特許第6261447号(P6261447)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261447
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】植播系作業機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20180104BHJP
   A01B 59/042 20060101ALI20180104BHJP
   A01B 63/10 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   A01C11/02 320B
   A01B59/042 A
   A01B63/10 A
【請求項の数】21
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2014-109256(P2014-109256)
(22)【出願日】2014年5月27日
(65)【公開番号】特開2015-223103(P2015-223103A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2016年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】北野 博子
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−148907(JP,A)
【文献】 特開平10−215608(JP,A)
【文献】 特開平10−108505(JP,A)
【文献】 実開昭61−152216(JP,U)
【文献】 特開2003−284412(JP,A)
【文献】 特開平09−322616(JP,A)
【文献】 特開平09−275706(JP,A)
【文献】 特開平08−130944(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0125964(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 59/00 − 63/32
A01C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動走行可能な走行機体と、
地面に対して苗植付又は播種作業を行う作業装置と、
前記走行機体の後方側に前記作業装置を連結して昇降操作するリンク機構とを備え、
前記走行機体は、左右方向での中央部付近に運転座席を備え、前記運転座席の後方側に近接して、前記リンク機構を連結するための支持台を備えているとともに、前記運転座席の左右方向での横一側部箇所に、前記運転座席に搭座する運転者が把持して操作するための操作レバーが配設され、
前記支持台には、前記リンク機構を左右方向に沿う横軸心回りで上下揺動可能に支持する枢支軸が備えられ、
前記枢支軸は前記支持台に対して一端側を挿抜可能に構成され、かつ、挿抜可能な側の端部とは反対側の端部に回り止め機構を備え、
前記回り止め機構は、前記枢支軸に対して、左右方向で前記操作レバーが配設された側とは反対側に位置するように固定された係止用突片を備え、
前記係止用突片は、前記支持台の横側面に当接して前記枢支軸の挿入側への移動限界となる第1当たり面と、前記横側面に交差する方向で前記支持台の前向き面又は後ろ向き面に当接して前記係止用突片の回転を阻止する第2当たり面とを備えたものであり、その係止用突片が、前記支持台に対して固定ボルトにより連結固定されている植播系作業機。
【請求項2】
移動走行可能な走行機体と、
地面に対して苗植付又は播種作業を行う作業装置と、
前記走行機体の後方側に前記作業装置を連結して昇降操作するリンク機構とを備え、
前記走行機体には、前記リンク機構を連結するための支持台が備えられているととともに、
前記支持台には、前記リンク機構を左右方向に沿う横軸心回りで上下揺動可能に支持する枢支軸が備えられ、
前記枢支軸は前記支持台に対して一端側を挿抜可能に構成され、かつ、挿抜可能な側の端部とは反対側の端部に回り止め機構を備え、
前記回り止め機構は、前記枢支軸に固定された係止用突片を備え、
前記係止用突片は、前記支持台の横側面に当接して前記枢支軸の挿入側への移動限界となる第1当たり面と、前記横側面に交差する方向で前記支持台の前向き面又は後ろ向き面に当接して前記係止用突片の回転を阻止する第2当たり面とを備えたものであり、その係止用突片が、前記支持台に対して固定ボルトにより連結固定されている植播系作業機。
【請求項3】
移動走行可能な走行機体と、
地面に対して苗植付又は播種作業を行う作業装置と、
前記走行機体の後方側に前記作業装置を連結して昇降操作するリンク機構とを備え、
前記走行機体には、前記リンク機構を連結するための支持台が備えられているととともに、
前記支持台には、前記リンク機構を左右方向に沿う横軸心回りで上下揺動可能に支持する枢支軸が備えられ、
前記枢支軸は前記支持台に対して一端側を挿抜可能に構成され、かつ、挿抜可能な側の端部とは反対側の端部に回り止め機構を備え、
前記回り止め機構は、前記枢支軸に固定された係止用突片を備え、
前記係止用突片は、前記支持台の横側面に当接して前記枢支軸の挿入側への移動限界となる第1当たり面と、前記横側面に交差する方向で前記支持台の前向き面又は後ろ向き面に当接して前記係止用突片の回転を阻止する第2当たり面とを備えたものであり、その係止用突片が、前記支持台に対して連結固定されている植播系作業機。
【請求項4】
移動走行可能な走行機体と、
地面に対して苗植付又は播種作業を行う作業装置と、
前記走行機体の後方側に前記作業装置を連結して昇降操作する一対のリンク部材を含むリンク機構とを備え、
前記走行機体には、前記一対のリンク部材を連結するための支持台が備えられているととともに、
前記支持台には、前記一対のリンク部材を左右方向に沿う横軸心回りで上下揺動可能に支持する単一の枢支軸が備えられ、
前記枢支軸は前記支持台に対して一端側を挿抜可能に構成され、かつ、挿抜可能な側の端部とは反対側の端部に回り止め機構を備え、
前記回り止め機構は、前記枢支軸に固定された係止用突片を備え、その係止用突片が連結ボルトにより前記支持台に連結固定されるように構成されている植播系作業機。
【請求項5】
前記リンク機構は、前記走行機体の機体フレームに対して前記作業装置を連結する左右一対のリンク部材が前記機体フレームへの連結箇所の横外側に取り付けられ、
左右の前記リンク部材のそれぞれは、前記機体フレームに対して連結される前端部が、左右方向に沿う一直線上に横軸心を有した左右一対の横枢支軸に対して左右各別に枢支され、
左右の前記横枢支軸は、それぞれの機体内方側の端部同士の間に所定間隔を隔てて配設されているとともに、左右方向での内方側の端部に回り止め機構を備えて前記機体フレームに対して回り止め状態で装着され、かつ、左右方向での横外方側へ抜き出し可能に構成され、
前記所定間隔の幅内に、前記走行機体に装備された動力源から外部へ動力を取り出すための動力取り出し軸が配設されている請求項1〜4のいずれかに記載の植播系作業機。
【請求項6】
前記リンク機構は、前記走行機体の機体フレームに対して前記作業装置を連結する左右一対のリンク部材が前記機体フレームへの連結箇所の横外側に取り付けられ、
左右の前記リンク部材のそれぞれは、前記機体フレームに対して連結される前端部が、左右方向に沿う一直線上に横軸心を有した左右一対の横枢支軸に対して左右各別に枢支され、
左右の前記横枢支軸は、それぞれの機体内方側の端部同士の間に所定間隔を隔てて配設されているとともに、左右方向での内方側の端部に回り止め機構を備えて前記機体フレームに対して回り止め状態で装着され、かつ、左右方向での横外方側へ抜き出し可能に構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の植播系作業機。
【請求項7】
前記リンク機構は、前記走行機体の機体フレームに対して前記作業装置を連結する左右一対のリンク部材が前記機体フレームへの連結箇所の横外側に取り付けられ、
左右の前記リンク部材のそれぞれは、前記機体フレームに対して連結される前端部が、左右方向に沿う一直線上に横軸心を有した左右一対の横枢支軸に対して左右各別に枢支され、
左右の横枢支軸は、それぞれの機体内方側の端部同士の間に所定間隔を隔てて配設されているとともに、前記機体フレームに対して回り止め状態で装着され、かつ、左右方向での横外方側へ抜き出し可能に構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の植播系作業機。
【請求項8】
前記リンク機構は、前記走行機体に対して前記作業装置を連結する左右一対のリンク部材を備え、
左右の前記リンク部材は、前後方向での中間部が左右方向で屈曲形成された一本の角筒状のパイプ部材で構成されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の植播系作業機。
【請求項9】
前記リンク機構は、前記走行機体に対して前記作業装置を連結するリンク部材を備え、
前記リンク部材と前記作業装置との間に、前記リンク機構の所定の昇降作動位置で、前記リンク部材との当接によって前記作業装置のローリング作動を制限するストッパー機構を備え、
前記ストッパー機構は、前記リンク部材との当接によって体積弾性変形可能なゴム又は合成樹脂材料で構成してある弾性材と、前記リンク部材に対する前記弾性材の接触後に前記リンク部材と接触して、前記弾性材の圧縮変形量を所定範囲に制限する当たり部材とを備え、前記当たり部材が前記弾性材の外周を囲繞するようにリング状に形成されたものであり、
前記ストッパー機構は、前記リンク機構の昇降作動範囲の上限位置で前記作業装置のローリング作動を制限する上限側ストッパー機構と、下限位置で前記作業装置のローリング作動を制限する下限側ストッパー機構との両方を備え、
前記上限側ストッパー機構に備えた前記弾性材と、下限側ストッパー機構に備えた前記弾性材とは、それぞれが前記リンク部材の下縁に対する当たり面を備えており、かつ、それぞれの当たり面は、その当たり面に接触する部位に相当する範囲における前記リンク部材の下縁部分の昇降移動軌跡に対して垂直な面であるように構成され、
前記上限側ストッパー機構に備えた前記弾性材は、前記リンク部材と、前記作業装置をローリング作動自在に支持する縦リンクとの連結点よりも、前記走行機体に対する前記リンク部材の連結箇所に近い位置に設けられ、前記下限側ストッパー機構に備えた前記弾性材は、前記リンク部材と、前記作業装置をローリング作動自在に支持する縦リンクとの連結点よりも、前記走行機体に対する前記リンク部材の連結箇所から遠い位置に設けられている請求項1〜4のいずれかに記載の植播系作業機。
【請求項10】
前記リンク機構は、前記走行機体に対して前記作業装置を連結するリンク部材を備え、
前記リンク部材と前記作業装置との間に、前記リンク機構の所定の昇降作動位置で、前記リンク部材との当接によって前記作業装置のローリング作動を制限するストッパー機構を備え、
前記ストッパー機構は、前記リンク部材との当接によって体積弾性変形可能なゴム又は合成樹脂材料で構成してある弾性材と、前記リンク部材に対する前記弾性材の接触後に前記リンク部材と接触して、前記弾性材の圧縮変形量を所定範囲に制限する当たり部材とを備え、前記当たり部材が前記弾性材の外周を囲繞するようにリング状に形成されたものであり、
前記ストッパー機構は、前記リンク機構の昇降作動範囲の上限位置で前記作業装置のローリング作動を制限する上限側ストッパー機構と、下限位置で前記作業装置のローリング作動を制限する下限側ストッパー機構との両方を備え、
前記上限側ストッパー機構に備えた前記弾性材と、前記下限側ストッパー機構に備えた前記弾性材とは、それぞれが前記リンク部材の下縁に対する当たり面を備えており、かつ、それぞれの当たり面は、その当たり面に接触する部位に相当する範囲における前記リンク部材の下縁部分の昇降移動軌跡に対して垂直な面であるように構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の植播系作業機。
【請求項11】
前記リンク機構は、前記走行機体に対して前記作業装置を連結するリンク部材を備え、
前記リンク部材と前記作業装置との間に、前記リンク機構の所定の昇降作動位置で、前記リンク部材との当接によって前記作業装置のローリング作動を制限するストッパー機構を備え、
