特許第6261477号(P6261477)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6261477-SNS−595、及びその使用方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261477
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】SNS−595、及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4375 20060101AFI20180104BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20180104BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20180104BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20180104BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20180104BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20180104BHJP
   A61K 38/22 20060101ALI20180104BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20180104BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20180104BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   A61K31/4375
   A61K9/08
   A61P35/00
   A61P35/02
   A61K45/00
   A61K38/00
   A61K38/22
   A61K47/20
   A61K47/12
   A61K47/22
【請求項の数】25
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-180862(P2014-180862)
(22)【出願日】2014年9月5日
(62)【分割の表示】特願2011-135675(P2011-135675)の分割
【原出願日】2005年3月14日
(65)【公開番号】特開2015-17110(P2015-17110A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2014年10月2日
(31)【優先権主張番号】60/553,578
(32)【優先日】2004年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500586635
【氏名又は名称】サネシス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】000002912
【氏名又は名称】大日本住友製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル シー アデルマン
(72)【発明者】
【氏名】ジェッフレイ エー シルべルマン
(72)【発明者】
【氏名】檜垣 勝
(72)【発明者】
【氏名】中尾 智志
【審査官】 砂原 一公
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第95/034559(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
C07D
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(+)−1,4−ジヒドロ−7−[(3S,4S)−3−メトキシ−4−(メチルアミノ)−1−ピロリジニル]−4−オキソ−1−(2−チアゾリル)−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸及び酸を水溶液中に含み、
pHが2〜3.5であり、
10mg/m〜150mg/mの投与量の(+)−1,4−ジヒドロ−7−[(3S,4S)−3−メトキシ−4−(メチルアミノ)−1−ピロリジニル]−4−オキソ−1−(2−チアゾリル)−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸を患者に注射または静脈内注射で投与するのに適している、患者における白血病を治療するための医薬組成物。
【請求項2】
