【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、薬剤送達デバイス用の駆動アセンブリが提供される。駆動アセンブリは、薬剤送達のために開始位置から終了位置に可動であり、終了位置から開始位置に再セット可能なピストン・ロッドを備える。さらに、駆動アセンブリは、少なくとも1つの弾性要素を含む抵抗要素(impeding element)を備える。抵抗要素は、ピストン・ロッドの再セットの間、終了位置から開始位置へのピストン・ロッドの運動を妨害するように構成されてもよい。
【0006】
用語「ピストン・ロッド」は、薬剤送達デバイスの投薬端に向かって動くことによって薬剤がデバイスから投薬されるように構成されている駆動アセンブリの構成要素に用いられることが好ましい。特に、開始位置から終了位置への運動は、投薬端に向かう運動に相当し得る。
【0007】
開始位置は、駆動アセンブリが薬剤送達デバイスを備えて組み立てられているとき、デバイスの投薬端から最も離れているピストン・ロッドの位置であってもよい。終了位置は、ピストン・ロッドが薬剤送達デバイスの投薬端に最も近接している位置であってもよい。したがって、終了位置から開始位置への運動は、近位方向運動であってもよい。「近位方向」は、薬剤送達デバイスの近位端に向かう方向である。用語「近位端」は、デバイスの投薬端から最も離れているか、または最も離れて配置されることになるデバイスの端を示す。たとえば薬剤の送達中の開始位置から終了位置への運動は、遠位方向運動であってもよい。「遠位方向」は薬剤送達デバイスの投薬端に向かう方向である。
【0008】
ピストン・ロッドは、薬剤容器、たとえばカートリッジの栓またはピストンに作用して、それによって薬剤が容器から投薬されるように構成されてもよい。ピストン・ロッドは、軸方向運動と回転運動を組み合わせて行うように構成されてもよい。一例として、ピストン・ロッドはシンプルな棒として構成されてもよい。好ましくは、ピストン・ロッドは親ねじ(a lead screw)として構成される。親ねじは、薬剤送達デバイスの対応する部材と係合するためのねじ山部分を含むことができる。好ましくは、ピストン・ロッドは少なくとも1つのねじ山部分を含む。
【0009】
好ましい実施形態においては、駆動アセンブリは注射デバイスにおいて使用され得る。好ましくは、薬剤送達デバイスはペン型のデバイスであってもよい。薬剤送達デバイスは、薬用流体を送達するように構成されてもよい。特に、薬剤はインスリンであってもよい。
【0010】
ピストン・ロッドは、カートリッジから薬剤が部分的にまたは完全に投薬されたとき、開始位置に再セットされるように構成されてもよい。ピストン・ロッドを再セットすることによって、薬剤送達デバイスは、使用済みカートリッジを戻した後に新しいカートリッジを挿入する準備ができる。
【0011】
ピストン・ロッドの再セットを可能にするためには、薬剤送達デバイスの本体に取り付けられ得るレセプタクルを本体から取り外さなければならないことがある。レセプタクルを取り外すことによって、ピストン・ロッドは、開始位置への運動が可能になってもよい。特に、駆動アセンブリはロッキング・デバイスを備えてもよい。ロッキング・デバイスは、レセプタクルが本体に取り付けられているとき、開始位置に向かうピストン・ロッドの運動を阻止するように構成されてもよい。レセプタクルが本体から取り外されているとき、ロッキング・デバイスは本体との係合を解除されてもよい。それによって、ピストン・ロッドは、開始位置への運動が可能になってもよい。
【0012】
特に、ピストン・ロッドは開始位置に回転して戻ってもよい。特に、ピストン・ロッドは、回転運動と直線運動を組み合わせて行ってもよい。さらなる実施形態においては、ピストン・ロッドの運動は直線的であってもよく、回転運動は妨害されてもよい。
【0013】
好ましくは、抵抗要素は、終了位置から開始位置へのピストン・ロッドの妨げられていない運動を阻止する。特に、レセプタクルが薬剤送達デバイスの本体から取り外されているとき、ピストン・ロッドの妨げられていない運動を阻止することができる。特に、弾性要素は、レセプタクルが薬剤送達デバイスの本体から意図せず外れているとき、ピストン・ロッドの運動を阻止するように構成されてもよく、たとえば、引力によって引き起こされるピストン・ロッドの運動を妨げることができる。好ましくは、抵抗要素は、抵抗、特に、弾性要素によってピストン・ロッドに及ぼされる摩擦力に逆らってピストン・ロッドがその開始位置に戻ることだけはできるように、ピストン・ロッドに連結されている。好ましくは、ピストン・ロッドの再セットの間、抵抗要素はピストン・ロッドに沿って摺動する。抵抗要素はピストン・ロッドの係合手段と係合していなくてもよい。特に、抵抗要素は、少なくともピストン・ロッドの再セットの間は、ピストン・ロッドのねじ山部分と係合していなくてもよく、ピストン・ロッドのねじ山部分の上を摺動してもよい。好ましくは、抵抗要素は、ピストン・ロッドを使用者が難なくその開始位置に戻すことが依然として可能なように構成される。
【0014】
特に、弾性要素は、ピストン・ロッドの運動が妨害され得るように、ピストン・ロッドに接触した状態に構成されてもよい。
【0015】
抵抗要素は付勢要素を含むことができる。好ましくは、付勢要素はピストン・ロッドの方向に事前に張力がかけられている。特に、弾性要素は付勢要素として構成されてもよいし、付勢要素を含むことができる。付勢要素は、ばね要素、たとえば付勢ばねを含むことができる。
【0016】
