(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、ここで提案される手摺りを図面に基づいて説明する。以下の図面において同じ作用を奏する部材や部位には、同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化している。
【0017】
図1は、実施形態に係る手摺り10の平面図である。
図2は、実施形態に係る手摺り10の正面図である。
図3は、実施形態に係る手摺り10の右側面図である。手摺り10は、
図1から
図3に示すように、ベース部としてのベース部材100と、手摺り本体150と、浮き上がり防止部としての浮き上がり防止部材700とを備えている。以下、先ず、ベース部材100について説明し、その後、手摺り本体150、浮き上がり防止部材700の順で説明する。
【0018】
ベース部材100は、
図2に示すように、手摺り10の土台となる部材である。
図4は、ベース部材100の平面図である。
図5は、ベース部材100の底面図である。
図6は、
図4のVI−VI断面における断面図である。
図4に示すように、ベース部材100は、平板状の部材によって形成されている。
図1から
図6に示された例では、ベース部材100の平面形状は、略長方形状である。また、ベース部材100の角は丸くなっている。なお、以下の説明において、ベース部材100の長辺に沿った方向を前後方向とし、ベース部材100の短辺に沿った方向を左右方向としている。ただし、各方向は説明の便宜上定められたものであり、本発明を特に限定するものではない。また、各図面において、符号F、Rr、LおよびRは、それぞれ手摺り10の前、後、左および右を表している。本実施形態では、ベース部材100は、
図4から
図6に示すように、ベース板101と、ベースマット102と、補強板103と、縁ゴム104とによって構成されている。
【0019】
ベース板101は、ベース部材100と略同形状の平板状の部材である。
図6に示すように、ベース板101の周縁部から内側の位置Aまでの部位は、ベース板101の全周に亘って、下側に折れ曲がっている。ベースマット102は、ベース板101の上面に配置されている。ベースマット102は、ベース板101よりも一回り小さい形状を有している。ベースマット102は、ベース板101の縁が露出するようにベース板101上に配置されている。補強板103は、
図5に示すように、ベース板101の下側に折れ曲がった周縁部を除いた部位の下面の中央部分から後部に亘って配置されている。ここでは、補強板103は、略矩形状の部材である。補強板103は、例えば、鉄製の板である。補強板103の厚みは、例えば、1.5mm〜8mm程度(本実施形態では6mm)である。縁ゴム104は、ベース板101の縁に沿って取り付けられている。
図6に示すように、ベースマット102および縁ゴム104をベース板101に取り付けたとき、縁ゴム104の上部と、ベースマット102の上部とは連続している。また、縁ゴム104は、ベース板101の縁に向かうに連れて厚みが薄くなっている。このことによって、例えば、使用者が手摺り10を使用する際、使用者の足がベース部材100の縁で躓いて怪我をしにくくすることができる。
【0020】
ベース部材100は、
図4に示すように、第1取付部100aと、第2取付部100bと、浮き上がり防止用取付部100c、100dとを備えている。
【0021】
第1取付部100aおよび第2取付部100bには、
図1に示すように、手摺り本体150が取り付けられる。第1取付部100aは、
図4に示すように、ベース部材100の中央部分の左側に設けられている。本実施形態では、第1取付部100aとして、ベース部材100には、複数(ここでは、2つ)の締結孔110Lが形成されている。2つの締結孔110Lのうち一方は、ベース部材100の前後方向の中心よりも若干後側の左側に形成されている。2つの締結孔110Lのうち他方は、一方の締結孔110Lよりも前方かつ右方に形成されている。
【0022】
第2取付部100bは、ベース部材100の中央部分の右側に設けられている。本実施形態では、第2取付部100bとして、ベース部材100には、複数(ここでは、2つ)の締結孔110Rが形成されている。2つの締結孔110Rのうち一方は、ベース部材101の前後方向の中心よりも若干後側の右側に形成されている。2つの締結孔110Rのうち他方は、一方の締結孔110Rよりも前方かつ左方に形成されている。
【0023】
浮き上がり防止用取付部100c、100dには、浮き上がり防止部材700が取り付けられる。浮き上がり防止用取付部100cは、ベース部材100の後部の左側に設けられている。浮き上がり防止用取付部100dは、ベース部材100の後部の右側に設けられている。
図1では、右側の浮き上がり防止用取付部100dに浮き上がり防止部材700が設けられている。しかし、左側の浮き上がり防止用取付部100cに浮き上がり防止部材700が設けられていてもよい。本実施形態では、浮き上がり防止用取付部100c、100dとして、
図4に示すように、ベース部材100の後部の左側および右側には、それぞれ複数(ここでは、2つ)の締結孔111L、111Rが形成されている。2つの締結孔111Lおよび2つの締結孔111Rは、それぞれ前後方向に並んでいる。
【0024】
ここでは、ベース部材100の締結孔110L、110R、111L、111Rは、
図6に示すように、ベース板101および補強板103に貫通するように形成されている。締結孔110L、110Rの補強板103の部分には、ねじ溝110L1、110R1が形成されている。同様に、図示は省略するが、締結孔111L、111Rの補強板103の部分には、ねじ溝が形成されている。また、ベースマット102には、
