(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る電池モジュール1を示すものである。電池モジュール1は、例えば電気自動車やハイブリット自動車(プラグインハイブリッド自動車を含む)等の車両に搭載されて走行用モーター等に電力を供給するためのものである。尚、電池モジュール1は、例えば、電動フォークリフト等の車両に搭載することもできるし、電動式の船舶等に搭載することもできる。
【0020】
電池モジュール1は、多数の二次電池2(
図2、
図3等に示す)と、二次電池2を収容する内側ケースAと、内側ケースAを収容する外側ケースBと、二次電池2の正極端子に接続される正極側バスバーC(
図5、
図6に示す)と、二次電池2の負極端子に接続される負極側バスバーD(
図5、
図6に示す)と、ベースプレート(放熱部材)7(
図4に示す)とを備えている。二次電池2は、例えばリチウムイオン電池等であり、この実施形態では円柱形状をなしている。二次電池2の正極端子は長手方向の一端部に設けられ、負極端子は他端部に設けられている。
【0021】
尚、
図1では、二次電池2、内側ケースA、外側ケースB、正極側バスバーC及び負極側バスバーDからなるユニットYを1つだけ備えている場合について図示しているが、このユニットYを水平方向に並ぶように複数備えた構成とすることもできる。
【0022】
図4に示すように、ベースプレート7は、平面視で略長方形の板状をなして略水平に延びる姿勢で配設され、二次電池2から発生する熱を放熱するためのヒートシンクである。
図1〜
図3に示すように、ベースプレート7の表面(上面)には、外側ケースBの下面が接触した状態で配置されるようになっており、このときのユニットYの長手方向はベースプレート7の短辺方向と一致している。ベースプレート7の表面には、複数のユニットYをベースプレート7の長手方向に並べて配置してもよい。
【0023】
ベースプレート7の裏面(下面)には、ベースプレート7の長手方向に延びる多数のフィン7aがベースプレート7の短辺方向に互いに間隔をあけて形成されている。隣り合うフィン7a、7aの間の空間は、冷却風が流通可能な冷却風通路7bとされている。この冷却風通路7bは、フィン7aの長手方向に沿って延びている。冷却風通路7bの両端は開放されている。冷却風通路7bには外部から冷却風を送給することもできる。
【0024】
ベースプレート7の表面には、長手方向に延びる両端部近傍にそれぞれ段部7c、7cが形成されている。各段部7cはベースプレート7の長手方向に延びている。
【0025】
また、ベースプレート7には複数のスリット状貫通孔7d、7d、…が該ベースプレート7を表裏方向(上下方向)に貫通するように形成されている。各スリット状貫通孔7dは、ベースプレート7の長手方向に長く延びている。スリット状貫通孔7d、7d、…は、フィン7a、7aの間に位置しており、従って、ベースプレート7のフィン7a、7aが並ぶ方向に互いに間隔をあけて配置される。また、スリット状貫通孔7d、7d、…は、ベースプレート7の長手方向に互いに間隔をあけて配置される。尚、スリット状貫通孔7dの代わりに、円形や多角形の貫通孔を形成してもよい。スリット状貫通孔7dの数は任意に設定できる。
【0026】
ベースプレート7には複数の円形貫通孔7d、7d、…が該ベースプレート7を表裏方向に貫通するように形成されている。円形貫通孔7d、7d、…は、ベースプレート7においてスリット状貫通孔7dが形成された領域よりも外側の領域において、ベースプレート7の長手方向に互いに間隔をあけて配置される。円形貫通孔7dには、後述する外側ケースBの円柱状の位置決め部(突出部)65が挿入される。
図2に示すように位置決め部65は冷却風通路7bに突出するようになっている。また、この位置決め部65は、円形貫通孔7dに挿入された状態で円形貫通孔7dの周縁部に接触して外側ケースBをベースプレート7に対して位置決めすることができるものである。
【0027】
尚、図示しないが、ベースプレート7の内部に冷却風通路を形成してもよい。また、ベースプレート7の内部に冷媒が流通する冷媒通路を形成し、外部から冷媒の給排が可能となるように構成することもできる。
【0028】
