(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載の方法であって、前記測定および監視する工程は、電離箱、CZT結晶検波器、Geiger−Mullerカウンタ、およびシンチレーションカウンタのうちの一つによって実施されるものである方法。
請求項14記載の放射性医薬流体送達装置において、前記制御ユニットは、さらに、生理食塩水の容積および生理食塩水の流量のうち少なくとも一つの調節によって前記送達問題の解消ができなかったことに応答して、前記放射性医薬品の注入処置を停止するように構成されている放射性医薬流体送達装置。
請求項13記載の放射性医薬流体送達装置であって、前記制御ユニットは、さらに、前記使い捨て投与セットの前記一部内に残存する前記放射性医薬品の放射線量の表示を前記表示ユニットに表示させるように構成されている放射性医薬流体送達装置。
請求項16記載の放射性医薬流体送達装置であって、前記使い捨て投与セットの前記一部内に残存する前記放射性医薬品の放射線量の表示は、数値表示、棒グラフ、x−yプロット、および散布図のうち少なくとも一つである放射性医薬流体送達装置。
請求項18記載の放射性医薬流体送達装置であって、前記コイル構成要素は、前記使い捨て投与セットの一部であり、それにより、前記放射線量測定ユニットが前記放射線量レベルを決定するように動作するものである放射性医薬品流体送達装置。
【発明を実施するための形態】
【0035】
これ以降の明細書の目的で、「上側」、「下側」、「右側」、「左側」、「垂直」、「水平」、「上部」、「下部」、「横方向」、「縦方向」という用語、およびその派生語は、図面で開示された実施形態の向きに関連するものとする。ただし、明示的にそれに反する記載がある場合を除き、実施形態は代替的な変形物および手順の配列を仮定しうることが理解されるべきである。また、添付した図面で図示し、および下記の明細で描写した特定の装置およびプロセスは、単に例示的実施形態であることも理解される。よって、本明細書で開示された実施形態に関連する具体的な寸法およびその他の物理的特性は、限定的なものとはみなされないものとする。
【0036】
開示された実施形態は、そうではないことが明示的に指定されている場合を除き、様々な代替的な変形および手順の順序が想定されることが理解される。また、添付した図面に図示され、以下の明細書に描写された特定の装置およびプロセスは、単に例示的実施形態であることが理解されるものとする。
【0037】
本書で開示したシステムと併用するための一つの例示的な放射性医薬品流体送達システムは、米国特許出願刊行物第2008/0177126号(Tateほか)に開示があり、その開示内容を参照することで本明細書に組み込む。さらに具体的に言えば、
図1A〜1Fはこうした放射性医薬品流体送達システム10の例示的実施形態を示す。流体送達システム10は、システムを移動可能とするためのホイール13および/またはキャスター12を持つカート様の装置9として構成しうる。一つまたは複数のホイール 13はロック可能として、いったん所定位置となったら、システム10の移動を阻止しうる。システム10はまた、オペレータがシステム10の移動または位置決めをできるように、一つまたは複数のハンドル14が含まれることが望ましい。別の方法として、流体送達システム10は、単独動作の、または固定位置の装置としうる。
【0038】
流体送達システム10には、システム10のプログラミングおよび操作のためのディスプレーまたはグラフィカルユーザーインタフェース(GUI)15が含まれる。
GUI 15は、システム10のハンドル14(図のとおり)のうち一つに取り付けうる。ディスプレー15は、カラーディスプレーとすることができ、また本技術分野で周知のとおり、使いやすくするためにタッチスクリーン機能を組み込むことができる。ディスプレー15は固定とすることもできるが、ジョイント16に旋回できるように結合する可動アーム11の手段により、流体送達システム10(図のとおり)に対して旋回できるように結合することが望ましい。さらに、
GUI 15は、アーム11に対して傾けたり、旋回させてオペレータによる最適な
GUI 15の位置決めができるようにしうる。
【0039】
図1Fを特に参照するが、GUIタッチスクリーンディスプレー15は、流体送達システム10の注入処置の制御に使用されるコンピューティングシステム環境1002におけるコンピュータ1000として実施される制御システム5の一部としうる。 適切であれば任意のコンピューティング装置を流体送達システム10の制御に使用しうるが、一つのコンピューティングシステムおよびコンピューティングシステム環境1002の例示的実施形態について、これ以降
図1Fを参照しながら考察する。このコンピューティングシステム環境1002には、限定はされないものの、適切な動作、コードの実行、およびデータの生成や通信のための一定の構成要素を持つ少なくとも一台のコンピュータ1000が含まれうる。たとえば、コンピュータ1000には、適切なデータの形態および形式で受信したコンピュータベースの命令を実行する役割を果たす処理装置1004(一般に「中央処理装置」または「CPU」という)が含まれる。さらに、この処理装置1004は、コンピュータベースの命令を適切に実装するためにコードを直列、並列またはその他任意の方法で実行する複数のプロセッサの形態としうる。
【0040】
コンピュータ1000の様々な構成要素間での適切なデータ通信および情報の処理を促進するために、システムバス1006が利用される。システムバス1006は、多様な任意のバスアーキテクチャを使用したメモリバスまたはメモリコントローラ、周辺バス、またはローカルバスを含めたいくつかのタイプのバス構造のうち任意のものとしうる。特に、システムバス1006は、これ以降で考察するとおり、各種のインターフェイスを経由した様々な構成要素(コンピュータ1000の内部であるか外部であるかによらない)間でのデータおよび情報の通信を促進する。
【0041】
コンピュータ1000には、種々の個別のコンピュータ読取可能媒体構成要素が含まれうる。たとえば、このコンピュータ読取可能媒体には、揮発性媒体、不揮発性媒体、取り外し可能媒体、取り外し不可能媒体など、コンピュータ1000によるアクセスが可能な任意の媒体が含まれうる。さらなる例として、このコンピュータ読取可能媒体には、コンピュータ読取可能命令、データ構造、プログラムモジュール、またはその他のデータなど、情報の保管のために任意の方法または技術で導入された媒体などのコンピュータ記憶媒体や、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、電気的に消去可能なプログラム可能読取専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、またはその他のメモリ技術、CD−ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、またはその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置、またはその他の磁性記憶装置、または希望する情報を保管するために使用可能で、コンピュータ1000によってアクセスが可能なその他任意の媒体が含まれうる。さらに、このコンピュータ読取可能媒体には、コンピュータ読取可能命令、データ構造、プログラムモジュール、または搬送波またはその他の伝送機構など変調データ信号でのその他のデータなどの通信媒体や、任意の情報伝達媒体、有線媒体(有線ネットワークおよび直接接続など)、および無線媒体(音響信号、高周波信号、光信号、赤外線信号、バイオメトリック信号、バーコード信号など)が含まれうる。もちろん、上記の任意の組合せも、コンピュータ読取可能媒体の範囲内に含まれることになる。
【0042】
コンピュータ1000には、さらにROMおよびRAMなどの揮発性および不揮発性メモリの形態でのコンピュータ記憶媒体を備えたシステムメモリ1008が含まれる。適切なコンピュータベースのルーチンを備えた基本入出力システム(BIOS)は、コンピュータ1000内の構成要素間での情報の転送を支援し、通常はROM内に格納されている。システムメモリ1008のRAM部分には、一般にたとえば、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラミングインターフェース、アプリケーションプログラム、プログラムモジュール、プログラムデータ、およびその他の命令ベースのコンピュータ読取可能コードなどの処理装置1004によって、直ちにそれへのアクセスが可能であるか、現時点でそれ上で動作しているデータおよびプログラムモジュールが含まれる。
【0043】
コンピュータ1000にはまた、その他の取り外し可能または取り外し不可能、揮発性または不揮発性のコンピュータ記憶媒体製品も含まれうる。たとえば、コンピュータ1000には、ハードディスクドライブ1012と通信しそれを制御する取り外し不可能なメモリインターフェース1010(すなわち、取り外し不可能な不揮発性磁気媒体)、磁気ディスクメモリユニット1016(取り外し可能な不揮発性磁気ディスク1018との間での読み取りおよび書き込みをする)と通信しそれを制御する取り外し可能な不揮発性メモリインターフェース1014、光ディスクドライブユニット1020(取り外し可能な不揮発性光ディスク、CD ROM1022などとの間の読み取りおよび書き込みをする)、取り外し可能記憶カード1023と接続するために使用されるユニバーサルシリアルバス(USB)ポートなどが含まれうる。ただし、その他の取り外し可能または取り外し不可能な揮発性または不揮発性のコンピュータ記憶媒体を例示的なコンピューティングシステム環境1002で使用できることが想定されるが、これには、限定はされないものの、磁気テープ カセット、DVD、デジタルビデオテープ、
ソリッドステートRAM、
ソリッドステートROMなどがある。これらの様々な取り外し可能または取り外し不可能、揮発性または不揮発性の磁気媒体は、処理装置1004およびコンピュータ1000のその他の構成要素とシステムバス1006を経由して通信されている。上記で考察し
図1Fに図示したドライブおよびそれらに関連するコンピュータ記憶媒体は、オペレーティングシステム、コンピュータ読取可能命令、アプリケーションプログラム、データ構造、プログラムモジュール、プログラムデータ、およびコンピュータ1000用のその他の命令ベースのコンピュータ読取可能コード(それが複製であるか、またはシステムメモリ1008内の情報およびデータに関するものではないかによらない)の格納をする。
【0044】
