特許第6261354号(P6261354)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーションの特許一覧

<>
  • 特許6261354-チップ実装構造体およびその製造方法 図000002
  • 特許6261354-チップ実装構造体およびその製造方法 図000003
  • 特許6261354-チップ実装構造体およびその製造方法 図000004
  • 特許6261354-チップ実装構造体およびその製造方法 図000005
  • 特許6261354-チップ実装構造体およびその製造方法 図000006
  • 特許6261354-チップ実装構造体およびその製造方法 図000007
  • 特許6261354-チップ実装構造体およびその製造方法 図000008
  • 特許6261354-チップ実装構造体およびその製造方法 図000009
  • 特許6261354-チップ実装構造体およびその製造方法 図000010
  • 特許6261354-チップ実装構造体およびその製造方法 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261354
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】チップ実装構造体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20180104BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20180104BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   H01L21/60 311Q
   H01L21/92 602N
   H01L21/92 602R
   H05K1/18 L
   H05K3/34 501E
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-12141(P2014-12141)
(22)【出願日】2014年1月27日
(65)【公開番号】特開2015-141917(P2015-141917A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2016年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108501
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 剛史
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】清野 さつ夫
(72)【発明者】
【氏名】大野 英司
(72)【発明者】
【氏名】上村 昌宏
【審査官】 柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−091087(JP,A)
【文献】 特開2004−186629(JP,A)
【文献】 特開2013−030595(JP,A)
【文献】 特開2005−333166(JP,A)
【文献】 特開2014−007244(JP,A)
【文献】 特開平05−343407(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0043672(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H05K 1/18
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップの接続面においてフリップチップ接続する位置での1つ置きの位置にバンプの厚みよりも大きい所定高さのピラーを形成することと、
前記チップの前記接続面において形成した前記ピラーの上および前記ピラーの間の前記フリップチップ接続する位置に前記バンプを形成することと、
基板の接続面において前記チップの前記接続面とは異なる前記フリップチップ接続する位置での1つ置きの位置に前記所定高さの前記ピラーを形成することと、
前記チップの前記接続面において前記ピラーの上に形成した前記バンプおよび前記ピラーの間の前記フリップチップ接続する位置に形成した前記バンプを、前記基板の前記接続面において前記バンプを形成していない前記フリップチップ接続する位置でおよび形成した前記ピラーにそれぞれ接続することと、
を含み、
