(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ブロックにタイヤ周方向にずれるように形成された複数の溝は、前記ブロックを区画する溝に対して両端が直接接続されないブロック中央溝と、前記ブロックを区画する溝に対して一端が接続され他端が直接連結されない溝であって、前記主溝よりも浅い溝であるブロック内浅溝とが形成され、
前記ブロック内浅溝はタイヤ周方向に2本が離れて位置し、当該2本のブロック内浅溝のうち一方が前記一方の主溝に連結され、他方が前記他方の主溝に連結され、
前記ブロック中央溝は、前記ブロック内浅溝のタイヤ赤道に近い側の端部よりもタイヤ赤道寄りの領域に形成される請求項3に記載の空気入りタイヤ。
【背景技術】
【0002】
非舗装路の走行に好適な、トレッド部にブロックパターンを備えた空気入りタイヤ(以下、「空気入りタイヤ」を「タイヤ」と表記する)として、例えば特許文献1に記載されたタイヤがある。
【0003】
特許文献1に記載されたタイヤは、タイヤ赤道上にタイヤ周方向に連続するストレートリブを形成すると共に、該ストレートリブの両側にそれぞれ隣接させて、平面視で多角形状の多数のブロックを配置し、該ブロックと前記ストレートリブとの間を、溝幅を異にする周方向溝で区画したタイヤである。そして、前記ブロックを区画する横溝のタイヤ周方向に対する傾斜角度を少なくもタイヤ接地部の中央領域において30〜50°にすると共に、前記周方向溝の溝幅の広い部分における溝底に前記ストレートリブから前記ブロックの側壁に向かって突出し、かつ溝底から隆起する底上げ部を形成し、該底上げ部の形成により前記周方向溝の溝底が略等幅となるようにしたものである。
【0004】
このタイヤは、特許文献1の記載によると、トレッド部のタイヤ幅方向の中央部にストレートリブを形成したので、トレッド部の中央部における剛性を高めることによりブロックのゴム欠けを防いで、耐チッピング性能を向上させることができるとされている。そして、このストレートリブの両側に配置されたブロックをタイヤ周方向に対して30〜50°で傾斜する横溝により区画したことにより、トラクション性能を確保しながら、ストレートリブと隣接するブロック列との間の周方向溝の溝幅を異ならせたことにより、溝幅の大きな部分における土砂などの把持力を高めてトラクション性能を向上できるとされている。
【0005】
ところで、氷雪路用タイヤにおいては、雪路トラクション性能を向上させることを目的として、雪柱せん断効果を発揮させるため、トレッド部に横溝が多く設けられている。しかし、路面上に小石が多く存在する、砂利道等の非舗装路を主に走行する車両のタイヤにおいて、雪路走行にも対応させるべく、氷雪路用タイヤのようにトレッド部に多くの溝を設けると、トレッド面が細分化されることとなり、個々のブロックの体積が小さくなってしまうことから、各ブロックの剛性が小さくなり、当該各ブロックにカットチップと呼ばれる損傷(具体的には、小石によるブロックの裂傷)が発生しやすくなる。
【0006】
しかし、特許文献1に記載されたタイヤでは、カットチップ発生の問題には着目されているものの(前記「耐チッピング性能を向上」)、カットチップ発生の問題に対処しつつ雪路トラクション性能を向上させることに関して考慮されていなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、非舗装路の走行に好適であって、カットチップを抑制しつつ雪路でも高いトラクション性能を発揮できる空気入りタイヤを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、トレッド部にブロックパターンを備えた空気入りタイヤにおいて、タイヤ赤道を挟んで一対が形成され、各々がタイヤ周方向に亘って形成された主溝であって、各主溝はタイヤ周方向に対して傾斜する正傾斜部、当該正傾斜部の傾斜方向に対して反対に傾斜する逆傾斜部、前記正傾斜部と前記逆傾斜部とを連結する屈曲部を備え、前記正傾斜部と前記逆傾斜部とがタイヤ周方向に交互に並び、前記各主溝のうち一方の主溝におけるタイヤ赤道に近い側の屈曲部と、他方の主溝におけるタイヤ赤道から遠い側の屈曲部とがタイヤ幅方向に並んで位置する主溝と、基端が前記各主溝におけるタイヤ赤道に近い側の屈曲部に接続され、タイヤ赤道に向かいつつも先端がタイヤ赤道を越えない位置にある横溝と、前記横溝のうちで一方の主溝に接続された横溝と、当該横溝にタイヤ周方向で隣り合う横溝であって他方の主溝に接続された横溝との間のタイヤ周方向領域に位置し、少なくとも一端が前記各主溝に直接接続されない副横溝と、をトレッド部に備え
、前記横溝の基端における幅が前記主溝の幅よりも広い空気入りタイヤである。
【0010】