図4に示すように、ベース部材100の2つの締結孔110Lを囲むように切り欠き113Lが形成されている。同様に、ベースマット102には、ベース部材100の2つの締結孔110Rを囲むように切り欠き113Rが形成されている。切り欠き113L、113Rは、略L字状に開口している。また、ベースマット102には、ベース板101の2つの締結孔111Lを囲むように、切り欠き114Lが形成されている。同様に、ベースマット102には、ベース板101の2つの締結孔111Rを囲むように、切り欠き114Rが形成されている。切り欠き114L、114Rは、略惰円形状に開口している。
【0025】
次に、手摺り本体150について説明する。手摺り本体150は、
図1に示すように、第1支柱200と、第2支柱300と、第1手摺り部400と、第2手摺り部500と、連結部600とを備えている。以下、先ず、第1支柱200および第2支柱300について説明し、その後、第1手摺り部400、第2手摺り部500、連結部600の順に説明する。
【0026】
第1支柱200は、
図2に示すように、ベース部材100から上方に向かって延びた支柱である。第2支柱300は、第1支柱200から離れた位置において、ベース部材100から上方に向かって延びた支柱である。第1支柱200および第2支柱300は、長さを調節することが可能である。この長さ調節の機構に関しては後述する。ここでは、第1支柱200は、
図1に示すように、ベース部材100の中央部分の左側に設けられた第1取付部100aに取り付けられている。第2支柱300は、ベース部材100の中央部分の右側に設けられた第2取付部100bに取り付けられている。ここでは、第1支柱200および第2支柱300の基端200a、300aには、フランジ210、310が設けられている。
【0027】
図7は、手摺り10の平面図である。なお、
図7では、ベース部材100に、第1支柱200の下部および第2支柱300の下部が取り付けられた状態を示している。フランジ210は、
図7に示すように、第1支柱200の基端200aから後方へ延び、かつ、第1支柱200の基端200aから右方へ延びている。ここでは、フランジ210は、第1支柱200の基端200aに溶接されている。フランジ210は、ベースマット102に形成された切り欠き113Lに合致するように、略L字状の形状を有している。フランジ210におけるベース部材100に形成された締結孔110L(
図4参照)に対応する位置には、締結孔211が形成されている。ここでは、フランジ210がベースマット102の切り欠き113L内に配置されるようにして、第1支柱200はベース板101上に配置される。このとき、フランジ210の締結孔211と、ベース部材100の締結孔110L(
図6参照)とは重なる。このような状態において、ねじ230を上からフランジ210の締結孔211、ベース部材100の締結孔110Lに順に挿入する。ねじ230をベース部材100の締結孔110Lに挿入したとき、締結孔110Lの補強板103の部分に形成されたねじ溝110L1(
図6参照)と、ねじ230とが係合する。このことで、第1支柱200は、ベース部材100に締結され、ベース部材100に取り付けられる。本実施形態では、
図2に示すように、第1支柱200のフランジ210を覆うように、フランジカバー212が設けられている。フランジカバー212は、フランジ210に対応した形状、すなわち、略L字状の形状を有している。フランジカバー212には、第1支柱200の下部が挿入される挿入孔(図示せず)が形成されている。
【0028】
なお、フランジ310は、第1支柱200の基端200aに設けられたフランジ210と同様の構成をしている。例えば、フランジ310は、第2支柱300の基端300aから後方へ延び、かつ、第2支柱300の基端300aから左方に延びている。フランジ310は、ベースマット102に形成された切り欠き113Rに合致するように、略L字状の形状を有している。フランジ310には、ベース部材100に形成された締結孔110R(
図4参照)に対応する位置に、締結孔311が形成されている。そして、フランジ310は、ねじ330によって、ベース部材100に取り付けられている。また、第1支柱200のフランジ210と同様に、フランジ310には、フランジ310を覆うようにして、略L字状の形状を有するフランジカバー312が設けられている。ここでは、第1支柱200および第2支柱300をベース部材100に上から取り付けることができる。そのため、第1支柱200および第2支柱300と、ベース部材100との取り付けおよび取り外しが容易である。
【0029】
次に、第1手摺り部400について説明する。第1手摺り部400は、
図3に示すように、ベース部材100から60cm以上100cm以下、好ましくは70cm以上85cm以下の高さH1において、第1支柱200と第2支柱300とに架設されている。ここで、ベース部材100から第1手摺り部400までの高さH1は、側面視におけるベース部材100の下面と直交する方向において、ベース部材100の下面(換言すると、縁ゴム104の最下点)から第1手摺り部400の最上点までの高さである。ここでは、
図2に示すように、第1手摺り部400は、第1支柱200の上端と第2支柱300の上端とに架け渡されている。第1手摺り部400の左側の端部は、第1支柱200の上部と繋がっている。また、第1手摺り部400の右側の端部は、第2支柱300の上部と繋がっている。
【0030】
第1手摺り部400は、
図1に示すように、中空の棒状の形状を有している。ここでは、第1手摺り部400は、略直線状に形成されている。
図8は、
図1のVIII−VIII断面における断面図であり、第1手摺り部400の断面図が示されている。
図8に示すように、第1手摺り部400は、底部に平らな面400aを有している。第1手摺り部400の頂部400bは、前側に偏っている。頂部400bは、R状に形成されている。そして、頂部400bから後方かつ下方になだらかな凸曲面400cが設けられている。この凸曲面400cの下端と底部の平らな面400aとは、後部のR形状の部位400eを介して連続している。また、頂部400bの前側には、略垂直に下方に延びた面400dが設けられている。この面400dの下端と底部の平らな面400aとは、前部のR形状の部位400fを介して連続している。
