特許第6261458号(P6261458)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261458
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】ガス発生器
(51)【国際特許分類】
   B01J 7/00 20060101AFI20180104BHJP
   B60R 21/264 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   B01J7/00 A
   B60R21/264
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-127953(P2014-127953)
(22)【出願日】2014年6月23日
(65)【公開番号】特開2016-7559(P2016-7559A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2017年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】野田 晃史
(72)【発明者】
【氏名】山下 治彦
(72)【発明者】
【氏名】小峰 佑介
【審査官】 神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−264773(JP,A)
【文献】 特開2010−280376(JP,A)
【文献】 米国特許第3649045(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 7/00
B60R 21/264
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部側に点火手段が配置され、軸方向に反対側の第2端部側にガス排出口を有するディフューザ部が配置された筒状ハウジングを有しており、
前記筒状ハウジング内には、前記筒状ハウジングの内周壁面との間に隙間をおいて内筒部材が配置され、前記内筒部材の内部を含む空間内にガス発生剤が充填されているガス発生器であって、
前記筒状ハウジングの内周壁面と内筒部材の隙間が前記ガス排出口に至るガス排出経路となるものであり、
前記内筒部材が、複数の筒状部材が軸方向に接続されたものであり、それぞれの筒状部材が、前記筒状部材の内側と前記ガス排出経路となる隙間を連通するための複数のガス出入孔を周壁部に有しているものであり、
前記複数の筒状部材が、それぞれの接続部分となる開口部側が互いに嵌め合わされて接続することができる凹凸部分を有しており、
前記接続部分になる凹凸形状が、
接続する一方の開口部側が、半径方向外側の斜め方向に突き出された複数の凸部と、隣接する凸部間にある凹部の組み合わせからなるものであり、
接続する他方の開口部側が、半径方向外側の斜め方向に突き出された複数の凸部と、隣接する凸部間にある凹部の組み合わせからなるものであり、
前記複数の筒状部材を接続したときの点火手段側の端部とディフューザ部側の端部側が、いずれも半径方向外側に突き出された突出部を有しており、
前記複数の筒状部材の接続部分が、互いの凹部と凸部が噛み合うように嵌め込まれることで接続されており、
前記点火手段側の第1突出部の外周部が第1当接部分となり、前記筒状ハウジングの内周壁面に当接され、
前記ディフューザ部側の第2突出部の面が第2当接部分となり、直接または他部材を介してディフューザ部の一部に当接され、
前記複数の筒状部材の接続部分が、前記筒状ハウジングの内周壁面に当接されており、
前記接続部分、前記第1当接部分および前記第2当接部分が、ガスが通過できる孔または隙間を有している、ガス発生器。
【請求項2】
第1端部側に点火手段が配置され、軸方向に反対側の第2端部側にガス排出口を有するディフューザ部が配置された筒状ハウジングを有しており、
前記筒状ハウジング内には、前記筒状ハウジングの内周壁面との間に隙間をおいて内筒部材が配置され、前記内筒部材の内部を含む空間内にガス発生剤が充填されているガス発生器であって、
前記筒状ハウジングの内周壁面と内筒部材の隙間が前記ガス排出口に至るガス排出経路となるものであり、
前記内筒部材が、複数の筒状部材が軸方向に接続されたものであり、それぞれの筒状部材が、前記筒状部材の内側と前記ガス排出経路となる隙間を連通するための複数のガス出入孔を周壁部に有しているものであり、
前記複数の筒状部材が、それぞれの接続部分となる開口部側が互いに当接できるフランジ部を有しているものであり、
前記複数の筒状部材を接続したときの点火手段側の端部とディフューザ部側の端部側が、いずれも半径方向外側に突き出された突出部を有しており、
前記複数の筒状部材の接続部分において互いのフランジ部が当接されており、
前記点火手段側の第1突出部の外周部が、第1当接部分となり前記筒状ハウジングの内周壁面に当接され、かつディフューザ部側の第2突出部の面が、第2当接部分となり直接または他部材を介してディフューザ部の一部に当接されており、
前記接続部分、前記第1当接部分および第2当接部分が、ガスが通過できる孔または隙間を有している、ガス発生器。
【請求項3】
前記複数の筒状部材の接続部分において互いのフランジ部が当接されており、
一方の筒状部材の接続部分のフランジ部(フランジ部A)が、周方向に等間隔をおいて複数の貫通孔を有しているものであり、
他方の筒状部材の接続部分のフランジ部(フランジ部B)が、周方向に等間隔をおいて複数の貫通孔と複数の突起を有しているものであり、
フランジ部A部の一部の貫通孔に対して、フランジ部Bの全ての突起が嵌め込まれており、
フランジ部Aの残部の貫通孔とフランジ部Bの全ての貫通孔が軸方向に正対するように当接されてガスが通過できる孔が形成されている、請求項2記載のガス発生器。
【請求項4】
前記複数の筒状部材の接続部分において互いのフランジ部が当接されており、
一方の筒状部材の接続部分のフランジ部(フランジ部A)が、周方向に等間隔をおいて複数の貫通孔と複数の突起を有しているものであり、
他方の筒状部材の接続部分のフランジ部(フランジ部B)が、周方向に等間隔をおいて複数の突起と複数の貫通孔を有しているものであり、
フランジ部Aとフランジ部Bの貫通孔の総数が突起の総数よりも多くなっており、
フランジ部Aの貫通孔にフランジ部Bの突起が嵌め込まれ、フランジ部Bの貫通孔にフランジ部Aの突起が嵌め込まれ、残部の貫通孔同士が軸方向に正対するように当接されてガスが通過できる孔が形成されている、請求項2記載のガス発生器。
【請求項5】
前記複数の筒状部材の接続部分において互いのフランジ部が当接されており、
