特許第6261423号(P6261423)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261423
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】血圧計の腕帯および血圧計
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/022 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
   A61B5/02 633J
   A61B5/02 633A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-69715(P2014-69715)
(22)【出願日】2014年3月28日
(65)【公開番号】特開2015-188666(P2015-188666A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2016年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507351883
【氏名又は名称】シチズン・システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100119987
【弁理士】
【氏名又は名称】伊坪 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100161089
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 良一
(72)【発明者】
【氏名】飯島 庸平
【審査官】 姫島 あや乃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−202296(JP,A)
【文献】 特開平06−261866(JP,A)
【文献】 特開2014−168611(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0130877(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気袋を内蔵した帯状体と、
前記帯状体の長手方向の一端部側に設けられ、前記帯状体の長手方向の他端部が挿入される環状の留め金具と、
前記帯状体の前記一端部と前記留め金具との間において前記帯状体の表面が隆起した部分である突起部と、を有し、
前記帯状体の前記他端部が前記留め金具に挿入され、前記留め金具を挟んで前記帯状体が折り返されたときに、前記留め金具は前記突起部に向けて倒され、かつ前記帯状体を間に挟んで前記突起部に接触することにより前記突起部との間で前記帯状体を保持し、前記帯状体の折返しをやめたときに、前記留め金具は前記突起部に対して持ち上げられて前記帯状体を解放する、
ことを特徴とする血圧計の腕帯。
【請求項2】
前記突起部は、前記留め金具に沿って前記帯状体の幅方向に設けられている、請求項1に記載の血圧計の腕帯。
【請求項3】
前記突起部は、前記留め金具が取り付けられている位置における前記帯状体の凸部以上の高さを有する、請求項1または2に記載の血圧計の腕帯。
【請求項4】
前記留め金具は、前記帯状体の前記凸部以上の高さの位置で前記突起部に接触する、請求項3に記載の血圧計の腕帯。
【請求項5】
空気袋を内蔵した帯状体と、
前記帯状体の長手方向の一端部側に設けられ、前記帯状体の長手方向の他端部が挿入される環状の留め金具と、
前記帯状体の前記一端部と前記留め金具との間において前記帯状体の表面が隆起した部分である突起部と、を有し、
前記留め金具は、前記帯状体の面に対する角度を変更可能であり、前記帯状体の前記他端部が挿入された状態で前記突起部に向けて倒されたときに、前記帯状体を間に挟んで前記突起部に接触する、
ことを特徴とする血圧計の腕帯。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の腕帯を有する血圧計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧計の腕帯、装着部品および血圧計に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な血圧計は、空気袋を内蔵した腕帯(カフともいう)、空気管を介してその空気袋と連通した圧力センサ、加圧ポンプおよび排気弁、血圧値を算出する制御部、操作スイッチ、ならびに表示部などで構成される。オシロメトリック方式の血圧計では、例えば使用者の上腕に腕帯を巻き付け、腕帯内に空気を送り込んで腕の締め付け圧を上げ、動脈からの脈波が消失するところまで加圧させる。そして、一定流速で減圧した際の脈波の出現と消失の間の波高状態から、血圧値を算出する。
