(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コンクリート構造物の表面に、下塗り塗膜、繊維シート及び上塗り塗膜を備える積層体を形成させて、コンクリート構造物からのコンクリートの剥落を防止する方法であって、
刷毛塗装又はローラー塗装により、水系下塗り塗料でコンクリート構造物の表面を塗装し、下塗り塗膜を形成させる第1の工程であって、前記水系下塗り塗料が、エポキシ樹脂、硬化剤及び体質顔料を含む2液反応硬化型塗料であり、該水系下塗り塗料中における体質顔料の含有量が0.1〜10質量%の範囲内にあり、該水系下塗り塗料中における水の含有量が15〜70質量%である第1の工程と、
下塗り塗膜上に繊維シートを配置させる第2の工程と、
下塗り塗膜及び繊維シートを覆うように水系上塗り塗料による塗装を行い、上塗り塗膜を形成させる第3の工程を含み、
前記積層体は、波長360〜750nmの可視光透過率が30%以上であり、
前記水系下塗り塗料は、ずり速度0.1(1/s)における粘度が1〜1000(Pa・s、23℃)であり、ずり速度1000(1/s)における粘度が0.05〜10(Pa・s、23℃)であることを特徴とする方法。
【背景技術】
【0002】
高架橋、トンネル、橋梁やその他の構造物は、その強度や耐久性を向上させる必要性から、コンクリート製の構造物が広く用いられている。しかしながら、近年では、コンクリートの塩害による鉄筋の腐食や排ガス等による中性化、アルカリ骨材反応、ひび割れに浸入した水分の凍結等により、コンクリートが劣化し、劣化が進行するとコンクリート構造物の表面からコンクリート片が剥がれ落ち、コンクリート構造物自体の強度低下や美観の低下、剥落による事故の危険性等の課題が発生している。
【0003】
特開2011−99209号公報(特許文献1)は、コンクリート構造物に対して剥落防止性能を付与すると共に、環境に優しく、火災時には有毒ガスの発生が殆ど無いコンクリート剥落防止工法を記載しており、具体的には、接着用ポリマーセメントモルタル及びメッシュ状シートでコンクリート構造物表面を被覆し、その上から水系塗料で被覆することを特徴とするコンクリート剥落防止工法を記載している。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のコンクリート剥落防止工法においては、コンクリート構造物の表面をポリマーセメントモルタルで被覆するため、コンクリート構造物の表面の状態の変化を目視で確認することが困難になる。
【0005】
また、特開2006−342538号公報(特許文献2)は、コンクリート構造物表面に下塗り樹脂を塗布し、該塗布面に繊維基材を被着し、該繊維基材表面に上塗り樹脂を塗布するコンクリート構造物の補修方法であって、繊維基材の種類を選ばずに、補修後も目視でコンクリート構造物の変状の進行あるいは新たに発生した劣化、変状を確認することができるコンクリート構造物の補修方法を記載する。しかしながら、特許文献2に記載の補修方法では、下塗り樹脂と上塗り樹脂の粘度を調整することを特徴としており、環境への負荷については検討されておらず、また、実際には、下塗り樹脂及び上塗り樹脂としてアクリル系接着剤が使用されている。
【0006】
特開2007−247290号公報(特許文献3)は、コンクリートの表面に、プライマー層(A)、主材層(B)、コンクリート剥落防止用シート(C)、主材層(B)及び上塗り塗膜層(D)を順次積層するコンクリート剥落防止表面被覆工法を記載する。しかしながら、特許文献3に記載のコンクリート剥落防止表面被覆工法では、主材層の形成に水性ポリウレタン塗料が使用されている。
【0007】
特開2010−1707号公報(特許文献4)は、コンクリート構造物表面に、透明ポリウレタン樹脂溶液を塗り付け、ガラス連続繊維シートを貼着し、更に透明ポリウレタン樹脂溶液を塗り付けるコンクリート構造物表明の強化コーティング方法であって、コンクリート構造物の素地の表面状態を外部から目視で確認することができる強化コーティング方法を記載する。しかしながら、特許文献4に記載の強化コーティング方法において、実際には、その一部で有機溶剤系の塗布剤が使用されており、環境への負荷が大きい。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明のコンクリート剥落防止工法を詳細に説明する。本発明のコンクリート剥落防止工法は、コンクリート構造物の表面に、下塗り塗膜、繊維シート及び上塗り塗膜を備える積層体を形成させて、コンクリート構造物からのコンクリートの剥落を防止する方法であって、刷毛塗装又はローラー塗装により、水系下塗り塗料でコンクリート構造物の表面を塗装し、下塗り塗膜を形成させる第1の工程であって、前記水系下塗り塗料が、エポキシ樹脂、硬化剤及び体質顔料を含む2液反応硬化型塗料であり、該水系下塗り塗料中における体質顔料の含有量が0.1〜10質量%の範囲内にある第1の工程と、下塗り塗膜上に繊維シートを配置させる第2の工程と、下塗り塗膜及び繊維シートを覆うように水系上塗り塗料による塗装を行い、上塗り塗膜を形成させる第3の工程とを含み、前記積層体は、波長360〜750nmの可視光透過率が30%以上であることを特徴とする。