一方の筒状部材の接続部分のフランジ部(フランジ部A)が、周方向に等間隔をおいて複数の貫通孔と複数の突起を有しているものであり、
他方の筒状部材の接続部分のフランジ部(フランジ部B)が、周方向に等間隔をおいて複数の突起と複数の貫通孔を有しているものであり、
さらにフランジ部Aとフランジ部Bが、前記突起と貫通孔のない部分に複数の切り欠きを有しているものであり、
フランジ部Aの貫通孔にフランジ部Bの突起が嵌め込まれ、フランジ部Bの貫通孔にフランジ部Aの突起が嵌め込まれており、
フランジ部Aの複数の切り欠きと第フランジ部Bの複数の切り欠きが軸方向に正対するように当接されてガスが通過できる隙間が形成されている、請求項2記載のガス発生器。
【請求項6】
第1端部側に点火手段が配置され、軸方向に反対側の第2端部側にガス排出口を有するディフューザ部が配置された筒状ハウジングを有しており、
前記筒状ハウジング内には、前記筒状ハウジングの内周壁面との間に隙間をおいて内筒部材が配置され、前記内筒部材の内部を含む空間内にガス発生剤が充填されているガス発生器であって、
前記筒状ハウジングの内周壁面と内筒部材の隙間が前記ガス排出口に至るガス排出経路となるものであり、
前記内筒部材が、幅方向の断面形状が多角形の複数の筒状部材が軸方向に接続されたものであり、それぞれの筒状部材が、前記筒状部材の内側と前記ガス排出経路となる隙間を連通するための複数のガス出入孔を周壁部に有しているものであり、
前記複数の筒状部材が、それぞれの接続部分となる開口部側が互いに嵌め合わされて接続することができる凹凸部分を有しており、前記凹凸部分が互いに嵌め合わされることで接続されているものであり、
前記複数の筒状部材の外周面の角部が前記筒状ハウジングの内周壁面に当接されて支持され、
前記接続部分が、ガスが通過できる孔または隙間を有している、ガス発生器。
【請求項7】
前記複数の筒状部材が、同一形状で、幅方向の断面形状および断面積が同一であり、長さが同一または異なっているものの組み合わせである、請求項1〜6のいずれか1項記載のガス発生器。
【請求項8】
さらに筒状ハウジング内に内筒部材を直接または間接に固定するための筒状スペーサまたは筒状多孔部材が配置されている、請求項1〜7のいずれか1項記載のガス発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載するエアバッグ装置に使用できるガス発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
細長い形状のハウジングの一端部側に点火器が取り付けられ、他端側にディフューザ部が取り付けられ、それらの間の空間(燃焼室)内にガス発生剤が充填されたガス発生器が知られている。
このようなガス発生器の場合は、作動時において、点火器に近い方からガス発生剤の燃焼が開始され、反対側のディフューザ部に向かって燃焼が進行して行くことになる。このため、点火器に近い方のガス発生剤は燃焼し易いが、点火器から離れた位置にあるガス発生剤は燃焼し難いという問題がある。
このような問題を解決するため、ハウジングの内周壁面と内筒部材の外周壁面との間に隙間が形成されるようにして内筒部材を配置して、前記隙間をガス排出経路として利用することで、燃焼室全体のガス発生剤の燃焼を促進するガス発生器が知られている(特許文献1の図1図4)。
【0003】
特許文献1のガス発生器(図1)は、外殻ハウジング12内部に、燃焼室22aを形成する内部ハウジング22が配置されており、外殻ハウジング12との間に環状のガス流路23が形成されている。ガス発生器10の一端部に点火器20が、反対端部にガス排出オリフィス12eが形成されたノズル12dが配置されている。
内部ハウジング22は、その一端部がノズル12d側に配置されたバッファーメンバ34に当接され、反対端部が点火器20側に配置された点火カップ16に当接されており、バッファーメンバ34から点火カップ16まで連続した1つの部材で構成されている。
【0004】
ガス発生器は、エアバッグ装置の設置場所やエアバッグの容量などに応じて出力が調整されることから、同じガス発生器であっても、充填されるガス発生剤量が増減される場合がある。
しかし、特許文献1のガス発生器の場合には、例えばガス発生剤量を減少させる場合には、燃焼室の軸方向長さを短くする必要があるが、燃焼性能を低下させることなく燃焼室の軸方向長さを短くすることは困難である。また外殻ハウジング12の長さに応じて内部ハウジング22などの寸法も変更する必要がある。
また、逆にガス発生剤量を増加させる場合には、燃焼室の軸方向長さを長くする必要がある。このように1つの部品の寸法を変化させることで、他の部品も仕様を変更する必要が出てくる。
特許文献2の図2においても、筒状ハウジング10内に一つの筒状部材30を配置し、その内側に第2ガス発生剤50を充填したガス発生器が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許7,654,565明細書
【特許文献2】特開2011−157025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、同一のガス発生器であっても、ガス発生剤量の増減に応じて、燃焼室の容積を容易に増減させることができるガス発生器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、課題の解決手段として、
第1端部側に点火手段が配置され、軸方向に反対側の第2端部側にガス排出口を有するディフューザ部が配置された筒状ハウジングを有しており、
前記筒状ハウジング内には、前記筒状ハウジングの内周壁面との間に隙間をおいて内筒部材が配置され、前記内筒部材の内部を含む空間内にガス発生剤が充填されているガス発生器であって、
前記筒状ハウジングの内周壁面と内筒部材の隙間が前記ガス排出口に至るガス排出経路となるものであり、
前記内筒部材が、複数の筒状部材が軸方向に接続されたものであり、それぞれの筒状部材が、前記筒状部材の内側と前記ガス排出経路となる隙間を連通するための複数のガス出入孔を周壁部に有しているものであり、
前記複数の筒状部材が、それぞれの接続部分となる開口部側が互いに嵌め合わされて接続することができる凹凸部分を有しており、
前記接続部分になる凹凸形状が、
接続する一方の開口部側が、半径方向外側の斜め方向に突き出された複数の凸部と、隣接する凸部間にある凹部の組み合わせからなるものであり、
接続する他方の開口部側が、半径方向外側の斜め方向に突き出された複数の凸部と、隣接する凸部間にある凹部の組み合わせからなるものであり、