流体送達システム10のオペレータが、コマンド、情報、およびデータを、GUIディスプレー15のタッチスクリーンを使用して、オペレータ入力インターフェース1028を経由してコンピュータ1000に入力することが望ましい。ただし、オペレータが、コマンド、情報、およびデータをキーボード1024、マウス1026などその他の取り付け可能または操作可能な入力装置により、オペレータ入力インターフェース1028を経由して、コンピュータ1000に入力しうることも想定されてきた。もちろん、外部の供給源からコンピュータ1000へのデータおよび情報の入力を促進する任意の方法を含めて、たとえば、マイクロフォン、トラックボール、ジョイスティック、タッチパッド、スキャナーなどといった種々の入力装置を利用しうる。考察したとおり、これらおよびその他の入力装置は、システムバス1006に結合されたオペレータ入力インターフェース1028によって処理装置1004に統合されることがよくあるが、パラレルポート、ゲームポート、またはUSBなどのその他のインターフェースおよびバス構造によって結合しうる。またさらに、データおよび情報は、インテリジェントな形態または形式で、GUIディスプレー15(この情報およびデータを電子的形態で視覚的に表示)、プリンター1032(この情報およびデータを印刷形式で物理的に表示)、スピーカー1034(この情報およびデータを可聴形式で聞こえるように提示)など一定の出力装置によって、オペレータに提示または供給できる。これらの全ての装置は、コンピュータ1000と、システムバス1006に結合された出力インターフェース 1036を経由して通信される。こうした任意の周辺出力装置が情報およびデータをオペレータに供給するために使用されることが想定される。
【0045】
コンピュータ1000は、ネットワーク環境1038内で、コンピュータと一体であるか、またはそこから離れた場所にある通信装置1040を使用することにより動作しうる。この通信装置1040は、コンピュータ1000のその他の構成要素と、通信インタフェース1042を経由して操作され、通信がなされる。こうした方法を使用して、コンピュータ1000は、病院情報システムのリモートコンピュータ1044など、一つまたは複数のリモートコンピュータと接続、またはその他の方法で通信がなされるが、これには、一般には、コンピュータ1000に関連して上記で説明した構成要素の多くまたは全てが含まれる。たとえば、モデム、ネットワークインターフェース、またはアダプターなど、適切な通信装置1040を使用して、コンピュータ1000は、ローカルエリアネットワーク(LAN)やワイドエリアネットワーク(WAN)内部で動作したり、それを経由して通信ができるが、仮想プライベートネットワーク(VPN)、オフィスネットワーク、企業ネットワーク、イントラネット、インターネットなど、その他のネットワークも含まれうる。当然のことながら、図示したネットワークの接続は、例示的なものであり、コンピュータ1000、1044間で通信リンクを確立するその他の手段も使用しうる。
【0046】
本書で使用するとき、コンピュータ1000は、本明細書で開示された方法およびシステムの処理手順を含むか、またはそれらの手順を実行・実装するために適切な特注設計または従来的なソフトウェアを実行して動作し、それによって特化された特定のコンピューティングシステムを形成する。したがって、現時点で発明されている方法およびシステムには、処理装置1004に、本明細書で考察した方法、プロセス、および変形データ操作を実行、設定、またはその他の方法で実装させるコンピュータ読取可能なプログラムコードまたは命令を格納する能力のあるコンピュータ読取可能な記憶媒体を備えた、一つまたは複数のコンピュータ1000または類似したコンピューティング装置が含まれうる。なおさらに、コンピュータ1000は、流体送達システム10に連結されたパーソナルコンピュータ、流体送達システム10と一体を形成するプロセッサ、流体送達システム10から離れた場所に提供されたコンピュータ、またはデータを適切に処理し、現時点で発明されているコンピュータを導入した方法およびシステムを効果的に実装するために必要な処理用ハードウェアを備えた、その他任意のタイプのコンピューティング装置の形態としうる。
【0047】
図1A〜1Eに戻るが、流体送達システム10には、ラッチ解除1(
図1Dおよび1Eを参照)を含む一次ハンドルと、二次ハンドル21を持つ、格納式のリッドまたはカバー20が含まれうる。リッド20は、ウェルやトラフなど、注入処置中にその中にバイアル、または医薬品または放射性医薬品(下記でさらに詳細に考察)および複数患者流路セット200(以降「MPDS」といい、下記でさらに詳細に考察)の様々な構成要素の容器を配置しうる(
図4Cの902を参照)、複数の陥凹のある部分を画定する上部表面103をカバーしうる。組み合わせまたはキーロック(非表示)などのロック機構は、たとえば、許可のないスタッフによるシステム10の使用またはアクセスを阻止するために、リッド20を閉じた位置でロックするために使用される。別の実施形態において、ロック機構は、ディスプレー15によってアクセス可能で、カバーを閉じた位置にロックしたり、および/または許可のないスタッフによるシステム10へのアクセスやその操作を阻止するために適応された、パスワード保護されたアクセスポイントなど、ソフトウェア実装したロックとしうる。
【0048】
リッド20は、流体送達システム10からのバイアルまたは容器902およびMPDS 200の挿入および取り外しができるように、カート9に対して、スライド可能または格納可能である(たとえば、一次ハンドルおよびラッチ解除1を使用して)。リッド20、上部表面103、およびカート9の様々なその他の部分には、放射性医薬品からオペレータへの潜在的な放射線被爆を最小限に抑えるために、適切な放射線量遮蔽物(鉛など)が含まれることが望ましい。この様に、放射性医薬品バイアル902およびMPDS 200の構成要素は、表面103の平面より下に位置することができ、その上に、表面103またはその一つまたは複数の部分を、使用時にオペレータまたはその他の医療関係者への放射線被爆を制限するために、リッド20によってカバーされうる。さらに、格納式のリッド20の代わりに、表面103自体を、流体送達システム10(たとえば、引き出し型の機構)の部分上に配置して、スライドして流体送達システム10の残りの部分で置き換えるようにできる。
【0049】
図1A、1B、および1Dにさらに示すとおり、流体送達システム10には、蠕動ポンプ22などのポンピング機構、取り外し可能/交換可能な薬液供給源23(生理食塩水など)、プリンター1032などの出力装置、および割り込みボタン25が含まれる。蠕動ポンプ22は、
図1Aでは閉じた位置で図示しているが、流体を患者に注入するために薬液供給源23と流体連通したチュービング27(1Cおよび2Aを参照)の全長を受けるために、開くこともできる(
図1B、1C、および2Bを参照)(下記でさらに詳細に考察)。蠕動ポンプ22が現時点で望ましいが、ピストン駆動注入器ポンプ、歯車ポンプ、回転ポンプ、またはインラインポンプなど、適切な任意のタイプのポンピング機構を使用しうる。
【0050】
プリンター1032は、患者の診療記録に含めるか、または請求書作成またはたな卸しの目的で、患者に対して実施した注入および/または撮像手順の記録を生成するために使用しうる。プリンター1032は、システム10に対して旋回するように結合させて(
図1Bを参照)、オペレータが紙またはラベルをプリンター1032に装填できるようにできる。
【0051】
割り込みボタン25により、オペレータは、たとえば、患者の不快感または緊急事態の発生時に、GUIディスプレー15(これによっても注入処置の一時停止または終了が操作できる)に助けを借りることなく、迅速かつ容易に注入処置を一時停止または終了できる。割り込みボタン25は、LEDおよび/またはプリント基板と結合させて、割り込みボタン25が起動されたときに視覚的および/または聴覚的アラームを提供させうる。
【0052】
図1C〜1F、2A、および2Bに移るが、流体送達システム10の、上部表面103、MPDS 200、バイアルアクセスシステム600、および単一患者用流体経路セット 700(以降「SPDS」という)を含む、追加的な機能および構成要素について考察する。
【0053】
図1Cに示すとおり、上部表面103は一般に、ウェルおよび陥凹またはトラフを画定し、その中にMPDS 200の様々な構成要素が位置する。具体的には、第一の陥凹またはトラフ107は、MPDS 200の第一のチュービング部分204と、チュービング部分204を保持し、ねじれたり、たとえば、SPDS 700ともつれたりしないようにするためのチュービングホルダー150とを収容する。第一のチュービング部分204には、蠕動ポンプ22内に配置され、薬液供給源23と流体連通する
チュービング27の全長も含まれる。
【0054】
第一のトラフ107は、蠕動ポンプなどの第二のポンピング機構180と、MPDS 200のTコネクター205(逆止め弁214、215を含む)を収容する第二の陥凹またはトラフ113につながる。
図1Cに示すとおり、第二のトラフ113も、バイアルアクセスシステム600と、バイアルシールドまたはピグ554(下記でさらに詳細に考察)に配置された放射性医薬品バイアルまたは容器902とを収容する第一のウェル111と、流体送達システム10用の線量キャリブレータまたは電離箱160を収容する第二のウェル121とにつながる。
図1Dおよび3Fに示すとおり、電離箱160は、MPDS 200のコイル組立品400を収容することが望ましい(下記でさらに詳細に考察)。システムは、放射性医薬流体の放射線量を検出するための電離箱160を含めたものとして描写されているが、限定はされないものの、CZT結晶検波器、Geiger−Mullerカウンタ、シンチレーションカウンタ、および米国特許出願第12/664,653号(これを参照することにより本明細書に組み込む)に開示のある放射型センサーなどの放射型検出器などの、適切な任意の放射線量検出器を使用しうるため、本開示の範囲を限定するものとはみなされない。
【0055】
第三の陥凹またはトラフ125は、第二のウェル121から第三のウェル127に伸び、さらに流体送達システム10の表面103に沿って伸びている。トラフ125は、MPDS 200のTコネクター222と、2個のピンチ弁170、172と、空気検出器174と、MPDS 200の結合装置側端部228を保持するためのマウントまたはリテイナー176とを収容する。ピンチ弁170、172は、流体送達システム10により電源供給および制御がなされるが、代替的に手動で操作ができる。代替的な別の実施形態において、MPDS 200のピンチ弁170、172およびTコネクター222は、手動または自動化された三方コックで置き換えることができる。
【0056】
第三のウェル127は、たとえば、注入処置のためにシステム10を準備するためのプライミング処置(下記でさらに詳細に考察)時に廃棄した薬液および/または医薬品を受けるための、廃棄物受け容器または袋224を収容する。
【0057】
図1Cに示すとおり、SPDS 700には、MPDS 200の結合装置側端部228に取り付けられた第一の端部702と、たとえば、患者の静脈構造内に配置されたカテーテル(非表示)に取り付け可能なルアー結合装置を備えた患者側端部704とを持つ、チュービングの全長(望ましくはコイル付き、図示のとおり)が含まれる。下記でさらに詳細に考察するとおり、MPDS 200は、複数の患者に使用しうるが、SPDS 700は、患者ごとに使用して、たとえば、患者間での相互汚染を阻止するために、単一の患者での使用後に廃棄することが意図される。
【0058】
図1A〜1Eを検討すると認識できるとおり、リッド20の二次ハンドル21は、リッド20およびハンドル21が閉じてMPDS 200をカバーするとき、チュービングホルダー150およびマウント176の上に位置する。二次ハンドル21は、カバー20を収納することなく、反転させて開くことができ(
図1Aに示す閉じた位置から)、オペレータは、SPDS 700をMPDS 200に接続できる(下記でさらに詳細に考察するとおり)。
図1Cで最もよく示されているとおり、SPDS 700は、閉じたときに、二次ハンドル21の下に配置しうる。