【0003】
こうした血圧計に用いられる腕帯として、空気袋を外布と内布で挟んだ略長方形状の帯状体と、帯状体の長手方向の一端部に取り付けられた環状の留め金具と、留め金具に挿入されて折り返された帯状体の他端部を固定する面ファスナとを有するものが知られている(例えば、特許文献1,2を参照)。
【0004】
図9は、従来の腕帯100を腕に巻き付けるときの状態を示す斜視図である。腕帯100は、空気袋(図示せず)を内蔵した帯状体101と、帯状体101の長手方向の一端部に取り付けられた環状の留め金具102と、帯状体101の他端部を固定する面ファスナ103とを有する。腕帯100を腕に巻き付けるには、図9に示すように、まず、留め金具102に帯状体101の他端部を挿入させて環状にした状態で、矢印a方向に腕に通す。そして、帯状体101の他端部を矢印b方向に引っ張って腕を締め付け、帯状体101を折り返して面ファスナ103で着脱可能に貼り合わせる。これにより、腕帯100は腕に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4153972号公報
【特許文献2】実開平5−039504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の腕帯100では、帯状体101の他端部を矢印b方向に引っ張っている最中に帯状体101から手を離すと、腕帯100が緩い状態で腕に固定されるという不具合がある。
【0007】
図10は、腕帯100に緩みが生じる原因を説明するための図である。図10では、図9の矢印a方向から見たときの腕帯100の一部を示している。図10に示すように、帯状体101を矢印b方向に引っ張っている最中に帯状体101から手を離す(図中×印)と、留め金具102の部分で2重になった帯状体101の間には隙間sがあるため、帯状体101が矢印c方向に動いてしまう。すると、腕帯100の環が広がって、腕帯100が緩い状態で腕に固定されることがある。このように腕帯100が緩く固定された状態で血圧を測定すると、正確な血圧値を求めることができない。
【0008】
そこで、本発明は、取付け時には手を離しても緩まずに取り付けることができ、取外し時には容易に取り外すことができる血圧計の腕帯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の血圧計の腕帯は、空気袋を内蔵した帯状体と、帯状体の長手方向の一端部側に設けられ、帯状体の長手方向の他端部が挿入される環状の留め金具と、帯状体の一端部と留め金具との間に設けられた突起部とを有し、帯状体の他端部が留め金具に挿入され、留め金具を挟んで帯状体が折り返されたときに、留め金具は突起部に向けて倒され、かつ突起部との間で帯状体を保持し、折返しをやめたときに、留め金具は突起部に対して持ち上げられて帯状体を解放することを特徴とする。
【0010】
上記の血圧計の腕帯では、突起部は、留め金具に沿って帯状体の幅方向に設けられていることが好ましい。
【0011】
上記の血圧計の腕帯では、突起部は、留め金具が取り付けられている位置における帯状体の凸部以上の高さを有することが好ましい。
【0012】
上記の血圧計の腕帯では、留め金具は、帯状体の凸部以上の高さの位置で突起部に接触することが好ましい。
【0013】
また、本発明の血圧計の腕帯は、空気袋を内蔵した帯状体と、帯状体の長手方向の一端部側に設けられ、帯状体の長手方向の他端部が挿入される環状の留め金具と、帯状体の一端部と留め金具との間に設けられた突起部とを有し、留め金具は、帯状体の面に対する角度を変更可能であり、突起部に向けて倒されたときに突起部に接触することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の装着部品は、空気袋を内蔵した帯状体、および帯状体の面に対する角度を変更可能に帯状体の長手方向の一端部側に設けられ帯状体の長手方向の他端部が挿入される環状の留め金具を有する血圧計の腕帯に装着される装着部品であって、帯状体に装着されたときに、帯状体の一端部に向けて倒された留め金具に接触する位置に配置される突起部を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の血圧計は、上記の何れかの腕帯を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