前記複数の筒状部材を接続したときの点火手段側の端部とディフューザ部側の端部側が、いずれも半径方向外側に突き出された突出部を有しており、
前記複数の筒状部材の接続部分が、互いの凹部と凸部が噛み合うように嵌め込まれることで接続されており、
前記点火手段側の第1突出部の外周部が第1当接部分となり、前記筒状ハウジングの内周壁面に当接され、
前記ディフューザ部側の第2突出部の面が第2当接部分となり、直接または他部材を介してディフューザ部の一部に当接され、
前記複数の筒状部材の接続部分が、前記筒状ハウジングの内周壁面に当接されており、
前記接続部分、前記第1当接部分および前記第2当接部分が、ガスが通過できる孔または隙間を有している、ガス発生器を提供する。
【0008】
筒状ハウジングの第1端部側には点火手段が配置されている。
点火手段は、公知のガス発生器で使用している電気式点火器、または電気式点火器と伝火薬(または伝火薬として機能するガス発生器)などを使用することができる。
【0009】
筒状ハウジングの第2端部側にはディフューザ部が配置されている。
ディフューザ部の形状や構造は特に制限されるものではなく、例えば、カップ形状で、開口部にフランジ部を有しているものが汎用されている。
ディフューザ部内には、必要に応じてフィルタを配置することができる。
また、ディフューザ部と組み合わせて、ガスを迂回させることで燃焼ガス温度を低下させたり、燃焼ガス中のミスト量を低減させたりするための迂回部材を配置することもできる。
このようなディフューザ部と迂回部材としては、例えば、特開2011−157025号公報の図1に示すディフューザ12とカップ状部材(ガス迂回手段)40の組み合わせを使用することができる。
【0010】
筒状ハウジング内の点火手段とディフューザ部が配置されていない残部空間内には内筒部材が配置されている。
内筒部材と筒状ハウジングの間にはガス排出経路となる隙間が形成されており、内筒部材の内部を含む空間内にガス発生剤が充填されている。
上記した特許文献1のガス発生器のように、一つの内筒部材(内部ハウジング22)を使用している場合、内筒部材内部の容積は特定された容積となり、性能を維持しながら容積を変えることは容易ではない。
このため、ガス発生剤の充填量を減少させる場合には、別途、円形のリテーナなどを使用する必要があり、増加させる場合には対応できない。
【0011】
本発明のガス発生器では、内筒部材は、複数の筒状部材が軸方向に接続されたものである。
筒状部材の数は、ガス発生器の筒状ハウジングの長さなどにより適宜選択することができるが、好ましくは2〜6個、より好ましくは2〜4個である。
複数の筒状部材は、次のような筒状部材の組み合わせを使用することができる。
(I)同一形状で、幅方向の断面形状および大きさが同一であり、長さが同一の複数の筒状部材の組み合わせ。
(II)同一形状で、幅方向の断面形状および大きさが同一であり、長さが異なる複数の筒状部材の組み合わせ。
(III)同一形状で、互いの接続部分の幅方向の断面形状および大きさが同一であり、長さが同一の複数の筒状部材の組み合わせであり、前記複数の筒状部材の少なくとも一つが、幅方向の断面積が増加または減少している部分を有しているもの。
(IV)同一形状で、互いの接続部分の幅方向の断面形状および大きさが同一であり、長さが異なる複数の筒状部材の組み合わせであり、前記複数の筒状部材の少なくとも一つが、幅方向の断面積が増加または減少している部分を有しているもの。
(III)、(IV)の組み合わせにおいて、「幅方向の断面積が増加または減少している部分を有している」ものは、一端側から他端側にかけて、連続的に幅方向の断面積(外径)が増加または減少しているもの、一端側から他端側にかけて段差が形成されていることで、幅方向の断面積(外径)が増加または減少しているものを使用することができる。
【0012】
複数の筒状部材を接続して一つの内筒部材として使用するとき、その両端側には、半径方向外側に突き出された第1突出部と第2突出部がある。第1突出部と第2突出部は、傾斜面部、フランジ部、複数の突起部の組み合わせでもよい。
前記点火手段側の第1突出部の外周部が第1当接部分となり、筒状ハウジングの内周壁面に当接されている。
前記ディフューザ部側の第2突出部の面が第2当接部分となり、直接または他部材を介してディフューザ部の一部に当接されている。
ここで、他部材を介してディフューザ部の一部に当接されている場合の「他部材」とは、例えば、上記したとおり、特開2011−157025号公報の図1に示すディフューザ12とカップ状部材(ガス迂回手段)40の組み合わせを使用したときのカップ状部材(ガス迂回手段)40である。
さらに両端側の環状傾斜面部に加えて、複数の筒状部材の接続部分が、前記筒状ハウジングの内周壁面に当接されることでも内筒部材が支持されている。
このように第1当接部、第2当接部および接続部において筒状ハウジングの内周壁面やディフューザ部に当接されることから、内筒部材が軸方向および半径方向に移動できないようになっている。
【0013】
複数の筒状部材を接続して一つの内筒部材として使用するとき、複数の筒状部材同士の接続部分が容易に分離せず、かつ筒状部材を増減するときには容易に分離できることが必要となる。
本発明では、筒状部材同士の接続部が互いの凹凸部分を嵌め込んで接続できるようになっていることで、着脱自在になっている。
前記接続部分になる凹凸部分は、例えば、接続する一方の開口部側が、半径方向外側の斜め方向に突き出された複数の凸部と、隣接する凸部間にある凹部の組み合わせからなるものであり、接続する他方の開口部側が、半径方向外側の斜め方向に突き出された複数の凸部と、隣接する凸部間にある凹部の組み合わせからなるものにすることができる。
これらの凸部と凹部、凹部と凸部を互いに嵌め合わせることで着脱自在に接続することができる。
【0014】
本発明のガス発生器は、複数の筒状部材が軸方向に接続されたものを使用しており、前記複数の筒状部材の内部を含む空間内にガス発生剤が充填されている。
本発明のガス発生器は、ガス発生剤量の増減に対して、次のように対応することができる。
上記(II)の筒状部材の組み合わせを使用するときであって、長さがLの筒状部材を一つと、長さが1/2L(または長さが1/3L)の筒状部材を1つ組み合わせて使用しているとき、ガス発生剤量を減少させるときには、さらにもう一つの長さが1/2Lの筒状部材または長さが1/3Lの筒状部材を組み合わせることで、ガス発生剤の充填空間容積を減少させることができる(すなわち、筒状ハウジングの長さを変更せず、ガスの排出経路となる隙間の容積を増やすことで、燃焼室の容積を減らす)。
