(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガイドピンと前記移動部とに渡って設けられ、前記移動部が前記押込具から離れる方向に移動する場合に、前記移動部が前記押込具に近づく方向に付勢するばねをさらに備えたことを特徴とする請求項4に記載の乗客コンベヤの踏段清掃装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る踏段清掃装置を用いて清掃される踏段を示す斜視図、
図2は
図1の踏段の要部を示す正面図である。図において、踏段1は、利用者が乗る踏板101と、踏板101の後部に接続され踏板101から下方に延びたライザ102と、踏板101の前部とライザ102の下端部とに接続されたブラケット103と、ブラケット103の前部に設けられた踏段軸104と、踏段軸104の両端部に設けられた駆動ローラ105と、ブラケット103の後部に設けられた従動ローラ106とを有している。この例では、踏板101の後部とは、踏段1が往路側にある場合における踏板101の下階側端部であり、踏板101の前部とは、踏段1が往路側にある場合における踏板101の上階側端部である。また、この例では、ブラケット103の後部とは、踏段1が往路側にある場合におけるブラケット103の下階側端部であり、ブラケット103の前部とは、踏段1が往路側にある場合におけるブラケット103の上階側端部である。
【0010】
踏板101の上面には、複数の溝107が幅方向に並んで形成されている。複数の溝107によって、踏板101には、踏板クリート(クリート)108が形成されている。
【0011】
図示していないが、ライザ102の後面には、溝107と同様の溝が幅方向に並んで形成されている。また、複数の溝によって、ライザ102には、踏板クリート108と同様のライザクリート(クリート)が形成されている。
【0012】
この発明の実施の形態1に係る踏段清掃装置は、踏板101の溝107およびライザ102の溝の両方の清掃に用いることができる。この例では、踏板101の溝107を清掃する場合について説明する。
図3はこの発明の実施の形態1に係る踏段清掃装置を示す側面図、
図4は
図3のIV−IV線に沿った矢視断面図である。
図3および
図4では、踏段清掃装置に加えて踏板101も示している。踏段清掃装置(乗客コンベヤの踏段清掃装置)2Aは、押込具201と、押込具201に着脱可能に設けられるウエス(シート状清掃体)202とを備えている。
【0013】
押込具201は、複数の溝107に挿入される複数の挿入部203と、複数の挿入部203を連結する連結部204とを有している。複数の挿入部203は、幅方向に並べて配置されている。ここで、幅方向とは、踏段1に踏段清掃装置2Aを取り付けた場合における踏段1の幅方向と一致する方向であり、
図4の矢印Aの方向である。
【0014】
挿入部203を幅方向に見た場合に、それぞれの挿入部203の下端部は、奥行方向中間部が下方に突出するような湾曲形状に形成されている。ここで、奥行方向とは、踏段1に踏段清掃装置2Aを取り付けた場合における踏段1の進行方向と一致する方向であり、
図3の矢印Bの方向である。挿入部203の長さ方向の寸法は、溝107の深さ方向の寸法よりも大きくなっている。
【0015】
ウエス202は、除去される異物の種類によって、水が付着されていたり、洗剤が付着されていたりしてもよい。ウエス202には、複数のスリット205が形成されている。
図5は
図3のウエス202に形成されたスリット205と踏板101の踏板クリート108との関係を示す図である。隣り合うスリット205の間の寸法L
1は、踏板クリート108のピッチの寸法L
2と同じとなっている。
【0016】
次に、踏段清掃装置2Aを用いて踏板101を清掃する手順について説明する。まず、ウエス202を押込具201に取り付ける。このとき、ウエス202が挿入部203を覆うようにウエス202を押込具201に取り付ける。また、このとき、ウエス202の厚さ方向に踏段清掃装置2Aを見た場合に、それぞれのスリット205の位置が、隣り合う挿入部203の間となるようにウエス202を押込具201に取り付ける。
【0017】
図6は
図3の踏段清掃装置2Aを用いて踏段1を清掃する状態を示す側面図、
図7は
図6のVII−VII線に沿った矢視断面図である。ウエス202を押込具201に取り付けた状態で、挿入部203が溝107に挿入されるように、押込具201を踏板101に押し込む。このとき、踏板クリート108は、スリット205に挿入される。これにより、ウエス202における隣り合うスリット205の間にある部分は、溝107の側面および底面に接触する。この状態で、踏板101に対して踏段清掃装置2Aを溝107に沿って移動させる。これにより、溝107の側面および底面が清掃される。溝107の側面および底面が清掃された後、挿入部203が溝107から引き抜かれるように、押込具201を踏板101から離す。以上により、踏段1の清掃が終了する。踏段1における他の溝107を清掃する場合には、ウエス202のみを交換して、挿入部203が溝107に挿入されるように、押込具201を踏板101に押し込むことを繰り返す。
【0018】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係る踏段清掃装置2Aによれば、ウエス202のみを交換することができるので、経済性を向上させることができる。
【0019】
実施の形態2.
