特許第6261519号(P6261519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261519
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】固定用量薬剤送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20180104BHJP
   A61M 5/32 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   A61M5/315 550X
   A61M5/315 550A
   A61M5/32 500
   A61M5/32 510K
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-559163(P2014-559163)
(86)(22)【出願日】2013年2月25日
(65)【公表番号】特表2015-511847(P2015-511847A)
(43)【公表日】2015年4月23日
(86)【国際出願番号】EP2013053663
(87)【国際公開番号】WO2013127720
(87)【国際公開日】20130906
【審査請求日】2016年2月17日
(31)【優先権主張番号】12157968.4
(32)【優先日】2012年3月2日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ・ダースバッハ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェレーナ・ホフマン
【審査官】 和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/101383(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/095486(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0196339(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/000834(WO,A1)
【文献】 特表2011−509783(JP,A)
【文献】 特開平11−347122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(102)と;
該ハウジング(102)に対して伸長位置と後退位置との間で移動することができる安全スリーブ(106)と;
該ハウジング(102)内に回転可能に配置される案内スリーブ(114)と;
該安全スリーブ(106)内に摺動可能に配置されるプランジャ(110)と;
該ハウジング(102)に連結されるボタン(126)と
を備え、
ここで、該プランジャ(110)は、該安全スリーブ(106)のスロット(140)に係合するように適合されるアーム(142)を含み、
該安全スリーブ(106)が該後退位置にあるとき、該ハウジング(102)に対する該ボタン(126)の並進運動は、該安全スリーブ(106)に対する該案内スリーブ(114)の回転を引き起こし、
該安全スリーブ(106)に対する該案内スリーブ(114)の回転は、該安全スリーブ(106)に対する該プランジャ(110)の所定の軸方向距離の並進運動を可能にする、
薬剤送達デバイス。
【請求項2】
ハウジング(102)内に配置され、内部に摺動可能に配置されるストッパ(202)を含む、薬剤のカートリッジ(200)
をさらに備える、請求項1に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項3】
ハウジング(102)は、針(302)を有するニードルアセンブリ(300)に係合するように適合される、請求項1または2に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項4】
安全スリーブ(106)は、伸長位置にあるとき、針(302)を覆う、請求項3に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項5】
安全スリーブ(106)を伸長位置に向かって付勢する安全スリーブばね(108)をさらに備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項6】
プランジャ(110)をハウジング(102)に対して付勢するプランジャばね(112)
をさらに備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項7】
アーム(142)は、スロット(140)を通って延び、案内スリーブ(114)の階段要素(144)に係合する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項8】
アーム(142)は、案内スリーブ(114)が安全スリーブ(106)に対して回転すると、プランジャばね(112)の付勢力を受けて階段要素(144)の第1の段から第2の段へと移動する、請求項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項9】
ストッパ(202)は、カートリッジ(200)に対して所定の軸方向距離を移動する、請求項2またはに記載の薬剤送達デバイス。