【0059】
流体送達システム10にはさらに、システム10の動作を制御するために、GUI 15、ポンプ22、180、線量キャリブレータまたは電離箱160、割り込みボタン25、空気検出器174、プリンター1032、およびそれぞれピンチ弁170、172用のモーター30、31(
図3Fを参照)を含む、その様々な構成要素と通信するシステムコントローラ5(
図1Dおよび1Eを参照)が含まれる。システムコントローラ5は、
図1Fを参照して上記でより詳細に考察したとおり、コンピュータ1000として実施しうる。
【0060】
認識できるとおり、上部表面103に形成されたウェルおよびトラフは、MPDS 200、または放射性医薬品バイアル902、バイアルシールド554、バイアルアクセスシステム600、電離箱160、廃棄物受け容器224などそれに属するその他の構成要素の長さ、設計、または構成について適切なサイズ、構成、または配置ができる。
【0061】
図1Cは、いかなる方法でも、上述の陥凹のある部分またはMPDSの構成要素の寸法または相対的寸法を
示す意図はないことを理解すべきであり、そうではなく、
図1Cは、こうした陥凹のある部分の互いの一般的な位置関係を伝達するものである。
【0062】
図1Cに関連して表示・描写した陥凹のある部分は、全体を適切な放射線量遮蔽物で包んで、オペレータへの被爆をさらに最小化されることが理解・認識されるべきである。
【0063】
ここで
図2Aおよび2Bに移るが、MPDS 200の実施形態 およびその構成要素について考察する。さらに、MPDS 200で使用されているコイル組立品400の具体的な詳細を、
図3A〜3Fおよび
図1Dに関連して表示・描写する。
【0064】
全般的な概要として、少なくとも一つの実施形態に基づくMPDS 200により、FDG(またはその他の放射性医薬品)がバルクの放射性医薬品バイアル902から引き出され、コイル組立品400内に配置され、電離箱160でコイル組立品400内での放射線量量を測定できる。システムが希望する放射線量レベルを持つ用量を準備すると、流体送達システム10は、FDG用量を患者(SPDS 700を経由して)に送達する。
【0065】
一般に、MPDS 200は、(1)薬液または生理食塩水の構成要素と、(2)FDGまたは医薬品の構成要素と、(3)コイル組立品構成要素と、(4)廃棄物構成要素の4つの構成要素の観点から考慮できる。生理食塩水構成要素は、バルク供給源23から(たとえば、蠕動ポンプ22を経由して)、生理食塩水を引き出す。次にこれが、MPDS 200(すなわち、そこから空気を除去する)のプライミングと、電離箱160内のコイル組立品400内でのFDGの位置決めと、さらに用量の患者への送達に使用される。
【0066】
FDG構成要素は、FDGをバルクの放射性医薬品バイアル902から(たとえば、蠕動ポンプ180を経由して)引き出し、それを電離箱160への流路内に配置する役割をする。
【0067】
コイル組立品構成要素は、放射性医薬品の位置決めをして、その放射線量レベルが電離箱160によって最適に測定できるようにするために使用されている。コイル組立品400の配列によって(下記でさらに詳細に考察するとおり)、放射性医薬品は、電離箱160の「直線領域」内で最適に方向付けおよび位置づけができ、さらに正確にその放射線量レベルの測定をして、患者への注入のための最適な用量を準備できるようになる。
【0068】
廃棄物構成要素は、プライミングおよび用量調製手順で廃棄された、生理食塩水流体および/または放射性医薬品を保持するが、これは、流路および患者への注入のための医薬品用量の準備のために実施される。
【0069】
図2Aは、一つの実施形態に従ったMPDS 200を模式的に図示したものである。
図2Aに示すMPDS 200は、図示したとおり事前に結合させることができ、希望に応じて、流体送達システム10などの、注入装置で使用するための無菌のパケットまたは容器に当初は保管しうる。MPDS 200を注入装置に組み込むことができる方法の非限定的かつ例証的な認識するために、
図1A〜1Eおよび2Bへの同時参照をしうる(その考察については上述)。
【0070】
MPDS 200の主な構成要素には、図示のとおり、MPDS 200を薬液または生理食塩水溶液23に接続するためのスパイク202と、FDG供給源またはその他の放射性医薬品と接続するための通気カニューレ208と、コイル組立品400と、生理食塩水溶液23、放射性医薬品供給源、およびコイル組立品400を流体で接続するための逆止め弁214、215付きのTコネクター205と、廃棄物袋224と、結合装置側端部228と、コイル組立品400、廃棄物袋224、および結合装置側端部228を流体で接続するためのTコネクター222とが含まれる。
【0071】
一般に、MPDS 200および流体送達システム10は、MPDS 200のプライミング(すなわち、そこから空気をパージする)、医薬品(たとえば、FDG)の患者への送達、および生理食塩水フラッシュのために、また一方で、投与または操作担当者の損傷効果に対する暴露を最小源に抑えるか除去し、かつ汚染廃棄物の生成を最小源に押さえるか除去するために、構成される。 その上、MPDS 200および本明細書で開示されたその他の要素も、複数の目的地(たとえば、一連の患者への用量送達)への医薬品の安全な送達を促進する。
【0072】
Tコネクター205および逆止め弁214、215は、スパイク202と流体連通している第一のチュービング部分204と、カニューレ208と流体連通している第二のチュービング部分210を収容する。逆止め弁214、215は、Tコネクター205と一体で形成することも、また別個の構成要素とすることもでき、また単一の二重逆止め弁に組み合わせることもできる。逆止め弁214、215は、生理食塩水が蠕動ポンプ22によって第二のチュービング部分210に入り込まないよう、また医薬品が蠕動ポンプ180によって第一のチュービング部分204に入り込まないようにする。
【0073】
第三のチュービング部分216は、コイル組立品400(チューブコイル444を含む)につながり、第四のチュービング部分220は、コイル組立品400からTコネクター222につながる。下記のとおり、チューブコイル444は、第三のチュービング部分216および第四のチュービング部分220とは異なる寸法を持つチュービング部分217から形成される。
【0074】
第五のチュービング部分226は、Tコネクター222から廃棄物受け容器224につながり、第六のチュービング部分230は、Tコネクター222から結合装置側端部228につながる。上記の
図1Cで示すとおり、結合装置側端部228は、医薬品を患者も送達するためにSPDS 700の第一の端部702と結合する。
【0075】
結合装置側端部228は、SPDS 700がそれに結合していないときに、MPDS 200の結合装置側端部228を閉じるかまたは封をするためにバイアスがある拭き取り可能なルアー弁(部品番号245204024、Halkey−Roberts Corporation製(フロリダ州セントピータースバーグ))としうる。拭き取り可能ルアー弁により、MPDS 200は、汚染が防止され、オペレータは、結合装置側端部228を、SPDS 700をそれに接続する前に、拭いて掃除(たとえば、アルコールワイプにより)ができる。ただし、別の方法として、結合装置側端部228は、当技術で周知の標準ルアー結合装置としうる。
【0076】
図2Aに模式的に示すとおり、第一のチュービング部分204のチュービングの全長27は、ポンプ22(点線で示す)内に配置して生理食塩水またはその他の薬液を供給源23から汲み出すことができ、また第二のチュービング部分210の部分は、ポンプ180(点線で示す)内に配置して放射性医薬品を放射性医薬品供給源から汲み出すことができる。
【0077】
図2Aに示す、チュービングを含む構成要素の絶対的および相対的な寸法は、当面の用途に最も適したものを選択しうる。第一のチュービング部分204は、長さおよそ
1441ミリメートル(56.75インチ)、外径およそ
4.78ミリメートル(0.188インチ)および内径およそ
1.57ミリメートル(0.062インチ)、および45デュロメーターとしうる。第二のチュービング部分210は、長さおよそ
222ミリメートル(8.75インチ)で、外径約
2.39ミリメートル(0.094インチ)および内径約
0.813ミリメートル(0.032インチ)および45 デュロメーターのマイクロボアチュービングで形成されうる。第三のチュービング部分216は、長さおよそ
381ミリメートル(15インチ)、外径およそ
4.14ミリメートル(0.163インチ)および内径およそ
1.57ミリメートル(0.062インチ)、および60デュロメーターとしうる。第四のチュービング部分220は、長さおよそ
305ミリメートル(12インチ)、外径およそ
4.14ミリメートル(0.163インチ)および内径およそ
1.57ミリメートル(0.062インチ)、および60デュロメーターとしうる。第五のチュービング部分226および第六のチュービング部分230はそれぞれ長さおよそ
127ミリメートル(5インチ)、外径およそ
4.14ミリメートル(0.163インチ)および内径およそ
1.57ミリメートル(0.062インチ)、および60デュロメーターとしうる。チューブコイル444のチュービングは、長さおよそ
1041ミリメートル(41インチ)、外径約
5.54ミリメートル(0.218インチ)および内径約
3.96ミリメートル(0.156インチ)および80デュロメーターとしうる。これらの全ての寸法は、例示的な目的のみで提供されたものであり、本開示を制限するものと解釈されない。
【0078】
第二のチュービング部分210のマイクロボアチュービングは、たとえば、シリコーン、C−Flex、またはシリコーン様のPVC材料で形成しうる。本質的に、第二のチュービング部分210でのマイクロボアチュービングの使用により、容積精度が改善され、それにより、測定された放射線量精度が向上し(すなわち、患者に送達される医薬品)、放射性医薬品の廃棄物が減少する。
【0079】
その他のチュービング部分204、216、220、226、230およびチューブコイル444用のチュービング材料としては、本質的に、標準PVCまたはポンプチュービングを含む適切な任意の重合体の物質を使用しうる。
【0080】
再び
図1A〜2Bを参照するが、MPDS 200の流体送達システム10内での配置、およびSPDS 700の接続について、ここで考察する。システム10をたとえば、一日の始業時に設定するには、オペレータは、二次ハンドル21を持上げ、一次ハンドルおよびラッチ解除1を掴んで、リッド20を格納し、システム10の上部表面103が見えるようにする。使用済みのMPDS 200がシステム10内に存在する場合、オペレータはそれを取り除き廃棄する。
【0081】
新しいMPDS 200を、その(一般に無菌)パッケージから取り出し、
図1Cに示すとおりシステム10内に配置する。これには、廃棄物受け容器224のウェル127内に配置することと、コイル組立品400の電離箱160内に配置することと、第二のチュービング部分210をポンプ180と動作可能な接続状態にすることと、第一のチュービング部分204のチュービングの全長27をポンプ22およびチュービングホルダー150と動作可能な接続状態にすることと、通気カニューレ208を放射性医薬品供給源またはウェル111内に位置するバイアル902と流体連通状態にすることと、第五のチュービング部分226をピンチ弁170と動作可能な接続状態にすることと、第六のチュービング部分230をピンチ弁172、空気検出器174、およびマウント176と動作可能な接続状態にすることとが含まれる。生理食塩水溶液23は、フック6(
