特許第6261343号(P6261343)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6261343-ボルテージレギュレータ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261343
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】ボルテージレギュレータ
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
   G05F1/56 310D
   G05F1/56 310P
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-2973(P2014-2973)
(22)【出願日】2014年1月10日
(65)【公開番号】特開2014-197383(P2014-197383A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2016年11月18日
(31)【優先権主張番号】特願2013-44166(P2013-44166)
(32)【優先日】2013年3月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エスアイアイ・セミコンダクタ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 文靖
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−149245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラーアンプと、出力トランジスタを備えるボルテージレギュレータにおいて、
前記ボルテージレギュレータの出力電圧を基にした電圧を感知し、前記出力電圧のアンダーシュート量に応じた電流を出力するアンダーシュート検出回路
前記エラーアンプの出力で制御される第一のトランジスタと、ゲート及びドレインが前記出力トランジスタのゲートと前記第一のトランジスタのドレインに接続され、前記第一のトランジスタに流れる電流と前記アンダーシュート検出回路から流れる電流を基にした電流を前記出力トランジスタに流す第二のトランジスタを備え、前記第一のトランジスタに流れる電流と前記アンダーシュート検出回路から流れる電流を基に前記出力トランジスタに流れる電流を制御するI−V変換回路と、
前記アンダーシュート検出回路から流れる電流に応じて前記出力トランジスタに流れる電流を増加させる事を特徴とするボルテージレギュレータ。
【請求項2】
前記第一のトランジスタは、
ゲートが前記エラーアンプの出力に接続され、ドレインが前記出力トランジスタのゲートに接続される事を特徴とする請求項に記載のボルテージレギュレータ。
【請求項3】
前記アンダーシュート検出回路は、
ゲートに出力電圧を基にした電圧が印加される第三のトランジスタと、
ゲートが前記エラーアンプの非反転入力端子に接続され、ソースが前記第三のトランジスタのソースに接続され、ドレインが前記I−V変換回路に接続された第四のトランジスタと、を備える事を特徴とする請求項1または2に記載のボルテージレギュレータ。
【請求項4】
前記I−V変換回路は、
前記第一のトランジスタと前記第二のトランジスタの間にカスコードトランジスタを備えた事を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のボルテージレギュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルテージレギュレータのアンダーシュート改善に関する。
【背景技術】
【0002】
図3に従来のボルテージレギュレータの回路図を示す。従来のボルテージレギュレータは、エラーアンプ110と、PMOSトランジスタ120、201、204と、NMOSトランジスタ202、203、205と、抵抗231、232、233、234と、コンパレータ210と、インバーター211と、オフセット電圧生成回路212と、電源端子100と、グラウンド端子101と、基準電圧端子102と、出力端子103で構成されている。
【0003】
エラーアンプ110にて、PMOSトランジスタ120のゲートを制御することにより、出力端子108から出力電圧Voutが出力される。出力電圧Voutは、基準電圧端子102の電圧を抵抗231と抵抗232の合計抵抗値で割った値に、抵抗232の抵抗値を掛けた値となる。アンダーシュートが発生するとコンパレータ210は、分圧電圧Vfbにオフセット電圧生成回路212の電圧Voを加算した電圧と基準電圧VREFとを比較しており、分圧電圧VFBにオフセット電圧VOを加算した電圧が基準電圧VREFよりも低くなるとハイを出力する。そして、NMOSトランジスタ203をオンさせる。出力電流IOUTが過電流ILよりも少ないとNMOSトランジスタ202はオンし、PMOSトランジスタ120のゲートをプルダウンして、出力電圧Voutが高くなるように制御する。よって、アンダーシュートが改善され、ボルテージレギュレータのアンダーシュート特性が良くなる。