図2、3等に示すように、内側ケースAは、上下方向に分割された上部内側ケース構成部材30と、下部内側ケース構成部材40とを有している。また、外側ケースBは、内側ケースAの同方向(上下方向)に分割された上部外側ケース構成部材50と、下部外側ケース構成部材60とを有している。そして、正極側バスバーC及び負極側バスバーDは、
図5及び
図6に示すように内側ケースAの外側に組み付けられ、
図2や
図3に示すように内側ケースAと共に外側ケースBに収容されている。
【0029】
図1に示すように外側ケースBは略直方体であり、分割部位は上下方向の中央部である。上部外側ケース構成部材50及び下部外側ケース構成部材60は共に絶縁性を有する樹脂材を射出成形してなるものである。
【0030】
図8に示すように下部外側ケース構成部材60は、上方に開放した箱形に形成されており、平面視で略矩形の底壁部61と、底壁部61の周縁部から上方へ延びる周壁部62とを備えている。
図9に示すように、底壁部61の下面には、4つの位置決め部65が下方へ突出するように形成されている。位置決め部65は、断面が円形であり、底壁部61の4つの角部近傍にそれぞれ配置されている。
【0031】
尚、図示しないが、例えばベースプレート7に突部を形成し、下部外側ケース構成部材60の底壁部61に係合部としての凹部または孔部を形成してもよい。この場合、ベースプレート7の突部を下部外側ケース構成部材60の凹部または孔部に挿入して係合させることができる。また、係合部としては、例えば凹部、孔部、突部等を組み合わせて設けることもできる。
【0032】
下部外側ケース構成部材60の周壁部62のうち、長手方向に延びる側壁部62a、62aには、上方に開放する切欠部62bがそれぞれ形成されている。また、側壁部62aの切欠部62bよりも下側には、複数の係合孔62cが貫通するように形成されている。この係合孔62cには、後述する内側ケースAに設けられた爪部41hが係合するようになっている。
【0033】
下部外側ケース構成部材60の周壁部62のうち、端壁部62d、62dには、上方に開放する切欠部62eがそれぞれ形成されている。また、端壁部62dにおける切欠部62eの両側方には、係合孔62fがそれぞれ貫通するように形成されている。この係合孔62fには、後述する内側ケースAに設けられた爪部41iが係合するようになっている。さらに、両端壁部62d、62dには、それぞれ切欠部62eの周縁部に沿うように延びるリブ64が下部外側ケース構成部材60の外方へ突出するように形成されている。
【0034】
図12及び
図13に示すように上部外側ケース構成部材50は、下方に開放した箱形に形成されており、平面視で略矩形の上壁部51と、上壁部51の周縁部から下方へ延びる周壁部52とを備えている。上壁部51の上面には、4つの突部55が上方へ突出するように形成されている。突部55は、断面が円形であり、上壁部51の4つの角部近傍にそれぞれ配置されている。
【0035】
上部外側ケース構成部材50の周壁部52のうち、長手方向に延びる側壁部52a、52aには、下方に開放する切欠部52bがそれぞれ形成されている。この上部外側ケース構成部材50の切欠部52bの開放部分は、上記下部外側ケース構成部材60の切欠部62bの開放部分と一致するようになっており、上部外側ケース構成部材50と下部外側ケース構成部材60とを組み合わせた状態で、切欠部52bと切欠部62bとで外側ケースBの両側壁部に冷却風の流通が可能な通風口としての開口部1a(
図1にのみ示す)がそれぞれ開口することになる。
【0036】
また、上部外側ケース構成部材50の側壁部52aの切欠部52bよりも上側には、複数の係合孔52cが貫通するように形成されている。この係合孔52cには、後述する内側ケースAに設けられた爪部31hが係合するようになっている。
【0037】
上部外側ケース構成部材50の周壁部52のうち、端壁部52d、52dには、上方に開放する切欠部52eがそれぞれ形成されている。この上部外側ケース構成部材50の切欠部52eの開放部分は、上記下部外側ケース構成部材60の切欠部62eの開放部分と一致するようになっており、上部外側ケース構成部材50と下部外側ケース構成部材60とを組み合わせた状態で、切欠部52eと切欠部62eとで外側ケースBの両端壁部に開口部1b(
図1にのみ示す)がそれぞれ形成されることになる。
【0038】
また、上部外側ケース構成部材50の端壁部52dにおける切欠部52eの両側方には、係合孔52fがそれぞれ貫通するように形成されている。この係合孔52fには、後述する内側ケースAに設けられた爪部31iが係合するようになっている。
