特許第6261577号(P6261577)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6261577無線通信装置、無線通信方法、および無線通信制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261577
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】無線通信装置、無線通信方法、および無線通信制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 84/20 20090101AFI20180104BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20180104BHJP
   H04W 8/22 20090101ALI20180104BHJP
【FI】
   H04W84/20
   H04W84/12
   H04W8/22
【請求項の数】5
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-522488(P2015-522488)
(86)(22)【出願日】2014年4月28日
(86)【国際出願番号】JP2014002367
(87)【国際公開番号】WO2014203441
(87)【国際公開日】20141224
【審査請求日】2016年11月11日
(31)【優先権主張番号】特願2013-127592(P2013-127592)
(32)【優先日】2013年6月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】中 健
(72)【発明者】
【氏名】浦部 嘉夫
【審査官】 伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−258619(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/014834(WO,A1)
【文献】 特開2011−135166(JP,A)
【文献】 特開2010−068021(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0044208(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
WiGigを用いた通信を行う無線通信装置であって、
対応している接続方法と複数のロールへの対応の可否とを示す前記無線通信装置の第1の能力情報を記憶する記憶部と、
前記無線通信装置の接続相手であり、第3の無線通信装置をステーションとして接続している第2の無線通信装置から、前記対応している接続方法と前記複数のロールへの対応の可否とを示す前記第2の無線通信装置の第2の能力情報と、前記対応している接続方法と前記複数のロールへの対応の可否とを示す前記第3の無線通信装置の第3の能力情報と、を取得する能力情報取得部と、
前記第1の能力情報、前記第2の能力情報及び前記第3の能力情報に基づいて、前記無線通信装置と前記第2の無線通信装置と前記第3の無線通信装置とを接続する場合のそれぞれのロールを判断する接続方法判断部と、
を具備する、無線通信装置。
【請求項2】
前記第2の無線通信装置と前記第3の無線通信装置との間の接続済の通信路が利用中であるか否かを示す利用状況情報を取得する利用状況情報取得部をさらに具備し、
前記接続方法判断部は、
前記利用状況情報、前記第1の能力情報、前記第2の能力情報、および前記第3の能力情報に基づいて、前記無線通信装置と前記第2の無線通信装置と前記第3の無線通信装置とを接続する場合のそれぞれのロールを判断する、
請求項記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記接続方法判断部は、
ユーザが所望する接続を示す情報に基づいて前記判断を行う、
請求項1記載の無線通信装置。
【請求項4】
WiGigを用いた通信を行う無線通信方法であって、
対応している接続方法と複数のロールへの対応の可否とを示す無線通信装置の第1の能力情報を記憶するステップと、
前記無線通信装置の接続相手であり、第3の無線通信装置をステーションとして接続している第2の無線通信装置から、前記対応している接続方法と前記複数のロールへの対応の可否とを示す前記第2の無線通信装置の第2の能力情報と、前記対応している接続方法と前記複数のロールへの対応の可否とを示す前記第3の無線通信装置の第3の能力情報と、を取得するステップと、
前記第1の能力情報、前記第2の能力情報及び前記第3の能力情報に基づいて、前記無線通信装置と前記第2の無線通信装置と前記第3の無線通信装置とを接続する場合のそれぞれのロールを判断するステップと、
を有する、無線通信方法。
【請求項5】
WiGigを用いた通信を行う装置のコンピュータに実行させる無線通信制御プログラムであって、
対応している接続方法と複数のロールへの対応の可否とを示す第1の無線通信装置の第1の能力情報を記憶する処理と、
前記第1の無線通信装置の接続相手であり、第3の無線通信装置をステーションとして接続している第2の無線通信装置から、前記対応している接続方法と前記複数のロールへの対応の可否とを示す前記第2の無線通信装置の第2の能力情報と、前記対応している接続方法と前記複数のロールへの対応の可否とを示す前記第3の無線通信装置の第3の能力情報と、を取得する処理と、
前記第1の能力情報、前記第2の能力情報及び前記第3の能力情報に基づいて、前記第1の無線通信装置と前記第2の無線通信装置と前記第1の無線通信装置とを接続する場合のそれぞれのロールを判断する処理と、
を実行させる、無線通信制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他の無線通信装置との間で無線通信を行う、無線通信装置、無線通信方法、および無線通信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信装置は、他の無線通信装置との間でWi−Fiを用いた通信(以下、「Wi−Fi通信」という)を行う際、予め交換した認証鍵に基づいて認証を行う。この例として、特許文献1には、ステーション(Station:以下、STAという)とアクセスポイント(Access Point:以下、APという)との間で行われるWPA(Wi-Fi Protected Access)が開示されている。「STA」および「AP」は、無線通信装置のロール(役割)である。
