特許第6261346号(P6261346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261346
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】パネルの取付け構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
   E04B2/74 511D
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-4769(P2014-4769)
(22)【出願日】2014年1月15日
(65)【公開番号】特開2015-132124(P2015-132124A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2016年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】藤野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】平井 敬
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−057198(JP,A)
【文献】 特開2006−063724(JP,A)
【文献】 米国特許第04716699(US,A)
【文献】 特開2014−051860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74
A47G 5/00
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱に上下方向複数穿設された係止孔に取付け金具を係止し、これら支柱に係止された取付け金具に、パネルに穿設された上下方向複数のスリットを係合させることでパネルを引っ掛けて支柱に取付けるように構成するにあたり、
前記取付け金具は、パネルに穿設されたスリットに係合するパネル係合部の上下長さが長短異なる第一、第二取付け金具を用い、パネル係合部の上下長さが長い第一取付け金具とスリットとを位置合せして該スリットを第一取付け金具に係合させることで、パネル係合部の上下長さが短い第二取付け金具とスリットとの位置合せ係合が誘導される構成にし、
前記第一、第二取付け金具は、支柱の係止孔に係合する支柱係合部と、パネルのスリットに係合するパネル係合部と、これら支柱係合部とパネル係合部との上下方向中間部同士を連結する連結部とを備えると共に、
第一取付け金具のパネル係合部は、連結部よりも上方に突出する部分の上下長さが第二取付け金具の当該部分の上下長さよりも長く設定されていることを特徴とするパネルの取付け構造。
【請求項2】
請求項において、支柱の係止孔に係止される複数の取付け金具のうち最も上側に取付けられる取付け金具に、第一取付け金具を用いたことを特徴とするパネルの取付け構造。
【請求項3】
請求項1または2において、支柱の係止孔の下側に位置決め孔を形成する一方、取付け金具に、前記位置決め孔に嵌入する位置決め突部を形成したことを特徴とするパネルの取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間仕切り装置等において、支柱に取付け金具を介してパネルを取付ける場合のパネルの取付け構造の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、空間を仕切るために用いられる間仕切り装置等のなかには、天井面と床面とのあいだに支柱を立設し、該支柱にパネルを取付けるように構成したものがある。このものにおいて支柱にパネルを取付けるにあたり、従来、支柱に上下方向複数の係止孔を穿設し、これら係止孔にそれぞれ取付け金具を係止すると共に、これら支柱に係止された取付け金具にパネルに穿設された上下方向複数のスリットをそれぞれ係合させることで、パネルを取付け金具に引っ掛けて支柱に取付けるように構成したものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平7−40004号公報
