特許第6261382号(P6261382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6261382封緘ユニット、封緘解除装置および鍵管理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261382
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】封緘ユニット、封緘解除装置および鍵管理装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 19/00 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
   E05B19/00 E
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-38411(P2014-38411)
(22)【出願日】2014年2月28日
(65)【公開番号】特開2015-161149(P2015-161149A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2016年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】307011510
【氏名又は名称】株式会社熊平製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】沖野 淳志
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】湧本 英治
【審査官】 佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−179164(JP,A)
【文献】 特開2013−104255(JP,A)
【文献】 米国特許第04129021(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00− 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵の着脱が可能なリング端部を有するキーリングの当該リング端部を封緘する封緘ユニットであって、
上記リング端部を保持する保持部を備えた可動部と、
上記可動部が変位可能に支持される本体部と、を備え、
上記可動部および上記本体部は、キーホルダとは別体のものとして構成され、
上記本体部に対する上記可動部の相対位置を変位させることで、上記リング端部が封緘された状態と、上記リング端部の封緘が解除された状態とが切替え可能となっており、
上記本体部に対する上記可動部の相対位置が、上記リング端部が封緘された状態となる位置関係において、上記可動部の変位を阻止する可動部変位阻止機構を備えており、
上記可動部変位阻止機構は、
向かい合う磁石同士が互いに反発して変位可能なよう、上記可動部内において対向する位置に配置された磁石対と、
上記本体部に対する上記可動部の相対位置が、上記リング端部が封緘された状態となる位置関係において、上記磁石対における磁石同士が反発して離間することで嵌入するよう、上記本体部に形成された嵌入孔と、から構成されることを特徴とする封緘ユニット。
【請求項2】
鍵の着脱が可能なリング端部を有するキーリングの当該リング端部を封緘する封緘ユニットであって、
上記リング端部を保持する保持部を備えた可動部と、
上記可動部が変位可能に支持される本体部と、を備え、
上記可動部および上記本体部は、キーホルダとは別体のものとして構成され、
上記本体部に対する上記可動部の相対位置を変位させることで、上記リング端部が封緘された状態と、上記リング端部の封緘が解除された状態とが切替え可能となっており、
上記キーリングの上記リング端部には段差が形成されており、
上記保持部には、上記キーリングが特定の方向のみにおいて上記保持部に対して着脱されるよう、上記段差の形状に合わせてリブが形成されていることを特徴とする封緘ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の封緘ユニットの封緘を解除する封緘解除装置であって、
上記封緘ユニットが挿入される挿入孔を備え、
上記挿入孔に上記封緘ユニットを挿入することで、上記リング端部の封緘が解除された状態となることを特徴とする封緘解除装置。
【請求項4】
請求項に記載の封緘解除装置を備えていることを特徴とする鍵管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍵を吊るすためのキーリングを封緘する封緘ユニット、該封緘ユニットの封緘を解除する封緘解除装置、および該封緘解除装置を備える鍵管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、盗難や人目に触れること等から守るため、貴重品や機密物を一定の容器や構築物などに収納し、その容器や構築物などの開口部を、例えば、特許文献1に記載されているような、嵌め殺し型の封緘具を用いて封絨することが行われている。この嵌め殺し型の封緘具は、封緘を解除する際に、封緘具を破壊する必要がある。
【0003】