【0003】
このWPAは、非特許文献1に示される無線通信の標準規格であるWiGig(Wireless Gigabit)にも適用可能である。すなわち、無線通信装置は、他の無線通信装置との間でWPAを行うことで、WiGigを用いた通信(以下、「WiGig通信」という)を行うことができる。WiGig通信は、ミリ波に属する60GHzの電波帯が使用され、Wi−Fi通信に比べ、より大容量のデータをより高速に通信できる。
【0004】
WiGigは、以下の特徴を有する。WiGigにおいて、無線通信装置のロールは、「STA」、および、APと同様の役割を持つ「PCP(Personal basic service set Central Point)」であるが、これらはWi−Fiのように固定されない。さらに、無線通信装置は、複数のロールの動作を同時に実行できる(以下、「マルチロール」という)。また、WiGigでは、同じPCPに接続しているSTA同士が直接接続する(以下、「STA−STA接続」という)こともできる。「マルチロール」および「STA−STA接続」は、無線通信装置が有する無線通信能力の一例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第8036639号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】IEEE Std 802.11ad−2012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、WPAはPCPとSTAの接続を行う認証方法である。そのため、WPAがWiGigに適用された場合、無線通信装置が上述した無線通信能力(例えば、マルチロール、STA−STA接続)を有しているにも関わらず、常にPCPとSTAの接続となってしまう、という課題がある。
【0008】
本発明の目的は、WiGig通信において、無線通信装置の無線通信能力を考慮した適切な接続を行うことができる無線通信装置、無線通信方法、および無線通信制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る無線通信装置は、WiGigを用いた通信を行う無線通信装置であって、対応している接続方法と複数のロールへの対応の可否とを示す前記無線通信装置の第1の能力情報を記憶する記憶部と、前記無線通信装置の接続相手であり、第3の無線通信装置をステーションとして接続している第2の無線通信装置から、前記対応している接続方法と前記複数のロールへの対応の可否とを示す前記第2の無線通信装置の第2の能力情報と、前記対応している接続方法と前記複数のロールへの対応の可否とを示す前記第3の無線通信装置の第3の能力情報と、を取得する能力情報取得部と、前記第1の能力情報、前記第2の能力情報及び前記第3の能力情報に基づいて、前記無線通信装置と前記第2の無線通信装置と前記第3の無線通信装置とを接続する場合のそれぞれのロールを判断する接続方法判断部と、を具備する構成を採る。
【0010】
本発明の一態様に係る無線通信方法は、WiGigを用いた通信を行う無線通信方法であって、対応している接続方法と複数のロールへの対応の可否とを示す無線通信装置の第1の能力情報を記憶するステップと、前記無線通信装置の接続相手であり、第3の無線通信装置をステーションとして接続している第2の無線通信装置から、前記対応している接続方法と前記複数のロールへの対応の可否とを示す前記第2の無線通信装置の第2の能力情報と、前記対応している接続方法と前記複数のロールへの対応の可否とを示す前記第3の無線通信装置の第3の能力情報と、を取得するステップと、前記第1の能力情報、前記第2の能力情報及び前記第3の能力情報に基づいて、前記無線通信装置と前記第2の無線通信装置と前記第3の無線通信装置とを接続する場合のそれぞれのロールを判断するステップと、を有する。
【0011】
本発明の一態様に係る無線通信制御プログラムは、WiGigを用いた通信を行う装置のコンピュータに実行させる無線通信制御プログラムであって、対応している接続方法と複数のロールへの対応の可否とを示す第1の無線通信装置の第1の能力情報を記憶する処理と、前記第1の無線通信装置の接続相手であり、第3の無線通信装置をステーションとして接続している第2の無線通信装置から、前記対応している接続方法と前記複数のロールへの対応の可否とを示す前記第2の無線通信装置の第2の能力情報と、前記対応している接続方法と前記複数のロールへの対応の可否とを示す前記第3の無線通信装置の第3の能力情報と、を取得する処理と、前記第1の能力情報、前記第2の能力情報及び前記第3の能力情報に基づいて、前記第1の無線通信装置と前記第2の無線通信装置と前記第1の無線通信装置とを接続する場合のそれぞれのロールを判断する処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、WiGig通信において、無線通信装置の無線通信能力を考慮した適切な接続を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態に係る無線通信装置の構成例を示すブロック図
図2】本実施の形態に係る無線通信装置が扱う装置情報および利用状況情報の構成例を示す図
図3】本実施の形態に係る通信システムの動作例を示すシーケンスチャート
図4】本実施の形態に係る無線通信装置の接続パターンの例を示す図
図5】本実施の形態に係る無線通信装置の接続パターンの例を示す図
図6】本実施の形態に係るソフトウェアを用いた構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
<無線通信装置100の構成>
まず、本発明の実施の形態に係る無線通信装置の構成例について、図1を参照して説明する。図1は、本実施の形態の無線通信装置100の構成例を示す図である。
【0016】
図1において、無線通信装置100は、操作部10、表示部11、通信部12、記憶部13、および演算部14を有する。
