(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の子守帯は、横抱き用キャリア体において、幼児の頭よりも長手方向の端部と、幼児の臀部よりも長手方向の端部とを肩掛けベルトに連結している。この構造では、横抱き状態において、長手方向における頭部側の端部と臀部側の端部とで幼児を吊ることになるので、幼児に圧迫感を与えてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、横抱き状態において、乳幼児に与える圧迫感を低減する子守帯を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の子守帯は、乳幼児を縦抱き状態で保持する縦抱き用シートと、乳幼児を横抱き状態で保持する横抱き用シートとを備え、横抱き用シートにおいて、乳幼児の頭部に位置する領域の幅方向両端部と、乳幼児の臀部に位置する領域の幅方向両端部とを、縦抱き用シートに対して着脱可能に連結するように構成される。
【0008】
本発明の子守帯によれば、乳幼児の頭部に位置する領域の幅方向両端部と、乳幼児の臀部に位置する領域の幅方向両端部とで、横抱き時に乳幼児を支持できる。つまり、横抱き時には、長手方向における頭部側の端部と臀部側の端部とで乳幼児を吊る状態ではない。したがって、横抱き状態において、乳幼児に与える圧迫感を低減できる。
【0009】
本発明の子守帯において好ましくは、縦抱き用シートは、乳幼児の身体を縦抱き状態で保持するシート部と、このシート部から延びて縦抱き状態及び横抱き状態で着用者の肩に掛けられる一対の肩ベルトとを有し、横抱き用シートは、肩ベルトの一方が乳幼児の頭部に位置する領域の幅方向を延在するように肩ベルトの一方を取り付ける頭部側取付部と、肩ベルトの他方が乳幼児の臀部に位置する領域の幅方向を延在するように肩ベルトの他方を取り付ける臀部側取付部とを有する。
【0010】
頭部側取付部により、横抱き用シートにおいて乳幼児の頭部に位置する領域の幅方向を肩ベルトの一方が延在するので、乳幼児の頭部を安定して支持することができる。臀部側取付部により、横抱き用シートにおいて乳幼児の臀部に位置する領域の幅方向を肩ベルトの他方が延在するので、乳幼児の臀部を安定して支持することができる。このように、一対の肩ベルトを用いて、乳幼児の頭部及び臀部に位置するそれぞれの領域を安定して支持することができる。このため、横抱き状態において、乳幼児を安定して保持できるので、横抱き状態において、乳幼児に与える圧迫感をより低減できる。
【0011】
本発明の子守帯において好ましくは、頭部側取付部及び臀部側取付部のそれぞれは、横抱き用シートの外側面の幅方向両端部に設けられる。
【0012】
これにより、肩ベルトの一方が乳幼児の頭部に位置する領域の幅方向下方を延在するように肩ベルトの一方を取り付けることができるとともに、肩ベルトの他方が乳幼児の臀部に位置する領域の幅方向下方を延在するように肩ベルトの他方を取り付けることができる。つまり、乳幼児の頭部及び臀部に位置するそれぞれの領域を下方から支持することができる。このため、横抱き状態において、乳幼児をより安定して保持できるので、横抱き状態において、乳幼児に与える圧迫感をより一層低減することができる。
【0013】
本発明の子守帯において好ましくは、頭部側取付部及び臀部側取付部は、肩ベルトの一方及び他方を通すベルト通し帯である。
【0014】
これにより、肩ベルトの一方及び他方を横抱き用シートに容易に取り付けることができる。
【0015】
本発明の子守帯において好ましくは、横抱き用シートは、乳幼児の頭部を横抱き状態で支持するヘッドシート部と、乳幼児の背中及び臀部を横抱き状態で支持するバックシート部とを有し、ヘッドシート部には芯材が設けられる。
【0016】
ヘッドシート部に芯材が設けられているので、横抱き時において、乳幼児の頭部を安定して支持できる。このため、横抱き状態において、乳幼児に与える圧迫感をより低減できる。
【0017】
本発明の子守帯において好ましくは、縦抱き用シートは、縦抱き状態及び横抱き状態で着用者の腰に回し掛けられる腰ベルトを有する。
【0018】