前記ストッパー機構は、前記リンク部材との当接によって体積弾性変形可能なゴム又は合成樹脂材料で構成してある弾性材と、前記リンク部材に対する前記弾性材の接触後に前記リンク部材と接触して、前記弾性材の圧縮変形量を所定範囲に制限する当たり部材とを備え、前記当たり部材が前記弾性材の外周を囲繞するようにリング状に形成されたものであり、
前記ストッパー機構は、前記リンク機構の昇降作動範囲の上限位置で前記作業装置のローリング作動を制限する上限側ストッパー機構と、下限位置で前記作業装置のローリング作動を制限する下限側ストッパー機構との両方を備えている請求項1〜4のいずれかに記載の植播系作業機。
【請求項12】
前記リンク機構は、前記走行機体に対して前記作業装置を連結するリンク部材を備え、
前記リンク部材と前記作業装置との間に、前記リンク機構の所定の昇降作動位置で、前記リンク部材との当接によって前記作業装置のローリング作動を制限するストッパー機構を備え、
前記ストッパー機構は、前記リンク部材との当接によって体積弾性変形可能なゴム又は合成樹脂材料で構成してある弾性材と、前記リンク部材に対する前記弾性材の接触後に前記リンク部材と接触して、前記弾性材の圧縮変形量を所定範囲に制限する当たり部材とを備え、前記当たり部材が前記弾性材の外周を囲繞するようにリング状に形成されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の植播系作業機。
【請求項13】
前記リンク機構は、前記走行機体に対して前記作業装置を連結するリンク部材を備え、
前記リンク部材と前記作業装置との間に、前記リンク機構の所定の昇降作動位置で、前記リンク部材との当接によって前記作業装置のローリング作動を制限するストッパー機構を備え、
前記ストッパー機構は、前記リンク部材との当接によって体積弾性変形可能なゴム又は合成樹脂材料で構成してある弾性材と、前記リンク部材に対する前記弾性材の接触後に前記リンク部材と接触して、前記弾性材の圧縮変形量を所定範囲に制限する当たり部材とを備えたものである請求項1〜4のいずれかに記載の植播系作業機。
【請求項14】
前記リンク機構は、前記走行機体に対して前記作業装置を連結するリンク部材を備え、
前記リンク部材と前記作業装置との間に、前記リンク機構の所定の昇降作動位置で、前記リンク部材との当接によって前記作業装置のローリング作動を制限するストッパー機構を備え、
前記ストッパー機構は、前記リンク部材との当接によって圧縮方向に弾性変形可能な弾性材と、前記リンク部材に対する前記弾性材の接触後に前記リンク部材と接触して、前記弾性材の圧縮変形量を所定範囲に制限する当たり部材とを備えたものである請求項1〜4のいずれかに記載の植播系作業機。
【請求項15】
前記走行機体は、左右両側に前後方向に沿う前後向きフレームと、その左右の前後向きフレーム同士を連結する横向きフレームとが一体化された機体フレームを備え、
前記走行機体の後方側の端部に、前記走行機体側の駆動力を外部へ出力するための動力取り出し軸を備え、
前記動力取り出し軸が、側面視で機体フレームの上下方向幅内に配設されているとともに、その動力取り出し軸には、前記作業装置に駆動力を伝達するための伝動軸がユニバーサルジョイントを介して連結され、
前記動力取り出し軸を前記走行機体の後方側の端部で支持するための軸受部が、前後方向で前記ユニバーサルジョイントに近い位置で前記横向きフレームに取り付けられ、
前記軸受部は、前記動力取り出し軸に外嵌するボス部と、前記機体フレームに対向するフランジ部とを備え、かつ前記ボス部と前記フランジ部とにわたる補強リブを備え、
前記フランジ部は、左右方向で前記ボス部の左右両横外側に向けて延出され、前記補強リブは前記ボス部の上部側と下部側との両位置から左右両横外側に向けて延出されている請求項1〜4のいずれかに記載の植播系作業機。
【請求項16】
記走行機体は、左右両側に前後方向に沿う前後向きフレームと、その左右の前後向きフレーム同士を連結する横向きフレームとが一体化された機体フレームを備え、
前記走行機体の後方側の端部に、前記走行機体側の駆動力を外部へ出力するための動力取り出し軸を備え、
その動力取り出し軸には、前記作業装置に駆動力を伝達するための伝動軸がユニバーサルジョイントを介して連結され、
前記動力取り出し軸を前記走行機体の後方側の端部で支持するための軸受部が、前後方向で前記ユニバーサルジョイントに近い位置で前記横向きフレームに取り付けられ、
前記軸受部は、前記動力取り出し軸に外嵌するボス部と、前記機体フレームに対向するフランジ部とを備え、かつ前記ボス部と前記フランジ部とにわたる補強リブを備え、
前記フランジ部は、左右方向で前記ボス部の左右両横外側に向けて延出され、前記補強リブは前記ボス部の上部側と下部側との両位置から左右両横外側に向けて延出されている請求項1〜4のいずれかに記載の植播系作業機。
【請求項17】
前記走行機体の後方側の端部に、前記走行機体側の駆動力を外部へ出力するための動力取り出し軸を備え、
前記動力取り出し軸を前記走行機体の前記後方側の端部で支持するための軸受部を、前記走行機体の機体フレームに対して連結固定してあり、
前記軸受部は、前記動力取り出し軸に外嵌するボス部と、前記機体フレームに対向するフランジ部とを備え、かつ前記ボス部と前記フランジ部とにわたる補強リブを備え、
前記フランジ部は、左右方向で前記ボス部の左右両横外側に向けて延出され、前記補強リブは前記ボス部の上部側と下部側との両位置から左右両横外側に向けて延出されている請求項1〜4のいずれかに記載の植播系作業機。
【請求項18】
前記走行機体の後方側の端部に、前記走行機体側の駆動力を外部へ出力するための動力取り出し軸を備え、
前記動力取り出し軸を前記走行機体の前記後方側の端部で支持するための軸受部を、前記走行機体の機体フレームに対して連結固定してあり、
前記軸受部は、前記動力取り出し軸に外嵌するボス部と、前記機体フレームに対向するフランジ部とを備え、かつ前記ボス部と前記フランジ部とにわたる補強リブが備えられている請求項1〜4のいずれかに記載の植播系作業機。
【請求項19】
前記走行機体の前記リンク機構が連結された側の端部に、前記走行機体側の駆動力を外部へ出力するための動力取り出し軸を備え、
その動力取り出し軸を前記走行機体の前記後方側の端部で支持するための軸受部が、前記走行機体の機体フレームに対して連結固定されている請求項1〜4のいずれかに記載の植播系作業機。
【請求項20】
前記作業装置は、前後方向軸心回りで左右揺動可能に前記リンク機構に支持され、
前記作業装置は、前記前後方向軸心回りで前記作業装置が設定姿勢に維持されるように制御するローリング制御機構を備え、
前記ローリング制御機構は、前記リンク機構の前記一端側に連結された支持枠部材に取り付けられたローリング作動用電動モータと、そのローリング作動用電動モータの出力軸に取り付けられた駆動ピニオンと、その駆動ピニオンに噛合するように前記支持枠部材に取り付けられた従動ギヤとを備え、前記従動ギヤの回転方向を正逆方向に切換操作して、前記作業装置のローリング作動を制御するように構成され、
さらに、前記支持枠部材と前記ローリング作動用電動モータとの間に、間隔調整用のスペーサ部材が装着され、
前記スペーサ部材は、前記駆動ピニオンの軸心方向視で、その駆動ピニオンと前記従動ギヤとの噛合箇所に対して前記駆動ピニオンの軸心を挟んで反対側に位置する箇所と、前記駆動ピニオンの軸心を挟んだ左右両側箇所との3箇所を結ぶV字状に形成されて、前記支持枠部材に対して連結されている請求項1〜4のいずれかに記載の植播系作業機。
【請求項21】
前記作業装置は、前後方向軸心回りで左右揺動可能に前記リンク機構に支持され、
前記作業装置は、前記前後方向軸心回りで前記作業装置が設定姿勢に維持されるように制御するローリング制御機構を備え、
前記ローリング制御機構は、前記リンク機構の前記一端側に連結された支持枠部材に取り付けられたローリング作動用電動モータと、そのローリング作動用電動モータの出力軸に取り付けられた駆動ピニオンと、その駆動ピニオンに噛合するように前記支持枠部材に取り付けられた従動ギヤとを備え、前記従動ギヤの回転方向を正逆方向に切換操作して、前記作業装置のローリング作動を制御するように構成され、
さらに、前記支持枠部材と前記ローリング作動用電動モータとの間に、間隔調整用のスペーサ部材を装着させてある請求項1〜4のいずれかに記載の植播系作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場を走行移動可能な走行機体と、地面に対して苗植付又は種籾の播種を行うための植播系作業装置と、走行機体の後方側に前記作業装置を連結して昇降操作するリンク機構とを備えた植播系作業機に関する。尚、本発明でいう植播系作業装置とは、苗植付装置、又は播種装置のように、植物の苗の植え付け、もしくは種籾の播種を行うための装置をいうものであり、植播系作業機とは、その植播系作業装置を備えた作業機である。
【背景技術】
【0002】
上記のようにリンク機構を備えて植播系作業装置を支持する植播系作業機としては、例えば、下記[1]〜「7」に記載の構造のものがある。
[1]走行機体の後部に立設された支持台にリンク機構の前端部が枢支されており、そのリンク機構は、支持台に対して相対回転可能に枢支されたシャフトにトップリンクの前端部が取り付けられた構造のもの(特許文献1参照)。
[2]走行機体の後部に立設された支持台にリンク機構の前端部が枢支されており、そのリンク機構は、支持台に対して相対回転不能に固定された状態の連結ボルトにロアーリンクの前端部が取り付けられた構造のもの(特許文献2参照)。
【0003】
[3]走行機体の後部にリンク機構の前端部が枢支されているものであるが、そのリンク機構は、機体フレームの後部に立設された支持台に対して、機体フレームと支持台との連結箇所に備えたチャンネル状の補強板の左右幅内に入り込む状態で、リンク機構のロアーリンクが支持されている。そして、そのロアーリンクの前端部は、支持台に対して相対回転不能に固定された状態の連結ボルトに対して相対回動可能に枢支された構造のもの(特許文献3参照)。
【0004】
[4]走行機体の後部に連結されるリンク機構は、走行機体に対する苗植付装置などの植播系作業装置のヨーイングを抑制し得るように、左右一対の直杆状のリンク部材同士の左右方向間隔を、平面視で走行機体側が幅広く、植播系作業装置側が幅狭くなるように構成されたもの(特許文献4参照)。
【0005】
[5]走行機体の後部にリンク機構を介して植播系作業機を昇降操作自在に連結し、その植播系作業機を所定高さに上昇させたとき、植播系作業機のローリング作動を抑制するように、リンク機構のロアーリンクの下面側に当接するクッションゴムによって構成されたストッパー機構を備えたもの(特許文献5参照)。
【0006】
[6]走行機体の後部にリンク機構を介して植播系作業機を昇降操作自在に連結し、その植播系作業機へ走行機体側から動力を入力するための動力取り出し軸をミッションケースの後部から導出し、ミッションケース後端の軸受部で支持するように構成したもの(特許文献6参照)。
【0007】
[7]走行機体の後部にリンク機構を介して植播系作業機としての苗植付装置を連結し、その苗植付装置を、前後方向の軸心回りでローリング揺動可能に構成し、かつ、電動モータを用いて苗植付装置を、リンク機構に対する所定のローリング角度範囲に揺動復帰させるように構成したもの(特許文献7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4052912号公報(段落番号「0029」、「0031」、図4図6参照)
【特許文献2】特許第4052912号公報(段落番号「0032」、「0033」、図4図6乃至図8参照)
【特許文献3】特許第4052912号公報(段落番号「0032」、「0033」、「0034」、図4乃至図8参照)
【特許文献4】特開平08−298832号公報(図3図5参照)
【特許文献5】特開平09−322616号公報(段落番号「0031」、「0032」、図11乃至図14参照)
【特許文献6】特開2005−160407号公報(段落番号「0037」、図12図13参照)
【特許文献7】特開2003−169512号公報(段落番号「0056」、「0057」、図13図14参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の特許文献1に記載された植播系作業機では、トップリンクの前端部が、走行機体側に固定の支持台に対して相対回転可能に枢支されたシャフトに外嵌する状態で支持されている。したがってトップリンクの上下揺動に伴って、シャフトを枢支する支持台側の支持部が摩耗し、リンク機構の枢支箇所にガタツキが生じるなど、耐久性の低下につながる虞があり、この点で改善の余地がある。