【請求項10】
案内スリーブ(114)は、安全スリーブ(106)が伸長位置にあるとき、安全スリーブ(106)の複数のリブ(134)の1つまたはそれ以上に係合するように適合される少なくとも1つの案内ピン(136)を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項11】
複数のリブ(134)の1つまたはそれ以上は、安全スリーブ(106)が後退位置にあるとき、少なくとも1つの案内ピン(136)から係合解除される、請求項10に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項12】
ボタン(126)は、該ボタン(126)がハウジング(102)に対して並進運動するときに少なくとも1つの案内ピン(136)に係合するように適合される1つまたはそれ以上の突出部(138)を含み、該1つまたはそれ以上の突出部(138)および該少なくとも1つの案内ピン(136)の係合は、案内スリーブ(114)を安全スリーブ(106)に対して回転させる、請求項10に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項13】
安全スリーブ(106)およびハウジング(102)の少なくとも一方に着脱可能に係合するキャップ
をさらに備える、請求項1〜12のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項14】
ボタン(126)をハウジング(102)に対して付勢するボタンばね(130)
をさらに備える、請求項1〜13のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定用量薬剤送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
注射の投与は、使用者および医療従事者にとって、精神的にも肉体的にもいくつかのリスクおよび課題があるプロセスである。
【0003】
注射デバイスは、一般に2つのカテゴリー−手動デバイスおよび自動注射器に分類される。従来の手動デバイスでは、使用者は、針を通して薬剤を送達するのに力を加えなければならない。通常、これは、何らかの形のボタン/プランジャによって行われるが、注射中にそのボタン/プランジャを継続的に押されなければならない。この手法には使用者に多くの不利点がある。たとえば、使用者がボタン/プランジャを押すのを止めると、注射も止まり、患者に所期の用量が送達されなくなる恐れがある。さらに、ボタン/プランジャを押すのに必要な力が、(たとえば、使用者が高齢の場合)使用者にとって大きすぎることがある。そして、注射をしながら注射デバイスを位置合わせし、注射を投与し、注射デバイスを保持するには器用でなければならず、患者(たとえば、高齢の患者、子供、関節炎の患者など)のなかにはその器用さを持ち合わせていない人もいる。
【0004】
自動注射デバイスは、患者に対して自己注射をより簡単にすることを目的とする。従来の自己注射器は、ばねおよびトリガ・ボタンによって注射を投与するための力を加えることができ、またはその他の機構を注射の起動に使用することもできる。自動注射器は、単回使用デバイスまたは再利用可能デバイスであってよい。自動注射器は、カートリッジもしくは充填済みシリンジの中身全部を送達する、単回用量であってよく、またはカートリッジもしくは充填済みシリンジから所定量を送達する、固定用量であってもよい。
【0005】
依然として固定用量自動注射器の改良が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、固定用量薬剤送達デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例示的な一実施形態では、本発明による薬剤送達デバイスは、ハウジングと、ハウジングに対して伸長位置と後退位置との間で移動することができる安全スリーブと、ハウジング内に回転可能に配置される案内スリーブと、安全スリーブ内に摺動可能に配置されるプランジャと、ハウジングに連結されるボタンとを備える。安全スリーブが後退位置にあるとき、ボタンがハウジングに対して並進運動されると、案内スリーブが安全スリーブに対して回転する。案内スリーブが安全スリーブに対して回転すると、プランジャが安全スリーブに対して所定の軸方向距離を並進運動することができる。
【0008】
例示的な一実施形態では、薬剤送達デバイスは、ハウジング内に配置される薬剤のカートリッジをさらに備える。カートリッジは、カートリッジ内に摺動可能に配置されるストッパを含む。
【0009】
例示的な一実施形態では、ハウジングは、針を有するニードルアセンブリに係合するように適合される。安全スリーブは、伸長位置にあるとき、針を覆う。
【0010】
例示的な一実施形態では、薬剤送達デバイスは、安全スリーブを伸長位置に向かって付勢する安全スリーブばねをさらに備える。
【0011】
例示的な一実施形態では、薬剤送達デバイスは、プランジャをハウジングに対して付勢するプランジャばねをさらに備える。
【0012】
例示的な一実施形態では、プランジャは、安全スリーブのスロットに係合するように適合されるアームを含む。アームは、スロットを通って延び、案内スリーブの階段要素に係合する。アームは、案内スリーブが安全スリーブに対して回転すると、プランジャばねの付勢力を受けて第1の段から第2の段へと移動する。ストッパは、カートリッジに対して所定の軸方向距離を移動する。
