(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリアルコール系ポリマー(A)が、ポリビニルアルコール、エチレンとビニルアルコールとの共重合体、および糖類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む請求項1記載のガスバリア性積層体。
ポリカルボン酸系ポリマー(B)が、オレフィン−マレイン酸共重合体およびポリ(メタ)アクリル酸の少なくとも一方を含む請求項1または2記載のガスバリア性積層体。
第1ガスバリア調整層(III)および第2ガスバリア調整層(IV)が、それぞれガラス転移温度が70℃以下のポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートとの反応生成物を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリア性積層体。
金属(D)を含む化合物および金属(F)を含む化合物が、それぞれMgおよびCaの少なくとも一方を含む、水酸化物、酸化物、および炭酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリア性積層体。
さらに、第2ガスバリア調整層(IV)の第1ガスバリア調整層(III)に接する面と反対側の表面に形成され、第2ガスバリア調整層(IV)を保護するためのトップコート層(V)を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスバリア性積層体。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、プラスチック基材層(I)と、基材層(I)の一方の表面に、直にまたはアンカーコート層を介して、ポリアルコール系ポリマー(A)およびポリカルボン酸系ポリマー(B)のエステル化により形成される架橋構造(以下、単に、架橋X)、ならびにポリアルコール系ポリマー(A)またはポリカルボン酸系ポリマー(B)と、金属またはそれを含む化合物との反応により形成される架橋構造(以下、単に、架橋Y)を含むガスバリア層(II)と、を含むガスバリア性積層体に関する。
【0014】
架橋Xおよび架橋Yが混在する緻密な架橋構造を有するガスバリア層を有することで、高湿度の環境下にて長期間保存した場合でも優れたガスバリア性が得られる。架橋Yを形成する化学結合は、例えば、共有結合(配位結合含む)またはイオン結合である。架橋Xの密度は、ポリマー(A)とポリマー(B)との配合比等を変えることで、精度よく調整することができる。
【0015】
従来では、ガスバリア層中のポリマー(A)またはポリマー(B)が、ガスバリア層(II)の基材層(I)に接する面と反対側の表面に形成された1つのオーバーコート層中の金属またはそれを含む化合物(以下、単に、金属等)と反応して、架橋Yが形成されていた。この反応は、オーバーコート層中の金属等の一部がガスバリア層へ移動することで起こる。架橋Yの密度を調整するには、例えば、オーバーコート層の形成に用いる塗料中の金属等の含有量を変えることが考えられる。
【0016】
しかし、ガスバリア性を高めようとして、塗料中の金属等の含有量を増やすと、ガスバリア性が急激に高くなり、積層体を、揮発性物質を含む内容物を充填する包装体として用いる場合に、当該内容物が充填された包装体を熱殺菌処理すると外観不良が発生するという不具合を生じてしまう。このように、従来では、上記の外観不良の発生を抑制することができる程度に、ガスバリア性(架橋Yの密度)を適度に調整することは困難であった。
【0017】
本発明者らは、上記の問題を解消すべく鋭意検討した。その結果、以下の条件(i)〜(iv)を満たす場合に、優れたガスバリア性が得られると同時に、揮発性物質の内容物を充填する包装体として用いる場合における、当該内容物を含む包装体を熱殺菌処理する際の包装体の外観不良の発生が抑制されることを見出した。
【0018】
(i)ガスバリア性積層体が、ガスバリア層(II)の基材層(I)に接する面と反対側の表面に、樹脂(C)を含み、かつ金属(D)またはそれを含む化合物を含む、または含まない塗料(P2)を用いて形成された第1ガスバリア調整層(III)と;第1ガスバリア調整層(III)のガスバリア層(II)に接する面と反対側の表面に、樹脂(E)を含み、かつ金属(F)またはそれを含む化合物を含む塗料(P3)を用いて形成された第2ガスバリア調整層(IV)と;を有する。
【0019】
(ii)塗料(P2)中における金属(D)またはそれを含む化合物(以下、単に、金属(D)等)の含有量M1と、塗料(P3)中における金属(F)またはそれを含む化合物(以下、単に、金属(F)等)の含有量M2とが、下記の関係式(1)を満たす。
【0020】
0≦M1≦5、0<M2、かつ5≦M1+M2、または
5≦M1<10、かつM2=0 (1)
(iii)第1ガスバリア調整層(III)の厚みが、0.5〜3μmである。
【0021】
(iv)積層体を120℃で30分間加熱処理した場合における積層体の温度20℃および相対湿度90%の環境下での酸素ガス透過度(以下、単に、酸素ガス透過度)が4〜25ml/m
2・d・MPaである。
【0022】
上記の条件(ii)における、塗料(P2)中の金属(D)等の含有量M1は、塗料(P2)が架橋剤を含まない場合、樹脂(C)の固形分100質量部あたりの量(質量部)であり、塗料(P2)が架橋剤を含む場合、樹脂(C)と架橋剤とを合計した固形分100質量部あたりの量(質量部)である。
【0023】
塗料(P3)中の金属(F)等の含有量M2は、塗料(P3)が架橋剤を含まない場合、樹脂(E)の固形分100質量部あたりの量(質量部)であり、塗料(P3)が架橋剤を含む場合、樹脂(E)と架橋剤とを合計した固形分100質量部あたりの量(質量部)である。
【0024】
ガスバリア性積層体を作製する過程において、塗料(P3)が金属(F)等を含む場合、金属(F)等の一部は第1ガスバリア調整層(III)を通過してガスバリア層(II)へ移動する。塗料(P2)が金属(D)等を含む場合、金属(D)等の一部は第1ガスバリア調整層(III)内からガスバリア層(II)へ移動する。このような移動は、例えば、ガスバリア性積層体を作製する過程において、塗料中に含まれる水によりイオン化した金属等が、水とともに移動することで起こる。
【0025】
架橋Yは、上記のような、金属(D)等および金属(F)等の少なくとも一方のガスバリア層(II)への移動により形成される。よって、架橋Yを形成するためには、第1ガスバリア調整層(III)が、ガスバリア層(II)の表面に直に形成され、第2ガスバリア調整層(IV)が、第1ガスバリア調整層(III)の表面に直に形成されていることが重要である。
【0026】
条件(i)〜(iii)を満たす場合に、酸素ガス透過度は条件(iv)に示す範囲内に調整され、適度なガスバリア性が得られる。その詳細な理由は不明であるが、2つのガスバリア調整層(III)および(IV)を配置することで、金属等のガスバリア層(II)への移動が適度に行われ、ガスバリア層(II)内で架橋Yが形成される速度が程度に調整されるためであると考えられる。
【0027】
酸素ガス透過度が条件(iv)に示す範囲内であると、積層体は、高湿度の環境下において優れたガスバリア性を有するとともに、積層体を、揮発性物質を含む内容物を充填する包装体として用いる場合における熱殺菌処理時の外観不良の発生が抑制される。従来のオーバーコート層を用いた積層体では、架橋Yが過度に形成されるため、酸素ガス透過度が条件(iv)に示す範囲よりも低くなる。
【0028】
塗料(P3)中の金属(F)の含有量M2が0質量部超である場合に、塗料(P2)中の金属(D)等の含有量M1が5質量部超であると、酸素ガス透過度が4ml/m
2・d・MPa未満となり、ガスバリア性が過度に高くなる。その結果、積層体を、揮発性物質を含む内容物を充填する包装体に用いる場合における熱殺菌処理時の外観不良が起こり易くなる。
【0029】
塗料(P3)中の金属(F)の含有量M2が0質量部超である場合に、塗料(P2)中の金属(D)等の含有量M1および塗料(P3)中の金属(F)の含有量M2の合計が5質量部未満であると、酸素ガス透過度が25ml/m
2・d・MPa超となり、ガスバリア性が不十分となる。その結果、積層体を包装体に用いる場合、包装体内に充填された食品等の内容物が酸素と接触して変質し易くなる。
【0030】
塗料(P3)中の金属(F)の含有量M2が0質量部である場合に、塗料(P2)中の金属(D)等の含有量M1が10質量部以上であると、酸素ガス透過度が4ml/m
2・d・MPa未満となり、ガスバリア性が過度に高くなる。その結果、積層体を、揮発性物質を含む内容物を充填する包装体に用いる場合における熱殺菌処理時の外観不良が起こり易くなる。
【0031】
塗料(P3)中の金属(F)の含有量M2が0質量部である場合に、塗料(P2)中の金属(D)等の含有量M1が5質量部未満であると、酸素ガス透過度が25ml/m
2・d・MPa超となり、ガスバリア性が不十分となる。
塗料(P2)中における金属(D)等の含有量M1(質量部)と、塗料(P3)中における金属(F)等の含有量M2(質量部)とが、下記の関係式(2)を満たすのが好ましい。
【0032】
M2≦−19M1+100 (2)
含有量M1および含有量M2をバランスよく調整することで、優れたガスバリア性が得られるとともに、積層体を、揮発性物質を含む内容物を充填する包装体に用いた場合における熱殺菌処理時の外観不良の発生を大幅に抑制することができる。
【0033】
作業性の観点から、塗料(P3)が金属(F)等を含む場合、塗料(P2)は金属(D)等を含まないことが好ましく、含有量M1=0および含有量M2=5〜100がより好ましい。金属等の量の調整を塗料(P3)だけで行えばよく、第2ガスバリア調整層(IV)内の金属(F)等が第1ガスバリア調整層(III)内を通過する量や距離を変えることでガスバリア性を調整し易い。
【0034】
第1ガスバリア調整層(III)の厚みが0.5μm未満であると、条件(i)および(ii)を満たす場合でも、酸素ガス透過度が4ml/m
2・d・MPa未満となり、ガスバリア性が過度に高くなる。その結果、積層体を、揮発性物質を含む内容物を充填する包装体に用いる場合における熱殺菌処理時の外観不良が起こり易くなる。一方、第1ガスバリア調整層(III)の厚みが3μmを超えると、条件(i)および(ii)を満たす場合でも、酸素ガス透過度が25ml/m
2・d・MPa超となり、ガスバリア性が不十分となる。その結果、積層体を包装体に用いる場合、包装体内に充填された食品等の内容物が酸素と接触して変質し易くなる。
【0035】
第1ガスバリア調整層(III)の厚みは、好ましくは0.5〜2μm、より好ましくは0.5〜1.5μmである。第1ガスバリア調整層(III)の厚みは、第1ガスバリア調整層(III)の形成に用いられる塗料(P2)中の固形分の濃度を変えることで調整することができる。
【0036】
酸素ガス透過度が4ml/m
2・d・MPa未満であると、積層体のガスバリア性が過度に高くなる。その結果、積層体を、揮発性物質を含む内容物を充填する包装体に用いる場合における熱殺菌処理時の外観不良が起こり易くなる。酸素ガス透過度が25ml/m
2・d・MPa超であると、積層体のガスバリア性が過度に低くなる。その結果、積層体を包装体に使用した場合、包装体内に充填された食品等の内容物が酸素と接触して変質し易くなる。好ましくは、酸素ガス透過度は7〜20ml/m
2・d・MPaである。
<プラスチック基材層(I)>
基材層(I)は、熱可塑性樹脂のフィルムからなるのが好ましい。基材層(I)は、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、延伸ブロー成形、または絞り成形等の方法により、熱可塑性樹脂をフィルム状に成形することにより得られる。基材層(I)は、例えば、ボトル、カップ、トレイ等の各種容器の形状を呈する。基材層(I)は、単一の層で構成してもよく、例えば同時に溶融押出する等の方法により形成される複数の層で構成してもよい。
【0037】
基材層(I)が延伸フィルムである場合、延伸フィルムの表面に後述する塗料(P1)を塗布してもよく、延伸する前のフィルムの表面に後述する塗料(P1)を塗布した後、そのフィルムを延伸してもよい。
【0038】
基材層(I)に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系共重合体、ポリエステル、ポリアミド、スチレン系共重合体、塩化ビニル系共重合体、アクリル系共重合体、ポリカーボネートが挙げられる。これらのなかでも、オレフィン系共重合体、ポリエステル、ポリアミドが好ましい。
【0039】
オレフィン系共重合体としては、例えば、低−、中−もしくは高−密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。
【0040】
ポリエステルとしては、例えば、ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートが挙げられる。
【0041】
ポリアミドとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン4,6、メタキシリレンアジパミドが挙げられる。
【0042】
スチレン系共重合体としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体(ABS樹脂)が挙げられる。
【0043】
塩化ビニル系共重合体としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が挙げられる。
【0044】
アクリル系共重合体としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート・エチルアクリレート共重合体が挙げられる。
【0045】
これらを、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
耐熱性および強度の観点から、熱可塑性樹脂は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂;ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂が好ましい。