【0039】
図12に示すように、上部外側ケース構成部材50の一方の端壁部52dには、正極側であることを示す正極マーク53が設けられている。さらに、両端壁部52d、52dには、それぞれ切欠部52eの周縁部に沿うように延びるリブ54が上部外側ケース構成部材50の外方へ突出するように形成されている。
【0040】
図2及び
図3に示すように、内側ケースAの電池収容用凹部31の底壁部31bと外側ケースBの上壁部51との間には、異常時に二次電池2から排出されたガスを外側ケースBの外部に導出するガス導出通路Rが形成されている。すなわち、図示しないが、二次電池2は異常時にガスを排出する排出弁が正極端子側に設けられている。二次電池2は、正極端子が上に位置するように配置されており、従って、異常時には二次電池2の上部からガスが排出されてガス導出通路Rに流出する。
【0041】
ガス導出通路Rは外側ケースBの長手方向に延びるように形成されている。ガス導出通路Rの両端部は、上部外側ケース構成部材50の両端壁部52d、52dの上部に形成された開口部52g、52gに連通していて外側ケースBの外部に常時開放されている。開口部52gは、端壁部52dの幅方向両端近傍に亘る細長い形状とされており、ガスを排出するのに十分な開口面積を持っている。
【0042】
図6、
図7に示すように内側ケースAは外側ケースBと同方向に長い形状を有しており、分割部位は上下方向の中央部である。上部内側ケース構成部材30及び下部内側ケース構成部材40は共に絶縁性を有する樹脂材を射出成形してなるものである。
【0043】
図14に示すように下部内側ケース構成部材40は、上方に開放した箱形に形成されており、多数の電池収容用凹部41を有する底壁部42と、底壁部42の周縁部から上方へ延びる周壁部43とを備えている。この実施形態では、電池収容用凹部41は内側ケースAの長手方向に並ぶとともに、幅方向にも並ぶように配置されており、それぞれに二次電池2の略下半部(負極端子側)が挿入された状態で嵌まり、これにより二次電池2が保持されるようになっている。
【0044】
各電池収容用凹部41の周壁部41aは、略円筒状に形成されている。隣接する電池収容用凹部41の周壁部41aは共通化されて隣り合う二次電池2の隙間を極小化している。
図15に示すように、隣接する電池収容用凹部41の底壁部41bは連続するように形成されている。
【0045】
各電池収容用凹部41の周壁部41aには、該電池収容用凹部41の深さ方向に延びる周壁スリット41cが形成されている。また、各電池収容用凹部41の底壁部41bには、周壁スリット41cに連続して電池収容用凹部41の径方向に延びる底壁スリット41dが形成されている。内側ケースAの長手方向に並ぶ電池収容用凹部41、41、…の底壁スリット41dは全て連続するように形成されている。従って、下部内側ケース構成部材40の底壁部42では、底壁スリット41dとが下部内側ケース構成部材40の長手方向に延びるスリットを構成することになる。
【0046】
底壁スリット41dは、二次電池2の負極端子を露出させるように形成されている。すなわち、各底壁スリット41dにおける長手方向の中央部は、両側に比べて幅が広く形成されて負極端子を露出可能な開口部となっている。この底壁スリット41dから露出した負極端子は、下部外側ケース構成部材60によって覆われるようになっている。
【0047】
電池収容用凹部41の外面には、下部外側ケース構成部材60の係合孔62cに係合する爪部41hが設けられている。
【0048】
また、下部内側ケース構成部材40の周壁部43には、下部外側ケース構成部材60の係合孔62fに係合する爪部41iが設けられている。さらに、下部内側ケース構成部材40の周壁部43の長手方向に延びる側壁部43bには、冷却風が流通する複数の通風口43cが長手方向に間隔をあけて形成されている。また、下部内側ケース構成部材40の周壁部43の上縁部には、複数の上部係合孔43gが設けられている。
【0049】
図19及び
図20に示すように上部内側ケース構成部材30は、下方に開放した箱形に形成されており、多数の電池収容用凹部31を有する上壁部32と、上壁部32の周縁部から下方へ延びる周壁部33とを備えている。電池収容用凹部31は、上向きの凹部であって、下部内側ケース構成部材40の電池収容用凹部41の直上方に位置するように形成されている。電池収容用凹部31には、それぞれに二次電池2の略上半部(正極端子側)が挿入された状態で嵌まり、これにより二次電池2が保持されるようになっている。