前記チップの前記接続面において前記ピラーを形成することと前記バンプを形成することは、前記チップの前記接続面に第1のレジストを付着し、前記ピラーの間の前記フリップチップ接続する位置で前記第1のレジストに前記チップの前記接続面まで第1の穴を開け、当該第1の穴に前記バンプを形成し、前記第1のレジストの上に第2のレジストを付着し、前記ピラーを形成する位置で前記第2のレジストおよび前記第1のレジストに前記チップの前記接続面まで第2の穴を開け、当該第2の穴に前記ピラーを形成すると共に当該ピラーの上に前記バンプを形成し、前記第1のレジストおよび前記第2のレジストを除去することにより行われる、チップ実装構造体の製造方法。
【請求項2】
チップの接続面においてフリップチップ接続する位置での1つ置きの位置にバンプの厚みよりも大きい所定高さのピラーを形成することと、
基板の接続面において前記チップの前記接続面とは異なる前記フリップチップ接続する位置での1つ置きの位置に前記所定高さの前記ピラーを形成することと、
前記基板の前記接続面において形成した前記ピラーの上および前記ピラーの間の前記フリップチップ接続する位置に前記バンプを形成することと、
前記基板の前記接続面において前記ピラーの上に形成した前記バンプおよび前記ピラーの間の前記フリップチップ接続する位置に形成した前記バンプを、前記チップの前記接続面において前記バンプを形成していない前記フリップチップ接続する位置でおよび形成した前記ピラーにそれぞれ接続することと、
を含み、
前記基板の前記接続面において前記ピラーを形成することと前記バンプを形成することは、前記基板の前記接続面に第1のレジストを付着し、前記ピラーの間の前記フリップチップ接続する位置で前記第1のレジストに前記基板の前記接続面まで第1の穴を開け、当該第1の穴に前記バンプを形成し、前記第1のレジストの上に第2のレジストを付着し、前記ピラーを形成する位置で前記第2のレジストおよび前記第1のレジストに前記基板の前記接続面まで第2の穴を開け、当該第2の穴に前記ピラーを形成すると共に当該ピラーの上に前記バンプを形成し、前記第1のレジストおよび前記第2のレジストを除去することにより行われる、チップ実装構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IC(IntegratedCircuit:集積回路)チップ(以下、単に「チップ」と云う。)の実装技術に関し、特に、フリップチップ接続におけるバンプのピッチ(間隔)を狭くしたチップ実装構造体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップとそれを支持する基板とのフリップチップ接続には、例えば、半田バンプのようなバンプが使用されており、バンプは、チップ表面の接続面において、例えば、150μm〜200μmのピッチでアレー状に配置されている。
【0003】
図1の(a)に、基板105の接続面110におけるバンプ115と、例えば、銅(Cu)ピラー(柱)のようなピラー120との配置を、チップ125およびチップ125側のパッド145が省略された上面図で概略的に示す。バンプ115の直径Dに対してピッチPが取られている。
【0004】
図1の(b)に、基板105にチップ125をバンプ115でフリップチップ接続したチップ実装構造体100を側断面図で概略的に示す。バンプ115は、基板105の接続面110において、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)のような金属のパッド130の上に設けられている。バンプ115およびパッド130は、例えば、半田マスクのような絶縁層135で囲まれている。ピラー120は、同様に、チップ125の接続面140において金属のパッド145の上に設けられている。基板105の絶縁層135とチップ125の接続面140と間には、アンダーフィル150が設けられている。ピラー120の高さおよびバンプ115の厚さは、基板105のパッド130とチップ125のパッド145との間隔がHとなるように定められる。
【0005】
チップ125の回路集積度が上がるのに伴い、バンプ115のピッチPを狭くすることが求められている。しかし、図2に示すように、バンプ115は、その中央部分が膨らんでいる為に、バンプ115のピッチPを狭くすると、隣のバンプ115と接触して電気的短絡を生じ兼ねない。
【0006】
特許文献1には、半導体チップとそれを囲む樹脂体との間のリード接続において、リードの途中にある幅広のパッドが隣同士で接触しないようにそのパッドの位置を交互にずらして、リードを樹脂体上に設けた半導体装置が示されている。
【0007】