また、鍵を吊るしたキーリングをキーホルダに取り付け、このキーホルダを鍵管理装置の所定箇所に差し込むようにすることで、多数の重要な鍵をまとめて管理することが行われている。このような鍵管理装置の中には、キーリングの封緘に、嵌め殺し型の封緘具を使用するものがある。この嵌め殺し型の封緘具を使用する鍵管理装置では、鍵の付け替えの際、キーホルダ、キーリング、または封緘具のいずれかを破壊する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7−32140号公報(1995年6月16日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来の嵌め殺し型の封緘具では、封緘を解除する度に、封緘具を破壊するしかないため、この封緘具が消耗品となってしまうという問題点がある。また、上記従来の鍵管理装置では、鍵の付け替えを行う度にキーホルダ、キーリング、または封緘具のいずれかを破壊するしかないため、これらの物品が消耗品となってしまい、鍵管理のためのランニングコストが嵩んでしまうという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みて為されたものであって、その目的は、封緘を解除する際に消耗品が生じることを回避し、鍵管理のためのランニングコストを低減できる封緘ユニットなどを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る封緘ユニットは、上記の課題を解決するために、鍵の着脱が可能なリング端部を有するキーリングの当該リング端部を封緘する封緘ユニットであって、上記リング端部を保持する保持部を備えた可動部と、上記可動部が変位可能に支持される本体部と、を備え、上記可動部および上記本体部は、キーホルダとは別体のものとして構成され、上記本体部に対する上記可動部の相対位置を変位させることで、上記リング端部が封緘された状態と、上記リング端部の封緘が解除された状態とが切替え可能となっていることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、本体部に対する可動部の相対位置を変位させるだけで、キーリングまたは封緘ユニットを破壊することなく封緘を解除することができる。このため、封緘を解除する際に消耗品が生じることがない。
【0009】
また、上記構成によれば、キーリングおよび封緘ユニットを用意するだけで、封緘された状態と、封緘が解除された状態との切替え機能を、既存の鍵管理装置などに後付けで付加可能になる。さらに、本発明の封緘ユニットは、可動部および本体部がキーホルダとは別体であるので、既存のキーホルダをそのまま使用して鍵の管理を実現することができる。
【0010】
このように、キーリングおよび封緘ユニットと、既存の鍵管理装置とを経年使用でき、鍵の付け替えのために封緘を解除しても消耗品が発生しないので、鍵管理のためのランニングコストを低減できる。
【0011】
以上によれば、封緘を解除する際に消耗品が生じることを回避し、鍵管理のためのランニングコストを低減できる。
【0012】
また、本発明の一態様に係る封緘ユニットは、上記の構成に加えて、上記本体部に対する上記可動部の相対位置が、上記リング端部が封緘された状態となる位置関係において、上記可動部の変位を阻止する可動部変位阻止機構を備えていても良い。
【0013】
上記構成によれば、本体部に対する可動部の相対位置が変位して、ユーザの意図に反して封緘が解除された状態となることを阻止することができる。
【0014】
また、本発明の一態様に係る封緘ユニットは、上記の構成に加えて、上記可動部変位阻止機構は、向かい合う磁石同士が互いに反発して変位可能なよう、上記可動部内において対向する位置に配置された磁石対と、上記本体部に対する上記可動部の相対位置が、上記リング端部が封緘された状態となる位置関係において、上記磁石対における磁石同士が反発して離間することで嵌入するよう、上記本体部に形成された嵌入孔と、から構成されていても良い。
【0015】
上記構成によれば、嵌入孔に磁石が嵌入することで、本体部に対する可動部の相対位置が変位して、ユーザの意図に反して封緘が解除された状態となることを阻止することができる。
【0016】
また、本発明の一態様に係る封緘ユニットは、上記キーリングの上記リング端部には段差が形成されており、上記保持部には、上記キーリングが特定の方向のみにおいて上記保持部に対して着脱されるよう、上記段差の形状に合わせてリブが形成されている構成である。
【0017】
上記構成によれば、保持部に形成されたリブにより、鍵の着脱が可能なリング端部を、保持部に確実に保持させることができる。これにより、キーリングのリング端部でない部分が保持部に誤って保持されてしまうことによって、鍵の着脱が自由にできてしまうという状況を阻止することができる。
【0018】
また、本発明の一態様に係る封緘解除装置は、上記のいずれかの封緘ユニットの封緘を解除する封緘解除装置であって、上記封緘ユニットが挿入される挿入孔を備え、上記挿入孔に上記封緘ユニットを挿入することで、上記リング端部の封緘が解除された状態となる構成である。
【0019】
上記構成によれば、封緘解除装置の挿入孔に封緘ユニットを挿入するだけで、キーリングまたは封緘ユニットを破壊することなく簡単に封緘を解除することができる。
【0020】