【特許文献2】特開2000−170289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述したような取付け金具を介してパネルを支柱に取付ける場合、支柱の係止孔に係止された全ての取付け金具と、パネルに穿設された全てのスリットとが位置合わせされた状態でないと、取付け金具にスリットを係合させてパネルを引っ掛けることができないことになる。しかも、この取付け金具とスリットとの位置合わせは、パネルの左右両側において同時に必要であるうえ、パネルを持ち上げながらの作業であって、労力を要し作業性に劣るという問題がある。
また、取付け金具にパネルを引っ掛ける際に、係止孔に係止された取付け金具がずれてしまうことがあり、この場合にはパネルを取外して取付け金具を正しい位置に付け直さなければならず作業性が更に低下するという問題もあり、これらに本発明が解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、支柱に上下方向複数穿設された係止孔に取付け金具を係止し、これら支柱に係止された取付け金具に、パネルに穿設された上下方向複数のスリットを係合させることでパネルを引っ掛けて支柱に取付けるように構成するにあたり、前記取付け金具は、パネルに穿設されたスリットに係合するパネル係合部の上下長さが長短異なる第一、第二取付け金具を用い、パネル係合部の上下長さが長い第一取付け金具とスリットとを位置合せして該スリットを第一取付け金具に係合させることで、パネル係合部の上下長さが短い第二取付け金具とスリットとの位置合せ係合が誘導される構成にし、前記第一、第二取付け金具は、支柱の係止孔に係合する支柱係合部と、パネルのスリットに係合するパネル係合部と、これら支柱係合部とパネル係合部との上下方向中間部同士を連結する連結部とを備えると共に、第一取付け金具のパネル係合部は、連結部よりも上方に突出する部分の上下長さが第二取付け金具の当該部分の上下長さよりも長く設定されていることを特徴とするパネルの取付け構造である。
請求項2の発明は、請求項において、支柱の係止孔に係止される複数の取付け金具のうち最も上側に取付けられる取付け金具に、第一取付け金具を用いたことを特徴とするパネルの取付け構造である。
請求項3の発明は、請求項1または2において、支柱の係止孔の下側に位置決め孔を形成する一方、取付け金具に、前記位置決め孔に嵌入する位置決め突部を形成したことを特徴とするパネルの取付け構造である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、全てのスリットと取付け金具との位置合わせを行なわなくても、パネル係合部の上下長さが長い第一取付け金具とスリットとの位置合せ係合で、残りの第二取付け金具と対応するスリットとの位置合せ係合が誘導されることになって、パネルの取付作業の作業効率の向上および労力の軽減に貢献できる。しかも、第一取付け金具のパネル係合部とスリットとの位置合せ係合で、第二取付け金具とスリットとの位置合せ係合が確実且つ容易に誘導されることになる。
請求項の発明とすることにより、最も上側の第一取付け金具とスリットとの位置合せ係合で、残りの第二取付け金具とスリットとの位置合せ係合が誘導されることになって、取付作業がより容易となる。
請求項の発明とすることにより、パネルのスリットに取付け金具を係合して引っ掛ける際に取付け金具がずれてしまうことを防止でき、取付作業の作業効率が更に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】(A)は間仕切り装置の正面図、(B)は(A)のX−X縦断面である。
図2】(A)、(B)は第一取付け金具配設部分の正面図、縦断面図、(C)、(D)は第二取付け金具配設部分の正面図、縦断面図である。
図3】(A)、(B)、(C)は支柱の正面図、拡大平面図、係止孔部分の拡大図である。
図4】(A)、(B)、(C)はパネルの背面図、拡大水平断面図、スリット部分の拡大図である。
図5】(A)、(B)、(C)は第一取付け金具の正面図、側面図、支柱への係止手順を示す図である。
図6】(A)、(B)、(C)は第二取付け金具の正面図、側面図、支柱への係止手順を示す図である。
図7】第二の実施の形態の第一取付け金具を示す図である。
