(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コンクリート打設面を有する矩形状の平板部と、コンクリート打設面とは反対側の背面の4辺に沿って設けられ、フックボルト及びクリップのうちの少なくとも一方を取り付けるための取付孔が形成される周縁リブと、周縁リブで囲まれる内部を多数の細長い枡に仕切るための仕切用リブとを備えてなるプラスチック製型枠の、前記細長い枡に収容されるプラスチック製型枠用の発泡性断熱体であって、
前記取付孔への前記フックボルト及びクリップのうちの少なくとも一方の挿入を許容すべく前記周縁リブ側に位置する外側部分を該周縁リブから離間する内側部分よりも低くし、前記細長い枡が、型枠の幅方向両端に位置する第1枡と、型枠の幅方向中間に位置する第2枡とを備え、前記第1枡の幅が前記第2枡の幅よりも大きく設定され、それら第1枡及び第2枡に収容される幅に構成された第1発泡性断熱体及び第2発泡性断熱体を備え、前記第1発泡性断熱体の幅が前記第2発泡性断熱体の幅よりも大きく設定され、該第1発泡性断熱体が、長手方向両端に位置し、かつ、前記取付孔よりも低い高さを有する平板状の両端部分と、該両端部分の間に位置し、かつ、幅方向外側端から幅方向内側端に向かうほど高くなる傾斜面を有する略三角形状の本体部とを備え、
前記本体部の型枠の幅方向内側端とこれに幅方向で対向する前記仕切用リブとの間に隙間が形成されるように、該本体部の型枠の幅方向内側端が凹んでいることを特徴とするプラスチック製型枠用の発泡性断熱体。
前記周縁リブと前記仕切用リブとが前記平板部から同一高さに設定され、前記枡に収容された状態において前記周縁リブ及び前記仕切用リブから突出する高さに構成されていることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック製型枠用の発泡性断熱体。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るプラスチック製の型枠用の発泡性断熱体の一実施形態について、
図1〜
図4に基づいて説明する。
【0016】
<第一実施形態>
図1は、9個の発泡性断熱体1,2を収容して断熱性を有するプラスチック製の型枠3を背面側から見た図を示している。型枠3が上下方向に長い縦長状であるため、
図1では、型枠3の上側半分のみを図示しており、下側半分も上側半分と同様である。
【0017】
型枠3は、コンクリート打設面4aを有する矩形状(長方形状)の平板部4と、コンクリート打設面4aとは反対側の背面4bの4辺に沿って設けられた周縁リブ5と、周縁リブ5で囲まれる内部を多数(ここでは9個)の細長い枡6,7,8,9,10,11,12,13,14に仕切るための多数(ここでは8枚)の仕切用リブ15,16,17,18,19,20,21,22とを備えている。左右幅方向両端に位置する2個の両端の第1枡6,14がほぼ同一の横幅(左右幅)を有し、残りの左右幅方向中間に位置する7個の第2枡7,8,9,10,11,12,13がほぼ同一の横幅(左右幅)を有している。第1枡6,14の横幅(左右幅)が、第2枡7,8,9,10,11,12,13の横幅(左右幅)よりも大きく設定されている。周縁リブ5と仕切用リブ15,16,17,18,19,20,21,22とが同一高さに構成されている。尚、各枡6,7,8,9,10,11,12,13,14に収容する発泡性断熱体1,2の長さは、型枠3の上下寸法全域に亘る長さに構成してもよいし、型枠3の上下寸法の2分の1の寸法のものや3分の1の寸法のもの等、どのような寸法(長さ)であってもよいが、ここでは、各枡6,7,8,9,10,11,12,13,14を一本の発泡性断熱体1又は2で埋めることができる長尺なものについて説明する。
【0018】
周縁リブ5は、4枚の板状のリブからなり、上側リブ5Aと、下側リブ(図示せず)と、左側リブ5Cと、右側リブ5Dとを備えている。そして、
