(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持部材の保持枠部は、収容開口を介して前記物品を収容する収容部と、前記収容部の収容開口縁部において互いに対向する部位に設けた爪部とを有し、前記拘束姿勢となった場合に前記爪部によって前記物品の脱落を阻止する一方、前記爪部の相互間隔が拡開するように弾性的に変形した場合に前記解放姿勢となるものであり、
前記什器のパネルには、前記拘束姿勢となった保持枠部を前記パネルに当接させた状態で前記保持枠部に係合し、前記保持枠部が前記パネルから離反する方向へ移動するのを阻止する係合部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の物品の取付構造。
前記保持部材の保持枠部において前記什器のパネルに対向する部位の全周に収容溝を設けるとともに、前記什器のパネルにおいて前記保持枠部の収容溝に対向する部位に突出片部を形成し、前記拘束姿勢となった保持枠部を前記パネルに当接させた場合に前記突出片部を前記保持枠部の収容溝に挿入させることを特徴とする請求項1に記載の物品の取付構造。
太陽電池モジュールを保持した保持部材を、前記太陽電池モジュールの受光面が什器のパネルに形成した窓孔から外部に現れる状態で前記パネルに取り付けることにより、前記保持部材を介して前記パネルに前記太陽電池モジュールを保持させる太陽電池モジュールの取付構造であって、
前記保持部材は、弾性的に変形することによって前記太陽電池モジュールの着脱を許容する解放姿勢と、前記太陽電池モジュールの脱落を阻止する拘束姿勢とに切り替わる保持枠部を有したものであり、
前記太陽電池モジュールを装着して前記拘束姿勢となった保持枠部の変形を規制した状態で前記保持部材を前記什器のパネルに取り付けたことを特徴とする太陽電池モジュールの取付構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、保持部材の収容部に物品を保持させるには、収容部に対して物品を接着させたり、収容部に配置した物品を覆うように別の押え部材を保持部材に設けたりすることにより、収容部からの物品の脱落を阻止する必要がある。しかしながら、物品を収容部に接着するようにした取付構造にあっては、物品の交換が困難となるため、メンテナンス性の点で不利となる。また、押え部材を保持部材に設けるようにした取付構造では、取り扱い部品点数が増加するため、組み立てる際の作業性の点で不利となる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、メンテナンス性や組み立てる際の作業性を損なうことなく、耐振動性を向上させて物品を取り付けることのできる取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る物品の取付構造は、取付対象となる物品を保持した保持部材を什器のパネルに取り付けることにより、前記保持部材を介して前記パネルに前記物品を保持させる物品の取付構造であって、前記保持部材は、弾性的に変形することによって前記物品の着脱を許容する解放姿勢と、前記物品の脱落を阻止する拘束姿勢とに切り替わる保持枠部を有したものであり、前記物品を装着して前記拘束姿勢となった保持枠部の変形を規制した状態で前記保持部材を前記什器のパネルに取り付けたことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上述した物品の取付構造において、前記保持部材の保持枠部は、収容開口を介して前記物品を収容する収容部と、前記収容部の収容開口縁部において互いに対向する部位に設けた爪部とを有し、前記拘束姿勢となった場合に前記爪部によって前記物品の脱落を阻止する一方、前記爪部の相互間隔が拡開するように弾性的に変形した場合に前記解放姿勢となるものであり、前記什器のパネルには、前記拘束姿勢となった保持枠部を前記パネルに当接させた状態で前記保持枠部に係合し、前記保持枠部が前記パネルから離反する方向へ移動するのを阻止する係合部を設けたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上述した物品の取付構造において、前記什器のパネルは、前記保持枠部の各辺に対応する部位にそれぞれ条片状の係合部を有したものであり、前記保持部材の保持枠部において前記係合部に対応する部位にそれぞれ係合孔を形成し、前記係合部を前記係合孔に貫通させた後、前記係合部の貫通端部を前記什器のパネルに沿うように折り曲げることにより、前記保持部材を前記パネルに取り付けたことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上述した物品の取付構造において、前記保持部材の保持枠部において前記什器のパネルに対向する部位の全周に収容溝を設けるとともに、前記什器のパネルにおいて前記保持枠部の収容溝に対向する部位に突出片部を形成し、前記拘束姿勢となった保持枠部を前記パネルに当接させた場合に前記突出片部を前記保持枠部の収容溝に挿入させることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上述した物品の取付構造において、前記什器のパネルは、窓孔を有するとともに、一方の表面において前記窓孔の開口周縁となる部位に前記突出片部を有したものであり、前記パネルの窓孔を介して前記物品が前記パネルの他方の表面に現れる状態で、前記保持部材を介して前記物品を前記パネルに取り付けたことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上述した物品の取付構造において、前記保持部材は、面外に向けて変形した場合に前記解放姿勢となるものであり、少なくとも一部が前記保持部材に当接する状態で前記什器のパネルに裏板部材を配設したことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの取付構造は、太陽電池モジュールを保持した保持部材を、前記太陽電池モジュールの受光面が什器のパネルに形成した窓孔から外部に現れる状態で前記パネルに取り付けることにより、前記保持部材を介して前記パネルに前記太陽電池モジュールを保持させる太陽電池モジュールの取付構造であって、前記保持部材は、弾性的に変形することによって前記太陽電池モジュールの着脱を許容する解放姿勢と、前記太陽電池モジュールの脱落を阻止する拘束姿勢とに切り替わる保持枠部を有したものであり、前記太陽電池モジュールを装着して前記拘束姿勢となった保持枠部の変形を規制した状態で前記保持部材を前記什器のパネルに取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、保持枠部を弾性的に変形させることで物品を保持部材に保持させるようにしているため、接着剤や押え部材が別に必要とせずに耐振動性を向上させた状態で物品を什器のパネルに取り付けることが可能となり、メンテナンス性や組み立てる際の作業性を損なうおそれがない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る物品の取付構造及び太陽電池モジュールの取付構造の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
図1及び
図2は、本発明の実施の形態である取付構造を適用して太陽電池モジュールを取り付けた収納装置を示したものである。ここで例示する収納装置(什器)10は、オフィス等の室内に設置されるもので、本体筐体11と左右一対の扉体12,13とを備えている。本体筐体11は、前面に開口部11aを有した直方体状を成す箱体である。物品収納部となる本体筐体11の内部には、水平方向に沿って複数の棚板14が設けてある。扉体12,13は、ヒンジ15を介して本体筐体11に支持させてあり、ヒンジ15の軸を中心に回転することで本体筐体11の開口部11aを開閉することが可能である。本実施の形態では、本体筐体11の両側部分にそれぞれ扉体12,13が上下方向に沿ったヒンジ15の軸を中心に回転可能に支持させてあり、いわゆる観音開きとなるように収納装置10が構成してある。また、正面向かって左側に設けた扉体(以下、「左扉体12」という)の戸先には、左扉体12を閉じた後に、正面向かって右側に設けた扉体(以下、「右扉体13」という)を閉じた場合に右扉体13と本体筐体11との間に挟まれるように召し合わせ部材12aが配設してある。
【0017】
図2及び
図3に示すように、一対の扉体12,13は、金属製のパネルによって構成したもので、四周に折り曲げ部分12A,13Aを設けるとともに、パネルの内表面に補強部材12B,13Bを配設することにより所望の強度を得るようにしている。折り曲げ部分12A,13Aは、
図5及び
図6に示すように、パネルの縁部分を内表面側に折り曲げることによって角筒状に構成したものである。補強部材12B,13Bは、金属製の長尺部材であり、扉体12,13を左右にほぼ二等分する位置に上下方向に沿って固定してある。この補強部材12B,13Bは、横断面が、いわゆるハット形状となるように成形してあり、スポット溶接によって扉体12,13のパネルに固着してある。