図8】(A)、(B)、(C)は第三の実施の形態における治具の斜視図、パネルにセットされた治具を示す正面図、平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図面において、1は空間を仕切るための間仕切り装置であって、該間仕切り装置1は、床面に固定される床レール2、該床レール2と平行となる状態で天井面に固定される天レール3、これら床レール2と天レール3との間に左右方向間隔を存して複数立設される支柱4、該支柱4の表裏両側に取付け金具5(後述する第一取付け金具5Aおよび第二取付け金具5B)を介して取付けられるパネル6等の部材を用いて構成されている。
【0009】
前記支柱4は、左右何れか一方側が開口した四角形状をしており、その下端部は、床レール2に固定されるアジャスタ7および下側支持金具8を介して床レール2に支持され、また上端部は、天レール3に固定される上側支持金具9を介して天レール3に支持されている。さらに、隣接する左右の支柱4の上下方向中間部間には、支柱4に固定される横方向支持金具10を介して横連結部材11が支架されている。
【0010】
さらに、前記支柱4の表面板4aおよび裏面板4bには、前記取付け金具5が係止する縦長四角形状の左右の係止孔4cが上下方向に複数穿設されていると共に、各係止孔4cの下側には、後述する取付け金具5の位置決め突部5fが嵌入する小孔状の位置決め孔4dが穿設されている。そして、左側の上下方向複数の係止孔4cには、支柱4の左側に配されるパネル6を取付けるための取付け金具5が係止され、また、右側の上下方向複数の係止孔4cには、支柱4の右側に配されるパネル6を取付けるための取付け金具5が係止されるようになっている。
【0011】
一方、前記パネル6は、鋼板からなる表面材6aに裏打材となる石膏ボード6bを固着して形成されたものであって、該パネル6の背面(支柱4の表面板4a或いは裏面板4bに対向する側の面)の左右両縁部には、表面材6aの左右両縁部を裏側に向けて断面略コ字形状に折り返して形成された係止面6cが設けられている。該係止面6cには、前記支柱4の係止孔4cに係止された取付け金具5に係合するスリット6dが上下方向に複数穿設されており、そして、取付け金具5にスリット6dを係合させてパネル6を取付け金具5に引っ掛けることで、パネル6を支柱4に取付けできる構成になっている。尚、図中、12は支柱4の下端部に取付けられたパネル受け金具であって、該パネル受け金具12によって、前記支柱4に取付けられたパネル6の下端側が支持されるようになっている。
【0012】
前記取付け金具5は、形状の異なる二種類の第一、第二取付け金具5A、5Bが用いられているが、本実施の形態では、前記支柱4の係止孔4cに係止される複数の取付け金具5のうち最も上側の取付け金具5に第一取付け金具5Aが用いられ、残りの取付け金具5には第二取付け金具5Bが用いられている。
【0013】
まず、第二取付け金具5Bについて説明すると、該第二取付け金具5Bは、前記支柱4の係止孔4cに係合する支柱係合部5aと、パネル6のスリット6dに係合するパネル係合部5bとを有しており、これら支柱係合部5a、パネル係合部5bの上下方向(第二取付け金具5Bを支柱4に係止させた状態での上下方向、以下同様)中間部同士は連結部5cにより連結されている。そして、連結部5cの上側には、互いに対向する上側支柱係合部5aU(連結部5cよりも上方に突出する部分の支柱係合部)と上側パネル係合部5bU(連結部5cよりも上方に突出する部分のパネル係合部)との間に、支柱4の面板(表面板4a或いは裏面板4b)とパネル6の係止面6cとが係合する上向き開口溝5dが形成され、また、連結部5cの下側には、互いに対向する下側支柱係合部5aD(連結部5cよりも下方に突出する部分の支柱係合部)と下側パネル係合部5bD(連結部5cよりも下方に突出する部分のパネル係合部)との間に、支柱4の面板(表面板4a或いは裏面板4b)が係合する下向き開口溝5eが形成されている。さらに、パネル係合部5bの下端部には、前記支柱4の面板(表面板4a或いは裏面板4b)に穿設された位置決め孔4dに位置決め状に嵌入する位置決め突部5fが形成されている。