【0017】
操作部10は、例えば、キーボード、マウス、ハードウェアのボタン、タッチパネルなどの、ユーザの操作を受け付ける入力用デバイスである。
【0018】
表示部11は、例えば、液晶ディスプレイなどの表示用デバイスである。
【0019】
通信部12は、無線通信装置100と他の無線通信装置(例えば、後述する無線通信装置200)との間で、WiGig通信を実現するためのインターフェースである。また、通信部12は、無線通信装置100と他の無線通信装置との間で、WPA(WPA2も含む)を実現するためのインターフェースでもある。WPA2とは、Wi−Fiアライアンスが定めた無線LANの暗号化方式の規格であり、WPAより強力な暗号に対応している。
【0020】
記憶部13は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体である。記憶部13は、オペレーティングシステムおよびアプリケーションなどのソフトウェア、ならびに、パラメータとしての各種情報を記憶している。なお、上記ソフトウェアは、演算部14の作業用メモリにロードされ、CPU(Central Processing Unit)で演算処理されることで、起動、動作する。
【0021】
また、記憶部13は、装置情報131、設定情報132、および利用状況情報133を記憶する。
【0022】
装置情報131は、無線通信装置100を識別可能な固有の情報(以下、「識別情報」という)、および、無線通信装置100の無線通信能力を示す情報(以下、「能力情報」という)を含む。識別情報は、例えば、MACアドレス、SSID等である。能力情報は、例えば、WiGigで定められたCapability情報である。
【0023】
装置情報131は、例えば、ユーザが無線設定用アプリケーションを起動してパラメータごとに値を入力することで作成され、記憶部13に保存される。または、装置情報131は、例えば、無線デバイスのドライバまたはミドルウェアなどのソフトウェアをインストールすることで、記憶部13に保存される。
【0024】
ここで、装置情報131に含まれる能力情報の一例について説明する。図2Aは、装置情報131に含まれる能力情報の一例を示す図である。なお、図2Aでは、無線通信装置100の識別情報の図示は省略している。図2Aに示すように、能力情報は、「マルチロール」および「接続方法」という2つのパラメータを含む。
【0025】
「マルチロール」には、無線通信装置100はマルチロール(同時に複数のロールで動作すること)が可能であるか否かが記載される。すなわち、無線通信装置100がマルチロールを可能とする場合、「マルチロール」には「可能」が記載され、無線通信装置100がマルチロールを不可能とする場合、「マルチロール」には「不可能」が記載される。
【0026】
「接続方法」には、無線通信装置100が接続可能な方法が記載される。すなわち、無線通信装置100がPCPとSTAの接続(以下、「PCP−STA接続」という)が可能である場合、「接続方法」には「PCP−STA」が記載される。また、無線通信装置100がSTA−STA接続が可能である場合、「接続方法」には「STA−STA」が記載される。図2Aの例では、「PCP−STA」および「STA−STA」が記載されているので、無線通信装置100は、PCP−STA接続およびSTA−STA接続の両方を可能とする。
【0027】
設定情報132は、WPAを実行するための認証鍵の情報である。この設定情報132は、例えば、無線通信装置100と他の無線通信装置との接続過程において、WPS(Wi-Fi Protected Setup)が実行されることで作成される。なお、設定情報に含まれる各種パラメータは、公知であるので、それらの説明は省略する。
【0028】
利用状況情報133は、無線通信装置100と他の無線通信装置との間で確立された通信路(リンク)に関する情報である。この利用状況情報133は、無線通信装置100が他の無線通信装置と接続したときに生成され、記憶部13に保存される。この利用状況情報133は、接続後も、データ通信が一定期間あるか、無いかを判定し更新される。このとき、無線通信装置100と他の無線通信装置は、同じ内容の利用状況情報を保有することになる。一方で、無線通信装置100が他の無線通信装置と全く接続していない場合、利用状況情報は生成されないので、記憶部13に利用状況情報133は存在しない。
【0029】
ここで、利用状況情報133の一例について説明する。図2Bは、利用状況情報133の一例を示す図である。図2Bに示すように、利用状況情報133は、「接続済通信路」および「利用状況」という2つのパラメータを含む。
【0030】
「接続済通信路」には、接続済である通信路(以下、「接続済通信路」という)が記載される。図2Bの例では、無線通信装置100と無線通信装置200(他の無線通信装置の一例。詳細は後述)とが接続済であるとして、「装置100−装置200」が記載されている。
【0031】
「利用状況」には、接続済通信路が利用中であるか否かが記載される。すなわち、接続済通信路が利用中である場合、「利用状況」には「利用中」が記載され、接続済通信路が利用中ではない場合、「利用状況」には「利用していない」が記載される。なお、「接続済通信路が利用中」とは、接続済通信路がデータの送受信(例えば、ファイル転送または映像ストリーミング)に使用されている状態であること、をいう。
【0032】
演算部14は、例えば、電源、マザーボード、CPU、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)などの記録媒体、およびRAM(Random Access Memory)などの作業用メモリなどで構成される。
【0033】
そして、演算部14は、接続開始部141、機器探索部142、能力情報取得部143、利用状況情報取得部144、接続方法判断部145、および接続制御部146を有する。これら各部の機能は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。各部の詳細は後述する。
【0034】