上記(II)の筒状部材の組み合わせを使用するときであって、長さがLの筒状部材を一つと、長さが1/2L(または長さが1/3L)の筒状部材を2つ組み合わせて使用しているとき、ガス発生剤量を増加させるときには、2つの長さが1/2L(または長さが1/3L)の筒状部材の内の一つを取り去ることで、ガス発生剤の充填空間容積を増加させることができる。
また、ガス発生剤の充填量に応じて筒状ハウジングの長さを変更した場合、接続する筒状部材の数を変えて対応することもできる。
【0015】
本発明は、課題の他の解決手段として、
第1端部側に点火手段が配置され、軸方向に反対側の第2端部側にガス排出口を有するディフューザ部が配置された筒状ハウジングを有しており、
前記筒状ハウジング内には、前記筒状ハウジングの内周壁面との間に隙間をおいて内筒部材が配置され、前記内筒部材の内部を含む空間内にガス発生剤が充填されているガス発生器であって、
前記筒状ハウジングの内周壁面と内筒部材の隙間が前記ガス排出口に至るガス排出経路となるものであり、
前記内筒部材が、複数の筒状部材が軸方向に接続されたものであり、それぞれの筒状部材が、前記筒状部材の内側と前記ガス排出経路となる隙間を連通するための複数のガス出入孔を周壁部に有しているものであり、
前記複数の筒状部材が、それぞれの接続部分となる開口部側が互いに当接できるフランジ部を有しているものであり、
前記複数の筒状部材を接続したときの点火手段側の端部とディフューザ部側の端部側が、いずれも半径方向外側に突き出された突出部を有しており、
前記複数の筒状部材の接続部分において互いのフランジ部が当接されており、
前記点火手段側の第1突出部の外周部が、第1当接部分となり前記筒状ハウジングの内周壁面に当接され、かつディフューザ部側の第2突出部の面が、第2当接部分となり直接または他部材を介してディフューザ部の一部に当接されており、
前記接続部分、前記第1当接部分および第2当接部分が、ガスが通過できる孔または隙間を有している、ガス発生器を提供する。
【0016】
本発明のガス発生器は、複数の筒状部材の接続部分が異なるほかは、上記した発明のガス発生器と同じものである。
複数の筒状部材を接続して一つの内筒部材として使用するとき、複数の筒状部材同士の接続部分が容易に分離せず、かつ筒状部材を増減するときには容易に分離できることが必要となる。
上記発明では、複数の筒状部材同士の接続部分が互いのフランジ部を当接して接続できるようになっている。
複数の筒状部材同士の接続部分は、筒状ハウジング内に充填したガス発生剤により筒状部材を軸方向に押すことや、接続部分に設けられた圧入手段で、作動前には軸方向に分離されてないようにすることができる。
【0017】
上記ガス発生器は、
前記複数の筒状部材の接続部分において互いのフランジ部が当接されており、
一方の筒状部材の接続部分のフランジ部(フランジ部A)が、周方向に等間隔をおいて複数の貫通孔を有しているものであり、
他方の筒状部材の接続部分のフランジ部(フランジ部B)が、周方向に等間隔をおいて複数の貫通孔と複数の突起を有しているものであり、
フランジ部Aの一部の貫通孔に対して、フランジ部Bの全ての突起が嵌め込まれており、
フランジ部Aの残部の貫通孔とフランジ部Bの全ての貫通孔が軸方向に正対するように当接されてガスが通過できる孔が形成されているものにすることができる。
【0018】
一方の筒状部材の接続部分のフランジ部(フランジ部A)は、例えば、合計で8個の貫通孔を有するものである。
他方の筒状部材の接続部分のフランジ部(フランジ部B)は、例えば、合計で4個の貫通孔と4個の突起を有するものである。
2つの筒状部材を接続するときは、フランジ部Aの8個の貫通孔のうち4個にフランジ部Bの4個の突起を嵌め込み、残部の4個ずつの貫通孔同士を軸方向に正対させた状態で接続する。残部の4個ずつの貫通孔は、ガスが通過できる孔として機能する。
ここでフランジ部Aとフランジ部Bの組み合わせは、互いに接続する筒状部材のフランジ部の組み合わせを示している。このため、フランジ部Aとフランジ部Bは、筒状部材が2つであれば、第1筒状部材のフランジ部と第2筒状部材のフランジ部の組み合わせを意味し、筒状部材が3つであれば、第1筒状部材のフランジ部と第2筒状部材のフランジ部の組み合わせと、第2筒状部材のフランジ部と第3筒状部材のフランジ部の組み合わせを意味する。以下においても同様である。
【0019】
上記ガス発生器は、
前記複数の筒状部材の接続部分において互いのフランジ部が当接されており、
一方の筒状部材の接続部分のフランジ部(フランジ部A)が、周方向に等間隔をおいて複数の貫通孔と複数の突起を有しているものであり、
他方の筒状部材の接続部分のフランジ部(フランジ部B)が、周方向に等間隔をおいて複数の突起と複数の貫通孔を有しているものであり、
フランジ部Aとフランジ部Bの貫通孔の総数が突起の総数よりも多くなっており、
フランジ部Aの貫通孔にフランジ部Bの突起が嵌め込まれ、フランジ部Bの貫通孔にフランジ部Aの突起が嵌め込まれ、残部の貫通孔同士が軸方向に正対するように当接されてガスが通過できる孔が形成されているものにすることができる。
【0020】
一方の筒状部材の接続部分のフランジ部(フランジ部A)は、例えば、合計で6個の貫通孔と2個の突起を有するものである。
他方の筒状部材の接続部分のフランジ部(フランジ部B)は、例えば、合計で6個の貫通孔と2個の突起を有するものである。
2つの筒状部材を接続するときは、フランジ部Aの6個の貫通孔の内の2つの貫通孔にフランジ部Bの2個の突起を嵌め込み、フランジ部Bの6個の貫通孔の内の2つの貫通孔にフランジ部Aの2個の突起を嵌め込み、残部の4個ずつの貫通孔同士を軸方向に正対させた状態で接続する。残部の4個ずつの貫通孔は、ガスが通過できる孔として機能する。
【0021】
上記ガス発生器は、
前記複数の筒状部材の接続部分において互いのフランジ部が当接されており、
一方の筒状部材の接続部分のフランジ部(フランジ部A)が、周方向に等間隔をおいて複数の貫通孔と複数の突起を有しているものであり、
他方の筒状部材の接続部分のフランジ部(フランジ部B)が、周方向に等間隔をおいて複数の突起と複数の貫通孔を有しているものであり、
さらにフランジ部Aとフランジ部Bが、前記突起と貫通孔のない部分に複数の切り欠きを有しているものであり、
フランジ部Aの貫通孔にフランジ部Bの突起が嵌め込まれ、フランジ部Bの貫通孔にフランジ部Aの突起が嵌め込まれており、
フランジ部Aの複数の切り欠きとフランジ部Bの複数の切り欠きが軸方向に正対するように当接されてガスが通過できる隙間が形成されているものにすることができる。
【0022】