【0050】
各電池収容用凹部31は下部内側ケース構成部材40の電池収容用凹部41と同様に構成されている。すなわち、電池収容用凹部31は、周壁部31aと底壁部31bとを有しており、周壁部31aには、該電池収容用凹部31の深さ方向に延びる周壁スリット31cが形成され、また、底壁部31bには、周壁スリット31cに連続して電池収容用凹部31の径方向に延びる底壁スリット31dが形成されている。
【0051】
底壁スリット31dは、二次電池2の正極端子を露出させるように形成されている。すなわち、各底壁スリット31dにおける長手方向の中央部は、両側に比べて幅が広く形成されて正極端子を露出可能な開口部となっている。この底壁スリット31dから露出した正極端子は、上部外側ケース構成部材50によって覆われるようになっている。また、電池収容用凹部31の底壁スリット31dは、内側ケースAの外部に連通する連通部となっており、内側ケースAと外側ケースBとの間に設けられているガス導出通路Rが底壁スリット31dと連通している。
【0052】
電池収容用凹部31の外面には、上部外側ケース構成部材50の係合孔52cに係合する爪部31hが設けられている。
【0053】
また、上部内側ケース構成部材30の周壁部33には、上部外側ケース構成部材50の係合孔52fに係合する爪部31iが設けられている。さらに、上部内側ケース構成部材30の周壁部33の長手方向に延びる側壁部33bには、冷却風が流通する複数の通風口33cが長手方向に間隔をあけて形成されている。また、上部内側ケース構成部材30の周壁部33の下部には、下部内側ケース構成部材40の下部係合孔43gに係合する爪部33gが下部係合孔43gに対応するように設けられている。
【0054】
また、
図10及び
図11に示すように、内側ケースAの下部内側ケース構成部材40内には、熱伝導性を有する部材からなるシート状の第1熱伝導部材70が収容されており、二次電池2に発生した熱は第1熱伝導部材70に伝達するようになっている。第1熱伝導部材70は、例えばシリコンやアルミニウム合金等から構成されており、二次電池2が挿入される円形の挿入孔71が多数形成されている。挿入孔71の形成位置は、電池収容用凹部41に収容された二次電池2の位置と一致するように設定されている。挿入孔71の周縁部は、二次電池2の外周面に接触するように形成されているが、製造誤差等の原因によって一部が二次電池2の外周面から離れていることもある。
【0055】
例えばアルミニウム合金製の板材をプレス成形して第1熱伝導部材70を製造する場合、第1熱伝導部材70の挿入孔71の周縁部には、上方へ突出して周方向に延びる環状壁(バーリング形状)72が形成されている。また、第1熱伝導部材70の周縁部には、上方へ突出して周方向に延びる外周壁部(バーリング形状、折り曲げ形状)73が形成されている。
図16に示すように、第1熱伝導部材70の外周壁部73は、内側ケースAの下部内側ケース構成部材40の内側に嵌合するように形成されている。これにより、第1熱伝導部材70が下部内側ケース構成部材40に接触するので、第1熱伝導部材70の熱が下部内側ケース構成部材40に伝達されるようになる。尚、第1熱伝導部材70を下部内側ケース構成部材40に接触させないようにしてもよい。
【0056】
また、シリコン樹脂等からなるシートをトリミング成型して第1熱伝導部材70を製造する場合、図示しないが、全体が略同一の厚みを有するシートに挿入孔を形成することができる。この場合、二次電池を挿入孔に挿入する際に、シリコン樹脂シートが弾性体であることを利用してシートを弾性変形させながら容易に挿入することができる。
【0057】
第1熱伝導部材70は、二次電池2の上部及び下部を挿入孔71から露出させることができるように形成されている。また、第1熱伝導部材70は、内側ケースAの通風口33c及び通風口43cを通して外部から見えるように、即ち、外部に臨むように配設されている。尚、シリコン製の第1熱伝導部材70とアルミニウム合金製の第1熱伝導部材70とを組み合わせて用いてもよい。
【0058】
さらに、
図2や