図1に示すように、上側リブ5Aと、左側リブ5Cと、右側リブ5Dに、フックボルト及びクリップを取り付けるための多数の取付孔Hが形成されている。尚、図示していないが、下側リブにも取付孔が形成されている。
【0019】
左右方向両端に位置する2個の発泡性断熱体1のそれぞれは、第1枡6,14に収容されるよう第1枡6,14よりも小さく構成された第1細長いブロック体から構成されている。残りの7個の発泡性断熱体2のそれぞれは、第2枡7,8,9,10,11,12,13に収容されるよう第2枡7,8,9,10,11,12,13よりも小さく構成された第2細長いブロック体から構成されている。第1細長いブロック体1の横幅(左右幅)が、第2細長いブロック体2の横幅(左右幅)よりも大きく設定されている。また、発泡性断熱体1,2は、ポリスチレン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、硬質ウレタン発泡体、フェノール発泡体、イソシアネート発泡体、エポキシ発泡体等を用いることができる。尚、発泡倍率は、適宜自由に変更できる。
【0020】
第1細長いブロック体1は、
図1、
図3(a),(b)及び
図4に示すように、長手方向両端に位置し、かつ、前記取付孔Hよりも低い高さを有する平板状の両端部分1A,1A(図では一方のみ図示している)と、両端部分1A,1Aの間に位置し、かつ、幅方向外側端から幅方向内側端に向かうほど高くなる傾斜面1Sを有する略三角形状の本体部1Bとを備えている。前記本体部1Bの長手方向両端に、長手方向中央に向うほど高くなる傾斜面1Rが形成されている。また、本体部1Bの左右幅方向内側端面1bが、仕切用リブ15又は22との間に隙間N1が形成されるように凹んでおり、その隙間N1に指を入れて本体部1Bの上端部1Tを容易に掴むことができる。前記平板状の両端部分1A,1Aと本体部1Bにおける取付孔Hよりも低い部分1B1とを、周縁リブ5側に位置する外側部分とする。また、本体部1Bにおける取付孔Hから高い部分1B2を、周縁リブ5から離間する内側部分とする。
【0021】
第2細長いブロック体2は、
図1、
図2(a),(b)及び
図4に示すように、長手方向両端に位置し、かつ、前記取付孔Hよりも低い高さを有する平板状の両端部分2A,2A(図では一方のみ図示している)と、両端部分2A,2Aの間に位置し、両端部分2A,2Aよりも高く形成された角型状の本体部2Bとを備えている。前記本体部2Bの長手方向両端に、両端部分2A,2Aから上方に徐々に立ち上がる傾斜面2R,2R(図では一方のみ図示している)が形成されている。前記両端部分2A,2Aから、周縁リブ5側に位置する外側部分を構成している。また、前記本体部2Bから、周縁リブ5から離間する内側部分を構成している。
【0022】
また、第1細長いブロック体1及び第2細長いブロック体2が、周縁リブ5及び仕切用リブ15〜22から突出する高さに構成されている。これによって、断熱効果を高めることができながらも、枡6〜14からの発泡性断熱体1,2の取り出し作業を行い易い。発泡性断熱体1,2の取り出しは、発泡性断熱体を新たな発泡性断熱体に交換する時に行うことになるが、断熱を必要としない時期にも発泡性断熱体1,2を取り出しておくこともできる。
【0023】
前述したように、第1細長いブロック体1の左右幅が第2細長いブロック体2の左右幅よりも大きく設定されていることから、第1細長いブロック体1の本体部1Bの傾斜面1S(
図4参照)の角度を比較的緩やかに設定することができ、フックボルト及びクリップを取付孔Hへ確実に挿入することができるスペースMを確保することができる。従って、
図1及び
図4に示すように、前記スペースMを利用することによって、左右方向で隣り合う型枠3,3の孔H,HにクリップKを容易かつ迅速に挿入することができ、両型枠3,3同士をクリップKで迅速に連結することができる。しかも、平板状の両端部分1A,1Aを備えることによって断熱効果を発揮させながらも、略三角形状の本体部1Bによって幅方向外側端から幅方向内側端に向かうほど発泡性断熱体の厚みが厚くなり、断熱効果を高めることができる。