図1A、1B、および2Bを参照)に掛けるか、または他の方法で流体送達システム10に取り付けることができ、またMPDS 200を供給源23に流体的に接続するために、スパイク202は、供給源23のポート7(
図1A、1B、および2Bを参照)に挿入される。もちろん、この取り付け手順は、上記説明の順序で完了する必要はないが、明細書または本書の図面と一貫性のある適切な何らかの順序で完了させうる。
【0082】
MPDS 200を取り付け、プライミングをした後(下記に説明)、SPDS 700の第一の端部702をMPDS 200の結合装置側端部228に結合し、またSPDS 700のプライミングをして、SPDS 700の患者側端部704で湿性の接続をするが、これが次に、患者内に位置するカテーテル(非表示)に結合される。SPDS 700は、長さおよそ60インチで、および外径およそ0.100インチおよび内径およそ0.060インチ、90デュロメーターの標準PVCで形成される、コイル付きのチュービングとしうる。
【0083】
図2Aおよび2Bに示すとおり、MPDS 200には、コイル組立品400が含まれる。広い意味で、コイル組立品400には、単にまとめられ(コイルになった、または巻かれていない非晶質の方式)、電離箱160内部に配置されたチュービングの部分(第三および第四のチュービング部分216、220の各部分を含む)が含まれうる。
【0084】
ただし、
図3A〜3Fに示すとおり、コイル組立品400のより望ましい実施形態には、チュービング部分217がそれを包み、またコイルの管部分が444に示すよう想定しうるよう構成されることが望ましい(望ましくは熱成形の)中核要素または構造446が含まれる。そうであるため、コイルの管部分またはチューブコイル444は、中核要素446上に形成し、電離箱160内でのチューブコイル444の最適な位置決めが促進される。
【0085】
チューブコイル444の位置決めを促進するために、中核要素446には、チューブコイル444をその間に保持して、チューブコイル444を所定位置に保持し、チューブのねじれを防止するために、ショルダー412、414(
図3Bを参照)で画定されるチューブチャネル410が含まれうる。さらに、中核要素446の上部表面420は、第三のチュービング部分216および第四のチュービング部分220をそれぞれ収容する、入口のチャネルまたは溝422および出口のチャネルまたは溝424を画定する。
【0086】
中核要素446は、流体送達システム10の電離箱160のスリーブ162内に挿入したときに、それによって最適な性能が促進されるよう自動芯出しをするものが望ましい(
図3Fを参照)。これは、電離箱160のスリーブ162と併用するとき、コイル組立品400の構造的特徴、中核要素446自体の構造、またはその組み合わせのいずれかにより達成できる。
【0087】
図3Eで最も適切に示すとおり、中核要素446は、フォールド 2つの要素(450、452)をまとめて一体型のヒンジ455に沿って折り重ねることで形成しうる。適切な形態・ロック機構は、中核要素446に成型ができ、要素450、452の相互の握りが促進される。
【0088】
図1C、1D、および3Fは、電離箱160のスリーブ162内に同心円状に配置されたコイル組立品400を示す。中核要素446およびチューブコイル444は、コイル組立品400が電離箱160の「直線領域」内に最適に位置付けられるようなサイズや寸法とされ、電離箱160は、チューブコイル444内に位置する一つまたは複数の容積の放射性医薬品の放射線量レベルが正確に決定できるようになる。電離箱の「直線領域」は、放射線量レベルの測定が反復可能かつ予測可能な領域である。システム10で使用される例示的な電離箱(Model IK−102 Short電離箱、Veenstra Instruments製)では、「直線領域」は、電離箱160のベースまたは底壁160a(
図3F)から測定して5 mm〜65 mmの枠内に位置する。
【0089】
チューブコイル444は、およそ
1041ミリメートル(41.0インチ)であるチュービングの全長で形成されたおよそ7巻き(
図3Aおよび3Bを参照)を装備しうる。
図3Bに示すとおり、チューブコイル444の高さhはおよそ
38.9ミリメートル(1.53インチ)、およびチューブコイル444の直径wはおよそ
49.5ミリメートル(1.95インチ)である。チューブコイル444は、外径
5.54ミリメートル(0.218)インチおよび内径
3.96ミリメートル(0.156インチ)を持つ管で形成されることが望ましい。さらに、チュービングの全長および内径に基づき、チューブコイル444は、およそ12.5 mlの容積容量を持つことが望ましい。
【0090】
これまでに考察したとおり、供給源、容器、または医薬品または放射性医薬品のバイアル902(
図4Cを参照)は、注入処置の準備および実施するために、流体送達システム10内(たとえば、上部表面103に形成されたウェル111内)に配置される。放射性医薬品容器またはバイアル902は、スタッフによる輸送のために、従来的なバイアルシールドまたはピグ554内に配置される。
【0091】
ここで、
図4Aおよび4Bに移るが、装置またはシステム500およびバイアルアクセスシステム600を運ぶバイアルシールドの例示的実施形態を図示している。バイアルアクセスシステム600は、流体送達システム10のウェル111内に取り外し可能なように配置され、またバイアルシールド554を保持し、その中に含まれているバイアル902の内容物にアクセスするために動作する。
【0092】
図4Aで最も適切に示すとおり、バイアルシールド554(放射性医薬品バイアル902を含む)には、その上端に沿って形成されたフランジ504と、バイアルシールド554(たとえば、ねじ切りにより)に確実に、かつ移動可能なように
係合し、バイアル902の挿入およびそこからの取り外しを可能にする取り外し可能中隔キャップ562とが含まれる。
【0093】
図4Aおよび4Bに示すとおり、運搬システム500には、バイアルシールド554上に形成されたフランジ504と取り外し可能なように
係合したカラーユニット502が含まれる。カラー502は、共に(たとえば、その一端で)旋回できるように結合され、カラー502がフランジ504との
係合・解除ができる2個の部品506、508で形成しうる。
【0094】
カラー502には、その上部表面内に形成された2つの細長いスロット510が含まれる。
図4Bで最も適切に示すとおり、スロット510にはそれぞれ、その内部に配置され、その2つの向かい合った壁514の間に伸びるピン512が含まれる。
【0095】
運搬システム500にはさらに、カラーユニット502および中隔キャップ562と
係合し、バイアルシールド554(およびバイアル902)が運搬され流体送達システム10内に取り付けられるようにするハンドルユニット520が含まれる。ハンドルユニット520には、一般にU字型の横材564aにしっかりと結合するハンドル556が含まれる。横材564aは、下向きに伸びる2本のアーム530を画定し、それにはスロット532が形成されている。
【0096】
スロット532はそれぞれその端部にわずかなフックを形成し、また一般に円錐台形の中隔キャップ562の陥凹と結合する、一般に円錐台形の形状を持つプランジャー566を保持する第二の横材564bと
係合して保持するように適応されている(
図4Bを参照)。
【0097】
第二の横材564bも一般にU字型であり、また下向きに伸びる2本のアーム534を画定し、その内部にはフック536が形成されている。フック536の開放端は、アーム534の反対端上に形成され、カラー502のスロット510内のピン512を受容し保持する。スロット510は、アーム534がその中に(下向きに)挿入されるため、またフック536がピン512に(ハンドル556の回転によって)掛かるための十分な隙間ができるような大きさにされる。
【0098】
プランジャー566は、第二の横材564bに、結合装置(ネジ540など)およびバネ538によって結合する。プランジャー566は、プランジャー566と中隔キャップ562との間のきつい嵌め合いを確保するために、バネ538によってバイアスがかかっている。
【0099】
バイアルシールド554を
係合させて運ぶために、カラー502は、上述のとおり、バイアルシールド554のフランジ504に結合する。次に、ハンドルユニット520が、バイアルシールド554の近くに移動し(オペレータがハンドル556を握り、ユニット520を所定位置に移動させる)、アーム534が、カラー502のスロット510に下がる。実質的に同時に、プランジャー566は、中隔キャップ562と
係合し、バネ538がこの2つのきついフィットを確保する。次に、オペレータは、ハンドルユニット520を時計方向に回し(
図4Aの矢印AAを参照)、スロット510内のピン512をアーム534のフック536に入れる。
【0100】
次に、オペレータは、バイアルシールド554およびバイアル運搬システム500の組合せを(ハンドルユニット520を上方向に移動させることにより)持上げ、それを、たとえば、流体送達システム10に移動させる。次に、オペレータは、バイアルシールド554をウェル111内に配置されたバイアルアクセスシステム600内に下げ(
図4Aを参照)、ハンドルユニット520を反時計方向に回転させて、フック536の掛かりをピン512から解除する。次に、オペレータは、ハンドル556を上方向に持上げ、アーム534をスロット510から、プランジャー566を中隔キャップ562から取り外し、それによってバイアルシールド554(中隔キャップ562およびカラー502)をウェル111内のバイアルアクセスシステム600内に残す(
図4Bを参照)。
【0101】
例示的実施形態において、プランジャー566には、オペレータをそうでなければ中隔キャップ562を通過してもれたり、その中核から放出される放射線から遮蔽する放射線量遮蔽物(鉛など)が含まれる。バイアルシールド554および中隔キャップ562と共に、バイアル運搬システム500のプランジャー566は、オペレータを放射性医薬品により放出される放射線から遮蔽し、不必要な放射線被爆を防止する。さらに、バイアルシールド554からハンドル556を伸ばすことにより、2つの間の距離が、オペレータに対する潜在的な放射線被爆を低減する役割をする。
【0102】
図4A〜4Bに関連して上述したとおり、流体送達システム10には、流体送達システム10のウェル111内に取り外しできるように配置され、バイアルシールド554を保持し、バイアルシールド554内のバイアル902の内容物を利用できるように適応された、バイアルアクセスシステム600が含まれる。
【0103】
バイアル(本明細書で説明したバイアル902など)は、一般的に10 ml、15 ml、20 ml、および30 mlなど様々なサイズで供給されているため、流体送達システム10は、様々なバイアルサイズへの対応が意図されている。そのために、流体送達システム10には、一つまたは複数のバイアルシールドおよびバイアルアクセスシステムが含まれうる。こうして、臨床サイトで、または特定の処置の目的で使用されるバイアルのサイズに応じて、流体送達システム10のオペレータは、適切なバイアルシールドおよびバイアルアクセスシステムを選択し、それを流体送達システムのウェル111に配置し、流体注入処置を可能にすることができる。