なお、演算部14は、SoC(System on a Chip)のように、1つの半導体チップ上に集積した集積回路で構成してもよい。その場合、演算部14の各部は、個別に1チップ化してもよいし、複数で1チップ化してもよい。集積回路は、集積度の違いにより、LSI(Large Scale Integration)、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、またはウルトラLSI等とすることができる。また、集積回路は、専用回路または汎用プロセッサにより実現するものであってもよい。また、集積回路は、その製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、または、内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なコンフィギュラブル・プロセッサとしてもよい。さらに、演算部14の各部は、半導体技術の進歩または派生する別技術に応じて、LSIに置き換わる他の集積回路化の技術(例えばバイオ技術)により集積化されたものにより実現してもよい。
【0035】
以下、演算部14が備える各部について、それぞれ説明する。
【0036】
接続開始部141は、操作部10が接続開始要求操作を受け付けた場合、記憶部13から装置情報131および設定情報132を読み出す。そして、接続開始部141は、装置情報131を機器探索部142へ出力し、設定情報132を接続制御部146へ出力する。接続開始要求操作とは、他の無線通信装置との接続の開始を要求する操作である。ここでいう接続とは、無線通信装置100と他の無線通信装置とをWiGig通信可能にする接続である。
【0037】
機器探索部142は、接続開始部141から装置情報131を入力すると、周辺に存在する他の無線通信装置(「機器」ともいう)の探索を開始する。
【0038】
すなわち、機器探索部142は、装置情報131に含まれる無線通信装置100の識別情報を含むフレームを生成する。ここでのフレームは、例えば、探索用ビーコン、Probe Requestなど(探索用信号の一例)である。
【0039】
次に、機器探索部142は、生成した探索用ビーコン、Probe Requestを、通信部12を介して、他の無線通信装置へ送信する。また、機器探索部142は、他の無線通信装置が生成した探索用ビーコン、Probe Responseを、通信部12を介して受信する。なお、機器探索部142が受信する探索用ビーコンおよびProbe Responseは、無線通信装置200の識別情報を含む。
【0040】
そして、機器探索部142は、他の無線通信装置の探索に成功すると、その無線通信装置(以下、「探索装置」という)に対して、通信部12を介して開始通知を送信する。開始通知とは、これから接続方法の判断を開始する旨を他の無線通信装置へ通知する情報である。開始通知の送信には、例えばProbe Requestが使用される。なお、以下同様に、Probeの代わりに、Information RequestとInformation Responseを使用してもよい。
【0041】
また、機器探索部142は、探索装置から開始通知を受信すると、それに対するレスポンスメッセージを返信する。このレスポンスメッセージの送信には、例えばProbe Responseが使用される。その後、機器探索部142は、記憶部13の利用状況情報133に基づいて、無線通信装置100が探索装置以外の他の無線通信装置と接続済であるかを確認する。確認の結果、接続済の無線通信装置(以下、「接続済装置」という)があれば、その接続済装置に対して、機器探索部142は、通信部12を介して開始通知を送信する。
【0042】
なお、機器探索部142は、上述した探索を実行していない場合で、接続済装置から開始通知を受信した場合、それに対するレスポンスメッセージを返信する。
【0043】
そして、機器探索部142は、他の無線通信装置(探索装置または接続済装置のいずれか)から開始通知を受信すると、能力情報取得部143へ能力情報取得指示を出力する。能力情報取得指示とは、他の無線通信装置の能力情報を取得するように能力情報取得部143へ指示する情報である。
【0044】
能力情報取得部143は、機器探索部142から能力情報取得指示を入力すると、通信部12を介して、他の無線通信装置(探索装置および/または接続済装置)へ能力情報要求を送信する。能力情報要求とは、他の無線通信装置の能力情報を要求する情報である。能力情報要求の送信には、例えばProbe Requestが使用される。
【0045】
能力情報取得部143は、探索装置から能力情報要求を受信した場合、記憶部13から装置情報131を読み出して能力情報を抽出し、その能力情報を探索装置へ送信する。さらに、能力情報取得部143は、無線通信装置100に接続済装置があれば、その接続済装置から当該接続済装置の能力情報を取得し、その能力情報を探索装置へ送信する。能力情報の送信には、例えばProbe Responseが使用される。
【0046】
能力情報取得部143は、接続済装置から能力情報要求を受信した場合、記憶部13から装置情報131を読み出して能力情報を抽出し、その能力情報を接続済装置へ送信する。さらに、能力情報取得部143は、無線通信装置100に探索装置があれば、その探索装置から当該探索装置の能力情報を取得し、その能力情報を接続済装置へ送信する。能力情報の送信には、例えばProbe Responseが使用される。
【0047】
そして、能力情報取得部143は、通信部12を介して、能力情報要求の送信先から能力情報を受信(取得)すると、受信した能力情報と、抽出した能力情報とを接続方法判断部145へ出力する。なお、ここでいう「受信した能力情報」は、以下「取得能力情報」という。また、ここでいう「抽出した能力情報」は、以下「保有能力情報」という。取得能力情報は、他の無線通信装置(探索装置および接続済装置)の能力情報である。保有能力情報は、無線通信装置100の能力情報である。
【0048】
次に、能力情報取得部143は、利用状況情報取得部144へ利用状況情報取得指示を出力する。利用状況情報取得指示とは、他の無線通信装置の利用状況情報を取得するように利用状況情報取得部144へ指示する情報である。
【0049】