これにより、縦抱き状態及び横抱き状態において、着用者は、1対の肩ベルトを両肩にそれぞれ掛けることができきるとともに、腰ベルトを装着することができる。このため、子守帯の荷重を着用者の両肩及び腰の広範囲に分散することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の子守帯によれば、横抱き用シートにおいて、乳幼児の頭部に位置する領域の幅方向両端部と、乳幼児の臀部に位置する領域の幅方向両端部とを、縦抱き用シートに対して着脱可能に連結するように構成されるので、横抱き状態において、乳幼児に与える圧迫感を低減する子守帯を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書において、縦抱き状態とは、乳幼児の身体を略垂直に立たせた状態を意味し、乳幼児の頭を上にして乳幼児の足を下にして保持する。縦抱き状態は、おんぶ及びだっこのいずれであってもよい。だっこは、対面だっこ及び前向きだっこのいずれであってもよい。また、横抱き状態とは、乳幼児の体を略水平に寝かせた状態を意味し、乳幼児の頭と足が子守帯の着用者の左右方向になるように、着用者の腹部に隣接して支持する。
【0022】
また、本明細書において、内側面とは、子守帯の装着時に乳幼児及び着用者側に位置する面を意味し、縦抱き用シートでは、縦抱き状態の時に子守帯の着用者と対向する面、つまり縦抱き状態の時に乳幼児と接する側の面であり、横抱き用シートでは、横抱き状態で乳幼児と接する側の面である。外側面とは、子守帯の装着時に内側面とは反対側に位置する面を意味し、縦抱き用シートでは、縦抱き状態の時に子守帯の着用者と対向しない面であり、横抱き用シートでは、横抱き状態の時に乳幼児と接しない面である。
【0023】
また、本明細書において、縦抱き用シートの幅方向とは、縦抱き状態の時に、乳幼児及び着用者から見て左右方向である。横抱き用シートの幅方向とは、横抱き状態の時に、乳幼児から見て左右方向、つまり着用者から見て前後方向である。また、縦抱き用シートの長手方向とは、縦抱き状態の時に、乳幼児及び着用者から見て上下方向、つまり乳幼児の頭から足まで身体の延在方向である。横抱き用シートの長手方向とは、横抱き状態の時に、乳幼児から見て頭から足まで身体の延在方向、つまり、着用者から見て左右方向である。このように、長手方向とは、幅方向と直角な方向であり、シートの長手方向寸法及び幅方向寸法の長短を限定するものではない。
【0024】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0025】
図1〜
図11を参照して、本発明の一実施形態の子守帯について説明する。本発明の実施の形態の子守帯は、乳幼児を縦抱き状態で保持する縦抱き用シート10と、乳幼児を横抱き状態で保持する横抱き用シート60とを備えている。
【0026】
(子守帯の特徴)
まず、本実施の形態の子守帯の特徴的事項を
図1及び
図2を用いて説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施の形態の子守帯の縦抱き用シートは、シート部と、一対の肩ベルトと、腰ベルトとを含んでいる。本実施の形態の子守帯の横抱き用シートは、ベルト通し帯を有している。横抱き用シートにおいて、乳幼児の頭部に位置する領域の幅方向両端部と、乳幼児の臀部に位置する領域の幅方向両端部とが、縦抱き用シートの一対の肩ベルトに対して連結されている。
【0027】
また、
図1に示すように、肩ベルトの一方が乳幼児の頭部に位置する領域の幅方向を延在し、かつ肩ベルトの他方が乳幼児の臀部に位置する領域の幅方向を延在するように、横抱き用シートが縦抱き用シートに取り付けられている。また、
図2に示すように、一対の肩ベルトのそれぞれは、肩ベルトの一方(他方)が乳幼児の頭部(臀部)に位置する領域の幅方向下方を延在するように、横抱き用シートが縦抱き用シートに取り付けられている。
【0028】
また、
図2に示すように、横抱き用シートの外側面にベルト通し帯が設けられている。このベルト通し帯に一対の肩ベルトが通されることにより、肩ベルトの一方が乳幼児の頭部に位置する領域の幅方向下方を延在し、かつ肩ベルトの他方が乳幼児の臀部に位置する領域の幅方向下方を延在している。
【0029】
また、
図1及び
図2に示すように、本実施の形態の子守帯を横抱き状態で使用する際に、着用者は、1対の肩ベルトを両肩にそれぞれ掛けることができきるとともに、腰ベルトを装着できる。