【0031】
次に、第2手摺り部500について説明する。第2手摺り部500は、
図1に示すように、第1支柱200および第2支柱300から離れた位置において第1手摺り部400に沿って延びている。ここでは、第2手摺り部500は、連結部600を介して、第1手摺り部400と連結している。
図3に示すように、ベース部材100から第2手摺り部500までの高さH2は、60cm以上100cm以下、好ましくは70cm以上85cm以下である。ここで、ベース部材100から第2手摺り部500までの高さH2は、ベース部材100の上面と直交する方向において、ベース部材100の上面から第2手摺り部500の最下点までの高さである。
【0032】
ここでは、ベース部材100から第2手摺り部500までの高さH2は、ベース部材100から第1手摺り部400までの高さH1と同じである。しかし、ベース部材100から第2手摺り部500までの高さH2と、ベース部材100から第1手摺り部400までの高さH1とは、異なっていてもよい。ベース部材100から第2手摺り部500までの高さH2は、ベース部材100から第1手摺り部400までの高さH1よりも高くてもよいし、低くてもよい。すなわち、第2手摺り部500は、第1手摺り部400よりも高い位置に設けられていてもよいし、第1手摺り部400よりも低い位置に設けられていてもよい。
【0033】
第2手摺り部500は、
図1に示すように、中空の棒状の形状を有している。ここでは、第2手摺り部500は、略直線状に形成されている。ここでは、第2手摺り部500は、第1手摺り部400と略平行になるように配置されている。なお、第2手摺り部500では、断面が略円形状である。しかし、第2手摺り部500は、第1手摺り部400と同様の形状であってもよい。例えば、第2手摺り部500は、第1手摺り部400と同様に、底部に平らな面を有していてもよい。
【0034】
平面視において、第1支柱200の基端200aの中心C1と、第2支柱300の基端300aの中心C2とを結ぶ線L1と、ベース部材100に投影される第2手摺り部500との距離D1は、5cm以上15cm以下、例えば、10cm程度(本実施形態では、11cm)である。このことによって、
図3に示すように、ベース部材100と第2手摺り部500との間には、所望の空間Bが設けられている。ここで、距離D1は、
図1に示すように、第1支柱200の基端200aの中心C1と、第2支柱300の基端300aの中心C2とを結ぶ線L1と直交する方向において、線L1と、ベース部材100に投影される第2手摺り部500のうち線L1に近い端との距離である。なお、ここで、第1支柱200の基端200aおよび第2支柱300の基端300aとは、第1支柱200および第2支柱300にフランジ210、310を設けた状態における、フランジ210、310の上面に対応した第1支柱200および第2支柱300の位置のことである。
【0035】
平面視において、第1手摺り部400と第2手摺り部500との距離D2は、5cm以上15cm以下、例えば、10cm程度(本実施形態では、8cm)である。ここで、第1手摺り部400と第2手摺り部500との距離D2は、第1手摺り部400の第2手摺り部500側の面から第2手摺り部500の第1手摺り部400側の面までの距離である。詳しくは、距離D2は、平面視において、第1手摺り部400の長さ方向と直交する方向において、第1手摺り部400の第2手摺り部500側の面から第2手摺り部500の第1手摺り部400側の面までの距離である。
【0036】
連結部600は、第1支柱200または第2支柱300と、第2手摺り部500とに架設されている。ここでは、連結部600は、第1連結部601と、第2連結部602と、第3連結部603とを備えている。第1連結部601は、第1手摺り部400の第1支柱200側の一端と、第2手摺り部500の第1支柱200側の一端とに架設されている。第1連結部601は、第1手摺り部400を介して、第1支柱200と、第2手摺り部500とに架設されている。
【0037】
第2連結部602は、第1手摺り部400の第2支柱300側の一端と、第2手摺り部500の第2支柱300側の一端とに架設されている。第2連結部602は、第1手摺り部400を介して、第2支柱300と、第2手摺り部500とに架設されている。
【0038】
ここでは、第1連結部601および第2連結部602は、曲線状の筒形状を有している。第1連結部601は、平面視において、第1手摺り部400の第1支柱200側の一端と、第2手摺り部500の第1支柱200側の一端とを結ぶ直線L11よりも外側に湾曲している。同様に、第2連結部602は、平面視において、第1手摺り部400の第2支柱300側の一端と、第2手摺り部500の第2支柱300側の一端とを結ぶ直線L12よりも外側に湾曲している。なお、第1連結部601および第2連結部602は、上側および下側には湾曲していない。ここでは、第1手摺り部400、第1連結部601、第2手摺り部500および第2連結部602は、環状に連結している。
【0039】
第3連結部603は、第1手摺り部400の中央部と第2手摺り部500の中央部とに架設されている。ここでは、第3連結部603と、第1手摺り部400と、第2手摺り部500とは連続している。第3連結部603は略直線状の形状を有している。第3連結部603は、平面視において、第1手摺り部400および第2手摺り部500と略直交している。
【0040】
本実施形態では、第1手摺り部400と第1連結部601と第2手摺り部500と第3連結部603とによって囲まれることで、空間B1が形成されている。また、第1手摺り部400と第2連結部602と第2手摺り部500と第3連結部603とによって囲まれることで、空間B2が形成されている。
【0041】