この構成によれば、ブロックパターンであることにより、非舗装路の走行に好適である。そして、主溝により非舗装路走行及び雪路走行においてトラクション効果が確保される。そして、前記各主溝のうち一方の主溝におけるタイヤ赤道に近い側の屈曲部と、他方の主溝におけるタイヤ赤道から遠い側の屈曲部とがタイヤ幅方向に並んで位置することにより、一対の主溝がタイヤ幅方向に平行に並ぶことになる。このため、一対の主溝間の距離をタイヤ周方向で均一にできることから、当該主溝間に形成される複数のブロックの大きさをタイヤ周方向で均一にでき、余りに大きさの異なるブロックがタイヤ周方向に並んでしまうことを回避できる。このため、剛性の小さなブロックの形成を抑制でき、これによりカットチップ発生を抑制できる。そして、タイヤ赤道に向かう横溝により、雪柱せん断効果を発揮できる。加えて、当該横溝がタイヤ赤道を越えない位置にあることにより、トレッド部において相対的に接地圧の高い領域であるタイヤ赤道周辺の領域で接地面積を確保できる。このため、接地圧がブロックに過大にかかることを避けることができるため、この点でもカットチップ発生を抑制できる。そして、副横溝により前記横溝による雪柱せん断効果を増強できる。加えて、当該副横溝の少なくとも一端が前記各主溝に接続されないことにより、両端とも主溝に接続された構成に比べてブロックの剛性低下を抑制でき、この点でもカットチップ発生を抑制できる。
【0011】
また、前記副横溝は、両端とも前記各主溝に直接接続されない横溝間副横溝を含み、前記横溝間副横溝は、タイヤ周方向に延びるように形成された連結溝を介して、一方の端部が前記一方の主溝に接続された横溝に接続され、他方の端部が前記他方の主溝に接続された横溝に接続されているものとできる。
【0012】
この構成によれば、横溝間副横溝の両端部が連結溝を介して横溝に接続されていることにより、横溝間副横溝に雪が詰まることで雪柱せん断効果が失われることを抑制できる。
【0013】
また、前記トレッド部のブロックは、前記主溝、前記横溝、前記横溝間副横溝、前記連結溝によって区画され、前記副横溝は、前記ブロックにタイヤ周方向にずれるように形成された複数の溝を含み、前記複数の溝は、前記ブロックを区画する溝に対して少なくとも一端が直接接続されないものとできる。
【0014】
この構成によれば、複数の溝がブロック内に形成されたことにより、前記横溝による雪柱せん断効果を増強できる。そして、これら複数の溝は、前記ブロックを区画する溝に対して少なくとも一端が直接接続されないことから、複数の溝自体によるブロックの剛性低下を抑制でき、これによりカットチップ発生を抑制できる。
【0015】
また、前記トレッド部のブロックは、前記主溝、前記横溝、前記横溝間副横溝、前記連結溝によって区画され、前記副横溝は、前記ブロックを区画する溝に対して直接接続されないよう形成されたブロック内副横溝を含み、前記ブロック内副横溝の一端は、前記副横溝に含まれる溝でありタイヤ周方向に延びるように形成されたブロック内連結溝を介して、前記横溝のうちで一方の主溝に接続された横溝と、当該横溝にタイヤ周方向で隣り合う横溝であって他方の主溝に接続された横溝と、のいずれかに接続され、前記ブロック内副横溝の他端は、前記ブロック内連結溝を介して、前記横溝のうちで前記他方の主溝に接続された横溝と、前記一方の主溝に接続された横溝と、のいずれかに接続されるものとできる。
【0016】
この構成によれば、ブロック内副横溝の両端部がブロック内連結溝を介して横溝に接続されていることにより、ブロック内副横溝に雪が詰まることで雪柱せん断効果が失われることを抑制できる。
【0017】
また、前記ブロックにタイヤ周方向にずれるように形成された複数の溝は、前記ブロックを区画する溝に対して両端が直接接続されないブロック中央溝と、前記ブロックを区画する溝に対して一端が接続され他端が直接連結されない溝であって、前記主溝よりも浅い溝であるブロック内浅溝とが形成され、前記ブロック内浅溝はタイヤ周方向に2本が離れて位置し、当該2本のブロック内浅溝のうち一方が前記一方の主溝に連結され、他方が前記他方の主溝に連結され、前記ブロック中央溝は、前記ブロック内浅溝のタイヤ赤道に近い側の端部よりもタイヤ赤道寄りの領域に形成されるものとできる。
【0018】
この構成によれば、ブロック中央溝により、前記横溝による雪柱せん断効果を増強できる。そして、主溝よりも浅いブロック内浅溝がブロック内に形成されたことにより、ブロック内浅溝が前記横溝による雪柱せん断効果を増強しつつも、ブロックに深い溝が形成された構成に比べて、ブロックの剛性低下を抑制できる。そして、ブロック内浅溝が主溝へ連結されていることにより、ブロック内浅溝に雪が詰まり、雪柱せん断効果が失われることを抑制できる。そして、前記ブロック中央溝は、前記ブロック内浅溝のタイヤ赤道に近い側の端部よりもタイヤ赤道寄りの領域に形成されることにより、ブロック中央溝に隣接するブロックに平面視で鋭角の部分が発生せず、カットチップ発生を抑制できる。