上記の腕帯、装着部品および血圧計によれば、腕帯の取付け時には手を離しても緩まずに取り付けることができ、取外し時には容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】腕帯10の展開図および側面図である。
図2】腕帯10を腕に取り付けるときの留め金具12と突起部14の作用を説明するための図である。
図3】腕帯10を腕から取り外すときの留め金具12と突起部14の作用を説明するための図である。
図4】留め金具12と突起部14の好ましい位置関係の例を示す図である。
図5】留め金具12と突起部14の好ましくない位置関係の例を示す図である。
図6】突起部の形状の例を示した図である。
図7】腕帯10’の展開図である。
図8】突起部14を有さない腕帯100に装着される装着部品20の斜視図である。
図9】従来の腕帯100を腕に巻き付けるときの状態を示す斜視図である。
図10】腕帯100に緩みが生じる原因を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、腕帯、装着部品および血圧計について説明する。ただし、本発明が図面または以下に記載される実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。
【0019】
図1(A)および図1(B)は、それぞれ腕帯10の展開図および側面図である。腕帯10は、血圧計用の腕帯(カフ)てあり、血圧測定時に例えば使用者の上腕に巻き付けられる。腕帯10は、帯状体11と、留め金具12と、面ファスナ13と、突起部14と、空気袋15と、連結部16とを有する。
【0020】
帯状体11は、空気袋15を内蔵した略長方形状の部材である。帯状体11は、例えば、2枚の樹脂製の布で空気袋15を挟み、それらの布の周縁部を縫合することにより作られる。空気袋15は、帯状体11の長手方向(矢印L方向)の略中央から一端部E1側の領域に配置されている。また、空気袋15の表側の面には、血圧計の空気管に連結される連結部16が形成されており、連結部16は、帯状体11の表面を貫通して外側に露出している。
【0021】
留め金具12は、丸鋼で構成された環状体であり、帯状体11の長手方向の一端部E1側に、一端部E1と平行に取り付けられている。帯状体11の一端部E1と留め金具12は、上腕に巻き付けやすいように帯状体11の長辺に対して約80度の角度をなし、斜めになっている。留め金具12には、帯状体11の長手方向の他端部E2が挿入される。
【0022】
留め金具12は、長手方向に移動しないように、例えば帯状体11を構成する樹脂製の布によってその半分が挟まれた状態で、縫合などにより帯状体11に固定されている。ただし、留め金具12は、帯状体11に固定された側を軸として矢印C方向に回転することができ、帯状体11の面に対する角度を変更可能である。このため、留め金具12は、挿入された帯状体11の他端部E2が引っ張られると、その動きに応じて引張り方向に倒れ、帯状体11の面に対する角度を変える。
【0023】
面ファスナ13は、留め金具12に挿入され、留め金具12を挟んで折り返された帯状体11の他端部E2を固定する。面ファスナ13は、帯状体11の他端部E2側の表面に縫合されたフック面131と、フック面131の隣から一端部E1付近にわたって帯状体11の表面に縫合されたループ面132とを有する。面ファスナ13により、腕帯10を片手で容易に着脱することが可能になる。
【0024】
突起部14は、帯状体11の長手方向の一端部E1側に、留め金具12に沿って帯状体11の幅方向(矢印W方向)に設けられた細長い突起である。突起部14は、一端部E1と留め金具12の間で、留め金具12が突起部14に向けて倒されたときに留め金具12に接触する位置に配置されている。突起部14は、例えば、帯状体11を構成する樹脂製の布によって樹脂製または金属製の円筒部材を挟むことにより形成される。
【0025】
図2(A)〜図2(E)は、腕帯10を腕に取り付けるときの留め金具12と突起部14の作用を説明するための図である。
【0026】
図2(A)は、帯状体11の他端部E2が留め金具12に挿入されて巻かれた腕帯10を横から見た図である。また、図2(B)は、図2(A)に示す留め金具12付近の拡大図である。図2(A)および図2(B)に示すように、帯状体11が留め金具12に挿入されて矢印A方向に引っ張られると、留め金具12は、それに応じて矢印C2方向に回転し、突起部14とは反対側に倒れる。