また、本発明の一態様に係る鍵管理装置は、上記構成の封緘解除装置を備える構成である。
【0021】
上記構成によれば、封緘を解除する際に消耗品が生じることを回避し、低いランニングコストで経年的な鍵管理を行うことができる。また、封緘解除装置の挿入孔に封緘ユニットを挿入するだけで封緘を解除することができるため、例えば、キーホルダを鍵管理装置に差し込んだままの状態で、鍵交換が可能になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、封緘を解除する際に消耗品が生じることを回避し、鍵管理のためのランニングコストを低減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態1に係る封緘ユニット、および該封緘ユニットに用いられる封緘解除装置の外観もしくは構造を示す図であり、(a)は、上記封緘ユニット(封緘されている状態)および上記封緘解除装置の外観を示す斜視図であり、(b)は、図1の(a)に示す封緘ユニットの内部構造を示す断面図であり、(c)は、上記封緘ユニット(封緘が解除されている状態)および上記封緘解除装置の外観を示す斜視図であり、(d)は、図1の(c)に示す封緘ユニットの内部構造を示す断面図である。
図2】上記封緘ユニットの構造の詳細および外観を示す図であり、(a)は、上記封緘ユニットを分解したときの様子を示す分解構造図であり、(b)は、封緘ユニットにおける本体部からの可動部の抜け止めを防止する機構を示す断面図であり、(c)は、上記封緘ユニットの外観(管理番号刻印側)を示す図であり、(d)は、上記封緘ユニットの外観(シール貼付用凹部側)を示す図である。
図3】上記封緘ユニットの保持部にキーリングのリング端部を保持させたときの状態を示す図であり、(a)は、上記封緘ユニットの保持部にリング端部を保持させたときの状態を示す側面図であり、(b)は、その正面図であり、(c)は、図3の(b)に示す正面図の部分拡大図であり、(d)は、上記封緘ユニットの保持部にリング端部を保持させたときにおけるキーリングの回動範囲を示す図である。
図4】上記封緘解除装置の外観および構造を示す図であり、(a)は、上記封緘解除装置の外観を示す斜視図であり、(b)は、上記封緘解除装置の構造(ロック時)を示す断面図であり、(c)は、上記封緘解除装置の構造(ロック解除時)を示す断面図であり、(d)は、上記封緘解除装置の挿入孔の内部を見たときの様子(ロック時)を示す図であり、(e)は、上記封緘ユニットの上記封緘解除装置の挿入孔への挿入前の様子を示す図である。
図5】本発明の実施形態2に係る鍵管理装置または実施形態3に係る鍵管理システムの構成などを示す図であり、(a)は、本発明の実施形態2に係る一体型の鍵管理装置の外観を示す図であり、(b)は、本発明の実施形態2に係る外付け型の鍵管理装置の外観を示す図であり、(c)は、本発明の実施形態3に係る鍵管理システムの外観を示す図であり、(d)は、上記鍵管理装置または鍵管理システムで管理する封緘ユニット付きキーホルダの構成を示す図である。
図6】上記封緘ユニットのオプションを示す図であり、(a)は、上記封緘ユニットにオプションとしての磁性体ケースを装着する前の様子を示す図であり、(b)は、上記封緘ユニットに上記磁性体ケースを装着した後の様子を示す図であり、(c)は、上記封緘ユニットにオプションとしてのRFID(Radio Frequency Identification)タグを搭載したときの様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施するための形態について図1図6に基づいて説明すれば以下のとおりである。以下、特定の実施形態で説明する構成以外の構成については、必要に応じて説明を省略する場合があるが、他の実施形態で説明されている場合は、その構成と同じである。また、説明の便宜上、各実施形態に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0025】
〔実施形態1〕
図1の(a)は、本発明の実施形態1に係る封緘ユニット10(封緘されている状態)および封緘ユニット10に用いられる封緘解除装置20の外観を示す斜視図である。図1の(b)は、図1の(a)に示す封緘ユニット10の内部構造を示す断面図である。図1の(b)に示すように、封緘ユニット10は、キーリング1(封緘ユニット10と別体とみても良い)、可動部2、本体部3、1対の磁石対4、およびバネ5を備える。
【0026】
キーリング1は、鍵の着脱が可能なリング端部1aを有している。本実施形態のキーリング1の径は、Φ28mm程度であるが、キーリングの径はこれに限定されない。可動部2は、リング端部1aを保持する保持部2aを備える。可動部2の保持部2aの側と反対側は、本体部3の内部に挿通され、本体部3は、可動部2を紙面に対して左右方向に変位可能に支持する。封緘ユニット10は、本体部3に対する可動部2の相対位置を変位させることで、リング端部1aが封緘された状態〔図1の(b)に示す状態〕と、リング端部1aの封緘が解除された状態〔図1の(d)に示す状態〕とが切替え可能となっている。
【0027】