【0019】
また、前記横溝の幅寸法は、当該横溝が接続された前記主溝の側よりもタイヤ赤道側の方が小さいものとできる。
【0020】
この構成によれば、トレッド部において相対的に接地圧の高い領域であるタイヤ赤道周辺の領域で接地面積を確保できる。このため、接地圧がブロックに過大にかかることを避けることができることで、カットチップ発生を抑制できる。更に、主溝に接続される部分では横溝の幅寸法が大きいことから、主溝から押し出された雪を横溝の内部に導きやすく、強固な雪柱を形成することで、更に強い雪柱せん断効果を発揮できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、主溝により剛性の小さなブロックの形成を抑制でき、これによりカットチップ発生を抑制できる。そして、横溝により雪柱せん断効果を発揮でき、接地圧がブロックに過大にかかることを避けることができるため、この点でもカットチップ発生を抑制できる。そして、副横溝により前記横溝による雪柱せん断効果を増強でき、加えて、ブロックの剛性低下を抑制でき、この点でもカットチップ発生を抑制できる。これらのことから、
非舗装路の走行に好適であって、カットチップを抑制しつつ雪路でも高いトラクション性能を発揮できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明につき、一実施形態に係る空気入りタイヤを取り上げて説明を行う。本実施形態のタイヤのトレッドパターンは
図1に示すようにブロックパターンである。
【0024】
このタイヤはトレッド部に、主溝11、横溝12、副横溝を備える。主溝11,11は、タイヤ赤道Eを挟んで一対が形成され、各々がタイヤ周方向に亘って形成されている。各主溝11はタイヤ周方向に対して傾斜する正傾斜部111a、当該正傾斜部111aの傾斜方向に対して反対に傾斜する逆傾斜部111b、正傾斜部111aと逆傾斜部111bとを連結する屈曲部112(112a,112b)を備える。前記正傾斜部111aと前記逆傾斜部111bとは、タイヤ周方向に交互に並ぶ。そして、各主溝のうち一方の主溝11におけるタイヤ赤道Eに近い側の屈曲部112aと、他方の主溝11におけるタイヤ赤道Eから遠い側の屈曲部112bとがタイヤ幅方向に並んで位置する。
【0025】
また横溝12は、基端が前記各主溝11におけるタイヤ赤道Eに近い側の屈曲部112aに接続され、タイヤ赤道Eに向かいつつも先端がタイヤ赤道Eを越えない位置にある。また副横溝は、前記横溝12のうちで一方の主溝11に接続された横溝12と、この横溝12にタイヤ周方向で隣り合う横溝12であって他方の主溝11に接続された横溝12との間のタイヤ周方向領域に位置し、少なくとも一端が前記各主溝11に直接接続されない。
【0026】
前記副横溝は、本実施形態では、横溝間副横溝13、連結溝14、ブロック内副横溝15、ブロック内連結溝16、ブロック内浅溝17から構成されている。本実施形態では、主溝11、横溝12、横溝間副横溝13、連結溝14によりトレッド部が区画され、
図2にハッチングを付して示した陸部であるセンター大ブロック21…21が形成される。各センター大ブロック21は更に、ブロック内副横溝15、ブロック内連結溝16、ブロック内浅溝17により区画されて4個の小ブロック211〜214が形成される。また、トレッド部には、主溝11よりもショルダー側にショルダー横溝18が形成されている。主溝11とショルダー横溝18によりショルダーブロック22…22が形成される。
【0027】
主溝11は、タイヤ周方向に沿い、「V」字形状が連続するように(ジグザグに延びるように)形成された溝である。つまりこの主溝11は、タイヤ周方向に対して所定角度で傾斜して延びる正傾斜部111a、及び、当該傾斜から反対の傾斜に転じる部分である屈曲部112を有する。屈曲部112では、屈曲前である正傾斜部111aの傾斜角度と同一角度であって、タイヤ幅方向の逆方向(タイヤ周方向を基準とした対称方向)に屈曲する。そして、屈曲後である逆傾斜部111bにて前記逆方向に延びる。タイヤ周方向にこれが繰り返される。なお前記「同一角度」は、厳密に同一の角度に限定されるものではなく、設計及び製造に起因する角度のずれは許容される。このように、主溝11はタイヤ周方向に沿ってジグザグに延びる。つまり、主溝11の延びる方向がタイヤの回転方向に対して斜め向きに延びることから、非舗装路走行及び雪路走行において、主溝11によるトラクション効果が確保される。特に雪路走行中においては、主溝11により雪柱が形成されることによる雪柱せん断効果により、雪路での走行性能を確保できる。
【0028】