対症療法剤と組み合わせて前記化合物を投与するよう調製される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記対症療法剤は、制吐薬または造血薬である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記造血薬は、G−CSF、GM−CSF、エリスロポエチン、赤血球生成促進タンパク、またはそれらの誘導体である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記赤血球生成促進タンパクは、ダルベポエチンアルファである、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記投与量は、30mg/m〜75mg/mである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記投与量は、40mg/m〜80mg/mである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記投与量は、20mg/m〜30mg/mである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記投与量は、25mg/m〜35mg/mである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記投与量は、40mg/m〜50mg/mである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記投与量は、45mg/m2〜55mg/m2である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
pHが2〜3である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
pHが2.3〜2.7である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記酸は、有機酸である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記酸は、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、エタンスルホン酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、プロピオン酸、コハク酸、トリフルオロ酢酸、及びトルエンスルホン酸から選択される有機酸である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記酸は、メタンスルホン酸である、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
等張化剤をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記等張化剤は、アミノ酸、電解質、単糖類、二糖類、及び水酸基を6個含むアルコールから選択される、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記等張化剤は、ソルビトールである、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項20】
(+)−1,4−ジヒドロ−7−[(3S,4S)−3−メトキシ−4−(メチルアミノ)−1−ピロリジニル]−4−オキソ−1−(2−チアゾリル)−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸が10mg/mLの量で存在し、ソルビトールが前記医薬組成物の総体積の4.5%の量で存在し、かつ前記医薬組成物のpHを2.5にするのに十分なメタンスルホン酸が存在する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記医薬組成物10mLあたり、100mgの(+)−1,4−ジヒドロ−7−[(3S,4S)−3−メトキシ−4−(メチルアミノ)−1−ピロリジニル]−4−オキソ−1−(2−チアゾリル)−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸、及び450mgのソルビトールを含み、かつ前記医薬組成物のpHを2.5にするのに十分なメタンスルホン酸を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項22】
凍結乾燥形態である、請求項1〜21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
pH2〜3.5の組成物を得る水中での再構成に適している、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