【0047】
必要に応じて、熱可塑性樹脂に、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、防腐剤等の添加剤を添加してもよい。これらを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。添加剤の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部あたり0.001〜5.0質量部が好ましい。なお、上記の添加量は、添加剤を2種以上組み合わせて用いた場合、それらの添加量を合計した量である。
【0048】
ガスバリア性積層体を包装体に用いる場合、包装体として必要な強度を確保するために、熱可塑性樹脂に補強材を添加してもよい。補強材としては、例えば、ガラス繊維、芳香族ポリアミド繊維、カーボン繊維、パルプ、コットン・リンター等の繊維補強材;カーボンブラック、ホワイトカーボン等の粉末補強材;またはガラスフレーク、アルミフレーク等のフレーク状補強材が挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。補強材の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部あたり2〜150質量部が好ましい。なお、補強材の添加量は、補強材を2種以上組み合わせ用いた場合、それらの添加量を合計した量である。
【0049】
増量の目的で、重質ないし軟質の炭酸カルシウム、または雲母、滑石、カオリン、石膏、クレイ、硫酸バリウム、アルミナ粉、シリカ粉、もしくは炭酸マグネシウム等の増量剤を、熱可塑性樹脂に添加してもよい。これらを単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。増量剤の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部あたり5〜100質量部が好ましい。なお、増量剤の添加量は、増量剤を2種以上組み合わせて用いた場合、それらの添加量を合計した量である。
【0050】
さらに、ガスバリア性を高めるために、水膨潤性雲母、クレイ等の鱗片状の無機材料を、熱可塑性樹脂100質量部あたり5〜100質量部添加してもよい。
<ガスバリア層(II)>
ポリマー(A)は、分子内に2個以上の水酸基を有するアルコール系重合体である。ポリマー(A)としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンとビニルアルコールとの共重合体、糖類が挙げられる。
【0051】
ガスバリア層(II)のガスバリア性の観点から、ポリビニルアルコール、およびエチレンとビニルアルコールとの共重合体のケン化度は、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上である。
【0052】
ガスバリア層(II)のガスバリア性の観点から、ポリビニルアルコール、およびエチレンとビニルアルコールとの共重合体の平均重合度は、好ましくは50〜4000、より好ましくは200〜3000である。
【0053】
糖類としては、例えば、単糖類、オリゴ糖類、および多糖類が挙げられる。これらの糖類には、糖アルコール、各種置換体や誘導体、サイクロデキストリンのような環状オリゴ糖も含まれる。これらの糖類は、水溶性であるのが好ましい。
【0054】
多糖類としては、例えば、澱粉類が挙げられる。澱粉類としては、例えば、小麦澱粉、トウモロコシ澱粉、モチトウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、甘藷澱粉、もしくはサゴ澱粉等の生澱粉(未変性澱粉)、または各種の加工澱粉が挙げられる。
加工澱粉としては、例えば、物理的変性澱粉、酵素変性澱粉、化学分解変性澱粉、化学変性澱粉、または澱粉類にモノマーをグラフト重合したグラフト澱粉等が挙げられる。
【0055】
澱粉類の中でも、焙焼デキストリンやそれらの還元性末端をアルコール化した還元澱粉糖化物のような水溶性の加工澱粉が好ましい。澱粉類は、含水物でもよい。これらの澱粉類を、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
上記のポリマー(A)については、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
ポリマー(B)は、分子内にカルボキシル基または酸無水物基を2個以上有するポリマー(BP)である。ポリマー(B)としては、例えば、カルボキシル基または酸無水物基と、エチレン性不飽和二重結合とを有するモノマー(BM)の重合体が挙げられる。
【0058】
モノマー(BM)は、分子内にエチレン性不飽和二重結合としてアクリロイル基またはメタクリロイル基(以下、両者を合わせて(メタ)アクリロイル基という。)を有することが好ましい。例えば、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水フマル酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸が挙げられる。これらのなかでも、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、および無水イタコン酸が好ましい。
【0059】
これらのモノマー(BM)を、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記モノマー(BM)と、上記モノマー(BM)以外のモノマーとを組み合わせて用いてもよい。すなわち、ポリマー(BP)としては、一種のモノマー(BM)を重合してなるホモポリマー(BP1)、複数種のモノマー(BM)を共重合してなるコポリマー(BP2)、モノマー(BM)と、モノマー(BM)以外のモノマーとを共重合してなるコポリマー(BP3)が挙げられる。
【0060】
上記のモノマー(BM)以外のモノマーとしては、カルボキシル基、水酸基を有しないモノマーであって、モノマー(BM)と共重合し得るモノマーを適宜用いればよい。例えば、クロトン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸のエステル化物であって、水酸基やカルボキシル基を有しないモノマーが挙げられる。より具体的には、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、スチレンスルホン酸、ビニルトルエン、エチレン等の炭素数2〜30のα−オレフィン類、アルキルビニルエーテル類、ビニルピロリドンが挙げられる。これらのモノマー(BM)以外のモノマーを、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0061】
ホモポリマー(BP1)、コポリマー(BP2)、コポリマー(BP3)は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、2種以上のホモポリマー(BP1)、2種以上のコポリマー(BP2)、または2種以上のコポリマー(BP3)を用いてもよい。
【0062】
また、ホモポリマー(BP1)、コポリマー(BP2)、およびコポリマー(BP3)からなる群より選択される少なくとも1種を用いればよい。例えば、ホモポリマー(BP1)とコポリマー(BP2)、ホモポリマー(BP1)とコポリマー(BP3)、コポリマー(BP2)とコポリマー(BP3)、ホモポリマー(BP1)とコポリマー(BP2)とコポリマー(BP3)のように組み合わせ用いてもよい。
【0063】
ポリマー(BP)は、オレフィン−マレイン酸共重合体が好ましく、エチレン−マレイン酸共重合体(以下、「EMA」と略記する。)がより好ましい。EMAは、無水マレイン酸とエチレンとを溶液中でラジカル重合させる等のように公知の方法により共重合させることにより得られる。
【0064】
EMA中のマレイン酸単位は、湿潤状態または水溶液中では、分子内に2つのカルボキシル基を有するマレイン酸構造を形成するが、乾燥状態では、分子内の2つのカルボキシル基が脱水反応により環化した無水マレイン酸構造を形成する。したがって、特記しない限り、マレイン酸単位と無水マレイン単位とを総称してマレイン酸単位という。
【0065】
EMA中のマレイン酸単位の割合は、5モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上がさらに好ましく、35モル%以上が特に好ましい。
【0066】
EMAの重量平均分子量は、1000〜1000000が好ましく、3000〜500000がより好ましく、7000〜300000がさらに好ましく、10000〜200000が特に好ましい。
【0067】
上記のポリマー(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0068】
ポリマー(A)とポリマー(B)とを、OH基とCOOH基とのモル比(OH基/COOH基)が0.01〜20となるように配合するのが好ましい。上記のモル比(OH基/COOH基)は、より好ましくは0.01〜10、さらに好ましくは0.02〜5、特に好ましくは0.04〜2である。
【0069】
モル比(OH/COOH基)が上記範囲内となるように、ポリマー(A)とポリマー(B)とを配合する場合、基材層(I)の表面において、高湿度の環境下で優れたガスバリア性を有するガスバリア層(II)が確実に得られる。モル比(OH基/COOH基)が0.01以上であると、OH基の割合を充分に多くすることができ、被膜形成能が充分に得られる。モル比(OH基/COOH基)が20以下であると、COOH基の割合を充分に多くすることができ、ポリマー(A)とポリマー(B)との間でエステル結合による架橋を充分に形成することができる。
【0070】
ガスバリア性を損なわない限りにおいて、ガスバリア層(II)は、さらに、熱安定剤、酸化防止剤、強化材、顔料、劣化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、滑剤等の添加剤を含んでもよい。
【0071】
熱安定剤、酸化防止剤、および劣化防止剤としては、例えば、ヒンダートフェノール類、リン化合物、ヒンダートアミン類、イオウ化合物、銅化合物、もしくはアルカリ金属のハロゲン化物、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0072】
強化材としては、例えば、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウィスカー、セラミックウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維が挙げられる。
【0073】
ガスバリア性をより高めるために、ガスバリア層(II)は、さらに無機層状化合物を含んでもよい。ここで無機層状化合物とは、複数の単位結晶層が積み重なった層状の分子構造を有する無機化合物のことをいう。例えば、燐酸ジルコニウム(燐酸塩系誘導体型化合物)、カルコゲン化物、リチウムアルミニウム複合水酸化物、グラファイト、粘土鉱物が挙げられる。特に、溶媒中で、膨潤したり劈開したりするものが好ましい。
【0074】
粘土鉱物としては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、バーミキュライト、フッ素雲母、白雲母、パラゴナイト、金雲母、黒雲母、レピドライト、マーガライト、クリントナイト、アナンダイト、緑泥石、ドンバサイト、スドーアイト、クッケアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト、テトラシリリックマイカ、タルク、パイロフィライト、ナクライト、カオリナイト、ハロイサイト、クリソタイル、ナトリウムテニオライト、ザンソフィライト、アンチゴライト、ディッカイト、ハイドロタルサイトが挙げられる。これらのなかでも、膨潤性フッ素雲母、またはモンモリロナイトが好ましい。
【0075】
粘土鉱物は、天然に産するものでもよく、人工的に合成または変性されたものでもよく、それらをオニウム塩等の有機物で処理したものでもよい。
【0076】
上記粘土鉱物のなかでも、白色度の点から、膨潤性フッ素雲母が最も好ましい。
膨潤性フッ素雲母は、次式(E1)で表され、容易に得られる。
【0077】
α(MF)・β(aMgF
2・bMgO)・γSiO
2 (E1)
式(E1)中、Mは、ナトリウムまたはリチウムであり、α、β、γ、a、およびbは、0.1≦α≦2、2≦β≦3.5、3≦γ≦4、0≦a≦1、0≦b≦1、およびa+b=1を満たす。
【0078】
膨潤性フッ素雲母の製造法としては、例えば、酸化珪素と、酸化マグネシウムと、フッ化物とを混合し、その混合物を電気炉またはガス炉中にて1400〜1500℃で完全に溶融させた後、冷却し、その冷却過程で反応容器内にてフッ素雲母を結晶成長させる方法(溶融法)が挙げられる。
【0079】
また、別の製造法として、出発物質としてのタルクにアルカリ金属イオンをインターカレーションして、膨潤性フッ素雲母を得る方法が挙げられる(例えば、特開平2−149415号公報参照)。より具体的には、タルクと、珪フッ化アルカリまたはフッ化アルカリとを混合し、その混合物を磁性ルツボ内にて約700〜1200℃で短時間加熱して、膨潤性フッ素雲母を得る。
【0080】
膨潤性フッ素雲母の生成収率の観点から、タルクと、珪フッ化アルカリまたはフッ化アルカリとの混合物中における珪フッ化アルカリまたはフッ化アルカリの含有量は、10〜35質量%が好ましい。
【0081】
膨潤性フッ素雲母を得るためには、珪フッ化アルカリまたはフッ化アルカリのアルカリ金属がナトリウムまたはリチウムであることが必要である。これらのアルカリ金属は単独で用いてもよく、併用してもよい。アルカリ金属がカリウムの場合、膨潤性フッ素雲は得られないが、カリウムをナトリウムまたはリチウムとともに用い、かつカリウム量が限定されるのであれば、膨潤性を調節する目的でカリウムを用いてもよい。
【0082】
また、膨潤性フッ素雲母を製造する工程において、各種原料にアルミナを添加して、得られるフッ素雲母の膨潤性を調整してもよい。
【0083】