利用状況情報取得部144は、能力情報取得部143から利用状況情報取得指示を入力すると、通信部12を介して、他の無線通信装置(探索装置)へ利用状況情報要求を送信する。利用状況情報要求とは、他の無線通信装置の利用状況情報を要求する情報である。利用状況情報の送信には、例えばProbe Requestが使用される。なお、利用状況情報取得部144は、無線通信装置100とその接続済装置とは同じ内容の利用状況情報を保有しているので、無線通信装置100の接続済装置に対して利用状況情報要求を送信しない。
【0050】
利用状況情報取得部144は、探索装置から利用状況情報要求を受信した場合、記憶部13に利用状況情報133が保存されているかを確認する。
【0051】
上記確認の結果、利用状況情報133が保存されている場合、利用状況情報取得部144は、それを読み出して探索装置へ送信する。利用状況情報の送信には、例えばProbe Responseが使用される。
【0052】
一方、上記確認の結果、利用状況情報133が保存されていない場合、利用状況情報取得部144は、利用状況情報が無い旨を示すレスポンスメッセージを生成して探索装置へ送信する。レスポンスメッセージの送信には、例えばProbe Responseが使用される。
【0053】
そして、利用状況情報取得部144は、通信部12を介して、利用状況情報要求の送信先から利用状況情報を受信した場合、その利用状況情報を接続方法判断部145へ出力する。なお、ここでいう「受信した利用状況情報」は、以下「取得利用状況情報」という。取得利用状況情報は、他の無線通信装置(探索装置)の利用状況情報である。
【0054】
また、利用状況情報取得部144は、記憶部13から利用状況情報133を読み出した場合、その利用状況情報133を接続方法判断部145へ出力する。なお、ここでいう「読み出した利用状況情報」は、以下「保有利用状況情報」という。保有利用状況情報は、無線通信装置100の利用状況情報である。
【0055】
そして、利用状況情報取得部144は、接続方法判断部145へ接続方法判断指示を出力する。接続方法判断指示とは、無線通信装置100と他の無線通信装置(探索装置および接続済装置)との接続方法を判断するように接続方法判断部145へ指示する情報である。
【0056】
接続方法判断部145は、利用状況情報取得部144から接続方法判断指示を入力すると、接続方法の判断を行う。この接続方法の判断は、能力情報取得部143からの能力情報(保有能力情報および取得能力情報)と、利用状況情報取得部144からの利用状況情報(保有利用状況情報および取得利用状況情報)とに基づいて行われる。この接続方法の判断では、無線通信装置100と他の無線通信装置とがそれぞれどのようなロールで接続するかが判断される。なお、接続方法の判断の具体例については後述する。
【0057】
そして、接続方法判断部145は、接続方法の判断の結果を示す情報(以下、「接続方法情報」という)を生成し、通信部12を介して、接続方法情報を他の無線通信装置(探索装置および/または接続済装置)へ送信する。接続方法情報とは、無線通信装置100と他の無線通信装置とがそれぞれどのようなロールで接続するかを示す情報である。接続方法情報の送信には、例えばProbe Requestが使用される。
【0058】
また、接続方法判断部145は、通信部12を介して他の無線通信装置(探索装置および/または接続済装置)から接続方法情報を受信する。そして、接続方法判断部145は、受信した接続方法情報(以下、「取得接続方法情報」という)と、自分が生成した接続方法情報(以下、「生成接続方法情報」という)とが一致するか否かを確認する。
【0059】
上記確認の結果、取得接続方法情報と生成接続方法情報とが一致する場合、接続方法判断部145は、その旨を示す一致情報を、通信部12を介して接続方法情報の送信元へ送信する。一致情報の送信には、例えばProbe Responseが使用される。
【0060】
一方、上記確認の結果、取得接続方法情報と生成接続方法情報とが一致しない場合、接続方法判断部145は、その旨を示す不一致情報を、通信部12を介して接続方法情報の送信元へ送信する。この不一致情報の送信には、例えばProbe Responseが使用される。
【0061】
そして、接続方法判断部145は、通信部12を介して他の無線通信装置から一致情報を受信した場合、生成接続方法情報および接続制御指示を接続制御部146へ出力する。
【0062】
一方で、接続方法判断部145は、通信部12を介して他の無線通信装置から不一致情報を受信した場合、生成接続方法情報および接続制御指示の出力を行わず、例えば、他の無線通信装置と接続ができない旨の情報を表示部11へ出力する。これにより、表示部11には、無線通信装置100が他の無線通信装置と接続できない旨が表示される。
【0063】
接続制御部146は、接続方法判断部145から接続制御指示を入力すると、接続方法判断部145からの生成接続方法情報が示す接続を実現するために、通信部12を介して他の無線通信装置と通信する。すなわち、接続制御部146は、機器探索部142からの設定情報132を用いてWPAを行うことで、無線通信装置100と他の無線通信装置とを接続する。なお、設定情報132を用いたWPAについては公知であるので、その説明は省略する。
【0064】
以上で、演算部14が備える各部についての説明を終える。
【0065】
<他の無線通信装置の構成>
以下、無線通信装置100とWiGig通信を行う他の無線通信装置は、「無線通信装置200」、「無線通信装置300」という。無線通信装置200、300は、図1に示す無線通信装置100と同じ構成である。すなわち、図1に示すように、無線通信装置200は、操作部20、表示部21、通信部22、記憶部23、演算部24を有し、無線通信装置300は、操作部30、表示部31、通信部32、記憶部33、演算部34を有する。これら各機能部は、順に、無線通信装置100の、操作部10、表示部11、通信部12、記憶部13、演算部14と同一の機能を有する。
【0066】
また、演算部24は、演算部14が有する各機能部と同一の構成として、接続開始部241、機器探索部242、能力情報取得部243、利用状況情報取得部244、接続方法判断部245、接続制御部246を有する。同様に、演算部34も、演算部14が有する各機能部と同一の構成として、接続開始部341、機器探索部342、能力情報取得部343、利用状況情報取得部344、接続方法判断部345、接続制御部346を有する。