図3に示すように、内側ケースAの下部内側ケース構成部材40内には、複数の二次電池2の間に形成された隙間に溶融状態で充填されて固化した熱伝導性を有する樹脂からなる第2熱伝導部材Hが収容されている。この第2熱伝導部材Hを構成する樹脂は、シリコン製樹脂、変性シリコン樹脂、アクリル樹脂などの従来から周知の熱伝導性を有する樹脂を用いることができる。第2熱伝導部材Hは、第1熱伝導部材70の下方に配置されており、第1熱伝導部材70の下面に接触している。また、第2熱伝導部材Hは、下部内側ケース構成部材40内面に接触している。さらに、第2熱伝導部材Hは、二次電池2の外周面にも接触している。第2熱伝導部材Hの材料となる溶融状態の樹脂は流動性を有しているので、並んでいる二次電池2間の隙間が狭くても浸入していき、二次電池2の外周面の広範囲に接触することになる。尚、第2熱伝導部材Hは、下部内側ケース構成部材40内面に接触しないように充填してもよい。また、第1熱伝導部材70と第2熱伝導部材Hとは接触させておいた方が好ましいが、接触させないようにしてもよい。
【0059】
図21等に示すように、正極側バスバーCは、二次電池2の端子同士を電気的に接続する導電性金属材料からなるものであり、バスバー本体80と、タブ96とを備えている。
【0060】
バスバー本体80は厚い板材をプレス成形してなるものであり、上部内側ケース構成部材30の上壁部31に沿って長手方向に延びる上板部81と、上板部81の長手方向一端部から下方へ延びる第1側板部82と、上板部81の長手方向他端部から下方へ延びる第2側板部83とを有している。上板部81には、内側ケースAの幅方向中央に並ぶ二次電池2の正極端子に対応する部位にそれぞれ上下方向に貫通する貫通部81aが形成されている。従って、貫通部81aは、内側ケースAの上壁部31における底壁スリット31dの幅が広い部分と一致することになり、二次電池2から排出されたガスが流通可能な部位となる。
【0061】
第1側板部82の略上半部は、上部内側ケース構成部材30の周壁部33に沿うように延びている。第1側板部82の略上半部には、上部内側ケース構成部材30の周壁部33に設けられている爪部33dに係合する係合孔(正極側第2係合部)82aが形成されている。
【0062】
第1側板部82の略下半部は、上部内側ケース構成部材30の周壁部33から離れる方向に突出するように形成されている。この第1側板部82の略下半部には、電池モジュール1の正極側の電極となる電極部84が固定されている。
【0063】
第1側板部82の電極部84よりも下側には、下部内側ケース構成部材40の周壁部43に接近する方向に延びた後、下方へ延びる鉤形状に形成された鉤部(正極側第1係合部)82bが設けられている。
図2に示すように、この鉤部82bは、下部内側ケース構成部材40の周壁部43に形成された係合孔43dに挿入された状態で係合するようになっている。
【0064】
また、第2側板部83は、第1側板部82よりも短く形成されており、上部内側ケース構成部材30の周壁部33に沿うように延びている。第2側板部83には、上部内側ケース構成部材30の周壁部33に設けられている爪部33eに係合する係合孔(正極側第2係合部)83aが形成されている。
【0065】
タブ96は、バスバー本体80に比べて薄く形成された板材で構成されている。タブ96もプレス成形されている。タブ96は、バスバー本体80の上板部81の下面に溶接される本体部96cを備えたものであり、二次電池2の並び方向(バスバー本体80の長手方向)に延びている。タブ96は、二次電池2の正極端子に溶接される屈曲した接続部96aを備えている。接続部96aにおける二次電池2の正極端子に溶接される部分は平坦に形成されており、上部内側ケース構成部材30の開口部としての底壁スリット31dに挿入された状態で二次電池2の正極端子にレーザースポット溶接される。接続部96aには、本体部96cとの間に配設されるヒューズ96bが一体成形されている。ヒューズ96bは線状に形成されており、二次電池2の正極端子と正極側バスバーCとの間に異常な大電流が流れた場合に溶断する。また、ヒューズ96bは、本体部96cとも一体成形されており、ヒューズ96bを設けることによって部品点数が増加するのを抑制している。
【0066】