(+)−1,4−ジヒドロ−7−[(3S,4S)−3−メトキシ−4−(メチルアミノ)−1−ピロリジニル]−4−オキソ−1−(2−チアゾリル)−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸が10mg/mLの量で存在し、ソルビトールが前記医薬組成物の総体積の4.5%の量で存在し、かつ前記医薬組成物のpHを2〜3.5にするのに十分なメタンスルホン酸が存在する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記医薬組成物10mLあたり、100mgの(+)−1,4−ジヒドロ−7−[(3S,4S)−3−メトキシ−4−(メチルアミノ)−1−ピロリジニル]−4−オキソ−1−(2−チアゾリル)−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸、及び450mgのソルビトールを含み、かつ前記医薬組成物のpHを2〜3.5にするのに十分なメタンスルホン酸を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
SNS−595は、新規なナフチリジン細胞傷害剤であり、すでにAG−7352として
知られている(例えば、Tsuzukiらの論文(Tetrahedron-Asymmetry 12: 1793-1799 (2001
))、及び、米国特許第5,817,669号を参照されたい)。SNS−595の化学
名は、(+)−1,4−ジヒドロ−7−[(3S,4S)−3−メトキシ−4−(メチルアミノ)−1−ピ
ロリジニル]−4−オキソ−1−(2−チアゾイル)−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸
であり、以下の構造を有する。
【0002】
【化1】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は医薬組成物と、ガン治療のための、SNS−595の使用方法に関するもので
ある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(本発明の詳細な説明)
本発明のある態様において、pHが2〜3.5である水溶液中に、a)SNS−595
、及びb)酸を含む医薬組成物を提供する。本明細書中に使用されるように、数値の範囲
は、包括的であることを意図している。例えば、pH2〜3.5の範囲は、pH2、及び
pH3.5の両方を含む。ある実施態様において、該組成物のpHは2〜3である。別の
実施態様において、該組成物のpHは、2.3〜2.7である。本明細書中に使用される
ように、水溶液は水を含む液体である。
【0005】
酸の適切な例には、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、エタンスルホン酸、
グリコール酸、塩化水素、臭化水素、ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、
メタンスルホン酸、プロピオン酸、コハク酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、及びトルエンス
ルホン酸などの、有機酸、及び無機酸の両方を含む。ある実施態様において、該酸は、塩
酸、メタンスルホン酸、及び乳酸がある。別の実施態様において、該酸はメタンスルホン
酸である。
【0006】
別の実施態様において、医薬組成物はさらに、等張化剤を含む。等張化剤の適切な例に
は、アミノ酸(例えば、アラニン、及びグリシン)、電解質(例えば、塩化ナトリウム、及
び塩化カリウム)、単糖類(例えば、グルコース、又はガラクトース)、二糖類(例えば、
スクロース)、及び水酸基を6個含むアルコール(例えば、マンニトール、及びソルビトー
ル)がある。別の実施態様において、等張化剤は塩化ナトリウム、グルコース、マンニト
ール、又はソルビトールである。別の実施態様において、等張化剤は、水酸基を6個含む
アルコールである。別の実施態様において、等張化剤はソルビトールである。
【0007】
SNS−595はガン治療における、細胞毒性剤である。本発明方法を用いて治療し得
るガンの種類には、膀胱ガン、乳ガン、子宮頸ガン、結腸ガン(結腸直腸ガンを含む)、
食道ガン、頭頸部ガン、白血病、肝臓ガン、肺ガン(小細胞、及び非小細胞の両方を含む
)、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、卵巣ガン、膵臓ガン、前立腺ガン、腎臓
ガン、肉腫(骨肉腫を含む)、皮膚ガン(扁平上皮ガンを含む)、胃ガン、精巣ガン、甲
状腺ガン、及び子宮ガンがあるが、それらに限定されない。
【0008】
本発明の他の態様として、ヒトのガン治療にSNS−595を使用する方法が提供され
る。該方法は、SNS−595の10mg/m〜150mg/mの投与量を、患者の
体表面領域に投与することを含む。体の表面積の計算は、例えばモステラーの式を用いて
、BSA(m)=平方根[(高さ(cm)×重さ(kg)/3600)]として算出でき
る。
別の実施態様において、該投与量は、10mg/m〜100mg/mである。別の実
施態様において、該投与量は、30mg/m〜75mg/mである。別の実施態様に