図1の(a)に示すように、封緘ユニット10が、封緘解除装置20の挿入孔21hに挿入されていない状態では、図1の(b)に示すように、可動部2は、本体部3に対して相対的に紙面に対して右側(本体部3の内側)寄りに変位している。これにより、封緘ユニット10は、図1の(d)に示す紙面に対して上側に空いた保持部2aの口が閉じた状態(封が閉じた状態)となっている。このため、キーリング1は取り外し不可の状態となり、キーリング1のリング端部1aは、封緘ユニット10の保持部2aによって封緘された状態となる。このとき、バネ5は、弾性的に縮んだ状態にあり、可動部2を本体部3に対して相対的に紙面に対して左側へ付勢している。
【0028】
また、封緘ユニット10は、本体部3に対する可動部2の相対位置が、図1の(b)に示すリング端部1aが封緘された状態となる位置関係において、可動部2の変位を阻止する可動部変位阻止機構を備えている。本実施形態の可動部変位阻止機構は、後述するように磁石対4および嵌入孔3aの組合せで構成される。より具体的には、同図に示すように、封緘ユニット10は、向かい合うマグネット同士が互いに反発して変位可能なよう、可動部2内において対向する位置に配置された磁石対4を備える。磁石対4は、比較的磁力の弱いマグネットの各対がN極どうし(または、S極どうし)を対向させて互いに反発し合うように配置されている。
【0029】
また、同図に示すように、本体部3に対する可動部2の相対位置が、リング端部1aが封緘された状態となる位置関係においては、磁石対4におけるマグネット同士が反発して互いに離間することで、各マグネットが、本体部3の内部に形成された嵌入孔3aに嵌入する。
【0030】
このように、嵌入孔3aにマグネットが嵌入することで、可動部2が変位して、ユーザの意図に反して封緘が解除された状態となることが阻止される。なお、本実施形態では、磁石対4の数は1対であるが、磁石対4の数はこれに限定されない。例えば、磁石対4の数は、2対以上であっても良い。また、嵌入孔3aの数は、磁石対4の数に合わせて設定される。
【0031】
また、本実施形態の可動部変位阻止機構は、上述したように磁石対4および嵌入孔3aの組合せで構成されているが、可動部変位阻止機構はこのような形態に限定されない。例えば、マグネットではなく板バネを用い(可動部が板バネを備える構成とし)、封緘状態において板バネと係合するような窪みを本体部に設ける構成などであっても良い。すなわち、可動部変位阻止機構は封緘状態において可動部の変位を阻止する機構であれば、どのような構成を採用しても良い。
【0032】
次に、図1の(c)は、封緘ユニット10(封緘が解除されている状態)および封緘解除装置20の外観を示す斜視図である。図1の(d)は、図1の(c)に示す封緘ユニット10の内部構造を示す断面図である。図1の(c)に示すように、封緘ユニット10を封緘解除装置20の挿入孔21hに差込み、可動部2の保持部2aの側の一端を紙面に対して右側に押す。すると、図1の(d)に示すように、封緘解除装置20の内部に設置された比較的磁力の強い強力マグネット22により、磁石対4における各マグネットが可動部2の内側に反発して押し込められ、嵌入孔3aから外れることによって、可動部2の変位阻止が解除される。
【0033】
ここで、可動部2は、バネ5によって本体部3に対して相対的に紙面に対して左側に付勢されているため、本体部3に対して相対的に紙面に対して左寄りに変位する(本体部3から可動部2の一部が飛び出す)。これにより、図1の(d)に示すように、封緘ユニット10の保持部2aが、紙面に対して上側に口が開いた状態(封が開いた状態)となる。これにより、キーリング1が着脱可能な状態となり、キーリング1のリング端部1aは、封緘が解除された状態となる。
【0034】
以上のように、封緘ユニット10によれば、本体部3に対する可動部2の相対位置を変位させるだけで、キーリング1または封緘ユニット10を破壊することなく封緘を解除することができる。このため、封緘を解除する際に消耗品が生じることがない。また、封緘ユニット10によれば、キーリング1および封緘ユニット10を用意するだけで、封緘された状態と、封緘が解除された状態との切替え機能を、既存の鍵管理装置などに後付けで付加可能になる。さらに、封緘ユニット10は、可動部2および本体部3がキーホルダとは別体であるので、既存のキーホルダをそのまま使用して鍵の管理を実現することができる。
【0035】
このように、キーリングおよび封緘ユニット10と、既存の鍵管理装置とを経年使用でき、鍵の付け替えのために封緘を解除しても消耗品が発生しないので、鍵管理のためのランニングコストを低減できる。
【0036】
また、封緘解除装置20によれば、挿入孔21hに封緘ユニット10を挿入するだけで、キーリング1または封緘ユニット10を破壊することなく簡単に封緘を解除することができる。
【0037】
次に、図2の(a)は、封緘ユニット10を分解したときの様子を示す分解構造図である。同図に示すように、封緘ユニット10は、大きく、可動部2、内側本体部31、および外側本体部32の3つの部分に分けられる。本実施形態の可動部2、内側本体部31、および外側本体部32の構成材料は、いずれもポリカーボネートであるが、これに限定されない。強度上問題がなければ、ポリカーボネート以外の樹脂材料を用いても良い。
【0038】