【0013】
例示的な一実施形態では、案内スリーブは、安全スリーブが伸長位置にあるとき、安全スリーブの複数のリブの1つまたはそれ以上に係合するように適合される少なくとも1つの案内ピンを含む。複数のリブの1つまたはそれ以上は、安全スリーブが後退位置にあるとき、少なくとも1つの案内ピンから係合解除される。ボタンは、ボタンがハウジングに対して並進運動するときに少なくとも1つの案内ピンに係合するように適合される、1つまたはそれ以上の突出部を含む。1つまたはそれ以上の突出部と少なくとも1つの案内ピンが係合すると、案内スリーブが安全スリーブに対して回転する。
【0014】
例示的な一実施形態では、薬剤送達デバイスは、安全スリーブおよびハウジングの少なくとも一方に着脱可能に係合するキャップをさらに備える。
【0015】
例示的な一実施形態では、薬剤送達デバイスは、ボタンをハウジングに対して付勢するボタンばねをさらに備える。
【0016】
本発明のさらなる適用可能範囲は、以下に記載の詳細な説明から明らかになる。しかし、本発明の精神および範囲内の様々な変更形態および修正形態が、この詳細な説明から当業者には明らかになるため、詳細な説明および具体的な例は、本発明の好ましい実施形態を示すものであり、例示のみを目的として記載されていることを理解されたい。
【0017】
本発明は、以下に記載の詳細な説明および添付の図面からより詳しく理解されるものであり、これらの詳細な説明および添付の図面は、例示のみを目的としており、したがって本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】使用前の、本発明による薬剤送達デバイスの例示的な一実施形態の図である。
図2】本発明による薬剤送達デバイスの用量投与(dosing)機構の例示的な一実施形態の図である。
図3】本発明による薬剤送達デバイスの用量投与機構の例示的な一実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
すべての図面を通して、対応する部分には同一の参照記号が付けられている。
【0020】
図1には、本発明による薬剤送達装置100の例示的な一実施形態が示されている。送達デバイス100の例示的な実施形態は、固定用量送達デバイスに関して説明されているが、当業者には、本発明が、これらに限定するものではないが、自動注射器、ペン型注射器、シリンジおよび安全シリンジなどを含むことができると理解されよう。
【0021】
例示的な一実施形態では、送達デバイス100は、薬剤のカートリッジ200を保持するように適合されるハウジング102を備える。例示的な一実施形態では、カートリッジ200は、使い捨てのニードルアセンブリ300に着脱可能に係合するように適合され、したがって、送達デバイス100は、使用済みのニードルアセンブリを新しい滅菌ニードルアセンブリと取り替えることで、カートリッジ200から多数回にわたって用量を送達することができる。他の例示的な実施形態では、送達デバイス100は、一体針または取り外し可能な針(たとえば、ルアー・ロック)が付いた充填済みシリンジを利用することができることが当業者には理解されよう。ハウジング102は、ハウジング102と一体に形成され得る、またはハウジング102に(たとえば、スナップ嵌め、ねじ山、摩擦、溶接または接着などにより)取り付け可能な後部キャップ104を含むことができる。送達デバイス100の内部構成要素の組み付け後、後部キャップ104をハウジング102に連結することができる。
【0022】
カートリッジ200は、ストッパ202を含む従来型のカートリッジであってよい。ストッパ202は、カートリッジ200内に摺動可能に配置され、カートリッジ200に対して並進運動し薬剤を投薬することができる。カートリッジ200は、使い捨てニードルアセンブリ300に着脱可能に係合するように適合されている場合、ニードルアセンブリ300に係合する(たとえば、ねじ山、バヨネット嵌め、スナップ嵌めまたは摩擦嵌めである)連結機構を含むことができる。この例示的な実施形態では、カートリッジ200は、遠位端にセプタムを含むことができる。セプタムは、ニードルアセンブリ300がカートリッジ200に係合されると、ニードルアセンブリ300の近位に向いた先端により穿孔される。
【0023】
例示的な一実施形態では、ハウジング102には、安全スリーブ106が嵌め込み式に連結される。安全スリーブばね108は、安全スリーブ106をハウジング102に対して弾力的に付勢することができる。例示的な一実施形態では、安全スリーブばね108は、後部キャップ104の表面上に近位に基礎が置かれ、さらに安全スリーブ106のレッジ(ledge)上に近位に基礎が置かれる。安全スリーブ106は、ハウジング102に対する伸長位置と後退位置を有する細長い円筒形要素であってよい。図1に示されるように、安全スリーブ106は、伸長位置にあるとき、ニードルアセンブリ300(および、具体的には、ニードルアセンブリから遠位に延びる針302)を覆う。安全スリーブ106が伸長位置にあるときは針302が隠れるので、針刺し損傷を防止することができ、また針による恐怖を和らげることができる。例示的な一実施形態では、安全スリーブ106またはその一部(たとえば、針302を覆う遠位部分)は、不透明、半透明または模様つきなどであってよい。後退位置では、安全スリーブばね108が圧縮され、安全スリーブ106がハウジング102に対して近位方向に並進運動し、針302が露出する。
