(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261543
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】低カロリーチョコレート加工組成物
(51)【国際特許分類】
A23G 1/00 20060101AFI20180104BHJP
A23L 33/20 20160101ALI20180104BHJP
【FI】
A23G1/00
A23L33/20
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-135774(P2015-135774)
(22)【出願日】2015年7月7日
(65)【公開番号】特開2017-12142(P2017-12142A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2016年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森本 友規
【審査官】
市島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−271885(JP,A)
【文献】
特開2006−109762(JP,A)
【文献】
J. Food Nutr. Res.,2014年,Vol.53, No.1,pp.13-21
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 1/00−9/30
CAplus/FSTA/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ココアパウダー、マルチトールおよびカカオバター以外の植物油脂を配合した、組成物全体に対する脂質含量が30質量%以下である組成物において、粒状大豆蛋白加工物が配合され、該粒状大豆蛋白加工物を構成する粒子のうち、50%以上の粒子の最大径が、2〜10mmの範囲に含まれ、
該粒状大豆蛋白加工物の配合量が組成物全量に対して3〜7.5質量%である、
低カロリーチョコレート加工組成物。
【請求項2】
粒状大豆蛋白加工物を構成する粒子のうち、50%以上の粒子の最大径が、2〜7mmの範囲に含まれる請求項1に記載の低カロリーチョコレート加工組成物。
【請求項3】
粒状大豆蛋白加工物の配合量が組成物全量に対して3〜6質量%である請求項1または2の何れか1項に記載の低カロリーチョコレート加工組成物。
【請求項4】
請求項1〜3に記載の低カロリーチョコレート加工組成物の80kcal相当分を、個装充填したチョコレート利用食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、糖アルコール、植物油脂および塊状大豆蛋白加工品を各々配合した低カロリーチョコレート加工組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病患者や肥満治療者のQOLの向上や美容目的のダイエット、糖代謝異常者などの食生活改善など、日常摂取するカロリーを制限することを必要とするニーズを有する人が増加している。一方、チョコレートを素材とする菓子類の嗜好性は極めて高く、飴や和菓子を除くと大半の菓子類にチョコレートが原料として使用されている。しかし、通常、チョコレートはカカオマスに砂糖、カカオバターなどを配合して作られており、糖分と脂肪分の含有量が高い典型的な高カロリー食品であることから、前記のような摂取カロリーの制限を行なっている人は食事量を大きく減らさない限り食べることができない。
【0003】
この課題の解決のため、チョコレートのカロリーを大きく低減させる検討が行なわれており、今までに幾つかの提案がなされている。例えば、甘味料として高純度の結晶化マルチトール等を使用した低カロリーチョコレート(特許文献1)、糖質としてパラチニットを使用しレシチン等を乳化剤として使用した低カロリーチョコレート(特許文献2)、ココアバター、ココアニブ、およびエリスリトールとマルチトールの混合物を配合したチョコレート調合物(特許文献3)、甘味料としてマルチトール、ラクチトールおよびポリデキストロースを使用したダイエット用カロリー低減チョコレート(特許文献4)などが挙げられる。しかし、これらの提案は使用する砂糖を他の代替品に置換させる技術であり、脂質含有量に関しては若干低減させる程度であることから、チョコレート自体のカロリーは依然として比較的高いため、摂取カロリーを制限している場合は少量しか食べることができないことから、満足感を得ることができなかった。このため、さらにカカオマスやココアバターをカカオ以外の植物油脂類に置換し油脂含量を削減することでカロリーを大幅に低減したチョコレート加工品も提案されているが、置換前後の混合油脂の融点などが大きく異なるため、口中に入れた際の口溶け感がチョコレートとは全く異なってしまうため、おいしいチョコレートを食べたという実感(チョコレート感)が得られないという課題点が残っている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−260894号公報