【0067】
また、記憶部23は、記憶部13が有する情報と同種の情報として、装置情報231、設定情報232、利用状況情報233を有する。同様に、記憶部33も、記憶部13が有する情報と同種の情報として、装置情報331、設定情報332、利用状況情報333を有する。
【0068】
無線通信装置100、200、300の適用先として、スマートフォン、タブレット、パソコン、ブルーレイディスクレコーダ、テレビ、ゲーム機、音楽プレイヤ、ドングル、アクセスポイント、ルータ、などが挙げられる。なお、ドングルは、例えば、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)(登録商標)、またはMHL(Mobile High-definition Link)などのインターフェースにより所定の装置に着脱可能なデバイスである。
【0069】
このような無線通信装置100、200、300は、お互いにWiGig通信を可能とする。なお、無線通信装置100、200、300は、本実施の形態の通信システムの構成の一例である。
【0070】
<通信システムの動作>
以下、本実施の形態に係る通信システムで行われる接続処理の動作例を、図3を用いて説明する。図3は、本実施の形態の通信システムで行われる接続処理の動作の一例を示すシーケンスチャートである。
【0071】
以下に説明する接続処理は、以下の場合に行われる。すなわち、接続処理は、例えば、ユーザ3名がそれぞれ所有する3台の無線通信装置の間でWiGig通信により動画または静止画などのデータの送受信を行う場合に行われる。または、接続処理は、例えば、家庭内のテレビとスマートフォンの間でWiGig通信により動画または静止画などのデータの送受信を行う場合に行われる。
【0072】
また、以下に説明する図3の接続処理は、例えば、通信システムが図4に示す状態のときに行われるものとする。すなわち、図4は、PCPである無線通信装置200とSTAである無線通信装置300とが接続済であり、かつ、無線通信装置100が無線通信装置200、300のいずれにも接続されていない状態を示している。この状態のときに、無線通信装置100と、無線通信装置200および無線通信装置300との接続を目的として、図3の動作が行われるとする。
【0073】
また、以下の説明において、無線通信装置100、200、300それぞれの間で行われる通信は各装置の通信部を介して行われるものとし、「通信部を介して」の記載は省略する。
【0074】
ステップS100において、操作部10は、無線通信装置100と他の無線通信装置との接続の開始を要求する接続開始要求操作をユーザから受け付ける。これにより、演算部14の接続開始部141は、記憶部13から装置情報131および設定情報132を読み出す。そして、接続開始部141は、装置情報131を機器探索部142へ出力し、設定情報132を接続制御部146へ出力する。
【0075】
ステップS200において、操作部20は、無線通信装置200と他の無線通信装置との接続の開始を要求する接続開始要求操作をユーザから受け付ける。これにより、演算部24の接続開始部241は、記憶部23から装置情報231および設定情報232を読み出す。そして、接続開始部241は、装置情報231を機器探索部242へ出力し、設定情報232を接続制御部246へ出力する。
【0076】
なお、ステップS100、200におけるユーザの操作は、例えば、以下の手順である。まず、ユーザは、無線通信装置100、200、300を無線通信可能な状態となるように向き合わせる。次に、ユーザは、無線通信装置100、200において、WiGig通信を行うためのアプリケーションを起動する。そして、ユーザは、無線通信装置100、200において、起動したアプリケーションの設定画面からWiGig通信用のデバイスおよびソフトウェアを起動するためのメニューを選択する。これにより、無線通信装置100、200は、WiGig通信の接続を指示されることになり、上述した接続開始要求を生成する。なお、上記アプリケーションの起動は、無線通信装置100または200のいずれかのみであってもよい。
【0077】
ステップS101において、機器探索部142は、接続開始部141から装置情報131を入力すると、周辺に存在する他の無線通信装置の探索を開始する。
【0078】
すなわち、機器探索部142は、装置情報131に含まれる無線通信装置100の識別情報を含むフレーム(例えば、探索用ビーコン、Probe Requestなど)を生成する。
【0079】
次に、機器探索部142は、生成したフレームを無線通信装置200へ送信する。また、機器探索部142は、無線通信装置200により生成されたフレーム(例えば、探索用ビーコン、Probe Responseなど)を受信する。このフレームには、無線通信装置200の識別情報が含まれている。
【0080】
ステップS201において、機器探索部242は、接続開始部241から装置情報231を入力すると、周辺に存在する他の無線通信装置の探索を開始する。
【0081】
すなわち、機器探索部242は、装置情報231に含まれる無線通信装置200の識別情報を含むフレーム(例えば、探索用ビーコン、Probe Requestなど)を生成する。
【0082】
次に、機器探索部242は、生成したフレームを無線通信装置100へ送信する。また、機器探索部242は、無線通信装置100により生成されたフレーム(例えば、探索用ビーコン、Probe Responseなど)を受信する。このフレームには、無線通信装置100の識別情報が含まれている。
【0083】
ステップS102において、機器探索部142は、無線通信装置200(探索装置の一例)の探索に成功すると、無線通信装置200へ開始通知を送信する。その後、機器探索部142は、送信した開始通知に対するレスポンスメッセージを無線通信装置200から受信する。
【0084】
そして、機器探索部142は、無線通信装置200から開始通知を受信すると、それに対するレスポンスメッセージを無線通信装置200へ送信する。
【0085】
そして、機器探索部142は、記憶部13の利用状況情報133に基づいて、無線通信装置100が他の無線通信装置(無線通信装置200以外)と接続済であるか、換言すれば、無線通信装置100にとって接続済装置が存在するかを確認する。確認の結果、無線通信装置100はいずれの無線通信装置とも接続されていない(すなわち、無線通信装置100にとって接続済装置が存在しない)ので、機器探索部142は、更なる開始通知の送信は行わない。