一方の筒状部材の接続部分のフランジ部(フランジ部A)の貫通孔と突起と、他方の筒状部材の接続部分のフランジ部(フランジ部B)の貫通孔と突起を組み合わせて接続し、さらに複数の切り欠き同士が軸方向に正対するようにして接続する。複数の切り欠き部分は、ガスが通過できる隙間(または筒状ハウジングの内壁面と合わせた孔)として機能する。
【0023】
本発明は、課題の他の解決手段として、
第1端部側に点火手段が配置され、軸方向に反対側の第2端部側にガス排出口を有するディフューザ部が配置された筒状ハウジングを有しており、
前記筒状ハウジング内には、前記筒状ハウジングの内周壁面との間に隙間をおいて内筒部材が配置され、前記内筒部材の内部を含む空間内にガス発生剤が充填されているガス発生器であって、
前記筒状ハウジングの内周壁面と内筒部材の隙間が前記ガス排出口に至るガス排出経路となるものであり、
前記内筒部材が、幅方向の断面形状が多角形の複数の筒状部材が軸方向に接続されたものであり、それぞれの筒状部材が、前記筒状部材の内側と前記ガス排出経路となる隙間を連通するための複数のガス出入孔を周壁部に有しているものであり、
前記複数の筒状部材が、それぞれの接続部分となる開口部側が互いに嵌め合わされて接続することができる凹凸部分を有しており、前記凹凸部分が互いに嵌め合わされることで接続されているものであり、
前記複数の筒状部材の外周面の角部が前記筒状ハウジングの内周壁面に当接されて支持されている、ガス発生器を提供する。
【0024】
本発明のガス発生器は、内筒部材を形成する複数の筒状部材として、幅方向の断面形状が多角形のものを使用している。
前記多角形は、正多角形(例えば、正方形や正六角形)が好ましいが、それに限定されるものではない。
このように幅方向の断面形状が多角形の複数の筒状部材を組み合わせたとき、それぞれの筒状部材の外周面の角部を前記筒状ハウジングの内周壁面に当接させることができ、その当接部分で内筒部材全体が支持できる。
このため、上記したガス発生器における第1当接部と第2当接部が不要になる。
また、複数の筒状部材の接続部分は、前記筒状ハウジングの内周壁面に当接されていてもよいし、当接されていなくてもよい。
【0025】
上記各発明のガス発生器は、さらに筒状ハウジング内に内筒部材(複数の筒状部材の組み合わせ)を直接または間接に固定するための筒状スペーサまたは筒状多孔部材が配置されているものにすることができる。
上記各発明のガス発生器は、複数の筒状部材の数を増減することでガス発生剤充填空間の容積を増減させることができるが、それでも十分に対応できないときは、さらに容積を微調整するため、筒状スペーサまたは多孔板部材を組み合わせることができる。
筒状スペーサは、外周面を筒状ハウジングの内壁面に当接させた状態で配置し、一端側の開口部を他部材(内筒部材を除く)に当接させ、他端側の開口部を一つの筒状部材の端部に当接させることで直接的に内筒部材(複数の筒状部材の組み合わせ)を固定するものである。
多孔板部材は、周面を筒状ハウジングの内周壁面に当接させた状態で、ガス発生剤を内筒部材側に押すことで、間接的に内筒部材を固定するものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明のガス発生器は、複数の筒状部材を軸方向に接続することで一つの内筒部材として使用しており、筒状部材の数を増減することによって、ガス発生剤の充填空間の容積を増減させることができる。
このため、同じガス発生器であっても、ガス発生剤量の増減による出力の変化に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明のガス発生器の軸方向断面図。
図2】3つの筒状部材を軸方向に接続して使用するときの接続方法を説明するための斜視図。
図3】3つの筒状部材を軸方向に接続して使用するときの半径方向の概略断面図であり、(a)は燃焼室の容積を減少させる実施形態であり、(b)は燃焼室の容積を増加させる実施形態である。
図4】2つの筒状部材を軸方向に接続して使用するときの半径方向の概略断面図であり、(a)は燃焼室の容積を減少させる実施形態であり、(b)は燃焼室の容積を増加させる実施形態である。
図5】さらに異なる実施形態の筒状部材を使用したときの接続する方法を説明するための斜視図。
図6図5の側面図。
図7】さらに異なる実施形態の筒状部材を使用したときの接続する方法を説明するための斜視図。
図8】ガス発生器の筒状ハウジングと内筒部材(筒状部材)の関係を示す幅方向の概略断面図であり、(a)は断面形状が円形の内筒部材(筒状部材)を使用した実施形態であり、(bc)は断面形状が正方形の内筒部材(筒状部材)を使用した実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(1)図1のガス発生器
本発明のガス発生器の一実施形態を図1図2により説明する。
筒状ハウジング10の第1端部10a側には、点火手段となる点火器16が取り付けられている。点火器16は、公知の電気式点火器がカラー17に固定されたもので、点火薬を含んだ着火部16aがカラー17から突出している。
【0029】
筒状ハウジング10の第2端部10b側には、ディフューザ部12が取り付けられている。
ディフューザ部12は、フランジ部12a、周壁部12b、底部12cを有する略カップ形状であり、このフランジ部12aにおいて筒状ハウジング10に溶接固定されている。
周壁部12bには、複数のガス排出口15が形成されている。
【0030】
筒状ハウジング10の点火器16側には、点火器16とは間隔をおいて、第1多孔板部材14が配置されている。第1多孔板部材14は、円形底面の周縁に環状壁14aが形成されたものであり、環状壁14aが筒状ハウジング10の内壁面と圧接されることで固定されている。
【0031】
点火器16(点火器16とカラー17)、筒状ハウジング10、第1多孔板部材14で囲まれた空間が第1燃焼室20となっている。第1燃焼室20には、第1ガス発生剤22が充填されている。
【0032】
第1ガス発生剤22は、点火器16の着火部16aと接触している。第1多孔板部材14の貫通孔(図示せず)は、第1ガス発生剤22よりも小さな開口である。貫通孔はシールテープで塞がれていてもよい。
【0033】
第1ガス発生剤22としては、着火性が良く、燃焼が持続する(燃焼温度の高い)ガス発生剤を使用することができる。
第1ガス発生剤22の燃焼温度は、1700〜3000℃の範囲にあることが望ましい。このような第1ガス発生剤としては、例えばニトログアニジン(34質量%)、硝酸ストロンチウム(56質量%)からなる、外径1.5mm、厚さ1.5mmのディスク状のものを用いることができる。
第1ガス発生剤22は、第1多孔板部材14によって、点火器16側へ押しつけられた状態で保持されている。
【0034】
