特許第6261410号(P6261410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261410
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】ケーブル導出構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
   H05K9/00 L
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-63069(P2014-63069)
(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公開番号】特開2015-185785(P2015-185785A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105659
【氏名又は名称】日本電産コパル電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(72)【発明者】
【氏名】野口 昇司
(72)【発明者】
【氏名】落合 康成
【審査官】 石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−262153(JP,A)
【文献】 特開2014−045016(JP,A)
【文献】 特開2002−008744(JP,A)
【文献】 特開平07−193966(JP,A)
【文献】 特開2012−135167(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0034143(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/00−7/02
7/38−7/40
H02G 1/14−1/16
15/00−15/196
H05K 3/32−3/34
7/00
9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の絶縁電線の外周をシールド層および絶縁被覆で覆ったシールドケーブルと、このシールドケーブルの一端部の絶縁被覆を除去して複数本の絶縁電線を突出させ、該複数本の絶縁電線に取付けられた基板を有する電子機器への接続部と、前記シールドケーブルの一端部の絶縁被覆の端部に、前記シールド層を折り返して形成したシールド体と、このシールド体部分を導電性接着剤を用いて固定した導電パイプと、この導電パイプの外周部に接触状態で取付けられる導電性のシールドプレートと、このシールドプレートの外周部が接触状態で内装される前記接続部を覆う金属筐体とからなることを特徴とするケーブル導出構造。
【請求項2】
導電パイプが位置する端部が絶縁被覆にケーブルブッシュが形成されていることを特徴とする請求項1記載のケーブル導出構造。
【請求項3】
金属筐体には導電パイプが挿入される導電パイプ支持凹部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のケーブル導出構造。
【請求項4】
シールドプレートは皿ばねの断面形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のケーブル導出構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器等からケーブルを引き出すケーブル導出部に用いられるケーブル導出構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のケーブル導出構造は、シールドケーブルのシールド層を基板のグランド層に直接落していたが、基板が小さいため外部ノイズによる影響を受け易く、EMC規格を満足させることができなくなったため、シールド層を基板に落さずに金属ケースに接地させることが考えられているが、いまだに取付け作業が煩雑であり、しかも、確実にシールド層を金属筐体に接地させたり、防水性を高めたりすることのできるケーブル導出構造が考えられていないという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−7669号公報
【特許文献2】特開2004−31291号公報
【特許文献3】特開2006−129676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、取付けが容易で、確実にシールド層を金属筐体へ接地させることができるとともに、防水も確実に行なうことができるケーブル導出構造を提供することを目的としている。
【0005】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は複数本の絶縁電線の外周をシールド層および絶縁被覆で覆ったシールドケーブルと、このシールドケーブルの一端部の絶縁被覆を除去して複数本の絶縁電線を突出させ、該複数本の絶縁電線に取付けられた基板を有する電子機器への接続部と、前記シールドケーブルの一端部の絶縁被覆の端部に、前記シールド層を折り返して形成したシールド体と、このシールド体部分を導電性接着剤を用いて固定した導電パイプと、この導電パイプの外周部に接触状態で取付けられる導電性のシールドプレートと、このシールドプレートの外周部が接触状態で内装される前記接続部を覆う金属筐体とでケーブル導出構造を構成している。
【発明の効果】