【0024】
例示的な一実施形態では、安全スリーブ106内にはプランジャ110が摺動可能に配置される。プランジャ110の遠位端は、カートリッジ200内のストッパ202に係合し、プランジャ110の近位部分は、後部キャップ104上に近位に基礎が置かれるプランジャばね112を支持する。プランジャばね112には、プランジャ110をハウジング102に対して遠位方向に付勢するようにプレストレスが加えられ得る。
【0025】
例示的な一実施形態では、安全スリーブ106は、案内スリーブ114内に少なくとも部分的に配置され得る。案内スリーブ114は、安全スリーブ106に対して回転可能であってよい。案内スリーブ114は、突出部120が安全スリーブ106の近位肩部116に当接しさらにハウジング102の近位肩部118にも当接することができることから、安全スリーブ106およびハウジング102に対して並進運動しないようにされ得る。安全スリーブばね108の付勢力によって、突出部120は、近位肩部116と近位肩部118の間で確実に保持され得るようになる。
【0026】
例示的な一実施形態では、ハウジング102に対する安全スリーブ106の並進運動は、安全スリーブ106の遠位肩部122がハウジング102の遠位肩部124に当接することで制限され得る。
【0027】
例示的な一実施形態では、ハウジング102の近位部分にはボタン126が摺動可能に配置される。たとえば、ボタン126は、後部キャップ104を貫通してハウジング102内へと延びることができる。ボタン126の遠位部分は、ボタンばね130を支持するレッジ128を含むことができる。ボタンばね130の反対端部は、ハウジング120の近位肩部118上に基礎が置かれる。ボタンばね130は、ボタン126をハウジング102に対して近位方向に付勢する。ハウジング102に対するボタン126の近位方向の軸方向運動は、ハウジング102に形成されたリブ、または後部キャップ104に形成された当接面132によって制限され得る。
【0028】
例示的な一実施形態では、送達デバイス100は、安全スリーブ106および/またはハウジング102に連結可能な、着脱可能なキャップ(図示せず)を含むことができる。たとえば、このキャップは、ハウジング102に係合し、ハウジング102に対する安全スリーブ106の並進運動を防止することができる。
【0029】
図2、3には、本発明による用量投与機構の例示的な一実施形態が示されている。図2に示されるような例示的な実施形態では、安全スリーブ106の少なくとも一部は、1つまたはそれ以上の軸方向リブ134を有することができる。軸方向リブ134は、安全スリーブ106が伸長位置にあるときに案内スリーブ114の近位端から近位に突出する少なくとも1つの案内ピン136に係合するように適合される。例示的な一実施形態では、リブ134の数は、送達デバイス100によって送達予定の所期の用量投与回数(the number of intended doses)と同じまたはそれよりも多い。案内ピン136が軸方向リブ134に係合すると、案内スリーブ114が安全スリーブ106に対して回転できなくなる。安全スリーブ106が後退位置にあるときは、案内ピン136が軸方向リブ134によって抑制されないので、案内スリーブ114は、安全スリーブ106に対して回転することができる。
【0030】
例示的な一実施形態では、ボタン126は、1つまたはそれ以上の突出部138を含む。突出部138は、ボタン126が押されると、案内ピン136に係合して案内ピン136(および案内スリーブ114)を第1の回転方向に押すように適合される。例示的な一実施形態では、突出部134の数は、送達デバイス100により送達予定の所期の用量投与回数と等しいまたはそれよりも多い。
【0031】
図3に示されるような例示的な実施形態では、安全スリーブ106は、スロット140を含む。プランジャ110の横方向アーム142は、スロット140を通って延び、階段要素144に係合する。一実施形態では、階段要素144は、案内スリーブ114の少なくとも一部に形成された複数の段146を備える。段146は、隣接段が、用量の量に相当する、所定の軸方向距離にオフセットされるように形成され得る。案内スリーブ114が安全スリーブ106に対して回転すると、アーム142(およびプランジャ110)が、プランジャばね112の圧力を受けて隣接段へと前進する。プランジャ110が安全スリーブ106に対して移動すると、薬剤の用量が送達される。
【0032】
使用のとき、注射の前に、キャップを安全スリーブ106および/またはハウジング102から取り外すことができる。例示的な一実施形態では、キャップは、ニードルアセンブリ300に解放可能に係合する把持部分を含むことができる。たとえば、キャップは、未使用のニードルアセンブリ300(および/または未使用のニードルアセンブリのカバー)に係合することができ、未使用のニードルアセンブリ300をハウジング102に連結するのに使用することができる。そして、送達デバイス100を注射部位に配置することができる。送達デバイス100を注射部位に向かって前進させると、安全スリーブ106が伸長位置から後退位置へと動き、針302が注射部位に挿入され得る。用量投与機構は、安全スリーブ106が後退位置につくまで(たとえば、案内ピン136が軸方向リブ134に当接して案内スリーブ114が回転できないので)起動されない。