内側本体部31は、本体部3の内部の構造を設定するためのものである。外側本体部32は水の侵入を極力防ぐため容器型の構造を有しており、外側本体部32の内側に内側本体部31を挿入すれば本体部3が構成される。内側本体部31には可動部2が挿通される挿通孔3hが形成されている。この挿通孔3hに可動部2の保持部2aの側と反対側が挿通されることによって、可動部2は、本体部3に対して相対的に変位可能に支持される。可動部2および内側本体部31にはそれぞれ、凸部2dおよび凸部3dが形成されており、それぞれにバネ5の両端が装着される。
【0039】
可動部2には、紙面に対して上下に口を開けた1組のマグネット挿入孔2bが形成されている。このマグネット挿入孔2bには、磁石対4が挿入されて、向かい合うマグネット同士が互いに反発して変位可能なように配置される。また、可動部2の紙面に対して鉛直方向に起立する最大面積を有する側面の一方には、後述する窪み2cが形成されている〔図2の(a)では実線の四角で示している〕。
【0040】
可動部2の保持部2aは、キーリング1のリング端部1aを軸支するために形成された軸支孔により、リング端部1aを保持する構造となっている。また、可動部2は、鉤型ヘッド部2hを備える。この鉤型ヘッド部2hは、キーリング1のリング端部1aが挿入される口を紙面に対して上側に開けた状態で、上記軸支孔の周囲を鉤状に囲うように形成されている。
【0041】
内側本体部31は、キーリング1のリング端部1aを軸支するためのリング支持孔3bを備える。このリング支持孔3bは、可動部2を内側本体部31の挿通孔3hに挿通させたときに、上記軸支孔と重なるようになっている。また、内側本体部31には、後述する爪部3cが形成されている。
【0042】
〈可動部の抜け止め防止機構〉
次に、図2の(b)は、封緘ユニット10における本体部3からの可動部2の抜け止めを防止する機構を示す断面図である。本体部3(内側本体部31)には、可動部2を本体部3から抜け止めするための爪部3cが設けられている。一方、可動部2には、爪部3cが引っ掛かる窪み2cが設けられている。可動部2は、爪部3cが窪み2cに引っ掛かることで、本体部3から抜け止めされる。これにより、可動部2が本体部3から完全に抜け出して可動部2と本体部3とが互いに分離されてしまうことが阻止される。
【0043】
図2の(c)は、封緘ユニット10の外観(管理番号刻印側)を示す図である。同図に示すように、封緘ユニット10の紙面に配して鉛直方向に起立する2番目に大きい面積を有する2つの側面の一方には、管理番号を刻印するためのスペースが設けられている。封緘ユニット10に管理番号を刻印することで、封緘ユニット10どうしを識別できるのでセキュリティ性が向上する。
【0044】
なお、封緘ユニット10のサイズおよび形状は、キーホルダに取付けた際に、隣のキーホルダの封緘ユニット10とかぶらないサイズおよび形状に設定すれば良い。本実施形態の封緘ユニット10のサイズは、長さL=44.5mm程度、長さH=16mm程度であるが、これに限定されない〔図2(d)参照〕。また、本実施形態の封緘ユニット10の最大面積を有する2つの側面間の厚さは、厚さd=8mm程度であるが、これに限定されない〔図2の(c)参照〕。
【0045】
図2の(d)は、封緘ユニット10の外観(シール貼付用凹部側)を示す図である。同図に示すように、封緘ユニット10の最大面積を有する2つの側面の一方には、ネームタグ(例えば、12mm×33mmサイズのラベルシール)を貼り付けるための凹部が形成されている。封緘ユニット10は、キーホルダと別体であるため、ネームタグを貼り付けるためのスペースを確保することができる。
【0046】
〈段差とリブとの組合せ〉
次に、図3の(a)は、封緘ユニット10の保持部2aにキーリング1のリング端部1aを保持させたときの状態を示す封緘ユニット10の側面図であり、図3の(b)は、封緘ユニット10の正面図(保持部2aの口が開いた側を正面とする)である。また、図3の(c)は、図3の(b)に示す正面図の部分拡大図である。図3の(c)に示すように、キーリング1のリング端部1aには紙面に対して上側に段差1a‐Uが形成され、下側に段差1a‐Dが形成されている。
【0047】
一方、可動部2の保持部2aには、段差1a‐Uおよび段差1a‐Dのそれぞれに合せて右上側リブ(リブ)2a‐Rおよび左下側リブ(リブ)2a‐Lが形成されている。これにより、キーリング1は、特定の方向のみにおいて保持部2aに対して着脱されるようになっている。このため、キーリング1は、段差1a‐Uおよび段差1a‐Dが重なっている部分からでないと保持部2aの口に挿入できないようになっている。このように、保持部2aに形成された右上側リブ2a‐Rおよび左下側リブ2a‐Lにより、鍵の着脱が可能なリング端部1aを、保持部2aに確実に保持させることができる。これにより、キーリング1のリング端部1aでない部分が保持部2aに誤って保持されてしまうことによって、鍵の着脱が自由にできてしまうという状況を阻止することができる。
【0048】
図3の(d)は、封緘ユニット10の保持部2aにキーリング1のリング端部1aを保持させたときにおけるキーリング1の回動範囲を示す図である。同図に示すように、キーリング1のリング端部1aが封緘された状態では、キーリング1は、紙面に対して時計まわり、および反時計まわりのいずれにも回転し、途中で止まることなく、本体部3に当たるまで可動(回動)するように構成されている。これにより、キーリング1のリング端部1aを封緘したときの封緘ユニット10の収まりが良くなる。