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−152451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来のボルテージレギュレータでは、アンダーシュートが発生しPMOSトランジスタ120をフルオンした状態から所定の出力電圧Voutが出力されるように制御するのに時間がかかるという課題があった。また、アンダーシュートが発生しPMOSトランジスタをフルオンした状態から所定の出力電圧Voutに制御している間、出力電流が超過して出力電圧Voutが上昇するという課題もあった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされ、出力電圧Voutにアンダーシュートが発生した後出力電圧Voutが制御されるのに時間がかかり、出力電流が超過して出力電圧Voutが上昇する事を防止するボルテージレギュレータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従来の課題を解決するために、本発明のボルテージレギュレータは以下のような構成とした。
エラーアンプと、出力トランジスタを備えるボルテージレギュレータにおいて、ボルテージレギュレータの出力電圧を基にした電圧を感知し、出力電圧のアンダーシュート量に応じた電流を出力するアンダーシュート検出回路を備え、その電流に応じて出力トランジスタに流れる電流を増加させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のボルテージレギュレータによれば、出力電圧にアンダーシュートが発生した後、速やか出力電圧を所定の電圧に制御する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態のボルテージレギュレータのブロック図である。
図2】本実施形態のボルテージレギュレータの回路図である。
図3】従来のボルテージレギュレータの回路図である。
図4】本実施形態のボルテージレギュレータの他の例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について図面を参照して説明する。
【実施例】
【0011】
図1は、本実施形態のボルテージレギュレータのブロック図である。本実施形態のボルテージレギュレータは、エラーアンプ110と、PMOSトランジスタ120と、抵抗131、132、133と、アンダーシュート検出回路130と、I−V変換回路135と、電源端子100と、グラウンド端子101と、基準電圧端子102と、出力端子103で構成されている。PMOSトランジスタ120は出力トランジスタとして動作する。図2は、本実施形態のボルテージレギュレータの回路図である。アンダーシュート検出回路30はNMOSトランジスタ113、114で構成されている。I−V変換回路135は、PMOSトランジスタ111と、NMOSトランジスタ112で構成されている。
【0012】
次に本実施形態のボルテージレギュレータの接続について説明する。エラーアンプ110は、非反転入力端子は基準電圧端子102に接続され、反転入力端子は抵抗131と抵抗132の接続点に接続され、出力端子はNMOSトランジスタ112のゲートに接続される。抵抗131のもう一方の端子は出力端子103とPMOSトランジスタ120のドレインに接続される。NMOSトランジスタ112は、ドレインはPMOSトランジスタ111のゲート及びドレインに接続され、ソースはグラウンド端子101に接続される。PMOSトランジスタ111のソースは電源端子100に接続される。PMOSトランジスタ120は、ゲートはPMOSトランジスタ111のゲートに接続され、ソースは電源端子100に接続される。NMOSトランジスタ113は、ゲートは基準電圧端子102に接続され、ドレインはPMOSトランジスタ111のゲートに接続され、ソースはPMOSトランジスタ114のドレインに接続され、バックゲートはグラウンド端子101に接続される。PMOSトランジスタ114は、ゲートは抵抗132と抵抗133の接続点に接続され、ソースはグラウンド端子101に接続される。抵抗133のもう一方の端子はグラウンド端子101に接続される。
【0013】
動作について説明する。基準電圧端子102は基準電圧回路に接続され基準電圧Vrefが入力される。抵抗131と抵抗132、133は、出力端子103の電圧である出力電圧Voutを分圧し、分圧電圧Vfbを出力する。エラーアンプ110は、基準電圧Vrefと分圧電圧Vfbとを比較し、出力電圧Voutが一定になるようNMOSトランジスタ112のゲート電圧を制御する。出力電圧Voutが狙い値よりも高いと、分圧電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも高くなり、エラーアンプ110の出力信号(NMOSトランジスタ112のゲート電圧)が低くなる。そして、NMOSトランジスタ112に流れる電流を減少させる。PMOSトランジスタ111とPMOSトランジスタ120はカレントミラー回路を構成しており、NMOSトランジスタ112に流れる電流が減少するとPMOSトランジスタ120に流れる電流も減少する。PMOSトランジスタ120に流れる電流と抵抗131、132、133の積によって出力電圧Voutが設定されるため、PMOSトランジスタ120に流れる電流が減少することで出力電圧Voutが低くなる。