筒状ハウジング10内部のディフューザ12側端部(反対端部10b)には、ガス迂回手段となるカップ部材65が配置されている。
カップ部材65は、底面65aと周壁部65bを有しており、周壁部65bは複数の連通孔65cを有している。
【0035】
カップ部材65は、ディフューザ12のフランジ部12aに対して公知の方法(溶接等)で固定されている。カップ部材65の開口部は、シールテープ66で閉塞されており、ガス排出口15から湿気が進入しないよう機能している。
【0036】
カップ部材65の外径は、筒状ハウジング10の内径よりも小さい。このため、周壁部65bと筒状ハウジング10の内壁面との間には間隙67が存在しており、ディフューザ部のフランジ部12aにて行き止まりのポケット部(間隙)67となっている。
このポケット部67は、筒状空間(隙間)60と続いているため、燃焼ガス中のミストを滞留させるように機能する。
【0037】
筒状ハウジング10内には、第1筒状部材30、第2筒状部材40および第3筒状部材50の3つが、点火器16側からディフューザ部12側に向かって、前記の順番で接続されている。
3つの筒状部材の内、第3筒状部材50の長さが最も長く、第3筒状部材50の長さをLとしたとき、第1筒状部材30および第2筒状部材40の長さはいずれも1/2Lである。
第1筒状部材30、第2筒状部材40および第3筒状部材50は、いずれも断面形状が円形であり、内径も同一のものである。
第1筒状部材30が最大内径であり、第3筒状部材50が最小内径であり、第2筒状部材40が中間内径になるように組み合わせることもできるし、内径の関係が逆になるように組み合わせることもできる。
第1筒状部材30、第2筒状部材40および第3筒状部材50と筒状ハウジングの内周壁面11との間には、ガス排出経路として機能する、軸X方向に連続した筒状空間60が形成されている。
【0038】
第1筒状部材30の点火器16側の第1端部は、半径方向外側に拡径された第1環状傾斜面部31を有している。
図2に示すように、第1筒状部材30の第1端部と反対側の第2端部は、半径方向外側の斜め方向に突き出された複数の凸部32と、隣接する凸部32間にある凹部33の組み合わせからなる第1凹凸部34を有している。
凸部32と凹部33は周方向に等間隔に形成されているが、1箇所または2箇所程度だけ凸部32がない部分がある。
第1筒状部材30は、厚さ方向への第1ガス出入37を複数有している。第1ガス出入孔37は、周方向に均等間隔で形成されており、軸X方向に分離して1箇所または2箇所以上形成することができる。なお第1環状傾斜面部31は、第1凹凸部34と同じ形状とすることもできる。
【0039】
図2に示すように、第2筒状部材40の第1筒状部材30側の第1端部と反対側の第2端部の両方は、半径方向外側の斜め方向に突き出された複数の凸部42と、隣接する凸部42間にある凹部43の組み合わせからなる第2a凹凸部44aと第2b凹凸部44bを有している。
それぞれの凸部42と凹部43は周方向に等間隔に形成されているが、1箇所または2箇所程度だけ凸部42がない部分がある。
第2筒状部材40は、厚さ方向への第2ガス出入孔47を複数有している。第2ガス出入孔47は、ガス出入向に均等間隔で形成されており、軸X方向に分離して1箇所または2箇所以上形成することができる。
【0040】
図2に示すように、第3筒状部材50の第2筒状部材40側の第1端部は、半径方向外側の斜め方向に突き出された複数の凸部52と、隣接する凸部52間にある凹部53の組み合わせからなる第3凹凸部54を有している。
凸部52と凹部53は周方向に等間隔に形成されているが、1箇所または2箇所程度だけ凸部52がない部分がある。
第3筒状部材50の第1端部と反対側の第2端部は、半径方向外側に拡径された第3環状傾斜面部51を有している。
第3環状傾斜面部51は、厚さ方向への複数の貫通孔または切り欠きを有している。第3環状傾斜面部51は、第3凹凸部54と同じ形状とすることもできる。
第3筒状部材50は、厚さ方向への第3ガス出入孔57を複数有している。第3ガス出入孔57は、周方向に均等間隔で形成されており、軸X方向に分離して2箇所または3箇所以上形成することができる。
【0041】
第1筒状部材30の第1ガス出入孔37、第2筒状部材40の第2ガス出入孔47、第3筒状部材50の第3ガス出入孔57の配置状態は特に制限されるものではないが、ディフューザ部12側に近づくにしたがってガス出入孔の数が多くなるようにすることもできる。
【0042】
第1筒状部材30の第1突出部となる第1環状傾斜面部31は、外周部31aが筒状ハウジングの内周壁面11に当接されて(第1当接部分)支持されている。
第1筒状部材30の第1凹凸部34と第2筒状部材40の第2a凹凸部44aは、互いの凹部と凸部が噛み合うように嵌め込まれて接続されており、前記接続部分は、筒状ハウジングの内周壁面11に当接されている。ここで、第1凹凸部34と第2a凹凸部44は、それぞれ凸部が欠落した部分を有しているため、その部分が筒状空間60におけるガス排出経路となる。
第2筒状部材40の第2b凹凸部44bと第3筒状部材50の第3凹凸部54は、互いの凹部と凸部が噛み合うように嵌め込まれることで接続されており、前記接続部分は、筒状ハウジングの内周壁面11に当接されている。ここで、第2b凹凸部44と第3凹凸部54は、それぞれ凸部が欠落した部分を有しているため、その部分が筒状空間60におけるガス排出経路となる。
第3筒状部材50の第2突出部となる第3環状傾斜面部51は、カップ状部材40の底面40aと周壁部40bの境界部分に当接されて(第2当接部分)支持されている。第3環状傾斜面部51は貫通孔または切り欠きを有しているため、その部分が筒状空間60におけるガス排出経路となる。
第1突出部となる第1環状傾斜面部31と第2突出部となる第3環状傾斜面部51は、図5に示す第1フランジ部131と同じフランジ部、図7に示す第1フランジ部231と同じフランジ部(孔232は不要)のいずれかにすることもできる。
【0043】
第1筒状部材30と第1多孔板部材14の間には、第2多孔板部材24が配置されている。
第2多孔板部材24は、円形底面の周縁に環状壁24aが形成されたものであり、環状壁24aが筒状ハウジング10の内壁面と圧接されることで固定されている。
第2多孔板部材24と第1多孔板部材14の間には、空間18が形成されている。環状壁24aは点火器16側に伸びている。
【0044】
第2燃焼室25は、第2多孔板部材32と、第1筒状部材30、第2筒状部材40および第3筒状部材50と、筒状ハウジング10の一部で囲まれて形成されている。
第2燃焼室25には、第2ガス発生剤70が充填されている。第2多孔板部材24の貫通孔(図示せず)は、第2ガス発生剤70よりも小さな開口である。貫通孔はシールテープで塞がれていてもよい。