図8はこの発明の実施の形態2に係る踏段清掃装置を示す側面図、
図9は
図8の踏段清掃装置を示す正面図である。踏段清掃装置2Bは、押込具201と、押込具201に着脱可能に設けられるウエス202と、押込具201に設けられた4つの位置決めピン206と、押込具201の側面を覆う環状弾性体207とを備えている。
【0020】
押込具201は、実施の形態1と同様に、複数の溝107に挿入される複数の挿入部203と、複数の挿入部203を連結する連結部204とを有している。連結部204の側面には、凹部208が全周に渡って形成されている。
【0021】
位置決めピン206は、連結部204の上面に配置されている。位置決めピン206は、押込具201を上方から見た場合に、連結部204の四隅が配置されている。なお、位置決めピン206は、連結部204の上面に限らず、例えば、連結部204の側面に配置されてもよい。
【0022】
環状弾性体207は、輪ゴムなどから構成されている。環状弾性体207は、環状弾性体207と押込具201との間にウエス202が挟まれるようにして、凹部208に挿入されている。環状弾性体207が凹部208に挿入されることによって、ウエス202には、張力が発生する。これにより、ウエス202における挿入部203を覆う部分に弛みが形成されることが防止され、ウエス202が挿入部203に面接触した状態が維持される。
【0023】
図10は
図7のウエス202を示す平面図である。ウエス202の四隅には、位置決めピン206が挿入される位置決め穴209が形成されている。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0024】
次に、踏段清掃装置2Bの組立手順について説明する。まず、ウエス202を押込具201に取り付ける。このとき、ウエス202が挿入部203を覆うようにウエス202を押込具201に取り付ける。また、このとき、位置決め穴209に位置決めピン206を挿入する。これにより、ウエス202の厚さ方向に踏段清掃装置2Bを見た場合に、それぞれのスリット205の位置が、隣り合う挿入部203の間となる。
【0025】
その後、環状弾性体207と押込具201との間にウエス202が挟まれるようにして、環状弾性体207を凹部208に挿入する。これにより、ウエス202に張力が発生する。以上により、踏段清掃装置2Bの組立が終了する。
【0026】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係る踏段清掃装置2Bによれば、押込具201に設けられた複数の位置決めピン206を備え、ウエス202には、位置決めピン206が挿入される位置決め穴209が形成され、位置決め穴209は、位置決めピン206が位置決め穴209に挿入された場合に、ウエス202を厚さ方向に見た場合のスリット205の位置が、隣り合う挿入部203の間となるように配置されているので、簡単な構成で、ウエス202の厚さ方向に踏段清掃装置2Bを見た場合のそれぞれのスリット205の位置を、隣り合う挿入部203の間となるように配置することができる。
【0027】
また、この踏段清掃装置2Bは、押込具201を覆うウエス202の周囲に設けられた環状弾性体207を備え、押込具201の側面には、環状弾性体207が挿入される凹部208が全周に渡って形成されているので、簡単な構成で、ウエス202に張力を発生させることができる。
【0028】
実施の形態3.