おいて、該投与量は、40mg/m〜80mg/mである。別の実施態様において、
該投与量は50mg/m〜90mg/mである。
別の実施態様において、該投与量は20/m〜30mg/mである。別の実施態様
において、該投与量は25mg/m〜35mg/mである。別の実施態様において、
該投与量は40mg/m〜50mg/mである。別の実施態様において、該投与量は
、45mg/m〜55mg/mである。別の実施態様において、該投与量は、50m
g/m〜60mg/mである。別の実施態様において、該投与量は、55mg/m
〜65mg/mである。別の実施態様において、該投与量は、60mg/m〜70m
g/mである。別の実施態様において、該投与量は、65mg/m〜75mg/m
である。別の実施態様において、該投与量は、70mg/m〜80mg/mである。
別の実施態様において、該投与量は、75mg/m〜85mg/mである。別の実施
態様において、該投与量は、80mg/m〜90mg/mである。別の実施態様にお
いて、該投与量は、85mg/m〜95mg/mである。別の実施態様において、該
投与量は、90mg/m〜100mg/mである。
【0009】
別の実施態様において、該投与量は、95mg/m〜105mg/mである。別の
実施態様において、該投与量は、100mg/m〜110mg/mである。別の実施
態様において、該投与量は、105mg/m〜115mg/mである。別の実施態様
において、該投与量は、110mg/m〜120mg/mである。別の実施態様にお
いて、該投与量は、115mg/m〜125mg/mである。別の実施態様において
、該投与量は、120mg/m〜130mg/mである。別の実施態様において、該
投与量は、125mg/m〜135mg/mである。別の実施態様において、該投与
量は、130mg/m〜140mg/mである。別の実施態様において、該投与量は
、135mg/m〜145mg/mである。別の実施態様において、該投与量は、1
40mg/m〜150mg/mである。
【0010】
SNS−595の投与量は、同時に(例えば、単一ボーラス注射)、又は24時間にわ
たって(例えば、長期にわたる連続的注入、又は長期にわたる分割ボーラス投与)配送さ
れることが可能であり、かつ患者の疾病の安定期、又は退縮期、又は該患者の病態の進行
期、又は許容不可能な毒性の場合まで繰りかえされる。例えば、固形ガンにおいて安定し
た病態とは、測定可能な病変の垂直な直径が、前回の測定よりも25%、あるいはそれ以
上に増加していないことを一般的に意味する。例えば、「固形ガンの治療効果判定のため
のガイドライン(RECIST)」,『Journal of the National Cancer Institute』92
(3): 205-216 (2000)を参照されたい。安定した病態、又はその欠如は、患者の症状の評
価、健康診断、X線、CAT、PET、又はMRIスキャン、及び通常認められている評
価様式を用いてイメージ化された腫瘍の可視化などの当業で周知の方法で決定される。
【0011】
SNS−595の投与量は、mg/m以外の、他の単位で表現することができる。例
えば、投与量はmg/kgとして表現できる。当業者は、対象の高さ、又は重さ、又は両
方に与えられる、mg/mからmg/kgへの投与量の変換の仕方を容易に知ることが
できるであろう(例えば、http:///www.fda.gov/cder/cancer/aimalframe.htmを参照され
たい)。例えば、65kgのヒトにおける10mg/m〜150mg/mの投与量は
、ほぼ0.26mg/kg〜3.95mg/kgに等しい。
【0012】
本発明の別の態様においては、SNS−595が投与スケジュールに従って投与される
。ある実施態様において、該方法は:
i)患者に10mg/m〜150mg/mの投与量のSNS−595を投与すること

ii)該対象にSNS−595が投与されない場合、少なくとも1日間待機すること;
iii)該患者に、さらに10mg/m〜150mg/mのSNS−595の投与量の
投与をすること;及び
ii)〜iii)のステップを複数回繰り返すことを含む。
【0013】
例えば、待機期間が6日間だった場合、SNS−595の初回投与量は、1日目に投与
され(ステップi);待機期間が6日であり(ステップii);さらなるSNS−595の
投与量は、8日目に投与される(ステップiii)。他の典型的な時間は、2日、3日、1
3日、20日、及び27日を含む。別の実施態様において、待機期間は、少なくとも2日
であり、ステップii)からiii)を通して、少なくとも3回繰り返される。別の実施態様
において、待機期間は少なくとも3日であり、ステップii)からiii)を通して少なくと
も5回繰り返される。別の実施態様において、待機期間は少なくとも3日であり、ステッ
プii)からiii)は少なくとも3回繰り返される。別の実施態様において、待機期間は少
なくとも3日であり、ステップii)からiii)は少なくとも5回繰り返される。別の実施