特許文献2には、多層コア基板内で、グランド層を絶縁箇所で貫通し電源層に至るテーパ状のビアホール導体と、電源層を絶縁箇所で貫通しグランド層に至るテーパ状のビアホール導体とを、交互に並設するようにして、ビアホール間のピッチを狭くした多層コア基板が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−111432号公報
【特許文献2】特開2006−114741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のように水平方向であるX−Y方向の2次元的な配置だけでバンプのピッチを狭くするのでは、バンプ同士が接触して電気的短絡を生じ兼ねず、バンプのピッチをさらに狭くするのは困難である。本発明は、バンプ同士が接触することなくバンプのピッチをさらに狭くすることができるチップ実装の実現を目的とする。本発明の目的には、フリップチップ接続におけるバンプのピッチを狭くしたチップ実装構造体およびその製造方法を提供することが含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明により提供される1実施態様のチップ実装構造体は、チップを基板にバンプでフリップチップ接続したチップ実装構造体であり、チップの接続面または基板の接続面からのバンプの高さ位置が隣同士でバンプの厚みを超える高低差となっている。
【0011】
好ましくは、チップの接続面には、フリップチップ接続する位置での1つ置きの位置にバンプの厚みよりも大きい所定高さのピラーが配置されて当該ピラーの上にバンプが設けられ、基板の接続面には、チップの接続面とは異なるフリップチップ接続する位置での1つ置きの位置に当該所定高さのピラーが配置されて当該ピラーの上にバンプが設けられていると良い。
【0012】
好ましくは、チップの接続面には、フリップチップ接続する位置での1つ置きの位置にバンプの厚みよりも大きい所定高さのピラーが配置されて当該ピラーの上にバンプが設けられると共に、当該ピラーの間のフリップチップ接続する位置にもバンプが設けられ、基板の接続面には、チップの接続面とは異なるフリップチップ接続する位置での1つ置きの位置に当該所定高さのピラーが配置されていると良い。
【0013】
好ましくは、チップの接続面には、フリップチップ接続する位置での1つ置きの位置にバンプの厚みよりも大きい所定高さのピラーが配置され、基板の接続面には、チップの接続面とは異なるフリップチップ接続する位置での1つ置きの位置に当該所定高さのピラーが配置されて当該ピラーの上にバンプが設けられると共に、当該ピラーの間のフリップチップ接続する位置にもバンプが設けられていると良い。
【0014】
本発明により提供される1実施態様のチップ実装構造体の製造方法は、チップの接続面においてフリップチップ接続する位置での1つ置きの位置にバンプの厚みよりも大きい所定高さのピラーを形成することと、チップの接続面に形成したピラーの上にバンプを形成することと、基板の接続面においてチップの接続面とは異なるフリップチップ接続する位置での1つ置きの位置に当該所定高さのピラーを形成することと、基板の接続面に形成したピラーの上にバンプを形成することと、チップの接続面においてピラーの上に形成したバンプを、基板の接続面においてバンプを形成していないフリップチップ接続する位置で接続すると共に、基板の接続面においてピラーの上に形成したバンプを、チップの接続面においてバンプを形成していないフリップチップ接続する位置で接続することとを含む。
【0015】
好ましくは、チップの接続面においてピラーを形成することとバンプを形成することは、チップの接続面に第1のレジストを付着し、ピラーを形成する位置で第1のレジストにチップの接続面まで第1の穴を開け、第1の穴にピラーを形成すると共に当該ピラーの上にバンプを形成し、第1のレジストを除去することにより行われ、基板の接続面においてピラーを形成することとバンプを形成することは、基板の接続面に第2のレジストを付着し、ピラーを形成する位置で第2のレジストに基板の接続面まで第2の穴を開け、第2の穴にピラーを形成すると共に当該ピラーの上にバンプを形成し、第2のレジストを除去することにより行われると良い。
【0016】
本発明により提供される1実施態様のチップ実装構造体の製造方法は、チップの接続面においてフリップチップ接続する位置での1つ置きの位置にバンプの厚みよりも大きい所定高さのピラーを形成することと、チップの接続面において形成したピラーの上およびピラーの間のフリップチップ接続する位置にバンプを形成することと、基板の接続面においてチップの接続面とは異なるフリップチップ接続する位置での1つ置きの位置に当該所定高さのピラーを形成することと、チップの接続面においてピラーの上に形成したバンプおよびピラーの間のフリップチップ接続する位置に形成したバンプを、基板の接続面においてバンプを形成していないフリップチップ接続する位置でおよび形成したピラーにそれぞれ接続することとを含む。