【0027】
図2(C)は、図2(A)の状態から、矢印A方向と反対の矢印B方向に帯状体11の他端部E2を引っ張ったときの腕帯10を示す。また、図2(D)および図2(E)は、図2(C)に示す留め金具12付近の拡大図である。図2(C)および図2(D)に示すように、帯状体11が矢印B方向に引っ張られると、留め金具12は、それに応じて矢印C2方向と反対の矢印C1方向に回転し、突起部14に向けて倒れ、帯状体11を間に挟んで突起部14に接触する。
【0028】
帯状体11の他端部E2を矢印B方向に引っ張ることにより、図2(C)に示す腕帯10の環が狭められ、腕帯10が腕に取り付けられる。腕帯10には突起部14が設けられているため、図10に示す腕帯100の場合とは異なり、このとき留め金具12と帯状体11の間に隙間は生じない。さらに、留め金具12と突起部14が帯状体11を間に挟んで接触しているため、図2(E)に示す接点Pにおいて帯状体11が保持される。このため、使用者が途中で腕帯10から手を放しても、腕帯10の環が緩む矢印D方向への帯状体11の移動は妨げられる。したがって、留め金具12と突起部14により、取付け時には、手を離しても緩まずに腕帯10を取り付けることが可能になる。このように、腕帯10の取付け時には、留め金具12と突起部14は、帯状体11を挟んで留め、腕帯10の緩みを防止するストッパとして作用する。
【0029】
図3(A)〜図3(C)は、腕帯10を腕から取り外すときの留め金具12と突起部14の作用を説明するための図である。
【0030】
図3(A)は、図2(C)に示す状態から、帯状体11の他端部E2を矢印F方向に動かして帯状体11の折返しをなくしたときの腕帯10を横から見た図を示す。また、図3(B)は、図3(A)に示す留め金具12付近の拡大図である。図3(A)および図3(B)に示すように、帯状体11の他端部E2が矢印F方向に引っ張られると、留め金具12は、それに応じて再び矢印C2方向に回転し、突起部14に対して持ち上げられる。
【0031】
このように留め金具12が動くことで、図3(B)に示すように、留め金具12と帯状体11の間に隙間Sが生じ、帯状体11が解放される。このため、図3(C)に示すように、留め金具12に挿入されている帯状体11の部分を矢印G方向に容易に動かして、腕帯10の環を緩めることができる。すなわち、取外し時には、図10の腕帯100と同じ外し方で腕帯10を取り外すことが可能になる。このように、腕帯10の取外し時には、留め金具12と突起部14は、腕帯10の緩みを防止するストッパとしては作用しない。
【0032】
図4(A)〜図4(C)は、留め金具12と突起部14の好ましい位置関係の例を示す図である。これらの図では、留め金具12の付近における腕帯10の縦断面を示す。
【0033】
突起部14の高さと位置は、留め金具12の穴の大きさに応じて設定される。その際は、留め金具12と突起部14の接点Pが、帯状体11の凸部111の上端以上の高さになるように、突起部14の高さと位置を設定することが好ましい。凸部111とは、留め金具12が帯状体11に取り付けられている位置における帯状体11の突出部分を指す。
【0034】
すなわち、留め金具12を突起部14に向けて倒したときに、凸部111の上端以上の高さで留め金具12が突起部14に接触する(突起部14の上に載る)ように、帯状体11の長手方向における突起部14の位置を設定することが好ましい。特に、図4(A)に示すように、留め金具12を突起部14に向けて倒したときに、突起部14の上端と、帯状体11に固定されていない側の留め金具12の下端とが接触するような位置が最も好ましい。接点Pが凸部111の上端以上の高さであれば、図4(A)および図4(B)に示すように、突起部14は凸部111に接触してもよいし、図4(C)に示すように、突起部14と凸部111の間に隙間があってもよい。また、接点Pが凸部111の上端以上の高さであれば、接点Pは、図4(B)に示すように、突起部14の上端より一端部E1側にあってもよいし、図4(C)に示すように、突起部14の上端より凸部111側にあってもよい。
【0035】
また、接点Pが凸部111の上端以上の高さになるためには、図4(A)〜図4(C)に示すように、帯状体11の面からの突起部14の高さH1が凸部111の高さH2以上であることが好ましい。
【0036】
図5(A)および図5(B)は、留め金具12と突起部14の好ましくない位置関係の例を示す図である。これらの図も、留め金具12の付近における腕帯10の縦断面を示す。