【0024】
型枠3には、左右方向で隣り合う周縁リブ5C又は5Dと仕切用リブ15又は22との間を長手方向で所定間隔置きに連結する多数(
図1では10個)の第1補強用リブ23と、左右方向で隣り合う仕切用リブ15,16又は16,17又は17,18又は18,19又は19,20又は20,21又は21,22同士間を長手方向で所定間隔置きに連結する多数(
図1では10個)の第2補強用リブ24とを備えている。
図4に示すように、右側に位置する第1補強用リブ23は、左右方向一端に位置し仕切用リブ15の高さまで立ち上がった一端部分23Aと、左右方向他端に位置し周縁リブ5の高さ付近まで立ち上がった他端部分23Bと、両端部分23A,23B間に位置し仕切用リブ15及び周縁リブ5の高さ寸法よりも低い高さ(ここでは半分以下の高さ)に構成された中間部分23Cとを備えている。また、右から2番目に位置する第2補強用リブ24は、左右方向両端に位置し仕切用リブ16,17の高さまで立ち上がった両端部分24A,24Aと、両端部分24A,24A間に位置し仕切用リブ16,17の高さよりも低い高さ(ここでは半分以下の高さ)に構成された中間部分24Bを備えている。説明しなかった他の第1補強用リブ24も同一構成である。
【0025】
また、第1細長いブロック体1の底部及び第2細長いブロック体2の底部には、細長い枡6〜14に収容する際に折り曲げを容易にするための多数のスリット25及び26が形成されている。各スリット25又は26は、細長いブロック体1又は2の左右幅方向に延びるように形成され、かつ、細長いブロック体1又は2の長手方向に所定間隔を置いて形成されている。各スリット25又は26は、第1補強用リブ23又は第2補強用リブ24に対応するように形成されている。また、各スリット25又は26は、第1補強用リブ23又は第2補強用リブ24に係止する第1スリット25A又は26Aと、第1補強用リブ23又は第2補強用リブ24に係止しない第2スリット25B又は26Bとを備えている。
【0026】
換言すれば、第1スリット25A又は26Aが第1補強用リブ23又は第2補強用リブ24に係止するように、第1スリット25A又は26Aの細長いブロック体の長手方向における寸法が第1補強用リブ23又は第2補強用リブ24の細長いブロック体の長手方向における寸法よりも僅かに大きな寸法に構成されている。具体的には、
図3(a),(b)に示すように、一方の第1細長いブロック体1の第1スリット25Aが、断面が縦長の長方形状の第1補強用リブ23よりも僅かに大きな縦長の長方形状の空間が形成されるスリットに形成され、第1スリット25Aが第1補強用リブ23に入り込んで係止する。また、第1細長いブロック体1の第2スリット25Bが、断面が縦長の長方形状の第1補強用リブ23よりも遥かに大きな台形状の空間が形成されるスリットに形成され、第2スリット25Bが第1補強用リブ23を覆うだけで第1補強用リブ23に係止しない。また、他方の第2細長いブロック体2の第1スリット26Aが、断面が縦長の長方形状の第2補強用リブ24よりも僅かに大きな台形状の空間が形成されるスリットに形成され、第1スリット25Aが第2補強用リブ24に入り込んで第1スリット25Aの上端部の狭い空間が第2補強用リブ24の上端部に係止する。また、第2細長いブロック体2の第2スリット26Bが、長手方向に大きな寸法を有する断面が横長の(断熱体2の長手方向に長い)長方形状の角型部分26bと角型部分26bの上端から上方に延びる台形状の台形部分26cとからなり、第2補強用リブ24よりも遥かに大きな形状に形成され、第2スリット26Bが第2補強用リブ24を覆うだけで第2補強用リブ24に係止しない。これら第1スリット25A又は26Aと第2スリット25B又は26Bとを、第1細長いブロック体1又は第2細長いブロック体2の長手方向において交互に備えている。