【0086】
そして、機器探索部142は、能力情報取得指示を能力情報取得部143へ出力する。
【0087】
なお、ステップS102において、開始通知の送受信に先立ち、機器探索部142は、無線通信装置100と、探索できた無線通信装置200との間でロール(どちらがPCPでどちらがSTAとなるか)を判定してもよい。
【0088】
ステップS202において、機器探索部242は、無線通信装置100(探索装置の一例)の探索に成功すると、無線通信装置100へ開始通知を送信する。その後、機器探索部242は、送信した開始通知に対するレスポンスメッセージを無線通信装置100から受信する。
【0089】
そして、機器探索部242は、無線通信装置100から開始通知を受信すると、それに対するレスポンスメッセージを無線通信装置100へ送信する。
【0090】
そして、機器探索部242は、記憶部23の利用状況情報233に基づいて、無線通信装置200が他の無線通信装置(無線通信装置100以外)と接続済であるか、換言すれば、無線通信装置200にとって接続済装置が存在するかを確認する。確認の結果、無線通信装置200は無線通信装置300と接続済である(すなわち、無線通信装置200にとって接続済装置が存在する)ので、機器探索部242は、接続済装置である無線通信装置300へ開始通知を送信する。そして、機器探索部242は、送信した開始通知に対するレスポンスメッセージを無線通信装置300から受信する。
【0091】
そして、機器探索部242は、能力情報取得指示を能力情報取得部243へ出力する。
【0092】
なお、ステップS202において、開始通知の送受信に先立ち、機器探索部242は、無線通信装置200と、探索できた無線通信装置100との間でロール(どちらがPCPでどちらがSTAとなるか)を判定してもよい。
【0093】
ステップS302において、機器探索部342は、接続済装置である無線通信装置200から開始通知を受信し、それに対するレスポンスメッセージを無線通信装置200へ送信する。
【0094】
そして、機器探索部342は、能力情報取得指示を能力情報取得部343へ出力する。
【0095】
ステップS103において、能力情報取得部143は、機器探索部142から能力情報取得指示を入力すると、能力情報の取得を行う。
【0096】
すなわち、能力情報取得部143は、探索装置である無線通信装置200へ能力情報要求を送信する。
【0097】
そして、能力情報取得部143は、無線通信装置200から、無線通信装置200の能力情報(装置情報231から抽出された能力情報)および無線通信装置300の能力情報(装置情報331から抽出された能力情報)を受信する。ここで受信された情報は、無線通信装置100が取得した取得能力情報である。
【0098】
また、能力情報取得部143は、無線通信装置200から能力情報要求を受信した場合、記憶部13から装置情報131を読み出して能力情報を抽出し、それを無線通信装置200へ送信する。ここで送信された情報は、無線通信装置100が保有している保有能力情報である。
【0099】
そして、能力情報取得部143は、取得能力情報および保有能力情報を接続方法判断部145へ出力する。また、能力情報取得部143は、利用状況情報取得指示を利用状況情報取得部144へ出力する。
【0100】
ステップS203において、能力情報取得部243は、機器探索部242から能力情報取得指示を入力すると、能力情報の取得を行う。
【0101】
すなわち、能力情報取得部243は、探索装置である無線通信装置100および接続済装置である無線通信装置300へ能力情報要求を送信する。
【0102】
そして、能力情報取得部243は、無線通信装置100、300のそれぞれから、無線通信装置100の能力情報(装置情報131から抽出された能力情報)および無線通信装置300の能力情報を受信する。ここで受信された情報は、無線通信装置200が取得した取得能力情報である。
【0103】
また、能力情報取得部243は、無線通信装置100、300からそれぞれ能力情報要求を受信した場合、記憶部23から装置情報231を読み出して能力情報を抽出し、それを無線通信装置100、300へそれぞれ送信する。ここで送信された情報は、無線通信装置200が保有している保有能力情報である。
【0104】
さらに、能力情報取得部243は、接続済装置である無線通信装置300から受信したその能力情報を、無線通信装置100へ送信する。また、能力情報取得部243は、探索装置である無線通信装置100から受信したその能力情報を、無線通信装置300へ送信する。
【0105】
そして、能力情報取得部243は、取得能力情報および保有能力情報を接続方法判断部245へ出力する。また、能力情報取得部243は、利用状況情報取得指示を利用状況情報取得部244へ出力する。
【0106】
ステップS303において、能力情報取得部343は、機器探索部342から能力情報取得指示を入力すると、能力情報の取得を行う。
【0107】
すなわち、能力情報取得部343は、接続済装置である無線通信装置200へ能力情報要求を送信する。
【0108】
その後、能力情報取得部343は、無線通信装置200から、無線通信装置200の能力情報および無線通信装置100の能力情報を受信する。ここで受信された情報は、無線通信装置300が取得した取得能力情報である。
【0109】
また、能力情報取得部343は、無線通信装置200から能力情報要求を受信した場合、記憶部33から装置情報331を読み出して能力情報を抽出し、それを無線通信装置200へ送信する。ここで送信された情報は、無線通信装置300が保有している保有能力情報である。
【0110】
そして、能力情報取得部343は、取得能力情報および保有能力情報を接続方法判断部345へ出力する。また、能力情報取得部343は、利用状況情報取得指示を利用状況情報取得部344へ出力する。
【0111】
ステップS104において、利用状況情報取得部144は、能力情報取得部143から利用状況情報取得指示を入力すると、利用状況情報の取得を行う。
【0112】