モンモリロナイトは、式(E2)で表され、天然に産出するものを精製することにより得られる。
【0084】
M
aSi
4(Al
2−aMg
a)O
10(OH)
2・nH
2O (E2)
式(E2)中、MはNaであり、aは0.25〜0.60である。nは層間のイオン交換性カチオンと結合する水分子の数を表す。nは、カチオン種や湿度等の条件に応じて変化し得る値である。
【0085】
モンモリロナイトには、式(E3)で表されるマグネシアンモンモリロナイト、式(E4)で表される鉄モンモリロナイト、式(E5)で表される鉄マグネシアンモンモリロナイトのような同型イオン置換体も存在し、これらを用いてもよい。
【0086】
M
aSi
4(Al
1.67−aMg
0.5+a)O
10(OH)
2・nH
2O (E3)
M
aSi
4(Fe
2−a3+Mg
a)O
10(OH)
2・nH
2O (E4)
M
aSi
4(Fe
1.67−a3+Mg
0.5+a)O
10(OH)
2・nH
2O (E5)
式(E3)〜(E5)中、MはNaであり、aは0.25〜0.60である。
【0087】
通常、モンモリロナイトは、その層間にナトリウムやカルシウム等のイオン交換性カチオンを有するが、その含有比率は産地によって異なる。
【0088】
本発明では、イオン交換処理等により層間に存在するイオン交換性カチオンがナトリウムに置換されたものを用いることが好ましい。さらに、水処理により精製したモンモリロナイトを用いることが好ましい。
ガスバリア層(II)の厚みは、良好なガスバリア性が得られる範囲内で、ガスバリア層(II)の形成条件に応じて適宜決めればよい。
【0089】
ガスバリア層(II)の厚みは、0.05〜3μmが好ましく、0.05〜2μmがより好ましく、0.08〜1μmがさらに好ましい。ガスバリア層(II)の厚みが0.05μm以上であると、優れたガスバリア性を有する均一な層を形成することができる。ガスバリア層(II)の厚みが3μm以下であると、ガスバリア層(II)の作製時における加熱時間を短くすることができ、生産性を充分に高めることができる。また、第1ガスバリア調整層(III)からガスバリア層(II)の内部へ金属が充分に入り込むことができ、ガスバリア層(II)内にて架橋Xだけでなく架橋Yも充分に形成することができる。
<第1ガスバリア調整層(III)>
ガスバリア層(III)は、ガスバリア層(II)の基材層(I)に接する面と反対側の表面に、樹脂(C)を含み、かつ金属(D)またはそれを含む化合物を含む、または含まない塗料(P2)を用いて形成される樹脂層からなる。
【0090】
塗料(P2)中の金属(D)としては、例えば、Li、Na、K、Rb、Seのような金属イオンの価数が1である金属が挙げられる。これらのなかでも、Li、Na、Kが好ましく、Liがより好ましい。
【0091】
金属イオンの価数が1である金属を含む化合物としては、例えば、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、もしくは硫酸塩等の無機塩、またはカルボン酸塩、もしくはスルホン酸等の有機酸塩が挙げられる。これらのなかでも、水酸化物、炭酸塩が好ましい。
【0092】
また、塗料(P2)中の金属(D)としては、例えば、Mg、Ca、Zn、Cu、Co、Fe、Ni、Al、Zrのような金属イオンの価数が2以上である金属元素が挙げられる。これらのなかでも、Mg、Ca、Znが好ましく、Mg、Caがより好ましい。
【0093】
金属イオンの価数が2以上である金属を含む化合物としては、例えば、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、もしくは硫酸塩等の無機塩、またはカルボン酸塩、もしくはスルホン酸等の有機酸塩が挙げられる。これらのなかでも、酸化物、水酸化物、炭酸塩が好ましい。
【0094】
第1ガスバリア調整層(III)を構成する樹脂層は、例えば、第1ガスバリア調整層(III)を形成するための塗料(P2)中の樹脂(C)で構成してもよく、さらに樹脂(C)以外の樹脂成分を含んでいてもよい。また、樹脂(C)と他の材料(例えば、架橋剤)との反応生成物で樹脂層を構成してもよい。
【0095】
第1ガスバリア調整層(III)を構成する樹脂としては、公知のウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂等種々の樹脂が挙げられる。これらのうち耐水性、耐溶剤性、耐熱性、硬化温度の観点からウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましく、ウレタン樹脂が特に好ましい。
【0096】
ウレタン樹脂は、例えば、多官能イソシアネートと水酸基含有化合物との反応により得られるポリマーである。
【0097】
多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソイアネート、ジフェニルメタンイソシアネート、もしくはポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、またはヘキサメチレンジイソシアネート、もしくはキシレンイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。これらを、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0098】
水酸基含有化合物としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリカーボネートポリオールが挙げられる。これらを、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0099】
ポリエステル樹脂としては、ポリエステルポリオールが好ましい。ポリエステルポリオールは、例えば、多価カルボン酸またはそれらのジアルキルエステルと、グリコール類との反応により得られる。
【0100】
多価カルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、もしくはナフタレンジカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸、またはアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸,もしくはシクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸が挙げられる。
【0101】
グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールが挙げられる。
【0102】
ポリエステルポリオールのガラス転移温度(以下、「Tg」という。)は、120℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましく、80℃以下さらに好ましく、70℃以下が特に好ましい。
【0103】
ポリエステルポリオールの数平均分子量は、1000〜10万が好ましく、2000〜5万がより好ましく、3000〜4万がさらに好ましい。
【0104】
第1ガスバリア調整層(III)は、ガスバリア層(II)で用いられる添加剤を含んでいてもよい。
<第2ガスバリア調整層(IV)>
第2ガスバリア調整層(IV)は、第1ガスバリア調整層(III)のガスバリア層(II)に接する面と反対側の表面に、樹脂(E)を含み、かつ金属(F)またはそれを含む化合物を含む、または含まない塗料(P3)を用いて形成された樹脂層からなる。
【0105】
第1ガスバリア調整層(III)と第2ガスバリア調整層(IV)との密着性の観点から、第1ガスバリア調整層(III)および第2ガスバリア調整層(IV)は、互いに同種の樹脂層で構成されるのが好ましい。
【0106】
第2ガスバリア調整層(IV)は、ガスバリア層(II)で用いられる添加剤を含んでいてもよい。
【0107】
第1ガスバリア調整層(III)の表面に形成する第2ガスバリア調整層(IV)の厚みは、ガスバリア層(II)の厚みに応じて適宜決めればよい。
【0108】
第2ガスバリア調整層(IV)の厚みは、0.1〜3μmが好ましく、0.1〜2μmがより好ましく、0.15〜1.5μmがさらに好ましい。第2ガスバリア調整層(IV)の厚みが0.1μm以上であると、第2ガスバリア調整層(IV)からガスバリア層(II)へ移動する金属(F)等を充分に確保することができる。その結果、金属(F)等とガスバリア層(II)中のポリマー(A)またはポリマー(B)との反応を充分に進行させることができ、優れたガスバリア性を確実に得ることができる。第2ガスバリア調整層(IV)の厚みが3μm以下であると、生産性を充分に高めることができる。また、コスト面でも有利である。
【0109】
第2ガスバリア調整層(IV)中に含ませ得る金属(F)等の量と、金属(F)等の一部が第1ガスバリア調整層(III)を通過する距離とのバランスの観点から、第1ガスバリア調整層(III)の厚みT1と、第2ガスバリア調整層(IV)の厚みT2との比:(T1/T2)は、1/6〜30であるのが好ましい。
<トップコート層(V)>
ガスバリア性積層体は、さらに、第2ガスバリア調整層(IV)の第1ガスバリア調整層(III)に接する面と反対側の表面に形成され、第2ガスバリア調整層(IV)を保護するためのトップコート層(V)を有するのが好ましい。トップコート層(V)は、樹脂層(G)からなる。樹脂層(G)には、樹脂層(C)で用いられる樹脂材料を用いればよい。トップコート層(V)は、さらにガスバリア層(II)で用いられる添加剤を含んでもよい。
【0110】
塗布条件によりガスバリア性が異なるので一概には言えないが、トップコート層(V)を形成することにより、積層体の酸素ガス透過度を、トップコート層(V)を形成しない場合の1/2〜1/4程度にまで低減し、積層体のガスバリア性を大幅に高めることができる。これは、トップコート層(V)の形成時における加熱工程(後述の工程(4b−2))にて、ガスバリア層(II)内にて、金属等と、ポリマー(A)またはポリマー(B)との反応による架橋形成がさらに促進されるためである。
【0111】
例えば、温度20℃および相対湿度85%RHの環境下で測定した積層体の酸素ガス透過度は、トップコート層(V)無しの場合、102〜110ml/m
2・d・MPa程度であるのに対して、トップコート層(V)有りの場合、50ml/m
2・d・MPa程度にまで低減することができ、さらに、条件によっては4〜25ml/m
2・d・MPa程度にまで低減することができる。
【0112】
トップコート層(V)の厚みは、0.1〜3μmが好ましく、0.1〜2μmがより好ましく、0.15〜1.5μmがさらに好ましい。トップコート層(V)の厚みが0.1μm以上であると、第2ガスバリア調整層(IV)を充分に保護することができる。トップコート層(V)の厚みが3μm以下であると、コストを充分に低減することができるとともに、生産性を充分に高めることができる。
<アンカーコート層>
ガスバリア層(II)の基材層(I)への密着性を高めるために、必要に応じて、基材層(I)とガスバリア層(II)との間に、アンカーコート層を配置してもよい。
【0113】
アンカーコート層の形成に使用される塗料としては、公知のものが用いられる。例えば、イソシアネート系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、ポリオレフィン系、アルキルチタネート系の樹脂材料が挙げられる。密着性、耐熱性、耐水性の観点から、これらのなかでも、イソシアネート系、ポリウレタン系、およびポリエステル系の樹脂材料が好ましい。
【0114】
より具体的には、樹脂材料は、イソシアネート化合物、ポリウレタン、もしくはウレタンプレポリマー、またはそれらの混合物が好ましい。また、ポリエステル、ポリオール、およびポリエーテルからなる群より選択される少なくとも1種と、イソシアネートとの混合物であるのが好ましい。
【0115】
塗布性の観点から、塗料は、上記材料の溶液または分散液であることが好ましい。
【0116】
アンカーコート層は、上記材料の1種で構成されてもよく、上記材料の2種以上を組み合わせた混合物またはその反応生成物で構成されてもよい。
【0117】
アンカーコート層形成用塗料の塗布方法には、後述するガスバリア層(II)の形成に用いられる塗料(P1)の場合と同様の方法を用いればよい。
【0118】
基材層(I)とガスバリア層(II)との間にアンカーコート層を配置する方法は、例えば、基材層(I)の表面にアンカーコート層形成用塗料を塗布した後、加熱して、アンカーコート層を形成する工程と、アンカーコート層の表面に塗料(P1)を塗布した後、加熱して、ガスバリア層(II)を形成する工程とを含む。
【0119】
以下、本発明のガスバリア性積層体の製造方法について説明する。
【0120】
ガスバリア性積層体の製造方法は、例えば、以下の工程(1)〜(3)を含む。
工程(1):ポリマー(A)およびポリマー(B)を含む塗料(P1)を用いて、プラスチック基材層(I)の一方の表面に、直にまたはアンカーコート層を介して、ガスバリア層(II)を形成する。
工程(2):樹脂(C)を含有し、かつ金属(D)またはそれを含む化合物を含む、または含まない塗料(P2)を用いて、ガスバリア層(II)の基材層(I)と接する面と反対側の表面に、厚み0.5〜3μmの第1ガスバリア調整層(III)を形成する。
工程(3):樹脂(E)を含有し、かつ金属(F)またはそれを含む化合物を含む、または含まない塗料(P3)を用いて、第1ガスバリア調整層(III)のガスバリア層(II)と接する面と反対側の表面に、第2ガスバリア調整層(IV)を形成する。
【0121】
上記製法において、塗料(P2)中における金属(D)等の含有量M1(質量部)と、塗料(P3)中における金属(F)等の含有量M2(質量部)とが、下記の関係式(1)を満たす場合、酸素ガス透過度が4〜25ml/m
2・d・MPaのガスバリア性積層体を得ることができる。
【0122】
0≦M1≦5、0<M2、かつ5≦M1+M2、または
5≦M1<10、かつM2=0 (1)
[ガスバリア層(II)の形成工程(1)]
より具体的には、工程(1)は、以下の工程(1a)および(1b)を含む。
