。かかる接着性樹脂はbの樹脂の種類によって異なるため、適宜選択すればよいが、代表的には不飽和カルボン酸またはその無水物をポリオレフィン系樹脂に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体を挙げることができる。例えば、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体等であり、これらから選ばれた1種または2種以上の混合物が好ましい。またこれらの接着性樹脂には、EVOH組成物や他のEVOH、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレンゴム等のゴム・エラストマー成分、さらにはb層の樹脂等をブレンドすることも可能である。特に、接着性樹脂の母体のポリオレフィン系樹脂と異なるポリオレフィン系樹脂をブレンドすることにより、接着性が向上することがあり有用である。
【0047】
上記の如き積層体は、次いで必要に応じて(加熱)延伸処理が施されるわけであるが、かかる(加熱)延伸処理とは熱的に均一に加熱されたフィルム、シート状の積層体をチャック、プラグ、真空力、圧空力、ブローなどにより、チューブ、フィルム状に均一に成形する操作を意味する。前記延伸は、一軸延伸、二軸延伸のいずれであってもよく、二軸延伸の場合は同時延伸であっても逐次延伸であってもよい。
【0048】
延伸方法としてはロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法、真空圧空成形等のうち延伸倍率の高いものも採用できる。二軸延伸の場合は同時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式のいずれの方式も採用できる。延伸温度は通常40〜170℃、好ましくは60〜160℃程度の範囲から選ばれる。延伸温度が低すぎた場合は延伸性が不良となり、高すぎた場合は安定した延伸状態を維持することが困難となる。
【0049】
なお、延伸後に寸法安定性を付与することを目的として、次いで熱固定を行ってもよい。熱固定は周知の手段で実施可能であり、例えば上記延伸フィルムを、緊張状態を保ちながら通常80〜180℃、好ましくは100〜165℃で通常2〜600秒間程度熱処理を行う。
また、本発明の樹脂組成物から得られた多層延伸フィルムをシュリンク用フィルムとして用いる場合には、熱収縮性を付与するために、上記の熱固定を行わず、例えば延伸後のフィルムに冷風を当てて冷却固定するなどの処理を行う。
【0050】
積層体の熱可塑性樹脂層および接着性樹脂層の厚みは、層構成、熱可塑性樹脂の種類、接着性樹脂の種類、用途や包装形態、要求される物性などにより一概に言えないが、熱可塑性樹脂層は通常10〜1000μm、好ましくは50〜500μm、接着性樹脂層は5〜500μm、好ましくは10〜250μm程度の範囲から選択される。
【0051】
また、本発明の樹脂組成物含有層の厚みは要求されるガスバリア性などによって異なるが、通常は5〜500μmであり、好ましくは10〜250μm、特に好ましくは20〜100μmであり、かかる厚みが薄すぎると十分なガスバリア性が得られない傾向があり、逆に厚すぎるとフィルムの柔軟性が不足する傾向にある。
【0052】
得られた積層体に、さらに他の基材を押出コートしたり、他の基材のフィルム、シート等を接着剤を用いてラミネートする場合、かかる基材としては前記の熱可塑性樹脂以外にも任意の基材(紙、金属箔、一軸又は二軸延伸プラスチックフィルム又はシートおよびその無機化合物蒸着物、織布、不織布、金属綿状、木質等)が使用可能である。
【0053】
上記の如く得られたフィルム、シート、延伸フィルムからなる袋およびカップ、トレイ、チューブ、ボトル等からなる容器や蓋材は、一般的な食品の他、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、飲料、化粧品、医薬品等の各種の包装材料容器として有用である。
【実施例】
【0054】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、実施例の記載に限定されるものではない。
尚、例中「部」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
【0055】
<実施例1>
〔EVOH樹脂組成物の製造〕
EVOH樹脂(A)として、エチレン構造単位含有率32モル%、ケン化度99.6モル%、MFR3g/10分(210℃、荷重2160g)のエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物、ポリテトラフルオロエチレン(B)および(メタ)アクリレート系ポリマー(C)を含有する樹脂組成物として、三菱レイヨン株式会社製の商品名『メタブレン A3000』を用いた。