【0017】
好ましくは、チップの接続面においてピラーを形成することとバンプを形成することは、チップの接続面に第1のレジストを付着し、ピラーの間のフリップチップ接続する位置で第1のレジストにチップの接続面まで第1の穴を開け、第1の穴にバンプを形成し、第1のレジストの上に第2のレジストを付着し、ピラーを形成する位置で第2のレジストおよび第1のレジストにチップの接続面まで第2の穴を開け、第2の穴にピラーを形成すると共に当該ピラーの上にバンプを形成し、第1のレジストおよび第2のレジストを除去することにより行われると良い。
【0018】
本発明により提供される1実施態様のチップ実装構造体の製造方法は、チップの接続面においてフリップチップ接続する位置での1つ置きの位置にバンプの厚みよりも大きい所定高さのピラーを形成することと、基板の接続面においてチップの接続面とは異なるフリップチップ接続する位置での1つ置きの位置に当該所定高さのピラーを形成することと、基板の接続面において形成したピラーの上およびピラーの間のフリップチップ接続する位置にバンプを形成することと、基板の接続面においてピラーの上に形成したバンプおよびピラーの間のフリップチップ接続する位置に形成したバンプを、チップの接続面においてバンプを形成していないフリップチップ接続する位置でおよび形成したピラーにそれぞれ接続することとを含む。
【0019】
好ましくは、基板の接続面においてピラーを形成することとバンプを形成することは、基板の接続面に第1のレジストを付着し、ピラーの間のフリップチップ接続する位置で第1のレジストに基板の接続面まで第1の穴を開け、第1の穴にバンプを形成し、第1のレジストの上に第2のレジストを付着し、ピラーを形成する位置で第2のレジストおよび第1のレジストに基板の接続面まで第2の穴を開け、第2の穴にピラーを形成すると共に当該ピラーの上にバンプを形成し、第1のレジストおよび第2のレジストを除去することにより行われると良い。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、バンプのピッチをさらに狭くすることができるチップ実装が実現される。特に、そのようなチップ実装は、本発明により提供される、フリップチップ接続におけるバンプのピッチを狭くしたチップ実装構造体およびその製造方法によって達成される。
【0021】
本発明では、水平方向であるX−Y方向の2次元的な配置だけでなく垂直方向であるZ方向の配置も考慮され、隣合うバンプが互いに同じ高さ位置にならないように交互に高さ位置を変えてバンプはX−Y−Z方向の3次元的な配置で設けられるので、バンプのピッチをさらに狭くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】(a)は従来のフリップチップ接続におけるバンプおよびピラーの配置を概略的に示す上面図であり、(b)は従来のフリップチップ接続によるチップ実装構造体を概略的に示す側断面図である。
図2】従来のフリップチップ接続においてバンプのピッチを狭くしたチップ実装構造体を概略的に示す側断面図である。
図3】(a)は本発明の1実施形態に係るチップ実装構造体のフリップチップ接続におけるバンプおよびピラーの配置を概略的に示す上面図であり、(b)は、本発明の1実施形態に係るチップ実装構造体を概略的に示す側断面図である。
図4】本発明の1実施形態に係るチップ実装構造体の製造方法を概略的に示す側面図である。
図5】本発明の1実施形態に係るチップ実装構造体の他の製造方法を概略的に示す側面図である。
図6】本発明の1実施形態に係るチップ実装構造体のさらに他の製造方法を概略的に示す側面図である。
図7】本発明の1実施形態に係るチップ実装構造体の製造方法における主な処理を概略的に示す側断面図である。
図8】本発明の1実施形態に係るチップ実装構造体の他の製造方法における主な処理を概略的に示す側断面図である。
図9】従来および本発明それぞれのフリップチップ接続における半田ブリッジ発生率を算出し対比して示すグラフである。
図10】従来および本発明それぞれのフリップチップ接続における同じ半田ブリッジ発生率が算出されるときのバンプピッチを対比して概略的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、記載された実施形態の内容に限定して解釈されるべきではない。なお、実施形態の説明の全体を通じて同じ構成部分乃至構成要素には同じ番号を付している。