【0020】
本発明のコンクリート剥落防止工法は、コンクリート構造物の表面に、下塗り塗膜、繊維シート及び上塗り塗膜を備える積層体を形成させて、コンクリート構造物からのコンクリートの剥落を防止する方法であるが、かかる積層体は、後述する第1の工程、第2の工程及び第3の工程を経て得られるため、波長360〜750nmの可視光透過率を30%以上とすることができ、積層体の外側から内側に位置するコンクリート表面の変状を目視で十分に確認することができる。
【0021】
本発明のコンクリート剥落防止工法において、上記積層体は、波長360〜750nmの可視光透過率が30%以上であり、その上限は100%であるが、60〜95%であることが好ましい。上記可視光透過率は、可視領域(360nm〜750nm)における全光線透過率を意味し、積層体の全光線透過率をJIS K 7375に基づき測定することで求められる。上述したように、積層体の波長360〜750nmの可視光透過率が30%以上であれば、コンクリート表面の変状を目視で確認することができる。
【0022】
本発明のコンクリート剥落防止工法においては、まず、刷毛塗装又はローラー塗装により、水系下塗り塗料でコンクリート構造物の表面を塗装し、下塗り塗膜を形成させる(下塗り塗膜形成工程又は第1の工程)。
【0023】
上記コンクリート構造物は、コンクリートを単体で利用した構造物や鉄筋コンクリートを利用した構造物であり、その具体例としては、高架橋、橋梁、橋脚、橋台、桁、床版、高欄、ドルフィン、トンネル、道路、導水路、貯蔵槽、壁、屋根、バルコニー等の各種コンクリート構造物やその部材等が挙げられる。
【0024】
上記水系下塗り塗料は、エポキシ樹脂、硬化剤及び体質顔料を含む2液反応硬化型塗料であり、該水系下塗り塗料中における体質顔料の含有量が0.1〜10質量%の範囲内にある。エポキシ樹脂は、コンクリート構造物に対する塗膜の密着性を確保する観点から、下塗り塗膜を構成する樹脂成分として好適であるが、エポキシ樹脂を含む従来の2液反応硬化型水系塗料では刷毛塗装又はローラー塗装により厚膜を形成することが困難であった。しかしながら、本発明に用いる水系下塗り塗料によれば、水系下塗り塗料中における体質顔料の含有量を0.1〜10質量%の範囲内にすることで、刷毛塗装やローラー塗装により可視性の良好な厚膜の形成が可能となり、これにより、積層体を構成するすべての塗膜を水系塗料から形成可能であり且つコンクリート表面の変状を目視で確認できるコンクリート剥落防止工法を提供することができる。
【0025】
上記水系下塗り塗料は、2液反応硬化型塗料であるが、本発明における2液反応硬化型塗料とは、塗装時にエポキシ樹脂を含む主剤と硬化剤とを混合することで使用されるものであり、常温乾燥型の塗料として容易に使用可能である。このため、既に建設されたコンクリート構造物への塗装までを考慮すると、2液反応硬化型塗料は好適である。なお、ここでいう「常温」とは5〜35℃である。
【0026】
上記水系下塗り塗料に用いるエポキシ樹脂としては、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する樹脂であることが好ましく、例えば、多価アルコール又は多価フェノールとハロヒドリンとを反応させて得られるものであり、具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリグリコール型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ化油、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル及びネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、塗膜の耐久性やコンクリート構造物に対する付着性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。なお、これらエポキシ樹脂は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