【0104】
再び、
図1Cおよび2Aを参照するが、MPDS 200がいったん流体送達システム10内に取り付けられると、スパイク202が生理食塩水溶液23と流体連通された状態にされ、またカニューレ208がその医薬品と流体連通状態にあるバイアル902に差し込まれ、注入処置を実行できる。
【0105】
例示的な注入処置について、これ以降で
図5〜11を参照しながら考察する。注入処置に対する数多くの変形物を、本開示の範囲内で実施しうる。たとえば、放射性医薬品の容器902 は、適切な任意の多用量容器構成としうる。この多用量容器構成には、放射性医薬品を保管するための適切な任意の容器内に供給された複数の患者用の放射性医薬品の用量が含まれうる。多用量容器構成には、注入器内に供給された複数の患者用の放射性医薬品の用量が含まれうる。さらに、多用量容器構成は、放射性医薬品を保管するために適切な、それぞれの容器が一定量の放射線薬剤の組成を保管する、複数の容器としうる。マイクロ流用装置、または一定量の放射性医薬品をリアルタイムで生成する能力のあるその他の放射性医薬品の生成技術も、多用量容器構成として利用されうる。その上、多用量容器構成は、それぞれ異なる放射性医薬流体を保持する複数の適切な容器としうる。多用量容器構成は、投与セットのチュービングのコイル内に予め装填された量の放射性医薬流体ともしうる。別の方法として、単一の用量の容器も利用しうる。したがって、これ以降に描写する注入処置は、本開示を制限するものとしては解釈されてはならないし、また、容器902についてこれ以降に説明するが、任意の種類の放射性医薬品容器を使用しうるため、制限的なものとして解釈されてはならない。さらに、以下の手順は、患者に送達する放射性医薬品の第一の容積、ボーラス、またはスラグ800および第二の容積、ボーラス、またはスラグ802の使用を説明する。これはまた、適切な任意の数のスラグを患者に送達しうるため、本明細書で説明した注入処置を制限するものとして解釈されないものとする。
【0106】
例示的な注入処置は一般に、5つの段階に分けることができる。初期化段階910では、装置がウェル画定の初期状態にされる。較正段階920では、容器902内の放射線量を較正するための手順が実行される。送達段階930では、放射性医薬品が目的地に送達される。手順940では、別の注入を実施すべきかが決定される。実施すべきである場合、較正段階920の操作が繰り返される。実施すべきでない場合、シャットダウン段階950が続く。
【0107】
操作を開始する前に、オペレータは、患者に注入される希望の放射線量Arと、バイアル内の予想される放射線量濃度(容積単位あたりの放射線量、たとえば、MBq/mlで表現)Cvの2つの数量を決定する必要がある。これらのデータは、システムコントローラ5に供給される。こうして初期化期間910を用いて操作が開始される。
【0108】
初期化期間910には、以下の手順が含まれる。
【0109】
手順911(放射性医薬品を点Cまで初期充填):第一の手順において、完全なチュービングに生理食塩水を充填し、それによってチュービングシステムから空気を除去する。このために、Tコネクター205、逆止め弁214、および逆止め弁215(これ以降、弁V1)をポート「c」および「b」を接続する状態にし、一方で、Tコネクター222、ピンチ弁170、およびピンチ弁172(これ以降、弁V2)は、「d」および「e」の位置に配置される。ポンプ22は、生理食塩水を点Bまでフラッシュする(
図5を参照)。次に、チュービング部分210を、生理食塩水を含むバイアルに挿入する。弁V1は、ポート「a」および「b」が接続する状態にされ、その一方で、弁V2は、なおも「d」および「e」を接続させている。ここで、ポンプ180は、チュービングが完全に生理食塩水で充填されるまで生理食塩水を点A(
図5を参照)から弁V2を越える目標地点までフラッシュすると、空気はシステムから完全に除去される。次に、チュービング部分210が、放射性医薬品を含むバイアル902に挿入される。弁V1が、ポート「a」および「b」を接続する状態にし、その一方で、弁V2が、ポート「d」および「f」を接続する。ポンプ180が作動し、バイアル902内の放射性医薬品を入口点Aから、弁V1の点Bを通過し、第三のチュービング部分216内のどこかの点Cまで送り出す。第三のチュービング部分216にある点Bと点Cの間の放射性医薬品の容積は、正確にわかっている必要はなく、AからBまでのチュービングの部分を、放射性医薬品で完全に充填させることと、BおよびCの間の容積内の放射線量が、希望する最終放射線量Arを上回らないことが確保されれば十分である。手順911の終了時の状態は、
図5に図示したとおりで、ここで、点Bと点Cの間の放射性医薬品の容積は、参照番号800で示されている。
【0110】
手順912(オフセット量の線量キャリブレータへのフラッシング):弁V1がここで、ポート「c」と「b」を接続する状態に切り替わる。ポンプ22が動作し、生理食塩水を、供給源23から弁V1に向けて送り出す。ポンプで送り出される容積は、第三のチュービング部分216内の容積をわずかに上回るもので、すなわち、点Bおよび点Dの間の容積をわずかに上回る。この容積は正確に分かっている必要はない。それにより、「オフセット量」800は、コイル部分444に移動する。この手順の終わりの状態について、
図6に図示する。
【0111】
手順913(初期的な放射線量の決定):コイル部分444内の容積800の放射線量は、電離箱160により測定される(測定M1)。この放射線量は、「オフセット放射線量」A1と呼ばれる。システムコントローラ5がここで、下の方程式1に示すとおり、全放射線量のArに達するために必要な不足の放射線量Amを計算する。
【0113】
これは、
図11の最も左のカラムに図示されている。これとバイアル内の予想放射線量濃度Cvから、下の方程式2に示すとおり、なおも送達されるべき予想される不足容積Va1が計算される。
【0115】
この計算は、依然としてバイアル内の放射線量濃度の予想に基づくものであって、その結果は高い精度では予想できないことに注意することが重要である。さらに、この計算ではオフセット量800が分かっている必要がないことに注目することも重要である。さらに、電離箱160は、適切な任意の放射線量検出器としうる。こうした検出器には、標準Geiger−Mullerカウンタ、シンチレーションカウンタ、電離箱、カドミウム亜鉛テルル化合物(CZT)結晶検波器などが含まれ、コイル部分444での実際の放射線量の十分に正確な測定値を得るために、較正されるべきである。放射線量検出器は、電離箱が望ましい。
【0116】
この手順で、初期化910が完了する。以下の較正段階920では、以下の手順が実施される。
【0117】
手順921(放射性医薬品を点Cまで充填):弁V1が、ポート「a」と「b」を接続する状態に切り替わる。ポンプ180が作動し、容積Vc'を弁V1を通過して送り出し、充填部分を点Cまで充填させる。この状況は
図7に図示したとおりで、ここでこの容積は、参照番号802で示されている。容積Vc'は、下の方程式3で定められる予想される不足の容積Va1のおよそ半分が選択される。
【0119】
容積Vc'は、システム内部単位内で正確に分かっていることに注目することが重要である。これらの単位の正確な性質は、使用するポンプのタイプに依存し、たとえば、単位は、ポンプ回転数、ポンプサイクルなどとしうる。流量計がポンプと一列に配置されている場合、流量計により供給される単位が、システム内部単位として使用できる。ポンプのタイプおよびチュービングのタイプに応じて、この手順での容積の分解能は、非常に小さなものとすることができ、また小さい量でさえも、正確に送達できる。さらに、これ以降でさらに詳細に考察するとおり、予測的な流量決定システムを、システム内部単位として使用しうる。
【0120】
手順922(容積Vc'を電離箱160にフラッシング):弁V1が、ポート「c」と「b」を接続するように切り替わる。ポンプ22が作動し、点Bと点Dの間の生理食塩水の容積をわずかだけ上回る容積を弁V1を通過させて送り出す。それにより、放射性医薬品の容積802は、Vc'と等しいが、これがコイル部分444に移動される。この手順の最後の状況は、8に図示されている。
【0121】
手順923(放射線量の較正):コイル部分444の放射線量が、電離箱で測定される(測定M2)。この放射線量レベルをA2とする。これは、オフセット放射線量A1と、容積Vc'の放射線量との和に相当し、これを「基準放射線量」Ac'とする。これは、
図11の第二のカラムに図示されている。ここで、システム内部単位にあるバイアル内の放射線量濃度Csは、下の方程式4に定めるとおり計算される。
【0123】
ここで、システムはシステム内部単位で較正される。その後、容積Vc"が決定される。全放射線量のArに達するためになおも必要な放射線量Ac"が、方程式5に定めたとおり決定される。
【0125】
ここから、なおも送達されるべき容積Vc"は、システム内部単位で下の方程式6で定めたとおり計算される。
【0127】
これで、較正段階920が完了する。以下の送達段階930では、以下の手順が実行される。
【0128】
手順931(放射性医薬品を点C"まで充填):弁V1が、ポート「a」と「b」を接続する状態に切り替わる。ポンプ180が動作し、容積Vc"を弁V1を通過させて送り出し、第三のチュービング部分216を点C"まで充填させる。この状況は
図9に図示したとおりで、ここでこの容積は、参照番号804で示されている。
【0129】
手順932(容積Vc"を電離箱160にフラッシング):弁V1が、ポート「c」と「b」を接続するように切り替わる。ポンプ22が作動し、BおよびDの生理食塩水の容積をわずかに上回る量の容積を弁V1を通過させて送り出す。それにより、Vc"と等しい放射性医薬品の容積804が、コイル部分444に移動される。別の方法として、ここでコイル部分444の全放射線量が測定される(オプションの測定M3、
図11の右欄を参照)。これは、コイル部分444の容積が、このセクション内の3つの全ての用量800、802、および804が維持されるのに十分に大きい場合には、希望する放射線量の合計Arと正確に一致すべきである。後者の条件は、コイル部分444の容積が、第三のチュービング部分216の容積の少なくとも5倍であれば、常に満たされる。有意な不一致が検出された場合、システムは停止する。
【0130】
手順933(注入カテーテルの送達):弁V2が、ポート「d」と「e」を接続するよう切り換わる。ポンプ22が作動し、少なくともコイル部分444の容積に、コイル部分444から注入カテーテルまでのチュービングと、注入カテーテル自体の生理食塩水の容積を加えたものを、弁V1通して送り出す。それにより、コイル部分444内の全ての液体が、患者にフラッシュされ、正確な放射線量投与要求値が患者に送達される。
【0131】
これで、送達段階930が完了する。同一の放射性医薬品の(同一または異なる患者への)別の注入が必要な場合、較正および送達の段階920および930を繰り返すことにより、動作が継続する。そうでなければ、適切なシャットダウン手順により、動作は停止するが、これには、生理食塩水でのフラッシングの追加的なサイクルが関与しうる。
【0132】