【0024】
図3の(a)に、本発明の1実施形態に係るチップ実装構造体200のフリップチップ接続におけるバンプ115およびピラー120の配置を、チップ125が省略された上面図で概略的に示す。図3の(a)では、ピラー120の位置にチップ125のパッド145が現れている。図3の(a)に示されるバンプ115のピッチPは、バンプ115の直径Dが同じであるにも拘らず、図1の(a)に示されたバンプ115のピッチPに比べて、狭くなっている。
【0025】
図3の(a)の上面図では、バンプ115同士は接触しそうに見えるが、実際には、図3の(b)にチップ実装構造体200を側断面図で概略的に示すとおり、バンプ115同士は全く接触しない。図3の(b)に示されるように、チップ実装構造体200では、チップ125の接続面140または基板105の接続面110からのバンプ115の高さ位置が隣同士でバンプ115の厚みを超える高低差となっている。チップ実装構造体200では、バンプ115の膨らんだ中央部分が隣のバンプ115の膨らんだ中央部分と接触することは起きないようになっている。
【0026】
バンプ115の高さ位置が隣同士でバンプ115の厚みを超える高低差となる構造は、次のようにして達成される。例えば、チップ125の接続面140には、左から1、3、5の奇数番目のように、フリップチップ接続する位置での1つ置きの位置にバンプ115の厚みよりも大きい所定高さHのピラー120が配置されてピラー120の上にバンプ115が設けられ、基板105の接続面110には、左から2、4、6の偶数番目のように、チップ125の接続面140とは異なるフリップチップ接続する位置での1つ置きの位置にその所定高さHのピラー120が配置されてピラー120の上にバンプ115が設けられることにより達成される。
【0027】
また、バンプ115の高さ位置が隣同士でバンプ115の厚みを超える高低差となる構造は、次のようにして達成される。例えば、チップ125の接続面140には、左から1、3、5の奇数番目のように、フリップチップ接続する位置での1つ置きの位置にバンプ115の厚みよりも大きい所定高さHのピラー120が配置されてピラー120の上にバンプ115が設けられると共に、左から2、4、6の偶数番目のように、ピラー120の間のフリップチップ接続する位置にもバンプ115が設けられ、基板105の接続面110には、左から2、4、6の偶数番目のように、チップ125の接続面140とは異なるフリップチップ接続する位置での1つ置きの位置にその所定高さHのピラー120が配置されることにより達成される。
【0028】
さらに、バンプ115の高さ位置が隣同士でバンプ115の厚みを超える高低差となる構造は、次のようにして達成される。例えば、チップ125の接続面140には、左から1、3、5の奇数番目のように、フリップチップ接続する位置での1つ置きの位置にバンプ115の厚みよりも大きい所定高さHのピラー120が配置され、基板105の接続面110には、左から2、4、6の偶数番目のように、チップ125の接続面140とは異なるフリップチップ接続する位置での1つ置きの位置にその所定高さHのピラー120が配置されてピラー120の上にバンプ115が設けられると共に、左から1、3、5の奇数番目のように、ピラー120の間のフリップチップ接続する位置にもバンプ115が設けられることにより達成される。
【0029】
図4に、本発明の1実施形態に係るチップ実装構造体200の製造方法を側面図で概略的に示す。まず、上段の左側に示されるように、チップ125の接続面140において、前述のとおり、左から1、3、5の奇数番目のように、フリップチップ接続する位置での1つ置きの位置にバンプ115の厚みよりも大きい所定高さHのピラー120を形成し、チップ125の接続面140に形成したピラー120の上にバンプ115を形成する。一方、上段の右側に示されるように、基板105の接続面110において、前述のとおり、左から2、4、6の偶数番目のように、チップ125の接続面140とは異なるフリップチップ接続する位置での1つ置きの位置にその所定高さHのピラー120を形成し、基板105の接続面110に形成したピラー120の上にバンプ115を形成する。
【0030】