【0049】
〈封緘解除装置20の構造〉
次に、図4の(a)は、封緘解除装置20の外観を示す斜視図である。図4の(b)は、図4の(a)に示す矢印Aの方向から封緘解除装置20の構造を見たときの様子を示す断面図である(ロック時)。図4の(c)は、図4の(a)に示す矢印Aの方向から封緘解除装置20の構造を見たときの様子を示す断面図である(ロック解除時)。図4の(d)は、図4の(a)に示す矢印Bの方向から封緘解除装置20の挿入孔21hの内部を見たときの様子(ロック時)を示す図である。図4の(a)〜図4の(c)に示されるように、封緘解除装置20は、1対の強力マグネット22、基板23、光電センサ24、ロック金具25、ソレノイド26、およびバネ27を備える。なお、本実施形態では、強力マグネット22の数は1対であるが、強力マグネット22の数はこれに限定されない。例えば、強力マグネット22の数は、2対以上であっても良い。
【0050】
基板23には、光電センサ24やソレノイド26などの動作を制御する制御回路などが設けられる。光電センサ24は、封緘ユニット10が、封緘解除装置20の挿入孔21hに挿入されたことを検知するものである。ロック金具25は、図4の(d)に示すように挿入孔21hの内部に飛び出ている状態(ロック時)で、封緘ユニット10の侵入(挿入)を阻止するものである。一方、図4の(c)に示すように、ロック金具25が、挿入孔21hの内部に飛び出ていない状態(ロック解除時)では、封緘ユニット10の挿入孔21hへの侵入が阻止されない。ロック金具25は、金具支持軸25aによって、回動可能に支持されており、バネ27は、ロック金具25をロック状態となる向きに付勢している。
【0051】
後述する鍵管理装置30a(鍵管理装置30b、または鍵管理システム30c)において、鍵交換を行う際に、特定の認証操作を行うと、図4の(c)に示すようにソレノイド26のプランジャー26aが紙面に対して左側に引かれ、ロック金具25が、挿入孔21hの内部に飛び出ていない状態(ロック解除時)になる。これにより、封緘ユニット10の挿入孔21hへの挿入が可能になる。これにより、封緘ユニット10を所定の位置まで差し込むことで、上述したように磁石対4と強力マグネット22とが反発し、各マグネットが、本体部3の内部の嵌入孔3aから外れて、リング端部1aの封緘が解除される。
【0052】
一方、光電センサ24によって、封緘ユニット10が挿入孔21hに挿入されたことが検知された場合、ソレノイド26のプランジャー26aは紙面に対して左側に引かれなくなり、ロック金具25は、挿入孔21hの内部に飛び出し可能な状態となる。
【0053】
これにより、図4の(d)に示すように、封緘ユニット10が封緘解除装置20から引き抜かれた時点で自動的に、バネ27の付勢により、ロック金具25が、挿入孔21hの内部に飛び出す(ロック状態)。
【0054】
〈挿入孔21hおよび封緘ユニット10の形状について〉
次に、図4の(d)に示すように、封緘解除装置20の挿入孔21hは、左右非対称の形状となっている。また、これに合わせて封緘ユニット10の形状も最大面積を有する2つの側面どうしの形状が互いに非対称な形状となっている〔図3の(b)参照〕。すなわち、封緘ユニット10は、鍵交換時に、可動部2に負担が掛らないように、封緘解除装置20に一定の向きからしか挿入できないような形状となっている。より具体的には、本実施形態では、図3の(b)に示すように、封緘ユニット10の紙面に対して左側の側面は平面で構成し、右側の側面は凸面で構成している。図4の(e)に示すように、封緘解除装置20の挿入孔21hへ差し込む際の封緘ユニット10の向きは、可動部2のリング端部1aが挿入される口が紙面に対して上側になる向きとしている。
【0055】
〔実施形態2〕
実施形態2においては、実施形態1に記載した封緘解除装置20を鍵管理装置に適用するための実施形態について説明する。まず、図5の(a)は、本発明の実施形態1に係る封緘解除装置20を内蔵した一体型の鍵管理装置30aの外観を示す図である。
【0056】
鍵管理装置30aは、上述した封緘解除装置20を一体的に備える鍵管理装置である。鍵管理装置30aによれば、封緘を解除する際に消耗品が生じることを回避し、低いランニングコストで経年的な鍵管理を行うことができる。
【0057】
また、図5の(b)に示すように、既設の鍵管理装置31bに対して、接続線40bを介して、別体の封緘解除装置20を後付けして、鍵管理装置30b(外付け型)を構成してもよい。この鍵管理装置30bは、別体の封緘解除装置20を後付け(外付け)した鍵管理装置である点で、上記の一体型の鍵管理装置30aと異なる。なお、鍵管理装置30bでは、接続線40bを介して、鍵管理装置31bに対して封緘解除装置20を有線で接続しているが、鍵管理装置31bに対して封緘解除装置20を無線で接続しても良い。これにより、封緘解除装置20を自由に持ち運ぶことが可能になる。
【0058】
鍵管理装置30bによれば、キーホルダへの鍵の取り付け部品を封緘ユニット10が連結されたキーリング1に変更し、既設の鍵管理装置31bに、後付け型の封緘解除装置20をデータ通信により接続し、鍵管理装置31bから封緘解除装置20を制御できるようにすることで、既設の鍵管理装置でも簡単に鍵交換の履歴管理を行うことができるようになる。