【0045】
第2ガス発生剤70は、第1ガス発生剤22よりも燃焼温度の低いガス発生剤を使用している。第2ガス発生剤70の燃焼温度は、1000〜1700℃の範囲にあることが望ましく、例えば、硝酸グアニジン(41質量%)、塩基性硝酸銅(49質量%)及びバインダーや添加物からなる、外径1.8mm、内径0.7mm、長さ1.9mmの単孔円柱状のものを用いることができる。
【0046】
第2ガス発生剤70は、第2多孔板部材24によって、ディフューザ部12側へ押しつけられた状態で保持されている。
このため、第2燃焼室25内の第2ガス発生剤70が密に充填されることになり、移動して隙間が形成されることが阻止されると共に、間接的に第1筒状部材30も軸X方向に押し付けられて固定されている
なお、図1において、第1筒状部材30の第1環状傾斜面部31と第2多孔板部材24の間に両方に当接することができる筒状スペーサや、筒状の多孔部材を配置することで、直接、第1筒状部材30を固定するようにしてもよい。
【0047】
次に、図1に示すガス発生器の組立方法について説明する。
筒状ハウジング10の第2端部10b側の開口部に、ガス排出口15を有するディフューザ部12を溶接で固定する。
その後、カップ状部材(ガス迂回手段)65を、開口部側がディフューザ部12側になるようにして、フランジ部12aに取り付ける。
【0048】
その後、筒状ハウジング10の第1端部10a側から、予め接続して一体にした第1筒状部材30、第2筒状部材40および第3筒状部材50の組み合わせを圧入する。
その後、第2燃焼室25となる空間(ガス発生剤充填空間)内に所要量の第2ガス発生剤70をタッピングしながら充填した後、第2多孔板部材24を圧入する。このようにして第2多孔板部材24を圧入することで、第2ガス発生剤70が密に充填されて移動が防止されるため、第2燃焼室25内に隙間が生じることが防止される。さらに第1筒状部材30もガス発生剤70を介して押されることで固定される。
【0049】
その後、第1多孔板部材14を圧入し、第1多孔板部材14に当接するようにして第1ガス発生剤22を充填する。予め第1多孔板部材14は、第1端部10a寄りに配置しておき、カラー17を第1端部10aから挿入するとき、第1ガス発生剤22とともに第1多孔板部材14を奥まで押し込む。
その後、カラー17に固定された点火器16を取り付け、第1燃焼室20を形成する。
【0050】
なお、充填する第2ガス発生剤70の量を多くする場合には、図1において第2筒状部材40を取り去って、第1筒状部材30と第3筒状部材50の組み合わせからなるものを使用する。
このように3つの筒状部材を2つの筒状部材に代えることで、第2燃焼室25の容積を増加させることができ、充填するガス発生剤70の量も増加させることができる。
【0051】
次に、図1に示すガス発生器の動作を説明する。
点火器16の作動によって第1燃焼室20内の第1ガス発生剤22が燃焼すると、そこから燃焼生成物(火炎や高温ガス)が発生し、第1多孔板部材14の多孔を通って空間18へ進入する。また第1燃焼室20内には第1ガス発生剤22が密に充填されているため、着火斑(斑に燃焼する現象)が発生しにくく、第1ガス発生剤22が均等に燃焼される。燃焼生成物は空間18に進入する。
【0052】
燃焼生成物は、空間18から第2板状部材24の貫通孔を通って第2燃焼室25内に存在する第2ガス発生剤70を着火させる。
第1燃焼室20から発生した燃焼生成物は、一旦空間18へ入ることから、第2多孔板部材24に隣接する第2ガス発生剤70は、端面から揃って燃焼を開始するため、着火斑が生じにくい。
【0053】
燃焼ガス及び燃焼生成物は、第1筒状部材30の第1ガス出入孔37、第2筒状部材40の第2ガス出入孔47および第3筒状部材50の第3ガス出入孔57と筒状空間60の間で出入りを繰り返しながら、ディフューザ部12方向に流れていく。
その過程で、燃焼残渣が筒状ハウジングの内壁面11に付着して保持される。
【0054】
さらに燃焼ガスおよび燃焼生成物は、ディフューザ12のフランジ部12aに当たり向きを変え、連通孔65cからカップ部材65内部に侵入する。この過程でも、ポケット67で残渣が捕集される。
その後、ディフューザ12の底部12cに当たってさらに向きを変え、ガス排出口15から排出される。
【0055】
本発明のガス発生器は、以上のような構造であることから、ガス発生剤の着火斑を抑制して、全体として着火、燃焼性能を向上させることができる。特にハウジングが軸方向に長い形状のもので、第1燃焼室と第2燃焼室が軸方向に隣接している構造のガス発生器では、円滑にガス発生剤の燃焼を行うことができ、迅速に作動するガス発生器となる。
【0056】
(2)別実施形態のガス発生器
図3図4により別実施形態について説明する。
図3(a)に示すガス発生器は、長さと内径が同一である第1筒状部材101、第2筒状部材102、第3筒状部材103の3つを組み合わせて使用している。
第1筒状部材101、第2筒状部材102、第3筒状部材103の接続形態は、図1に示す第1筒状部材30、第2筒状部材40、第3筒状部材50と同じである。
【0057】
図3(a)に示すガス発生器において、ガス発生剤70の充填量を増加させる必要があるとき、図3(b)に示すように、第2筒状部材102を取り除いて、第1筒状部材101と第3筒状部材103の組み合わせにする。
このようにすることで燃焼室25の容積が増加するため、ガス発生剤70の充填量を増加することができる。
逆にガス発生剤70の充填量を減少させる必要があるときは、図3(b)から図3(a)のようにする。
【0058】
図4(a)に示すガス発生器は、長さと内径が同一である第1筒状部材201と第2筒状部材202の2つを組み合わせて使用している。
第1筒状部材201と第2筒状部材202の接続形態は、図1に示す第1筒状部材30と第3筒状部材50と同じである。
【0059】
図4(a)に示すガス発生器において、ガス発生剤70の充填量を増加させる必要があるとき、図4(b)に示すように、第2筒状部材202を長さの短い第3筒状部材203に代えて、第1筒状部材201と第3筒状部材203の組み合わせにする。
このようにすることで燃焼室25の容積が増加するため、ガス発生剤70の充填量を増加することができる。
逆にガス発生剤70の充填量を減少させる必要があるときは、図4(b)から図4(a)のようにする。
それぞれの筒状部材を組み合わせる数は、ガス発生剤70の充填量だけでなく、筒状ハウジング10の長さにあわせて調整することもできる。
【0060】
(3)図5図6の内筒部材を有するガス発生器