ここで、前記第二取付け金具5Bの支柱係合部5aの上下長さL1は、支柱4の係止孔4cの上下長さL2よりも長く設定される一方、パネル係合部5bの上下長さL3は、支柱係合部5aの上下長さL1よりも長く、且つ、パネル6のスリット6dの上下長さL4よりも短く設定されている(L2<L1<L3<L4)。さらに、上側支柱係合部5aU、上側パネル係合部5bUの上下長さL5、L6は等しく設定される(L5=L6)一方、下側パネル係合部5bDの上下長さL7は、下側支柱係合部5aDの上下長さL8よりも長く設定されている(L8<L7)。また、支柱4に穿設される係止孔4cの横幅D1は、第二取付け金具5Bの板厚D2よりも僅かに大きな寸法に設定されている。
【0014】
そして、前記第二取付け金具5Bは、支柱4の表裏面板4a、4bに穿設された係止孔4cのうち最も上側の係止孔4cを除いた残りの係止孔4cに係止されるが、該第二取付け金具5Bを係止孔4cに係止する場合には、図6(C)に示す如く、まず第二取付け金具5Bを横向きにし、パネル係合部5bの上端部を表面板4a(或いは裏面板4b、以下同様)に当接させた状態で支柱係合部5aの上部を係止孔4cに挿入して、上向き開口溝5dに係止孔4cの上側の表面板4aを係合させ、続けて第二取付け金具5Bを回転させながら支柱係合部5aを係止孔4cに挿入して、下向き開口溝5eに係止孔4cの下側の表面板4aを係合させ、この状態で第二取付け金具5Bを下動させて、下向き開口溝5eの溝天井部を係止孔4cの下縁に当接させると共に、位置決め突部5fを位置決め孔4dに嵌入させる。この様にして第二取付け金具5Bは支柱4の係止孔4cに係止されるが、該係止された第二取付け金具5Bは、支柱係合部5aの上部および下部が表面板4aに内側から当接し、且つ、位置決め突部5fが位置決め孔4dに嵌入することで、前後左右および上下方向にずれることのない安定状態で係止孔4cに係止されるようになっている。
【0015】
次いで、第一取付け金具5Aについて説明すると、該第一取付け金具5Aは、前述した第二取付け金具5Bと同様に、支柱係合部5a(上側支柱係合部5aU、下側支柱係合部5aDを含む)、パネル係合部5b(上側パネル係合部5bU、下側パネル係合部5bDを含む)、連結部5c、上向き開口部5d、下向き開口部5e、位置決め突部5fを備えて形成されているが、第一取付け金具5Aの上側パネル係合部5bUは、第二取付け金具5Bの上側パネル係合部5bUよりも上方に延出されており、該延出分αだけ第一取付け金具5Aの上側パネル係合部5bUの上下長さL9は、第二取付け金具5Bの上側パネル係合部5bUの上下長さL6よりも長くなるように設定されている(L9=L6+α)。而して、第一取付け金具5Aのパネル係合部5bの上下長さL10も、前記延出分αだけ第二取付け金具5Bのパネル係合部5bの上下長さL3よりも長くなるように設定されているが、パネル6のスリット6dの上下長さL4よりは短くなるように設定されている(L3<L10(=L3+α)<L4)。また、上側パネル係合部5bUおよびパネル係合部5bの上下長さL9、L10以外の第一取付け金具5Aの寸法は、第二取付け金具5Bと同一となるように設定されている。さらに、第一取付け金具5Aの板厚D2は、前記第二取付け金具5Bの板厚D2と等しく設定されている。そして、該第一取付け金具5Aは、図5(C)に示す如く、前述した第二取付け金具5Bと同様の手順で、支柱4の最も上側の係止孔4cに係止されるようになっている。
【0016】
一方、前記第一、第二取付け金具5A、5Bのパネル係合部5bが係合するべくパネル6に穿設されるスリット6dは、第一取付け金具5Aが係合するスリット6dも第二取付け金具5Bが係合するスリット6dも同じ寸法形状をしているが、該スリット6dは、長方形状をした太径部6eの上部に、上側ほど細径となる先すぼまり状の細径部6fが形成されている。そして、スリット太径部6eの横幅D3は、第一、第二取付け金具5A、5Bに係合させやすいように第一、第二取付け金具5A、5Bの板厚D2よりも幅広に形成されている(D2<D3)が、細径部6fの上端の横幅D4は、第一、第二取付け金具5A、5Bに対してパネル6が左右方向にずれないように第一、第二取付け金具5A、5Bの板厚D2よりも僅かに大きな寸法に設定されている。さらに、スリット太径部6eの上下長さL11は、第一、第二取付け金具5A、5Bのパネル係合部5bの上下長さL10、L3よりも長く設定されている。
【0017】