また、上記エポキシ樹脂は、塗膜の仕上がり性や硬化性の観点から、通常、エポキシ当量は100〜1,000g/eqが好ましく、160〜980g/eqがより好ましく、160〜550g/eqが更に好ましい。エポキシ当量が100g/eq未満では、十分な塗膜物性が得られないおそれがあり、一方でエポキシ当量が1,000g/eqより大きい場合には、レベリング性が低下し、均一な塗膜が得られないおそれがある。
【0028】
上記エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂エマルジョン又はエポキシ樹脂ディスパージョンの形態で配合されるのが好ましい。なお、本発明において、エポキシ樹脂エマルジョンとは、エポキシ樹脂が水等の水性媒体中で分散してなる乳濁液を意味し、エポキシ樹脂ディスパージョンとは、エポキシ樹脂が水等の水性媒体中で分散してなる分散液を意味する。上記エポキシ樹脂エマルジョンは、特に制限されないが、通常の強制乳化方式(乳化剤及び高速攪拌機等を使用する方式)によって、水等の水性媒体中でエポキシ樹脂を乳化させることにより調製される。ここで、乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル系ノニオン界面活性剤、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体等のポリエーテル類、或いは該ノニオン界面活性剤及び該ポリエーテル類の少なくとも一方とジイソシアネート化合物との付加物等が挙げられる。なお、これら乳化剤は、1種単独でも、2種以上のブレンドとして用いてもよい。また、エポキシ樹脂エマルジョンの市販品としては、例えば、エポルジョンEA1、2、3、7、12、20、55及びHD2(ヘンケルジャパン社製);ユカレジンKE−002、KE−116、E−1022、KE−301C(吉村油化学社製);アデカレジンEM−101−50(アデカ社製);jER−W3435R67、W1155R55(三菱化学社製)等が挙げられる。一方、エポキシ樹脂ディスパージョンの市販品としては、例えば、Beckpox EP2381(オルネクス社製);EPI−REZ6530−WH−53(モメンティブ社製)等が挙げられる。
【0029】
上記水系下塗り塗料に用いる硬化剤は、エポキシ樹脂の硬化剤である限り特に限定されるものではないが、アミン化合物が好ましく、1分子中に2個以上のアミノ基を含有し、分子量120以上のポリアミン化合物が更に好ましい。上記ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、トリアミノプロパン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イソホロンジアミン、及び1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂肪族ポリアミン;フェニレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、及びジアミノジフエニルメタン等の芳香族ポリアミン;ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、トリエチレングリコールジアミン、及びトリプロピレングリコールジアミン等の他のポリアミン化合物と、これらポリアミン化合物のアミノ基を変性してなる変性ポリアミン化合物とが挙げられる。なお、上記ポリアミン化合物の変性には、既知の方法が利用でき、変性反応の例としては、アミノ基のアミド化、アミノ基とカルボニル化合物のマンニッヒ反応、アミノ基とエポキシ基の付加反応等が挙げられる。ここで、アミノ基にエポキシ基等が付加したタイプの変性ポリアミン化合物をアダクトタイプの変性ポリアミン化合物といい、アミノ基にエポキシ基が付加したエポキシアダクトタイプの変性ポリアミン化合物が好ましい。なお、これらアミン化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
上記アミン化合物は、アミン化合物のエマルジョン、アミン化合物のディスパージョン又はアミン化合物の水溶液の形態で配合されるのが好ましい。なお、本発明において、アミン化合物のエマルジョンとは、アミン化合物が水等の水性媒体中で分散してなる乳濁液を意味し、アミン化合物のディスパージョンとは、アミン化合物が水等の水性媒体中で分散してなる分散液を意味する。なお、上記アミン化合物としては、エマルジョン、ディスパージョン又は水溶液の形態で入手可能な市販品を好適に使用できる。
【0031】