図5図6により異なる実施形態の内筒部材(複数の筒状部材の組み合わせ)について説明する。
図1に示す第1筒状部材30、第2筒状部材40および第3筒状部材50では、互いの接続部分が図2に示す凹凸部の組み合わせであるが、図5の内筒部材では接続部分がフランジ部になっている。
図5の第1筒状部材130は図1図2の第1筒状部材30に対応し、第2筒状部材140は図1図2の第2筒状部材40に対応するものである。
【0061】
第1筒状部材130は、第2筒状部材140との接続部分側に第1フランジ部131を有しており、周面には複数の第1ガス出入孔137を有している。
第1フランジ部131は、周方向に等間隔に形成された8個の第1貫通孔132を有している。
第2筒状部材140は、第1筒状部材130との接続部分側に第2フランジ部141を有しており、周面には複数の第2ガス出入孔147を有している。
第2フランジ部141は、周方向に等間隔に形成された4個の第2貫通孔142と4個の第2突起143を有している。
【0062】
第1筒状部材130と第2筒状部材140は、図6に示すように、第1フランジ部131の4つの第1貫通孔132に対して、第2フランジ部141の4つの第2突起143を嵌め込むことで着脱自在に接続される。
このとき、第1フランジ部131の残部の4個の第1貫通孔132と第2フランジ部141の4個の第2貫通孔142が、互いに軸方向に正対されるように当接して接続される。4個の第1貫通孔132と4個の第2貫通孔142の接続部分が、筒状空間60におけるガス排出経路となる。
【0063】
図5図6に示す筒状部材からなる内筒部材は、第1筒状部材130の第1突出部は、図1と同様の第1環状傾斜面部31、図5に示す第1フランジ部131と同じフランジ部、図7に示す第1フランジ部231と同じフランジ部(孔232は不要)のいずれであってもよい。
【0064】
(4)図7の内筒部材を有するガス発生器
図7により異なる実施形態の内筒部材(複数の筒状部材の組み合わせ)について説明する。
図1に示す第1筒状部材30、第2筒状部材40および第3筒状部材50では、互いの接続部分が図2に示す凹凸部の組み合わせであるが、図5の内筒部材では接続部分がフランジ部になっている。
図7の第1筒状部材230は図1図2の第1筒状部材30に対応し、第2筒状部材240は図1図2の第2筒状部材40に対応するものである。
【0065】
第1筒状部材230は、第2筒状部材240との接続部分側に第1フランジ部231を有しており、周面には複数の第1ガス出入孔237を有している。
第1フランジ部231は、周方向に等間隔に形成された4箇所の切り欠き部233で4つに分離されている(4つの突出片231を有している)。4つに分離された第1フランジ部231(4つの突出片231)は、それぞれに第1貫通孔232を有している。
第2筒状部材240は、第1筒状部材230との接続部分側に第2フランジ部241を有しており、周面には複数の第2ガス出入孔247を有している。
第2フランジ部241は、周方向に等間隔に形成された4箇所の切り欠き部243で4つに分離されている(4つの突出片241を有している)。4つに分離された第2フランジ部241(4つの突出片241)は、それぞれに第2突起242を有している。
【0066】
第1筒状部材230と第2筒状部材240は、第1フランジ部231の4つの第1貫通孔232に対して、第2フランジ部241の4つの第2突起242を嵌め込むことで着脱自在に接続される。
このとき、第1フランジ部131の4箇所の切り欠き部233と第2フランジ部241の4箇所の切り欠き部243が、互いに軸方向に正対されるように当接して接続される。
4箇所の切り欠き部233と4箇所の切り欠き部243の接続部分が、筒状空間60におけるガス排出経路となる。
【0067】
図7に示す筒状部材からなる内筒部材は、第1筒状部材230の第1突出部は、図1と同様の第1環状傾斜面部31、図5に示す第1フランジ部131と同じフランジ部、図7に示す第1フランジ部231と同じフランジ部(孔232は不要)のいずれであってもよい。
【0068】
(5)図8に示す幅方向の断面形状の内筒部材を有するガス発生器
図8(a)に示すように、第1筒状部材30、第2筒状部材40および第3筒状部材50の幅方向の断面が円形の場合には、第1筒状部材30、第2筒状部材40および第3筒状部材50の外表面と筒状ハウジングの内周壁面11との間には、周方向に連続し、軸X方向に連続した筒状空間60が形成される。
【0069】
図8(b)に示すように、第1筒状部材30、第2筒状部材40および第3筒状部材50の幅方向の断面が正方形の場合には、第1筒状部材30、第2筒状部材40および第3筒状部材50の外表面と筒状ハウジングの内周壁面11との間には、周方向には4分割され、軸X方向には連続した空間60が形成される。
また、第1筒状部材30、第2筒状部材40および第3筒状部材50の幅方向の断面が正三角形の場合には、周方向に3分割され、軸X方向には連続した空間60が形成され、第1筒状部材30、第2筒状部材40および第3筒状部材50の幅方向の断面が正六角形の場合には、周方向に6分割され、軸X方向には連続した空間60が形成される。
【0070】
図8(b)に示すような断面形状を有する複数の筒状部材を組み合わせて使用したときは、前記複数の筒状部材の外周面の角部が筒状ハウジングの内周壁面に当接されて支持される。
このため、図8(a)に示すように断面が円形である複数の筒状部材を組み合わせて使用した実施形態(図1)のように、第1環状傾斜面部31と、第1環状傾斜面部31の外周部31aが筒状ハウジングの内周壁面11に当接された部分(第1当接部分)と、第3環状傾斜面部51と、第3環状傾斜面部51がカップ状部材40の底面40aと周壁部40bの境界部分に当接されている第2当接部分は不要になる。
【0071】
複数の筒状部材同士の接続部分は、図2に示す凹凸部34と凹凸部44a、凹凸部44bと凹凸部54の組み合わせにすることができるほか、図7に示す、貫通孔を有する4つの突出片231と突起を有する4つの突出片241の組み合わせにすることもできる。あるいは、筒状部材を形成する各々の面の開口部側において、幅方向の中央部に凹部を形成し、筒状部材同士を円周方向にずらして凹部同士をかみ合わせて接続することができる。
【符号の説明】
【0072】
10 筒状ハウジング
12 ディフューザ部
15 ガス排出口
16 点火器
20 第1燃焼室
22 第1ガス発生剤
25 第2燃焼室
30 第1筒状部材
40 第2筒状部材
50 第3筒状部材
70 第2ガス発生剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8