上記の特許文献2に記載された植播系作業機では、支持台に連結されるリンク機構のうち、ロアーリンクの前端部が、支持台に対して相対回転不能に固定された状態の連結ボルトに取り付けられている。このような構造を採用すれば、前記特許文献1に示すような、シャフトが回転する構造によって支持台側の摩耗が進行する不具合を解消するには有効であるが、連結ボルトに回り止め用の切り欠き部分を設けたり、支持台側の連結孔を特殊な形状に加工するなど、支持強度面、あるいは製作加工面での新たな問題が生じる可能性がある。
【0010】
上記の特許文献3に記載された植播系作業機では、支持台に連結されるリンク機構のうち、ロアーリンクの前端部が、支持台に対して相対回転不能に固定された状態の連結ボルトに取り付けられ、その連結ボルトを左右方向での横外方側から挿抜可能に構成されている。これにより、連結ボルトの挿抜は比較的簡単に行い易いものであるが、ロアーリンクの前端部は、機体フレームと支持台との連結箇所に備えたチャンネル状の補強板の左右幅内に入り込む状態で設けられている。
これは、連結ボルトの回り止め構造を、連結ボルトと支持台との支持部に形成したことによるものであり、このため、ロアーリンクの前端部を入り込ませるための空間が形成された支持台は、自身の強度が低減したり、ロアーリンクの前端部を所定の連結位置に出し入れするための作業に手数を要するなどの点で改善の余地がある。
【0011】
上記の特許文献4に記載された植播系作業機では、走行機体の後部に連結されるリンク機構として、走行機体に対する苗植付装置などの植播系作業装置のヨーイングを抑制し得るように、左右一対の直杆状のリンク部材を、平面視で走行機体側が幅広く、植播系作業装置側が幅狭くなるように傾斜姿勢で配設した構造のものが用いられている。
このようにしたことで植播系作業装置のヨーイングを抑制し得る点で有用なものであるが、左右のリンク部材がリンク機構の上下揺動軸心や、植播系作業装置との連結箇所で左右方向の連結軸の横軸心に対して斜めに傾斜した姿勢となるため、連結構造が複雑となり易い傾向がある。
そこで、例えば図16に示すように、左右のリンク部材の前端部や後端部にチャンネル状の接続部材を連結し、左右のリンク部材の長手方向に対してチャンネル状の接続部材の長手方向を傾斜させて、リンク機構の上下揺動軸心や、植播系作業装置との連結箇所における左右方向の連結軸の横軸心に対して直交する姿勢となるように構成することも考えられるが、これでは、そのチャンネル状の接続部材の接続作業に多大な手数を要したり、十分な強度を得にくいなどの新たな問題が生じる可能性があり、この点で改善の余地がある。
【0012】
上記の特許文献5に記載された植播系作業機では、植播系作業機を所定高さに上昇させたとき、植播系作業機のローリング作動を抑制するように、リンク機構のロアーリンクの下面側に当接するクッションゴムを備えている。しかしながら、この構造では、ロアーリンクの下面に対するクッションゴムの当接のみによってリンク機構のローリング作動を抑制する構造であるため、ゴムの弾性の範囲内で植播系作業機のある程度のローリング作動が生じる可能性があり、また、クッションゴムの摩耗などによって、さらに植播系作業機に対するローリング作動抑制の作用が低減する可能性がある。
【0013】
上記の特許文献6に記載された植播系作業機は、植播系作業機へ走行機体側から動力を入力するための動力取り出し軸をミッションケースの後部から導出するようにした構造のものである。このため、動力取り出し軸をできるだけ走行機体の後端部近くに位置させようとした場合、ミッションケースも機体後端側へ寄せて配設するか、あるいはミッションケースを前後方向に長い大型のものに構成する必要がある。しかしながら、走行機体の根幹部分であるミッションケースの配設位置を大きく変更することは実現性に乏しく、ミッションケースを必要以上に大型化することも実用的ではなく、この点で改善の余地がある。
【0014】
上記の特許文献7に記載された植播系作業機では、走行機体の後部にリンク機構を介して連結される苗植付装置を、前後方向の軸心回りでローリング揺動させるための電動モータを備えて、苗植付装置のローリング作動制御を電動モータの作動によって的確に行い易いものである。しかしながら、電動モータ側の出力軸に備えたピニオンと、そのピニオンに噛合する伝動ギヤを介してローリング操作用のケーブルを巻回させた駆動プーリの回転を制御するにあたり、伝動ギヤの肉厚を変更した場合などに、出力軸側のピニオンとの噛合位置が出力軸の軸心方向で位置ずれして、噛合箇所が伝動ギヤやピニオンの軸心線方向での一部分的に偏ったままで摩耗する虞があるという点で改善の余地がある。
【0015】
本発明は、リンク機構の枢支箇所で支持台に対する枢支軸の回り止めを行うことにより、支持台側の摩耗を軽減するものであるとともに、枢支軸の強度低下をも避けられるようにしようとするものである。
また、本発明は、支持台に対するリンク部材の連結作業を簡便に行え、かつ支持台側での強度低下も避けられるようにしようとするものである。
また、本発明は、リンク機構のヨーイング抑制に適した形状のリンク部材を構成するにあたっての、制作加工の簡素化及び強度低下の回避を図り得るものである。
また、本発明は、リンク機構の昇降作動範囲の限界位置で、植播系作業装置のローリング作動を抑制するための装置の耐久性向上を図り得るものである。
また、本発明は、ミッションケースから機体後方に延出される動力取り出し軸の支持構造を、ミッションケースとは別位置で構造簡単に行えるようにするものである。
また、本発明では、植播系作業装置のローリング作動を制御する電動モータとして、市販品の電動モータを構成部品として用いる場合にも適宜に調節可能であるようにして、良好な作動が行われるようにしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
〔解決手段1〕
上記課題を解決するために講じた本発明における作業機の技術手段は、移動走行可能な走行機体と、地面に対して苗植付又は播種作業を行う作業装置と、前記走行機体の後方側に前記作業装置を連結して昇降操作するリンク機構とを備え、前記走行機体は、左右方向での中央部付近に運転座席を備え、前記運転座席の後方側に近接して、前記リンク機構を連結するための支持台を備えているとともに、前記運転座席の左右方向での横一側部箇所に、前記運転座席に搭座する運転者が把持して操作するための操作レバーが配設され、前記支持台には、前記リンク機構を左右方向に沿う横軸心回りで上下揺動可能に支持する枢支軸が備えられ、前記枢支軸は前記支持台に対して一端側を挿抜可能に構成され、かつ、挿抜可能な側の端部とは反対側の端部に回り止め機構を備え、前記回り止め機構は、前記枢支軸に対して、左右方向で前記操作レバーが配設された側とは反対側に位置するように固定された係止用突片を備え、前記係止用突片は、前記支持台の横側面に当接して前記枢支軸の挿入側への移動限界となる第1当たり面と、前記横側面に交差する方向で前記支持台の前向き面又は後ろ向き面に当接して前記係止用突片の回転を阻止する第2当たり面とを備えたものであり、その係止用突片が、前記支持台に対して固定ボルトにより連結固定されているということである。
【0017】
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段1にかかる発明の構成によると、リンク機構の枢支軸が支持台に対して回り止め状態で固定されるので、枢支軸が回転して支持台が損耗するという現象が生じることを回避できるので、走行機体側である支持台の耐久性を向上させることができる利点がある。
そして、このように枢支軸の回転を阻止するにあたり、枢支軸に切り欠きを形成して支持台側の支持箇所の異形孔に係合させるような回り止め構造ではなく、枢支軸に係止用突片を固定して回り止めを行うものであるから、支持軸の強度低下を抑制し得る点でも有用である。
そして、係止用突片には、支持台の横側面に当接して枢支軸の挿入側への移動限界となる第1当たり面と、横側面に交差する方向で支持台の前向き面又は後ろ向き面に当接して係止用突片の回転を阻止する第2当たり面とが備えられたものであるから、係止用突片によって枢支軸の軸線方向での位置決めと、回り止めとの両作用を兼ねさせることができ、構造の簡素化を図り得る利点がある。
また、係止用突片が支持台に対して固定ボルトにより連結固定されるので、係止用突片を支持台に対してガタツキなく強固に固定して、確実な回り止め作用を発揮させることができる。
さらに、回り止め機構の係止用突片や固定ボルトは、運転座席に搭座する運転者が把持して操作するための操作レバーが配設された側とは反対側に位置するように設けられているので、走行機体から降りて操作する必要のある回り止め機構は、運転者が走行機体から乗降する頻度が高い側に位置させ、操作レバーは、その乗降の際に邪魔にならない反対側に位置させておけば、回り止め機構の操作も、操作レバーの操作も容易に行い易くなる利点がある。
【0018】
〔解決手段2〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、移動走行可能な走行機体と、地面に対して苗植付又は播種作業を行う作業装置と、前記走行機体の後方側に前記作業装置を連結して昇降操作するリンク機構とを備え、前記走行機体には、前記リンク機構を連結するための支持台が備えられているととともに、前記支持台には、前記リンク機構を左右方向に沿う横軸心回りで上下揺動可能に支持する枢支軸が備えられ、前記枢支軸は前記支持台に対して一端側を挿抜可能に構成され、かつ、挿抜可能な側の端部とは反対側の端部に回り止め機構を備え、前記回り止め機構は、前記枢支軸に固定された係止用突片を備え、前記係止用突片は、前記支持台の横側面に当接して前記枢支軸の挿入側への移動限界となる第1当たり面と、前記横側面に交差する方向で前記支持台の前向き面又は後ろ向き面に当接して前記係止用突片の回転を阻止する第2当たり面とを備えたものであり、その係止用突片が、前記支持台に対して固定ボルトにより連結固定されているということである。
【0019】
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段2にかかる発明の構成によると、リンク機構の枢支軸が支持台に対して回り止め状態で固定されるので、枢支軸が回転して支持台が損耗するという現象が生じることを回避できるので、走行機体側である支持台の耐久性を向上させることができる利点がある。
そして、このように枢支軸の回転を阻止するにあたり、枢支軸に切り欠きを形成して支持台側の支持箇所の異形孔に係合させるような回り止め構造ではなく、枢支軸に係止用突片を固定して回り止めを行うものであるから、支持軸の強度低下を抑制し得る点でも有用である。
そして、係止用突片には、支持台の横側面に当接して枢支軸の挿入側への移動限界となる第1当たり面と、横側面に交差する方向で支持台の前向き面又は後ろ向き面に当接して係止用突片の回転を阻止する第2当たり面とが備えられたものであるから、係止用突片によって枢支軸の軸線方向での位置決めと、回り止めとの両作用を兼ねさせることができ、構造の簡素化を図り得る利点がある。
また、係止用突片が支持台に対して固定ボルトにより連結固定されるので、係止用突片を支持台に対してガタツキなく強固に固定して、確実な回り止め作用を発揮させることができる。
【0020】
〔解決手段3〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、移動走行可能な走行機体と、地面に対して苗植付又は播種作業を行う作業装置と、前記走行機体の後方側に前記作業装置を連結して昇降操作するリンク機構とを備え、前記走行機体には、前記リンク機構を連結するための支持台が備えられているととともに、前記支持台には、前記リンク機構を左右方向に沿う横軸心回りで上下揺動可能に支持する枢支軸が備えられ、前記枢支軸は前記支持台に対して一端側を挿抜可能に構成され、かつ、挿抜可能な側の端部とは反対側の端部に回り止め機構を備え、前記回り止め機構は、前記枢支軸に固定された係止用突片を備え、前記係止用突片は、前記支持台の横側面に当接して前記枢支軸の挿入側への移動限界となる第1当たり面と、前記横側面に交差する方向で前記支持台の前向き面又は後ろ向き面に当接して前記係止用突片の回転を阻止する第2当たり面とを備えたものであり、その係止用突片が、前記支持台に対して連結固定されているということである。