好ましくは、ピストン・ロッドの運動中、抵抗要素はピストン・ロッドに摩擦力を及ぼす。摩擦力は、少なくとも終了位置から開始位置への運動中、ピストン・ロッドに及ぼされてもよい。摩擦力はまた、開始位置から終了位置への運動中、ピストン・ロッドに及ぼされてもよい。好ましくは、摩擦力によって、薬剤の送達に必要な力の著しい増加は生じない。
【0017】
摩擦力の大きさは、弾性要素の弾力性を調整することによって調整することができる。特に、摩擦力の大きさは、弾性要素の弾力性を低減することによって増加させることができる。摩擦力の大きさは、弾性要素の弾力性を増加させることによって低減することができる。
【0018】
好ましい実施形態においては、駆動アセンブリは、抵抗要素がピストン・ロッドに半径方向の力を及ぼすように構成される。特に、弾性要素は、ピストン・ロッドに半径方向の力を及ぼすことができる。
【0019】
半径方向の力の大きさは、弾性要素の弾力性を調整することによって調整することができる。
【0020】
好ましい実施形態においては、抵抗要素は複数の弾性要素を含む。複数の弾性要素は付勢要素として構成されてもよい。好ましくは、弾性要素は、ピストン・ロッドの周りに回転対称に位置する。
【0021】
好ましくは、弾性要素は、駆動アセンブリの長手方向軸に対して同じ軸方向位置に配置される。一例として、抵抗要素は、互いに120°の角距離に配置された3つの弾性要素を含むことができる。弾性要素は、ピストン・ロッドがその外周に沿って均一に負荷を受けるように配置されてもよい。
【0022】
さらに、抵抗要素は少なくとも1つの支承部(support bearing)を含むことができる。一例として、抵抗要素は、ピストン・ロッドに力を及ぼす少なくとも1つの弾性要素と、弾性要素によって及ぼされる力に逆らってピストン・ロッドを支持する少なくとも1つの支承部とを含むことができる。特に、弾性要素は、付勢要素、たとえばばね要素を含むことができる。たとえば、抵抗要素は、互いに120°の角距離に位置する2つの支承部および1つの付勢要素を含むことができる。支承部は、ピストン・ロッドの半径方向の位置が維持されるように、ピストン・ロッドをある方向に支持することができる。特に、ピストン・ロッドの位置は駆動アセンブリの中心にあってもよい。
【0023】
好ましくは、駆動アセンブリは、開口部を形成する部材を備える。ピストン・ロッドは、開口部内に延びることができる。好ましくは、ピストン・ロッドは開口部において同軸に配置される。好ましくは、抵抗要素は開口部に位置する。
【0024】
薬剤送達デバイスの例示的な一実施形態においては、ピストン・ロッドは、駆動アセンブリの異なる部材のいくつかの開口部内に延びることができる。
【0025】
好ましくは、抵抗要素は、開口部の中に延びるように構成される。
【0026】
それによって、ピストン・ロッドと開口部の縁の間は、抵抗要素によって埋められてもよい。ピストン・ロッドと開口部の縁の間は、抵抗要素がピストン・ロッドに直接接触するように埋められてもよい。
【0027】
好ましくは、抵抗要素は、駆動アセンブリの開口部を形成する部材の一体部材であるように構成される。
【0028】
好ましくは、抵抗要素を含む部材は射出成形される。
【0029】
例示的な一実施形態において、抵抗要素は少なくとも1つの支承部を有してもよい。
【0030】
支承部は、駆動アセンブリの部材の開口部に位置してもよい。支承部は、弾性要素によってピストン・ロッドに及ぼされる力に逆らってピストン・ロッドを支持するように、ひいては、ピストン・ロッドに反力を及ぼすように構成されてもよい。特に、支承部は、弾性要素によってピストン・ロッドに及ぼされる力の方向に少なくとも部分的には対向する方向に、ピストン・ロッドに力を及ぼすことができる。特に、支承部は、弾性要素が1つだけ提供される場合に設けられてもよい。それによって、ピストン・ロッドは、弾性要素および支承部によって均一に負荷を受けてもよい。追加または代替として、支承部は、複数の弾性要素がピストン・ロッドの周りに回転非対称に位置する場合に設けられてもよい。少なくとも1つの支承部は、ピストン・ロッドの半径方向の位置が維持されるように、ピストン・ロッドをある方向に支持することができる。さらに、支承部は、ピストン・ロッドを軸方向に導くことができる。
【0031】
好ましい実施形態においては、駆動アセンブリは、カートリッジ内の薬剤の最大投薬可能量(maximal available amount)よりも多い薬剤の用量の設定を妨げるように構成された用量制限部材を備える。追加または代替として、用量制限部材は、ピストン・ロッドがその終了位置に到達したときに、ピストン・ロッドの遠位方向運動を妨げるように構成されてもよい。
【0032】
例示的な一実施形態においては、開口部を形成する部材は用量制限部材であってもよい。
【0033】
好ましい実施形態においては、抵抗要素は、用量制限部材の一体部材であるように構成される。
【0034】
用量制限部材は開口部を有してもよい。好ましくは、ピストン・ロッドは開口部内に延びる。好ましい実施形態においては、抵抗要素は、抵抗要素が用量制限部材の開口部の中に延びるように、用量制限部材の開口部に位置する。特に、弾性要素は用量制限部材の開口部の中に延びることができる。
【0035】
好ましい実施形態においては、抵抗要素はクランプを含む。
【0036】