本実施形態のトレッド部には、タイヤ赤道Eを挟むように、タイヤ幅方向の一方側と他方側に並列して二本の主溝11,11が形成されている。この二本の主溝11,11により前記一対を構成する。一方の主溝11とタイヤ赤道Eを挟んだ他方の主溝11とは、タイヤ幅方向に平行に並ぶ関係にある。つまり、一方の主溝11においてタイヤ赤道Eに近い側の屈曲部112aに対し、タイヤ幅方向にずれた位置に、他方の主溝11においてタイヤ赤道Eから遠い側の屈曲部112bが位置する。このように、一方の主溝11の幅方向内側頂点(タイヤ赤道Eに近い側の屈曲部112a)と他方の主溝11の幅方向外側頂点(タイヤ赤道Eから遠い側の屈曲部112b)をタイヤ幅方向で一致させることにより、一対の主溝11,11間の距離をタイヤ周方向で均一にできることから、主溝11,11間に形成される複数のセンター大ブロック21…21の大きさをタイヤ周方向で均一にでき、余りに大きさの異なるブロックがタイヤ周方向に並んでしまうことを回避できる。このため、剛性の小さなブロックの形成を抑制でき、これによりカットチップ発生を抑制できる。
【0029】
なお、前記「タイヤ幅方向にずれた位置」とは、厳密にタイヤ幅方向に移動した位置に限定されるものではなく、設計及び製造に起因する、タイヤ周方向にずれた位置も含む。タイヤ幅方向に平行に並ぶ関係にある、一方の主溝11における屈曲部112a,112bと、他方の主溝11における屈曲部112b,112aの、タイヤ周方向のずれはトレッドパターンの1ピッチに対して5%以内とされている。このずれが5%を超えると、複数のセンター大ブロック21…21の形状がタイヤ周方向において不均一となり、カットチップ発生の原因となるため好ましくない。
【0030】
主溝11のタイヤ幅方向における「V」字の振幅Wは、トレッド部における接地幅の15%以上とされる。この振幅Wは、
図3に示すように、各主溝11においてタイヤ赤道Eに近い側の屈曲部112aにおけるタイヤ幅方向の中心と、タイヤ赤道Eから遠い側の屈曲部112bの中心とのタイヤ幅方向に沿う距離である。これにより、トレッド部におけるタイヤ幅方向の一定範囲を主溝11がカバーできることにより、前記トラクション効果を有効に発揮できる。
【0031】
また、主溝11の幅方向の振幅Wは、トレッドパターンの1/2ピッチ(1/2P)よりも小さい。これにより、センター大ブロック21のタイヤ周方向長さを大きく取ることができ、カットチップを抑制できる。主溝11の振幅がトレッドパターンの1/2ピッチを超えると、ブロック2に平面視で鋭角のエッジが出現し、カットチップが生じやすくなるため好ましくない。
【0032】
主溝11におけるタイヤ赤道側の縁部には、
図1に示すように段差部113が形成されている。この段差部113は、基本的には本願出願人による特開平11−170816号公報で開示した構成と同構成である。つまりこの段差部113は、主溝11の底面よりも浅い位置において、凸部113aと凹部113bとが主溝11の延びる方向に沿って繰り返すように形成されている。この段差部113は、主溝11の底面よりも浅い位置に形成されているため、例えば泥濘路を走行する際にタイヤの沈み込みを抑制できる。また、凸部113aと凹部113bとが走行路に噛み込むことによりせん断効果を生じさせ、特に雪路や泥濘路を走行する際に、主溝11によるトラクション効果を確保できる。
【0033】
横溝12は、前記主溝11におけるタイヤ赤道Eに近い側の屈曲部112aに接続され、タイヤ赤道Eに向かってタイヤ幅方向に沿って延びる溝である。この横溝12は、タイヤ赤道Eに近い部分の幅が狭く、タイヤ赤道Eから遠い部分の幅が広く、幅端縁122,122が直線状とされた、平面視(本明細書においてはタイヤ径外側から見た場合を指す。以下同じ。)において楔状の溝である。直線状の幅端縁122,122は、後述する石噛抑制突起3に対して略平行となっている。なお、前記「タイヤ幅方向に沿って延びる」形態としては、横溝12の延びる方向が厳密にタイヤ幅方向と一致した形態に限定されるものではなく、設計及び製造に起因する、タイヤ幅方向に対して角度をもって延びる形態も含む。
【0034】
この横溝12は、雪路走行中に雪柱を形成することで雪柱せん断効果が発揮される。また、この横溝12により形成される雪柱は主溝11により形成される雪柱と接続された略「T」字状の形態となるため、雪柱せん断効果がより強まり、雪路での走行性能をより確実とできる。
【0035】
また、もし横溝12がタイヤ赤道Eから遠い側の屈曲部112bに接続されたとすると、主溝11と横溝12とにより形成されるセンター大ブロック21,21の角部が平面視で鋭角となるため、当該鋭角部分における剛性低下によりカットチップ発生の可能性が高まる。これに対し、本実施形態の横溝12は、主溝11におけるタイヤ赤道Eに近い側の屈曲部112aに接続されていることから、
図1から明らかなように、主溝11と横溝12とにより形成されるセンター大ブロック21,21の角部2a,2aが平面視で鈍角となり、角部2a,2aにおける剛性低下を抑制でき、カットチップ発生の可能性を低減できる。