上記水系下塗り塗料において、硬化剤がアミン化合物である場合、該硬化剤の配合割合は、塗膜の硬化性の観点から、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して、アミン化合物の活性水素が、0.5〜3.0当量であることが好ましく、0.6〜1.5当量であることが更に好ましい。なお、上記水系下塗り塗料中において、エポキシ樹脂と硬化剤の合計含有量は、10〜80質量%であることが好ましく、30〜50質量%であることが更に好ましい。
【0032】
尚、上記水系下塗り塗料には、反応に寄与しないアクリル樹脂エマルジョン等をブレンドして併用することが可能であり、これにより耐候性、耐水性がより向上する。水系下塗り塗料の樹脂をブレンドする際には、硬化膜の透明性を確保するため、樹脂同士の相溶性が優れていることが好ましい。
【0033】
上記水系下塗り塗料に用いる体質顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、水和アルミナ、マグネシア、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、ウォラストナイト、セラミック粉末、ガラス繊維粉末等が挙げられるが、工業的に入手し易く且つ塗膜の可視光透過性を確保する観点から、シリカが特に好ましい。なお、これら体質顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
体質顔料は、通常、エポキシ樹脂を含む主剤に配合されるが、硬化剤と併用することも可能である。上記水系下塗り塗料中において、体質顔料の含有量は0.1〜10質量%の範囲内にあるが、3〜6質量%であることが好ましい。上記体質顔料の含有量が0.1質量%未満では、刷毛塗装やローラー塗装による厚膜の形成が困難になり、一方、該体質顔料の含有量が10質量%を超えると、コンクリート表面の変状を目視で確認することが困難になる。
【0035】
上記水系下塗り塗料は、水を主溶媒として含み、環境への負荷が小さい。水は、通常、エポキシ樹脂を含む主剤と硬化剤の両方に使用されるが、硬化剤は、水と併用せずに単独で使用される場合もある。上記水系下塗り塗料中において、水の含有量は、15〜70質量%であることが好ましく、30〜50質量%であることが更に好ましい。上記水系下塗り塗料中における水の含有量が15質量%未満であると塗料の調製が困難になり、一方、70質量%を超えると、厚膜塗装することが困難になる。
【0036】
上記水系下塗り塗料は、更に、揺変剤を含むことが好ましい。揺変剤は、塗料に揺変性を与え、垂れを防止することができ、厚膜塗装の観点から好ましい。揺変剤としては、例えば、アルミニウムステアレートやジンクステアレート等の金属石鹸の他、ベントナイト、アクリルオリゴマー、アマイドワックス、酸化ポリエチレン等が挙げられる。揺変剤は、通常、エポキシ樹脂を含む主剤に配合されるが、硬化剤と併用することも可能である。なお、これら揺変剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。上記水系下塗り塗料中において、揺変剤の含有量は、0.01〜5質量%の範囲内にあることが好ましく、0.5〜3質量%であることが更に好ましい。ここで、上記揺変剤の含有量が0.01質量%以上であれば、塗料の垂れを効果的に防止できる。一方、上記揺変剤の含有量が5質量%を超えると、コンクリート表面の変状を目視で確認することが困難になる。
【0037】
上記水系下塗り塗料は、更に、紫外線吸収性化合物及びヒンダードアミン化合物の少なくとも一方を含むことが好ましい。上記水系下塗り塗料に紫外線吸収性化合物又はヒンダードアミン化合物を配合することで、塗膜の耐候性を向上させることができ、経年におけるコンクリート基材の変状を目視確認し易くなる。紫外線吸収性化合物及びヒンダードアミン化合物は、通常、エポキシ樹脂を含む主剤に配合されるが、硬化剤と併用することも可能である。上記水系下塗り塗料中において、紫外線吸収性化合物とヒンダードアミン化合物の合計含有量は、0.05〜10質量%であることが好ましい。紫外線吸収性化合物とヒンダードアミン化合物の合計含有量が上記特定した範囲内にあれば、塗膜の可視性を損なわずに耐候性の付与が可能である。
【0038】