クランプは、ピストン・ロッドを固定するように構成されてもよい。好ましくは、クランプは、ピストン・ロッドの妨げられていない運動が妨げられるように、ピストン・ロッドを固定することができる。特に、クランプは、ピストン・ロッドのその開始位置への運動中、ピストン・ロッドに作用する摩擦力の増加をもたらし得る。たとえば、ピストン・ロッドは、いくつかの弾性要素間で固定されてもよい。
【0037】
好ましい実施形態においては、弾性要素は2つの端を有してもよい。例示的な一実施形態において、弾性要素の両端は、駆動アセンブリの部材、特に、駆動アセンブリの開口部を形成する部材に連結されてもよい。この場合、弾性要素の高い機械的安定性が実現できる。
【0038】
さらなる実施形態においては、弾性要素の一端のみが駆動アセンブリの部材に連結され得る。それによって、弾性要素の弾力性を増加させることができる。さらに、大きい値範囲(high range)の公差がカバーできる。特に、ピストン・ロッドと弾性要素の間の公差が補償され得る。さらに、弾性要素の一端のみを部材に連結させることによって、ピストン・ロッドに作用する摩擦力を低減することができる。特に、両端において駆動アセンブリの部材に連結されている弾性要素よりも、ピストン・ロッドに及ぼされる半径方向の力を減少させることができる。
【0039】
一実施形態においては、抵抗要素は蛇行の形状を有してもよい。特に、弾性要素は蛇行の形状を有してもよい。たとえば、弾性要素は波打ってもよい。それによって、高い安定性および高い弾力性の両方が実現できる。
【0040】
さらなる実施形態においては、抵抗要素はアーチの形状を有してもよい。特に、弾性要素はアーチの形状を有してもよい。
【0041】
さらなる実施形態においては、抵抗要素はストレート形状を有してもよい。特に、弾性要素はストレート形状を有してもよい。
【0042】
本開示のさらに別の態様によれば、駆動アセンブリを備える薬剤送達デバイスが提供される。駆動アセンブリは、上記のような任意の構造的特徴および機能的特徴を有してもよい。薬剤送達デバイスは注射デバイスであってもよい。好ましくは、薬剤送達デバイスはペン型のデバイスである。好ましくは、薬剤送達デバイスは、薬剤、特に薬用流体を投薬するように構成される。特に、薬剤はインスリンであってもよい。好ましくは、薬剤送達デバイスは再使用可能なデバイスである。
【0043】
薬剤送達デバイスは、薬剤を含むカートリッジを受けるように構成された薬剤レセプタクルを備えてもよい。
【0044】
好ましい実施形態においては、薬剤送達デバイスは本体を有し、ここで、カートリッジの交換を可能にするためにレセプタクルは本体から取り外し可能であってもよい。特に、使用済みカートリッジを取り外し、新たなカートリッジを挿入することができる。好ましくは、レセプタクルが取り外されるとき、開始位置へのピストン・ロッドの再セットが可能になる。ピストン・ロッドは、新たなカートリッジを保持する薬剤レセプタクルが本体に取り付けられるとき、開始位置にある必要があってもよい。ピストン・ロッドは、カートリッジから薬剤が完全に送達された時点で、終了位置にあってもよい。
【0045】
好ましくは、抵抗要素は、レセプタクルが本体から取り外されているとき、ピストン・ロッドの妨げられていない再セットを阻止するように構成される。特に、抵抗要素は、レセプタクルが本体から取り外されているとき、終了位置から開始位置へのピストン・ロッドの妨げられていない運動を阻止するように構成されてもよい。特に、ピストン・ロッドの偶発的な運動を妨げることができる。一例として、レセプタクルが偶然外れている間、ピストン・ロッドの意図していない運動を妨げることができる。
【0046】
本明細書で使用される「薬剤」という用語は、好ましくは、少なくとも1種の医薬活性化合物(pharmaceutically active compound)を含む医薬製剤を意味し、
一実施形態において、医薬活性化合物は、1500Daまでの分子量を有し、かつ/または、ペプチド、タンパク質、多糖、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の医薬活性化合物の混合物であり、
さらなる実施形態において、医薬活性化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの治療および/または予防に有用であり、
さらなる実施形態において、医薬活性化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の治療および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
さらなる実施形態において、医薬活性化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0047】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaで置き換えられており、B29位においてLysがProで置き換えられてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0048】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリンおよびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0049】
エキセンジン−4は、たとえば、配列H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0050】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下に列挙した化合物から選択される:
H−(Lys)4−des Pro36,des Pro37 エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−des Pro36,des Pro37 エキセンジン−4(1−39)−NH2、
des Pro36 エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14 Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14 Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
des Pro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14 Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14 Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC末端に結合していてもよい);
【0051】
または配列
des Pro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−des Pro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
des Asp28 Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5des Pro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
des Pro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−des Asp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−des Pro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−des Asp28 Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2のエキセンジン−4誘導体;
または前述のエキセンジン−4誘導体のうちのいずれか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【0052】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(Gonadotropine)(フォリトロピン、ルトロピン、絨毛性ゴナドトロピン(Choriongonadotropin)、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine/Somatropin)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、ed.2008、50章に列挙されている脳下垂体ホルモン類または視床下部ホルモン類または調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0053】
多糖類は、たとえば、グルコサミノグルカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはその誘導体、もしくは上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば多硫酸化形態、および/またはその薬学的に許容される塩である。多硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の一例はエノキサパリンナトリウムである。
【0054】
抗体は、同じ基本構造をもつ免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(globular plasma protein)(約150kDa)である。抗体は、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(Ig単位を1つだけ含む)であり;分泌される抗体は、IgAのように2つのIg単位をもつ二量体、硬骨類の魚IgMのように4つのIg単位をもつ四量体、または哺乳動物IgMのように5つのIg単位をもつ五量体であってもよい。
【0055】
Ig単量体は、システイン残基間のジスルフィド結合によって連結された2つの同一の重鎖および2つの同一の軽鎖である4つのポリペプチド鎖からなる「Y」字形の分子である。各重鎖は約440アミノ酸長であり;各軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、それらの折り畳みを安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。各鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインで構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、それらの大きさおよび機能に従って異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。それらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸の間の相互作用によって保持される「サンドイッチ」形状を作る特徴的な免疫グロブリンの折り畳みを有する。