第1手摺り部400、第2手摺り部500、第1連結部601、第2連結部602および第3連結部603の少なくとも表面は、柔らかい樹脂によって形成されている。この樹脂とは、弾性力が大きい材質の樹脂、例えば、エラストマーによって形成されている。このことによって、使用者は、第1手摺り部400、第2手摺り部500、第1連結部601、第2連結部602および第3連結部603を手で握る際、滑りにくくなる。
【0042】
次に、本実施形態における手摺り本体150の第1支柱200および第2支柱300の構造をより詳細に説明する。
図9は、手摺り本体150を分解した正面図である。
図9に示すように、手摺り本体150は、上側部材151と、中間部材152と、下側部材153とによって構成されている。以下、上側部材151、中間部材152、下側部材153の順に説明する。
【0043】
上側部材151では、上述した第1手摺り部400、第1連結部601、第2手摺り部500および第2連結部602によって環状に連結した部材に、第1支柱200の上部201と、第2支柱300の上部301とが連続している。第1支柱200の上部201は、第1手摺り部400の第1連結部601側の端部から下方に向かって延びている。第2支柱300の上部301は、第1手摺り部400の第2連結部602側の端部から下方に向かって延びている。本実施形態では、第1支柱200の上部201の下端、および、第2支柱300の上部301の下端には、下方に突出した突起201a、301aが設けられている。
【0044】
中間部材152は、第1支柱200の中間部202と、第2支柱300の中間部302と、上側架設部221と、下側架設部222とによって構成されている。第1支柱200および第2支柱300の中間部202、302は、略円筒状に形成されている。ここでは、第1支柱200の中間部202の上端、および、第2支柱300の中間部302の上端には、上方に突出した突起202a、302aが設けられている。中間部材152と上側部材151とは、取付部材205、305を介して、互いに取り付けられている。
【0045】
取付部材205、305は、円筒状の部材である。ここでは、第1支柱200の上部201の下端に設けられた突起201aが、取付部材205の上部に嵌る。そして、第1支柱200の中間部202の上端に設けられた突起202aが、取付部材205の下部に嵌る。同様に、取付部材305の上端には、第2支柱300の上部301の突起301aが嵌り、下端には、第2支柱300の中間部302の突起302aが嵌る。
【0046】
上側架設部221および下側架設部222は、円筒または円柱形状を有している。上側架設部221は、第1支柱200の中間部202および第2支柱300の中間部302と略直交するように、中間部202の上部と中間部302の上部とに架設されている。下側架設部222は、上側架設部221の下方において、第1支柱200の中間部202の中央部分と第2支柱300の中間部302の中央部分とに架設されている。上側架設部221と下側架設部222とは、互いが略平行となるように配置されている。本実施形態では、第1支柱200の中間部202と、第2支柱300の中間部302と、上側架設部221と、下側架設部222とは、一体的に形成されている。なお、中間部202と中間部302とに架設されている架設部は、2つであるが、3つ以上であってもよいし、1つ以下であってもよい。
【0047】
第1支柱200の中間部202および第2支柱300の中間部302における下側架設部222よりも下方の部位には、それぞれ長さ方向に並ぶように、複数(ここでは、それぞれ4つ)の調節溝220、320が形成されている。4つの調節溝220および4つの調節溝320は、それぞれ中間部202、302の周方向に沿って形成されている。第1支柱200の中間部202の複数の調節溝220の各々と、第2支柱300の中間部302の複数の調節溝320の各々とは、略同じ高さの位置に形成されている。ここでは、4つの調節溝220および4つの調節溝320は、互いに等間隔に並んでいるが、その間隔は特に限定されない。また、調節溝220、320の数も特に限定されない。本実施形態では、中間部材152の下端には、下側部材153が接続されている。
【0048】
下側部材153は、第1支柱200の下部を構成する第1支柱200の下部部材203と、第2支柱300の下部を構成する第2支柱300の下部部材303とによって構成されている。第1支柱200の下部部材203および第2支柱300の下部部材303は、略円筒状に形成されている。ここでは、第1支柱200の下部部材203および第2支柱300の下部部材303の内径は、第1支柱200の中間部202および第2支柱300の中間部302の外径よりも若干大きい。第1支柱200の中間部202は、第1支柱200の下部部材203の上端から下部部材203に挿入されている。同様に、第2支柱300の中間部302は、第2支柱300の下部部材303の上端から下部部材303に挿入されている。第1支柱200の下部部材203および第2支柱300の下部部材303は、ベース部材100から上方に向かって延びている。
【0049】
中間部材152と下側部材153とは、取付部材206、306および位置決め部材207、307によって互いに取り付けられている。
図10は、第1支柱200の縦断面図であり、第1支柱200の中間部202と第1支柱200の下部を構成する第1支柱200の下部部材203との取り付け構造を示している。なお、ここでは、第1支柱200と第2支柱300とは、互いに対応した構造をしている。そのため、
図10では、括弧内には、第1支柱200の各部品および部位に対応した第2支柱300の各部品および部位の符号が付されている。