図2等に示すように、負極側バスバーDは、正極側バスバーCと同様に構成されたバスバー本体100と、タブ110とを備えている。バスバー本体100は、下部内側ケース構成部材40の底壁部41に沿って長手方向に延びる下板部101と、下板部101の長手方向一端部から上方へ延びる第1側板部102と、下板部101の長手方向他端部から上方へ延びる第2側板部103とを有している。下板部101には、内側ケースAの幅方向中央に並ぶ二次電池2の正極端子に対応する部位にそれぞれ上下方向に貫通する貫通部101aが形成されている。従って、貫通部101aは、内側ケースAの下壁部41における底壁スリット41dの幅が広い部分と一致することになる。
【0067】
図2に示すように、第1側板部102の略下半部は、下部内側ケース構成部材40の周壁部43に沿うように延びている。第1側板部102の略下半部には、下部内側ケース構成部材40の周壁部43に設けられている爪部43iに係合する係合孔(負極側第2係合部)102aが形成されている。
【0068】
第1側板部102の略上半部は、下部内側ケース構成部材40の周壁部43から離れる方向に突出するように形成されている。この第1側板部102の略上半部には、負極側の電極となる電極部104が固定されている。
【0069】
第1側板部102の電極部104よりも上側には、上部内側ケース構成部材30の周壁部33に接近する方向に延びた後、上方へ延びる鉤形状に形成された鉤部(負極側第1係合部)102bが設けられている。この鉤部102bは、上部内側ケース構成部材30の周壁部33に形成された係合孔33iに挿入された状態で係合するようになっている。
【0070】
また、第2側板部103は、第1側板部102よりも短く形成されており、下部内側ケース構成部材40の周壁部43に沿うように延びている。第2側板部103には、下部内側ケース構成部材40の周壁部43に設けられている爪部43eに係合する係合孔(負極側第2係合部)103aが形成されている。
【0071】
タブ110は、下板部101の上面に溶接される本体部110cを有している。タブ110には、二次電池2の負極端子にレーザースポット溶接される接続部110aが設けられている。接続部110aは、本体部110cから延出する板状をなしている。尚、負極側にはヒューズは設けられていない。
【0072】
次に、上記のように構成された電池モジュール1を組み立てる場合について説明する。まず、下部内側ケース構成部材40の電池収容用凹部41に二次電池2をそれぞれ収容する。このとき、電池収容用凹部41の周壁部41a及び底壁部41bには周壁スリット41c及び底壁スリット41dがそれぞれ形成され、これら両スリット41c、41dが連続しているので、二次電池2の外径が電池収容用凹部41の内径よりも多少大きくても電池収容用凹部41を拡径するように弾性変形させながら二次電池2を挿入することができる。これにより、挿入後の二次電池2が電池収容用凹部41に嵌まって保持される。
【0073】
次いで、
図17及び
図18に示すように、第2熱伝導部材Hとなる溶融樹脂を二次電池2の間に充填する。
図17及び
図18において符号Nで示しているのは溶融樹脂を射出するディスペンサーノズルである。ディスペンサーノズルNの先端を、互いに隣り合う二次電池2、2の間に差し込むようにする。そして、ディスペンサーノズルNの先端から溶融樹脂を射出すると、溶融樹脂が二次電池2の間に流れ込んでいくとともに、下部内側ケース構成部材40の内面にも接触する。この溶融樹脂の充填範囲は、
図17に一点鎖線で示す範囲にするのが好ましいが、この範囲よりも広くてもよいし、狭くてもよい。溶融樹脂が固化することで第2熱伝導部材Hとなる。
【0074】
しかる後、第1熱伝導部材70を下部内側ケース構成部材40に組み付ける。すなわち、第1熱伝導部材70の挿入孔71に二次電池2を挿入し、第1熱伝導部材70の外周壁部73を下部内側ケース構成部材40の上端部に嵌合させる。これにより、第1熱伝導部材70が上記溶融樹脂の蓋になるので、上記溶融樹脂がまだ完全に固化していない状態で下部内側ケース構成部材40を傾けても溶融樹脂が流出してしまうのを抑制できる。
【0075】
その後、上部内側ケース構成部材30を下部内側ケース構成部材40の上方から下部内側ケース構成部材40に組み合わせる。このとき、二次電池2が上部内側ケース構成部材30の電池収容用凹部31に挿入されるが、下側の場合と同様に電池収容用凹部31を拡径するように弾性変形させながら二次電池2を挿入することができる。
【0076】