【特許文献2】特開平7−132047号公報
【特許文献3】特開8−242769号公報
【特許文献4】特表2002−534072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決する課題は、カロリー摂取の制限を課せられている人であっても通常より多く食することのできる、おいしいチョコレートを食したという実感(チョコレート感)が得られる低カロリーのチョコレート加工組成物の提供である。詳しくは、カロリーを大幅に低減するために、高カロリーの要因である砂糖やカカオマス、カカオバターを他の原料に置換する従来技術が存在するが、同時にチョコレート感(おいしいチョコレートを食べたという実感)も失われてしまうという課題点がある。特に脂質分をカカオ由来以外の植物油脂に置換し、脂質含量を組成物全体の30質量%以下とした場合、脂質の融点等が大きく異なるため、組成物を口中に入れた後の口中での口溶け感が変化してしまい、チョコレート感が大きく損なってしまう。本願発明は、それらの課題を解決し、カロリー摂食の制限を行なっている人でも食べることができる低カロリーでかつ十分なチョコレート感が得られる低カロリーチョコレート加工組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは、かかる事情に鑑み鋭意検討を重ねた結果、甘味剤として、砂糖を使用せず、少なくともマルチトールを使用し、脂質として、ココアバターの一部若しくは全てをカカオ以外の植物油脂に置換すると共に、組成物全量に対して脂質含量を30質量%以下とし、更に粒状(塊状)の大豆蛋白加工品を配合することで、カロリーを大幅に低減したにもかかわらず十分なチョコレート感が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本願発明は、特に以下の項1〜10に記載の組成物又は食品を提供するものである。
項1.ココアパウダー、マルチトールおよびカカオバター以外の植物油脂を配合した、組成物全体に対する脂質含量が30質量%以下である組成物において、粒状大豆蛋白加工物を配合した低カロリーチョコレート加工組成物。
項2.粒状大豆蛋白加工物を構成する粒子のうち、50%以上の粒子の最大径が、2〜10mmの範囲に含まれる項1に記載の低カロリーチョコレート加工組成物。
項3.粒状大豆蛋白加工物の配合量が組成物全量に対して1〜7.5質量である項1または2の何れか1項に記載の低カロリーチョコレート加工組成物。
項4.項1〜3に記載の低カロリーチョコレート加工組成物の80kcal相当分を、個装充填したチョコレート利用食品。
項5.粒状大豆蛋白加工物を構成する粒子のうち、50%以上の粒子の最大径が、2〜7mmの範囲に含まれる項2に記載の低カロリーチョコレート加工組成物。
項6.粒状大豆蛋白加工物を構成する粒子のうち、50%以上の粒子の最大径が、2〜5mmの範囲に含まれる項5に記載の低カロリーチョコレート加工組成物。
項7.粒状大豆蛋白加工物の配合量が組成物全量に対して3〜6質量である項3に記載の低カロリーチョコレート加工組成物。
項8.単糖類および二糖類を配合しないことを特徴とする項1〜3および項4〜8の何れか1項に記載の低カロリーチョコレート加工組成物。
項9.ココアバターを配合しないことを特徴とする項1〜3および項4〜8の何れか1項に記載の低カロリーチョコレート加工組成物。
項10.ほぼ同じカロリーを有する塊を個装充填した項4に記載のチョコレート利用食品。
【発明の効果】
【0008】
本願発明は、十分なチョコレート感を保持したままでカロリーを大幅に低減した、嗜好性が高い低カロリーチョコレート加工組成物およびそれを利用したチョコレート利用食品を提供することを可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0009】