【0021】
〔解決手段3にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段3にかかる発明の構成によると、リンク機構の枢支軸が支持台に対して回り止め状態で固定されるので、枢支軸が回転して支持台が損耗するという現象が生じることを回避できるので、走行機体側である支持台の耐久性を向上させることができる利点がある。
そして、このように枢支軸の回転を阻止するにあたり、枢支軸に切り欠きを形成して支持台側の支持箇所の異形孔に係合させるような回り止め構造ではなく、枢支軸に係止用突片を固定して回り止めを行うものであるから、支持軸の強度低下を抑制し得る点でも有用である。
そして、係止用突片には、支持台の横側面に当接して枢支軸の挿入側への移動限界となる第1当たり面と、横側面に交差する方向で支持台の前向き面又は後ろ向き面に当接して係止用突片の回転を阻止する第2当たり面とが備えられたものであるから、係止用突片によって枢支軸の軸線方向での位置決めと、回り止めとの両作用を兼ねさせることができ、構造の簡素化を図り得る利点がある。
【0022】
〔解決手段4〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、移動走行可能な走行機体と、地面に対して苗植付又は播種作業を行う作業装置と、前記走行機体の後方側に前記作業装置を連結して昇降操作する一対のリンク部材を含むリンク機構とを備え、前記走行機体には、前記一対のリンク部材を連結するための支持台が備えられているととともに、前記支持台には、前記一対のリンク部材を左右方向に沿う横軸心回りで上下揺動可能に支持する単一の枢支軸が備えられ、前記枢支軸は前記支持台に対して一端側を挿抜可能に構成され、かつ、挿抜可能な側の端部とは反対側の端部に回り止め機構を備え、前記回り止め機構は、前記枢支軸に固定された係止用突片を備え、その係止用突片が連結ボルトにより前記支持台に連結固定されるように構成されているということである。
【0023】
〔解決手段4にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段4にかかる発明の構成によると、リンク機構の枢支軸が支持台に対して回り止め状態で固定されるので、枢支軸が回転して支持台が損耗するという現象が生じることを回避できるので、走行機体側である支持台の耐久性を向上させることができる利点がある。
そして、このように枢支軸の回転を阻止するにあたり、枢支軸に切り欠きを形成して支持台側の支持箇所の異形孔に係合させるような回り止め構造ではなく、枢支軸に係止用突片を固定して回り止めを行うものであるから、支持軸の強度低下を抑制し得る点でも有用である。
【0024】
〔解決手段5〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記リンク機構は、前記走行機体の機体フレームに対して前記作業装置を連結する左右一対のリンク部材が前記機体フレームへの連結箇所の横外側に取り付けられ、左右の前記リンク部材のそれぞれは、前記機体フレームに対して連結される前端部が、左右方向に沿う一直線上に横軸心を有した左右一対の横枢支軸に対して左右各別に枢支され、左右の前記横枢支軸は、それぞれの機体内方側の端部同士の間に所定間隔を隔てて配設されているとともに、左右方向での内方側の端部に回り止め機構を備えて前記機体フレームに対して回り止め状態で装着され、かつ、左右方向での横外方側へ抜き出し可能に構成され、前記所定間隔の幅内に、前記走行機体に装備された動力源から外部へ動力を取り出すための動力取り出し軸が配設されているということである。
【0025】
〔解決手段5にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段5にかかる発明の構成によると、横枢支軸が左右一対のもので構成され、それぞれが横外側へ抜き出し可能に構成されているので、機体横外側からの操作が行い易くなる利点がある。
また、回り止め機構は横枢支軸の機体内方側の端部に設けてあるので、横枢支軸の機体外方側の端部を機体全体の横外方端により近い箇所に位置させることができる。これにより、横枢支軸に支持されるリンク部材の前端側をできるだけ横外方側寄りに位置させて、機体前後方向の中心線に対して前方側が広く、後方側が狭い傾斜姿勢となるように配設し易くなる。その結果、リンク機構をヨーイングに対する抗力の大きい構造となるように構成し易いという利点がある。
そして、左右の横枢支軸同士の間の空間を、走行機体に装備された動力源から外部へ動力を取り出すための動力取り出し軸の配設用空間に利用できる利点がある。
【0026】
〔解決手段6〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記リンク機構は、前記走行機体の機体フレームに対して前記作業装置を連結する左右一対のリンク部材が前記機体フレームへの連結箇所の横外側に取り付けられ、左右の前記リンク部材のそれぞれは、前記機体フレームに対して連結される前端部が、左右方向に沿う一直線上に横軸心を有した左右一対の横枢支軸に対して左右各別に枢支され、左右の前記横枢支軸は、それぞれの機体内方側の端部同士の間に所定間隔を隔てて配設されているとともに、左右方向での内方側の端部に回り止め機構を備えて前記機体フレームに対して回り止め状態で装着され、かつ、左右方向での横外方側へ抜き出し可能に構成されているということである。
【0027】
〔解決手段6にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段6にかかる発明の構成によると、横枢支軸が左右一対のもので構成され、それぞれが横外側へ抜き出し可能に構成されているので、機体横外側からの操作が行い易く、また、左右の横枢支軸同士の間の空間を他装置の配設用空間に利用できるなどの利点がある。
また、回り止め機構は横枢支軸の機体内方側の端部に設けてあるので、横枢支軸の機体外方側の端部を機体全体の横外方端により近い箇所に位置させることができる。これにより、横枢支軸に支持されるリンク部材の前端側をできるだけ横外方側寄りに位置させて、機体前後方向の中心線に対して前方側が広く、後方側が狭い傾斜姿勢となるように配設し易くなる。その結果、リンク機構をヨーイングに対する抗力の大きい構造となるように構成し易いという利点がある。
【0028】
〔解決手段7〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記リンク機構は、前記走行機体の機体フレームに対して前記作業装置を連結する左右一対のリンク部材が前記機体フレームへの連結箇所の横外側に取り付けられ、左右の前記リンク部材のそれぞれは、前記機体フレームに対して連結される前端部が、左右方向に沿う一直線上に横軸心を有した左右一対の横枢支軸に対して左右各別に枢支され、左右の横枢支軸は、それぞれの機体内方側の端部同士の間に所定間隔を隔てて配設されているとともに、前記機体フレームに対して回り止め状態で装着され、かつ、左右方向での横外方側へ抜き出し可能に構成されているということである。
【0029】
〔解決手段7にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段7にかかる発明の構成によると、横枢支軸が左右一対のもので構成され、それぞれが横外側へ抜き出し可能に構成されているので、機体横外側からの操作が行い易く、また、左右の横枢支軸同士の間の空間を他装置の配設用空間に利用できるなどの利点がある。
【0030】
〔解決手段8〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記リンク機構は、前記走行機体に対して前記作業装置を連結する左右一対のリンク部材を備え、左右の前記リンク部材は、前後方向での中間部が左右方向で屈曲形成された一本の角筒状のパイプ部材で構成されたというものである。
【0031】
〔解決手段8にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段8にかかる発明の構成によると、一本の角筒状のパイプ部材の折り曲げによってリンク部材が構成されるので、部品点数が少なくて構造簡単であるとともに、製作加工の工数が軽減されるという利点がある。
【0032】
〔解決手段9〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記リンク機構は、前記走行機体に対して前記作業装置を連結するリンク部材を備え、前記リンク部材と前記作業装置との間に、前記リンク機構の所定の昇降作動位置で、前記リンク部材との当接によって前記作業装置のローリング作動を制限するストッパー機構を備え、前記ストッパー機構は、前記リンク部材との当接によって体積弾性変形可能なゴム又は合成樹脂材料で構成してある弾性材と、前記リンク部材に対する前記弾性材の接触後に前記リンク部材と接触して、前記弾性材の圧縮変形量を所定範囲に制限する当たり部材とを備え、前記当たり部材が前記弾性材の外周を囲繞するようにリング状に形成されたものであり、前記ストッパー機構は、前記リンク機構の昇降作動範囲の上限位置で前記作業装置のローリング作動を制限する上限側ストッパー機構と、下限位置で前記作業装置のローリング作動を制限する下限側ストッパー機構との両方を備え、前記上限側ストッパー機構に備えた前記弾性材と、下限側ストッパー機構に備えた前記弾性材とは、それぞれが前記リンク部材の下縁に対する当たり面を備えており、かつ、それぞれの当たり面は、その当たり面に接触する部位に相当する範囲における前記リンク部材の下縁部分の昇降移動軌跡に対して垂直な面であるように構成され、前記上限側ストッパー機構に備えた前記弾性材は、前記リンク部材と前記作業装置との連結点よりも、前記走行機体に対する前記リンク部材の連結箇所に近い位置に設けられ、前記下限側ストッパー機構に備えた前記弾性材は、前記リンク部材と前記作業装置との連結点よりも、前記走行機体に対する前記リンク部材の連結箇所から遠い位置に設けられているということである。
【0033】
〔解決手段9にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段9にかかる発明の構成によると、リンク部材との当接によって圧縮方向に弾性変形可能な弾性材を備え、かつ、弾性材の接触後にリンク部材と接触して、弾性材の圧縮変形量を所定範囲に制限する当たり部材を備えたものであるから、リンク部材との当接による衝撃を軽減するとともに、リンク部材の作動限界位置を当たり部材との接触で精度良く設定し得る利点がある。
そして、弾性材として、体積弾性変形可能なゴム又は合成樹脂材料を用いたものであるから、衝撃干渉のための手段を簡素に構成し得るとともに、その体積弾性変形可能なゴム又は合成樹脂材料からなる弾性材がリンク部材との当接によって過剰に圧潰されるような事態をも、前記当たり部材によって抑制でき、耐久性の向上にも有用である。
さらに、当たり部材が弾性材の外周を囲繞するようにリング状に形成されているので、体積変化する弾性体の水平方向への拡がりを、リング状の当たり部材が中心位置からのずれが少ない状態で抑制しながらガイドすることになる。その結果、弾性材が厚みの大きいものであっても座掘変形などを抑制しながら、所期の圧縮変形方向での弾性力を精度良く維持させながら変形させることができ、弾性材の所期の性能を長期にわたって維持させ易いという利点がある。
また、ストッパー機構が上限側と下限側との両方に存在しているので、作業装置を上限まで持ち上げた状態、又は作業装置を下限まで下げた状態の何れの場合でも、作業装置のローリング作動を制限し得る利点がある。
しかも、それぞれの当たり面は、その当たり面に接触する部位に相当する範囲におけるリンク部材の下縁部分の昇降移動軌跡に対して垂直な面であるように構成されているので、リンク部材の下縁部分との接触が当たり面の全体で行われ易く、偏摩耗の生じ難い状態で使用できるので、この点でも耐久性を向上し得る利点がある。
【0034】