較正段階920を繰り返すとき、コイル部分444は、生理食塩水でフラッシュされ、放射性医薬品は、ちょうど地点Bまで伸びているため、段階910にあるものと同様な追加的な初期化は必要ない。コイル部分444には放射線量は全く存在しない。したがって、上記の計算において、このケースではA1をゼロに設定することができ、またAmはArに設定される。これ以上の変更は必要ない。段階910、920、および930によるこの3段階処置がここで、段階920と930のみの2段階処置に簡略化される。
【0133】
当然のことながら、開示された装置および関連する操作方法の様々な実施形態には、固有の多くの安全性機能が備わっている。具体的には、ポンプまたは弁など一つの構成要素が故障した場合にも、希望する用量を超える用量が患者に送達されることが不可能となるような、装置の操作における高い度合いの冗長性がある。具体的には、その設計上、システムでは、コイル部分444内に存在する用量のみが患者に送達される。これは、実際の放射性医薬品の送達中は、バイアル902と流体送達ラインの間には接続がないためである。コイル部分444内での連続した放射線量測定が分散していることは、安全性を向上させる別の特徴である。手順932では、コイル部分444の放射線量は、事実上予め分かっており、測定M3は、単に正しい量の放射線量がコイル部分444内に存在することを確認する役目をする。期待される結果と実際の測定との間に有意な不一致が検出された場合、動作は直ちに停止され、およびアラームが鳴る。
【0134】
また当然のことながら、正常な動作において、放射性医薬品は廃棄物貯蔵容器224には侵入しない。こうして、放射性廃棄物の生成は最小限に抑えられる。
【0135】
ここで開示内容は、
図12〜23に図示したとおり、本明細書で広く考慮されているとおり、流体送達システムのプログラミングおよび操作での使用が考えられうる特定の実施形態に移る。
【0136】
図12〜23に模式的に示すのは、流体送達システム10に採用しうる、GUI 15などのグラフィカルオペレータインターフェイス上に表示される様々なタッチスクリーン方式1100を具体化したものである。非制限的な一例として、こうしたタッチスクリーン方式は、本明細書で広く意図されているとおり、各種の任意の流体送達システムのシステムコントローラ5および/またはコンピュータ1000、1044とともに利用されうる。
【0137】
明瞭かつあいまいなところなしに、流体送達システム10の現在のステータスをオペレータに伝達するために、オペレータが非常に使用しやすいデータ入力メカニズムを含む、簡単に判別可能なシンボルやアイコンを用いたGUI 15が広く考慮されている。こうしてオペレータは、流体送達システム10の操作のための様々なタスクを直感的に理解し実行することができる。
【0138】
タッチスクリーン方式は、
図12〜23に関連して熟考されているが、同等の目的を達成するその他のタイプのデータ入力方式が考えられることが理解される。たとえば、ソフトまたはハードキー入力も、トラックボール方式、マウス方式、またはカーソルコントロールタッチパッド(スクリーンから離れたもの)と同様使用できる。
【0139】
引き続き
図12を参照するが、タッチスクリーンに提供されるメインのオペレータインターフェースは、注入処置を開始する前が図示されている。オペレータが流体送達処置についてシステム10を準備した後、例えば、
図10の初期化手順910に記載された手順を完了することにより、システム10は、
図12に示すディスプレー1100を生成するが、これは、その左上側に「システム準備完了」で表示される。タッチスクリーンには、生理食塩水フィールド1102と医薬品またはFDGフィールド1104が含まれ、それぞれ供給源23中の生理食塩水の量と、バイアル902中のFDGの表示を提供する。たとえば、図示のとおり、生理食塩水フィールド1102は、664 mlの生理食塩水が利用できることを示し、FDGフィールド1104は、372 mCiのFDGが利用できることを示す。1106に表示されているのは、実施される注入処置についての放射線量要求値(現在は15.0 mCiを表示)を示すタッチフィールドである。システム10が起動されると、放射線量要求値フィールド1106には、システム10に事前にプログラムするか、またはオペレータによって事前設定ができるデフォルトの放射線量値が表示されうる。別の方法として、放射線量要求値フィールド1106には、システム10にプログラムされた最後の放射線量レベルがデフォルト表示されるようにできる。
【0140】
図12で1112、1114、1116、および1118でそれぞれ表示されているのは、環状のステータスアイコンであり、これはシステムステータスの異なる側面への迅速かつ簡単な参照をするもので、またそうであるため、システムステータスのある側面が「オン」または「放射線量」であるときに強調表示されるか、またはステータス情報がシステム10上に提示される。こうして、アイコン1112〜1118は、左から右にそれぞれ、放射線量が存在1112、流体の動作/注入ステータス1114、エア/プライミングステータスのチェック1116、およびシステム電池ステータス1118といったシステムの側面に関する情報を伝達する。
【0141】
システム10がAC電源から外された場合には、システム電池(非表示)により、システムコントローラ5および電離箱160に電源が供給される(電離箱をその正常な動作状態に維持するため)。システム電池は、システム10がAC電源に接続されている間に充電される。
【0142】
図12は、その下部に沿った追加的な4つのタッチフィールド1120〜1123も表示している。リセットボタン1120は、ケースID情報、希望する放射線量レベル、その他などの情報を処理画面からリセットまたは消去するために起動される。設定ボタン1121は、システム10用の設定画面にアクセスするために起動される。スケジュールボタン1122は、スケジューリングインターフェースにアクセスして、オペレータがスケジュール複数の注入処置をシステム10にスケジュールできるようにするために起動される。処理ボタン1123は、
図12に示す注入制御スクリーンにアクセスするために起動される。
【0143】
図12にさらに示すとおり、放射線量要求値フィールド1106は、15.0 mCiが現在の放射線量レベル要求値であることを示す。この15.0 mCiの放射線量レベルは、システム10内でオペレータが定義するデフォルト設定とすることができるが、最後の注入処置用にプログラムした希望する放射線量レベルとすることもできる。
【0144】
放射線量レベル要求値は、オペレータによって(1)手作業の入力;または(2)患者体重に基づく計算の2つの方法のどちらか一つで設定ができる。オペレータが希望する放射線量レベルを、患者の体重によるのではなく、手作業入力で設定することを希望する場合、オペレータは、放射線量要求値フィールド1106にある「No」ボタン1202aを起動する。それに応答して、システム10は、例えば、オペレータが放射線量レベル要求値を入力できるようにする表示およびキーパッドを生成する。
【0145】
その代りに、オペレータが患者の体重に基づき放射線量レベル要求値を設定することを希望する場合、オペレータは、
図12の「Yes」ボタン1202bを起動する。「Yes」ボタン1202bを起動することで、システム10は、ポップアップを生成して、オペレータに「患者体重の入力」を求めるメッセージを表示する。さらに、オペレータは、体重に基づく放射線量レベルの計算に使用する式を選択できる。一つの実施態様において、オペレータは、オペレータ定義の式を最高5つまで選択できる。例えば、オペレータは、(1)標準
(0.22 mCi/kg(0.1 mCi/lb))、(2)黒色腫
(0.29mCi/kg(0.13 mCi/lb))、および(3)小児科
(0.15mCi/kg((0.07 mCi/lb))の定義済みの3つの式の中から選択ができる。ところが、システム10には、事前設定または定義済みの体重に基づく式以上のものを含めることができる。例えば、システム10には、ブドウ糖レベルや心拍出量などのその他の患者パラメータ、または取得時間などのスキャナーパラメータに基づく式を含めることができる。いったん式を選択すると、式および患者の体重を使用して、放射線量要求レベルが計算される
放射線量レベル要求値がシステム10によってプログラムまたは設定された後、オペレータは、患者の同定および注入サイト情報を含めたケース情報をシステム10に入力する。オペレータがケースIDフィールド1206の編集ボタン1208を起動すると、患者またはその他の識別番号や放射性医薬品が投与もしくは注入される注入サイトを入力するための「ケース情報」ポップアップ表示が提供される。
【0146】
いったん識別および注入サイト情報がシステム10に入力されると、情報は、例えば
図13に示すとおり、ケースIDフィールド1206内に表示される。さらに、必須の情報がシステム10に入力され、ケースIDフィールド1206に表示された後、患者準備フィールド1210が生成され、オペレータに対して表示される。
【0147】
SPDSプライミング動作が完了した後、本明細書の上記で考察したとおり、SPDS 700の患者側端部704は患者に結合し、対応する「準備」ボタン(非表示)のあるFDG用量表示1216が表示される。オペレータが「準備」ボタンを起動させたあと、システム10は、ある容積のFDG(またはその他の適切な医薬品または放射性医薬品)を、バイアル902からMPDS 200を通過して、電離箱160内に配置されたそのチューブコイル444へと送り出し始める。システム10は、
図5−11を参照して上記で説明した方法に従い、医薬品用量を調製するが、そこにおいて、第一の量の放射性液体の放射線量レベルが測定され、組み合わさった量が所定のレベルの放射線量を持つために必要とされる、患者に送達される放射性液体の第二の量の計算に使用される。コイル組立品400および中核の構造446の寸法、チューブコイル444の高さ、直径、および容積、チューブコイル444を形成するチュービングの長さ、巻き数、外径および内径、および上記に記載したVeenstra IK−102電離箱の「直線領域」の寸法的位置が、医薬品用量を最適かつ正確に準備するために必要である。
【0148】
記載したチューブコイル444の寸法、(1)希望する放射線量レベルを患者に送達するために必要な医薬品の容積と、(2)チューブコイル内の医薬品の合計容積を位置づけするために必要な生理食塩水の容積とは、電離箱の「直線領域」内に最適に位置づけするために必要である。チューブコイル444は、上記記載の値(すなわち、
3.96ミリメートル(0.156インチ))よりも大きな内径を持つチュービングから形成できるが、内径が大きくなると、放射性医薬品が、生理食塩水(これは、放射性医薬品をチューブコイル444内に配置または位置づけするために使用される)に拡散を起こす傾向にあり、放射性医薬品の容積またはその部分がチューブコイル444の外側に、またそのため電離箱の「直線領域」の外側位置にすることになりうる(その結果、放射線量レベルの測定および送達が不正確となる)。同様に、チューブコイル444は、
3.96ミリメートル(0.156インチ)(これにより、放射性医薬品の生理食塩水への拡散がさらに減少するか、または阻止される可能性がある)よりも小さい内径を持つ、チュービングかれ形成することができるが、チューブコイル容積12.5 mlを維持するために必要なチューブコイル444の寸法(例えば、チュービングの長さ、コイルチューブ高さ、巻き数)では、チューブコイル444が、電離箱の「直線領域」を超えて伸びることになる(結果的に、放射線量レベルの測定および送達が不正確となる)。