そして、中段に示されるように、チップ125の接続面140においてピラー120の上に形成したバンプ115を、基板105の接続面110においてバンプ115を形成していないフリップチップ接続する位置で接続すると共に、基板105の接続面110においてピラー120の上に形成したバンプ115を、チップ125の接続面140においてバンプ115を形成していないフリップチップ接続する位置で接続すると、下段に示されるように、バンプ115の高さ位置が隣同士でバンプ115の厚みを超える高低差となっているチップ実装構造体200が得られる。
【0031】
この製造方法では、チップ125の接続面140と基板105の接続面110とにおいて、それぞれ、フリップチップ接続する位置での1つ置きの位置にピラー120を形成してピラー120の上にバンプ115を形成するので、バンプ115の形成は複雑にならず比較的容易である。しかしながら、バンプ115のピッチPを狭くし過ぎると、チップ125の接続面140と基板105の接続面110との両方で所定高さHのピラー120の上に形成されているバンプ115を水平方向において位置合わせするのは容易でなく、チップ125を基板105に接合するときに、チップ125の接続面140でピラー120の上に形成されているバンプ115と基板105の接続面110でピラー120の上に形成されているバンプ115とが接触して損傷する恐れがある。
【0032】
図5に、本発明の1実施形態に係るチップ実装構造体200の他の製造方法を側面図で概略的に示す。まず、上段の左側に示されるように、チップ125の接続面140において、前述のとおり、左から1、3、5の奇数番目のように、フリップチップ接続する位置での1つ置きの位置にバンプ115の厚みよりも大きい所定高さHのピラー120を形成し、チップ125の接続面140において形成したピラー120の上およびピラー120の間のフリップチップ接続する位置にバンプ115を形成する。一方、上段の右側に示されるように、基板105の接続面110において、前述のとおり、左から2、4、6の偶数番目のように、チップ125の接続面140とは異なるフリップチップ接続する位置での1つ置きの位置にその所定高さHのピラー120を形成する。
【0033】
そして、中段に示されるように、チップ125の接続面140においてピラー120の上に形成したバンプ115およびピラー120の間のフリップチップ接続する位置に形成したバンプ115を、基板105の接続面110においてバンプ115を形成していないフリップチップ接続する位置でおよび形成したピラー120にそれぞれ接続すると、下段に示されるように、バンプ115の高さ位置が隣同士でバンプ115の厚みを超える高低差となっているチップ実装構造体200が得られる。
【0034】
この製造方法では、チップ125の接続面140において、フリップチップ接続する位置での1つ置きの位置にピラー120を形成してピラー120の上およびピラー120の間のフリップチップ接続する位置にバンプ115を形成するので、チップ125の接続面140にだけバンプ115が形成され、バンプ115を水平方向において位置合わせするのは比較的容易であり、チップ125を基板105に接合するときに、バンプ115同士が接触して損傷する危険性は小さく、バンプ115のピッチPを狭くするのに適している。しかしながら、チップ125の接続面140にはピラー120の間のフリップチップ接続する位置にもバンプ115を形成するので、チップ125の接続面140におけるバンプ115の形成工程が複雑になる。
【0035】
図6に、本発明の1実施形態に係るチップ実装構造体200のさらに他の製造方法を側面図で概略的に示す。まず、上段の左側に示されるように、チップ125の接続面140において、前述のとおり、左から1、3、5の奇数番目のように、フリップチップ接続する位置での1つ置きの位置にバンプ115の厚みよりも大きい所定高さHのピラー120を形成する。一方、上段の右側に示されるように、基板105の接続面110において、前述のとおり、左から2、4、6の偶数番目のように、チップ125の接続面140とは異なるフリップチップ接続する位置での1つ置きの位置にその所定高さHのピラー120を形成し、基板105の接続面110において形成したピラー120の上およびピラー120の間のフリップチップ接続する位置にバンプ115を形成する。
【0036】
そして、中段に示されるように、基板105の接続面110においてピラー120の上に形成したバンプ115およびピラー120の間のフリップチップ接続する位置に形成したバンプ115を、チップ125の接続面140においてバンプ115を形成していないフリップチップ接続する位置でおよび形成したピラー120にそれぞれ接続すると、下段に示されるように、バンプ115の高さ位置が隣同士でバンプ115の厚みを超える高低差となっているチップ実装構造体200が得られる。