〔解決手段10〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記リンク機構は、前記走行機体に対して前記作業装置を連結するリンク部材を備え、前記リンク部材と前記作業装置との間に、前記リンク機構の所定の昇降作動位置で、前記リンク部材との当接によって前記作業装置のローリング作動を制限するストッパー機構を備え、前記ストッパー機構は、前記リンク部材との当接によって体積弾性変形可能なゴム又は合成樹脂材料で構成してある弾性材と、前記リンク部材に対する前記弾性材の接触後に前記リンク部材と接触して、前記弾性材の圧縮変形量を所定範囲に制限する当たり部材とを備え、前記当たり部材が前記弾性材の外周を囲繞するようにリング状に形成されたものであり、前記ストッパー機構は、前記リンク機構の昇降作動範囲の上限位置で前記作業装置のローリング作動を制限する上限側ストッパー機構と、下限位置で前記作業装置のローリング作動を制限する下限側ストッパー機構との両方を備え、前記上限側ストッパー機構に備えた前記弾性材と、下限側ストッパー機構に備えた前記弾性材とは、それぞれが前記リンク部材の下縁に対する当たり面を備えており、かつ、それぞれの当たり面は、その当たり面に接触する部位に相当する範囲における前記リンク部材の下縁部分の昇降移動軌跡に対して垂直な面であるように構成されているということである。
【0035】
〔解決手段10にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段10にかかる発明の構成によると、リンク部材との当接によって圧縮方向に弾性変形可能な弾性材を備え、かつ、弾性材の接触後にリンク部材と接触して、弾性材の圧縮変形量を所定範囲に制限する当たり部材を備えたものであるから、リンク部材との当接による衝撃を軽減するとともに、リンク部材の作動限界位置を当たり部材との接触で精度良く設定し得る利点がある。
そして、弾性材として、体積弾性変形可能なゴム又は合成樹脂材料を用いたものであるから、衝撃干渉のための手段を簡素に構成し得るとともに、その体積弾性変形可能なゴム又は合成樹脂材料からなる弾性材がリンク部材との当接によって過剰に圧潰されるような事態をも、前記当たり部材によって抑制でき、耐久性の向上にも有用である。
さらに、当たり部材が弾性材の外周を囲繞するようにリング状に形成されているので、体積変化する弾性体の水平方向への拡がりを、リング状の当たり部材が中心位置からのずれが少ない状態で抑制しながらガイドすることになる。その結果、弾性材が厚みの大きいものであっても座掘変形などを抑制しながら、所期の圧縮変形方向での弾性力を精度良く維持させながら変形させることができ、弾性材の所期の性能を長期にわたって維持させ易いという利点がある。
また、ストッパー機構が上限側と下限側との両方に存在しているので、作業装置を上限まで持ち上げた状態、又は作業装置を下限まで下げた状態の何れの場合でも、作業装置のローリング作動を制限し得る利点がある。
しかも、それぞれの当たり面は、その当たり面に接触する部位に相当する範囲におけるリンク部材の下縁部分の昇降移動軌跡に対して垂直な面であるように構成されているので、リンク部材の下縁部分との接触が当たり面の全体で行われ易く、偏摩耗の生じ難い状態で使用できるので、この点でも耐久性を向上し得る利点がある。
【0036】
〔解決手段11〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記リンク機構は、前記走行機体に対して前記作業装置を連結するリンク部材を備え、前記リンク部材と前記作業装置との間に、前記リンク機構の所定の昇降作動位置で、前記リンク部材との当接によって前記作業装置のローリング作動を制限するストッパー機構を備え、前記ストッパー機構は、前記リンク部材との当接によって体積弾性変形可能なゴム又は合成樹脂材料で構成してある弾性材と、前記リンク部材に対する前記弾性材の接触後に前記リンク部材と接触して、前記弾性材の圧縮変形量を所定範囲に制限する当たり部材とを備え、前記当たり部材が前記弾性材の外周を囲繞するようにリング状に形成されたものであり、前記ストッパー機構は、前記リンク機構の昇降作動範囲の上限位置で前記作業装置のローリング作動を制限する上限側ストッパー機構と、下限位置で前記作業装置のローリング作動を制限する下限側ストッパー機構との両方を備えているということである。
【0037】
〔解決手段11にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段11にかかる発明の構成によると、リンク部材との当接によって圧縮方向に弾性変形可能な弾性材を備え、かつ、弾性材の接触後にリンク部材と接触して、弾性材の圧縮変形量を所定範囲に制限する当たり部材を備えたものであるから、リンク部材との当接による衝撃を軽減するとともに、リンク部材の作動限界位置を当たり部材との接触で精度良く設定し得る利点がある。
そして、弾性材として、体積弾性変形可能なゴム又は合成樹脂材料を用いたものであるから、衝撃干渉のための手段を簡素に構成し得るとともに、その体積弾性変形可能なゴム又は合成樹脂材料からなる弾性材がリンク部材との当接によって過剰に圧潰されるような事態をも、前記当たり部材によって抑制でき、耐久性の向上にも有用である。
さらに、当たり部材が弾性材の外周を囲繞するようにリング状に形成されているので、体積変化する弾性体の水平方向への拡がりを、リング状の当たり部材が中心位置からのずれが少ない状態で抑制しながらガイドすることになる。その結果、弾性材が厚みの大きいものであっても座掘変形などを抑制しながら、所期の圧縮変形方向での弾性力を精度良く維持させながら変形させることができ、弾性材の所期の性能を長期にわたって維持させ易いという利点がある。
また、ストッパー機構が上限側と下限側との両方に存在しているので、作業装置を上限まで持ち上げた状態、又は作業装置を下限まで下げた状態の何れの場合でも、作業装置のローリング作動を制限し得る利点がある。
【0038】
〔解決手段12〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記リンク機構は、前記走行機体に対して前記作業装置を連結するリンク部材を備え、前記リンク部材と前記作業装置との間に、前記リンク機構の所定の昇降作動位置で、前記リンク部材との当接によって前記作業装置のローリング作動を制限するストッパー機構を備え、前記ストッパー機構は、前記リンク部材との当接によって体積弾性変形可能なゴム又は合成樹脂材料で構成してある弾性材と、前記リンク部材に対する前記弾性材の接触後に前記リンク部材と接触して、前記弾性材の圧縮変形量を所定範囲に制限する当たり部材とを備え、前記当たり部材が前記弾性材の外周を囲繞するようにリング状に形成されたというものである。
【0039】
〔解決手段12にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段12にかかる発明の構成によると、リンク部材との当接によって圧縮方向に弾性変形可能な弾性材を備え、かつ、弾性材の接触後にリンク部材と接触して、弾性材の圧縮変形量を所定範囲に制限する当たり部材を備えたものであるから、リンク部材との当接による衝撃を軽減するとともに、リンク部材の作動限界位置を当たり部材との接触で精度良く設定し得る利点がある。
そして、弾性材として、体積弾性変形可能なゴム又は合成樹脂材料を用いたものであるから、衝撃干渉のための手段を簡素に構成し得るとともに、その体積弾性変形可能なゴム又は合成樹脂材料からなる弾性材がリンク部材との当接によって過剰に圧潰されるような事態をも、前記当たり部材によって抑制でき、耐久性の向上にも有用である。
さらに、当たり部材が弾性材の外周を囲繞するようにリング状に形成されているので、体積変化する弾性体の水平方向への拡がりを、リング状の当たり部材が中心位置からのずれが少ない状態で抑制しながらガイドすることになる。その結果、弾性材が厚みの大きいものであっても座掘変形などを抑制しながら、所期の圧縮変形方向での弾性力を精度良く維持させながら変形させることができ、弾性材の所期の性能を長期にわたって維持させ易いという利点がある。
【0040】
〔解決手段13〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記リンク機構は、前記走行機体に対して前記作業装置を連結するリンク部材を備え、前記リンク部材と前記作業装置との間に、前記リンク機構の所定の昇降作動位置で、前記リンク部材との当接によって前記作業装置のローリング作動を制限するストッパー機構を備え、前記ストッパー機構は、前記リンク部材との当接によって体積弾性変形可能なゴム又は合成樹脂材料で構成してある弾性材と、前記リンク部材に対する前記弾性材の接触後に前記リンク部材と接触して、前記弾性材の圧縮変形量を所定範囲に制限する当たり部材とを備えたというものである。
【0041】
〔解決手段13にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段13にかかる発明の構成によると、リンク部材との当接によって圧縮方向に弾性変形可能な弾性材を備え、かつ、弾性材の接触後にリンク部材と接触して、弾性材の圧縮変形量を所定範囲に制限する当たり部材を備えたものであるから、リンク部材との当接による衝撃を軽減するとともに、リンク部材の作動限界位置を当たり部材との接触で精度良く設定し得る利点がある。
そして、弾性材として、体積弾性変形可能なゴム又は合成樹脂材料を用いたものであるから、衝撃干渉のための手段を簡素に構成し得るとともに、その体積弾性変形可能なゴム又は合成樹脂材料からなる弾性材がリンク部材との当接によって過剰に圧潰されるような事態をも、前記当たり部材によって抑制でき、耐久性の向上にも有用である。
【0042】
〔解決手段14〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記リンク機構は、前記走行機体に対して前記作業装置を連結するリンク部材を備え、前記リンク部材と前記作業装置との間に、前記リンク機構の所定の昇降作動位置で、前記リンク部材との当接によって前記作業装置のローリング作動を制限するストッパー機構を備え、前記ストッパー機構は、前記リンク部材との当接によって圧縮方向に弾性変形可能な弾性材と、前記リンク部材に対する前記弾性材の接触後に前記リンク部材と接触して、前記弾性材の圧縮変形量を所定範囲に制限する当たり部材とを備えたというものである。
【0043】
〔解決手段14にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段14にかかる発明の構成によると、リンク部材との当接によって圧縮方向に弾性変形可能な弾性材を備え、かつ、弾性材の接触後にリンク部材と接触して、弾性材の圧縮変形量を所定範囲に制限する当たり部材を備えたものであるから、リンク部材との当接による衝撃を軽減するとともに、リンク部材の作動限界位置を当たり部材との接触で精度良く設定し得る利点がある。
【0044】
〔解決手段15〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記走行機体は、左右両側に前後方向に沿う前後向きフレームと、その左右の前後向きフレーム同士を連結する横向きフレームとが一体化された機体フレームを備え、前記走行機体の後方側の端部に、前記走行機体側の駆動力を外部へ出力するための動力取り出し軸を備え、前記動力取り出し軸が、側面視で機体フレームの上下方向幅内に配設されているとともに、その動力取り出し軸には、前記作業装置に駆動力を伝達するための伝動軸がユニバーサルジョイントを介して連結され、前記動力取り出し軸を前記走行機体の後方側の端部で支持するための軸受部が、前後方向で前記ユニバーサルジョイントに近い位置で前記横向きフレームに取り付けられ、前記軸受部は、前記動力取り出し軸に外嵌するボス部と、前記機体フレームに対向するフランジ部とを備え、かつ前記ボス部と前記フランジ部とにわたる補強リブを備え、前記フランジ部は、左右方向で前記ボス部の左右両横外側に向けて延出され、前記補強リブは前記ボス部の上部側と下部側との両位置から左右両横外側に向けて延出されているということである。
【0045】
〔解決手段15にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段15にかかる発明によると、動力取り出し軸を支持するための軸受部が、走行機体の後方側の端部で機体フレームに連結固定されているので、軸受部の取付手段として機体フレーム自体を活用することができる。したがって、動力取り出し軸の軸受部を機体後方側へ設けるために、ミッションケースの位置を変更したり、ミッションケース自体を大型化するなどの大きな設計変更を要することなく、機体フレーム自体を利用して、動力取り出し軸の軸受部をできるだけ機体後端側に近づけて配設することが容易になる利点がある。