【0027】
従って、第1細長いブロック体1(又は第2細長いブロック体2)が、スリット25(又はスリット26)を備えることによって、第1細長いブロック体1又は第2細長いブロック体2を枡6〜14に収容する際に、第1細長いブロック体1(又は第2細長いブロック体2)がスリット25(又はスリット26)で折り曲げられてしなることができる。尚、
図2(b)の二点鎖線で第2細長いブロック体2がスリット26で折り曲げられてしなっている状態を示している。よって、第1細長いブロック体1又は第2細長いブロック体2にヒビや割れ等が発生し難く、枡6〜14に良好に収容することができる。
【0028】
また、第1細長いブロック体1又は第2細長いブロック体2を枡6〜14に収容すると、第1スリット25A又は26Aが、第1補強用リブ23又は第2補強用リブ24に係止することによって、細長い第1細長いブロック体1又は第2細長いブロック体2を型枠3に確実に保持させることができる。また、第1細長いブロック体1又は第2細長いブロック体2を枡6〜14に収容する際に、第2スリット25B又は26Bが第1補強用リブ23又は第2補強用リブ24に係止することがないから、第1細長いブロック体1又は第2細長いブロック体2を枡6〜14にスムーズに収容することができる。更に、第1スリット25A又は26Aと第2スリット25B又は26Bとを、第1細長いブロック体1又は第2細長いブロック体2の長手方向において交互に備えることによって、第1スリット25A又は26Aと第1補強用リブ23又は第2補強用リブ24との係止により第1細長いブロック体1又は第2細長いブロック体2を確実に型枠3に保持させながらも、第1細長いブロック体1又は第2細長いブロック体2を枡6〜14にスムーズに収容することができる。
【0029】
<第二実施形態>
次に、本発明に係るプラスチック製の型枠用の発泡性断熱体の第二の実施形態について、
図5〜
図8に基づいて説明する。第二実施形態の発泡性断熱体は、第一実施形態のものよりも左右幅の寸法及び高さ方向の寸法が共に大きく構成されている。
【0030】
図5は、7個の発泡性断熱体27,28を収容して断熱性を有するプラスチック製の型枠29を背面側から見た図を示している。型枠29が上下方向に長い縦長状であるため、
図5では、型枠29の上側半分のみを図示しており、下側半分も上側半分と同様である。
【0031】
型枠29は、コンクリート打設面30aを有する矩形状(長方形状)の平板部30と、コンクリート打設面30aとは反対側の背面30bの4辺に沿って設けられた周縁リブ31と、周縁リブ31で囲まれる内部を多数(ここでは7個)の細長い枡32,33,34,35,36,37,38に仕切るための多数(ここでは6枚)の仕切用リブ39,40,41,42,43,44とを備えている。左右幅方向両端に位置する2個の両端の第1枡32,38がほぼ同一の横幅(左右幅)を有し、残りの左右幅方向中間に位置する5個の第2枡33,34,35,36,37がほぼ同一の横幅(左右幅)を有している。第1枡32,38の横幅(左右幅)が、第2枡33,34,35,36,37の横幅(左右幅)よりも大きく設定されている。周縁リブ31と仕切用リブ39,40,41,42,43,44とが同一高さに構成されている。第一実施形態と同様に、以下において各枡32,33,34,35,36,37,38を一本の発泡性断熱体27又は28で埋めることができる長尺なものについて説明する。
【0032】
周縁リブ31は、4枚の板状のリブからなり、上側リブ31Aと、下側リブ(図示せず)と、左側リブ31Cと、右側リブ31Dとを備えている。そして、
図1に示すように、上側リブ31Aと、左側リブ31Cと、右側リブ31Dに、フックボルト及びクリップを取り付けるための多数の取付孔Hが形成されている。尚、図示していないが、下側リブにも取付孔が形成されている。
【0033】