図10に示すように、位置決め部材207、307は、略筒状に形成されている。位置決め部材207、307は、周方向に略等間隔で、上端から中央部分に向かって切り欠けられている。このことによって、位置決め部材207、307の上部は、外からの力が加えられると内側に撓むようになる。また、位置決め部材207、307の上部の内面には、それぞれ突起220a、320aが設けられている。位置決め部材207の突起220aは、第1支柱200の中間部202に形成された複数の調節溝220の何れかの溝に嵌る。位置決め部材307の突起320aは、第2支柱300の中間部302に形成された調節溝320の何れかの溝に嵌る。また、位置決め部材207、307の内面の中央部分には、それぞれ段差部220b、320bが設けられている。段差部220b、320bは、上側よりも下側の方が径が大きく、周方向に連続している。この段差部220b、320bの下側には、それぞれ第1支柱200および第2支柱300の下部部材203、303の上端が当接する。また、位置決め部材207、307の段差部220b、320bの下側に対応する位置決め部材207、307の外周面には、ねじ溝220c、320cが形成されている。位置決め部材207、307には、それぞれ取付部材206、306が被せられる。
【0050】
取付部材206、306は、それぞれ位置決め部材207、307よりも一回り大きい形状を有している。取付部材206、306の内面には、ねじ溝225、325が形成されている。このねじ溝225、325は、位置決め部材207、307のねじ溝220c、320cに係合する。
【0051】
取付部材206、306を位置決め部材207、307に被せて締め合わせた際、位置決め部材207、307が取付部材206、306に締め付けられる。このとき、位置決め部材207の突起220aが第1支柱200の中間部202に形成された複数の調節溝220の何れかの溝に嵌る。このことによって、第1支柱200の中間部202と第1支柱200の下部部材203とが固定される。また、詳しい説明は省略するが、同様に、位置決め部材307と取付部材306によって、第2支柱300の中間部302と第2支柱300の下部部材303とが固定される。なお、本実施形態では、第1支柱200の中間部202と第2支柱300の中間部302とは、上側架設部221および下側架設部222を介して、一体的に動くことが可能である。第1支柱200および第2支柱300は、上下方向すなわち長さ方向の長さを4段階で変更することが可能である。そのため、第1手摺り部400および第2手摺り部500の高さを4段階で調節することが可能である。
【0052】
次に、浮き上がり防止部材700について説明する。浮き上がり防止部材700は、
図1に示すように、ベース部材100が浮き上がることを防止する部材である。ここでは、浮き上がり防止部材700は、ベッドの側縁などの固定部材に取り付けられることによって、手摺り10のベース部材100が浮き上がることを防止する。浮き上がり防止部材700は、第1手摺り部400を基準にして第2手摺り部500とは反対側に設けられている。浮き上がり防止部材700は、ベース部材100の後部の左側または右側に配置させることができる。ここでは、浮き上がり防止部材700がベース部材100の後部の右側に配置されている場合について説明する。なお、浮き上がり防止部材700は、省略することが可能である。
【0053】
図11は、浮き上がり防止部材700の平面図である。
図12は、浮き上がり防止部材700の正面図である。
図13は、浮き上がり防止部材700の左側面図である。
図14は、浮き上がり防止部材700の右側面図である。浮き上がり防止部材700は、
図11から
図14に示すように、ガイド支柱701と、スライド部材702と、狭持部材707とを備えている。
【0054】
ガイド支柱701は、
図3に示すように、ベース部材100から上方へ延びている。ここでは、ガイド支柱701は、略角柱形状を有している。ガイド支柱701の下端には、
図14に示すように、フランジ711が設けられている。
【0055】
フランジ711は、ガイド支柱701の下端から前方および後方へ延びている。フランジ711は、
図11に示すように、ベースマット102の切り欠き114Rに合致した形状を有している。また、フランジ711には、ベース部材100の右側に形成された複数の締結孔111Rに対応する位置に、複数(ここでは2つ)の締結孔711aが前後方向に並ぶように形成されている。
【0056】
ここでは、ガイド支柱701の下端に設けられたフランジ711を、ベースマット102の後部の右部に形成された切り欠き114R(
図9参照)内に配置するようにして、ガイド支柱701をベース板101上に配置する。このとき、フランジ711に形成された締結孔711aと、ベース部材100に形成された締結孔111R(
図4参照)とが重なる。このような状態において、ねじ770を上からフランジ711の締結孔711a、ベース部材100の締結孔111Rの順に挿入する。ねじ770を締結孔111Rの補強板103の部分に挿入したとき、ねじ770と、締結孔111Rの補強板103の部分に形成されたねじ溝(図示せず)とが係合する。このことで、ガイド支柱701は、ベース部材100に締結され、ベース部材100に取り付けられる。その後、フランジ711を覆うように、フランジカバー712をベース部材100に装着する。フランジカバー712は、フランジ711に対応した形状を有している。
【0057】
スライド部材702は、
図12に示すように、ガイド支柱701に対して上下方向に移動可能なものである。スライド部材702は、ガイド支柱701にスライド可能なように取り付けられており、任意の箇所でガイド支柱701に固定される。ここでは、スライド部材702は、スライド筒715と、スライド板716とを備えている。
図11に示すように、スライド筒715は、ガイド支柱702に合致した形状に形成されている。スライド筒715は、ガイド支柱702の外周形状に対応した形状を有している。ここでは、スライド筒715のベース部材100の側縁と反対側の面(
図11では、左面)には、締結孔(図示せず)が形成されている。この締結孔の内面には、ねじ溝が形成されている。ここでは、スライド筒715をガイド支柱702に挿入し、ねじ720をスライド筒715の上記締結孔にねじ込む。そして、ねじ720の先端をガイド支柱701に当接させる。これによって、スライド部材702は、ガイド支柱701に固定される。スライド筒715のベース部材100の側縁側の面(