【0030】
(縦抱き用シート)
図3及び
図4に示すように、縦抱き用シート10は、シート部11と、第1肩ベルト21と、第2肩ベルト22と、腰ベルト31とを含んでいる。
【0031】
シート部11は、乳幼児の身体を縦抱き状態で直接保持する。また、シート部11は、横抱き状態で、乳幼児の身体を直接保持する横抱き用シートを保持する。シート部11は、長手方向及び幅方向に延びている。
【0032】
図4に示すように、シート部11の内側面には、乳幼児を保持する保持部17が設けられている。保持部17は略T字形状であって、保持部17の下端縁がシート部11の長手方向の下端に縫い付けられている。保持部17の上端縁は自由端にされている。保持部17は、例えば、通気性の良い薄い布からなる。保持部17の上端縁の幅方向一方及び他方には、1対のバックル18がそれぞれ設けられている。
【0033】
図3及び
図4に示すように、一対の肩ベルトである第1肩ベルト21及び第2肩ベルト22は、シート部11からそれぞれ延びている。第1肩ベルト21及び第2肩ベルト22は、シート部11の幅方向中央で長手方向に延びる仮想線を対称軸として、互いに対称に構成されている。
【0034】
第1肩ベルト21は、上ベルト23と下ベルト24とを含み、第2肩ベルト22は、上ベルト25と下ベルト26とを含んでいる。上ベルト23、25及び下ベルト24、25のそれぞれは、シート部11と接続され、本実施の形態では、縫着されている。
【0035】
具体的には、シート部11の長手方向上端部には、第1肩ベルト21の上ベルト23及び第2肩ベルト22の上ベルト25が接続され、シート部11の長手方向中央部には、第1肩ベルト21の下ベルト24及び第2肩ベルト22の下ベルト26が接続されている。
【0036】
また、シート部11の幅方向の一方端部には、第1肩ベルト21の上ベルト23及び下ベルト24が接続され、シート部11の幅方向の他方端部には、第2肩ベルト22の上ベルト25及び下ベルト26が接続されている。
【0037】
上ベルト23、25の先端側には、バックル23a、25aが設けられている。下ベルト24、26の先端側には、上ベルト23、25のバックル23a、25aと互いに連結可能なバックル24a、26aが設けられている。バックル24a、26aは、下ベルト24、26の長さを調整する機能を有する調整部24b、26bを含んでいる。下ベルト24、26を調整部24b、26bに沿って滑らせることによって、下ベルト24、26の長さを調整できる。
【0038】
一対の肩ベルト(第1肩ベルト21及び第2肩ベルト22)は、縦抱き状態及び横抱き状態で着用者の肩に掛けられる。第1肩ベルト21の上ベルト23及び第2肩ベルト22の上ベルト25は、子守帯の荷重を着用者の肩の広範囲に分散される観点から、下ベルト24、26よりも大きな幅及び厚みの縫製部材で構成されている。
【0039】
第1肩ベルト21の上ベルト23及び第2肩ベルト22の上ベルト25の長手方向中央部には、ブリッジベルト42、41がそれぞれ取り付けられている。ブリッジベルト41は上ベルト25から延びる帯であって、その先端側にバックル43を有している。バックル43は長さを調整する機能を有する調整部43aを含み、ブリッジベルト41に沿って位置調整可能である。ブリッジベルト42は、上ベルト23から延びる短い帯であって、その先端側にバックル43と連結可能なバックル44を有している。
【0040】
図4に示すように、第1肩ベルト21の上ベルト23及び第2肩ベルト22の上ベルト25の根元には、シート部11側が開口したクッション部19が設けられている。クッション部19は、上ベルト23、25の内側面に縫着され、上ベルト23、25とでシート部11側の先端が開口するように構成されている。クッション部19は、例えば、クッション性を有する縫製部材からなる。
【0041】
クッション部19と上ベルト23、25との間には、保持部17のバックル18と嵌合可能なバックル28がそれぞれ設けられている。バックル28は、上ベルト23、25に縫着されており、外部に露出していない。
【0042】
図3及び
図4に示すように、シート部11の長手方向の下端部には、腰ベルト31が設けられている。腰ベルト31は、縦抱き状態及び横抱き状態で着用者の腰に回し掛けられる。
【0043】