工程(1a):基材層(I)の一方の表面に、ポリマー(A)およびポリマー(B)を含む塗料(P1)を塗布する。
工程(1b):基材層(I)の一方の表面に付着した塗料(P1)の塗膜を加熱する。
[工程(1a)]
塗料(P1)は、作業性の面から、ポリマー(A)およびポリマー(B)の水溶液または水分散液であることが好ましく、ポリマー(A)およびポリマー(B)の水溶液であることがより好ましい。よって、ポリマー(A)およびポリマー(B)の両方が水溶性であることが好ましい。
【0123】
塗料(P1)を、ポリマー(A)およびポリマー(B)の水溶液として用いる場合、ポリマー(B)のカルボキシル基に対して0.1〜20当量%のアルカリ化合物を塗料(P1)に加えることが好ましい。
【0124】
ポリマー(B)は、分子内にカルボン酸単位を多く含む場合、カルボキシル基自身の親水性が高いので、アルカリ化合物を添加しなくても水に溶け易いが、アルカリ化合物を適量添加することにより、得られるガスバリア層のガスバリア性を格段に高めることができる。
【0125】
アルカリ化合物としては、ポリマー(B)中のカルボキシル基を中和できるものであればよい。アルカリ化合物としては、例えば、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、または有機水酸化アンモニウム化合物が挙げられる。これらのなかでも、アルカリ金属の水酸化物が好ましい。
【0126】
塗料(P1)を水溶液として調製する方法としては、撹拌機を備えた溶解釜等を用いて公知の方法で行えばよい。例えば、ポリマー(A)の水溶液とポリマー(B)の水溶液とを別々に調製し、両水溶液を混合する前に、ポリマー(B)の水溶液にアルカリ化合物を添加する方法が好ましい。ポリマー(B)の水溶液にアルカリ化合物を加えると、その水溶液の安定性が向上する。
【0127】
ポリマー(A)とポリマー(B)とを同時に溶解釜中の水に加える場合、両者を溶解釜中に投入する前に、アルカリ化合物を水に添加しておくことが好ましい。ポリマー(B)の溶解性を高めることができる。
【0128】
ポリマー(B)の水に対する溶解性の改善、乾燥工程の短縮、水溶液の安定性の改善等の目的で、ポリマー(B)を溶かす水に、アルコールや有機溶媒を少量添加してもよい。
【0129】
ポリマー(A)とポリマー(B)との架橋反応を促進させるために、さらに、塗料(P1)に架橋剤を添加してもよい。
【0130】
架橋剤の添加量は、ポリマー(A)およびポリマー(B)の合計100質量部あたり、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部である。架橋剤の添加量が0.1質量部以上であると、架橋剤の添加による効果が充分に得られる。架橋剤の添加量が30質量部以下であると、架橋剤がガスバリア性に悪影響を及ぼすことがない。
【0131】
架橋剤としては、例えば、自己架橋性を有する架橋剤、カルボキシル基および水酸基の少なくとも一方と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、または多数の配位座(配位子)を有する多価金属の錯体が挙げられる。
【0132】
優れたガスバリア性が得られる点で、これらのなかでも、イソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、ジルコニウム塩化合物が好ましい。これらの架橋剤を、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0133】
また、ポリマー(A)とポリマー(B)との架橋反応を促進させるために、塗料(P1)に酸等の触媒を添加してもよい。
【0134】
塗料(P1)の濃度は、塗工装置や乾燥・加熱装置の仕様に応じて適宜決めればよい。ここでいう塗料(P1)の濃度とは、塗料(P1)のうち固形分が占める質量割合のことをいう。塗布性、生産性、信頼性の観点から、塗料(P1)の濃度は、5〜50質量%が好ましい。塗料(P1)の濃度が5質量%以上であると、充分な厚みのガスバリア層(II)を形成することができる。また、その後の加熱工程において塗料中の溶媒または分散媒を蒸発させる時間(塗膜の乾燥時間)を充分に短くすることができる。塗料(P1)の濃度が50質量%以下であると、優れた塗布性が得られ、均一な塗膜を容易に形成することができる。
【0135】
塗料(P1)の塗布方法は、特に限定されず、例えば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、エアーナイフコーティング等の公知の方法を用いればよい。
[工程(1b)]
より具体的には、加熱工程(1b)は、以下の工程(1b−1)および(1b−2)を含む。
工程(1b−1):ポリマー(A)およびポリマー(B)を含む塗料(P1)の塗膜を乾燥させ、塗膜から溶媒または分散媒を除去する。
工程(1b−2):塗料(P1)の塗膜中のポリマー(A)とポリマー(B)とをエステル結合により架橋する反応を進行させる。
【0136】
工程(1b−2)により、架橋Xを含むガスバリア層(II)が形成される。架橋Xの密度は、例えば、ポリマー(A)とポリマー(B)との配合比や、加熱条件等を変えることにより調整することができる。
【0137】
ガスバリア層(II)中の架橋Yは、工程(2)以降で形成される。
【0138】
塗料(P2)の金属(D)等および塗料(P3)の金属(F)等の少なくとも一方が、ガスバリア層(II)中における架橋Yの形成に寄与する。すなわち、ガスバリア性積層体の作製過程で、第1ガスバリア調整層(III)および第2ガスバリア調整層(IV)の少なくとも一方からガスバリア層(II)へ移動してきた金属等が、ガスバリア層(II)中における架橋Yの形成に寄与する。
【0139】
塗料(P2)の金属(D)等の量、塗料(P3)の金属(F)等の量、第1ガスバリア調整層(III)の厚み、塗料(P2)等の塗膜の加熱条件等を変えることにより、架橋Yの密度を適度に調整することができる。
【0140】
工程(1b)では、工程(1b−1)の後、工程(1b−2)を行ってもよく、工程(1b−1)と工程(1b−2)とを同時に行ってもよい。
【0141】
ガスバリア層(II)の状態やガスバリア性等の物性に特に悪影響がない限り、工程の短縮等の生産性向上の観点から、工程(1a)の後、直ちに工程(1b−1)と工程(1b−2)とを同時に実施することが好ましい。
【0142】
工程(1b−1)の加熱方法としては、例えば、ドライヤー等による熱風の吹き付けや赤外線照射が挙げられる。
【0143】
工程(1b−2)の加熱方法(工程(1b−1)と工程(1b−2)とを同時に行う場合を含む。)は、特に限定されないが、一般的には乾燥雰囲気下でオーブン等により加熱する方法が挙げられる。これ以外に、熱ロールと接触させて加熱してもよい。
【0144】
塗料(P1)の塗膜が付着した基材層(I)を、例えば100℃以上で1分間以下加熱する。このとき、塗料(P1)の塗膜中のポリマー(A)とポリマー(B)とをエステル結合により架橋する反応が進行する。この加熱により、水に不溶な、架橋Xを含むガスバリア層(II)が形成される。
【0145】
工程(1b−2)の加熱条件(工程(1b−1)と工程(1b−2)とを同時に行う場合を含む。)は、ポリマー(A)とポリマー(B)との配合比、添加剤の有無、添加剤の種類や添加量等に応じて、適宜決めればよい。
【0146】
工程(1b−2)の加熱温度は、100〜300℃が好ましく、120〜250℃がより好ましく、140〜240℃がさらに好ましく、160〜220℃が特に好ましい。加熱温度が100℃以上であると、上記の架橋反応を速やかに進行させることができる。加熱温度が300℃以下であると、基材層(I)に熱可塑性樹脂フィルムを用いた場合、そのフィルムが収縮して、しわが発生したり、ガスバリア層(II)が脆化したりするのを確実に防ぐことができる。
【0147】
工程(1b−2)の加熱時間は、1秒間〜5分間が好ましく、3秒間〜2分間がより好ましく、5秒間〜1分間がさらに好ましい。比較的短時間での加熱により、ポリマー(A)とポリマー(B)とのエステル結合による架橋体を含むガスバリア層(II)を形成することができる。加熱時間が1秒以上であると、上記の架橋反応を十分に進行させることができる。加熱時間が5分間以下であると、生産性が向上する。
[第1ガスバリア調整層(III)の形成工程(2)]
より具体的には、工程(2)は、以下の工程(2a)および(2b)を含む。
工程(2a):ガスバリア層(II)の基材層(I)と接する面と反対側の表面に、樹脂(C)を含み、かつ金属(D)等を含む、または含まない塗料(P2)を塗布する。
工程(2b):ガスバリア層(II)の基材層(I)と接する面と反対側の表面に付着した塗料(P2)の塗膜を加熱する。
[工程(2a)]
塗料(P2)は、有機溶剤系塗料(溶液)、水溶液、水分散液のいずれでもよい。ここで、有機溶剤系塗料とは、塗料(溶液)中に含まれる溶媒全体のうち有機溶媒が占める割合が90質量%以上である塗料のことをいう。塗料(溶液)中に含まれる溶媒全体のうち有機溶媒が占める割合が95質量%以上であるのが好ましい。
【0148】
有機溶媒としては、公知のものを用いればよく、特に限定されない。有機溶媒としては、例えば、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、ソルベッソ、イソホロン、キシレン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、イソプロピルアルコール(IPA)が挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0149】
金属(D)等のイオン化の促進によりガスバリア層(II)の架橋密度を高める場合には、塗料(P2)は水溶液または水分散液であるのが好ましい。
【0150】
塗料(P2)が、水への溶解性が比較的高い金属(D)等を含む水溶液または水分散液である場合、第1ガスバリア調整層(III)の耐水性が低下する場合がある。また、塗料(P2)が、塩基性の金属(D)等を含む水溶液または水分散液であると、塗料(P2)の安定性やポットライフが低下する場合がある。よって、金属(D)等の水への溶解性が比較的高い場合、または金属(D)等が塩基性である場合、塗料(P2)は有機溶剤系塗料であるのが好ましい。
【0151】
塗料(P2)の塗膜が優れた透明性を有するためには、金属(D)等は、微粒子状であるのが好ましい。塗膜の透明性および塗膜中での分散性の観点から、金属(D)等の平均粒子径は、好ましくは10μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。
【0152】
塗料(P2)を、金属(D)等の微粒子を含む懸濁液として用いる場合、乾燥時に微粒子が凝集した状態で析出したり、それにより外観不良(透明性の低い部分)を生じたりすることを防ぐために、分散剤(H)を加えて微粒子を充分に分散させておくのが好ましい。
【0153】
金属(D)を含む化合物が、MgおよびCaの少なくとも一方を含む酸化物、水酸化物、または炭酸塩である場合、分散剤(H)を用いることにより、金属(D)を含む化合物を、樹脂(C)の固形分(さらに架橋剤を含む場合、樹脂(C)と架橋剤とを合計した固形分)100質量部あたり30質量部添加しても、塗料(P2)の塗布時に透明な塗膜を形成することができる。
【0154】
分散剤(H)としては、既知のものを用いればよい。例えば、以下の材料が挙げられる。
【0155】
ビックケミー社製のDisperbykまたはDisperbyk-101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、191、192、2000、2001;またはAnti-Terra-U、203、204;またはBYK-P104、P104S、220S;またはLactimon、Lactimon-WSまたはBykumon等;
アビシア社製のSOLSPERSE-3000、9000、13240、13650、13940、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32600、34750、36600、38500、41000、41090、43000、44000、53095等;
エフカケミカルズ社製のEFKA-46、47、48、452、LP4008、4009、LP4010、LP4050、LP4055、400、401、402、403、450、451、453、4540、4550、LP4560、120、150、1501、1502、1503等;
(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、大豆多糖類、カロボキシメチルセルロース、アルギン酸ソーダ、アルギン酸プロピレングリコールエステル、加工澱粉、グアーガム、ローストビーンガム、キサンタンガム、ペクチン、カラギーナン、ガティガム、カードラン、タマリンドシードガム、カラヤガム、タラガム、ジェランガム、トラガントガム、アラビアガム、アラビーノガラクタン、アルキルリン酸エステル、ポリカルボン酸塩等。
【0156】
これらのうち、衛生面、ならびに分散性およびガスバリア性の観点から、好ましくは(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルであり、より好ましくは(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルである。
【0157】
これらを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0158】
分散性の観点から、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルの重合度は、1〜20が好ましく、12以下がより好ましい。
【0159】
(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルは、(ポリ)グリセリンと脂肪酸とがエステル結合することで得られる。脂肪酸は、炭素数10〜22の飽和または不飽和脂肪酸であるのが好ましい。例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、もしくはドコサン酸等の飽和脂肪酸、またはオレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エルカ酸、もしくはアラキドン酸等の不飽和脂肪酸が挙げられる。