図11では、右面)には、スライド板716が設けられている。
【0058】
スライド板716は、
図13に示すように、スライド筒715から前後方向に延びた板状の部材である。ここでは、スライド板716の前端部および後端部には、それぞれ上下方向に並んだ2つの固定孔(図示せず)が形成されている。これら固定孔には、ねじ溝が形成されている。なお、スライド板716のベース部材100の側縁側の面は、パット(図示せず)で覆われている。このパットは、摩擦力が大きい材質で形成されているとよい。
【0059】
狭持部材707は、
図12に示すように、ベッドの側縁などの固定部材5aを狭持するための部材である。狭持部材707は、スライド部材702のスライド板716の前部および後部に設けられており、スライド部材702と共にガイド支柱701に対して上下方向に移動する。本実施形態では、狭持部材707は、支持部703、704と、狭持部705、706とによって構成されている。
【0060】
支持部703は、
図13に示すように、スライド部材702のスライド板716の前部に取り付けられている。支持部704は、スライド板716の後部に取り付けられている。ここでは、支持部703、704は、
図12に示すように、支持板731、741と、ガイド板732、742とを備えている。支持板731、741は、上下方向に延びた略板状の部材である。支持板731、741には、
図13に示すように、それぞれ上下方向に並んだ2つの固定孔735、745が形成されている。ここでは、支持板731、741は、
図11に示すように、スライド板716のベース部材100の側縁とは反対側の面に配置される。このとき、支持板731、741の固定孔735、745は、それぞれ上述したスライド板716の固定孔(図示せず)と重なる。このような状態において、
図13に示すように、ねじ736、746が、固定孔735、745およびスライド板716の固定孔に挿入される。このようにして、支持板731、741は、それぞれスライド部材702のスライド板716に固定される。ここでは、支持板731、741の下端には、ガイド板732、742が連続している。
【0061】
ガイド板732、742は、
図12に示すように、支持板731、741と略直交するように支持板731、741の下端から、スライド部材702のスライド板716の下方を通り、ベース部材100の側縁の方向に向かって延びている。このとき、ガイド板732、742の先端は、
図11に示すように、ベース部材100よりも外方(ここでは、ベース部材100の右方)に位置する。
【0062】
狭持部705は、前側の支持部703のガイド板732にスライド可能に取り付けられている。狭持部706は、後側の支持部704のガイド板742にスライド可能に取り付けられている。狭持部705、706は、それぞれガイド板732、742に沿って移動可能である。詳しくは、狭持部705、706は、
図14に示すように、それぞれ係合筒751、761と、狭持板752、762とを備えている。係合筒751、761は、支持部703、704のガイド板732、742に装着される。ここでは、
図13に示すように、係合筒751、761の後面には、ねじ溝を有する孔753、763が形成されている。本実施形態では、係合筒751、761の孔753、763にねじ755、765をねじ込む。そして、ねじ755、765の先端をガイド板732、742に当接させることによって、狭持部705、706が支持部703、704に固定される。
【0063】
狭持板752、762は、係合筒751、761から上方に延びた板状のものである。狭持板752、762のスライド部材702のスライド板716側の面は、摩擦力が大きいパット(図示せず)で覆われている。
図12に示すように、狭持板752、762と、スライド部材702のスライド板716との間には、ベッドの側縁などの固定部材5aが配置される。ここでは、狭持板752、762を支持部703、704のガイド板732、742に沿って移動させることによって、固定部材5aの厚みに応じて、狭持板752、762と、スライド部材702のスライド板716との間隔を調節する。そして、狭持板752、762と、スライド部材702のスライド板716との間に固定部材5aを狭持させる。このことによって、浮き上がり防止部材700は、固定部5aに固定される。そのため、浮き上がり防止部材700によって、ベース部材100が浮きがることを防止する。また、浮き上がり防止部材700によって、ベース部材100が固定部材5aと直交する方向に移動することを防止することができる。
【0064】
次に、手摺り10の使用例について説明する。本実施形態に係る手摺り10は、主に高齢者および身障者などのいわゆる要介護者などの使用者が使用するものである。要介護者は、手足などが不自由な場合、ベッドからトイレに行くことが困難な場合がある。そのため、要介護者が使用するベッドの脇には、ポータブルトイレが置かれることがある。本実施形態の手摺り10は、壁などに固定される手摺りではなく、移動可能な手摺りである。
図15は、手摺り10の使用例を示す図であり、手摺り10を室内に配置した状態を示す図である。手摺り10の使用態様は特に限定されないが、手摺り10は、例えば、
図15に示すように、ベッド5とポータブルトイレ7とが配置された室内に設置される。手摺り10は、使用者がベッド5から立ち上がる際、または、ベッド5からポータブルトイレ7に移乗する際に使用される。
【0065】
この場合、例えば、手摺り10は、ベッド5の側縁5aと、第1手摺り部400とが直交するようにベッドの脇に配置されるとよい。ここでは、手摺り10の右方にベッド5が配置されているが、手摺り10の左方にベッド5が配置されていてもよい。この場合、浮き上がり防止部材700は、ベース部材100の後部の左側に配置される。また、第2手摺り部500と向かい合う位置、すなわち、手摺り10の前方に、ポータブルトイレ7が配置されているとよい。ただし、ポータブルトイレ7は、手摺り10におけるベッド5の反対側に配置されていてもよい。このように手摺り10を配置したとき、