【0018】
図2〜
図4に示すように、右扉体13には、本体筐体11との間にラッチ20が設けてあるとともに、パネルの外表面に露出するように把手22が設けてある。ラッチ20は、右扉体13を閉じた場合に右扉体13を本体筐体11に係合させるためのものである。本実施の形態では、右扉体13の上下に位置する折り曲げ部分13Aにおいて戸先側となる部分にそれぞれラッチ20が設けてある。ラッチ20は、上下方向に沿ったラッチ20の軸21を介して回転可能となるように右扉体13に支持させてあり、一方の方向に回転した場合に右扉体13を本体筐体11に係合させる一方、他方の方向に回転した場合に本体筐体11と右扉体13との係合状態が解除されるように構成してある。図には明示していないが、ラッチ20と右扉体13との間には、ラッチ20を常時一方の方向に向けて付勢する付勢手段が設けてある。右扉体13を開いた状態から本体筐体11に対して閉じた場合には、付勢手段の付勢力により、ラッチ20が係合状態となって右扉体13が本体筐体11に係合されることになる。尚、左扉体12を先に閉じた状態で右扉体13を閉じれば、左扉体12の召し合わせ部材12aが本体筐体11と右扉体13との間に挟まれた状態となるため、左扉体12の開き移動も阻止されることになる。
【0019】
把手22は、係合状態にあるラッチ20を解除状態に移行させるための操作部材である。本実施の形態では、右扉体13の上下方向のほぼ中間で、かつ右扉体13の戸先側となる部分に把手22が設けてある。右扉体13が閉じられた状態で把手22を操作すると、付勢手段の付勢力に抗してラッチ20の軸21が回転し、ラッチ20が解除状態となるため、本体筐体11に対して右扉体13を開くことが可能となる。尚、右扉体13が開いた場合には、左扉体12に設けた召し合わせ部材12aの前面が開放されるため、左扉体12を開くことも可能となる。
【0020】
また、右扉体13には、扉開閉検知センサ23及び電子錠30が設けてある。扉開閉検知センサ23は、本体筐体11に対して右扉体13が閉じた状態にあるか否かを検出し、その検出結果を出力信号として出力するものである。本実施の形態では、右扉体13の戸先側に位置する折り曲げ部分13Aの上下2箇所に扉開閉検知センサ23が取り付けてある。扉開閉検知センサ23としては、リミットスイッチやタッチセンサを適用することが可能である。扉開閉検知センサ23の検出信号は、後述する電子錠30の施解錠制御部31に与えられる。
【0021】
電子錠30は、施解錠用の電磁ソレノイド(以下、「施解錠用ソレノイド」という)32の駆動により、右扉体13を閉じた状態に維持する施錠状態と、右扉体13の開閉移動を許容する解錠状態とに切り替わるものである。
図16に示すように、本実施の形態では、施解錠制御部31、施解錠用ソレノイド32、無線通信部33、押ボタンスイッチ34を備えてユニット化した電子錠30が、右扉体13の内表面において把手22の下方となる部分に配設してある。押ボタンスイッチ34は、右扉体13が閉じた状態で外部から操作できるように、パネルの外表面に押ボタン34aが露出した状態で配設してある。
【0022】
この電子錠30では、例えば、扉開閉検知センサ23の出力信号から右扉体13の閉じられた状態が所定時間継続したと判断すると、施解錠制御部31によって施解錠用ソレノイド32が施錠方向に動作して施錠状態となる。施解錠用ソレノイド32が施錠方向に動作すると、例えば把手22が操作できない状態となり、ラッチ20の係合状態を解除することができないため、右扉体13が本体筐体11に対して閉じた状態に維持される。
【0023】
一方、押ボタンスイッチ34をオン操作すると、施解錠制御部31が有効化され、これに伴って無線通信部33が受信可能状態となる。この状態から無線通信部33を通じて施解錠制御部31に解錠許可指令が与えられた場合には、施解錠制御部31によって施解錠用ソレノイド32が解錠方向に動作する。施解錠用ソレノイド32が解錠方向に動作すると、例えば把手22が操作可能な状態に復帰し、把手22の操作によりラッチ20を解除状態に移行して右扉体13を本体筐体11に対して開閉することが可能となる。押ボタンスイッチ34をオン操作した場合にのみ施解錠制御部31が有効化されるため、待機時間において無駄な電力を消費するおそれがない。電子錠30を駆動するための電源としては、ニッケル水素充電池やリチウムイオン充電池、鉛蓄電池等の二次電池35がパネルの内表面において電子錠30よりも下方となる位置に配設してある。尚、電源としては、必ずしも二次電池に限らず、施解錠用ソレノイド32を駆動することのできる出力を持つものであれば、電気二重層コンデンサのようなキャパシタを適用しても良い。