左右方向両端に位置する2個の発泡性断熱体27のそれぞれは、第1枡32,38に収容される横幅(左右幅)を有する第1細長いブロック体から構成されている。残りの5個の発泡性断熱体28のそれぞれは、第2枡33,34,35,36,37に収容される同一の横幅(左右幅)を有する第2細長いブロック体から構成されている。第1細長いブロック体27の横幅(左右幅)が、第2細長いブロック体28の横幅(左右幅)よりも大きく設定されている。また、発泡性断熱体27,28は、ポリスチレン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、硬質ウレタン発泡体、フェノール発泡体、イソシアネート発泡体、エポキシ発泡体等を用いることができる。尚、発泡倍率は、適宜自由に変更できる。
【0034】
第1細長いブロック体27は、
図5、
図7(a),(b)及び
図8に示すように、長手方向両端に位置し、かつ、前記取付孔Hよりも低い高さを有する平板状の両端部分27A,27A(図では一方のみ図示している)と、両端部分27A,27Aの間に位置し、かつ、幅方向外側端から幅方向内側端に向かうほど高くなる傾斜面27Sを有する略三角形状の本体部27Bとを備えている。前記本体部27Bの長手方向両端に、長手方向中央に向うほど高くなる傾斜面27Rが形成されている。また、本体部27Bの左右幅方向内側端面27bが、仕切用リブ39又は44との間に隙間N2が形成されるように傾斜しており、その隙間N2に指を入れて本体部27Bの上端部を容易に掴むことができる。前記平板状の両端部分27A,27Aと本体部27Bにおける取付孔Hよりも低い部分27B1とを、周縁リブ31側に位置する外側部分とする。また、本体部1Bにおける取付孔Hから高い部分27B2を、周縁リブ31から離間する内側部分とする。
【0035】
第2細長いブロック体28は、
図5、
図6及び
図8に示すように、長手方向両端に位置し、かつ、前記取付孔Hよりも低い高さを有する平板状の両端部分28A,28A(図では一方のみ図示している)と、両端部分28A,28Aの間に位置し、両端部分28A,28Aよりも高く形成された角型状の本体部28Bとを備えている。前記本体部28Bの長手方向両端に、両端部分28A,28Aから上方に徐々に立ち上がる傾斜面28R,28R(図では一方のみ図示している)が形成されている。前記両端部分28A,28Aから、周縁リブ31側に位置する外側部分を構成している。また、前記本体部28Bから、周縁リブ31から離間する内側部分を構成している。
【0036】
また、第1細長いブロック体27及び第2細長いブロック体28が、周縁リブ31及び仕切用リブ39〜44から突出する高さに構成されている。これによって、断熱効果を高めることができながらも、枡32〜38からの発泡性断熱体27,28の取り出し作業を行い易い。発泡性断熱体27,28の取り出しは、発泡性断熱体を新たな発泡性断熱体に交換する時に行うことになるが、断熱を必要としない時期にも発泡性断熱体1,2を取り出しておくこともできる。
【0037】
前述したように、第1細長いブロック体27の左右幅が第2細長いブロック体28の左右幅よりも大きく設定されていることから、第1細長いブロック体27の本体部27Bの傾斜面27Sの角度を比較的緩やかに設定することができ、フックボルト及びクリップを取付孔Hへ確実に挿入することができるスペースMを確保することができる。従って、
図8に示すように、前記スペースMを利用することによって、左右方向で隣り合う型枠29,29の孔H,HにクリップKを容易かつ迅速に挿入することができ、両型枠29,29同士を迅速に連結することができる。しかも、平板状の両端部分27A,27Aを備えることによって断熱効果を発揮させながらも、略三角形状の本体部27Bによって幅方向外側端から幅方向内側端に向かうほど発泡性断熱体の厚みが厚くなり、断熱効果を高めることができる。
【0038】