そして、軸受部は動力取り出し軸に外嵌するボス部と、機体フレームに対向するフランジ部とにわたる補強リブが備えているので、必要な強度を有した軸受部自体を軽量な構造で構成し得る利点がある。
また、軸受部のフランジ部は、左右方向でボス部の左右両横外側に向けて延出され、補強リブはボス部の上部側と下部側との両位置から左右両横外側に向けて延出されているので、軸受部全体を上下方向で幅狭な構造とすることができ、上下方向幅の狭い機体フレームに対しても支障なく取り付けられる利点がある。
さらに、強度メンバーである左右の前後向きフレーム同士を接続する横向きフレームを軸受部の取付対象とすることができるので、軸受部を強固な箇所でかつ左右方向での任意の位置を選んで配設することができ、また、その横向きフレームに取り付けられた軸受部がユニバーサルジョイントに近い位置で動力取り出し軸を支持するので、動力取り出し軸を機体後端部に近い位置で安定良く支持し得る利点がある。
さらにまた、動力取り出し軸は側面視で機体フレームの上下方向幅内に配設されているので、機体フレームが動力取り出し軸の保護部材として活用され、動力取り出し軸が他物との干渉を避けやすくなる点で有利である。
【0046】
〔解決手段16〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記走行機体は、左右両側に前後方向に沿う前後向きフレームと、その左右の前後向きフレーム同士を連結する横向きフレームとが一体化された機体フレームを備え、前記走行機体の後方側の端部に、前記走行機体側の駆動力を外部へ出力するための動力取り出し軸を備え、その動力取り出し軸には、前記作業装置に駆動力を伝達するための伝動軸がユニバーサルジョイントを介して連結され、前記動力取り出し軸を前記走行機体の後方側の端部で支持するための軸受部が、前後方向で前記ユニバーサルジョイントに近い位置で前記横向きフレームに取り付けられ、前記軸受部は、前記動力取り出し軸に外嵌するボス部と、前記機体フレームに対向するフランジ部とを備え、かつ前記ボス部と前記フランジ部とにわたる補強リブを備え、前記フランジ部は、左右方向で前記ボス部の左右両横外側に向けて延出され、前記補強リブは前記ボス部の上部側と下部側との両位置から左右両横外側に向けて延出されているということである。
【0047】
〔解決手段16にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段16にかかる発明によると、動力取り出し軸を支持するための軸受部が、走行機体の後方側の端部で機体フレームに連結固定されているので、軸受部の取付手段として機体フレーム自体を活用することができる。したがって、動力取り出し軸の軸受部を機体後方側へ設けるために、ミッションケースの位置を変更したり、ミッションケース自体を大型化するなどの大きな設計変更を要することなく、機体フレーム自体を利用して、動力取り出し軸の軸受部をできるだけ機体後端側に近づけて配設することが容易になる利点がある。
そして、軸受部は動力取り出し軸に外嵌するボス部と、機体フレームに対向するフランジ部とにわたる補強リブが備えているので、必要な強度を有した軸受部自体を軽量な構造で構成し得る利点がある。
また、軸受部のフランジ部は、左右方向でボス部の左右両横外側に向けて延出され、補強リブはボス部の上部側と下部側との両位置から左右両横外側に向けて延出されているので、軸受部全体を上下方向で幅狭な構造とすることができ、上下方向幅の狭い機体フレームに対しても支障なく取り付けられる利点がある。
さらに、強度メンバーである左右の前後向きフレーム同士を接続する横向きフレームを軸受部の取付対象とすることができるので、軸受部を強固な箇所でかつ左右方向での任意の位置を選んで配設することができ、また、その横向きフレームに取り付けられた軸受部がユニバーサルジョイントに近い位置で動力取り出し軸を支持するので、動力取り出し軸を機体後端部に近い位置で安定良く支持し得る利点がある。
【0048】
〔解決手段17〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記走行機体の後方側の端部に、前記走行機体側の駆動力を外部へ出力するための動力取り出し軸を備え、前記動力取り出し軸を前記走行機体の前記後方側の端部で支持するための軸受部を、前記走行機体の機体フレームに対して連結固定してあり、前記軸受部は、前記動力取り出し軸に外嵌するボス部と、前記機体フレームに対向するフランジ部とを備え、かつ前記ボス部と前記フランジ部とにわたる補強リブを備え、前記フランジ部は、左右方向で前記ボス部の左右両横外側に向けて延出され、前記補強リブは前記ボス部の上部側と下部側との両位置から左右両横外側に向けて延出されているということである。
【0049】
〔解決手段17にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段17にかかる発明によると、動力取り出し軸を支持するための軸受部が、走行機体の後方側の端部で機体フレームに連結固定されているので、軸受部の取付手段として機体フレーム自体を活用することができる。したがって、動力取り出し軸の軸受部を機体後方側へ設けるために、ミッションケースの位置を変更したり、ミッションケース自体を大型化するなどの大きな設計変更を要することなく、機体フレーム自体を利用して、動力取り出し軸の軸受部をできるだけ機体後端側に近づけて配設することが容易になる利点がある。
そして、軸受部は動力取り出し軸に外嵌するボス部と、機体フレームに対向するフランジ部とにわたる補強リブが備えているので、必要な強度を有した軸受部自体を軽量な構造で構成し得る利点がある。
また、軸受部のフランジ部は、左右方向でボス部の左右両横外側に向けて延出され、補強リブはボス部の上部側と下部側との両位置から左右両横外側に向けて延出されているので、軸受部全体を上下方向で幅狭な構造とすることができ、上下方向幅の狭い機体フレームに対しても支障なく取り付けられる利点がある。
【0050】
〔解決手段18〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記走行機体の後方側の端部に、前記走行機体側の駆動力を外部へ出力するための動力取り出し軸を備え、前記動力取り出し軸を前記走行機体の前記後方側の端部で支持するための軸受部を、前記走行機体の機体フレームに対して連結固定してあり、前記軸受部は、前記動力取り出し軸に外嵌するボス部と、前記機体フレームに対向するフランジ部とを備え、かつ前記ボス部と前記フランジ部とにわたる補強リブが備えられているということである。
【0051】
〔解決手段18にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段18にかかる発明によると、動力取り出し軸を支持するための軸受部が、走行機体の後方側の端部で機体フレームに連結固定されているので、軸受部の取付手段として機体フレーム自体を活用することができる。したがって、動力取り出し軸の軸受部を機体後方側へ設けるために、ミッションケースの位置を変更したり、ミッションケース自体を大型化するなどの大きな設計変更を要することなく、機体フレーム自体を利用して、動力取り出し軸の軸受部をできるだけ機体後端側に近づけて配設することが容易になる利点がある。
そして、軸受部は動力取り出し軸に外嵌するボス部と、機体フレームに対向するフランジ部とにわたる補強リブが備えているので、必要な強度を有した軸受部自体を軽量な構造で構成し得る利点がある。
【0052】
〔解決手段19〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記走行機体の前記リンク機構が連結された側の端部に、前記走行機体側の駆動力を外部へ出力するための動力取り出し軸を備え、その動力取り出し軸を前記走行機体の前記後方側の端部で支持するための軸受部が、前記走行機体の機体フレームに対して連結固定されているということである。
【0053】
〔解決手段19にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段19にかかる発明によると、動力取り出し軸を支持するための軸受部が、走行機体の後方側の端部で機体フレームに連結固定されているので、軸受部の取付手段として機体フレーム自体を活用することができる。したがって、動力取り出し軸の軸受部を機体後方側へ設けるために、ミッションケースの位置を変更したり、ミッションケース自体を大型化するなどの大きな設計変更を要することなく、機体フレーム自体を利用して、動力取り出し軸の軸受部をできるだけ機体後端側に近づけて配設することが容易になる利点がある。
【0054】
〔解決手段20〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記作業装置は、前後方向軸心回りで左右揺動可能に前記リンク機構に支持され、前記作業装置は、前記前後方向軸心回りで前記作業装置が設定姿勢に維持されるように制御するローリング制御機構を備え、前記ローリング制御機構は、前記リンク機構の前記一端側に連結された支持枠部材に取り付けられたローリング作動用電動モータと、そのローリング作動用電動モータの出力軸に取り付けられた駆動ピニオンと、その駆動ピニオンに噛合するように前記支持枠部材に取り付けられた従動ギヤとを備え、前記従動ギヤの回転方向を正逆方向に切換操作して、前記作業装置のローリング作動を制御するように構成され、さらに、前記支持枠部材と前記ローリング作動用電動モータとの間に、間隔調整用のスペーサ部材が装着され、前記スペーサ部材は、前記駆動ピニオンの軸心方向視で、その駆動ピニオンと前記従動ギヤとの噛合箇所に対して前記駆動ピニオンの軸心を挟んで反対側に位置する箇所と、前記駆動ピニオンの軸心を挟んだ左右両側箇所との3箇所を結ぶV字状に形成されて、前記支持枠部材に対して連結されているということである。
【0055】
〔解決手段20にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段20にかかる発明によると、支持枠部材とローリング作動用電動モータとの間に間隔調整用のスペーサ部材を装着させて、ローリング作動用電動モータの出力軸に備えた駆動ピニオンの歯厚や従動ギヤの歯厚による影響少なく、駆動ピニオンと従動ギヤとが互いに歯厚の中央付近で噛合し得る構造とすることができる。
したがって、ローリング作動用電動モータとして市販品を採用することが容易になる点で有利である。
また、間隔調整用のスペーサ部材が、駆動ピニオンの軸心方向視で、その駆動ピニオンと従動ギヤとの噛合箇所に対して、駆動ピニオンの軸心を挟んで反対側に位置する箇所と、駆動ピニオンの軸心を挟んだ左右両側箇所との3箇所を結ぶV字状に形成されているので、このスペーサ部材と、従動ギヤや駆動ピニオンとの干渉を避けながら、ローリング作動用電動モータを支持枠部材に対して強固に固定し得る利点がある。
【0056】
〔解決手段21〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記作業装置は、前後方向軸心回りで左右揺動可能に前記リンク機構に支持され、前記作業装置は、前記前後方向軸心回りで前記作業装置が設定姿勢に維持されるように制御するローリング制御機構を備え、前記ローリング制御機構は、前記リンク機構の前記一端側に連結された支持枠部材に取り付けられたローリング作動用電動モータと、そのローリング作動用電動モータの出力軸に取り付けられた駆動ピニオンと、その駆動ピニオンに噛合するように前記支持枠部材に取り付けられた従動ギヤとを備え、前記従動ギヤの回転方向を正逆方向に切換操作して、前記作業装置のローリング作動を制御するように構成され、さらに、前記支持枠部材と前記ローリング作動用電動モータとの間に、間隔調整用のスペーサ部材を装着させてあるということである。
【0057】
〔解決手段21にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段21にかかる発明によると、支持枠部材とローリング作動用電動モータとの間に間隔調整用のスペーサ部材を装着させて、ローリング作動用電動モータの出力軸に備えた駆動ピニオンの歯厚や従動ギヤの歯厚による影響少なく、駆動ピニオンと従動ギヤとが互いに歯厚の中央付近で噛合し得る構造とすることができる。
したがって、ローリング作動用電動モータとして市販品を採用することが容易になる点で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】乗用型田植機の右側面図である。