そして、パネル6を支柱4に取付ける場合には、前述したようにして支柱4に係止された第一、第二取付け金具5A、5Bにパネル6を引っ掛けることになるが、この場合に、まず、パネル6を前記パネル受け金具12に一旦載せ、次いでパネル6を持ち上げて、第一、第二取付け金具5A、5Bのパネル係合部5bにパネル6のスリット6dの太径部6eを係合させる。この場合に、最も上側の係止孔4cに係止された第一取付け金具5Aのパネル係合部5bと最も上側のスリット6の太径部6eとの位置を合わせるように留意して係合することで、第一取付け金具5Aのパネル係合部5bよりも上下長さが短い第二取付け金具5Bのパネル係合部5bは対応するスリット太径部6eとの位置合わせ係合が誘導されることになり、而して、第一取付け金具5Aに位置合わせしてスリット太径部6eを係合させることで残りの第二取付け金具5Bも位置合せされた状態でスリット太径部6eに係合させることができるようになっている。そして、第一、第二取付け金具5A、5Bのパネル係合部5bにパネル6のスリット太径部6eを係合させた後、該係合が外れないようにパネル6を支柱4側に押し付けながら下側にずり下げると、第一、第二取付け金具5A、5Bの上向き開口溝5dの溝底にパネル6のスリット細径部6fの上端が当接し、これによりパネル6は第一、第二取付け金具5A、5Bに引っ掛けられるようになっている。
【0018】
叙述の如く構成された本形態において、パネル6は、支柱4に上下方向複数穿設された係止孔4cに係止された取付け金具5に、パネル6に穿設された上下方向複数のスリット6dを係合させてパネル6を引っ掛けることで支柱4に取り付けられることになるが、このものにおいて、前記取付け金具5は、パネル6のスリット6dに係合するパネル係合部5bの上下長さが長短異なる第一取付け金具5Aと第二取付け金具5Bとが用いられており、そして、パネル6のスリット6dを取付け金具5A、5Bに係合させる場合に、パネル係合部5bの上下長さが長い第一取付け金具5Aとスリット6dとを位置合せして該スリット6dを第一取付け金具5Aに係合させることで、パネル係合部5bの上下長さが短い第二取付け金具5Bとスリット6dとの位置合せ係合が誘導されることになる。
【0019】
而して、パネル6を支柱4に取り付けるべく、パネル6のスリット6dを支柱4に係止された取付け金具5に係合させる場合に、全てのスリット6dと取付け金具5との位置合わせを行なわなくても、パネル係合部5bの上下長さが長い第一取付け金具5Aとスリット6dとを留意して位置合せ係合するだけで、残りの第二取付け金具5Bと対応するスリット6dとの位置合せ係合が誘導されることになり、この結果、パネル6の支柱4へ取付け作業が容易になって、取付作業の作業効率の向上および労力の軽減に大きく貢献できる。
【0020】
しかもこのものにおいて、第一、第二取付け金具5A、5Bは、支柱4の係止孔4cに係合する支柱係合部5aと、パネル6のスリット6dに係合するパネル係合部5bと、これら支柱係合部5aとパネル係合部5bとの上下方向中間部同士を連結する連結部5cとを備えると共に、第一取付け金具5Aのパネル係合部5bは、連結部5cよりも上方に突出する上側パネル係合部5bUの上下長さが第二取付け金具5Bの上側パネル係合部5bUの上下長さよりも長く設定されることで、第二取付け金具5Bのパネル係合部5bの上下長さよりも長く設定されている。この結果、支柱4に係止された状態で、第一取付け金具5Aのパネル係合部5bの上部は、第二取付け金具5Bのパネル係合部5bの上部よりも対応するスリット6dに対して上方に突出していることになり、該上方に突出している第一取付け金具5Aのパネル係合部5bとスリット6dとの位置合せ係合で、残りの第二取付け金具5Bとスリット6dとの位置合せ係合が確実且つ容易に誘導されることになる。
【0021】
さらにこのものにおいて、パネル係合部5bの長い第一取付け金具5Aは、支柱4の係止孔4cに係止される複数の取付け金具5のうち最も上側に取付けられている。而して、最も上側の第一取付け金具5Aとスリット6dとの位置合せ係合で、残りの第二取付け金具5Bとスリット6dとの位置合せ係合が誘導されることになって、取付作業がより容易となる。
【0022】
そのうえ、支柱4の係止孔4cの下側には位置決め孔4dが形成される一方、取付け金具5には、該位置決め孔4dに嵌入する位置決め突部5fが形成されている。これにより、パネル6のスリット6dに取付け金具5を係合して引っ掛ける際に取付け金具5がずれてしまうことを防止でき、取付作業の作業効率が更に向上する。