【0024】
さらに、右扉体13には、
図1に示すように、太陽電池モジュール40が配設してある。太陽電池モジュール40は、
図7に示すように、複数のセル41を縦横に整列させることによって矩形の薄板状に形成したものである。本実施の形態では、8個のセル41を縦2列に配置することによって構成した太陽電池モジュール40を2つ適用している。これらの太陽電池モジュール40は、それぞれ縦長の姿勢で上下に並べた状態で、保持部材50を介してパネルの内表面側から右扉体13に取り付けてある。太陽電池モジュール40を取り付ける位置は、補強部材13Bとヒンジ15の軸との間であって、把手22の上端よりも上方となる領域である。
【0025】
保持部材50は、アクリル等、無色透明の透光性及び弾性を有した合成樹脂材によって矩形の板状に成形したものである。この保持部材50には、
図7〜
図11に示すように、表面にパネル当接部51及び収容溝52が設けてあるとともに、裏面に2つの収容部53が設けてある。
【0026】
パネル当接部51は、保持部材50の周縁部に設けた凹状部分であり、保持部材50の表面中央部がパネルの板厚分だけ突出するように保持部材50の四辺全長にわたって形成してある。収容溝52は、保持部材50の表面においてパネル当接部51とパネルの表面中央部との境界線となる部分の全周に形成した幅の狭い凹部である。収容溝52において保持部材50の各辺に沿って延在する部分には、それぞれ一対の係合孔52aが形成してある。係合孔52aは、保持部材50の収容溝52から裏面に貫通するように形成した横長の開口である。
【0027】
収容部53は、太陽電池モジュール40を嵌合した状態で収容するための凹部であり、保持部材50の表面側が透光部53aによって閉塞されている一方、裏面に収容開口53bを有して保持枠部150を構成している。収容開口53bは、太陽電池モジュール40の外形にほぼ等しい寸法の矩形状を成すものである。それぞれの収容部53には、開口部上縁及び開口下縁となる部位にそれぞれ一対の爪部54が設けてある。爪部54は、収容部53の内壁面から突出した小片部分である。それぞれの収容部53において上縁に向けた爪部54と、下縁に設けた爪部54との相互間隔は、
図9に示すように、保持部材50が平板状の姿勢(拘束姿勢)となっている場合、太陽電池モジュール40の長手寸法よりもわずかに小さくなるように設定してある。これに対して、保持部材50に外力を加えることにより、
図10に示すように、裏面が面外に向けて凸となるように湾曲状の姿勢(解除姿勢)となった場合には、それぞれの収容部53において上縁に向けた爪部54と、下縁に設けた爪部54との相互間隔が拡開するため、収容部53に対して太陽電池モジュール40を着脱することが可能となる。
【0028】
図7に示すように、この保持部材50には、表面に着色部分55(
図7中においてクロスハッチングを施した部分)が設けてある。着色部分55は、収容部53に太陽電池モジュール40を収容させた場合に、セル41の受光面以外となる領域に遮光性を有した顔料を配置することによって構成したもので、セル41の受光面に対して色相、明度、彩度の三属性がほぼ同等のなるように配色してある。つまり、保持部材50の表面は、
図7の上半部分に示すように、セル41の受光面に対応した透光部53aのみが無色透明の透光性を有した矩形領域となり、その他の部分が遮光性の着色部分55となる。従って、保持部材50の収容部53に太陽電池モジュール40を収容させた場合には、
図7の下半部分に示すように、透光性を有した矩形領域を介してセル41が透過され、透過されるセル41と保持部材50に施した着色部分55とによって保持部材50の表面全域がほぼ一様な色相、明度、彩度となるため、太陽電池モジュール40のセル41がカムフラージュされることになる。保持部材50の着色部分55は、例えば、保持部材50を成形する際に着色したフィルムを転写することにより構成することが可能である。
【0029】
一方、太陽電池モジュール40が取り付けられる右扉体13には、
図1及び
図9に示すように、パネルに窓孔130が設けてあるとともに、窓孔130の開口周縁となる部位に突出片部131が設けてある。窓孔130は、保持部材50の表面においてパネル当接部51に囲まれた透光部53aを外部に露出させることのできる大きさの矩形状に形成した貫通孔である。突出片部131は、