腰ベルト31は、シート部11の長手方向の下端と連続する腰ベルト中央部32と、幅方向一方に向かって延出する第1延出部33と、幅方向他方に向かって延出する第2延出部34とを有する。第1延出部33の先端には、ゴム帯からなる腰ベルト帯通し部35と、腰ベルト帯通し部35より腰ベルト中央部32側に配置されたバックル37とが設けられている。腰ベルト帯通し部35は、腰ベルト帯36が通るような開口を有している。第2延出部34の先端からは腰ベルト帯36が延出する。腰ベルト帯36にはバックル37と連結可能なバックル38が取り付けられる。バックル38は腰ベルト帯36の長さを調整する機能を有する調整部39を含み、腰ベルト帯36に沿って位置調整が可能である。バックル37、38を互いに連結することにより、腰ベルト31は、縦抱き状態及び横抱き状態で着用者の腰に巻き掛けられる。このため、腰ベルト31は、通常の帯よりもベルト幅及びベルト厚みの大きな縫製部材からなり、子守帯の荷重を着用者の腰の広範囲に分散させる。
【0044】
なお、縦抱き用シートは、シート部11の長手方向の上端部側に設けられ、乳幼児の頭を支持するヘッドシート部(図示せず)をさらに含んでいてもよい。ヘッドシート部は、シート部11に縫着されていてもよく、取り外し可能であってもよい。
【0045】
続いて、
図3〜
図5を参照して、乳幼児を縦抱きに使用する際の動作について説明する。
【0046】
まず、
図5に示すように、乳幼児Bの頭を長手方向一方(上ベルト23、25側)に向け、乳幼児Bの足を長手方向他方(腰ベルト31側)に向けて、乳幼児Bをシート部11の内側面に寝かせ、保持部17で乳幼児Bの股を覆い、保持部17のバックル18のそれぞれを、上ベルト23、25のバックル28に連結する。これにより、乳幼児Bをシート部11に拘束することができる。
【0047】
また、
図3の点線に示すように、第1肩ベルト21の上ベルト23のバックル23aと、下ベルト24のバックル24aとを連結し、第2肩ベルト22の上ベルト25のバックル25aと下ベルト26のバックル26aとを連結して、着用者の肩を通す輪をそれぞれ形成する。次に、着用者が両腕を一方の輪及び他方の輪にそれぞれ差し込んで、第1肩ベルト21及び第2肩ベルト22を両肩にそれぞれ掛けることにより、乳幼児Bは着用者に縦抱きされる。なお、縦抱きはおんぶでもだっこでもよい。
【0048】
次に、着用者は、腰ベルト31の第1延出部33及び第2延出部34を腰の両側にそれぞれ掛け、バックル38を腰ベルト帯通し部35に差し込んだ後に、
図3の点線に示すように、バックル38をバックル37に連結する。これにより、乳幼児Bの体重を含む子守帯の荷重が、着用者の肩だけでなく、着用者の腰にも分担される。
【0049】
万一、着用者の不注意で腰ベルトのバックル37、38の連結が解除された場合、バックル38は腰ベルト帯通し部35に係止する。これにより腰ベルト31は着用者の腰から不用意に外れることを防止できる。
【0050】
上ベルト23、25は、単なる布製の帯にすぎない下ベルト24、26よりも幅寸法及び厚み寸法の大きな部材からなるので、子守帯の荷重を着用者の両肩の広範囲に分散することができる。また、腰ベルト31も、単なる布製の帯にすぎない腰ベルト帯36よりも幅寸法及び厚み寸法の大きな部材からなるので、子守帯の荷重を着用者の腰の広範囲に分散することができる。
【0051】
また、
図3の点線に示すように、ブリッジベルト41のバックル43と、ブリッジベルト42のバックル44とを連結する。この状態においては、バックル43、44は、着用者の背中に位置する。これにより、第1肩ベルト21及び第2肩ベルト22が互いに接近して、着用者の両肩に深く掛けられる。
【0052】
なお、本実施の形態の子守帯は、小さな乳幼児Bを縦抱きすることができるとともに、大きく成長した乳幼児Bも縦抱き可能である。
【0053】
(横抱き用シート)
横抱き用シート60は、乳幼児の頭部に位置する領域の幅方向両端部と、乳幼児の臀部に位置する領域の幅方向両端部とを、縦抱き用シートに対して着脱可能に連結するように構成されている。具体的には、
図6及び
図7に示すように、横抱き用シート60は、ヘッドシート部61と、バックシート部62と、頭部側取付部63と、臀部側取付部64と、ヘッドガード部65とを有している。
【0054】