図14に示すように、浮き上がり防止部材700のスライド部材702のスライド板716と、狭持部705の狭持板752との間、および、スライド板716と狭持部706の狭持板762との間には、ベッド5の側縁5aが挟まれている。このことによって、手摺り10は、ベッド5の側縁5aによって固定されているため、ベース部材100が浮き上がることを防止することができる。よって、安定した状態で手摺り10を使用することができる。なお、本実施形態では、スライド部材702をガイド支柱701に対して上下方向にスライドさせることができる。このことによって、ベッド5の側縁5aの高さに応じて、側縁5aを挟むスライド部材702のスライド板716、および、狭持部705、706の狭持板752、762の高さを調節することができる。また、本実施形態では、第1支柱200および第2支柱300の長さを調節することができる。そのため、使用者の身長に応じて、第1支柱200および第2支柱300の長さを適宜調節することで、第1手摺り部400および第2手摺り部500などの高さを適宜調節することができる。
【0066】
本実施形態では、手摺り10は、
図3に示すように、ベース部材100から60cm以上100cm以下の高さH1において、第1支柱200と第2支柱300とに架設された第1手摺り部400を備えている。また、手摺り10は、ベース部材100から60cm以上100cm以下の高さH2であって、第1支柱200および第2支柱300から離れた位置において第1手摺り部400に沿って延びた第2手摺り部500を備えている。そして、第1支柱200または第2支柱300と、第2手摺り部500とには、連結部600が架設されている。また、
図1に示すように、ベース部材100の上方から見て、第1支柱200の基端200aの中心C1と第2支柱300の基端300aの中心C2とを結ぶ線L1と、ベース部100に投影される第2手摺り部500との距離D1は、5cm以上15cm以下である。そのため、第2手摺り部500の下方には、側面視において、幅が5cm以上15cm以下であって、高さが60cm以上100cm以下の空間Bが形成されている。使用者がベッド5から立ち上がる際、使用者は、ベース部材100のベースマット102に足を置くと共に、第2手摺り部500の下方に形成された空間Bに脚を入れることができる。よって、使用者の脚が第1支柱200および第2支柱300に接触しにくくなる。このとき、使用者の脚の上方には、第1手摺り部400と第2手摺り部500とが配置されているため、使用者は、自身の重心の近くで第1手摺り部400と第2手摺り部500とを握ることができる。そのため、使用者は、使用者の重心を手摺り10の方へ移動させながら、第1手摺り部400と第2手摺り部500とを持って、体を腕で支えながら立ち上がることができる。このように、手摺り部10を使用することによって、使用者はベッドから立ち上がりやすくなる。
【0067】
使用者がベッド5からポータブルトイレ7に移乗する際、使用者は、ベース部材100のベースマット102に足を置く。使用者は、第1手摺り部400、第2手摺り部500および連結部600を手で握ってベッド5から立ち上がることができる。そして、使用者は、第1手摺り部400、第2手摺り部500および連結部600を手で伝いながら、ポータブルトイレ7へ移動することができる。そして、例えば、使用者は、手で第2手摺り部500を握りながらポータブルトイレ7に腰掛ける。また、ポータブルトイレ7からベッド5へ移乗する際、使用者は、例えば、手前に配置されている第2手摺り部500を手で握ってポータブルトイレ7から立ち上がることができる。このとき、第2手摺り部500の下方には空間Bが形成されているため、空間Bに脚を入れて立ち上がることで、自身の重心を第2手摺り部500に近づけて第2手摺り部500に体を引き付けつつ立ち上がることができる。そして、使用者が立ち上がった後、使用者は、第1手摺り部400、第2手摺り部500および連結部600を手で伝いながらベッド5まで移動することができる。
【0068】
また、本実施形態では、連結部600は、
図1に示すように、第1手摺り部400の第1支柱200側の一端と、第2手摺り部500の第1支柱200側の一端とに架設された第1連結部601と、第1手摺り部400の第2支柱300側の一端と、第2手摺り部500の第2支柱300側の一端とに架設された第2連結部602と、を備えている。例えば、手摺り10の第1支柱200が設けられた側、すなわち、手摺り10の左方にベッド5を配置し、手摺り10の前方にポータブルトイレ7を配置したとする。この場合、使用者は、例えば、第1連結部601と第2手摺り部500を手で伝いながら、ベッド5からポータブルトイレ7に移乗することができる。また、
図15のように手摺り10を配置した場合、使用者は、例えば、第2連結部602と第2手摺り部500を手で伝いながら、ベッド5からポータブルトイレ7に移乗することができる。また、第2手摺り部500は、第1手摺り部400よりも前方に配置されているため、第2手摺り部500を握って移乗することで、ポータブルトイレ7に腰掛けやすい。本実施形態では、手摺り10の左方にベッド5を配置した場合であっても、右方にベッド5を配置した場合であっても、使用者は、手摺り10を使用してベッド5から容易に立ち上がることができる。
【0069】
なお、本実施形態では、連結部600は、第1連結部601と、第2連結部602とを備えている。しかし、第1連結部601および/または第2連結部602は、省略してもよい。
【0070】
本実施形態では、