【0160】
(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルを水に対して用いる場合、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルのHLBは、5以上が好ましく、より好ましくは7以上である。
【0161】
(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルを有機溶媒に対して用いる場合、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルのHLBは、2〜15が好ましく、4〜13がより好ましい。
【0162】
分散に用いる分散機は、特に限定されないが、例えば、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル、バスケットミル、ホモミキサー、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」等)、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)が用いられる。コストや処理能力の観点から、これらのなかでも、メディア型分散機が好ましい。また、メディアとしては、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、磁性ビーズ、ステンレスビーズ等が用いられる。
【0163】
塗料(P2)中に金属(D)等を含ませる方法は、特に限定されない。
【0164】
樹脂(C)に金属(D)等を加えた後、それを上述した分散機を用いて分散させてもよい。分散機を用いて金属(D)等を分散させた後、金属(D)等と、樹脂(C)とを混合してもよい。
【0165】
より具体的には、
(M1)有機溶媒等の溶媒中に樹脂(C)が溶解した樹脂(C)の溶液と、金属(D)等の溶液または分散液とを混合する方法;
(M2)樹脂(C)の分散液と、金属(D)等の粉末または溶液とを混合する方法;
(M3)加熱により可塑化した樹脂(C)(軟化した樹脂、または変形可能な状態の樹脂)と金属(D)等の粉末とを混合する方法;
(M4)樹脂(C)の溶液または分散液に金属(D)等の粉末を加え、分散機を用いて金属(D)等を分散させる方法;
(M5)分散機を用いて任意の分散媒中にて金属(D)等を分散させた後、その金属(D)等の分散液と、樹脂(C)の溶液または分散液とを混合する方法;
が挙げられる。
【0166】
金属(D)等の分散性の観点から、これらのなかでも、上記の(M2)および(M5)の方法が、好ましい。
【0167】
第1ガスバリア調整層(III)の耐水性、耐溶剤性等を高めるために、塗料(P2)に架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、自己架橋性を有する架橋剤、カルボキシル基および水酸基の少なくとも一方と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、または多数の配位座(配位子)を有する多価金属の錯体でもよい。自己架橋性を有する架橋剤を用いる場合、それ自体を樹脂(C)として用いてもよい。
【0168】
架橋剤としては、イソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物が好ましい。これらのなかでも、イソシアネート化合物がより好ましい。
【0169】
イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシレンイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;上記ポリイソシアネート単量体から誘導されたイソシアヌレート、ビューレット、アロファネート等の多官能ポリイソシアネート化合物;またはトリメチロールプロパン、グリセリン等の官能基を3つ以上有するポリオール化合物の末端にイソシアネート基を導入した多官能ポリイソシアネート化合物が挙げられる。
【0170】
架橋剤の添加量は、樹脂(C)の固形分100質量部あたり0.1〜300質量部が好ましく、1〜100質量部がより好ましく、3〜50質量部がさらに好ましい。架橋剤の添加量が0.1質量部以上であると、架橋剤を添加することによる架橋効果が充分に得られる。架橋剤の添加量が300質量部以下であると、架橋剤がガスバリア性に悪影響を及ぼすことがない。
【0171】
塗料(P2)が、さらに架橋剤を含む場合、塗料(P2)中の金属(D)等の含有量M1は、樹脂(C)と架橋剤とを合計した固形分100質量部あたりの量である。
【0172】
塗料(P2)の溶媒または分散媒には、水または有機溶剤が用いられる。上述したように、塗料(P2)は、塗料の安定性、ポットライフ、および耐水性の観点から、有機溶剤系塗料であることが好ましい。したがって、塗料(P2)に用いる樹脂(C)および架橋剤は、有機溶媒に可溶であることが好ましい。塗布性および生産性の観点から、塗料(P2)に用いられる樹脂(C)と架橋剤との組み合わせとしては、ガラス転移温度Tgが70℃以下のポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートとの組み合わせが好ましい。
【0173】
塗料(P2)の濃度は、塗工装置や乾燥・加熱装置の仕様に応じて適宜決めればよい。ここでいう、塗料(P2)の濃度とは、塗料(P2)のうち固形分が占める質量割合のことをいう。塗料(P2)の濃度は、5〜50質量%が好ましい。塗料(P2)の濃度が5質量%以上であると、充分な厚みの第1ガスバリア調整層(III)を形成することができる。また、乾燥時間を短くでき、生産性を高めることができる。塗料(P2)の濃度が50質量%以下であると、良好な塗布性を充分に確保することができ、均一な塗膜を容易に得ることができる。
【0174】
塗料(P2)を塗布する方法は特に限定されず、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、エアーナイフコーティング等の公知の方法が用いられる。
[工程(2b)]
より具体的には、加熱工程(2b)は、以下の工程(2b−1)および(2b−2)を含む。
工程(2b−1):塗料(P2)の塗膜を乾燥させ、塗膜から溶媒または分散媒を除去する。
工程(2b−2):塗料(P2)が金属(D)等を含み、その一部がガスバリア層(II)へ移動する場合、金属(D)等の一部と、ガスバリア層(II)中のポリマー(A)またはポリマー(B)とを反応させる。
【0175】
塗料(P2)がさらに架橋剤を含む場合は、工程(2b)は、さらに、塗膜中の樹脂(C)と架橋剤とを反応させる工程(2b−3)を含む。
【0176】
工程(2b)では、工程(2b−1)の後、工程(2b−2)を行ってもよく、工程(2b−1)と工程(2b−2)とを同時に行ってもよい。
【0177】
ガスバリア層(II)および第1ガスバリア調整層(III)の状態やガスバリア性等の物性に特に悪影響がない限り、工程の短縮等の生産性向上の観点から、工程(2a)の後、直ちに工程(2b−1)と工程(2b−2)とを同時に実施することが好ましい。
【0178】
工程(2b−1)の加熱方法としては、例えば、ドライヤー等による熱風の吹き付けや赤外線照射が挙げられる。
【0179】
工程(2b−2)の加熱方法(工程(2b−1)と工程(2b−2)とを同時に行う場合を含む。)は、特に限定されないが、一般的には乾燥雰囲気下でオーブン等により加熱する方法が挙げられる。これ以外に、熱ロールと接触させて加熱してもよい。
【0180】
工程(2b−2)の加熱条件(工程(2b−1)と工程(2b−2)とを同時に行う場合を含む。)は、樹脂(C)と金属(D)等との配合比、添加剤の有無、添加剤の種類およびその量等に応じて適宜決めればよい。
【0181】
工程(2b−2)の加熱温度は、50〜300℃が好ましく、70〜250℃がより好ましく、100〜200℃がさらに好ましい。加熱温度が50℃以上であると、塗料(P2)が樹脂(C)および架橋剤を含む場合、樹脂(C)と架橋剤との反応を充分に進行させることができ、第1ガスバリア調整層(III)の密着性、耐水性、および耐熱性を充分に高めることができる。塗料(P2)が金属(D)等を含む場合、金属(D)等と、ポリマー(A)またはポリマー(B)との反応を充分に進行させることができ、ガスバリア性を充分に高めることができる。加熱温度が300℃以下であると、基材層(I)に熱可塑性樹脂フィルムを用いる場合、そのフィルムが収縮して、しわが発生したり、ガスバリア層(II)および第1ガスバリア調整層(III)が脆化したりするのを確実に抑制することができる。
【0182】
工程(2b−2)の加熱時間は、1秒間〜5分間が好ましく、3秒間〜2分間がより好ましく、5秒間〜1分間がさらに好ましい。比較的短時間で加熱工程を実施することができる。
【0183】
加熱時間が1秒間以上であると、塗料(P2)が、樹脂(C)および架橋剤を含む場合、樹脂(C)と架橋剤との反応を充分に進行させることができ、第1ガスバリア調整層(III)の密着性、耐熱性、耐水性を充分に高めることができる。塗料(P2)が金属(D)等を含む場合、金属(D)等と、ポリマー(A)またはポリマー(B)との反応を充分に進行させることができ、ガスバリア性を充分に高めることができる。加熱時間が5分以下であると、生産性を充分に高めることができる。
[第2ガスバリア調整層の形成工程(3)]
より具体的には、工程(3)は、以下の工程(3a)および(3b)を含む。
工程(3a):第1ガスバリア調整層(III)のガスバリア層(II)と接する面と反対側の表面に、樹脂(E)を含み、かつ金属(F)等を含む、または含まない塗料(P3)を塗布する。
工程(3b):第1ガスバリア調整層(III)のガスバリア層(II)と接する面と反対側の表面に付着した塗料(P3)の塗膜を加熱する。
【0184】
金属等を含む樹脂塗料(P3)では、金属等の水溶液を塗料に用いる場合と比べて、工業的に効率良く、かつ容易に、優れたガスバリア性および透明性を積層体に付与することができる。塗料(P2)が、金属等を含む場合でも、上記と同様の効果が得られる。
[工程(3a)]
生産性およびガスバリア性の制御の観点から、塗料(P3)中の金属(F)等は、塗料(P2)の金属(D)等と、同種であるのが好ましい。
【0185】
塗料(P3)は、有機溶剤系塗料(溶液)、水溶液、水分散液のいずれでもよい。
【0186】
金属(F)等のイオン化の促進によりガスバリア層(II)の架橋密度を高める場合、塗料(P3)は水溶液または水分散液であるのが好ましい。
【0187】
塗料(P3)が、水への溶解性が比較的高い金属(F)等を含む水溶液または水分散液である場合、第2ガスバリア調整層(IV)の耐水性が低下する場合がある。また、塗料(P3)が、塩基性の金属(F)等を含む水溶液または水分散液であると、塗料(P3)の安定性やポットライフが低下する場合がある。よって、金属(F)等の水への溶解性が比較的高い場合、または金属(F)等が塩基性である場合、塗料(P3)は有機溶剤系塗料であるのが好ましい。
【0188】
塗料(P3)が優れた透明性を有するためには、金属(F)等は、微粒子状であるのが好ましい。塗膜の透明性および塗膜中での分散性の観点から、金属(F)等の平均粒子径は、10μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、1μm以下がさらに好ましい。
【0189】
塗料(P3)を、金属(F)等の微粒子を含む懸濁液として用いる場合、乾燥時に微粒子が凝集した状態で析出したり、それにより外観不良(透明性の低い部分)を生じたりすることを防ぐために、分散剤(H)を加えて微粒子を充分に分散させた塗料(P3)を用いることが好ましい。
【0190】
金属(F)を含む化合物が、MgおよびCaの少なくとも一方を含む酸化物、水酸化物、または炭酸塩である場合、上記の分散剤(H)を用いることにより、金属(F)を含む化合物を、樹脂(E)の固形分(さらに架橋剤を含む場合、樹脂(E)と架橋剤とを合計した固形分)100質量部あたり65質量部添加しても、塗料(P3)の塗布時に透明な塗膜を形成することができる。
【0191】
金属(F)等を塗料(P3)に含ませる方法には、金属(D)等を塗料(P2)に含ませる場合に用いられる方法を用いればよい。
【0192】
樹脂(E)には、樹脂(C)で用いられる樹脂材料を用いればよい。
【0193】
第1ガスバリア調整層(III)と第2ガスバリア調整層(IV)との間の密着性の観点から、樹脂(E)は、樹脂(C)と、同種の樹脂材料であるのが好ましい。
【0194】
第2ガスバリア調整層(IV)の耐水性、耐溶剤性等を高めるために、塗料(P3)に架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、塗料(P2)の架橋剤に用いられる材料を用いればよい。
【0195】
架橋剤の添加量は、樹脂(E)の固形分100質量部あたり0.1〜300質量部が好ましく、1〜100質量部がより好ましく、3〜50質量部がさらに好ましい。架橋剤の添加量が0.1質量部以上であると、架橋剤の添加による効果が充分に得られる。架橋剤の添加量が300質量部以下であると、架橋剤がガスバリア性に悪影響を及ぼすことがない。
【0196】
塗料(P3)が、さらに架橋剤を含む場合、塗料(P3)中の金属(F)等の含有量M2は、樹脂(E)と架橋剤とを合計した固形分100質量部あたりの量である。
【0197】
塗料(P3)は、溶媒または分散媒として水または有機溶剤を含む。
【0198】
塗料(P3)は、塗膜の安定性、ポットライフ、および耐水性の観点から、有機溶剤系塗料(溶液)であることが好ましい。したがって、塗料(P3)に用いられる樹脂(E)および架橋剤は、有機溶媒に可溶であることが好ましい。塗布性および生産性の観点から、塗料(P3)に用いられる樹脂(E)と架橋剤との組み合わせとしては、ガラス転移温度Tgが70℃以下のポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートとの組み合わせが好ましい。