ヘッドシート部61は、乳幼児の頭部を横抱き状態で支持する。ヘッドシート部61の外側面の幅方向両端部には、頭部側取付部63が設けられている。頭部側取付部63については、後述する。
【0055】
ヘッドシート部61の長手方向下端には、バックシート部62が接続されている。バックシート部62は、乳幼児の背中及び臀部を横抱き状態で支持する。
【0056】
ヘッドシート部61及びバックシート部62は連続して形成され、ヘッドシート部61の内部には硬質の芯材が設けられている。バックシート部62の内部には、芯材が設けられていてもよいが、芯材を省略することもできる。後者の場合、ヘッドシート部61には芯材が設けられ、バックシート部62には芯材が設けられていない。
【0057】
ヘッドシート部61の上端縁は略半円状であり、半円状の外周縁に沿ってヘッドガード部65が設けられている。ヘッドガード部65はヘッドシート部61の上側面から起立して、ヘッドシート部61の上側面に支持される乳幼児の頭を保護する。
【0058】
図6に示すように、バックシート部62には、長手方向中央の幅方向両端から外部に向けて延出する第1及び第2突出部62a、62bが設けられると共に、長手方向下方の幅方向両端から外部に向けて延出する第3及び第4突出部62c、62dが設けられている。
【0059】
第1突出部62aの外側面には、バックル66が設けられている。第2突出部62bの幅方向先端にはベルト帯67が設けられている。
図6及び
図7に示すように、ベルト帯67の先端には、バックル66と連結可能なバックル68が設けられている。バックル68は、ベルト帯67の長さを調整可能にする調整部を含んでいる。外側面にバックル66が配置されている第2突出部62bの幅寸法は、第1突出部62aの幅寸法よりも大きい。
【0060】
図6に示すように、第3突出部62c、62dの外側面のそれぞれには、臀部側取付部64が設けられている。臀部側取付部64については、後述する。
【0061】
バックシート部62の内側面には、股当て69が設けられている。股当て69は略長方形状であって、上端縁及び下端縁の幅は、バックシート部62の幅よりも狭い。股当て69の下端縁は、バックシート部62の長手方向下方に縫い付けられている。股当て69の上端縁は、自由端である。股当て69は、例えば、通気性の良い薄い布からなる。股当て69の上端部には、幅方向両端部を結ぶ空間が開口し、この開口にベルト帯67を通すための開口部69aが形成されている。
【0062】
ここで、頭部側取付部63及び臀部側取付部64について説明する。
図8に示すように、頭部側取付部63は、肩ベルトの一方(
図8では下ベルト24)が乳幼児の頭部に位置する領域の幅方向を延在するように肩ベルトの一方を取り付ける。頭部側取付部63は、ヘッドシート部61の外側面の幅方向両端部にそれぞれ設けられている。また、頭部側取付部63は、長手方向において同じ位置にそれぞれ設けられており、本実施の形態では、ヘッドシート部61の長手方向の略中央部に設けられている。頭部側取付部63は、幅方向両端部にそれぞれ設けられていてもよく(2つであってもよく)、幅方向両端部と、その間とにそれぞれ設けられていてもよい(3つ以上であってもよい)。
【0063】
臀部側取付部64は、肩ベルトの他方(
図8では下ベルト26)が乳幼児の臀部に位置する領域の幅方向を延在するように肩ベルトの他方を取り付ける。臀部側取付部64は、バックシート部62の外側面の幅方向両端にそれぞれ設けられている。また、臀部側取付部64は、長手方向において同じ位置にそれぞれ設けられており、本実施の形態では、バックシート部62においてヘッドシート部61と反対側の長手方向端部に設けられている。臀部側取付部64は、幅方向両端部にそれぞれ設けられていてもよく(2つであってもよく)、幅方向両端部と、その間とのにそれぞれ設けられていてもよい(3つ以上であってもよい)。
【0064】
なお、本実施の形態では、臀部側取付部64は、バックシート部62の第3及び第4突出部62c、62dにそれぞれ設けられている(合計2つ)ので、乳幼児を横抱きした状態において、乳幼児の身体の下に臀部側取付部64が位置しない。このため、乳幼児にとって臀部側取付部64自体による不快感を低減できる。この観点からは、臀部側取付部64は、バックシート部62において乳幼児の身体を保持する領域から突出した第3及び第4突出部62c、62dのみに設けられることが好ましい。