紫外線吸収性化合物としては、例えば、トリアジン系化合物、マロン酸エステル系化合物、シュウ酸アニリド系化合物等を挙げることができる。トリアジン系化合物としては、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4−[6(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと2−[4−[6(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンの混合物、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−iso−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等を挙げることができる。マロン酸エステル系化合物としては、例えば、2−(p−メトキシベンジリデン)マロン酸ジメチル、テトラエチル−2,2−(1,4−フェニレンジメチリデン)ビスマロネート、2−(p−メトキシベンジリデン)−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル4−ピペリジニル)マロネート等が挙げられる。シュウ酸アニリド系化合物としては、2−メチル−2’−エトキシオキサルアニリド、2−エチル−2’−エトキシオキサルアニリド、4,4’−ジオクチルオキシオキサルアニリド、2,2’−ジエトキシオキサルアニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−第三ブトキサルアニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−第三ブトキサルアニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサルアミド、2−エトキシ−5−第三ブチル−2’−エトキサルアニリド及びその2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−第三ブトキサルアニリドとの混合物、o−及びp−メトキシ−二置換オキサルアニリドの混合物及びo−及びp−エトキシ−二置換オキサルアニリドの混合物等を挙げることができる。なお、これら紫外線吸収性化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
ヒンダードアミン化合物とは、N原子に隣接する炭素原子には水素原子がないピペリジン環を有する化合物であり、光安定剤として使用できる。このようなピペリジン環としては、N原子に隣接する炭素原子にメチル基が結合している2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環を挙げることができる。これらヒンダードアミン化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、市販品を好適に使用できる。
【0040】
上記水系下塗り塗料には、防錆剤、分散剤、消泡剤、脱水剤、レベリング剤、沈降防止剤、防藻剤、防カビ剤、防腐剤等の各種添加剤を必要に応じて適宜配合してもよい。なお、添加剤には有機溶剤が使用されている場合もあるが、本発明に使用される水系塗料中においては、環境への負荷を抑える観点から、有機溶剤の含有量が10質量%未満であることが好ましい。
【0041】
上記水系下塗り塗料は、エポキシ樹脂と硬化剤とを分けて保存されており、塗装直前にこれらを混合して調製される。エポキシ樹脂は、通常、体質顔料及び水の他、必要に応じて適宜選択される各種成分と組み合わせて保存されており、これを主剤と称する。また、硬化剤も、通常、水や必要に応じて適宜選択される各種成分と組み合わせて保存されており、これを硬化剤混合物と称する。上記水系下塗り塗料の粘度を調整するため、上記主剤と、硬化剤混合物とを混合した後に、水を更に加えてもよい。
【0042】
上記水系下塗り塗料は、ずり速度0.1(1/s)における粘度が1〜1000(Pa・s、23℃)であり、ずり速度1000(1/s)における粘度が0.05〜10(Pa・s、23℃)であることが好ましい。上述の特定した範囲内に粘度を調整することにより、塗装作業性を向上させることができる。なお、0.1(1/s)と1000(1/s)の2つのずり速度を基準にして粘度を規定した理由は、0.1(1/s)のずり速度での粘度が塗装直後の塗料の粘度の指標となり、1000(1/s)のずり速度での粘度が刷毛塗装又はローラー塗装時の塗料の粘度の指標となり、この塗装時から塗装直後の塗料の粘性がタレ性およびレベリング性に相関しているからである。なお、本発明において、粘度は、TAインスツルメンツ社製レオメーターARESを用い、液温を23℃に調整した後に測定される。
【0043】
上記下塗り塗膜形成工程において、塗装方法は、刷毛塗装又はローラー塗装であるが、大規模な構造物を塗装する観点から、圧送刷毛や圧送ローラー等の塗装手段を利用することもできる。本発明のコンクリート剥落防止工法によれば、1回の刷毛塗装又はローラー塗装によって膜厚が100μm以上の可視性の良好な下塗り塗膜を形成することができる。
【0044】
上記下塗り塗膜形成工程によって得られる下塗り塗膜は、その乾燥膜厚が100〜600μmであることが好ましい。本発明において、塗膜の乾燥膜厚とは、23℃、50%相対湿度の条件にて24時間乾燥した後の膜厚を指す。