【0033】
ボタン126を押すと、ボタンの突出部138が案内ピン136に係合し、それによって案内ピン136(および案内スリーブ114)が安全スリーブ106およびハウジング102に対して回転する。当業者には、突出部138および案内ピン136が対応する傾斜面を有し、それによって案内スリーブ114の回転が容易になり、回転を引き起こすのにボタン126に加える必要がある力の大きさが小さくて済むようになることが理解されよう。
【0034】
案内スリーブ114が回転すると、安全スリーブ106に対する案内スリーブ114の回転およびプランジャ110に働くプランジャばね112の付勢力により、アーム142が段146から隣接段へと移動する。プランジャ110が軸方向に並進運動すると、ストッパ202が前進し、それによって薬剤の用量がカートリッジ200から針302を通って注射部位内に押し出される。
【0035】
ボタン126を解放すると、ボタンばね130の付勢力によって、ボタン126がハウジング102に対して近位方向に動かされ、突出部138が案内ピン136から係合解除される。
【0036】
送達デバイス100を注射部位から除去すると、安全スリーブばね108の付勢力によって安全スリーブ106がハウジング102に対して遠位に並進運動し、それによって針302が覆われる。安全スリーブ106が遠位に並進運動すると、軸方向リブ134が案内ピン136と心合わせされ、それによって案内スリーブ114が安全スリーブ106に対して回転できなくなる。
【0037】
例示的な一実施形態では、注射が完了したときおよび/またはカートリッジ200が空になると、フィードバックが提供され得る。たとえば、アーム142が隣接段内へと動いてそれに当接すると、音(たとえば、パチンまたはカチッという音)がするようにしてもよい。さらに、たとえば、階段要素144の最後の段のところのハウジング102に窓(図示せず)を形成してもよく、アーム142が(たとえば、色である)しるしを有することもできる。しるしが窓越しに見えたら、カートリッジ200が空になったというフィードバックが提供され得ることになる。
【0038】
例示的な一実施形態では、安全スリーブ106の遠位端は、図1に示されるように、着脱可能なシールド150を含むことができる。シールド150は、たとえば、ねじ山、バヨネット・カップリング、スナップ嵌め、摩擦嵌めまたはヒンジなどによって安全スリーブ106に連結され得る。ニードルアセンブリ300のハウジング102への取り付けおよび/またはそこからの取り外しのためのハウジング102の遠位端へのアクセスを提供するのにシールド150を取り外すことができる。
【0039】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0040】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0041】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0042】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0043】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0044】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0045】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0046】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0047】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0048】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0049】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0050】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C)と可変領域(V)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0051】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0052】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0053】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0054】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0055】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0056】
本明細書に記載される装置、方法および/またはシステム、ならびに実施形態の様々な構成要素の変更(追加および/または削除)は、そうした変更形態およびそのいかなるすべての均等物を包含する、本発明の完全な範囲および趣旨から逸脱することなく行うことが可能であることが当業者には理解されよう。
図1
図2
図3