【0059】
また、鍵管理装置30bによれば、封緘を解除する際に消耗品が生じることを回避し、低いランニングコストで経年的な鍵管理を行うことができる。また、鍵管理装置31bに対して封緘解除装置20を無線で接続した場合、封緘解除装置20の挿入孔21hに封緘ユニット10を挿入するだけで封緘を解除することができるため、例えば、キーホルダを鍵管理装置30bに差し込んだままの状態で、鍵交換が可能になる。このため、既存の鍵管理装置に対して鍵交換機能を持たせ易くなるというメリットが得られる。
【0060】
但し、この場合、封緘ユニット10には、後述するRFIDタグ6を搭載し、封緘解除装置20には、RFIDリーダを搭載しておき、自動認証で、封緘ユニット10を封緘解除装置20の挿入孔21hへ差し込むことができるようにする。より具体的には、封緘解除装置20のRFIDリーダが、RFIDタグ6から封緘ユニット10の識別情報(管理番号)を読取り、封緘ユニット10が鍵交換を行うべき封緘ユニットであると認証されれば、上述した図4の(d)に示すロック金具25によるロックを解除する。
【0061】
〔鍵交換操作の手順について〕
以下、上述した鍵管理装置30aまたは鍵管理装置30b(以下、単に「鍵管理装置」と記載する)を用いた鍵交換操作の手順について説明する。
【0062】
〈準備設定〉
鍵交換操作を行うためには、所定の数の予め設定された「鍵交換操作を行う際に、返却しておかなければいけない鍵」が全て返却されていることを条件とする。すなわち、鍵交換操作を行う際に、鍵管理装置で管理する全数の鍵が返却されていなくても特定の鍵だけが返却されていれば良い。例えば、封緘ユニット10が連結されていないキーホルダが、嵌め殺し型の封緘具と連結されたキーホルダであれば、鍵交換操作を行う際に必ずしも鍵管理装置に返却されていなくても良い。また、封緘ユニット10によれば、後付けでキーホルダに連結することが可能になるので、例えば、所定の数の予め設定された「鍵交換操作を行う際に、返却しておかなければいけない鍵」だけを、封緘ユニット10を連結したキーホルダとすれば良い。
【0063】
〈操作手順〉
鍵交換操作の手順は、以下のとおりとなる。
(1)鍵管理装置の操作メニューから鍵交換操作を選択して権限確認のため本人認証を行う。鍵交換権限の確認後、封緘解除装置へのアクセスが可能となる。
(2)鍵を付け替えるキーホルダを鍵管理装置から抜き取る。
(3)封緘解除装置20が封緘ユニット10を差し込み可能な状態になる。この差し込み可能な状態になる時点までは、図4の(d)に示すように、封緘解除装置20の挿入孔21hの内部にロック金具25が飛び出しているため、封緘ユニット10は奥まで差し込めない。
(4)キーホルダのキーリング1に取り付けてある封緘ユニット10を封緘解除装置20に差し込んでリング端部1aの封緘を解除する。封緘ユニット10を封緘解除装置20の挿入孔21hに差し込んで、封緘ユニット10の可動部2の側を押すと、可動部2の一部が本体部3から飛び出し、封緘ユニット10によるリング端部1aの封緘が解除され鍵交換が可能となる。このとき、封緘ユニット10が封緘解除装置20の挿入孔21hに差し込まれたことを光電センサ24が検知すると、ソレノイド26のプランジャー26aは紙面に対して左側に引かれなくなり、ロック金具25は、挿入孔21hの内部に飛び出し可能な状態となる。
(5)封緘ユニット10を封緘解除装置20から引き抜く。これにより、自動的に、バネ27の付勢により、図4の(d)に示すように、ロック金具25が、挿入孔21hの内部に飛び出してロック状態になり、封緘ユニット10が差込不可能な状態になる。
(6)鍵の交換を実施し、封緘ユニット10の保持部2aを本体部3の内部に押し込み、キーリング1のリング端部1aを封緘した状態にする。
(7)キーホルダを鍵管理装置の所定箇所に差し込んで鍵を返却する。
【0064】
以上の(1)〜(7)の各操作については、いつ、誰が、何を、どうしたかのイベントが記録される。これにより、鍵交換の履歴をとる。例えば、封緘ユニット10の封緘解除のための本人認証機能を設けることで封緘解除を行える人を限定し、いつだれがそれを行ったかをイベント記録する。
【0065】
〔実施形態3〕
図5の(c)は、本発明の実施形態3に係る鍵管理システム(鍵管理装置)30cの外観を示す図である。
【0066】
同図に示すように、接続線40cを介して、封緘解除装置20(外付け型)をパーソナルコンピュータ31cに接続すれば、店舗に複数ある鍵管理装置の鍵の交換履歴を一元管理することが可能になる。これにより、例えば、一つの店舗に複数の鍵管理装置があっても封緘解除装置20を1台だけ設置するだけで鍵の交換履歴を一元管理することが可能になる。なお、本実施形態では、接続線40cを介して、パーソナルコンピュータ31cに対して封緘解除装置20を有線で接続しているが、パーソナルコンピュータ31cに対して封緘解除装置20を無線で接続しても良い。これにより、封緘解除装置20を自由に持ち運ぶことが可能になる。
【0067】
〈操作手順〉
鍵交換操作の手順は、以下のとおりとなる。
(1)パーソナルコンピュータ31cを起動し、管理ソフトを立ち上げる(この際、利用者はパスワードを入力する)。