【0045】
本発明のコンクリート剥落防止工法においては、次に、上記第1の工程により形成された下塗り塗膜上に繊維シートを配置させる(第2の工程)。ここで、繊維シートは、上記水系下塗り塗料の硬化が完了する前に塗膜上に置くことが好ましい。これにより、繊維シートを下塗り塗膜上に貼り付けることができる。
【0046】
上記繊維シートは、通常のコンクリート剥落防止工法に使用されるシートの形状で使用できる。例えば、繊維シートは格子状であり、この場合、繊維シートの厚さは0.1〜3mmであることが好ましく、目合いは一辺が0.1〜20mmであることが好ましい。剥落防止性能においてシートの引張強度は、150(N/5cm)以上が好ましい。上記繊維シートとしては、例えば、ガラス繊維、ビニロン繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリパラフェニレン繊維、ポリアリレート繊維、アラミド繊維、炭素繊維等の繊維で構成されるシートが挙げられるが、剥落防止効果と可視性の観点からガラス繊維シートが特に好ましい。
【0047】
本発明のコンクリート剥落防止工法においては、次に、下塗り塗膜及び繊維シートを覆うように水系上塗り塗料による塗装を行い、上塗り塗膜を形成させる(上塗り塗膜形成工程又は第3の工程)。
【0048】
上記水系上塗り塗料は、水を主溶媒として含む塗料である限り各種塗料が利用可能であるが、上記水系下塗り塗料の硬化が完了する前に、繊維シートの貼り付けと、上塗り塗料の塗装までを終わらせる観点から、上記水系上塗り塗料は、エポキシ樹脂及び硬化剤を含む2液反応硬化型塗料であることが好ましい。これにより、施工全体を短時間で完了させることができる。なお、上記水系上塗り塗料は、上記水系下塗り塗料の説明において記載した理由と同じ理由から、体質顔料、揺変剤、紫外線吸収性化合物及びヒンダードアミン化合物を含むことが好ましく、上記水系下塗り塗料の説明において記載した塗料を水系上塗り塗料として好適に使用することができる。
【0049】
なお、上記上塗り塗膜は、異なる複数の水系上塗り塗料により形成されてもよい。例えば、2種類の水系上塗り塗料を用いる場合、上塗り塗膜は、下塗り塗膜及び繊維シートを覆うように形成される第1層と、該第1層上に形成される第2層とから構成される。このため、第1層には、下塗り塗膜や繊維シートとの関係から好ましい塗料を選択でき、また、第2層には、最表層を形成するための塗料として好ましい塗料を選択することができる。
【0050】
上記上塗り塗膜形成工程において、塗装方法は、特に限定されず、既知の塗装手段、例えば、刷毛塗装、ローラー塗装、コテ塗装、ヘラ塗装、スプレー塗装等が利用できるが、既に建設されたコンクリート構造物への塗装までを考慮すると、刷毛塗装やローラー塗装が好適である。
【0051】
上記上塗り塗膜形成工程によって得られる上塗り塗膜は、その乾燥膜厚が30〜600μmであることが好ましい。本発明において、塗膜の乾燥膜厚とは、23℃、50%相対湿度の条件にて24時間乾燥した後の膜厚を指す。
【0052】
本発明のコンクリート剥落防止工法によれば、積層体を構成するすべての塗膜(具体的には下塗り塗膜及び上塗り塗膜)を水系塗料から形成可能であり、環境への負荷が低い。このため、本発明は、作業者への有機溶剤中毒防止の観点からも好ましい健康で安全なコンクリート剥落防止工法であり、更には、都市部や繁華街のような人が多く集まる地域で施工しても臭気の問題も発生しない。また、積層体を構成するすべての塗膜を水系塗料から形成可能であれば、火災が発生しても延焼等の二次災害に至らない。
【0053】
本発明のコンクリート剥落防止工法において、上記積層体は、厚さが200〜1500μmの範囲内であることが好ましく、300〜1500μmの範囲内であることがより好ましい。
【実施例】
【0054】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0055】
表1〜2に示す配合処方に従い、主剤1〜16及び硬化剤混合物1〜4を調製した。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
(注1)Beckpox EP2381(オルネクス社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂エマルジョン、固形分55質量%、エポキシ当量500g/eq(固形分))
(注2)エポルジョンEA55(日本NSC社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂エマルジョン、固形分55質量%、エポキシ当量495g/eq(固形分))