【0065】
頭部側取付部63は、第1または第2肩ベルト21、22の下ベルト24、26の一方を通すベルト通し帯である。臀部側取付部64は、第1または第2肩ベルト21、22の下ベルト24、26の他方を通すベルト通し帯である。頭部側取付部63及び臀部側取付部64としてのベルト通し帯は、下ベルト24、26及びバックル24a、26aが通るような開口を有している。頭部側取付部63及び臀部側取付部64は、布製であってもよく、ゴム製であってもよい。
【0066】
頭部側取付部63及び臀部側取付部64がベルト通し帯である場合、ベルト通し帯の幅は特に限定されないが、本実施の形態では、臀部側取付部のベルト通し帯の幅は、頭部側取付部のベルト通し帯の幅よりも大きい。また、臀部側取付部のベルト通し帯の長さは、頭部側取付部のベルト通し帯の長さと同じである。
【0067】
続いて、
図1、
図2、
図6〜
図11を参照して、乳幼児を横抱きに使用する際の動作について説明する。
【0068】
まず、縦抱き用シート10の長手方向と、横抱き用シートの長手方向とが直交するように、縦抱き用シート10のシート部11の内側面上に、横抱き用シート60の外側面を配置する。
【0069】
次に、
図8に示すように、横抱き用シート60の頭部側取付部63に、第1または第2肩ベルト21、22の下ベルト24、26の一方(
図8では、下ベルト24)を通し、下ベルト24が乳幼児の頭部に位置する領域の幅方向を延在するように下ベルト24の一方を取り付ける。この状態で、
図3の点線に示すように、上ベルト23のバックル23aと、下ベルト24のバックル24aとを連結して、着用者の肩を通す輪の一方を形成する。
【0070】
また、横抱き用シート60の臀部側取付部64に、第1または第2肩ベルト21、22の下ベルト24、26の他方(
図8では、下ベルト26)を通し、下ベルト26が乳幼児の臀部に位置する領域の幅方向を延在するように下ベルト26の他方を取り付ける。この状態で、
図3の点線に示すように、上ベルト25のバックル25aと、下ベルト26のバックル26aとを連結して、着用者の肩を通す輪の他方を形成する。これにより、
図9に示すように、横抱き用シート60を縦抱き用シート10に連結することができる。
【0071】
次に、乳幼児Bの頭を長手方向一方(ヘッドシート部61側)に向け、乳幼児Bの足を長手方向他方(バックシート部62側)に向けて、乳幼児Bをヘッドシート部61及びバックシート部62の内側面にあおむけに寝かせる。その後、股当て67(
図7参照)で乳幼児Bの股を覆い、ベルト帯67を開口部69aに通し、ベルト帯67のバックル68と第2突出部62bに設けられたバックル66(
図6参照)とを連結する。この際に、バックル68の調整部で、ベルト帯67の長さを調整して、乳幼児Bを保持するために適した長さに調整する。これにより、乳幼児Bを横抱き用シート60に拘束することができる。
【0072】
なお、バックル66、68は、乳幼児の身体を保持する領域から突出した第1突出部62aの外側面で連結されているので、乳幼児にバックル66、68が当たることを防止できる。
【0073】
次に、着用者が両腕を一方の輪及び他方の輪にそれぞれ差し込んで、第1肩ベルト21及び第2肩ベルト22を両肩にそれぞれ掛けることにより、乳幼児Bは着用者に横抱きにされる。
【0074】
次に、縦抱き時と同様に、着用者は、腰ベルト31の第1延出部33及び第2延出部34を腰の両側にそれぞれ掛け、バックル38を腰ベルト帯通し部35に差し込んだ後に、
図3の点線に示すように、バックル38をバックル37に連結する。この際に、下ベルト24、26のバックル24a、26a(調整部24b、26b)で、第1及び第2肩ベルト21、22の長さを調整して、横抱きに適した長さの輪に調整する。これにより、乳幼児Bの体重を含む子守帯の荷重が、横抱き状態においても、着用者の肩だけでなく、着用者の腰にも分担される。
【0075】
次に、縦抱きと同様に、
図3の点線に示すように、ブリッジベルト41のバックル43と、ブリッジベルト42のバックル44とを連結する。
【0076】
これにより、
図10に示すように、乳幼児Bは着用者に横抱きされる。横抱き状態においても、着用者は、1対の肩ベルトを両肩にそれぞれ掛けることができきるとともに、腰ベルト31を装着できるので、子守帯の荷重を着用者の両肩及び腰の広範囲に分散することができる。