上部内側ケース構成部材30を下部内側ケース構成部材40に組み合わせると、下部内側ケース構成部材40の下部係合孔43gに、上部内側ケース構成部材30の爪部33gが係合する。この係合構造は、上部内側ケース構成部材30及び下部内側ケース構成部材40を仮に結合しておくためのものである。以上の工程によって内側ケースAが構成される。
【0077】
しかる後、正極側バスバーC及び負極側バスバーDを内側ケースAに組み付けていく。尚、正極側バスバーC及び負極側バスバーDのいずれから組み付けてもよい。
【0078】
正極側バスバーCを内側ケースAに組み付ける場合には、始めに正極側バスバーCの鉤部82bを下部内側ケース構成部材40の係合孔43d(
図2に示す)に挿入して係合させる。この鉤部82bの挿入時には正極側バスバーCの上板部81を内側ケースAの上壁部31から離した状態として鉤部82bをその先端側から挿入していき、その後、上板部81を内側ケースAの上壁部31に載置する。上板部81を内側ケースAの上壁部31に載置すると、正極側バスバーCの係合孔82aに内側ケースAの上部内側ケース構成部材30の爪部33dが入り込んで係合するとともに、正極側バスバーCの係合孔83aに内側ケースAの上部内側ケース構成部材30の爪部33eが入り込んで係合する。これにより、正極側バスバーCが上部内側ケース構成部材30及び下部内側ケース構成部材40の両方に係合することになるので、正極側バスバーCによって上部内側ケース構成部材30及び下部内側ケース構成部材40を結合状態とすることができる。つまり、正極側バスバーCの組み付けが完了すると同時に、上部内側ケース構成部材30及び下部内側ケース構成部材40の結合も完了するので、上部内側ケース構成部材30及び下部内側ケース構成部材40の結合作業時に締結部材等を別途用いて行う必要はない。
【0079】
次いで、正極側バスバーCのタブ96の接続部96aを二次電池2の正極端子に溶接する。タブ96がバスバー本体80よりも薄くなっているので、二次電池2の端子に溶接する際に与える熱量が少なくても該端子に溶接可能である。よって、溶接時の熱によって二次電池2が損傷してしまうのを抑制することが可能になる。
【0080】
負極側バスバーDを内側ケースAに組み付ける場合には、始めに負極側バスバーDの鉤部102bを上部内側ケース構成部材30の係合孔33i(
図2に示す)に挿入して係合させる。この鉤部102bの挿入時には負極側バスバーDの下板部101を内側ケースAの下壁部41から離した状態として鉤部102bをその先端側から挿入していき、その後、下板部101を内側ケースAの下壁部41に接触させる。下板部101を内側ケースAの下壁部41に接触させると、負極側バスバーDの係合孔102aに内側ケースAの下部内側ケース構成部材40の爪部43iが入り込んで係合するとともに、負極側バスバーDの係合孔103aに内側ケースAの下部内側ケース構成部材40の爪部43eが入り込んで係合する。これにより、負極側バスバーDが上部内側ケース構成部材30及び下部内側ケース構成部材40の両方に係合する。そして、タブ110の接続部110aを二次電池2の負極端子に溶接する。
【0081】
その後、内側ケースAを下部外側ケース構成部材60の上方から下部外側ケース構成部材60に収容する。すると、下部外側ケース構成部材60の係合孔62fに下部内側ケース構成部材40の爪部41iが入り込んで係合する。
【0082】
次いで、上部外側ケース構成部材50を下部外側ケース構成部材60の上方から下部外側ケース構成部材60に組み合わせる。すると、上部外側ケース構成部材50の係合孔52fに上部内側ケース構成部材30の爪部31iが入り込んで係合する。つまり、上部外側ケース構成部材50及び下部外側ケース構成部材60を内側ケースAに固定して一体化することができるので、締結部材等は不要である。以上の工程により外側ケースBが構成されて
図1に示すユニットYが得られる。
【0083】
ユニットYを構成する際、内側ケースAと外側ケースBの分割方向が同方向であるため、内側ケースAの向きを変えることなく、外側ケースBを組み立てることが可能になる。また、内側ケースAから露出した二次電池2の正極端子及び負極端子は、外側ケースBにより覆われるので絶縁が確実に行われる。
【0084】