【0037】
この製造方法でも、基板105の接続面110において、フリップチップ接続する位置での1つ置きの位置にピラー120を形成してピラー120の上およびピラー120の間のフリップチップ接続する位置にバンプ115を形成するので、基板105の接続面110にだけバンプ115が形成され、バンプ115を水平方向において位置合わせするのは比較的容易であり、チップ125を基板105に接合するときに、バンプ115同士が接触して損傷する危険性は小さく、バンプ115のピッチPを狭くするのに適している。しかしながら、基板105の接続面110にはピラー120の間のフリップチップ接続する位置にもバンプ115を形成するので、やはり基板105の接続面110におけるバンプ115の形成工程が複雑になる。
【0038】
図7に、本発明の1実施形態に係るチップ実装構造体200の製造方法における主な処理を側断面図で概略的に示す。図7に示される処理は、図4に示した製造方法において行われる。(a)では、チップ125の接続面140にパッド145が設けられる。例えば、パッド145は、チップ125の接続面140に誘電体層を形成し、例えば、マスクを用いた露光および現像を行って、誘電体層に穴を開け、誘電体層の上および穴に導電体層を形成し、穴に形成した導電体層だけを残して誘電体層を接続面140から除去することにより、設けられる。(b)では、チップ125の接続面140に第1のレジスト155が付着される。
【0039】
図7において、(c)では、ピラー120を形成する位置で、例えば、マスクを用いた露光および現像により、第1のレジスト155にチップ125の接続面140まで第1の穴160が開けられる。(d)では、第1のレジスト155に開けられた第1の穴160に、例えば、銅のメッキなどにより、所定高さHのピラー120が形成される。(e)では、第1のレジスト155に開けられた第1の穴160において、さらに、例えば、半田のメッキなどにより、ピラー120の上にバンプ115が形成される。(f)では、チップ125の接続面140から第1のレジスト155が除去され、(g)では、バンプ115が丸みを帯びた形に整えられる。
【0040】
図7では、チップ125の接続面140にピラー120を形成してピラー120の上にバンプ115を形成することが示されているが、同様にして、基板105の接続面110にピラー120を形成してピラー120の上にバンプ115を形成することが行われる。その際に、(a)では、基板105の接続面110にパッド130が設けられ、(b)では、第1のレジスト155と同様に第2のレジストが基板105の接続面110に付着され、(c)では、第1の穴160と同様に第2の穴が第2のレジストに基板105の接続面110まで開けられることに留意されたい。
【0041】
図8に、本発明の1実施形態に係るチップ実装構造体200の他の製造方法における主な処理を側断面図で概略的に示す。図8に示される処理は、図5に示した製造方法において行われる。(a)では、図7と同様に、チップ125の接続面140にパッド145が設けられる。(b)でも、図7と同様に、チップ125の接続面140に第1のレジスト165が付着される。この第1のレジスト165にはバンプ115を形成するための穴が開けられるので、第1のレジスト165の厚さは、図7の(b)の第1のレジスト155のように所定高さHのピラー120が形成できる程には厚くする必要は無い。(c)では、バンプ115を形成する位置で、例えば、マスクを用いた露光および現像により、第1のレジスト165にチップ125の接続面140まで第1の穴170が開けられる。(d)では、第1のレジスト165に開けられた第1の穴170に、例えば、半田のメッキなどにより、バンプ115が形成される。
【0042】
図8において、(e)では、第1のレジスト165の上に第2のレジスト175が付着される。(f)では、ピラー120を形成する位置で、例えば、マスクを用いた露光および現像により、第2のレジスト175および第1のレジスト165にチップ125の接続面140まで第2の穴180が開けられる。(g)では、第2のレジスト175および第1のレジスト165に開けられた第2の穴180に、例えば、銅のメッキなどにより、所定高さHのピラー120が形成される。(h)では、第2のレジスト175および第1のレジスト165に開けられた第2の穴180において、さらに、例えば、半田のメッキなどにより、ピラー120の上にバンプ115が形成される。(i)では、チップ125の接続面140から第2のレジスト175および第1のレジスト165が除去され、(j)では、バンプ115が丸みを帯びた形に整えられる。