(2)封緘ユニット10が後述するRFIDタグ6を備えていない場合、鍵交換を行う封緘ユニット10の鍵管理装置名(管理番号)、および鍵番号を入力する。なお、封緘ユニット10がRFIDタグ6を備えている場合は、例えば、封緘解除装置にRFIDリーダを設けることで、自動認証により、封緘ユニット10を識別すれば良いので、封緘ユニット10の鍵管理装置名および鍵番号の入力は不要になる。
(3)封緘解除装置20が封緘ユニット10を差し込み可能な状態になる。この差し込み可能な状態になる時点までは、上述したロック金具25の存在により封緘ユニット10は奥まで差し込めない。
(4)キーホルダのキーリング1に取り付けてある封緘ユニット10を封緘解除装置20に差し込んでリング端部1aの封緘を解除する。
(5)封緘ユニット10を封緘解除装置20から引き抜く。これにより、自動的に、図4の(d)に示すように、ロック金具25が、挿入孔21hの内部に飛び出してロック状態になり、封緘ユニット10が差込不可能な状態になる。
(6)鍵の交換を実施し、封緘ユニット10の保持部2aを本体部3の内部に押し込み、キーリング1のリング端部1aを封緘した状態にする。
(7)他の封緘ユニット10の鍵を交換する場合は、(2)に戻る。一方、鍵交換を行わない場合は、操作を終了する。
【0068】
以上の(1)〜(7)の各操作については、いつ、誰が、何を、どうしたかのイベントが記録される。これにより、鍵交換の履歴をとる。例えば、封緘ユニット10の封緘解除のための本人認証機能を設けることで封緘解除を行える人を限定し、いつだれがそれを行ったかをイベント記録する。
【0069】
〈キーホルダと封緘ユニットの違いについて〉
図5の(d)は、上記鍵管理装置または鍵管理システムで管理する封緘ユニット10が連結されたキーホルダの構成を示す図である。同図に示すように、上述した封緘ユニット10は、キーホルダとは別体である。言い換えれば、キーホルダと異なり、「封緘ユニット10」は、鍵管理装置に差し込まれることがない小道具である。一方、「キーホルダ」は、鍵管理装置に差し込まれることによってキーリング1に吊るした鍵を管理する小道具である。
【0070】
〈封緘ユニット10のオプションについて〉
次に、封緘ユニット10のオプションについて説明する。図6の(a)は、封緘ユニット10にオプションとしての磁性体ケース50を装着する前の様子を示す図である。一方、図6の(b)は、封緘ユニット10に磁性体ケース50を装着した後の様子を示す図である。上述した封緘ユニット10の漏れ磁束は磁気カードに影響がないような大きさとする。磁性体ケース50は、漏れ磁束を、ペースメーカーへの影響がないようにするため、磁気シールド用のオプションとして用意したものである。封緘ユニット10の保持部2aの側とは反対側を、磁性体ケース50に形成されたユニット挿入孔50hへ挿入することで、封緘ユニット10に磁性体ケース50が装着される。
【0071】
なお、鍵交換時には封緘ユニット10を磁性体ケース50から取り出さなければならないため、磁性体ケース50は封緘ユニット10に対して着脱可能としている。また、磁性体ケース50のカバー厚みは、ペースメーカーに影響がない程度の厚みとする。
【0072】
次に、図6の(c)は、封緘ユニット10にオプションとしてのRFIDタグ6を搭載したときの様子を示す図である。RFIDタグ6には、封緘ユニット10を識別する情報や、その封緘ユニット10を管理する鍵管理装置を識別する情報などが予め記録される。このように、封緘ユニット10を識別するためのRFIDタグ6を搭載することで、封緘解除装置20で封緘を解除する封緘ユニット10を識別して封緘ユニット10の封緘解除の可否を管理することができる。また、封緘ユニット10にRFIDタグ6を搭載し、封緘解除装置20にRFIDタグリーダを搭載することで、自動認証により、封緘解除装置20のロック金具25によるロックの解除を行い、封緘ユニット10を封緘解除装置20の挿入孔21hに差込み可能とすることができる。より具体的には、封緘解除装置20のRFIDリーダが、RFIDタグ6から封緘ユニット10の識別情報(管理番号)を読取り、封緘ユニット10が鍵交換を行うべき封緘ユニットであると認証されれば、上述した図4の(d)に示すロック金具25によるロックを解除する。
【0073】
また、例えば、キーホルダ側にRFIDタグを付けることによって、鍵管理装置に対するキーホルダの着脱を記録し、封緘ユニット10のRFIDタグ6で鍵交換が行われたか否かを記録することにより2重のセキュリティ管理が可能になる。
【0074】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、キーリングを封緘する封緘ユニット、該封緘ユニットの封緘を解除する封緘解除装置、および該封緘解除装置を備える鍵管理装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 キーリング
1a リング端部
1a‐U 段差
1a‐D 段差
2 可動部
2a 保持部
2a‐R 右上側リブ(リブ)
2a‐L 左下側リブ(リブ)
3 本体部
3a 嵌入孔
4 磁石対
10 封緘ユニット
20 封緘解除装置
21h 挿入孔
30a 鍵管理装置
30b 鍵管理装置
30c 鍵管理システム(鍵管理装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6