通常のチョコレートではショ糖が配合される。しかし、本発明においては、ショ糖だけでなく、グルコースやブドウ糖液糖果糖などの単糖類および二糖類を配合せず、その代わりにマルチトールを配合することでカロリーを低減させることを主たる技術的特徴とする。ここにおいて、「配合しない」とは、原料として単糖類および二糖類を配合しないことだけでなく、単糖類および二糖類を構成原料である混合原料も配合しないことを意味する。従って、天然界において単糖類や二糖類が本来含有される原料、例えば、野菜や果物などを配合することは、本願で言う「単糖類および二糖類を配合する」には該当しない。本発明の低カロリーチョコレート加工組成物の甘味剤としては、マルチトールだけでなく高度甘味料も使用でき、必要に応じてマルチトール以外の糖アルコールなども使用できる。使用する高度甘味料は特に限定しない。具体的には、サッカリン、サッカリンナトリウム、アセスルファムカリウム、ステビアエキス、ステビオサイド、スクラロース、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、ソウマチン、アスパルチルフェニルアラニンメチルエステルが挙げられる。これらは単独若しくは組合せて使用する。マルチトールの配合量としては、組成物全量に対して15〜50質量%、好ましくは25〜45質量%、より好ましくは35〜45質量%である。
【0010】
チョコレートに使用されるカカオ由来の原料は、カカオニブ、カカオマス、ココアバター、ココアケーキおよびココアパウダーが存在する。カカオニブとはカカオ豆の胚乳部分を指し、それを粉砕等の処理を行ってカカオマスが作られる。カカオマスには通常約50〜60質量%のココアバターが含有している。カカオマスからココアバターを分離しココアケーキが作られ、ココアケーキを粉砕することによりココアパウダーが作られる。ココアケーキやココアパウダーに含まれるココアバターの含有量は、カカオマスから分離するココアバター量により様々な原料が存在する。これらの原料はチョコレートの風味を構成する原料であるため、チョコレートには必須の原料である。本願では何れの原料も使用することができるが、チョコレートのカロリーを大幅に低減させるためにはカカオ由来の原料の配合量は削減する必要がある。特に、ココアバターは、油脂含量が極めて高く、単位量あたりのカロリーも高いことから、本発明の低カロリーチョコレート加工組成物においては配合しないことが好ましい。ココアバターの配合量を大幅に削減する場合は、組成物のチョコレート感を低減させることから、ココアバターの削減量より少ない量のカカオ由来以外の植物油脂を配合することが好ましい。また、カカオマスも過半量が脂質分であることから、本発明の低カロリーチョコレート加工組成物においては配合量を大幅に削減することが好ましい。カカオマスはチョコレート本来の風味を構成する重要な原料であるため、カカオマスを大幅に削減する場合はココアパウダー(場合によってはカカオケーキ)とカカオ由来以外の植物油脂を配合することが好ましい。本願の低カロリーチョコレート加工組成物における脂質分の含有量は30質量%以下であり、カカオ由来の植物油脂を配合する場合は前記の範囲内で行なう。また、ココアパウダーを配合する場合はカカオマスの削減量に左右されるが、通常、10〜40質量%、好ましくは15−35質量%、より好ましくは15〜30質量%、最も好ましくは、17〜27質量%配合する。
【0011】
カロリーを低減させるためココアバターやカカオマスなどを削減した場合は、組成物中の油脂量の低減するため、チョコレート感が損なわれる。そのため、カカオ由来の植物油脂を配合する。本願で用いるカカオ以外の植物油脂としては特に限定されない。例えば、大豆油、ナタネ油、コメ油、ヤシ油、パーム核油、パーム油、サフラワー油、トウモロコシ油、綿実油、ゴマ油、落花生油、オリーブ油、ヒマワリ油、マカデミアナッツ油、アーモンド油などが挙げられる。これらは単独で配合することができるが、複数の植物油脂を配合することが好ましい。配合する植物油脂の選択においては、低カロリーチョコレート加工組成物の食感だけでなく、配合する植物油脂が有する香気の活用の有無などを考慮して行なう。本発明の低カロリーチョコレート加工組成物においては組成物全体に対する脂質含量を30質量%以下とする。好ましくは28質量%、最も好ましくは26質量%以下である。脂質含量を低くすれば組成物自体のカロリーを低減できるが、チョコレート感が失われる恐れが高いため、特に限定するものではないが、少なくとも20質量%以上、好ましくは23質量%以上、最も好ましくは24質量%以上である。ここにおいて油脂含量とは、「栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について(平成11年4月26日付衛新第13号新開発食品保健対策室長通知)」に示されている測定方法を用いて得られる組成物中の脂質量を意味する。