【0199】
塗料(P3)の濃度は、塗工装置や乾燥・加熱装置の仕様に応じて適宜決めればよい。ここでいう、塗料(P3)の濃度とは、塗料(P3)のうち固形分が占める質量割合のことをいう。塗料(P3)の濃度は、5〜50質量%が好ましい。塗料(P3)の濃度が5質量%以上であると、充分な厚みの第2ガスバリア調整層(IV)を形成することができる。また、乾燥時間を短くすることができ、生産性を高めることができる。塗料(P3)
の濃度が50質量%以下であると、良好な塗布性を充分に確保することができ、均一な塗膜を容易に得ることができる。
【0200】
塗料(P3)を塗布する方法としては、塗料(P2)を塗布する場合に用いられる方法を用いればよい。
[工程(3b)]
より具体的には、加熱工程(3b)は、以下の工程(3b−1)および(3b−2)を含む。
工程(3b−1):塗料(P3)の塗膜を乾燥させ、塗膜から溶媒または分散媒を除去する。
工程(3b−2):塗料(P3)が金属(F)等を含み、その一部がガスバリア層(II)へ移動する場合、金属(F)等の一部と、ガスバリア層(II)中のポリマー(A)またはポリマー(B)とを反応させる。
【0201】
工程(3b−2)により、ガスバリア層(II)内において架橋Yが形成される。
【0202】
工程(3b)は、金属(D)等とポリマー(A)またはポリマー(B)とを反応させる工程を含んでいてもよい。
【0203】
塗料(P3)が、さらに架橋剤を含む場合、工程(3b)は、さらに樹脂(E)と架橋剤とを反応させる工程(3b−3)を含む。
【0204】
工程(3b)では、工程(3b−1)の後、工程(3b−2)を行ってもよく、工程(3b−1)と工程(3b−2)とを同時に行ってもよい。
【0205】
ガスバリア層(II)、第1ガスバリア調整層(III)、および第2ガスバリア調整層(IV)の状態やガスバリア性等の物性に特に悪影響がない限り、工程の短縮等の生産性向上の観点から、工程(3a)の後、直ちに工程(3b−1)と工程(3b−2)とを同時に実施することが好ましい。
【0206】
工程(3b−1)の加熱方法としては、例えば、ドライヤー等による熱風の吹き付けや赤外線照射が挙げられる。
【0207】
工程(3b−2)の加熱方法(工程(3b−1)と工程(3b−2)とを同時に行う場合を含む。)は、特に限定されないが、一般的には乾燥雰囲気下でオーブン等により加熱する方法が挙げられる。これ以外に、熱ロールと接触させて加熱してもよい。
【0208】
工程(3b−2)の加熱条件(工程(3b−1)と工程(3b−2)とを同時に行う場合を含む。)は、樹脂(E)と金属(F)等との配合比、添加剤の有無、添加剤の種類およびその量等に応じて適宜決めればよい。
【0209】
工程(3b−2)の加熱温度は、50〜300℃が好ましく、70〜250℃がより好ましく、100〜200℃がさらに好ましい。加熱温度が50℃以上であると、金属(F)等と、ガスバリア層(II)のポリマー(A)またはポリマー(B)との反応を充分に進行させることができ、ガスバリア性を充分に高めることができる。また、塗料(P3)が樹脂(E)および架橋剤を含む場合、塗料(P3)中の樹脂(E)と架橋剤との架橋反応を充分に進行させることができ、第2ガスバリア調整層(IV)の密着性、耐水性、および耐熱性を充分に高めることができる。加熱温度が300℃以下であると、基材層(I)に熱可塑性樹脂フィルムを用いる場合、そのフィルムが収縮して、しわが発生したり、ガスバリア層(II)、第1ガスバリア調整層(III)、および第2ガスバリア調整層(IV)が脆化したりするのを確実に抑制することができる。
【0210】
工程(3b−2)の加熱時間は、好ましくは1秒間〜5分間、より好ましくは3秒間〜2分間、さらに好ましくは5秒間〜1分間である。比較的短時間で加熱工程を実施することができる。
【0211】
加熱時間が1秒間以上であると、金属(F)等と、ガスバリア層(II)のポリマー(A)またはポリマー(B)との反応を充分に進行させることができ、ガスバリア性を充分に高めることができる。また、塗料(P3)が樹脂(E)および架橋剤を含む場合、樹脂(E)と架橋剤との架橋反応を充分に進行させることができ、第2ガスバリア調整層(IV)の密着性、耐水性、耐熱性を充分に高めることができる。加熱時間が5分間以下であると、生産性を充分に高めることができる。
[トップコート層(V)の形成工程(4)]
さらにトップコート層(V)を形成する場合、ガスバリア性積層体の製造方法は、例えば、第2ガスバリア調整層(IV)のガスバリア調整層と接する面と反対側の表面に、樹脂(G)を含む塗料(P4)を用いて、トップコート層を形成する工程(4)を含む。
【0212】
具体的には、工程(4)は、以下の工程(4a)および工程(4b)を含む。
工程(4a):第2ガスバリア調整層(IV)の第1ガスバリア調整層(III)と接する面と反対側の表面に、塗料(P4)を塗布する。
工程(4b):第2ガスバリア調整層(IV)の第1ガスバリア調整層(III)と接する面と反対側の表面に付着した塗料(P4)の塗膜を加熱する。
[工程(4a)]
塗料(P4)中の樹脂(G)としては、塗料(P2)中の樹脂(C)に用いられる材料を用いればよい。
【0213】
塗料(P4)は、有機溶剤系塗料(溶液)、水溶液、水分散液のいずれでもよい。第1ガスバリア調整層(III)中の金属(D)等および第2ガスバリア調整層(IV)中の金属(F)等をイオン化させて、それらとガスバリア層(II)中のポリマー(A)またはポリマー(B)とを反応させ、ガスバリア層(II)内にて金属架橋を形成するためには、塗料(P4)は、水溶液または水分散液であることが好ましい。
【0214】
トップコート層(V)の耐水性、耐溶剤性等を高めるために、塗料(P4)に架橋剤を添加してもよい。架橋剤には、塗料(P2)の架橋剤に用いられる材料を用いればよい。架橋剤の添加量は、樹脂(G)の固形分100質量部あたり0.1〜300質量部が好ましく、1〜100質量部がより好ましく、3〜50質量部がさらに好ましい。
【0215】
塗料(P4)の濃度は、塗工装置、乾燥・加熱装置の仕様に応じて適宜決めればよい。ここでいう塗料(P4)の濃度とは、塗料(P)のうち固形分が占める質量割合のことをいう。塗布性および生産性の観点から、塗料(P4)の濃度は、5〜50質量%が好ましい。
【0216】
塗料(P4)を塗布する方法としては、塗料(P2)を塗布する場合に用いられる方法を用いればよい。
[工程(4b)]
具体的には、工程(4b)は、以下の工程(4b−1)および工程(4b−2)を含む。
工程(4b−1):塗膜を乾燥させ、塗膜から溶媒または分散媒を除去する。
工程(4b−2):塗料(P4)が水系の塗料である場合、金属(D)等および金属(F)等の少なくとも一方とポリマー(A)またはポリマー(B)との反応をさらに促進させる。
【0217】
塗料(P4)が、さらに架橋剤を含む場合、工程(4b)は、さらに樹脂(G)と架橋剤とを反応させる工程(4b−3)を含む。
【0218】
生産性の観点から、工程(4a)の後、直ちに工程(4b)を実施するのが好ましい。工程(4b)では、工程(4b−1)の後、工程(4b−2)を行ってもよく、工程(4b−1)と工程(4b−2)とを同時に行ってもよい。
【0219】
ガスバリア層(II)、第1ガスバリア調整層(III)、第2ガスバリア調整層(IV)、およびトップコート層(V)の状態やガスバリア性等の物性に特に悪影響がない限り、工程の短縮等の生産性向上の観点から、工程(4a)の後、直ちに工程(4b−1)と工程(4b−2)とを同時に実施することが好ましい。
【0220】
工程(4b−1)の加熱方法としては、例えば、ドライヤー等による熱風の吹き付けや赤外線照射が挙げられる。
【0221】
工程(4b−2)の加熱方法(工程(4b−1)と工程(4b−2)とを同時に行う場合を含む。)は、特に限定されないが、一般的には乾燥雰囲気下でオーブン等により加熱する方法が挙げられる。これ以外に、熱ロールと接触させて加熱してもよい。
【0222】
また、生産性の観点から、以下の方法により、第2ガスバリア調整層(IV)およびトップコート層(V)を同時に形成するのが好ましい。第1ガスバリア調整層(III)の表面に塗料(P3)を塗布した後、乾燥して塗料(P3)の乾燥被膜を形成する。塗料(P3)の乾燥被膜の表面に塗料(P4)を塗布した後、乾燥して塗料(P4)の乾燥被膜を形成する。その後、両乾燥被膜を同時に加熱し、工程(3b−2)および工程(4b−2)を同時に実施する。
【0223】
工程(4b−2)の加熱温度は、50〜300℃が好ましく、70〜250℃がより好ましく、100〜200℃がさらに好ましい。加熱温度が50℃以上であると、工程(3b−2)の反応をさらに促進させることを充分に行うことができる。また、塗料(P4)が樹脂(G)および架橋剤を含む場合、樹脂(G)と架橋剤との架橋反応を充分に進行させることができる。その結果、トップコート層の密着性、耐水性、および耐熱性を充分に高めることができる。加熱温度が300℃以下であると、基材層(I)に熱可塑性樹脂フィルムを用いる場合、そのフィルムが収縮して、しわが発生したり、ガスバリア層(II)、第1ガスバリア調整層(III)、第2ガスバリア調整層(IV)、およびトップコート層(V)が脆化したりするのを確実に抑制することができる。
【0224】
工程(4b−2)の加熱時間は、1秒間〜5分間が好ましく、3秒間〜2分間がより好ましく、5秒間〜1分間がさらに好ましい。加熱時間が1秒間以上であると、工程(3b−2)の反応をさらに促進させることを充分に行うことができる。また、塗料(P4)が樹脂(G)および架橋剤を含む場合、樹脂(G)と架橋剤との反応を充分に進行させることができ、トップコート層の密着性、耐熱性、および耐水性を充分に高めることができる。加熱時間が5分間以下であると、生産性を充分に高めることができる。
<ガスバリア性複合体>
本発明のガスバリア性複合体は、基材層(I)、ガスバリア層(II)、第1ガスバリア調整層(III)、第2ガスバリア調整層(IV)、トップコート層(V)の順で積み重ねられたガスバリア性積層体と、接着剤層(VI)と、ヒートシール層(VII)とを有する。
【0225】
本発明のガスバリア性複合体の第1の好ましい態様としては、ガスバリア性積層体と、トップコート層(V)の第2層ガスバリア調整層と接する面と反対側の面に形成された接着剤層(VI)と、接着剤層(VI)のトップコート層(V)と接する面と反対側の面に形成されたにヒートシール層(VII)とを有する。すなわち、(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、および(VII)の順に積層される。
【0226】
この場合、トップコート層(V)と接着剤層(VI)との間に、さらに印刷層、プライマー層、または帯電防止層を配置してもよい。
トップコート層(V)と接着剤層(VI)との間の密着性を高めるために、接着剤層(VI)を形成する前に、トップコート層(V)の接着剤層(VI)と接する面に、コロナ処理、オゾン処理等の表面処理を施してもよい。
【0227】
本発明のガスバリア性複合体の第2の好ましい態様としては、ガスバリア性積層体と、基材層(I)のガスバリア層と接する面と反対側の面に形成された接着層(VI)と、接着剤層(VI)の基材層(I)と接する面と反対側の面に形成されたヒートシール層(VII)とを有する。すなわち、(VII)、(VI)、(I)、(II)、(III)、(IV)、および(V)の順に積層される。この場合、接着剤層(VI)と、基材層(I)との間に、さらに印刷層、プライマー層、または帯電防止層を配置してもよい。
【0228】
基材層(I)と接着剤層(VI)との間の密着性を高めるために、接着剤層(VI)を形成する前に、基材層(I)の接着剤層(VI)と接する面に、コロナ処理、オゾン処理などの表面処理を施してもよい。
【0229】
積層体は、擦傷性および磨耗性の観点から、第1の好ましい態様がより好ましい。
【0230】
上記ガスバリア性積層体がトップコート層(V)を有しない場合は、第2ガスバリア調整層(IV)の第1ガスバリア調整層(III)と接する面と反対側の面に、接着剤層(VI)を形成し、さらに接着剤層(VI)の上に、オーバーコート層(VII)を形成すればよい。すなわち、(I)、(II)、(III)、(IV)、(VI)、および(VII)の順に積層すればよい。
<印刷層>
印刷層は、インクにより文字、絵柄等が印刷された層である。インクは、例えば、バインダー樹脂および添加剤を含む。バインダー樹脂には、例えば、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系、塩化ビニル系等の樹脂材料が用いられる。添加剤には、例えば、各種顔料、可塑剤、乾燥剤、安定剤が用いられる。
【0231】
印刷層の形成方法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアーコート等の周知の塗布方式が用いられる。
<接着剤層(VI)>
接着剤層(VI)は、ヒートシール層(VII)のガスバリア性積層体への密着性を高めるために形成される。
【0232】
接着剤層(VI)の形成に使用される塗料(P5)の材料としては、公知のものが用いられる。例えば、イソシアネート系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、ポリオレフィン系、アルキルチタネート系の樹脂材料が挙げられる。密着性、耐熱性、耐水性の観点から、これらのなかでも、イソシアネート系、ポリウレタン系、およびポリエステル系の樹脂材料が好ましい。
【0233】
より具体的には、塗料(P5)の材料は、イソシアネート化合物、ポリウレタン、もしくはウレタンプレポリマー、またはそれらの混合物が好ましい。また、ポリエステル、ポリオール、およびポリエーテルからなる群より選択される少なくとも1種と、イソシアネートとの混合物であるのが好ましい。
【0234】
塗布性の観点から、塗料(P5)は、上記材料の溶液または分散液であることが好ましい。
【0235】
接着剤層(VI)は、上記材料の1種で構成されてもよく、上記材料の2種以上を組み合わせた混合物またはその反応生成物で構成されてもよい。
【0236】