【0056】
α、δ、ε、γ、およびμで表される5種類の哺乳動物Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類は抗体のアイソタイプを定義し;これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM抗体中に見いだされる。
【0057】
別個の重鎖は大きさおよび組成が異なり;αおよびγはおよそ450個のアミノ酸を、δはおよそ500個のアミノ酸を含み、μおよびεはおよそ550個のアミノ酸を有する。各重鎖は2つの領域、すなわち定常領域(CH)および可変領域(VH)を有する。1つの種では、定常領域は同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、αおよびδは、3つのタンデムIgドメインから構成される定常領域、および柔軟性を加えるためのヒンジ領域を有し;重鎖μおよびεは4つの免疫グロブリンドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生される抗体で異なるが、単一のB細胞またはB細胞クローンによって産生されるすべての抗体で同じである。各重鎖の可変領域は約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0058】
哺乳動物には、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖が存在する。軽鎖は、2つの連続するドメインである、1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは211から217アミノ酸長である。各抗体は、常に同一である2つの軽鎖を含み;哺乳動物の抗体1つにつき1種類のみの軽鎖、κまたはλが存在する。
【0059】
すべての抗体の全般的な構造は極めて類似しているが、既に詳述しているように、所与の抗体に固有の特性は可変(V)領域によって決定される。具体的には、軽(VL)鎖および重(VH)鎖にそれぞれ3つある可変ループ(variable loop)が、抗原への結合、すなわちその抗原特異性を担っている。これらのループは相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組み合わせであり、いずれか一方のみではない。
【0060】
既に定義したように、「抗体フラグメント」は、少なくとも1つの抗原結合性フラグメントを含み、フラグメントの由来となる完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定されたタンパク質分解性の消化(proteolytic digestion)によって、Igの原型が3つのフラグメントに切断される。1つのL鎖全体および約半分のH鎖をそれぞれが有する2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合性フラグメント(Fab)である。大きさは類似しているが、鎖間ジスルフィド結合を有する両重鎖のカルボキシル末端側半体を含む第3のフラグメントが、結晶化可能フラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、補体結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定されたペプシン消化によって、両Fab片と、H−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域とを有する単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断されてもよい。さらに、重鎖と軽鎖の可変領域は、融合されて一緒になって、単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することができる。
【0061】
薬学的に許容される塩は、たとえば酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩は、たとえばHCl塩またはHBr塩である。塩基性塩は、たとえば、アルカリ陽イオンまたはアルカリ金属の陽イオンから選択される陽イオン、たとえばNa+、もしくはK+、もしくはCa2+、またはアンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)をもつ塩であり、ここで、R1〜R4は、互いに独立して:水素、場合により置換されているC1〜C6−アルキル基、場合により置換されているC2〜C6−アルケニル基、場合により置換されているC6〜C10−アリール基、または場合により置換されているC6〜C10−ヘテロアリール基を意味する。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、17. ed.Alfonso R. Gennaro(Ed.)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0062】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば水和物である。
【0063】
さらなる特徴、改良および利点は、例示的な実施形態についての以下の説明を図面と併せて参照することで明らかになる。