態様において、待機期間は少なくとも6日であり、ステップii)からiii)は少なくとも
3回繰り返される。別の実施態様において、待機期間は少なくとも6日であり、ステップ
ii)からiii)は少なくとも5回繰り返される。別の実施態様において、待機期間は少な
くとも20日であり、ステップii)からiii)は少なくとも3回繰り返される。別の実施
態様において、待機期間は少なくとも20日であり、ステップii)からiii)は少なくと
も5回繰り返される。別の実施態様において、待機期間は少なくとも27日であり、ステ
ップii)からiii)は少なくとも3回繰り返される。別の実施態様において、待機期間は
少なくとも27日であり、ステップii)からiii)は少なくとも5回繰り返される。
【0014】
別の実施態様において、投与方法は、対象への週1回の投与を含む。別の実施態様にお
いて、投与方法は、2週間ごとに、対象へのSNS−595の投与を含む。別の実施態様
にいて、投与方法は、3週間ごとに、対象へのSNS−595の投与を含む。別の実施態
様において、投与方法は、4週間ごとに、対象へのSNS−595の投与を含む。
別の実施態様において、投与方法は3週間の間、毎週対象に所定投与量のSNS−595
を投与して、その後に少なくとも2週間、対象にSNS−595が投与されない期間を置
くことを含むサイクルを含む方法であり、該サイクルは複数回繰り返される。別の実施態
様において、SNS−595が投与されない期間は2週間である。別の実施態様において
、SNS−595が投与されない期間は3週間である。
【0015】
本発明の別の態様として、固形ガンの治療方法を提供する。該方法は:
i)10mg/m〜100mg/mの投与量で、SNS−595を患者に投与する;i
i)該患者がSNS−595を投与されない期間が少なくとも6日である;
iii)さらに10mg/m〜100mg/mのSNS−595を患者に投与する;及
びステップii)からiii)を複数回繰り返すことを含む。
【0016】
本発明の別の態様として、白血病やリンパ腫のような血液ガンの治療方法を提供する。
該方法は:
i)患者に、60mg/m〜150mg/mのSNS−595の投与量を投与する;i
i)該対象に、SNS−595が投与されない期間が、少なくとも2日の待機期間である

iii)該患者に、さらに60mg/m〜150mg/mの投与量の投与する;及び
iv)ステップii)からiii)を複数回繰り返すことを含む。
【0017】
本発明の別の態様として、SNS−595によって治療される患者に、対症療法を施す
方法がある。該方法は:
a)患者への10mg/m〜150mg/mの投与量のSNS−595の投与、及び
b)治療的有効量の対症療法剤の投与を含む。
【0018】
対症療法剤は、SNS−595治療による有害効果を防ぐ、又は管理するあらゆる物質
であり、その物質のため適切な投与計画に従って投与される。例えば、悪心治療のための
異なる対症療法剤は、異なる投与計画を有する。いくつかは予防的に投与されるが、他は
SNS−595と共投与され、さらにその他はSNS−595の投与後に投与される。対
症療法剤の量と投与計画の実例は、医師用卓上参考書に見出される。
【0019】
ある実施態様において、対症療法剤は制吐剤である。制吐剤の実例を挙げると、フェノ
チアジン、ブチロフェノン、ベンゾジアザピン、コルチコステロイド、セロトニンアンタ
ゴニスト、カンナビノイド、及びNK1レセプターアンタゴニストがあり、それらに限定
されない。フェノチアジン制吐剤の例は、プロクロルペラジン、及びトリメトベンズアミ
ドを含む。ブチロフェノン制吐剤の例は、ハロペリドールである。ベンゾジアザピン制吐
剤の例は、ロラゼパムである。コルチコステロイド制吐剤の例は、デキサメタゾンである
。セロトニンアンタゴニスト制吐剤の例は、オンダンセトロン、グラニセトロン、及びド
ラセトロンを含む。カンナビノイド制吐剤の例は、ドナビノールである。NK1レセプタ
ーアンタゴニストの例は、アプレピタントである。
【0020】
別の実施態様において、該制吐剤はプロクロルペラジンである。別の実施態様において
、該制吐剤はプロクロルペラジンであり、かつ治療的有効量は10mgである。別の実施
態様において、該制吐剤は、プロクロルペラジンであり、かつ治療的有効量はSNS−5
95投与前の10mgの経口投与量である。別の実施態様において、該制吐剤は、プロク
ロルペラジンであり、かつ治療的有効量は、SNS−595の投与後、必要に応じて4〜
6時間毎に10mgの経口投与量である。
【0021】
別の実施態様において、該制吐剤はデキサメタゾンである。別の実施態様において、該
制吐剤はデキサメタゾンであり、かつ治療的有効量は少なくとも4mgである。別の実施
態様において、該制吐剤はデキサメタゾンであり、かつ治療的有効量は、SNS−595
の投与前の4mgの投与量である。別の実施態様において、該制吐剤はデキサメタゾンで