型枠29には、左右方向で隣り合う周縁リブ31C又は31Dと仕切用リブ39又は44との間を長手方向で所定間隔置きに連結する多数(
図5では11個)の第1補強用リブ45と、左右方向で隣り合う仕切用リブ39,40又は41,42又は43,44同士間を長手方向で所定間隔置きに連結する多数(11個)の第2補強用リブ46(左から2番目のみに第2補強用リブ46を図示しているが、左から4番目と6番目とが同一であるため、左から4番目と6番目には第2補強用リブ46を図示していない)と、左右方向で隣り合う仕切用リブ40,41,42又は42,43同士間を長手方向で所定間隔置きに連結する多数(11個)の第3補強用リブ47(左から3番目のみに第3補強用リブ47を図示しているが、左から5番目が同一であるため、左から5番目には第3補強用リブ47を図示していない)とを備えている。第1補強用リブ45は、
図8に示すように、左右方向一端側に位置し仕切用リブ39,44の高さ付近まで立ち上がった一端部分45Aと、この一端部45Aから周縁リブ31まで同一高さで連結し仕切用リブ39,44及び周縁リブ31の高さ寸法よりも低い高さ(ここでは半分以下の高さ)に構成された本体部分45Bとを備えている。第2補強用リブ46は、左右方向両端に位置し仕切用リブ39,40の高さまで立ち上がった両端部分46A,46Aと、両端部分46A,46A間に位置し仕切用リブ39,40の高さよりも低い高さ(ここでは半分以下の高さ)に構成された中間部分46Bとを備えている。また、第3補強用リブ47は、左右方向両端に位置し仕切用リブ40,41の高さまで立ち上がった両端部分47A,47Aと、両端部分47A,47A間に位置し仕切用リブ40,41の高さよりも低い高さ(ここでは半分以下の高さ)に構成された中間部分47Bとを備えている。第2補強用リブ46と第3補強用リブ47とが同一構成であるため、以下において第2補強用リブ46についてのみ説明する。
【0039】
また、第1細長いブロック体27の底部及び第2細長いブロック体28の底部には、細長い枡32〜38に収容する際に折り曲げを容易にするための多数のスリット48,49が形成されている。各スリット48又は49は、細長いブロック体27又は28の左右幅方向に延びるように形成され、かつ、細長いブロック体27又は28の長手方向に所定間隔を置いて形成されている。各スリット48又は49は、第1補強用リブ45又は第2補強用リブ46に対応するように形成されている。また、各スリット48又は49は、第1補強用リブ45又は第2補強用リブ46に係止する第1スリット48A又は49Aと、第1補強用リブ45又は第2補強用リブ46に係止しない第2スリット48B又は49Bとを備えている。
【0040】
換言すれば、第1スリット48A又は49Aが第1補強用リブ45又は第2補強用リブ46に係止するように、第1スリット48A又は49Aの細長いブロック体の長手方向における寸法が第1補強用リブ45又は第2補強用リブ46の細長いブロック体の長手方向における寸法よりも僅かに大きな寸法に構成されている。具体的には、
図7(a),(b)に示すように、一方の第1細長いブロック体の第1スリット48Aが、断面が縦長の長方形状の第1補強用リブ45よりも僅かに大きな縦長の台形状の空間が形成されるスリットに形成され、第1スリット48Aが第1補強用リブ45に入り込んで第1スリット48Aの上端部と第1補強用リブ45の上端部とが係止する。また、第1細長いブロック体27の第2スリット48Bが、長手方向に大きな寸法を有する断面が横長の(断熱体27の長手方向に長い)長方形状の角型部分48bと角型部分48bの上端から上方に延びる台形状の台形部分48cとからなり、第2スリット48Bが第1補強用リブ45を覆うだけで第1補強用リブ45に係止しない。他方の第2細長いブロック体28の第1スリット49Aが、断面が縦長の長方形状の第2補強用リブ46よりも僅かに大きな台形状の空間が形成されるスリットに形成され、第1スリット49Aが第2補強用リブ46に入り込んで第1スリット49Aの上端部の狭い空間が第2補強用リブ46の上端部に係止する。