【0149】
さらに、中核構造446は、希望するチューブコイルの幾何学形状(例えば、チューブコイル直径および高さ)を維持するために、またチューブコイル444を、スリーブ162内の軸方向および垂直方向に適切に位置決めするために作動し、それによって、チューブコイル444が、電離箱160の「直線領域」内に存在させる(
図3Fを参照)。
【0150】
容積12.5 mlのチューブコイル444は、供給源23からのある容積の生理食塩水で分離された、バイアル902からの2つの容積の放射性医薬品を収容するよう設計されており、その用量が、放射性医薬品の検定後まもなく調製されたか(このとき、希望する放射線量レベルを充足するには、少量の容積の放射性医薬品が必要)、あるいは放射性医薬品の検定後かなりの時間(例えば、放射性同位元素の半減期に関連して)が経過した後で(このとき、希望する放射線量レベルを送達するには、より大きな容積の放射性医薬品が必要)のどちらかであるかによらない。上記の具体的な一例として、12.5 mlのチューブコイル444は、(1)2つの1/16 mlの医薬品の容積または「スラグ」(合計容積1/8 ml)、濃度40 mCi/ml(すなわち、システム10での処理が設計されている最高濃度)で、残りのチューブコイル容積を充填または実質的に充填するのに必要な生理食塩水の容積計算値により分離されたものと、(2)2つの1.5 mlの医薬品の「スラグ」(合計容積3 ml)、濃度1.67 mCi/ml(すなわち、システム10での処理が設計されている最低濃度)で、残りのチューブコイル容積を充填または実質的に充填するために必要な生理食塩水の容積計算値により分離されたものとを収容するように設計されている。
【0151】
システム10により用量が、電離箱160内に配置されたチューブコイル444に送り出された後、用量の放射線量レベルがシステム10により測定される。
図13を参照するが、ここでタッチスクリーン方式1100には、放射線量測定値レベルを含む表示が含まれる。新しい表示フィールド1106aが、システムによって生成され、調製した用量について測定済みの「放射線量較正値」(ここでは14.9 mCi)が表示される。フィールド1106aのすぐ下は、「+/−」範囲インジケータ1224である。範囲インジケータ1224には、図示したとおり、10個の矩形により描く側面に位置する中央の円1224aが含まれる。左および右の矢印も、それぞれ、インジケータ1224の最も左および最も右に含まれる。望ましくは、
図13に示すとおり、中央の円1224aは、測定した「放射線量較正値」レベルが事前にプログラムした希望する放射線量レベルと同一であるときに強調表示される。そうでなく、放射線量測定値レベルが希望する放射線量レベルより大きいかまたは小さい場合、対応意する矩形または、一部の場合に、矢印が中心の円1224aの右側(放射線量測定値>希望する放射線量のとき)、または中心の円1224aの左側(放射線量測定値<希望する放射線量のとき)を強調表示し、測定値と希望する放射線量レベルとの間の差異をオペレータに視覚的に示す。
【0152】
一つの実施態様において、それぞれの矩形は、希望する放射線量測定値レベルの1%不一致のデフォルト値を表し、放射線量測定値レベルが放射線量レベル要求値15.0 mCiよりも3%大きい場合に中央の円1224aの右側の3個の矩形が強調表示される。放射線量測定値が放射線量要求値が10%を越えて上回った場合には、中央の円 1224aの右にある全ての矩形および右矢印が強調表示される。インジケータ1224の矩形の程度が、放射線量測定値が該当する容認できる範囲を伝える。こうして、こうした容認できる範囲は、+または−10%とすることも、ふさわしいと考えられる別の範囲ともすることができ、それぞれの矩形は、その範囲の+または−の程度の1/10を表す。ただし別の方法として、それぞれの矩形のデフォルト値は、別の値(0.1 mCiなど)に事前に設定することも、またオペレータが意図される用途にさらに適切な別の値に変更することもできる。
【0153】
さらに、
図13に示すとおり、放射線量測定値レベルを表示するために、ディスプレー1100には、FDG用量表示1216に「廃棄」ボタン1222および「注入」ボタン1220も生成される。例えば、放射線量測定値が、意図される処置について臨床的に容認できる範囲外である場合、オペレータは、「廃棄」ボタン1222を起動して、システム10に、測定した用量(すなわち、上述のとおり、その用量を廃棄物受け容器224に送り出すことによる)を廃棄し、患者に送達するための別の用量を準備させることができる。
【0154】
オペレータが測定した用量の注入を希望し、したがって
図13に示す「注入」ボタン1220を起動した場合、システム10は、ディスプレー
図14に示す表示を生成し、オペレータに、放射線量モニター1223によって、システム10が「注入」中であり、注入処置の完了段階であることを示す。さらに、システム10は、FDG用量 ディスプレー1216に「一時停止」ボタン1230を生成する。オペレータは、「一時停止」ボタン1230を起動して、注入処置を一時停止できる。
【0155】
放射線量モニター1223は、オペレータに注入処置のステータスについて視覚的表示を提供し、下記の方法で作動する。まず、チューブコイル444に残存しているFDGの放射性医薬品の放射線量が、電離箱160またはその他適切な任意の放射線量検出器を使用して、連続的に測定および監視がなされる。これらの値がシステムコントローラ5の処理装置1004に連続的に送信される。処理装置1004によって、これらの値がグラフ表示に変換され、チューブコイル444に残存するFDGの放射性医薬品の放射線量についての表示がオペレータに提供される。
図14に示すとおり、このグラフ表示は、X軸が完了した注入のパーセント値を0〜100で示し、Y軸がチューブコイル444に残存する用量のパーセント値を0〜100で示すx−yプロット1232としうる。したがって、オペレータに、注入処置の進捗状態として表示される下向きの勾配のあるライン1234がリアルタイムで表示される。下向きの勾配のあるライン1234以外は、注入処置で問題が発生したことの瞬間的な表示をオペレータに提供する。
【0156】
放射線量モニター1223については、X軸が完了した注入のパーセント値を0〜100で示し、Y軸がチューブコイル444に残存する用量のパーセント値を0〜100で示すx−yプロット1232の形態のグラフィカルディスプレーを含むものとして本明細書の上記で説明したが、これは本開示を限定するものとしては解釈されないものとする。例えば、チューブコイル444に残存している用量のパーセント値に対するその他の様々な値を監視して、オペレータに注入処置のステータスについての表示を提供するが、これには、時間、注入済みの生理食塩水のパーセント値、生理食塩水またはFDGの流量、注入済みの生理食塩水またはFDGの容積、他などが含まれるが、これに限定されない。さらに、グラフィカルディスプレーは、x−yプロットに限定されず、注入処置のステータスについてのその他各種の1次元および2次元のグラフ表示を提供しうる。例えば、グラフ表示は、数値表示、棒グラフ、または散布図としうる。さらに、グラフ表示は、バイアル902の注入処置の進行にともなう排出を示すグラフ表示としうる。
【0157】
注入処置が正常に完了したと仮定すると、ポップアップ1240が
図15に示すとおり表示される。このポップアップ1240には、図示したとおり、患者に送達されたばかりの用量(例えば、FDG)の放射線量および容積、送達済みの合計流体(これには、生理食塩水も含まれる)および例えば、患者のID番号、放射性医薬品ロット番号、および患者注入部位(ポップアップ1240の右に示すとおり)などのその他の識別情報についての情報が含まれる。「OK」ボタン1242を起動すると、ポップアップ1240が表示されなくなり、システムは、「準備完了」状態(
図12に示すとおり)に戻り、一方、「印刷」ボタン1244を起動すると、患者、請求、たな卸し、またはその他の適切な記録のために、プリンター1032により印刷される注射情報がプロンプト表示される。
【0158】
図16〜19を参照するが、放射線量モニター1223は部分閉塞が発生している恐れがあることの表示をオペレータにする状況が提供される。オペレータは、
図13に表示した「注入」ボタン1220を起動することにより、注入を開始するが、システム10は、システム10が「注入」中であり、注入処置の完了段階であることを、放射線量モニター1223を介してオペレータに示す、
図16に示す表示を生成する。処置の進行につれて、放射線量モニター1223の勾配のあるライン1234が表示され始める。ところが、この例において、勾配のあるライン1234が、注入処置が完了したことを示すX軸に達することは決してない。これにより、送達問題が発生した恐れがあることの表示がなされる。
【0159】
図17を参照するが、情報ライン1245に閉塞がないか患者ラインをチェックするようオペレータに知らせるポップアップ1240aが
GUI 15に表示される。 オペレータは、可聴警報など、その他適切な任意の警報機構により通知を受けることもできる。ポップアップ1240aには、患者に送達されたばかりの用量(例えば、FDG)放射線量および容積、この時点までに送達された合計流体(これには生理食塩水も含まれる)、およびオペレータがはっきりと注入処置の進捗状態を確認できるよう放射線量モニター1223を拡大したものについての情報も含まれうる。この時点で、オペレータは、SPDS 700をチェックして、何らかの方法で挟まれたり、塞がれたりしていないかどうかを判断できる。さらに、オペレータは、「フラッシュ」ボタン1246を押すことにより、患者ラインを生理食塩水で洗い流すことができる。さらに、システムコントローラ5は、放射線量モニター1223 が閉塞を検出した場合に、自動的に患者ラインを生理食塩水で洗い流すようにプログラムすることもできる。オペレータが、放射線量モニター1223からの情報に基づき、閉塞が解消されたと判断した場合、オペレータは、「廃棄」ボタン1248を起動して、システム10に、測定した用量を廃棄させ(すなわち、上記で詳細に考察したとおり、用量を廃棄物受け容器224に送り出すことにより)、患者に送達する別の用量を準備させることができる。
【0160】
一方、システムコントローラ5が、放射線量モニター1223からの情報に基づき、閉塞が解消されたと判断した場合、システムコントローラ5は、注入処置を再開し、ポップアップ1240aが、
GUI 15に表示されなくなり、スクリーンは
図18のスクリーンのようになる。注入処置がその後で正常に完了したと仮定すると、
図19に示すとおり、ポップアップ1240bが表示される。このポップアップ1240bには、図示したとおり、患者に送達されたばかりの用量(例えば、FDG)の放射線量および容積、送達された合計流体(これには生理食塩水も含まれる)、および例えば、患者のID番号、放射性医薬品ロット番号、および患者注入部位(ポップアップ1240bの右に表示されるとおり)を含むその他の識別情報についての情報が含まれる。「OK」ボタン1242を起動すると、ポップアップ1240bが表示されなくなり、およびシステムは「準備完了」状態(