【0014】
出力電圧Voutが狙い値よりも低いと、分圧電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも低くなり、エラーアンプ110の出力信号(NMOSトランジスタ112のゲート電圧)が高くなる。そして、NMOSトランジスタ112に流れる電流を増加させ、PMOSトランジスタ120に流れる電流も増加させる。PMOSトランジスタ120に流れる電流と抵抗131、132、133の積によって出力電圧Voutが設定されるため、PMOSトランジスタ120に流れる電流が増加することで出力電圧Voutが高くなる。こうして、出力電圧Voutが一定になるように制御される。
このように動作して、I−V変換回路135はエラーアンプ110の出力で制御される電流を基に出力トランジスタ120に流れる電流を制御している。
【0015】
出力端子103にアンダーシュートが現れ、出力電圧Voutが過渡的に小さくなる場合を考える。出力電圧Voutを抵抗131、132と抵抗133で分圧した電圧をVuとする。出力電圧Voutが過渡的に小さくなると、Vuも小さくなりPMOSトランジスタ114をオンさせ電流を流す。NMOSトランジスタ113のしきい値をVtn、PMOSトランジスタ114のしきい値をVtpとすると、Vref−(Vtn+|Vtp|)≧Vuの時PMOSトランジスタ114をオンさせることができる。PMOSトランジスタ111はNMOSトランジスタ112へ電流を流している。更にPMOSトランジスタ111は、エラーアンプ110の出力は変化しないためPMOSトランジスタ114がオンすることで、PMOSトランジスタ114へも電流を流す事が必要になり、PMOSトランジスタ111に流れる電流が増加する。PMOSトランジスタ111に流れる電流が増加するためPMOSトランジスタ120へ流れる電流も増加する。こうして出力電圧Voutがこれ以上低下しないように制御され、出力電圧Voutのアンダーシュートの低下を止めることができる。
【0016】
アンダーシュートが発生後、出力電圧Voutが制御され高くなっていくと、PMOSトランジスタ114に流れる電流も徐々に減少し、PMOSトランジスタ111の電流も徐々に減少する。そして、通常の電流値へ戻り出力電圧Voutが一定になるように制御される。この制御の間、PMOSトランジスタ120はフルオンすることなく出力電圧Voutを制御し続けるように動作する。このため、出力電圧Voutは出力電流が超過して上昇することはなくアンダーシュートが解消された直後も安定的に制御できる。
このように動作して、I−V変換回路135はアンダーシュート検出回路130からの電流も基に出力トランジスタ120に流れる電流を制御している。
【0017】
図4は、本実施形態のボルテージレギュレータの他の例を示す回路図である。I‐V変換回路135は、図2の回路とは異なる構成とした。即ち、I‐V変換回路135にカスコードトランジスタであるPMOSトランジスタ402を追加した。
【0018】
PMOSトランジスタ402は、ソースがPMOSトランジスタ111のドレインとNMOSトランジスタ113のドレインに接続され、ドレインがPMOSトランジスタ111のゲートとPMOSトランジスタ120のゲートとNMOSトランジスタ112のドレインとに接続される。
【0019】
PMOSトランジスタ402のゲートに入力されるカスコード電圧Vcasは、PMOSトランジスタ111のドレイン電圧をPMOSトランジスタ111が飽和動作可能な電圧であって、可能な限り高い電圧になるような電圧に設定する。このような構成にすると、NMOSトランジスタ113のドレイン電圧が、図2の回路に比べてPMOSトランジスタ111のしきい値の絶対値分高くできる。従って、アンダーシュート検出回路130が動作可能な電源電圧は、PMOSトランジスタ111のしきい値の絶対値分下げることができる。
以上説明したように、図4のボルテージレギュレータは、図2の回路より低い電源電圧まで動作させることができる、という効果がある。
【0020】
なお、アンダーシュート検出回路130の構成として図2を用いて説明したが、この構成に限定することなく、アンダーシュートを感知しアンダーシュート量に応じた電流に応じ、出力トランジスタ120に流れる電流を増加させる構成であればどのような構成であってもよい。
【0021】
以上説明したように、本実施形態のボルテージレギュレータは、出力電圧Voutに発生したアンダーシュートの下降を止めることができ、アンダーシュートの下降を止めた後、出力電圧Voutが過度に上昇することなく安定的に制御することができる。
【符号の説明】
【0022】
100 電源端子
101 グラウンド端子
102 基準電圧端子
103 出力端子
110 エラーアンプ
130 アンダーシュート検出回路
135 I‐V変換回路
図1
図2
図3
図4