ユニットYは、ベースプレート7の上面に外側ケースBの底壁部61が接触した状態で載置される。このとき、外側ケースBの底壁部61の位置決め部65がベースプレート7の円形貫通孔7eに挿入されて係合するので、ユニットYが水平方向には移動しないようにベースプレート7に対して位置決めされて電池モジュール1が得られる。このとき、ユニットYの重量によって位置決め部65を円形貫通孔7eに確実に挿入して抜けないようすることができる。尚、図示しないが、ユニットYはベースプレート7の上面に水平方向に複数並べて載置することができ、それらを直列又は並列に接続して使用することができる。
【0085】
電池モジュール1の使用時には二次電池2が発熱することがある。この実施形態では、二次電池2の熱は内側ケースA内部の第1熱伝導部材70及び第2熱伝導部材Hに伝わって放熱される。このとき、二次電池2が第1熱伝導部材70の挿入孔71に挿入されているので、二次電池2の熱が第1熱伝導部材70に伝達する。第1熱伝導部材70には複数の挿入孔71が形成されているので、第1熱伝導部材70が1つであっても、複数の二次電池2の放熱が行える。また、第2熱伝導部材Hは二次電池2の間に充填されているので、複数の二次電池2の熱が第2熱伝導部材Hに効率よく伝達する。これらのことにより、各々の二次電池2の温度が均一になるように放熱されることになる。
【0086】
さらに、二次電池2の熱は内側ケースA及び外側ケースBを介してベースプレート7にも伝わって放熱される。このとき、内側ケースAには通風口33c及び通風口43cが形成され、外側ケースBには切欠部52b、62bによって
図1に示す通風口1aが形成されているので、二次電池2の冷却風を外側ケースBの一方の側壁部の通風口1aから外側ケースB及び内側ケースA内に流入させた後、他方の側壁部の通風口1aからスムーズに流出させることが可能になる。よって、二次電池2が収容されている部分への冷却風の供給が可能になり、冷却性能が向上する。さらに、ベースプレート7は外側ケースBの外部に配置されているので冷却風が当たりやすく十分な冷却性能が得られる。また、ベースプレート7の冷却風通路7bに冷却風を積極的に供給することで冷却性能がより一層向上する。
【0087】
また、ベースプレート7には複数のスリット状貫通孔7dが形成されていて放熱面積が広く確保されており、このことによっても二次電池2の熱が効率よく放熱される。また、外側ケースBの位置決め部65が冷却風通路7bに突出するようになっているので、位置決め部65に冷却風が当たる。これにより、二次電池2の熱が位置決め部65を介して放熱されることになり、二次電池2の熱がより一層効率よく放熱される。
【0088】
万が一、電池モジュール1の使用時に二次電池2が異常状態になって正極端子側からガスが噴出した場合には、内側ケースAの上壁部31の底壁スリット31dから正極側バスバーCの上板部81の貫通部81aを流通してガス導出通路Rに流出する。ガス導出通路Rに流出したガスは外側ケースBの長手方向に流れて開口部52g、52gから外部に導出される。
【0089】
以上説明したように、この実施形態によれば、内側ケースA内に、二次電池2が挿入される複数の挿入孔71を有する第1熱伝導部材70と、溶融状態で充填されて固化した熱伝導性を有する樹脂からなる第2熱伝導部材Hとを収容したので、各々の二次電池2の温度が均一になるように放熱できる。
【0090】
また、第1熱伝導部材70と第2熱伝導部材Hと接触させることで、各々の二次電池2の温度をより一層均一化することができる。
【0091】
図22に示す変形例のように、2つの第1熱伝導部材70、70の間に第2熱伝導部材Hを設けるようにしてもよい。この変形例では、まず、下側の第1熱伝導部材70を下部内側ケース構成部材40に収容した後、その第1熱伝導部材70の上面に第2熱伝導部材Hとなる溶融樹脂を充填する。その後、上側の第1熱伝導部材70を第2熱伝導部材Hの上に重ねる。このものでは、溶融樹脂を第1熱伝導部材70、70で挟むことができるので、溶融樹脂が固化するまでに下部内側ケース構成部材40が傾いたとしても、溶融樹脂が流出してしまうのを抑制することができる。
【0092】
また、上記の場合、第1熱伝導部材70と第2熱伝導部材Hとを正極端子側に充填および挿入することによって、二次電池2の温度を安定させることができると共に、一部の二次電池2に異常が起きて、一部の二次電池2からガスが噴出したとしても、ガスが他の二次電池2の隙間から入り込んで他の二次電池2が爆発するのを防止することができる。
【0093】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。