図1に示すように、第1連結部601は、ベース部100の上方から見て、第1手摺り部400の第1支柱200側の端部と第2手摺り部500の第1支柱200側の端部とを結ぶ直線L11よりも外側に湾曲している。例えば、手摺り10の左方にベッド5を配置し、手摺り10の前方にポータブルトイレ7を配置したとする。このとき、使用者がベッド5からポータブルトイレ7に移乗する際、手を返すことなく、第1連結部601および第2手摺り部500を手で伝って移乗することができる。よって、使用者が移乗しやすくなる。
【0071】
また、本実施形態では、第2連結部602は、ベース部100の上方から見て、第1手摺り部400の第2支柱300側の端部と第2手摺り部500の第2支柱300側の端部とを結ぶ直線L12よりも外側に湾曲している。このことによって、
図15のように手摺り10を配置した場合、使用者は、手を返すことなく、第2連結部602および第2手摺り部500を手で伝って、ベッド5からポータブルトイレ7に移乗することができる。よって、使用者が移乗しやすくなる。
【0072】
なお、本実施形態では、第1連結部601および第2連結部602は、湾曲しているが、第1連結部601および/または第2連結部602は、直線状に形成されていてもよい。
【0073】
本実施形態では、
図1に示すように、第2手摺り部500は、直線状に形成されている。使用者が第2手摺り部500と向かい合う状態で立ち上がる際、第2手摺り部500を両手で握って立ち上がることが好ましい。このとき、第2手摺り部500は直線状に形成されているため、両手で均等に力をかけることができる。よって、使用者は立ち上がりやすい。
【0074】
本実施形態では、第1手摺り部400は、直線状に形成されている。ここでは、第1手摺り部400と第2手摺り部500とは、略平行になるように配置されている。
図15のように手摺り10が配置されている場合、使用者は第1手摺り部400および第2手摺り部500を握ってベッド5から立ち上がることができる。このとき、第1手摺り部400と第2手摺り部500とが略平行に配置されているため、使用者は手に力がかけやすい。よって、手摺り10を使用してベッド5から立ち上がりやすくなる。
【0075】
また、本実施形態では、連結部600は、第1手摺り部400の中央部と第2手摺り部500の中央部とに架設された第3連結部603を備えている。使用者が第2手摺り部500と向かい合う状態において、第2手摺り部500を握って立ち上がる際、使用者側に荷重が掛かる。しかし、本実施形態では、第3連結部603によって、その荷重に耐えることができる。
【0076】
本実施形態では、第1手摺り部400および第2手摺り部500は、左右方向に延びている。第1連結部601および第2連結部602は、湾曲している。また、第3連結部603は、前後方向に延びている。使用者によっては、手摺り10を使用する際、最も握りやすい手の位置や手の向きが異なる。本実施形態では、使用者が手で握り得る第1手摺り部400および第2手摺り部500と、第1連結部601および第2連結部602と、第3連結部603とは、向きが異なる。よって、あらゆる使用者によって、使用しやすい手摺り10を提供することができる。
【0077】
なお、本実施形態では、第3連結部603は1つであった。しかし、複数の第3連結部603が、第1手摺り部400の中央部と第2手摺り部500の中央部に架設されていてもよい。また、第3連結部603は、省略することも可能である。
【0078】
本実施形態では、
図1に示すように、ベース部100の上方から見て、第1手摺り部400と第2手摺り部500との距離D2は、5cm以上15cm以下である。このことによって、
図15のように手摺り10を配置した場合、使用者は、第1手摺り部400および第2手摺り部500を両手で握りやすい。そのため、使用者は力がかけやすい。よって、手摺り10を使用してベッド5から立ち上がりやすくなる。また、第1手摺り部400と第2手摺り部500との距離を上述した範囲にすることで、使用者は、第1手摺り部400および第2手摺り部500に腕を乗せやすい。よって、腕を第1手摺り部400および第2手摺り部500に乗せた状態で、使用者は立ち上がりやすくなる。また、例えば、使用者が転倒したとき、使用者の頭が第1手摺り部400と第2手摺り部500との間の隙間に入ることを防ぐことができる。本実施形態では、第1手摺り部400と第2手摺り部500との間には、使用者の手が入る程度の間隔が保たれている。そのため、使用者は、第1手摺り部400と第2手摺り部500との間に手を入れた状態で、第1手摺り部400および第2手摺り部500を握ることができる。そのため、使用者は力がかけやすいため、手摺り10を使用してベッド5から立ち上がりやすい。
【0079】
本実施形態では、
図3に示すように、第1手摺り部400の前記ベース部100からの高さH1と、第2手摺り部500のベース部100からの高さH2とは、同じである。このことによって、
図15のように手摺り10を配置した場合において、手摺り10を使用してベッド5から立ち上がる際、第1手摺り部400および第2手摺り部500を両手で握って均等に力をかけることができる。よって、使用者は、手摺り10を使用してベッド5から立ち上がりやすい。
【0080】
また、本実施形態では、
図8に示すように、第1手摺り部400は、水平方向に広がった惰円形状である。第1手摺り部400は、底部に平らな面を有しいている。このような形状は、使用者にとって、手で握りやすく、かつ、手に力がかけやすい。よって、使用者は、第1手摺り部400を握って立ち上がりやすい。
【0081】
本実施形態では、手摺り10は、
図1に示すように、ベース部100に設けられ、ベース部100が浮き上がることを防止する浮き上がり防止部700を備えている。このことによって、使用者が手摺り10を使用する際に、使用者側へ手摺り10を引っ張って立ち上がるとき、ベース部100が浮き上がることを防止することができる。
【0082】
以上、本発明の手摺りの実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明の手摺りは他の種々の形態で実施することが可能である。