図11はこの発明の実施の形態1に係る踏段清掃装置を示す側面図、
図12は
図11の踏段清掃装置を示す正面図である。踏段清掃装置2Cは、押込具201と、押込具201に着脱可能に設けられるウエス202と、押込具201の上面に設けられ、押込具201から離れる方向に延びた4本のガイドピン210と、ガイドピン210に案内される移動部211と、移動部211に支持された複数の位置決めピン206と、ガイドピン210と移動部211とに渡って設けられ、移動部211が押込具201から離れる方向に移動する場合に、移動部211が押込具201に近づく方向に付勢するばね212と、押込具201に対して固定された第1把持部213と、移動部211に対して固定された第2把持部214とを備えている。
【0029】
ガイドピン210は、ガイドピン本体215と、ガイドピン本体215の上端部に設けられたストッパ216とを有している。ストッパ216は、移動部211がガイドピン本体215から上方に離れてしまうことを防止する。
【0030】
第1把持部213および第2把持部214は、互いに平行に配置されている。第1把持部213は、第2把持部214よりも上方に配置されている。第2把持部214が第1把持部213に近づく方向に移動することによって、移動部211が押込具201から離れる方向に移動する。これにより、ウエス202に張力が発生する。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0031】
以上説明したように、この発明の実施の形態3に係る踏段清掃装置2Cによれば、押込具201に設けられ、押込具201から離れる方向に延びたガイドピン210と、位置決めピン206を支持し、ガイドピン210に案内される移動部211とを備え、移動部211が押込具201から離れる方向に移動することによって、ウエス202に張力が発生するので、移動部211を押込具201から離れる方向に移動させることによって、簡単に、ウエス202に張力を発生させることができる。
【0032】
また、この踏段清掃装置2Cは、ガイドピン210と移動部211とに渡って設けられ、移動部211が押込具201から離れる方向に移動する場合に、移動部211が押込具201に近づく方向に付勢するばね212を備えているので、移動部211を押込具201から離す方向に移動させる力を解除することによって、移動部211が押込具201に近づく方向に移動し、ウエス202の張力が解除される。これにより、簡単に、ウエス202を交換することができる。
【0033】
実施の形態4.
図13はこの発明の実施の形態4に係る踏段清掃装置を示す正面図、
図14は
図13のXIV−XIV線に沿った矢視断面図である。踏段清掃装置2Dは、格納部217が形成された押込具201と、押込具201に着脱可能に設けられるウエス202と、格納部217に設けられ、ウエス202の一端部が巻かれたウエス支持用軸218と、ウエス支持用軸218に設けられたラチェット機構219と、ウエス支持用軸218を回転させるためのハンドル220と、押込具201に設けられたウエス案内用軸221と、ウエス202の他端部を押込具201に対して固定する固定部222と、押込具201に設けられた把持部223と、格納部217に設けられた仕切板224と、格納部217に設けられた交換用ウエス225とを備えている。
【0034】
格納部217は、仕切板224によって、ウエス案内用軸221が配置される第1格納部226と、交換用ウエス225が配置される第2格納部227とに区分けされている。
【0035】
ラチェット機構219は、ウエス支持用軸218に巻かれたウエス202が送り出される方向にウエス支持用軸218が回転することを規制する。ラチェット機構219によるラチェット機能は、図示しないスイッチによって解除が可能となっている。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0036】
次に、踏段清掃装置2Dの組立手順について説明する。まず、ラチェット機構219のラチェット機能を解除した状態で、ウエス支持用軸218からウエス202を送り出し、ウエス202が挿入部203を覆うようにして、固定部222を用いてウエス202の他端部を押込具201に対して固定する。
【0037】
その後、ラチェット機構219をラチェット機能が働く状態にして、ハンドル220を用いて、ウエス支持用軸218を回転させて、ウエス支持用軸218にウエス202の一部を巻き取らせる。これにより、ウエス202に張力が発生する。ラチェット機構219のラチェット機能が働いているので、ハンドル220に加える力を解除しても、ウエス支持用軸218は、ウエス支持用軸218からウエス202が送り出される方向に回転することが規制される。したがって、ウエス202に張力が発生した状態が維持される。
【0038】
以上説明したように、この発明の実施の形態4に係る踏段清掃装置2Dによれば、ウエス支持用軸218からウエス202を送り出すことによって、簡単に挿入部203を覆うウエス202の部分を交換することができる。