(注3)jER W3435R67(三菱化学社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂ディスパージョン、固形分67質量%、エポキシ当量273g/eq(固形分))
(注4)AEROSIL R972(日本アエロジル社製疎水性フォームドシリカ)
(注5)サイリシア350(フジシリシア社製微粉末シリカ、平均粒子径3.9μm)
(注6)MC−K(丸尾カルシウム社製炭酸カルシウム、平均粒子径0.05μm)
(注7)バリファインBF−20(堺化学社製硫酸バリウム、平均粒子径0.03μm)
(注8)チクゾールW−502(共栄社製ポリアクリル酸系揺変剤の水分散液、揺変剤含有量:21質量%)
(注9)チヌビン400(BASF社製、ヒドロキシフェニルトリアジン(HPT)系紫外線吸収剤)
(注10)フジキュアーFXS−918−FA(T&K TOKA社製、アミノ基にエポキシ基が付加したエポキシアダクトタイプの変性ポリアミン化合物の水分散液、固形分60質量%)
(注11)EK8545−W52(モメンティブ社製、ポリアミンのアミノ基をアミド化して得られる変性ポリアミドアミンの水分散液、固形分52質量%)
なお、表1及び表2中、加熱残分とは、主剤又は硬化剤混合物を150℃で60分間加熱した際に残存する成分を指す。
【0059】
(実施例1〜19及び比較例1〜2)
表3に示す配合処方に従う塗料を下塗り塗料として用意し、各種試験を行った。結果を表3に示す。なお、上塗り塗料を用いる場合は、実施例18を除き、下塗り塗料と同一の塗料を上塗り塗料として用いた。実施例18の上塗り塗料は、DNTビューウレタンクリヤー(大日本塗料製、1液反応型水系ウレタン樹脂塗料、クリヤー塗料)であり、下塗り塗料と異なる塗料であるため、上塗り塗料による塗装は、繊維シートを配置してから下塗り塗膜を24時間養生した後に行った。また、比較例1では、膜厚が100μmの塗膜を形成する場合、複数回塗り重ねを行った。
【0060】
<塗装作業性>
コンクリート基材の水平な表面を塗料で塗装し、下記の基準に従って塗装作業性を評価した。なお、塗装作業性は、刷毛とローラーの両方の場合で評価した。
◎:300μm以上の均一な塗膜を1回の塗装で容易に形成できる。
○:100μm以上であるが300μm未満の均一な塗膜を1回の塗装で容易に形成できる。
×1:膜厚が薄くなり、1回の塗装で100μm以上の均一な塗膜を形成できない。
×2:部分的に厚膜形成できるものの、塗装ムラが大きく、均一な塗膜を形成できない。
【0061】
<タレ限界>
刷毛により塗料でポリプロピレン板(厚み150mm、幅70mm)の垂直面を塗装し、タレが生じた時点で塗装を完了した。その後、塗膜を温度23℃相対湿度50%で168時間乾燥させ、ポリプロピレン板の上端から20mm下方に位置する塗膜の厚みをタレ限界として評価した。なお、膜厚は、塗膜をポリプロピレン板から剥がし、ノギスを用いて測定した。
【0062】
<可視光透過率>
刷毛により、膜厚が100μmとなるように、塗料でポリプロピレン板を塗装して下塗り塗膜を形成させ、次いで以下に記載の繊維シートを配置させ、次いで、刷毛により、膜厚が100μmとなるように、塗料で下塗り塗膜及び繊維シートを塗装して上塗り塗膜を形成させた。その後、積層体を温度35℃相対湿度90%で168時間乾燥させ、ポリプロピレン板から剥がした。積層体から50mm×50mmの試験片を切り出した。サカタインクス株式会社製マクベス分光光度計CE−3100を用いて、JIS K 7375に基づき、該試験片の全光線透過率を測定した。具体的には、360nm〜750nmまで10nm置きに全光線透過率を測定し、得られた40データの合計を、データ数で割った値を可視光透過率とした。
なお、繊維シートは、実施例1〜18及び比較例1〜2が、ガラスクレネット G44126[倉敷紡績株式会社製、引張強度、縦:480、横:420((N/5cm(糸本数、縦:20本、横:15本))、厚み:0.20(mm)]であり、実施例19がポリエステルクレネット E4500[倉敷紡績株式会社製、引張強度、縦:800、横:860((N/5cm)(糸本数、縦:5本、横:5本))、厚み:0.26(mm)]である。
【0063】
<基材可視性>
刷毛により、100μm以上の均一な塗膜を1回の塗装で容易に形成できるもの(実施例1〜19及び比較例2)は膜厚が100μmとなるように、100μm以上の均一な塗膜を1回の塗装で形成できないもの(比較例1)は1回の塗装のたれ限界膜厚(40μm)になるように塗料でコンクリート基材を塗装して下塗り塗膜を形成させ、次いで以下に記載の繊維シートを配置させ、次いで、刷毛により、下塗りの塗装と同様に上塗り塗膜を形成させた。その後、積層体を温度35℃相対湿度90%で168時間乾燥させ、積層体の上からコンクリート基材を目視で観察し、下記の基準に従って評価を行った。