【0036】
この横溝12は前述のようにタイヤ赤道Eに近い部分の幅が狭く、タイヤ赤道Eから遠い部分の幅が広い。このため、横溝12において幅の広い部分である主溝11との接続部121にて、主溝11から押し出された雪を横溝12の内部に導きやすい。本実施形態では、接続部121における横溝12の幅は主溝11の幅よりも広いことから、より一層、雪を主溝11から横溝12の内部に導きやすい。しかも横溝12の幅は、タイヤ赤道Eに向かうにつれて狭くなる。このため、トレッド部において相対的に接地圧の高い領域であるタイヤ赤道E周辺の領域で、横溝12が狭くなった分、当該領域の陸部面積を確保できる。よって、接地圧がセンター大ブロック21に過大にかかることを避けることができるため、センター大ブロック21にカットチップが発生する可能性を低減できる。
【0037】
横溝12における幅端縁122の、タイヤ幅方向を基準とした傾斜角度θ(
図4参照)は、20度以下とすることが好ましい。傾斜が20度を超えると、横溝12によるトラクション効果が低下するからである。
【0038】
また、走行中のタイヤは、接地の際の路面からの押圧により、トレッド部において「面内収縮」と呼ばれる、タイヤ幅方向における曲げ変形が繰り返される。特に主溝11と横溝12との接続部121においては、この「面内収縮」により雪が圧縮されることにより強固な雪柱を形成できる。このため、主溝11と横溝12との接続部121において雪柱せん断効果が増強され、雪路での走行性能をより確実とできる。
【0039】
更に、この横溝12の先端は、タイヤ赤道Eを越えない位置(タイヤ赤道Eに一致する位置を含む)にあるため、トレッド部において相対的に接地圧の高い領域であるタイヤ赤道E周辺の領域を、横溝12の延長位置において溝の形成されていない陸部とできるため、当該領域の陸部面積を確保できる。よって、接地圧がセンター大ブロック21に過大にかかることを避けることができるため、センター大ブロック21にカットチップが発生する可能性を低減できる。
【0040】
また、この横溝12の深さは主溝11の深さと同じである。このため、長期の使用によりトレッド部が摩耗しても、前述した横溝12による雪柱せん断効果が持続される。
【0041】
横溝12における溝底面の中央(略中央)からは石噛抑制突起3が上方に突出している。この石噛抑制突起3の具体的形状は、
図4に示すように台形であり、この台形形状における平行な辺がタイヤ周方向に沿うように位置している。この石噛抑制突起3は、上方ほど断面積が小さくなる形状とされている。石噛抑制突起3の中央には柱部31が位置する。この柱部31は、頂面311が平面とされている。そして、柱部31を取り囲むようにして周囲部32が位置する。周囲部32の上面は斜面とされている。
【0042】
横溝12に石噛抑制突起3が形成されたことにより、横溝12内の空間は一部が塞がれている。このため、横溝12に入り込もうとした小石の多くは石噛抑制突起3に当たって跳ね返される。このため、横溝12に小石が入り込むことを抑制できる。
【0043】
そして走行中のタイヤは、接地の際の路面からの押圧により、トレッド部において前記「面内収縮」が繰り返されるため、もし横溝12に小石が入り込んだ場合であっても、この小石を周囲部32の斜面に沿わせて横溝12内で移動させて横溝12から排出できる。
【0044】
次に、前記副横溝のうち両端とも前記各主溝11に直接接続されない横溝間副横溝13は、タイヤ赤道Eを越え、タイヤ幅方向に対して傾いて延びる溝である。この横溝間副横溝13は、一方の横溝12と他方の横溝12とのタイヤ周方向中間部に位置する。これにより、横溝間副横溝13によって区画されるセンター大ブロック21の形状を均等にできる。
【0045】
そして、この横溝間副横溝13の両端は、タイヤ周方向に延びるように形成された連結溝14を介して横溝12におけるタイヤ赤道E側の端部と接続されている。なお、前記「タイヤ周方向に延びる」形態としては、連結溝14の延びる方向が厳密にタイヤ周方向と一致した形態に限定されるものではなく、図示のようにタイヤ周方向に対して角度をもって延びる形態も含む。
【0046】
横溝間副横溝13が連結溝14を介して横溝12に接続されていることにより、横溝間副横溝13の両端は閉鎖されずにオープンとなる。このため、横溝間副横溝13の雪を、連結溝を介して横溝12に排出できるので、横溝間副横溝13に雪が詰まることで雪柱せん断効果が失われることを抑制できる。
【0047】
横溝間副横溝13の先端は、横溝12の先端よりもショルダー側に位置する。つまり、タイヤ幅方向における横溝間副横溝13の形成領域は、タイヤ幅方向における横溝12の形成領域よりも広く、オーバーラップする関係にある。このため、前述のように、横溝12の幅がタイヤ赤道Eに向かうにつれて狭くなることによる、横溝12のトラクション効果の低下分を、このオーバーラップした横溝間副横溝13が補填できる。