あり、SNS−595の投与前の治療的有効量は、8mgの経口投与量である。別の実施
態様において、該制吐剤は、デキサメタゾンであり、SNS−595投与前の治療的有効
量は、約10mg〜約20mgの間の静脈内投与量である。別の実施態様において、該制
吐剤は、デキサメタゾンであり、治療的有効量は、SNS−595投与後に必要とされる
、6〜12時間毎に4mgの経口投与量である。
【0022】
別の実施態様において、該制吐剤はロラゼパムである。別の実施態様において、該制吐
剤はロラゼパムであり、かつ治療的有効量は1mgである。別の実施態様に置いて、該制
吐剤はロラゼパムであり、かつ治療的有効量はSNS−595の投与前、経口の1mgで
ある。別の実施態様において、該制吐剤はロラゼパムであり、かつ治療的有効量は、SN
S−595投与前の1mgの静脈内投与量である。別の実施態様において、該制吐剤はロ
ラゼパムであり、かつ治療的有効量はSNS−595の投与後に必要とされるように、4
〜6時間毎につき1mgの経口投与量である。
【0023】
別の実施態様において、該制吐剤は、ドラセトロンである。別の実施態様において、該
制吐剤はドラセトロンであり、かつ治療的有効量は100mgである。別の実施態様にお
いて、該制吐剤はドラセトロンであり、かつ治療的有効量はSNS−595投与前の10
0mgの経口投与量である。別の実施態様において、該制吐剤はドラセトロンであり、か
つ治療的有効量は、SNS−595投与前の100mgの静脈内投与量である。
【0024】
別の実施態様において、該制吐剤は、オンダンセトロンである。別の実施態様において
、該制吐剤はオンダンセトロンであり、かつ治療的有効量は少なくとも10mgである。
別の実施態様において、該制吐剤は、オンダンセトロンであり、かつ治療的有効量はSN
S−595の投与前の10mgの静脈内投与量である。別の実施態様において、該制吐剤
はオンダンセトロンであり、かつ治療的有効量はSNS−595投与前の32mgの静脈
内投与量である。
【0025】
別の実施態様において、該制吐剤は、グラニセトロンである。別の実施態様において、
該制吐剤はグラニセトロンであり、かつ治療的有効量は10μg/kgである。別の実施
態様において、該制吐剤はグラニセトロンであり、かつ治療的有効量はSNS−595投
与前の10μg/kgの静脈内投与量である。別の実施態様において、該制吐剤はグラニ
セトロンであり、かつ治療的有効量は少なくとも1mgである。別の実施態様において、
該制吐剤はグラニセトロンであり、かつ治療的有効量はSNS−595の投与前の経口投
与量の1mgである。別の実施態様において、該制吐剤はグラニセトロンであり、治療的
有効量は、SNS−595投与前の2mgの経口投与量である。
【0026】
別の実施態様において、該制吐剤はアプレピタントである。別の実施態様において、該
制吐剤はアプレピタントであり、治療的効果量は少なくとも80mgである。別の実施態
様において、該制吐剤はアプレピタントであり、かつ治療的有効量はSNS−595の投
与前の125mgの経口投与量である。別の実施態様において、該制吐剤はアプレピタン
トであり、かつ治療的有効量はSNS−595の投与後、少なくとも2日間における1日
につき80mgの経口投与量である。
【0027】
別の実施態様において該対症療法剤は造血剤である。造血剤は造血を促進する分子であ
る。造血剤の実例は、顆粒状コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒状マクロファージコ
ロニー刺激因子(GM−CSF)、エリスロポエチン、及び赤血球生成促進タンパク、並
びにそれらの誘導体を含むが限定されない。G−CSFの例は、フィルグラスティム、及
びペグフィルグラスティムを含むその誘導体を含むが、限定されない。GM−CSFの例
は、サルグラマモスティムを含む。エリスロポエチンの例は、エポエチンアルファである
。赤血球生成刺激タンパクの例は、ダルベポエチンアルファである。
【0028】
別の実施態様において、赤血球生成因子はG−CSFである。別の実施態様において、
赤血球生成因子はフィルグラスティムである。別の実施態様において、該赤血球生成因子
はフィルグラスティムであり、かつ治療的有効量は少なくとも4μg/kgである。別の
実施態様において、赤血球生成剤はフィルグラスティムであり、かつ治療的有効量は、S
NS−595投与後、少なくとも7日間、1日につき少なくとも4μg/kgの投与量で
ある。別の実施態様において、赤血球生成剤はフィルグラスティムであり、かつ治療的有
効量は、SNS−595の投与後から3日、少なくとも7日間、1日につき約4μg/k
gから約8μg/kgの皮下投与量である。別の実施態様において、該赤血球生成剤はフ
ィルグラスティムであり、かつ治療的有効量は、SNS−595の投与後3日目から始め
る、少なくとも14日間、1日につき約4μg/kgから約10μg/kgの皮下投与量
である。
【0029】