図13に示すように、窓孔130の周縁部全周を内表面側に屈曲することによって角筒状に構成したもので、保持部材50の収容溝52に収容することができる寸法に形成してある。突出片部131において保持部材50の各辺に沿って延在する部分には、それぞれ一対の係合片(係合部)132が設けてある。係合片132は、突出片部131からさらに突出した条片状部分であり、保持部材50の係合孔52aに挿通することのできる幅に形成してある。
【0030】
上述した保持部材50を適用して太陽電池モジュール40を右扉体13に取り付けるには、まず、
図10及び
図12に示すように、保持部材50に外力を加えて裏面が面外に向けて凸となるように解除姿勢に維持し、この状態からそれぞれの収容部53に太陽電池モジュール40を収容させる。このとき、セル41の受光面と保持部材50との間にオイルを塗布しておけば、セル41の受光面を保持部材50に隙間なく密着させることが可能となる。
【0031】
太陽電池モジュール40を収容部53に収容した後に保持部材50に加えていた外力を除去すると、
図9及び
図13に示すように、弾性復元力によって保持部材50が拘束姿勢となる。この状態においては、収容部53の開口周縁部に設けた爪部54が太陽電池モジュール40の裏面に係合し、収容部53からの太陽電池モジュール40の脱落が阻止される。
【0032】
さらに、太陽電池モジュール40を保持した保持部材50を右扉体13の内表面から窓孔130に近づけてパネルの係合片132をそれぞれ保持部材50の係合孔52aに挿通させれば、係合片132が案内となってパネルの突出片部131が保持部材50の収容溝52に収容され、
図11に示すように、透光部53aの表面がパネルの外表面とほぼ一致した位置に配置される。従って、保持部材50の収容部53に収容させた太陽電池モジュール40は、保持部材50の透光部53aを介してセル41の受光面が外部に現れることになる。最後に、
図14に示すように、保持部材50の係合孔52aに貫通している係合片132をそれぞれ折り曲げてほぼ直角の状態とすれば、保持部材50がパネルの内表面と係合片132の折り曲げ部分との間に挟持され、保持部材50を介して2つの太陽電池モジュール40がパネルに取り付けられる。
【0033】
ここで、パネルの内表面から離隔する方向への移動が阻止された保持部材50は、パネルの内表面に沿った姿勢に維持されるため、
図10に示した解除姿勢に移行することができない。特に、保持部材50の上下両縁部に設けた係合孔52aにそれぞれパネルの係合片132が挿通された状態にあるため、さらには保持部材50の収容溝52にパネルの突出片部131が収容された状態にあるため、外力を加えた場合にも保持部材50は継続して拘束姿勢を維持することになる。従って、保持部材50の収容部53に収容した太陽電池モジュール40に対しては、常に爪部54が裏面に係合した状態となり、右扉体13から脱落する事態を招来するおそれがない。しかも、太陽電池モジュール40のパネルへの取り付けに際しては、接着剤や別の押え部材が必要となることがないため、組み立て作業性の点で有利となる。仮に、太陽電池モジュール40の交換が必要になった場合には、係合片132を元の状態に折り返した後、パネルから保持部材50を引き離せば、保持部材50を容易に取り外すことができ、さらに保持部材50を解除姿勢に変形させれば、太陽電池モジュール40の交換を容易に行うことが可能になる。
【0034】
また、パネルと太陽電池モジュール40との間に弾性を有した保持部材50が介在することになるため、この保持部材50が緩衝材としても機能することになる。加えて、太陽電池モジュール40を右扉体13のヒンジ15側となる領域、具体的には補強部材13Bとヒンジ15の軸との間に配設しているため、右扉体13を開閉した場合にも大きな衝撃が直接太陽電池モジュール40に加えられるおそれがなく、太陽電池モジュール40の耐久性を向上させることができる。さらに、太陽電池モジュール40をヒンジ15側に配設しているため、右扉体13を開閉する際に太陽電池モジュール40のセル41を覆う保持部材50の透光部53aに触れるおそれがない。このため、透光部53aの汚れによって発電効率の低下する事態を招来するおそれもない。
【0035】
パネルに太陽電池モジュール40を取り付けた後には、太陽電池モジュール40やその出力ケーブル42を保護する目的で、
図4に示すように、右扉体13の内表面において太陽電池モジュール40を覆う位置に裏板部材60を配設している。裏板部材60は、
図5及び