なお、繊維シートは、実施例1〜18及び比較例1〜2が、ガラスクレネット G44126[倉敷紡績株式会社製、引張強度、縦:480、横:420((N/5cm(糸本数、縦:20本、横:15本))、厚み:0.20(mm)]であり、実施例19がポリエステルクレネット E4500[倉敷紡績株式会社製、引張強度、縦:800、横:860((N/5cm)(糸本数、縦:5本、横:5本))、厚み:0.26(mm)]である。
◎:基材表面を鮮明に確認できる。
〇:鮮明ではないものの基材表面を確認することが出来る。
×:基材表面を確認することが出来ない。
【0064】
<剥落防止性能>
刷毛により、100μm以上の均一な塗膜を1回の塗装で容易に形成できるもの(実施例1〜19及び比較例2)は膜厚が100μmとなるように、100μm以上の均一な塗膜を1回の塗装で形成できないもの(比較例1)は1回の塗装のたれ限界膜厚(40μm)になるように塗料でコンクリート基材を塗装して下塗り塗膜を形成させ、次いで以下に記載の繊維シートを配置させ、次いで、刷毛により、膜厚が100μm(実施例1〜17、19及び比較例2)、40μm(比較例1)又は30μm(実施例18)となるように、塗料で下塗り塗膜及び繊維シートを塗装して上塗り塗膜を形成させ、その後、積層体を温度35℃相対湿度90%で168時間乾燥させた。
なお、コンクリート基材としては、JIS A 5372:2004(プレキャスト鉄筋コンクリート製品)に規定するU形ふた、呼び名1種(400×600×60mm)を用いた。
また、繊維シートは、実施例1〜18及び比較例1〜2が、ガラスクレネット G44126[倉敷紡績株式会社製、引張強度、縦:480、横:420((N/5cm(糸本数、縦:20本、横:15本))、厚み:0.20(mm)]であり、実施例19がポリエステルクレネット E4500[倉敷紡績株式会社製、引張強度、縦:800、横:860((N/5cm)(糸本数、縦:5本、横:5本))、厚み:0.26(mm)]である。
次いで、積層体を備えるコンクリート基材に対して、「首都高速道路株式会社 橋梁構造物設計要領 コンクリート片剥落防止編 平成18年8月版」に準拠して剥落防止性能試験を行い、下記基準に従い評価した。
・耐荷性
〇:φ10cmあたりの押抜き荷重0.3kN以上。
×:φ10cmあたりの押抜き荷重0.3kN未満。
【0065】
<付着性試験>
コンクリート基材の種類及び積層体の乾燥条件以外は、<剥落防止性能>と同様に、積層体を形成させた。コンクリート基材としては、寸法20×70×70mmのモルタル片を用いた。乾燥条件としては、23℃及び5℃の恒温室(湿度50%RH)にて、それぞれ7日間、30日間養生を行った。次いで、積層体を備えるコンクリート基材に対して、建研式付着力試験機を用いた剥離試験を行い、剥離時の数値を下記基準により評価した。
〇:1.5N/mm
2以上。
×:1.5N/mm
2未満。
【0066】
<耐久性(耐候性)試験>
刷毛により、膜厚が100μmとなるように、塗料でコンクリート基材を塗装して下塗り塗膜を形成させ、次いで以下に記載の繊維シートを配置させ、次いで、刷毛により、膜厚が100μmとなるように、塗料で下塗り塗膜及び繊維シートを塗装して上塗り塗膜を形成させた。その後、積層体を温度35℃相対湿度90%で168時間乾燥させ、試験板を作製した。得られた試験板に、岩崎電気社製EYE SUPER UV TESTER SUV−W23を用いて400時間の照射試験を行った。照射後の試験板に対して、積層体の上からコンクリート基材を目視で観察し、下記基準により評価を行った。
なお、繊維シートは、実施例1〜3、7〜14、16〜18及び比較例1が、ガラスクレネット G44126[倉敷紡績株式会社製、引張強度、縦:480 横:420(N/5cm(糸本数、縦:20本、横:15本))、厚み:0.20(mm)]であり、実施例19がポリエステルクレネット E4400[倉敷紡績株式会社製、引張強度、縦:320 横:350(N/5cm(糸本数、縦:10本、横:10本))、厚み:0.26(mm)]である。
◎:基材表面を鮮明に確認できる。
〇:鮮明ではないものの基材表面を確認することが出来る。
△:塗膜が黄変したものの基材表面を確認することが出来る。
×:基材表面を確認することが出来ない。
【0067】
<粘度>
塗料の液温を23℃に調整した後、TAインスツルメンツ社製レオメーターARESを用い、ずり速度0.1s
−1及び1,000s
−1の粘度(Pa・s)を測定した。
【0068】
【表3】