【0048】
横溝間副横溝13のタイヤ幅方向を基準とした、溝中心における傾斜は15度以下とすることが好ましい。傾斜が15度を超えると、横溝間副横溝13によるトラクション効果が低下するからである。
【0049】
次に、ブロック内副横溝15は、
図5(A)にハッチングを付して示した溝であり、センター大ブロック21の中央(略中央)に位置し、タイヤ赤道Eを挟むように、略「S」字状に屈曲しつつタイヤ周方向に向かうように形成されている。このブロック内副横溝15は、主溝11と同一深さの溝であって、主溝11には直接接続されておらず、タイヤ周方向に延びるように形成されたブロック内連結溝16(
図5(B)にハッチングを付して示す)を介して、一方の主溝11に接続された横溝12と、当該横溝12にタイヤ周方向で隣り合う横溝であって他方の主溝11に接続された横溝12とに接続されている。なお、前記「タイヤ周方向に延びる」形態としては、ブロック内連結溝16の延びる方向が厳密にタイヤ周方向と一致した形態に限定されるものではなく、図示のようにタイヤ周方向に対して角度をもって延びる形態も含む。そして、このブロック内副横溝15は、前記略「S」字状の中央に位置し、タイヤ幅方向に延びる、ブロック中央溝としての中央部151と、中央部151の両端に接続される外方部152とを有する。ブロック内連結溝16は外方部152に接続される。
【0050】
ブロック内副横溝15が主溝11に直接接続されないことにより、ブロック(本実施形態ではセンター大ブロック21)の剛性低下を避けつつ、特に中央部151で主溝11、横溝12等によるトラクション効果を増強できる。また、ブロック内連結溝16により、ブロック内副横溝15の雪を横溝12に排出できるので、ブロック内副横溝15に雪が詰まることで雪柱せん断効果が失われることを抑制できる。
【0051】
なお、一対の主溝11,11間の領域にタイヤ周方向に延びる溝を形成する場合、この溝の形成数は1本以下とすることが望ましい。複数の溝が形成されると、小ブロックが細分化されるため、小ブロックの剛性が低下してカットチップ発生の可能性が高まるからである。このため、本実施形態では、ブロック内副横溝15及びブロック内連結溝16だけがタイヤ周方向に延びるように形成されている。
【0052】
ブロック内浅溝17は、
図5(C)にハッチングを付して示した溝であり、基端が主溝11におけるタイヤ赤道Eから遠い側の屈曲部112bに接続され、先端がブロック内副横溝15(外方部152)に接続されている。このブロック内浅溝17はタイヤ赤道Eに向かって、タイヤ幅方向に対して傾いて延びる溝である。このブロック内副横溝15の深さは、主溝11の深さに対して70%以下とされている。主溝11よりも浅い溝がセンター大ブロック21に形成されたことにより、ブロック内浅溝17で主溝11等によるトラクション効果を増強しつつ、センター大ブロック21の剛性低下を抑制できる。特に本実施形態では、このブロック内副横溝15の側面と主溝11の側面とがなす平面視の角は鋭角であるから、深い溝を形成するとカットチップ発生の可能性が高まる。このため、ブロック内浅溝17を主溝11に比べて浅い溝とすることによって、ブロック内副横溝15を挟む小ブロック211,212/213,214の高さ寸法を小さくしてカットチップが発生する可能性を低減させている。
【0053】
なお、前記ブロック内副横溝15の中央部151は、ブロック内浅溝17のタイヤ赤道Eに近い側の端部よりもタイヤ赤道E寄りの領域に形成されている。これにより、ブロック内副横溝15に隣接する小ブロック212,213において、ブロック内副横溝15とブロック内浅溝17とにより形成される角部212a,213aが平面視で鋭角とならず、カットチップ発生を抑制できる。
【0054】
本実施形態において横溝間副横溝13、連結溝14、ブロック内副横溝15、ブロック内連結溝16、ブロック内浅溝17により構成される副横溝は、当該副横溝の少なくとも一端が各主溝11,11に接続されないことにより、両端とも主溝11に接続された構成に比べてセンター大ブロック21の剛性低下を抑制でき、カットチップ発生を抑制できる。
【0055】
また、前記副横溝には、センター大ブロック21にタイヤ周方向にずれるように形成された複数の溝である、ブロック内副横溝15、ブロック内連結溝16、ブロック内浅溝17を含む。前記各溝15,16,17は、センター大ブロック21を区画する主溝11、横溝12、横溝間副横溝13、連結溝14に対して少なくとも一端が直接接続されていない。このため、センター大ブロック21の剛性低下を抑制でき、これによりカットチップ発生を抑制できる。
【0056】