【0023】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されないことは勿論であって、上記実施の形態では、第一取付け金具5Aは最も上側の取付け金具5に用いられ、残りの取付け金具5には第二取付け金具5Bが用いられているが、これに限らず、最も上側以外の取付け金具5(例えば、作業員がパネル6を取付けるときにパネル6を把持する作業員の手元に最も近い取付け金具5)を第一取付け金具5Aにすることもでき、また、第一取付け金具5Aを複数用いることもできる。
【0024】
また、図7に示す第二の実施の形態の如く、第一取付け金具5Aのパネル係合部5bの上部に段差状部5gを形成し、該段差状部5gを、第一取付け金具5Aにパネル6のスリット6dを係合させた後に一旦パネル6を仮保持させるための仮保持部として用いる構成にすることもできる。この様に構成した場合には、第一、第二取付け金具5A、5Bにパネル6のスリット6dを係合させるにあたり、まず第一取付け金具5Aにスリット6dを係合して段差状部5gにパネル6を仮保持させた状態で、パネル6を支柱4側に押し付ければ第二取付け金具5Bと対応するスリット6dとが係合することになり、而して、パネル6を持ち上げたまま保持する労力を軽減することができて、更なる作業性の向上に貢献できる。
【0025】
さらに、上記実施の形態において、パネル6に形成されるスリット6dは、前述したように、太径部6eの上部に、上側ほど細径となる先すぼまり状の細径部6fが形成されており、該細径部6fの上端が第一、第二取付け金具5A、5Bの上向き開口溝5dの溝底に当接することで、第一、第二取付け金具5A、5Bに対する左右方向の位置決めがなされるように構成されている。これにより、複数のパネル6を支柱4に取付けた後で、左右に隣接するパネル6間の目地寸法を調節する必要がないように構成されているが、スリットの上部に上記実施の形態のような細径部が形成されていない場合には、目地調整作業が必要となって面倒であるという問題がある。そこで、図8に示す第三の実施の形態のものでは、スリットの上部に細径部が形成されていない場合であっても、パネル6を取付ける際に治具13を用いることで目地調整が必要ないように構成されている。
前記治具13は、図8(A)に示す如く、左右に隣接するパネル6間に介装され、正規の目地間隔と同寸法に設定された厚みWを有する四角形状の本体部13aと、該本体部13から横方向に延びる装着部13bとからなり、装着部13bにはマグネット13cが取付けられている。そして、まず、基準となるパネル6(図8(B)、(C)において右側のパネル6)を支柱4に取付けた状態で、基準パネル6の表面材(鋼板からなる)の左側縁部に前記治具13の装着部13bをマグネット13cにより取付けて、本体部13aの内側面13dを基準パネル6の左側面に当接させる。これにより治具13は、本体部13aが基準パネル6と該基準パネル6に隣接するパネル6(図8(B)、(C)において左側のパネル6)との間に位置するようにセットされる。そして、該セットされた治具13をガイドとして、該治具13の本体部13aの外側面13eに隣接するパネル6の右側面が当接するように隣接パネル6を支柱4に取付けることにより、隣接するパネル6は目地調節された状態で取付けられるようになっている。さらにこのものでは、前記治具13を取付け金具(図8には図示せず)の係止位置に位置合せしてパネル6にセットすることにより、取付け金具の位置を治具13を介して確信できることになり、更なる作業性の向上に貢献できる。尚、図8では、判りやすくするために治具13をパネル6に対して大きめに記載すると共に、図面を簡略化してある。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、間仕切り装置等において、支柱に取付け金具を介してパネルを取付ける場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0027】
4 支柱
4c 係止孔
4d 位置決め孔
5 取付け金具
5A 第一取付け金具
5B 第二取付け金具
5b パネル係合部
5bU 上側パネル係合部
5f 位置決め突部
6 パネル
6d スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8