接着剤層(VI)の厚みは、0.1〜10μmであるのが好ましい。接着剤層(VI)の厚みが0.1μm以上であると、ヒートシール層(VII)の密着性を充分に高めることができる。接着剤層(VI)の厚みが10μm以下であると、生産性を充分に高めることができ、かつコスト面で有利である。
【0237】
接着剤層(VI)を形成する手法としては、公知の方法を用いればよい。例えば、ドライラミネーション法、ウエットラミネーション法、無溶剤ドライラミネーション法、押し出しラミネーション法等のラミネーション法;二つ以上の樹脂層を同時に押出して積層する共押し出し法;コーター等にて膜を生成するコーティング法が挙げられる。得られる層(VI)および(VII)の密着性、耐熱性、耐水性の観点から、ドライラミネーション法が好ましい。
<ヒートシール層(VII)>
ヒートシール層(VII)は、ガスバリア性積層体を用いて包装体を得る際、ガスバリア性積層体を重ね合わせ、所定箇所(周縁部等)を熱により接着するために、ガスバリア性積層体に設けられる。
【0238】
ヒートシール層(VII)には、熱シール、高周波シールなどに使用可能な材料を用いればよい。例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸塩共重合体、エチレン−アクリレート共重合体が挙げられる。
【0239】
ヒートシール層(VII)の厚みは、目的に応じて適宜決めればよいが、一般的に15〜200μmである。
【0240】
ヒートシール層(VII)を形成する手法としては、接着剤層(VI)の形成で用いられる手法を用いればよい。
【0241】
ガスバリア性積層体またはガスバリア性複合体(以下、単に、積層体等)のガスバリア性をさらに高める目的で、積層体等を加湿処理してもよい。これにより、金属等と、ガスバリア層(II)中のポリマー(A)またはポリマー(B)との反応をさらに促進させることができる。加湿処理としては、例えば、高温および高湿度の環境下で積層体等を放置することや、積層体等を高温の水に接触させることが挙げられる。加湿処理の条件は目的により異なるが、高温および高湿度の環境下で積層体等を放置する場合は、温度30〜130℃および相対湿度50〜100%が好ましい。積層体等を高温の水に接触させる場合も、温度30〜130℃程度(100℃以上は加圧下)が好ましい。環境温度が30℃以上であると、加湿処理を充分に行うことができる。環境温度が130℃以下であると、プラスチック基材層が熱的なダメージを受けるのを確実に防ぐことができる。加湿処理の時間は、例えば、数秒から数百時間までの範囲である。
【0242】
本発明の積層体等は、揮発性の高い内容物を含む包装体を熱殺菌処理する場合に包装体の外観を重視する必要がある様々な分野に適用することができ、特に食品を包装するための包装体を用いる分野に好適に用いられる。揮発性の成分としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ吉草酸などの酸や、エタノール、イソブタノール、n−プロパノールなどのアルコールが挙げられる。本発明の積層体は、なかでも、揮発性の成分として、酢酸またはエタノールを含む内容物の包装体として特に効果的である。
【実施例】
【0243】
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
[評価]
(1)積層体の酸素ガス透過度の測定
得られた積層体(積層フィルム)を120℃で30分間加熱処理した。酸素バリア測定器(モコン社製、OX−TRAN 2/20)を用いて、加熱処理後の積層体における温度20℃および相対湿度90%の環境下での酸素ガス透過度を測定した。なお、120℃で30分間の加熱処理は、レトルト殺菌処理の条件に相当するものである。
(2)包装体の外観の評価
得られた包装体内にエタノールまたは酢酸を含む水を充填し、それを120℃で30分間レトルト殺菌処理した。レトルト殺菌処理した後の包装体の外観を目視により評価した。無色透明で外観不良が無い場合を○、白化もしくは水泡状の突起物が発生し、外観不良が有る場合を×とした。
<製造例1>
PVA(クラレ(株)製、ポバール105(ポリビニルケン化度98〜99%、平均重合度約500))を熱水に溶解した後、室温に冷却し、固形分15質量%のPVA水溶液を得た。
<製造例2>
EMA(重量平均分子量60000、マレイン酸単位45〜50%)および水酸化ナトリウムを熱水に溶解した後、室温に冷却し、カルボキシル基の10モル%を水酸化ナトリウムにより中和した、固形分15質量%のEMA水溶液を調製した。
<製造例3>
ポリアクリル酸水溶液(東亞合成(株)製、A10H(ポリアクリル酸の数平均分子量200000、濃度25質量%))に水酸化ナトリウムを加え、カルボキシル基の10モル%を水酸化ナトリウムにより中和した、固形分15質量%のポリアクリル酸(以下、PAAと略する)水溶液を得た。
<製造例4>
プルラン((株)林原製、PF−20)を水に溶解し、固形分15質量%のプルラン水溶液を得た。
<製造例5>
ポリエステル(東洋紡(株)製、バイロンGK130(皮膜伸度1000%、Tg15℃、数平均分子量7000))を、トルエンと酢酸エチルとMEKとの混合溶媒(質量比3/2/1)に溶解し、固形分15質量%のバイロンGK130ポリエステル溶液を得た。
<製造例6>
ポリエステル(東洋紡(株)製、バイロン226(皮膜伸度は低すぎて測定不能、Tg65℃、数平均分子量8000))を、酢酸エチルとMEKとの混合溶媒(質量比2/1)に溶解し、固形分15質量%のバイロン226ポリエステル溶液を得た。
<製造例7>
酸化マグネシウム粉末(平均粒子径3.5μm、結晶子径0.01μm、BET比表面積145m
2/g)の懸濁トルエン溶液に、分散剤(デカグリセリンオレイン酸エステル、HLB=7)を酸化マグネシウム100質量部に対して25質量部加え、撹拌機で撹拌した後、ビーズミルを用いて分散させ、固形分20質量%の酸化マグネシウム分散液(1)を得た。
<製造例8>
酸化マグネシウム粉末(平均粒子径3.5μm、結晶子径0.01μm、BET比表面積145m
2/g)の懸濁水溶液に、分散剤(ポリアクリル酸ナトリウム中和物、サンノプコ(株)製、ノプコスパース44C)を酸化マグネシウム100質量部に対して35質量部加え、撹拌機で撹拌した後、ビーズミルを用いて分散させ、固形分20質量%の酸化マグネシウム分散液(2)を得た。
<実施例1>
製造例1のPVA水溶液と製造例2のEMA水溶液とを、PVA/EMAの質量比(固形分)が30/70になるように混合し、固形分6質量%の混合液(ガスバリア層形成用塗料(P1))を得た。プラスチック基材層(I)の一方の表面に、上記混合液をバーコーターNo.4を用いて塗布した後、電気オーブンにて80℃で2分間加熱し、乾燥塗膜を得た。その後、乾燥塗膜を、電気オーブンにて180℃で2分間加熱した。この加熱により、PVAとEMAとがエステル結合により架橋された。このようにして、厚み0.3μmのガスバリア層(II)を形成した。基材層(I)には、厚み15μmの2軸延伸ナイロンフィルムを用いた。
【0244】
製造例5のバイロンGK130ポリエステル溶液と、ポリイソシアネート化合物(東洋インク製造(株)製、BX4773)とを、ポリエステル/ポリイソシアネートの質量比が83.3/16.7になるように加え、さらに触媒としてジオクチル錫ラウレート(三共有機合成(株)製、STANN SNT−1F)1質量%の酢酸エチル溶液、およびトルエンを混合し、固形分10質量%の混合液(塗料(P2))を得た。
【0245】
ガスバリア層(II)の基材層(I)と接する面と反対側の面に、塗料(P2)をバーコーターNo.4で塗布し、電気オーブンにて80℃で30秒間加熱した。この加熱により、塗料(P2)の塗膜を乾燥させること、および塗料(P2)の塗膜中のポリエステルとポリイソシアネートとの反応を進行させることを同時に行った。
【0246】
このようにして、厚み0.5μmの第1ガスバリア調整層(III)を形成した。
【0247】
製造例7の酸化マグネシウムの分散液(1)と、製造例5のバイロンGK130ポリエステル溶液と、ポリイソシアネート化合物(東洋インキ製造(株)製、BX4773)とを、酸化マグネシウム/ポリエステル/ポリイソシアネートの質量比が30/83.3/16.7になるように加え、さらに触媒としてジオクチル錫ラウレート(三共有機合成(株)製、STANN SNT−1F)1質量%の酢酸エチル溶液、およびトルエンを混合し、固形分10質量%の混合液(塗料(P3))を得た。
【0248】
第1ガスバリア調整層(III)のガスバリア層と接する面と反対側の面に、塗料(P3)をバーコーターNo.2で塗布し、電気オーブンにて80℃で30秒間加熱した。この加熱により、塗料(P3)の塗膜を乾燥させること、および塗料(P3)中のポリエステルとポリイソシアネートとの反応を進行させること、を同時に行った。
【0249】
このようにして、厚み0.3μmの第2ガスバリア調整層(IV)を形成した。
【0250】
水性ポリウレタン(三井武田ケミカル(株)製、WS5100、30質量%水溶液)を調製し、固形分7.5質量%の混合液(塗料(P4))を得た。
【0251】
第2ガスバリア調整層(IV)の第1ガスバリア調整層(III)と接する面と反対側の面に、塗料(P4)をバーコーターNo.4で塗布し、電気オーブンにて100℃で2分間加熱した。塗料(P4)の塗布により、塗料(P4)中に含まれる水によりイオン化したマグネシウムがガスバリア層(II)へ移動した。この加熱により、塗料(P4)の塗膜を乾燥させること、塗料(P3)の塗膜からガスバリア層(II)へ移動したマグネシウムと、ガスバリア層(II)のPVAまたはEMAとの反応を進行させること、および塗料(P4)中のポリウレタンの架橋反応を進行させること、を同時に行った。
【0252】
このようにして、厚み0.4μmのトップコート層(V)を形成した。
【0253】
その後、40℃で2日間エージング処理を行い、(I)、(II)、(III)、(IV)、および(V)の順に積層するフィルム(ガスバリア性積層体)を得た。
【0254】
ガスバリア性積層体におけるトップコート層(V)の第2ガスバリア調整層と接する面と反対側の面に、DIC(株)製のLX−500/KR−90Sをドライラミネーターにより塗布し、厚み2.5μmの接着剤層(VI)を形成した。
【0255】
接着剤層(VI)にヒートシール層(VII)(東セロ(株)製、CPP、RXC−22、厚み50μm)を貼り合わせた後、40℃で2日間静置し、接着剤層(VI)を硬化させた。このようにして、(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、および(VII)の順に積層するフィルム(ガスバリア性複合体)を得た。
<実施例2>
塗料(P2)中の固形分の含有量を調整することで、第1ガスバリア調整層(III)の厚みを1.0μmに変更した。これ以外は、実施例1と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<実施例3>
塗料(P2)中の固形分の含有量を調整することで、第1ガスバリア調整層(III)の厚みを1.5μmに変更した。これ以外は、実施例1と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<実施例4>
塗料(P3)の作製時において、酸化マグネシウム/ポリエステル/ポリイソシアネートの質量比を40/83.3/16.7とした以外は、実施例2と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<実施例5>
製造例7の酸化マグネシウム分散液(1)と、製造例5のバイロンGK130ポリエステル溶液と、ポリイソシアネート化合物(東洋インク製造(株)製、BX4773)とを、酸化マグネシウム/ポリエステル/ポリイソシアネートの質量比が2/83.3/16.7になるように加え、さらに触媒としてジオクチル錫ラウレート(三共有機合成(株)製、STANN SNT−1F)1質量%の酢酸エチル溶液、およびトルエンを混合し、固形分10質量%の混合液を得た。
【0256】
上記で得られた混合液を塗料(P2)として用いた以外、実施例1と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<実施例6>
塗料(P3)の作製時において、酸化マグネシウム分散液(1)の代わりに酸化マグネシウム粉末を用いた以外、実施例1と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<実施例7>
塗料(P2)中の固形分の含有量を調整することで、第1ガスバリア調整層(III)の厚みを1.5μmに変更した。これ以外は、実施例6と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<実施例8>
炭酸リチウムと、水性ポリウレタン(第一工業製薬(株)製、スーパーフレックス460)と、ポリイソシアネート化合物(BASF社製、HW−100)とを、炭酸リチウム/ポリウレタン/ポリイソシアネートの質量比が15/70/30となるように混合し、樹脂固形分10質量%の混合液を得た。
【0257】
上記で得られた混合液を塗料(P3)として用いた以外、実施例2と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<実施例9>
製造例8の酸化マグネシウム分散液(2)と、炭酸リチウムと、水性ポリウレタン(第一工業製薬(株)製、スーパーフレックス460)と、ポリイソシアネート化合物(BASF社製、HW−100)とを、酸化マグネシウム/炭酸リチウム/ポリウレタン/ポリイソシアネートの質量比が15/5/70/30になるように混合し、樹脂固形分10質量%の混合液を得た。
【0258】
上記で得られた混合液を塗料(P3)として用いた以外、実施例3と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<実施例10>
酸化マグネシウム分散液(1)の代わりに炭酸カルシウム分散液(竹原化学工業(株)製、カルミンML)を用いた以外、実施例1と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<実施例11>
炭酸リチウムと、水性ポリウレタン(第一工業製薬(株)製、スーパーフレックス460)と、ポリイソシアネート化合物(BASF社製、HW−100)とを、炭酸リチウム/ポリウレタン/ポリイソシアネートの質量比が1/70/30となるように混合し、樹脂固形分10質量%の混合液(塗料(P2))を作製した。