上記(A)99部と、(B)および(C)を含有する樹脂組成物1部をドライブレンドした後に、二軸押出機のホッパーに供給し、ミキシングゾーン2箇所を有する二軸押出機(φ30mm、L/D=56)にて、溶融混練(押出機設定温度:C1/C2/C3/C4/C5/C6/C7〜C16/H/D=120/180/180/200/230/230/220/220/220℃)後、ストランド状に押出し、カットして、樹脂組成物の円柱形ペレットを得た。
【0056】
〔積層フィルムの製造〕
上記で製造したEVOH樹脂組成物のペレット、ポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製の商品名『ノバテックPP EA7A』)、接着性樹脂(三井化学株式会社製の商品名『アドマーQF500』)を用いて、3種5層型の積層フィルム(ポリプロピレン層/接着性樹脂層/EVOH樹脂組成物層/接着性樹脂層/ポリプロピレン層)を製膜した。
3種5層型の積層フィルムは、押出機を3台有し、3種5層型フィードブロック、多層フィルム成形用ダイおよび引取機を有する共押出多層フィルム成形装置(ダイ温度は全て210℃)を用いて、冷却水の循環するチルロールにより冷却しながら、共押出法により製造した。得られた積層フィルムの各層の厚みは、ポリプロピレン層/接着性樹脂層/EVOH樹脂組成物層/接着性樹脂層/ポリプロピレン層=50μm/10μm/20μm/10μm/50μmである。
【0057】
上記で得られた積層フィルムについて、以下の評価を行った。
【0058】
・ ガスバリア性の評価
上記で得られた積層フィルムを、温度20℃,相対湿度90%の状態で、モコン社製Ox−Tran 2/21によって酸素透過量を測定した。
(2)レトルト処理による溶出度合いの評価
上記で得られた積層フィルムを、レトルト処理装置(日阪製作所「RCS-40RTGN」)を用いて120℃でレトルト処理を90分間実施した後、レトルト処理による溶出度合いを、シート端部の溶出状態から目視により評価した。
【0059】
<比較例1>
実施例1において、EVOH樹脂組成物の代わりに、EVOH樹脂(A)単独を用いた以外は、実施例1と同様に積層フィルムを作製し、同様に評価した。
【0060】
<比較例2>
実施例1において、EVOH樹脂(A)に配合する成分として、ポリテトラフルオロエチレン(B)および(メタ)アクリレート系ポリマー(C)を含有する樹脂組成物の代わりに、ポリテトラフルオロエチレン(B)のみを含有する樹脂:ダイキン工業株式会社製の商品名『ポリフロンTFE−F104』を用いた以外は、実施例1と同様に積層フィルムを作製し、レトルト処理による溶出度合いを評価した。
【0061】
酸素透過量とレトルト処理による溶出度合いの評価結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
表1からわかるように、EVOH樹脂(A)に、ポリテトラフルオロエチレン(B)および(メタ)アクリレート系ポリマー(C)を配合するEVOH樹脂組成物を積層フィルムに用いた場合(実施例1)、レトルト処理によるシート端部の溶出度合いが良好であった。また、酸素透過量も良好であった。
【0064】
一方で、EVOH樹脂(A)単独を積層フィルムに用いた場合(比較例1)、レトルト処理によるシート端部の溶出度合いが多い結果となった。
【0065】
また、EVOH樹脂(A)に、(メタ)アクリレート系ポリマー(C)を配合せずに、ポリテトラフルオロエチレン(B)のみを配合するEVOH樹脂組成物を積層フィルムに用いた場合(比較例2)、レトルト処理によるシート端部の溶出度合いが多い結果となった。
【0066】
以上より、(メタ)アクリル酸エステル構造単位を主構造単位とする(メタ)アクリレート系ポリマー(C)が、EVOH樹脂(A)中での繊維化したポリテトラフルオロエチレン(B)の分散性を高めることで、EVOH樹脂(A)に、繊維化したポリテトラフルオロエチレン(B)が均一に分散することにより、EVOH樹脂(A)に、ポリテトラフルオロエチレン(B)および(メタ)アクリレート系ポリマー(C)を配合するEVOH樹脂組成物は、レトルト処理による溶出を抑制することができたと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明のEVOH樹脂組成物は、ロングラン性が良好であり、かつレトルト処理によるEVOH樹脂の溶出が少ないことから、レトルト処理用の包装用フィルムに好適である。