【0077】
なお、
図8及び
図9において、頭部側取付部63は、下ベルト24が乳幼児の頭部に位置する領域の幅方向を延在するように取り付け、臀部側取付部64は、下ベルト26が乳幼児の臀部に位置する領域の幅方向を延在するように取り付けているが、下ベルトを反対にしてもよい。つまり、頭部側取付部63は、下ベルト26が乳幼児の頭部に位置する領域の幅方向を延在するように取り付け、臀部側取付部64は、下ベルト24が乳幼児の臀部に位置する領域の幅方向を延在するように取り付けるように構成されていてもよい。この場合、
図10において、乳幼児の頭部と臀部とは反対に位置する。
【0078】
また、
図1、
図2及び
図11に示すように、横抱き用シート60の外側面に設けられた頭部側取付部63に肩ベルトの一方を取り付けて、肩ベルトの一方が乳幼児の頭部に位置する領域の幅方向を延在するように配置され、かつ、横抱き用シート60の外側面に設けられた臀部側取付部64に肩ベルトの他方を取り付けて、肩ベルトの他方が乳幼児の臀部に位置する領域の幅方向を延在するように配置されている。これにより、横抱き状態において、1対の肩ベルトによって、乳幼児の頭部の幅方向全体及び臀部の幅方向全体を下方から安定して支持することができる。このため、横抱き状態において、乳幼児Bの頭部よりも長手方向の端部側と、乳幼児Bの臀部よりも長手方向の端部側とで幼児を吊る場合に比べて、乳幼児Bに与える圧迫感を低減することができる。また、本実施の形態の子守帯は、乳幼児Bの頭部よりも長手方向の端部側と、乳幼児Bの臀部よりも長手方向の端部側とで幼児を吊る場合に比べて、横抱き用シート60中央部に発生する撓みを低減できるので、乳幼児Bの姿勢を安定して保持できる。
【0079】
また、本実施の形態の頭部側取付部63及び臀部側取付部64は、肩ベルトの一方及び他方を通すベルト通し帯であるので、横抱き用シート60を縦抱き用シート10に容易に取り付けること及び取り外すことができる。また、横抱き状態において、横抱き用シート60の縦抱き用シート10に対する位置ずれを抑制することもできる。
【0080】
また、バックシート部62に芯材が設けられていない場合であっても、横抱き用シート60の撓みを抑制できるので、乳幼児Bを安定して支持することができる。
【0081】
ここで、本実施の形態では、横抱き用シート60において、乳幼児Bの頭部に位置する領域の幅方向両端部と、乳幼児Bの臀部に位置する領域の幅方向両端部とを、縦抱き用シート10に対して着脱可能に連結するように構成される構造として、頭部側取付部63及び臀部側取付部64を例に挙げて説明したが、本発明はこの構造に特に限定されない。例えば、乳幼児Bの頭部に位置する領域の幅方向両端部、及び乳幼児Bの臀部に位置する領域の幅方向両端部にバックルがそれぞれ設けられ(合計4個のバックル)が設けられ、1対の肩ベルトにこの4個のバックルと連結可能なバックルが設けられ、それぞれのバックルにより連結する構造としてもよい。ただし、本実施の形態の場合のように、ベルト通し帯で構成される頭部側取付部63及び臀部側取付部64の場合には、子守帯全体のバックルの数を減らすことができるので、安全性をより高めることができる。
【0082】
また、本実施の形態では、頭部側取付部63及び臀部側取付部64は、横抱き用シートの外側面に設けられる構造を例に挙げて説明したが、横抱き用シートの内部(例えば芯材など)に設けられてもよい。なお、下方から乳幼児を支持する観点から、横抱き用シート60の内側面に頭部側取付部63及び臀部側取付部64を設けることは好ましくない。
【0083】
また、本実施の形態では、横抱き用シートにおいて、乳幼児Bの頭部に位置する領域の幅方向両端部と、乳幼児Bの臀部に位置する領域の幅方向両端部とを、1対の肩ベルトに対して着脱可能に連結するように構成されているが、横抱き用シート60を連結する対象は、肩ベルトに特に限定されない。例えば、横抱き用シート60において、乳幼児Bの頭部に位置する領域の幅方向両端部と、乳幼児Bの臀部に位置する領域の幅方向両端部とを、縦抱き用シート10の肩ベルト以外の部分に対して着脱可能に連結するように構成されていてもよい。
【0084】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。