ショルダー横溝18は、主溝11におけるタイヤ赤道Eに近い側の屈曲部112a及びタイヤ赤道Eから遠い側の屈曲部112bからタイヤの幅方向端部に向かってタイヤ幅方向に延びる溝である。このショルダー横溝18により、主溝11等によるトラクション効果を増強できる。
【0057】
トレッド部に形成された各センター大ブロック21及びショルダーブロック22には、前記各溝の他に細溝またはサイプが形成されている。これにより、各ブロック2の剛性がタイヤの用途に合わせて調整されている。ただし、これら細溝及びサイプは、ブロック2の剛性低下によるカットチップを防止するため、溝深さを主溝11の80%以下とすることが望ましい。なお、前述のように、形成する溝の側面と主溝11の側面とがなす角は平面視で鋭角となる場合、深い溝を形成するとカットチップ発生の可能性が高まるため、この場合は、溝深さを主溝11の70%以下とすることが望ましい。
【0058】
また、トレッド部に形成された溝は、接地領域を占める溝の合計面積が接地領域面積の40%以下であることが望ましい。陸部面積が減少するとカットチップ発生の可能性が高まり、氷路性能も低下するからである。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0060】
例えば、主溝11について、前記実施形態では屈曲部112が略「V」字形状とされていたが、屈曲部112の形状はこれに限定されない。例えば屈曲部112は、略「U」字形状であったり、正傾斜部111aと逆傾斜部111bとの間に、タイヤ周方向に平行な溝を有する形状であったりしてもよい。
【0061】
また、横溝12について、前記実施形態では幅端縁122,122が直線状であり、横溝12の幅がタイヤ赤道Eに向かうにつれ一定割合で縮小するものであったがこれに限定されない。このため、横溝12の幅が終端点まで連続して狭くならず、所定位置から一定幅となったり、幅端縁122,122の傾斜を途中から緩めたりしてもよい。また、幅端縁122,122が湾曲していてもよい。
【0062】
最後に、前記実施形態の構成及び当該構成により奏する作用についてまとめておく。本実施形態は、トレッド部にブロックパターンを備えた空気入りタイヤにおいて、タイヤ赤道Eを挟んで一対が形成され、各々がタイヤ周方向に亘って形成された主溝11であって、各主溝11はタイヤ周方向に対して傾斜する正傾斜部111a、当該正傾斜部111aの傾斜方向に対して反対に傾斜する逆傾斜部111b、前記正傾斜部111aと前記逆傾斜部111bとを連結する屈曲部112を備え、前記正傾斜部111aと前記逆傾斜部111bとがタイヤ周方向に交互に並び、前記各主溝11のうち一方の主溝11におけるタイヤ赤道Eに近い側の屈曲部112aと、他方の主溝11におけるタイヤ赤道Eから遠い側の屈曲部112bとがタイヤ幅方向に並んで位置する主溝11と、基端が前記各主溝11におけるタイヤ赤道Eに近い側の屈曲部112aに接続され、タイヤ赤道Eに向かいつつも先端がタイヤ赤道Eを越えない位置にある横溝12と、前記横溝12のうちで一方の主溝11に接続された横溝12と、当該横溝12にタイヤ周方向で隣り合う横溝12であって他方の主溝11に接続された横溝12との間のタイヤ周方向領域に位置し、少なくとも一端が前記各主溝11に直接接続されない副横溝(ブロック内副横溝15、ブロック内連結溝16、ブロック内浅溝17)と、をトレッド部に備えた空気入りタイヤである。
【0063】
この構成によれば、ブロックパターンであることにより、非舗装路の走行に好適である。そして、主溝11により非舗装路走行及び雪路走行においてトラクション効果が確保される。そして、前記各主溝11のうち一方の主溝11におけるタイヤ赤道Eに近い側の屈曲部112aと、他方の主溝11におけるタイヤ赤道Eから遠い側の屈曲部112bとがタイヤ幅方向に並んで位置することにより、一対の主溝11がタイヤ幅方向に平行に並ぶことになる。このため、一対の主溝11,11間の距離をタイヤ周方向で均一にできることから、当該主溝11,11間に形成される複数のブロック(センター大ブロック21…21)の大きさをタイヤ周方向で均一にでき、余りに大きさの異なるブロックがタイヤ周方向に並んでしまうことを回避できる。このため、剛性の小さなブロックの形成を抑制でき、これによりカットチップ発生を抑制できる。そして、タイヤ赤道Eに向かう横溝12により、雪柱せん断効果を発揮できる。加えて、当該横溝12がタイヤ赤道Eを越えない位置にあることにより、トレッド部において相対的に接地圧の高い領域であるタイヤ赤道E周辺の領域で接地面積を確保できる。このため、接地圧がブロック(センター大ブロック21)に過大にかかることを避けることができるため、この点でもカットチップ発生を抑制できる。そして、副横溝(ブロック内副横溝15、ブロック内連結溝16、ブロック内浅溝17)により前記横溝12による雪柱せん断効果を増強できる。加えて、当該副横溝の少なくとも一端が前記各主溝11に接続されないことにより、両端とも主溝11に接続された構成に比べてブロック(センター大ブロック21)の剛性低下を抑制でき、この点でもカットチップ発生を抑制できる。