また、第2細長いブロック体28の第2スリット49Bが、長手方向に大きな寸法を有する断面が横長の(断熱体28の長手方向に長い)長方形状の角型部分49bと角型部分49bの上端から上方に延びる台形状の台形部分49cとからなり、第2補強用リブ46よりも遥かに大きな形状に形成され、第2スリット49Bが第2補強用リブ46を覆うだけで第2補強用リブ46に係止しない。これら第1スリット48A又は49Aと第2スリット48B又は49Bとが、第1細長いブロック体27又は第2細長いブロック体28の長手方向において交互に備えている。尚、
図6において、右から9番目の第2スリット49Bの角型部分49bが長手方向に他の第2スリット49Bの角型部分49bよりも大きな寸法になっている。
【0041】
従って、第1細長いブロック体27(又は第2細長いブロック体28)が、スリット48(又はスリット49)を備えることによって、第1細長いブロック体27又は第2細長いブロック体28を枡32〜38に収容する際に、第1細長いブロック体27(又は第2細長いブロック体28)がスリット48(又はスリット49)で折り曲げられてしなることができる(
図2(b)と同様であるため、図示していない)。よって、第1細長いブロック体27又は第2細長いブロック体28にヒビや割れ等が発生し難く、枡39〜44に良好に収容することができる。
【0042】
また、第1細長いブロック体27又は第2細長いブロック体28を枡39〜44に収容すると、第1スリット48A又は49Aが、第1補強用リブ45又は第2補強用リブ46に係止することによって、細長い第1細長いブロック体27又は第2細長いブロック体28を型枠29に確実に保持させることができる。また、第1細長いブロック体27又は第2細長いブロック体28を枡39〜44に収容する際に、第2スリット48B又は49Bが第1補強用リブ45又は第2補強用リブ46に係止することがないから、第1細長いブロック体27又は第2細長いブロック体28を枡39〜44にスムーズに収容することができる。更に、第1スリット48A又は49Aと第2スリット48B又は49Bとを、第1細長いブロック体27又は第2細長いブロック体28の長手方向において交互に備えることによって、第1スリット48A又は49Aと第1補強用リブ45又は第2補強用リブ46との係止により第1細長いブロック体27又は第2細長いブロック体28を確実に型枠29に保持させながらも、第1細長いブロック体27又は第2細長いブロック体28を枡39〜44にスムーズに収容することができる。
【0043】
また、第2細長いブロック体28の底部の左右中央部に、長手方向に連続する凹溝28Mが形成されており、第2細長いブロック体28の軽量化を図ることができる。また、第2細長いブロック体28の底部に凹溝28Mを形成することによって、平板部30の上面に断熱体の長手方向に沿って突出形成されているリブ50,51(
図5、
図8参照)を凹溝28M内に収容して第2細長いブロック体28の底部がリブ50,51に当接することを回避できる。
【0044】
尚、本発明は、上記2つの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0045】
前記第二実施形態では、第2細長いブロック体28の底部に凹溝28Mを形成したが、凹溝を省略し、第2細長いブロック体28の底部をフラットに形成してもよい。
【0046】
また、前記第一及び第二実施形態では、第1細長いブロック体1,27を断面が三角形状に構成したが、台形状や階段状などどのような形状に構成してもよい。つまり、取付孔Hへのフックボルト及びクリップの挿入を許容できる形状であれば、第1細長いブロック体の形状は自由に変更できる。
【0047】
また、前記第一及び第二実施形態で示した発泡性断熱体の数や大きさ等は、型枠に合わせて変更することができる。