別の実施態様において、該赤血球生成剤はペグフィルグラスティムである。別の実施態
様において、該赤血球生成剤はペグフィルグラスティムであり、かつ治療的有効量は6m
gである。別の実施態様において、該赤血球生成剤はペグフィルグラスティムであり、か
つ治療的有効量は、SNS−595の投与後、1日につき6mgの皮下投与量である。別
の実施態様において、該赤血球生成剤はペグフィルグラスティムであり、かつ治療的有効
量は100μg/kgである。別の実施態様において、該赤血球生成剤はペグフィルグラ
スティムであり、かつ治療的有効量は、SNS−595の投与後、1日につき100μg
/kgの投与量である。
【0030】
別の実施態様において、該赤血球生成剤はGM−CSFである。別の実施態様において
、該赤血球生成剤はサルグラモスティムである。別の実施態様において、該赤血球生成剤
はサルグラモスティムであり、かつ治療的有効量は250μg/mである。別の実施態
様において、該赤血球生成剤はサルグラモスティムであり、かつ治療的効果量は1日につ
き、250μg/mの静脈内、又は皮下投与量である。別の実施態様において、該赤血
球生成剤はサルグラモスティムであり、かつ治療的効果量はSNS−595の投与の3日
目から開始し、1日につき、必要に応じて250μg/mの静脈内、又は皮下投与量で
ある。別の実施態様において、該赤血球生成剤はサルグラモスティムであり、かつ治療的
有効量は、SNS−595の投与の10日目から開始し、1日につき、必要に応じて25
0μg/mの静脈内、又は皮下投与量である。
【0031】
別の実施態様において、該赤血球生成剤はエリスロポエチンである。別の実施態様にお
いて、該赤血球生成剤はエポエチンアルファである。別の実施態様において、該赤血球生
成剤はエポエチンアルファであり、治療的有効量は少なくとも150ユニット/kgであ
る。別の実施態様において、該赤血球生成剤はエポエチンアルファであり、かつ治療的有
効量は、SNS−595投与後、1週間につき3回、150ユニット/kgの静脈内、又
は皮下投与量である。別の実施態様において、該赤血球生成剤はエポエチンアルファであ
り、かつ治療的有効量は、SNS−595の投与後、1週間につき3回、300ユニット
/kgの静脈内、又は皮下投与量である。別の実施態様において、該赤血球生成剤はエポ
エチンアルファであり、かつ治療的有効量は40,000ユニットである。別の実施態様
において、該赤血球生成剤はエポエチンアルファであり、かつ治療的有効量は、SNS−
595投与後、1週間につき40,000ユニットの投与量である。
【0032】
別の実施態様において、該赤血球生成剤は赤血球生成促進タンパクである。別の実施態
様において、該赤血球生成剤はダルベポエチンアルファである。別の実施態様において、
該赤血球生成剤はダルベポエチンアルファであり、かつ治療的有効量は約1.5μg/k
gから約4.5μg/kgである。別の実施態様において、該赤血球生成剤はダルベポエ
チンアルファであり、かつ治療的有効量は1週間につき約1.5μg/kgから約4.5
μg/kgの投与量である。
すべての引用された参考文献は、引用によって本明細書中に組み込まれる。
【実施例】
【0033】
(実施例1)
(注射、又は静脈内注射に適した医薬組成物)
酸性組成物(<pH4)は、SNS−595の増加した溶解度の適切なバランスと、好
ましい薬学的特性(例えば、配達位置においてより少ない刺激によって患者の快適さが増
加する)をもたらす。適切な組成の実例には、メタンスルホン酸を用いてpHを2.5に
調整した4.5%ソルビトールの水溶液の毎mLに対して10mgのSNS−595を含
む。そのような溶液を作るための一つの手順は、100mg/10mLの製造において以
下を含む:100mgのSNS−595、及び450mgのD−ソルビトールを蒸留水に
加える;該容積を10mLにする;及び、結果として生じた溶液のpHを、メタンスルホ
ン酸を用いて2.5に調整する。また、その結果の組成物は凍結乾燥にも適している。凍
結乾燥態は、それから蒸留水を用いて、使用前に適切な濃度にもどされる。
【0034】
(実施例2)
(ガン患者におけるSNS−595の薬物動態)
SNS−595を、最長6周期まで被験患者へ投与した。1周期を3週間として定義し
、各周期の初日(0日)においてSNS−595を投与し、追って少なくとも21日観察
した。SNS−595を少なくとも3人から成る患者群に投与し、順次的に群ごとに投与
量を増加させた。SNS−595の量は、濃度曲線下面積が無限大である直線であり、そ
の薬物動態特性は、同じ群の患者間で非常に一致していた。図1は、様々な患者群間での
経時的なSNS−595の血漿濃度を示しており、表1はそれから得られた薬物動態パラ
メータを示している。
【0035】
【表1】
【0036】
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は様々な患者群間での経時的なSNS−595の血漿濃度を示している。
図1