【0259】
酸化マグネシウム/ポリエステル/ポリイソシアネートの質量比を20/83.3/16.7とした以外、実施例1と同様の方法により塗料(P3)を作製した。
【0260】
上記の塗料(P2)および塗料(P3)を用い、バーコーターNo.を調整することで、ガスバリア調整層(II)の厚みを1.0μmに変更した以外、実施例1と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<実施例12>
製造例8の酸化マグネシウム分散液(2)と、炭酸リチウムと、水性ポリウレタン(第一工業製薬(株)製、スーパーフレックス460)と、ポリイソシアネート化合物(BASF社製、HW−100)とを、酸化マグネシウム/炭酸リチウム/ポリウレタン/ポリイソシアネートの質量比が0.5/0.5/70/30となるように混合し、樹脂固形分10質量%の混合液(塗料(P2))を作製した。
【0261】
酸化マグネシウム/ポリエステル/ポリイソシアネートの質量比を20/83.3/16.7に変更した以外、実施例1と同様の方法により塗料(P3)を作製した。
【0262】
上記の塗料(P2)および塗料(P3)を用い、バーコーダーNo.を調整することで、ガスバリア調整層の厚みを1.0μmに変更した以外は、実施例1と同様の方法により積層フィルムを作製した。
<実施例13>
塗料(P2)および塗料(P3)の作製において、ポリエステルの代わりに製造例6のバイロン226ポリエステル溶液を用いた以外、実施例1と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<実施例14>
製造例7の酸化マグネシウム分散体溶液(1)と、製造例6のバイロンGK226ポリエステル溶液と、ポリイソシアネート化合物(東洋インク製造(株)製、BX4773)とを、酸化マグネシウム/ポリエステル/ポリイソシアネートの質量比が1/83.3/16.7となるように混合し、さらに触媒としてジオクチル錫ラウレート(三共有機合成(株)製、STANN SNT−1F)の1質量%酢酸エチル溶液、およびトルエンを混合し、固形分10質量%の混合液を塗料(P2)として作製した。
【0263】
ポリエステルの代わりに製造例6のバイロン226ポリエステル溶液を用いた以外、実施例1と同様の方法により塗料P3を作製した。
【0264】
上記で得られた塗料(P2)および塗料(P3)を用い、バーコーターNo.を調整することで、第1ガスバリア調整層(III)の厚みを1.0μmに変更した以外、実施例1と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<実施例15>
塗料(P1)の作製において、製造例1のPVA水溶液の代わりに製造例4のプルラン水溶液を用い、製造例2のEMA水溶液の代わりに製造例3のPAA水溶液を用いた以外、実施例1と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<実施例16>
塗料(P2)中の固形分の含有量を調整することで、第1ガスバリア調整層(III)の厚みを1.0μmに変更した以外、実施例15と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<実施例17>
塗料(P2)中の固形分の含有量を調整することで、第1ガスバリア調整層(III)の厚みを1.5μmに変更した以外、実施例15と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<実施例18>
塗料(P2)中の固形分の含有量を調整することで、第1ガスバリア調整層(III)の厚みを1.5μmに変更した。
【0265】
塗料(P3)中の固形分の含有量を調整することで、第2ガスバリア調整層(IV)の厚みを0.6μmに変更した。
【0266】
上記以外は、実施例1と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<実施例19>
塗料(P4)の固形分の含有量を調整することで、トップコート層(V)の厚みを0.7μmに変更した以外、実施例18と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<実施例
21>
製造例1のPVA水溶液の代わりに製造例4のプルラン水溶液を用い、製造例2のEMA水溶液の代わりに製造例3のPAA水溶液を用いた以外、実施例1と同様の方法により、塗料(P1)を作製した。
【0267】
製造例7の酸化マグネシウム分散液(1)と、製造例5のバイロンGK130ポリエステル溶液と、ポリイソシアネート化合物(東洋インク製造(株)製、BX4773)とを、酸化マグネシウム/ポリエステル/ポリイソシアネートの質量比が5/83.3/16.7になるように加え、さらに触媒としてジオクチル錫ラウレート(三共有機合成(株)製、STANN SNT−1F)1質量%の酢酸エチル溶液、およびトルエンを混合し、固形分10質量%の混合液を塗料(P2)として作製した。
【0269】
製造例7の酸化マグネシウムの分散液(1)と、製造例5のバイロンGK130ポリエステル溶液と、ポリイソシアネート化合物(東洋インキ製造(株)製、BX4773)とを、酸化マグネシウム/ポリエステル/ポリイソシアネートの質量比が5/83.3/16.7になるように加え、さらに触媒としてジオクチル錫ラウレート(三共有機合成(株)製、STANN SNT−1F)1質量%の酢酸エチル溶液、およびトルエンを混合し、固形分10質量%の混合液を塗料(P3)として作製した。
【0270】
上記で得られた塗料
(P1)〜(P3)を用いた以外、実施例
1と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<実施例22>
製造例7の酸化マグネシウムの分散液(1)と、製造例5のバイロンGK130ポリエステル溶液と、ポリイソシアネート化合物(東洋インキ製造(株)製、BX4773)とを、酸化マグネシウム/ポリエステル/ポリイソシアネートの質量比が5/83.3/16.7になるように加え、さらに触媒としてジオクチル錫ラウレート(三共有機合成(株)製、STANN SNT−1F)1質量%の酢酸エチル溶液、およびトルエンを混合し、固形分10質量%の混合液を塗料(P3)として作製した。
【0271】
上記で得られた塗料(P3)を用いた以外、実施例1と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<実施例23>
製造例7の酸化マグネシウムの分散液(1)と、製造例5のバイロンGK130ポリエステル溶液と、ポリイソシアネート化合物(東洋インキ製造(株)製、BX4773)とを、酸化マグネシウム/ポリエステル/ポリイソシアネートの質量比が100/83.3/16.7になるように加え、さらに触媒としてジオクチル錫ラウレート(三共有機合成(株)製、STANN SNT−1F)1質量%の酢酸エチル溶液、およびトルエンを混合し、固形分10質量%の混合液を塗料(P3)として作製した。
【0272】
上記で得られた塗料(P3)を用いた以外、実施例3と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<実施例24>
製造例7の酸化マグネシウム分散液(1)と、製造例5のバイロンGK130ポリエステル溶液と、ポリイソシアネート化合物(東洋インク製造(株)製、BX4773)とを、酸化マグネシウム/ポリエステル/ポリイソシアネートの質量比が0.5/83.3/16.7になるように加え、さらに触媒としてジオクチル錫ラウレート(三共有機合成(株)製、STANN SNT−1F)1質量%の酢酸エチル溶液、およびトルエンを混合し、固形分10質量%の混合液を塗料(P2)として作製した。
【0273】
上記で得られた塗料(P2)と、実施例21で作製した塗料(P3)とを用い、塗料(P2)中の固形分の含有量を調整することにより第1ガスバリア調整層(III)の厚みを3.0μmに変更した以外、実施例1と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<比較例1>
第1ガスバリア調整層(III)を形成しない以外、実施例1と同様の方法により、(I)、(II)、(IV)、(V)、(VI)、および(VII)の順に積層する積層フィルムを作製した。
<比較例2>
塗料(P3)の作製時において、酸化マグネシウム/ポリエステル/ポリイソシアネートの質量比を20/83.3/16.7に変更した以外、比較例1と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<比較例3>
塗料(P3)の作製時において、酸化マグネシウム/ポリエステル/ポリイソシアネートの質量比を10/83.3/16.7に変更した以外、比較例1と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<比較例4>
塗料(P2)中の固形分の含有量を調整することで、第1ガスバリア調整層(III)の厚みを0.3μmに変更した以外、実施例1と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<比較例5>
塗料(P2)中の固形分の含有量を調整することで、第1ガスバリア調整層(III)の厚みを4.0μmに変更した以外、実施例1と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<比較例6>
酸化マグネシウム分散液(1)と、バイロンGK130ポリエステル溶液と、ポリイソシアネート化合物とを、酸化マグネシウム/ポリエステル/ポリイソシアネートの質量比が10/83.3/16.7となるように混合し、さらに触媒としてジオクチル錫ラウレート(三共有機合成(株)製、STANN SNT−1F)の1質量%酢酸エチル溶液、およびトルエンを混合し、固形分10質量%の混合液を塗料(P2)として作製した。
【0274】
酸化マグネシウム/ポリエステル/ポリイソシアネートの質量比を10/83.3/16.7に変更した以外、実施例1と同様の方法により塗料(P3)を作製した。
【0275】
上記で得られた塗料(P2)および塗料(P3)を用いた以外、実施例1と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<比較例7>
酸化マグネシウム分散液(1)と、バイロンGK130ポリエステル溶液と、ポリイソシアネート化合物とを、酸化マグネシウム/ポリエステル/ポリイソシアネートの質量比が10/83.3/16.7となるように混合し、さらに触媒としてジオクチル錫ラウレート(三共有機合成(株)製、STANN SNT−1F)の1質量%酢酸エチル溶液、およびトルエンを混合し、固形分10質量%の混合液を塗料(P2)として作製した。
【0276】
酸化マグネシウム/ポリエステル/ポリイソシアネートの質量比を5/83.3/16.7に変更した以外、実施例1と同様の方法により塗料(P3)を作製した。
【0277】
上記で得られた塗料(P2)および塗料(P3)を用いた以外、実施例1と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
<比較例8>
製造例7の酸化マグネシウム分散液(1)と、製造例5のバイロンGK130ポリエステル溶液と、ポリイソシアネート化合物(東洋インク製造(株)製、BX4773)とを、酸化マグネシウム/ポリエステル/ポリイソシアネートの質量比が1/83.3/16.7になるように加え、さらに触媒としてジオクチル錫ラウレート(三共有機合成(株)製、STANN SNT−1F)1質量%の酢酸エチル溶液、およびトルエンを混合し、固形分10質量%の混合液を塗料(P2)として作製した。
【0278】
製造例7の酸化マグネシウムの分散液(1)と、製造例5のバイロンGK130ポリエステル溶液と、ポリイソシアネート化合物(東洋インキ製造(株)製、BX4773)とを、酸化マグネシウム/ポリエステル/ポリイソシアネートの質量比が2/83.3/16.7になるように加え、さらに触媒としてジオクチル錫ラウレート(三共有機合成(株)製、STANN SNT−1F)1質量%の酢酸エチル溶液、およびトルエンを混合し、固形分10質量%の混合液を塗料(P3)として作製した。
【0279】
上記で得られた塗料(P2)および塗料(P3)を用いた以外、実施例1と同様の方法により、積層フィルムを作製した。
【0280】
上記で得られた実施例および比較例の積層フィルムを用いて、上記(1)の酸素ガス透過度の測定を行った。
【0281】
また、上記の実施例および比較例の積層フィルムを用いて、それぞれ以下の手順で包装体を作製した。
【0282】
積層フィルム(サイズ210mm×297mm)を、ヒートシール層が向かい合うように2つに折り曲げた後、折り目と垂直な方向に延びる周縁部同士を熱溶着した。このようにして、一部が開口した包装体を得た。包装体の開口よりエタノールまたは酢酸の水溶液を充填した。エタノールまたは酢酸の水溶液の濃度は、1wt%、2wt%、3wt%、4wt%、または5wt%とした。その後、残りの周縁部同士(開口する部分)を熱溶着して包装体を密封した。密封した包装体を120℃で30分間レトルト殺菌処理した。
【0283】
包装体をレトルト殺菌処理した後、すぐに包装体を開封し、包装体内部よりエタノール水溶液または酢酸水溶液を排出し、包装体を充分に乾燥した。
【0284】
上記で得られた実施例および比較例の包装体を用いて、上記(2)の外観評価を行った。
【0285】
評価結果を表1および2に示す。
【0286】
【表1】
【0287】
【表2】
【0288】
実施例1〜
19、21〜24では、積層体を、揮発性物質を含む内容物を充填する包装体に使用した場合、当該内容物を含む包装体に熱殺菌処理を施しても包装体は良好な外観を維持し、かつ優れたガスバリア性が得られた。
【0289】
これに対し、比較例1〜4、6、および7では、熱殺菌処理により包装体において外観不良が発生した。比較例5および8では、充分なガスバリア性が得られなかった。このように、比較例1〜8では、包装体において良好な外観と優れたガスバリア性とを両立できなかった。