【0012】
本発明の低カロリーチョコレート加工組成物はカロリー低減のためにカカオ由来の油脂を極力削減し、カカオ以外の植物油脂に置換すると共に組成物中における含有量も低減させる。加えて、ショ糖に代表される単糖類や二糖類を配合せず、その代わりにマルチトールを配合する。油脂はチョコレートを口中に入れた時の口溶け感を大きく左右し、甘味剤はチョコレートの香味を大きく左右することから、ココアバターやショ糖などを他の原料に置換しても損なわれたチョコレート感を満足に回復させることができない。本願発明においては、粒状大豆蛋白加工物を配合することで解決する。特に、特定の大きさの粒状の大豆蛋白加工物を配合すると、クランチチョコのような食感を組成物に与え、消費者がその食感を楽しむために積極的に咀嚼する。また、粒状蛋白質加工物を配合することにより、咀嚼時における油脂分の口中への分散が促進され、口溶け感や香味の口中への広がり感が大幅に向上する。これら、咀嚼時の食感、口溶け感や口中における香味の広がり感の向上は組成部のチョコレート感を大幅に改善し、かつ嗜好性も向上させる。
【0013】
本願において、粒状大豆蛋白加工物とは、脱脂大豆や脱脂大豆の蛋白質量を高めた濃縮大豆蛋白を、例えば1軸若しくは2軸のエキストルーダーを用いて圧縮成型したうえで、さらに塊状に加工したものを意味する。組成的には、大豆蛋白、おから分、ホエー分を主成分として含有するものが食感改善の観点から望ましいが、ホエー分やおから分、若しくはその両方を除いた組成でも使用することができる。大豆蛋白加工品としては、粒状(塊状)のほかに紡糸状、粉状、筋肉状が存在するが、これらの形状は効果を得ることができないため、好ましくない。粒状(塊状)とは、定形もしくは不定形を問わない。少なくとも過半数の粒子が、1mm以上の最小径と、1〜10mmの最大径を有する粒子の集合体を意味する。ここにおける長さの測定は、粒子が乾燥した状態において行なう。乾燥した検体を、通常の室内環境(建築物環境衛生管理基準に定める室内温湿度である17〜28℃、40〜70RH%)において測定してもよいが、厳密には、5〜10gを採り、60℃に設定した送風式の乾燥機で1時間乾燥させた後に、20℃、50〜65RH%の間に温度湿度が制御された環境下で測定する。長さの測定方法は公知の方法を用いることができる。粒子の測定は少なくとも100個以上実施し、判断する。最小径が1mm以下の場合、咀嚼時の粒感(固形物を噛み砕く感触)が得られず、10mmを越えると咀嚼時に異物感が発生したり、摂食後口中に残留する感触が発生するなどの課題が生じるため好ましくない。粒状大豆蛋白加工物の大きさは効果に影響を与える。心地よい咀嚼感覚と摂食時に口中に広がるチョコレート感覚などが優れる大きさは、粒子の過半数の最大径が2〜7mmの範囲に存在する場合であり、より好ましくは2〜5mm、最も好ましくは2〜4mmである。低カロリーチョコレート加工組成物における含有量は、2〜8質量%が好ましく、3〜7.5質量%がより好ましく、4〜6質量%が最も好ましい。2質量%未満や8質量%を越えると、十分な咀嚼時の感覚や口溶け感の改善効果が得られない可能性があるため好ましくない。
【0014】
本発明の低カロリーチョコレート加工組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、公知の食品原料を配合することができる。特に、健康志向の食品として使用することができるため、例えば、乾燥野菜、不飽和脂肪酸を豊富に含有するナッツ類、植物抽出物、植物由来の配糖体やアグリコンなどを配合しても良い。また、本発明の低カロリーチョコレート加工組成物を活用した商品の対象者は、糖尿病患者でカロリー制限を課せられている場合も考えられるため、糖尿病の食事療法で用いる「1単位」(80kcal分の量)を個包装とした食品形態、より好ましくは「1単位」分の低カロリーチョコレート加工組成物を数個の定形体に成型し個包装した食品形態にすると、更に細かい摂取カロリーのコントロールが可能となるため、更に好ましい。
【実施例】
【0015】
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。なお、以下特に断りのない限り「%」は「質量%」を示す。
【0016】
摂食時の食感評価