図2】乗用型田植機の平面図である。
図3】走行機体と苗植付装置とを接続するリンク機構を示す平面図である。
図4】走行機体の後部に対するリンク機構の取付箇所を示す平面図である。
図5】走行機体の後部に対するリンク機構の取付箇所を示す右側面図である。
図6図4におけるVI-VI線断面図である。
図7】リンク機構におけるロアーリンク部材を示す斜視図である。
図8】軸受部を示す斜視図である。
図9】リンク機構と苗植付装置との連結箇所を示す右側面図である。
図10】リンク機構と苗植付装置との連結箇所を示す右側面図である。
図11】ストッパー機構を示す分解斜視図である。
図12】苗植付装置を示す正面図である。
図13】ローリング制御機構を示す断面図である。
図14】ローリング制御機構を示す説明図である。
図15】ローリング制御機構を示す分解斜視図である。
図16】ロアーリンク部材の比較例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1に、植播系作業機の一例としての乗用型田植機の右側面が示されている。
この乗用型田植機は、機体フレーム10の下方に、左右一対の操向操作及び駆動自在な前輪11Fと、左右一対の駆動自在な後輪11Rとを備え、機体フレーム10に搭載されたエンジンEからの動力を受けて、前記前輪11Fと後輪11Rとが駆動される自走式の走行機体1を備えている。
走行機体1には、エンジンEを内装した原動部13が機体前部に備えられ、その左右両側に予備苗のせ台14が配備されている。原動部13の後方側で走行機体1の前後方向中央部に、前輪11Fを操向操作するステアリングハンドル15及び運転座席12を有した搭乗運転部が備えられている。走行機体1の後部には、昇降作動用の油圧シリンダ52を有したリンク機構5を介して苗植付装置2が昇降自在に支持されている。
このように構成された乗用型田植機は、苗植付装置2によって圃場に対する稲等の苗の植え付け作業を行うものである。
【0060】
図2に示すように、苗植付装置2は8条植型式に構成されており、4個の伝動ケース21、伝動ケース21の後部の右及び左の横側部に回転駆動自在に支持された植付ケース22、植付ケース22の両端に備えられた一対の植付アーム23(植付爪駆動機構)、接地フロート24、及び苗が載置される苗のせ台20等を備えている。これにより、苗のせ台20が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、植付ケース22が回転駆動され、苗のせ台20の下部から植付アーム23が交互に苗を取り出して田面に植え付けるように構成されている。
【0061】
走行機体1における機体フレーム10の前部には、前輪11Fを軸支したミッションケース3が連結固定されるとともに、機体フレーム10の後部には、後輪11Rを左右に装備した後車軸ケース6がローリング可能に支持されている。ミッションケース3からは前方に向けて前フレーム10Fが延出され、この前フレーム10FにエンジンEが横向きに搭載されている。
図2乃至図4に記載のように、ミッションケース3の左右両側には、前車軸ケース3Aが左右両外側に向けて延出され、左右の前輪11F,11Fが設けられている。ミッションケース3の上側には、トルクジェネレータ(図示せず;パワーステアリング装置に相当する)を設けてあり、このトルクジェネレータから上方へ立設されたステアリング操作軸15aの上端にステアリングハンドル15が設けられている。ステアリングハンドル15の横側部には、後述する静油圧式無段変速装置(図示せず)を操作して車速を変更する主変速レバー16が配設されている。
【0062】
〔動力伝達系〕
エンジンEの動力は、走行駆動系の前輪11F、及び後輪11R等を駆動するための走行駆動系と、植播系作業装置としての苗植付装置2等を駆動するための植播作業駆動系とに伝達される。
走行駆動系では、エンジンEの動力が図示しないベルト伝動機構を介して静油圧式無段変速装置の入力軸に伝えられる。静油圧式無段変速装置が主変速レバー16で変速可能な主変速装置として用いられ、静油圧式無段変速装置で変速された動力がミッションケース3内へ伝達される。ミッションケース3内では、内部に備えたギヤ式変速機構(図示せず)を経て変速された動力が、前輪11Fと後輪11Rとに伝達される。
【0063】
また、ミッションケース3内に伝達された動力は、株間変速機構(図示せず)等を経て植播作業駆動系の苗植付装置2へも伝達される。苗植付装置2では、左右往復横移動される苗のせ台20から、植付アーム23に備えた植付爪が所定量ずつ苗を分割して、圃場へ植え付けるように構成されている。
【0064】
〔リンク機構について〕
苗植付装置2を昇降操作するリンク機構5は次のように構成されている。
図1図3乃至図6に示すように、リンク機構5は、左右方向幅の狭い左右一対のリンク部材50,50を備えたトップリンク5Tと、それよりも左右方向幅を広くした左右一対のリンク部材51,51を備えたロアーリンク5Lとによって構成されている。
トップリンク5Tとロアーリンク5Lとの、夫々の後端部は縦リンク5Vに連結されている。この縦リンク5Vの下端部に対して、前後向き姿勢のローリング軸芯Z周りで左右ローリング自在に苗植付装置2が連結支持されている。
【0065】
トップリンク5Tは、図3乃至図6に示すように、左右方向幅よりも上下方向幅が大きい断面矩形状の角パイプ材からなる左右一対のリンク部材50,50を、前端側の離反間隔が後端側での離反間隔よりも幅広となるように、平面視でY字状に屈曲させてあり、かつ前後方向での中間位置が上下一対の接続板50aで溶接連結されて一体化されている。
【0066】
トップリンク5Tの前端側は、図3乃至図6に示すように、走行機体1の後部側で機体フレーム10の上側に立設された支持台4に連結されている。
機体フレーム10は、左右一対の前後向きフレーム10A,10Aと、その前後向きフレーム10A,10A同士を後端部側で連結して一体化する横向きフレーム10Bとを備えている。支持台4は、左右の前後向きフレーム10A,10Aの機体内方側の面10aと、横向きフレーム10Bの機体後方側の面10bとに当接した状態で溶接固定されることにより、上方側へ向けて立設された左右一対の角パイプ状の支柱40,40を備えている。
その支柱40,40の上端部は、左右の支柱40,40の上端部同士が横架部材41で連結され、かつ、前後方向では、左右の支柱40,40の上端部が前方側の座席搭載台12Aに前後架材42を介して連結固定されている。
【0067】
左右の支柱40,40の上部には、左右方向に筒軸心x1を沿わせた短筒状のボス40aが、各支柱40,40を貫通する状態で溶接固定され、このボス40aに軸心を合致させた枢支軸43が挿通されている。
この枢支軸43には、トップリンク5Tの各リンク部材50,50の前端部に備えたボス50b,50bが相対回動自在に外嵌され、また、各リンク部材50,50同士の間に位置させた状態で、昇降作動用の油圧シリンダ52のシリンダ底部側に連設されているU字状の連結腕52aが、取付ボス52bを介して嵌着されている。
つまり、枢支軸43には、トップリンク5Tの前端部と油圧シリンダ52の前端部とが相対回動自在に連結されるものであり、トップリンク5Tの左右のボス50b,50bと、油圧シリンダ52の取付ボス52bとが外嵌されて、その軸線方向での動きは、各ボス50b,50b,52b同士の当たりによって、両側の支柱40,40のボス40a,40a同士の内端側の間隔幅内に位置規制されている。
【0068】
上記枢支軸43は、その一端側に、この実施形態では、図3乃至図6に示すように左側の端部に、回り止め機構44としての係止用突片45が溶接固定され、他端側は支柱40,40のボス40a,40aに対して抜き差し自在に構成され、かつ、その他端部に抜け止めピン46による抜け止め構造が設けられている。
係止用突片45には、支持台4の左側の支柱40の左横側面に当接(この例では、左横側面から少し突出するボス40aの端面に当接する)して枢支軸43の挿入側への移動限界となる第1当たり面45aと、前記支柱40の左横側面交差する方向である前面に当接して、枢支軸43の軸心x1回りでの係止用突片45の回転を阻止する第2当たり面45bとが備えられている。この係止用突片45は、左側の支柱40を前後方向で貫通する連結ボルト45cによって支柱40に連結固定される。
したがって、この連結ボルト45cによる連結を解除し、他端部の止めピン46を抜き出すことにより、枢支軸43を抜き出して支持台4に対するトップリンク5Tの前端部の連結を解除することができる。
【0069】
トップリンク5Tに対する上記の回り止め機構44は、油圧シリンダ52の伸縮作動を行わせてリンク機構5による苗植付装置の昇降操作を行うように運転座席12の右横側部に設けた昇降レバー19とは反対側であるところの、枢支軸43の左側の端部に設けてある。これは、一般に左側から走行機体1に対して昇降する場合が多くて、地上に位置するときはリンク機構5の左側に運転者が位置する可能性が高く、また、運転座席12に搭座した状態では、右腕で昇降レバー19を操作する可能性が高いためであるが、これに限らず、回り止め機構44と、反対側の抜け止め構造である抜け止めピン46とは、その左右位置が逆に配置されたものであってもよい。
【0070】
枢支軸43に前端側を連結された油圧シリンダ52の後端側は、縦リンク5Vの下部に連結され、かつ図1及び図3に示すように、縦リンク5Vとロアーリンク5Lとを接続する筒軸部5a(図12参照)に後端側を連結された台形状の支持金具によって、シリンダロッド52cの中間位置が支持されている。
【0071】
ロアーリンク5Lは、図3乃至図7に示すように、左右方向幅よりも上下方向幅が大きい断面矩形状の角パイプ材からなる左右一対のリンク部材51,51を、前端側の離反間隔が後端側での離反間隔よりも幅広となるように、機体前後方向での中心線CLに対して傾斜した姿勢で配設してある。この傾斜姿勢に配置された左右のリンク部材51,51同士を、左右方向にわたる連結部材51a,51a,で連結して一体化してある。
【0072】
ロアーリンク5Lの前端部は、走行機体1の機体フレーム10に連結されている。
機体フレーム10の左右一対の前後向きフレーム10A,10Aの後端部近くに、左右方向に沿う同一軸心x2を有したリンク連結用の筒ボス10C、10Cを貫通状態で溶接固定してあり、その各筒ボス10Cに横枢支軸47を挿通させてある。ロアーリンク5L側では、左右一対のリンク部材51,51の前端部に、ボス51b,51bが貫通する状態で溶接固定して、このボス51b,51bを前記横枢支軸47に外嵌させ、枢支連結されている。
【0073】
横枢支軸47の機体横外方側の端部にはフランジ部47aが形成されていて、リンク部材51,51のボス51b,51bの抜け出しが規制されているとともに、横枢支軸47の内端側にも、その横枢支軸47の回り止めを行うための回り止め機構44が設けられている。
この回り止め機構44は、横枢支軸47の内端側に相対回動不能に止めナット47bで連結したL字型の係止片48を、前後向きフレーム10Aを上下に貫通する連結ボルト49によって固定することによって、横枢支軸47を機体フレーム10に回り止め状態で固定するように構成されている。
前記横枢支軸47とL字型の係止片48との相対回転を不能にする構造は、例えば、横枢支軸47の内端側に形成した小判型の異形軸部(図示せず)に、L字型の係止片48形成した同形状の異形孔を嵌合させることによって行うなどすればよい。
【0074】
ロアーリンク5Lを構成する左右一対のリンク部材51,51は、図3及び図7に示すように、その後端部が平面視で機体前後方向の中心線CLに対して平行又はほぼ平行となるように、後方側ほど機体前後方向の中心線CLに近づくように後狭まり状に傾斜したのち少し外向きに屈曲形成されている。縦リンク5Vは、機体前後方向の中心線CLに対して平行又はほぼ平行となるように形成された部位である、この後端部に連結される。
【0075】
このように構成されたロアーリンク5Lの左右の横枢支軸47は、前記止めナット47bを緩めることによって、連結ボルト49を緩めなくとも横外方側へ抜き出すことができる。
このロアーリンク5Lの左右の横枢支軸47は、ミッションケース3から苗植付装置2へ駆動力を伝達するために機体後方側へ導出された動力取り出し軸30の存在箇所と同程度の高さ位置にあり、機体内方側への抜き出しは動力取り出し軸30と干渉する虞があって空間的制約を受けやすいが、横外方側へ抜き出すように構成されているので、容易に抜き出しやすい。
【0076】
〔軸受け構造〕