【0007】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1により、シールドケーブルのシールド層を、導電性接着剤を用いて固定された導電パイプで、確実に電気的に接続された状態で固定することができる。
(2)前記(1)により、導電パイプの外周部に接触状態で取付けられるシールドプレートを電子機器への接続部を覆う金属筐体と接触状態で内装されているので、確実にシールドケーブルのシールド層、導電パイプ、シールドプレート、金属筐体を電気的に接続された状態で接続することができる。
(3)前記(1)により、導電パイプの外周部にシールドプレートが接触状態で取付けられているため、シールドプレートを安定状態で設置することができ、シールドプレートを金属筐体に安定した状態で接触させることができる。
(4)請求項2も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、ケーブルブッシュにより、防水性を図ることができる。
(5)請求項3も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、導電パイプ支持凹部に支持された導電パイプとで防水性を図ることができる。
(6)請求項4も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、皿ばねの断面形状のシールドプレートの弾性力で、金属筐体と確実に電気的に接続された状態で取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明を実施するための第1の形態の一部破断面図。
図2】本発明を実施するための第1の形態の分解一部破断面図。
図3】本発明を実施するための第1の形態の導電パイプの説明図。
図4】本発明を実施するための第1の形態のシールドプレートの説明図。
図5】本発明を実施するための第1の形態のシールドケーブルの端部の加工状態を示す説明図。
図6】本発明を実施するための第1の形態の金属筐体とケーブルブッシュの取付け状態の説明図。
図7】本発明を実施するための第1の形態の取付け状態の要部拡大断面図。
図8】本発明を実施するための第2の形態の一部破断面図。
図9】本発明を実施するための第2の形態の分解一部破断面図。
図10】本発明を実施するための第2の形態の導電パイプの説明図。
図11】本発明を実施するための第3の形態の一部破断面図。
図12】本発明を実施するための第3の形態の分解一部破断面図。
図13】本発明を実施するための第3の形態のシールドプレートの説明図。
図14】本発明を実施するための第4の形態の一部破断面図。
図15】本発明を実施するための第4の形態の分解一部破断面図。
図16】本発明を実施するための第4の形態のシールドプレートの説明図。
図17】本発明を実施するための第5の形態の一部破断面図。
図18】本発明を実施するための第5の形態の分解一部破断面図。
図19】本発明を実施するための第5の形態の取付け状態の要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0010】
図1ないし図7に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は電子機器に接続される本発明のケーブル導出構造で、このケーブル導出構造1は複数本、本発明の実施の形態では4本の絶縁電線2、2、2、2の外周をシールド層3および絶縁被覆4で覆ったシールドケーブル5と、このシールドケーブル5の一端部の絶縁被覆4を除去して4本の絶縁電線2、2、2、2を突出させ、該4本の絶縁電線2、2、2、2に取付けられた基板6、7と、この基板6、7に接続された筐体係合凹部8を有する電子機器への接続部9と、この接続部9の先端側と前記基板6、7の外周部を覆う保護筒10と、この保護筒10の先端部と嵌合させた樹脂や金属からなるキャップ11と、このキャップ11の先端部に密着させることができるリング状のシリコンパッキンやOリング等のパッキン12と、前記絶縁被覆4を除去した端部に、図5に示すように前記シールド層3を絶縁被覆4の外周に折り返し、その外周に導電性接着剤13を塗布してシールド体34を形成し、更にその外周に挿入固定することにより該シールド層3と電気的に接続された導電パイプ14と、前記シールドケーブル5の絶縁被覆4の表面に該絶縁被覆4と一体的に形成された抜け止め防止フランジ15、シール片16、2個のシールフランジ17、18が形成されたケーブルブッシュ19と、皿ばねの断面形状で、小径の先端部側に複数個の切り欠き溝20を有し、内周部の先端が前記導電パイプ14の外周部とバネ圧によって前記シールドケーブル5側に変形しながら線接触することによって電気的に接続された導電性のシールドプレート21と、前記保護筒10、キャップ11、パッキン12、シールドプレート21が内部に収納され、該シールドプレート21と面接触する接触面22を有し、後端部に前記筐体係合凹部8と係合する係合片23を有する金属筐体24と、この金属筐体24に形成された前記ケーブルブッシュ19の2個のシールフランジ17、18の外周部と接触し、先端部に前記ケーブルブッシュ19のシール片16を収納できるシール片収納凹部25が形成された、外周部にねじ部26が形成されたケーブル導出部27と、このケーブル導出部27のねじ部26と螺合されるねじ部28が形成され、かつシール片収納凹部25に収納された、前記ケーブルブッシュ19のシール片16を圧着状態で取付けることができるクランプ体としてのクランプナット29とで構成されている。