【0037】
図5(A)に示すように、突起部14が凸部111に近過ぎると、留め金具12が突起部14に向けて倒されたときに、留め金具12の穴に突起部14がはまってしまい、凸部111の上端より接点Pが低くなる。また、図5(B)に示すように、突起部14が凸部111から遠過ぎても、留め金具12が突起部14に向けて倒されたときに、突起部14と凸部111の間に留め金具12がはまってしまい、やはり凸部111の上端より接点Pが低くなる。いずれの場合でも、腕帯10の取外し時に留め金具12が突起部14に対して持ち上げられにくくなってしまうため、帯状体11が解放されず、帯状体11を動かしにくくなる。よって、突起部14の位置は、上記の通り、留め金具12を突起部14に向けて倒したときに凸部111の上端以上の高さで留め金具12が突起部14に接触するように設定することが好ましい。
【0038】
なお、図2(A)〜図5(B)では、いずれも上端が丸い形状を有する突起部14を示しているが、高さと位置が上記の条件を満たしていれば、突起部の形状は丸型には限定されない。
【0039】
図6(A)および図6(B)は、突起部の形状の例を示した図である。これらの図も、留め金具12の付近における腕帯10の縦断面を示す。例えば、突起部14に代えて、図6(A)に示すような断面が三角に尖った(すなわち、三角柱の)突起部14を使用してもよいし、図6(B)に示すような断面が矩形の(すなわち、四角柱の)突起部14bを使用してもよい。
【0040】
また、腕帯10では帯状体11の幅方向の全体に突起部14が伸びているが、留め金具12と突起部で帯状体11を挟んだときに腕帯の緩みを防止できる程度の負荷を帯状体11に与えられるならば、帯状体11の幅方向の一部分のみに1個または複数個の突起部を設けてもよい。
【0041】
図7は、腕帯10’の展開図である。図7に示す腕帯10’は、図1(A)に示す腕帯10と同様のものであるが、帯状体11の幅方向の3か所に、互いに間隔を空けて留め金具12に沿って突起部14cが設けられている。このように、帯状体11の幅方向の一部分のみに突起部を設けてもよい。
【0042】
以上説明したように、腕帯10は、帯状体11の長手方向の一端部E1側に、留め金具12および細長い突起部14を有する。留め金具12は、帯状体11の他端部E2が挿入され、その留め金具12を挟んで帯状体11が折り返されたときに、突起部14に向けて倒され、かつ突起部14との間で帯状体11を保持する(すなわち、帯状体11に負荷を与える)。これにより、使用者が腕帯10を腕に巻いて取り付けるときには、意図しない腕帯10の緩みを防止することが可能になる。また、留め金具12は、帯状体11の折返しをやめたときに、突起部14に対して持ち上げられて帯状体11を解放する(すなわち、帯状体11への負荷を取り除く)。これにより、使用者が腕帯10を取り外すときには、従来の腕帯と同じ外し方で、腕帯10の環を容易に広げることが可能になる。
【0043】
なお、腕帯10は、上腕式の血圧計に限らず、手首式などを含むどのような血圧計にも適用可能である。
【0044】
図8は、突起部14を有さない腕帯100に装着される装着部品20の斜視図である。腕帯100は、図示しない空気袋を内蔵した帯状体101と、図示しない帯状体101の長手方向の他端部が挿入される環状の留め金具102とを有するが、図1の腕帯10とは異なり突起部14を有していない。留め金具102は、帯状体101の面に対する角度を変更可能に帯状体101の長手方向の一端部E1側に設けられている。
【0045】
装着部品20は、帯状体101と同じ厚さをもつ「コ」の字型の凹部21と、上面に設けられた細長い突起部24とを有する。装着部品20は、凹部21を帯状体101の一端部E1にはめ込むことにより、腕帯100に装着される。突起部24は、装着部品20が帯状体101に装着された状態で、帯状体101の一端部E1に向けて留め金具102が倒されたときに、留め金具102に接触する位置に配置される。このような突起部24を有する装着部品20を装着すれば、突起部14を有しない既存の血圧計の腕帯100であっても、腕帯10と同様の緩み防止の効果が得られる。
【符号の説明】
【0046】
10,10’ 腕帯
11 帯状体
111 凸部
12 留め金具
14,14a,14b,14c 突起部
15 空気袋
20 装着部品
E1 一端部
E2 他端部
P 接点
S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10