上記の動力取り出し軸30は、図3図4、及び図6に示されているように、機体フレーム10の後端部近くで、前後向きフレーム10A,10A同士を連結して一体化する横向きフレーム10Bの左右方向での中央部に位置する軸受ブラケット31(軸受部に相当する)に支持されている。
この軸受ブラケット31は、図示しないボールベアリングを内装するボス部32と、横向きフレーム10Bの後面に対して連結可能なフランジ部33とを備えている。
【0077】
図6及び図8に示すように、フランジ部33はボス部32から左右方向に延出されており、ボス部32の左右両側で横向きフレーム10Bの後面側に対してボルト34で連結されている。
また、ボス部32の上下両位置から、左右横方向へ向けて補強リブ35が一体形成されている。
この軸受ブラケット31は、動力取り出し軸30に伝動軸36を連結するためのユニバーサルジョイント37の近くに設けてある。
ユニバーサルジョイント37は、平面視で、トップリンク5T又はロアーリンク5Lの各軸心x1,x2の近く位置にあり、上下方向でロアーリンク5Lの軸心x2の近く位置にある。
このように、ユニバーサルジョイント37が、平面視でトップリンク5T又はロアーリンク5Lの各軸心x1,x2に近く、かつ上下方向でロアーリンク5Lの軸心x2の近くに位置するように、動力取り出し軸30を軸受ブラケット31で支持することにより、リンク機構5の昇降作動中における各リンク5T,5Lと伝動軸36との相対姿勢変化が少なくて済むようになる。
【0078】
〔ストッパ機構〕
リンク機構5の後端部の縦リンク5Vに対して連結される苗植付装置2には、図9乃至図12に示すように、ロアーリンク5Lの左右のリンク部材51,51との当接によって苗植付装置2のローリング作動を制限するストッパー機構53が備えられている。
このストッパー機構53は、リンク機構5の昇降作動範囲の上限位置で苗植付装置2のローリング作動を制限する上限側ストッパー機構54と、下限位置で前記苗植付装置2のローリング作動を制限する下限側ストッパー機構55との両方を備えている。
【0079】
上限側ストッパー機構54は、図10に仮想線で示すように、リンク機構5が昇降作動範囲の上限位置に達した状態でロアーリンク5Lの左右のリンク部材51,51の下向き面と当接するように、体積弾性変形可能なゴム又は合成樹脂材料で構成してある弾性材54aを備えている。この弾性材54aは、図11に示すような円柱状に形成され、上面側に摩滅軽減用の金属製の接触板54bを貼着してあり、この接触板54bの上面が左右のリンク部材51,51の下向き面に対する当たり面となる。
この上限側ストッパー機構54は、左右のリンク部材51,51の夫々の下向き面に対向する位置で、かつ、左右のリンク部材51,51と縦リンク5Vとの連結軸56の軸心x3(連結点に相当する)よりも、左右のリンク部材51,51と支持台4との連結箇所に近い側に位置している。
【0080】
下限側ストッパー機構55は、図10に実線で示すように、リンク機構5が昇降作動範囲の下限位置に達した状態でロアーリンク5Lの左右のリンク部材51,51の下向き面と当接するように、体積弾性変形可能なゴム又は合成樹脂材料で構成してある弾性材55aと、左右のリンク部材51,51に対する弾性材55aの接触後にリンク部材51,51と接触して、その弾性材55aの圧縮変形量を所定範囲に制限する金属製の当たり部材55cとを備えている。
また、この下限側ストッパー機構55の弾性材55aの上面にも、摩滅軽減用の金属製の接触板55bを貼着してある。この接触板55bは、弾性材55aの外径よりも少し大きく、かつ当たり部材55cの上端に当接し得るように、当たり部材55cの外径と同程度、もしくは少し大きめに形成されている。この接触板55bの上面が左右のリンク部材51,51の下向き面に対する当たり面となる。
この下限側ストッパー機構55は、左右のリンク部材51,51の夫々の下向き面に対向する位置で、かつ、左右のリンク部材51,51と縦リンク5Vとの連結軸56の軸心x3よりも、左右のリンク部材51,51と支持台4との連結箇所から遠い側に離れるように位置している。
【0081】
そして、左右の上限側ストッパー機構54及び下限側ストッパー機構55は、図9乃至図12に示すように、苗植付装置2の前部に固定されたU字型の取付台部材57の左右両側に振り分けられた状態で設けられている。
上限側ストッパー機構54の弾性材54a、及び下限側ストッパー機構55の弾性材55aは、中心部に貫通孔が形成されており、それぞれの接触板54b,55bの下面側に連設した連結ボルト54d,55dが、取付台部材57の各受け座57a,57bの裏面側(下面側)で固定用のダブルナット57c,57dによって連結固定されている。
【0082】
左右の上限側ストッパー機構54及び下限側ストッパー機構55の、左右のリンク部材51,51の下向き面に接触する接触板54b,55bの上面は、その接触板54b,55bの上面に接触する部位に相当する範囲における左右のリンク部材51,51の下縁部分の昇降移動軌跡に対して垂直な面であるように、それぞれの接触板54b,55bの上面の向きを設定して取付台部材57に取り付けてある。
【0083】
〔ローリング制御装置〕
苗植付装置2は、その昇降範囲の上限又は下限では、上述したストッパー機構53を用いて、ローリング作動が牽制されるように構成されているが、その上限と下限との間では、前述した前後方向軸心Z回りで左右ローリング可能に構成されている。
そして、その左右ローリングは、図12及び図13に示すように、縦リンク5Vの上部に一体的に設けられた支持枠部材70と、苗のせ台20の背面側に一体的に設けたガイドレール20Aの左右両端側寄りとを結ぶバランスバネ20Bによって、苗のせ台20が水平方向に対する所定の角度範囲に復元し易いように付勢されている。
さらに、前記縦リンク5Vの上部に一体的に設けられた支持枠部材70には、ローリング作動用電動モータ71によって正逆転方向に駆動される駆動調節プーリ72を設けてあり、この駆動調節プーリ72に中間部を巻き掛けたワイヤ73の両端側を、苗のせ台20の背面側を支持する苗のせ台支持枠25の左右端部に緩衝バネ73aを介して連結し、駆動調節プーリ72の正逆転作動によって、苗のせ台20を強制ローリング作動可能に構成してある。
【0084】
上記駆動調節プーリ72を駆動するローリング作動用電動モータ71から駆動調節プーリ72への動力伝達が、図13乃至図15に示されている。
ローリング作動用電動モータ71の出力軸71aに取り付けられた駆動ピニオン74と、その駆動ピニオン74に噛合するよう支持枠部材70に取り付けられた前記駆動調節プーリ72と一体回動する従動ギヤ75とが備えられ、従動ギヤ75の回転方向を正逆方向に切換操作して、苗植付装置2のローリング作動を制御するように構成されている。
【0085】
ローリング作動用電動モータ71は、支持枠部材70に対して連結固定されるにより、その出力軸71aに取り付けられた駆動ピニオン74が従動ギヤ75と噛合するものであるが、この取付箇所では、支持枠部材70とローリング作動用電動モータ71との対向面間にスペーサ部材76を介在させている。
このようにスペーサ部材76を介在させることによって、スペーサ部材76の肉厚分だけローリング作動用電動モータ71を支持枠部材70から離間させ、その分だけ、出力軸71aに取り付けられた駆動ピニオン74も同方向に移動する。
これによって、出力軸71aに取り付けられた駆動ピニオン74の厚み方向での中心位置を、従動ギヤ75の厚み方向での中心位置とにほぼ一致させる状態で組み付けることができる。
【0086】
上記のスペーサ部材76は、図14及び図15に示すように、出力軸71aの軸心方向視でほぼV字状に形成されている。これは、従動ギヤ75や駆動ピニオン74との干渉を避けながら、できるだけローリング作動用電動モータ71が従動ギヤ75と駆動ピニオン74との噛合箇所に近い位置で、ローリング作動用電動モータ71を支持枠部材70に連結固定するためのものである。
【0087】
このようにスペーサ部材76を用いたことで、市販品のローリング作動用電動モータ71に付属の駆動ピニオン74を用いても、その駆動ピニオン74の厚み方向での中心位置を、従動ギヤ75の厚み方向での中心位置と合致するように調節することができる。
【0088】
〔別実施形態の1〕
上記の実施形態では、係止用突片45として、第1当たり面45aと、それに交差する方向の第2当たり面45bとを備えた構造のものを例示したが、これに限られるものではない。
例えば、係止用突片として、枢支軸43の軸径よりも径方向の外方側へ突出するように取り付けられた平板や棒材等で構成してもよい。この場合、平板等が存在するだけでは回り止めを行うことができないので、その平板等が支持台4に対して固定されるように、ボルト止めするか、平板や棒材等が嵌り込むような凹部を支持台4側に設けるなどしてもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0089】
〔別実施形態の2〕
上記の実施形態では、係止用突片45として、第1当たり面45aと、それに交差する方向の第2当たり面45bとを備えて、かつ係止用突片45を連結ボルト45cで支持台4側に固定した構造のものを例示したが、この構造に限られるものではない。
例えば、係止用突片45を固定する連結ボルト45cを省略することも可能である。この場合、係止用突片45は、互いに交差する二面を備えて支持台4に当てつけられているので、枢支軸43の抜け止めが行われていれば、ボルト連結されていなくても、支持台4に対する回り止め状態を維持することができる。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0090】
〔別実施形態の3〕
上記の実施形態では、ストッパー機構53として、体積弾性変形可能なゴムや合成樹脂製材料からなる弾性材54a,55aを示したが、これに限られるものではなく、例えば、コイルスプリングで弾性材を構成したものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0091】
〔別実施形態の4〕
上記の実施形態では、ストッパー機構53として、上限側ストッパー機構54と下限側ストッパー機構55との両方を備えた構造のものを例示したが、これに限られるものではなく、上限用もしくは下限用の何れか一方側にのみストッパー機構53を設けたものであっても差し支えない。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0092】
〔別実施形態の5〕
上記の実施形態では、ストッパー機構53として、上限側ストッパー機構54と下限側ストッパー機構55とのうち、下限側ストッパー機構55側にのみリング状の当たり部材55cを設けた構造のものを例示したがこの構造に限られるものではない。
例えば、リング状の当たり部材55cを上限側ストッパー機構54側にのみ設けたものであってもよく、また、上限側ストッパー機構54と下限側ストッパー機構55との両方にリング状の当たり部材55cを設けたものであってもよい。さらに、当たり部材55cの形状は、リング状のものに限らず、矩形状、楕円形状、あるいは、非連続の棒材を環状に立設した構造のものなど、適宜の構造を採用することができる。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明が適用される対象としては、乗用型田植機に限らず、乗用型直播機等の他の植播系作業機であってもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 走行機体
2 作業装置
3 ミッションケース
4 支持台
5 リンク機構
5V 縦リンク
10 機体フレーム
10A 前後向きフレーム
10B 横向きフレーム
12 運転座席
19 操作レバー
30 動力取り出し軸
31 軸受部
32 ボス部
33 フランジ部
35 補強リブ
36 伝動軸
37 ユニバーサルジョイント
43 枢支軸
44 回り止め機構
45 係止用突片
45a 第1当たり面
45b 第2当たり面
45c 固定ボルト
47 横枢支軸
51,51 リンク部材
53 ストッパー機構
54 上限側ストッパー機構
55 下限側ストッパー機構
70 支持枠部材
71 ローリング作動用電動モータ
74 駆動ピニオン
75 従動ギヤ
76 スペーサ部材
x1 横軸心
x3 連結点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16