図6に示すように、右扉体13と同様、四周に折り曲げ部分61を有した金属製のパネルによって構成したもので、パネルの内表面に設けたブラケット62に取付ネジ63を螺合させることによって着脱可能に取り付けてある。この裏板部材60には、保持部材50の裏面に対向する部分に押圧板64が付設してある。押圧板64は、保持部材50の裏面に当接することにより、保持部材50の補強材として機能する。従って、右扉体13の外表面から比較的大きな外力が加えられた場合にも、保持部材50の保持枠部150が変形するおそれがなくなり、太陽電池モジュール40の脱落が確実に防止される。
【0036】
上記のようにして右扉体13に取り付けた太陽電池モジュール40は、出力される電力によって二次電池35を充電することができるように、
図15に示すように、二次電池35と並列に接続される。これにより、収納装置10としては、定期的に二次電池35の交換作業や充電作業を実施することなく、常に電子錠30の施解錠を行うことが可能となる。
図15からも明らかなように、太陽電池モジュール40と二次電池35との間を接続する電路には、二次電池35から太陽電池モジュール40への電流の流れを阻止するダイオード36のみが介在させてあり、一般的に二次電池を保護する目的で組み込まれる定電圧回路や過充電防止回路はそれ自体が電力を消費してしまうため省略してある。
【0037】
すなわち、太陽電池モジュール40の取付対象となる収納装置10はオフィス等の室内に設置されるものであり、屋外に比べて照射される光量も大きく制限されるため、太陽電池モジュール40から出力される電力量も限られたものとなる。従って、電力の消費要素となるものを省くことで、発電電力を最大限二次電池35へ充電可能となる。因に、室内の照射光によって期待できる太陽電池モジュール40の発電量に対して、二次電池35の容量は十分に大きいため、二次電池35の電圧に引き込まれ、二次電池35の電圧に収まるために定電圧回路を必要としない。また、トリクル充電以下の発電量であるため、過充電防止対策も必要ない。従って、
図15に示すように、太陽電池モジュール40と二次電池35との間を接続する電路に、二次電池35から太陽電池モジュール40への電流の流れを阻止するダイオード36のみを配設した電気回路を適用した場合であっても、問題を生じるおそれはない。
【0038】
図16は、上述した収納装置10を複数備えて構成した収納システムの制御系を示したものである。この収納システムは、予め登録された利用者のみが収納装置10の扉体12,13を開閉することができるように構成されたもので、認証装置70を備えている。
【0039】
認証装置70は、それぞれの収納装置10とは別個の構成単位として分割されたもので、複数の収納装置10に対して唯一用意してある。認証装置70は、カードリーダ71、メモリ72、無線通信部73及び認証処理部74を有している。カードリーダ71は、収納システムで用いられる識別カードCの識別情報を読み取るものである。識別カードCは、利用対象となる収納装置10の識別情報を格納したものである。この収納システムでは、利用が許可された利用者に対して、許可された収納装置10の識別情報を格納した識別カードCが予め付与される。認証装置70のメモリ72は、収納システムに属する収納装置10の識別情報を格納したものである。無線通信部73は、収納装置10の無線通信部33との間において無線通信処理を行うものである。認証処理部74は、カードリーダ71を通じて識別カードCの識別情報が与えられた場合に、該当する識別情報が予めメモリ72に格納されたものであるか否かの認証を行うものである。与えられた識別カードCの識別情報が予めメモリ72に格納されたものであった場合、認証処理部74は、複数の収納装置10から識別情報に該当する収納装置10を特定し、無線通信部73を通じて該当する収納装置10に対して解錠許可指令を与える。
【0040】
従って、予め該当する収納装置10の押ボタンスイッチ34をオンすることで、施解錠制御部31を有効化しておけば、無線通信部33を通じて当該解錠許可指令が与えられることになり、収納装置10の扉体12,13を開閉することが可能となる。
【0041】
上記のように構成した収納システムによれば、認証に必要となる認証装置70を収納装置10とは別個の構成単位として分割し、収納装置10としての電力消費量を低減するようにしているため、それぞれの収納装置10に設けた太陽電池モジュール40によって二次電池35を確実に充電することが可能となり、定期的に二次電池35の交換作業や充電作業を行うことなく、電子錠30の施解錠を確実に行うことができるようになる。
【0042】
尚、上述した実施の形態では、収納装置の扉体に太陽電池モジュールを取り付ける構造について例示しているが、その他の什器において扉体以外のパネルにその他の物品を取り付けるものにも適用することが可能である。