表1に示した組成物を常法に従い調製し、専門パネル5名の官能評価で行なった。評価項目は、咀嚼時の感覚、咀嚼時の広がり感、残留感、チョコレート感の5項目で行なった。具体的には、咀嚼時の感覚とは、咀嚼したときの歯ざわり感を評価し、咀嚼時の広がり感とは、咀嚼時の口中における溶解感や味の広がり方を評価し、残留感とは、摂食後に口中に感じる残留感を評価し、チョコレート感とは、どの程度チョコレートを摂食した印象を受けるかを評価した。評価は通常のチョコレートと同等の感覚を7、完全に別の感覚である場合を1として、7段階の絶対評価とした。総合評価は全ての評価点の合計点の比較で行なった。評価に供した粒状大豆蛋白加工物は何れも大豆蛋白質、大豆ホエーおよびおから分を主成分とした混合物であり、粒状大豆蛋白加工物Aは50%以上の粒子の最大径が2〜4mmの範囲に存在し、粒状大豆蛋白加工物Bは50%以上の粒子の最大径が4〜7mmの範囲に存在し、粒状大豆蛋白加工物Cは50%以上の粒子の最大径が6〜10mmの範囲に存在した。粉状大豆蛋白加工物は全ての粒子が1mm未満の大きさであった。植物油脂は、ナタネ油やパーム油など数種の植物油脂にレシチンを添加し、混合した混合植物油であった。得られた結果を表1に示した。
【0017】
【表1】
【0018】
図1に示したとおり、50%以上の粒子の最大径が2〜10mmの範囲に存在した粒状大豆蛋白加工物は良好な結果を示したが、全ての粒子径が1mm未満であった粉状大豆蛋白加工物は効果が全く得られないことが分かった。さらには50%以上の粒子の最大径が2〜4若しくは4〜7mmの範囲に存在していた粒状大豆蛋白加工物AおよびBは、50%以上の粒子の最大径が4〜10mmの範囲に存在した粒状大豆蛋白加工物Cに比べよりすぐれた効果を示し、さらに、50%以上の粒子の最大径が2〜4mmの範囲に存在する粒状大豆蛋白加工物Aは50%以上の粒子の最大径が4〜7mmの範囲に存在する粒状大豆蛋白加工物Bよりも優れた効果が得られることが分かった。また、粒状大豆蛋白加工物の配合量においては、少なくとも3〜7.5質量%の範囲において本願効果が得られることがわかった。
【0019】
嗜好性評価
成人50名に対して、表1の実施例5の処方(処方B)と実施例5の処方から粒状大豆蛋白質Aを削除した処方(処方A)の比較評価を行なった。評価項目は、食べたときの食感、口溶けの良さ、後味の良さ、味の好みの4つで、AとBの評価を相対比較した結果を5段階で表した。得られた結果は表2に示した。各評価の累積人数を求め、次に加重点を乗じて小計を求め、最後に小計を和して合計点を求めた。
【0020】
【表2】
【0021】
表2に示したとおり、全ての項目において粒状大豆蛋白質Aを5質量%配合した処方B(表1の実施例5の処方)は、粒状大豆蛋白質Aを配合しない処方Bに比較して極めて良好な評価を得た。特に食感と口溶けの良さの項目における評価が高かった。
【0022】
処方例
以下、本発明の低カロリーチョコレート加工組成物の処方例を示すが、これらの処方に限定されるものではない。なお、以下の配合量はいずれも「質量%」を示す。
【0023】
処方例1 チョコレート
成分 配合量
カカオマス 15
植物油脂混合物A 20
マルチトール 35
ココアパウダー 10
粒状大豆蛋白加工物D 4
香料 適量
難消化性デキストリン 残部
合 計 100
植物油脂混合物A 大豆油、ナタネ油、コメ油とレシチンの混合物
粒状大豆蛋白加工物D 50%以上の粒子の最大径が2〜5mmの範囲に存在する粒状大豆蛋白加工物
【0024】
処方例2 チョコレート
成分 配合量
カカオマス 5
植物油脂混合物B 25
マルチトール 40
ココアパウダー 15
粒状大豆蛋白加工物A 6
香料 適量
イヌリン 残部
合 計 100
植物油脂混合物B ナタネ油、パーム油、コメ油とレシチンの混合物
【0025】
処方例3 チョコレート
成分 配合量
カカオマス 10
植物油脂混合物C 10
マルチトール 45
ココアパウダー 10
粒状大豆蛋白加工物E 3
アーモンド破砕物 2
ポリデキストロース 残部
合 計 100
植物油脂混合物C パーム油、コメ油、ナタネ油とレシチンの混合物
粒状大豆蛋白加工物E 50%以上の粒子の最大径が3〜6mmの範囲に存在する粒状大豆蛋白加工物
【0026】
処方例4 チョコレート
成分 配合量
植物油脂混合物D 25
マルチトール 40
ココアパウダー 25
粒状大豆蛋白加工物A 5
乾燥果実破砕物 1
ポリデキストロース 残部
合 計 100
植物油脂混合物D パーム油、コメ油、コーン油とレシチンの混合物