【0011】
上記構成のケーブル導出構造1は、図2に示すように、接続部9からシールドケーブル5の導出方向に向けて、シールドケーブル5の端部から突出する絶縁電線2が接続された基板6、7、保護筒10、キャップ11、パッキン12、シールドプレート21を位置させ、シールドケーブル5を金属筐体24およびクランプナット29を通過させ、金属筐体24の係合片23を接続部9の筐体係合凹部8と係合させると、図6に示すようにケーブルブッシュ19のシール片16が金属筐体24のケーブル導出部27を通過してシール片収納凹部25に位置した状態になるとともに、シールドプレート21は接触面22と面接触した状態となる。
【0012】
この状態で2個のシールフランジ17、18は金属筐体24のケーブル導出部27の内壁面に所定の圧力で密着している。
【0013】
この状態から、クランプナット29のねじ部28を金属筐体24のケーブル導出部27のねじ部26に螺合させ、図7に示すように締付けることにより、ケーブルブッシュ19の抜け止め防止フランジ15がクランプナット29のフランジ収納凹部36に侵入するとともに、シール片16の他側外周部が内壁面と面接触して圧着して固定され、金属筐体24内に確実に防水処理される。
【0014】
前記シールドケーブル5の内周部の先端はエッジ状に形成してもよい。この場合、より確実に前記シールドケーブル5と前記導電パイプ14を電気的に接続させることができる。
【0015】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図8ないし図19に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0016】
図8ないし図10に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、ほぼ中央部の外周部にシールドプレート21の内側先端部が入り込むシールドプレート係合溝30が形成された導電パイプ14Aを用いた点で、このような導電パイプ14Aを用いたケーブル導出構造1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0017】
図11ないし図13に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第2の形態と主に異なる点は、平らな円盤状のシールドプレート21Aを用いた点であり、このシールドプレート21Aは第1の形態と同様に内周部がバネ状になっており、内周部の先端が前記導電パイプ14の外周とバネ圧により線接触することで電気的に接続される。内周部は前記シールドケーブル5側に変形してもその反対側に変形してもよい。このようなシールドプレート21Aを用いたケーブル導出構造1Bにしても、前記本発明を実施するための第2の形態と同様な作用効果が得られる。
【0018】
図14ないし図16に示す本発明を実施するための第4の形態において、前記本発明を実施するための第2の形態と主に異なる点は、内側先端部を下方へ順次突出する形状のシールドプレート21Bを用いた点であり、このシールドプレート21Bは第1の形態と同様に内周部がバネ状になっており、内周部の先端が前記導電パイプ14の外周とバネ圧により線接触することで電気的に接続される。内周部は前記シールドケーブル5の反対側に変形する。このようなシールドプレート21Bを用いたケーブル導出構造1Cにしても、前記本発明を実施するための第2の形態と同様な作用効果が得られる。
【0019】
図17ないし図19に示す本発明を実施するための第5の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、導電パイプ14をほぼ半分ほど収納することができる導電パイプ支持凹部31と防水処理するための接着剤32を充填することができる接着剤充填部33を形成した金属筐体24Aを用いた点で、このような金属筐体24Aを用いて構成したケーブル導出構造1Dにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は電子機器等からケーブルを引き出すケーブル導出構造を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0021】
1、1A、1B、1C、1D:ケーブル導出構造、
2:絶縁電線、 3:シールド層、
4:絶縁被覆、 5:シールドケーブル、
6、7:基板、 8:筐体係合凹部、
9:接続部、 10:保護筒、
11:キャップ、 12:パッキン、
13:導電性接着剤、 14、14A:導電パイプ、
15:抜け止め防止フランジ、 16:シール片、
17、18:シールフランジ、 19:ケーブルブッシュ、
20:切り欠き溝、
21、21A、21B:シールドプレート、
22:接触面、 23:係合片、
24、24A:金属筐体、 25:シール片収納凹部、
26:ねじ部、 27:ケーブル導出部、
28:ねじ部、 29:クランプナット、
30:シールドプレート係合溝、31:導電パイプ支持凹部、
32:接着剤、 33:接着剤充填部、
34:シールド体 36:フランジ収納凹部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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