図12に示すとおり)に戻り、一方、「印刷」ボタン1244を起動すると、患者、請求、たな卸し、またはその他の適切な記録について、プリンター1032によって印刷される注射情報がプロンプト表示される。
【0161】
最後に、
図20〜23を参照するが、放射線量モニター1223により、完全な閉塞または閉鎖が発生した恐れがあることをオペレータに表示する状況が提供される。オペレータは、
図13に示す「注入」ボタン1220を起動することにより注入を開始すると、システム10は、
図20に示す表示を生成するが、 これはシステム10が「注入」中であり、注入処置の完了段階であることを、放射線量モニター1223によってオペレータに表示する。処置の進行につれて、放射線量モニター1223の勾配のあるライン1234が表示され始める。ところが、この例において、勾配のあるライン1234が、注入処置が完了したことを示すX軸に達することは決してない。これによって、送達問題が発生したことの瞬間的な表示がオペレータに提供される。
【0162】
図21を参照するが、情報ライン1245に閉塞がないか患者ラインをチェックするようオペレータに知らせるポップアップ1240cが、
GUI 15に表示される。オペレータは、可聴警報などのその他適切な任意の警報機構による通知を受けることもできる。ポップアップ1240cには、患者に送達されたばかりの用量(例えば、FDG)の放射線量および容積、その時点までに送達済みの合計流体(これには生理食塩水も含まれる)、およびオペレータが注入処置の進捗状況をはっきりと確認できるような放射線量モニター1223を拡大したものについての情報も含まれる。この時点で、オペレータは、SPDS 700をチェックして、何らかの方法で挟まれたり、塞がれたりしていないかを判断できる。オペレータは、「フラッシュ」ボタン1246を押すことで、患者ラインを洗い流すこともできる。さらに、システムコントローラ5は、放射線量モニター1223が閉塞を検出した場合に、自動的に患者ラインを生理食塩水で洗い流すようにプログラムすることもできる。オペレータが、放射線量モニター1223からの情報に基づき、閉塞が解消されたと判断した場合、オペレータは、「廃棄」ボタン1248を起動して、システム10に、測定した用量を廃棄させ(すなわち、上記で詳細に考察したとおり、用量を廃棄物受け容器224に送り出すことにより)、患者に送達する別の用量を準備させることができる。
【0163】
いったん「廃棄」ボタン1248が押されると、ポップアップ1240cがディスプレー15に表示されなくなり、スクリーンは、
図22のスクリーンのようになる。放射線量モニター1223で分かるとおり、用量が廃棄物受け容器224内に入るにつれて、チューブコイル444内のパーセント用量は、即座にゼロ付近まで下がる。廃棄プロセスが完了すると、ポップアップ1240dが
図23に表示される。このポップアップ1240dは、図示したとおり、患者に送達されたばかりの用量(例えば、FDG)の放射線量および容積、送達済みの合計流体(これには生理食塩水も含まれる)、および例えば、患者のID番号、放射性医薬品ロット番号、および患者注入部位(ポップアップ1240dの右側に表示されるとおり)を含む、その他の識別情報も含まれる。さらに、情報ライン1245は、部分的な用量が患者に送達済みであることをオペレータに知らせる。したがって、オペレータは、「患者再試行」ボタン1250を起動する前に、患者ラインをチェックし、カテーテルを挿入し、およびその他任意の事前注意措置をとることができる。このボタンにより、ポップアップ1240dが表示されなくなり、
図20に示すとおり、システムは注入状態に戻る。「印刷」ボタン1244を起動すると、患者、請求、たな卸し、またはその他の適切な記録用にプリンター1032によって印刷される注入情報がプロンプト表示される。
【0164】
別の方法として、オペレータは、注入処置を現在の患者で終了することも、「次の患者」ボタン1252を押すことにより、新しい注入処置を新しい患者で開始することもできる。このボタンを押すと、ポップアップ1240dは表示されなくなり、システムは
図12に示すとおり「準備完了」状態に戻る。
【0165】
本明細書で上記に明示的に考察していないか、または図面に表示されていないその他の能力および機能が、本明細書で開示した実施態様に従い当然考えられる。例えば、バイアルからの医薬品用量(例えば、FDG)の抽出が、予測できない理由により中断され、かつ望ましい「一時停止」によってプロンプト表示されなかった場合、システムは、オペレータに用量を廃棄するよう警報を出しうる(またそれに関連して、その目的でボタンを提示できる)。
【0166】
さらに、放射性医薬品の放射線量の平均変化率(勾配)に基づき、放射性医薬品の平均流量を決定するために、流れ予測アルゴリズムを使用できる。既知量の容積の放射性医薬品が、電離箱160に送り出され、生理食塩水などの追加的な流体が入ることによって電離箱160から出すことができる。電離箱160内の放射性医薬品の放射線量は、プロセス中に反復して測定され、放射線量放出の勾配が放射線量測定値から計算される。放出の勾配および電離箱160の容積に基づき、放射性医薬品が生理食塩水によって置き換えられる平均割合を計算して、流体が流れる割合に対応付けることができる。放射性医薬品および電離箱の素材は、放射性医薬品からの放射線量放出が、測定される前に電離箱160の壁を貫通するように選択ができるため、機械的な測定装置を流体の流れ内に置くことなく、流体の流量を測定することが可能である。
【0167】
さらに具体的に言えば、放射線量モニターは、1)患者への放射性医薬品の流量と、2)MPDS 200内の放射性医薬品の容積(容積800または容積802など)の場所とを決定するために使用することができる。
【0168】
既知の項目が次のとおりであるとする。1)Ac:注入開始時の電離箱内の放射線量。これは直接測定される(MBq)、2)At:注入開始時のチュービング内の放射線量。この値は、第一回目の用量送達の試行時におよそ0であると仮定される。その後、この値は、用量送達の試行の再開時には、以下のアルゴリズムから決定される。(MBq)、3)C:バイアル試験法情報(例えば、MBq/ml)から決定される放射線量濃度、4)T:注入試行の合計時間、および5)Kt:電離箱160と患者ラインの端との間のチュービングの容積。
【0169】
図24A〜24Cは、それぞれ注入処置の実施完了時、完全な閉塞の発生時、および部分閉塞の発生時の例について、例示的な放射線量モニター1223を図示するものである。
図24Aを参照するが、例えば、容積800が電離箱160を去る時、放射線量モニター1223内の勾配のあるライン1234により提供される情報から直線的にモデル化できる。
図24Aに示すとおり、勾配のあるライン1234で直線回帰を利用して、適切な直線範囲上のラインについての最小二乗誤差フィットを求めることができる。適切な直線範囲は、Acから1%の減少を表す第一の標本1236で始まり、前の標本からAcの少なくとも1%異なる最後の標本1238で終わる。こうした標本が検出されない場合には、流体流れの最後の標本が使用される。上述の直線範囲は使用できるが、直線範囲は、本開示の範囲内の希望する結果を達成するために使用できるため、これは本開示を限定するものと解釈されないものとする。以下の説明は、模範としての目的のためのみのものである。次に、回帰方程式が、流れの関係を次のとおり決定するために使用される。
回帰方程式:A'=A
0+ F
at
勾配:Fa=(NΣAt−(Σt)(ΣA))/(NΣt
2−(Σt)
2)
切片:A
0=(ΣA−F(Σt))/N
【0170】
ここで、1)Nは、関心領域内で測定した標本の数、2)tは、各標本に関連付けられた時間で、関心領域内の第一の標本がt=0に揃えられる。標本の割合は、取扱い可能な負荷に依存する可能性が高くなるが、0.25 ms程度のわずかな値である可能性が高い(供給%完了予想値での割合)。3)Aは、tでの放射線量測定値、および4)A'=直線フィットによる予想放射線量である。Faは、放射線流量(MBq/s)である。A0は、およそAcと等しい。Fa/Cを決定することにより、システムは、高価な何らかの流量モニターをシステムに取り付ける必要なく、MPDS 200を通過する放射性医薬品の流量(ml/s)を提供できる。Faは、注入処置の実施にともない計算される。電離箱160を用いて上述の放射線量レベルを決定する代わりに、これらのレベルは、患者ラインの開始付近に、放射線検出メカニズム、CZT結晶検波器、Geiger−Mullerカウンタ、シンチレーションカウンタ、またはその他適切な任意の感知装置などを配置することで決定しうる。ところが、この解決法は、こうした検出メカニズムの追加は、システムに追加的なコストを加えることになるため、電離箱の利用よりはふさわしくない。さらに、線形回帰モデルについて本明細書の上記で考察したが、対数モデルなどのその他のモデルをMPDS 200を通過する放射性医薬品の流量を求めるために使用しうるため、本開示を限定するものとは解釈されないものとする。
【0171】
いったんMPDS 200を通過する放射性医薬品の平均流量が決定されると、この情報は、MPDS 200内の放射性医薬品の容積(容積800または容積802など) の場所または分布を決定するために使用できる。平均流量が決定されると、この情報は、直径および表面処理など、チュービングの流体機械的性質と共に、放射性医薬品の容積の先端と後端の位置を決定するために使用できる。したがって、投与セット内の放射性医薬品の容積の位置を知ることで、注入手順が完全に完了するようにシステムパラメータを調節できる。さらに、この情報により、注入システムが放射性医薬品の容積が形成され、それによって撮像手順中に、より正確な画像を得ることができる。
【0172】
本明細書の上記で詳細に考察したとおり、本開示により、電離箱160などの個別の放射線モニターの使用ができ、オペレータにリアルタイムでの注入処置のステータス、投与セットを通過する流体の流量、および投与セット内の放射性医薬品の容積の位置を提供する動的なセンサーが提供される。したがって、このシステムにより、オペレータは、患者に達する要求される放射性医薬品の用量を最大化することができる。
【0173】
図25を参照するが、システムは、以下のとおり簡単に要約ができる。まず、手順1255で、注入処置中に、放射性医薬品流体送達システムと併用する使い捨て投与セットの少なくとも一部分内に残存する放射線量の測定および監視をして、複数の放射性医薬品の放射線量値を決定する。その後、手順1256で、使い捨て投与セットを通過する放射性医薬流体の平均流量が決定される。それから、手順1257で、 使い捨て投与セット内での放射性医薬品の容積の場所は、少なくとも部分的には、使い捨て投与セットを通過する放射性医薬流体の平均流量に基づき決定される。次に、手順1258で、少なくとも部分的に、使い捨て投与セット内の放射性医薬流体の場所に基づき、注入処置のパラメータが自動的に調節される。その後、注入処置が再び監視され、注入処置が完了するまで上述の手順が反復される。
【0174】
例証の目的で様々な実施形態について詳細に説明してきたが、こうした詳細は、単にその目的のためであり、開示内容は、開示された実施形態に制限されず、そうではなく、変更および同等な配置も網羅されることが意図されていることが理解される。たとえば、本開示は、可能な限りの範囲で、任意の実施形態の一つまたは複数の特長を、その他の任意の実施形態の一つまたは複数の特徴と組み合わせることができることが意図されていることが理解されるべきである。