【0064】
また、前記副横溝は、両端とも前記各主溝11に直接接続されない横溝間副横溝13を含み、前記横溝間副横溝13は、タイヤ周方向に延びるように形成された連結溝14を介して、一方の端部が前記一方の主溝11に接続された横溝12に接続され、他方の端部が前記他方の主溝11に接続された横溝12に接続されているものとできる。
【0065】
この構成によれば、横溝間副横溝13の両端部が連結溝14を介して横溝12に接続されていることにより、横溝間副横溝13に雪が詰まることで雪柱せん断効果が失われることを抑制できる。
【0066】
また、前記トレッド部のブロック(センター大ブロック21)は、前記主溝11、前記横溝12、前記横溝間副横溝13、前記連結溝14によって区画され、前記副横溝は、前記ブロックにタイヤ周方向にずれるように形成された複数の溝(ブロック内副横溝15、ブロック内連結溝16、ブロック内浅溝17)を含み、前記複数の溝は、前記ブロックを区画する溝に対して少なくとも一端が直接接続されないものとできる。
【0067】
この構成によれば、複数の溝がブロック内に形成されたことにより、前記横溝12による雪柱せん断効果を増強できる。そして、これら複数の溝は、前記ブロックを区画する溝に対して少なくとも一端が直接接続されないことから、複数の溝自体によるブロックの剛性低下を抑制でき、これによりカットチップ発生を抑制できる。
【0068】
また、前記トレッド部のブロック(センター大ブロック21)は、前記主溝11、前記横溝12、前記横溝間副横溝13、前記連結溝14によって区画され、前記副横溝は、前記ブロックを区画する溝に対して直接接続されないよう形成されたブロック内副横溝15を含み、前記ブロック内副横溝15の一端は、前記副横溝に含まれる溝でありタイヤ周方向に延びるように形成されたブロック内連結溝16を介して、前記横溝12のうちで一方の主溝11に接続された横溝12と、当該横溝12にタイヤ周方向で隣り合う横溝12であって他方の主溝11に接続された横溝12と、のいずれかに接続され、前記ブロック内副横溝15の他端は、前記ブロック内連結溝16を介して、前記横溝12のうちで前記他方の主溝11に接続された横溝12と、前記一方の主溝11に接続された横溝12と、のいずれかに接続されるものとできる。
【0069】
この構成によれば、ブロック内副横溝15の両端部がブロック内連結溝16を介して横溝12に接続されていることにより、ブロック内副横溝15に雪が詰まることで雪柱せん断効果が失われることを抑制できる。
【0070】
また、前記ブロック(センター大ブロック21)にタイヤ周方向にずれるように形成された複数の溝は、前記ブロックを区画する溝に対して両端が直接接続されないブロック中央溝(ブロック内副横溝の中央部)151と、前記ブロックを区画する溝に対して一端が接続され他端が直接連結されない溝であって、前記主溝11よりも浅い溝であるブロック内浅溝17とが形成され、前記ブロック内浅溝17はタイヤ周方向に2本が離れて位置し、当該2本のブロック内浅溝17のうち一方が前記一方の主溝11に連結され、他方が前記他方の主溝11に連結され、前記ブロック中央溝151は、前記ブロック内浅溝17のタイヤ赤道Eに近い側の端部よりもタイヤ赤道E寄りの領域に形成されるものとできる。
【0071】
この構成によれば、ブロック中央溝151により、前記横溝12による雪柱せん断効果を増強できる。そして、主溝11よりも浅いブロック内浅溝17がブロック内に形成されたことにより、ブロック内浅溝17が前記横溝12による雪柱せん断効果を増強しつつも、ブロックに深い溝が形成された構成に比べて、ブロックの剛性低下を抑制できる。そして、ブロック内浅溝17が主溝11へ連結されていることにより、ブロック内浅溝17に雪が詰まり、雪柱せん断効果が失われることを抑制できる。そして、前記ブロック中央溝151は、前記ブロック内浅溝17のタイヤ赤道Eに近い側の端部よりもタイヤ赤道E寄りの領域に形成されることにより、ブロック中央溝151に隣接するブロックに平面視で鋭角の部分が発生せず、カットチップ発生を抑制できる。
【0072】
また、前記横溝12の幅寸法は、当該横溝12が接続された前記主溝11の側よりもタイヤ赤道E側の方が小さいものとできる。
【0073】
この構成によれば、トレッド部において相対的に接地圧の高い領域であるタイヤ赤道E周辺の領域で接地面積を確保できる。このため、接地圧がブロックに過大にかかることを避けることができることで、カットチップ発生を抑制できる。更に、主溝11に接続される部分では横溝12の幅寸法が大きいことから、主溝11から押し出された雪を横溝12の内部に導きやすく、強固な雪柱を形成することで、更に強い雪柱せん断効果を発揮できる。