【0043】
図8では、チップ125の接続面140にピラー120を形成してピラー120の上にバンプ115を形成すると共に、ピラー120の間のフリップチップ接続する位置にバンプ115を形成することが示されていて、接合する相手側の基板105の接続面110において所定高さHのピラー120を形成することは示されていないが、基板105の接続面110にピラー120を形成するだけであれば、図7の(a)から(d)までと同様の処理を基板105の接続面110に行って第1のレジスト155を除去するだけで良いことに留意されたい。
【0044】
また、図8では、チップ125の接続面140にピラー120を形成してピラー120の上にバンプ115を形成すると共に、ピラー120の間のフリップチップ接続する位置にバンプ115を形成することが示されているが、図6に示した製造方法においては、同様にして、基板105の接続面110にピラー120を形成してピラー120の上にバンプ115を形成すると共に、ピラー120の間のフリップチップ接続する位置にバンプ115を形成することが行われ、その際に、(a)で、基板105の接続面110にパッド130が設けられて、(b)以降では、基板105の接続面110において同様の処理が行われることに留意されたい。
【0045】
図9に、従来および本発明それぞれのフリップチップ接続における半田ブリッジ発生率をシミュレーション計算して求め対比してグラフで示す。バンプのピッチを1(基準値)とし、ピラーの直径を0.6にして、バンプの直径を0.5〜0.8(0.1刻みで)にしたときの半田ブリッジ発生率を、バンプ直径の標準偏差の値を0.05〜0.4(0.05刻みで)と変えて算出した。半田ブリッジ発生率を縦軸に取り、バンプ直径の標準偏差を横軸に取って、算出値をグラフに表している。従来のような水平方向であるX−Y方向の2次元的な配置だけのフリップチップ接続では半田ブリッジ発生率は大きいが、本発明のような垂直方向であるZ方向の配置も考慮したX−Y−Z方向の3次元的な配置のフリップチップ接続では半田ブリッジ発生率は小さく軽減されることになる。例えば、バンプの直径が0.8でありバンプ直径の標準偏差が0.4であるなら、半田ブリッジ発生率は、従来のフリップチップ接続では約24%となるが、本発明のフリップチップ接続では約13%となり、半分近くまで軽減されることになる。
【0046】
図10に、従来および本発明それぞれのフリップチップ接続における同じ半田ブリッジ発生率が算出されるときのバンプピッチを対比して側面図で概略的に示す。図9ではバンプのピッチを一定にして従来および本発明それぞれのフリップチップ接続における半田ブリッジ発生率を算出したが、逆に半田ブリッジ発生率は同じで一定であるとすると、従来および本発明それぞれのフリップチップ接続でバンプのピッチがどれくらい狭くなるのかを調べた。図10の左側の従来のフリップチップ接続では、バンプとバンプの間で間隔Sを取る必要があるが、例えば、バンプのピッチPが1.0、バンプの直径Dが0.7、バンプ直径の標準偏差が0.1091、ピラーの直径Dが0.6、バンプの総数が200であるとしたモジュールの場合に、モジュール1個当たりの半田ブリッジ発生率は1.0%になる。
【0047】
一方、図10の右側の本発明のフリップチップ接続では、バンプとピラーの間で間隔Sを取れば良くて、バンプのピッチPだけを0.871にして、その他は同じにする、即ち、バンプの直径Dが0.7、バンプ直径の標準偏差が0.1091、ピラーの直径Dが0.6、バンプの総数が200であるとしたモジュールの場合に、モジュール1個当たりの半田ブリッジ発生率は1.0%になる。従って、半田ブリッジ発生率が1.0%と同じであっても、本発明のフリップチップ接続では、バンプのピッチPが、1.0から0.871になるので、約13%くらいは狭くできることになる。チップ125および基板105の接続面の単位面積当たりのIO(入出力)数に直すと、(1/0.871)=1.3178となり、約32%くらいIO数を増加できることになる。
【0048】
以上、実施態様を用いて本発明の説明をしたが、本発明の技術的範囲は実施態様について記載した範囲には限定されない。実施態様に種々の変更又は改良を加えることが可能であり、そのような変更又は改良を加えた態様も当然に本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
105 基板
115 バンプ
120 ピラー
125 チップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10