すなわち、利用状況情報取得部144は、探索装置である無線通信装置200へ利用状況情報要求を送信する。
【0113】
そして、利用状況情報取得部144は、無線通信装置200からその利用状況情報233を受信する。ここで受信された情報は、無線通信装置100が取得した取得利用状況情報である。
【0114】
また、利用状況情報取得部144は、無線通信装置200から利用状況情報要求を受信した場合、記憶部13に利用状況情報133が保存されているかを確認する。確認の結果、記憶部13に利用状況情報133は保存されていないので、利用状況情報取得部144は、利用状況情報133が無い旨を示すレスポンスメッセージを生成し、それを無線通信装置200へ送信する。
【0115】
そして、利用状況情報取得部144は、取得利用状況情報および接続方法判断指示を、接続方法判断部145へ出力する。
【0116】
ステップS204において、利用状況情報取得部244は、能力情報取得部243から利用状況情報取得指示を入力すると、利用状況情報の取得を行う。
【0117】
すなわち、利用状況情報取得部244は、探索装置である無線通信装置100へ利用状況情報要求を送信する。
【0118】
そして、利用状況情報取得部244は、無線通信装置100から、利用状況情報133が無い旨を示すレスポンスメッセージを受信する。
【0119】
また、利用状況情報取得部244は、無線通信装置100から利用状況情報要求を受信した場合、記憶部23に利用状況情報233が保存されているかを確認する。確認の結果、記憶部23に利用状況情報233が保存されているので、利用状況情報取得部244は、利用状況情報233を読み出して無線通信装置100へ送信する。ここで送信された情報は、無線通信装置200が保有している保有利用状況情報である。
【0120】
そして、利用状況情報取得部244は、保有利用状況情報および接続方法判断指示を、接続方法判断部245へ出力する。
【0121】
ステップS304において、利用状況情報取得部344は、能力情報取得部343から利用状況情報取得指示を入力すると、利用状況情報の取得を行う。
【0122】
ただし、ここでは、無線通信装置300にとっての探索装置が存在しないため、利用状況情報取得部344は、利用状況情報要求の送信を行わない。そして、利用状況情報取得部344は、記憶部33から無線通信装置300の利用状況情報333を読み出す。ここで読み出された情報は、無線通信装置300が保有している保有利用状況情報である。
【0123】
そして、利用状況情報取得部344は、保有利用状況情報および接続方法判断指示を、接続方法判断部345へ出力する。
【0124】
ステップS105において、接続方法判断部145は、利用状況情報取得部144から接続方法判断指示を入力すると、接続方法の判断を行う。この接続方法の判断は、能力情報取得部143からの能力情報(保有能力情報および取得能力情報)と、利用状況情報取得部144からの利用状況情報(取得利用状況情報)とに基づいて行われる。接続方法判断部245、345も同様に、接続方法の判断を行う(ステップS205、S305)。この接続方法の判断では、無線通信装置100と他の無線通信装置とがそれぞれどのようなロールで接続するかが判断される。ここで、接続方法の判断の具体例として、判断例1〜3について説明する。
【0125】
<判断例1>
各能力情報は、例として、以下の内容であるとする。
・無線通信装置100の能力情報 マルチロール「不可能」 接続方法「PCP−STA、STA−STA」
・無線通信装置200の能力情報 マルチロール「不可能」 接続方法「PCP−STA」
・無線通信装置300の能力情報 マルチロール「不可能」 接続方法「PCP−STA、STA−STA」
また、利用状況情報は、例として、以下の内容であるとする。
・無線通信装置200、300の利用状況情報 接続済通信路「装置200−装置300」、利用状況「利用中」
【0126】
以上の場合、接続方法判断部145は、以下のように判断する。
【0127】
まず、接続方法判断部145は、利用状況情報において、接続済通信路が利用中であるか否かを判断する。判断の結果、接続済通信路が利用中である場合、接続方法判断部145は、その接続済通信路の接続を維持する、と判断する。一方、判断の結果、接続済通信路が利用中ではない場合、接続方法判断部145は、その接続済通信路を切断する、と判断する。このような判断は、後述の判断例2、3でも同様である。
【0128】
ここでは、利用状況情報において接続済通信路「装置200−装置300」の利用状況が「利用中」であるので、接続方法判断部145は、PCPとしての無線通信装置200とSTAとしての無線通信装置300の接続を維持する、と判断する。
【0129】
次に、接続方法判断部145は、無線通信装置100の能力情報と無線通信装置200の能力情報とで共通する内容に基づいて、無線通信装置200と無線通信装置100とをそれぞれどのようなロールで接続するかを判断する。この判断の際、上記利用状況情報に基づく判断結果も用いられる。このような判断は、後述の判断例2、3でも同様である。
【0130】
ここでは、無線通信装置200(PCP)と無線通信装置300(STA)の接続を維持すると接続方法判断部145が判断しており、無線通信装置200はマルチロールが「不可能」である。そのため、接続方法判断部145は、無線通信装置200はPCPであると判断する。そして、無線通信装置200は「PCP−STA」接続しかできないことから、接続方法判断部145は、無線通信装置100はSTAであると判断する。すなわち、無線通信装置200と無線通信装置100の接続はPCP−STA接続と判断される。
【0131】
次に、接続方法判断部145は、無線通信装置100の能力情報と無線通信装置300の能力情報とで共通する内容に基づいて、無線通信装置300と無線通信装置100とをそれぞれどのようなロールで接続するかを判断する。この判断の際、上記利用状況情報に基づく判断結果も用いられる。このような判断は、後述の判断例2、3でも同様である。
【0132】
ここでは、無線通信装置200(PCP)と無線通信装置300(STA)の接続を維持すると接続方法判断部145が判断しており、無線通信装置300はマルチロールが「不可能」である。そのため接続方法判断部145は、無線通信装置300はSTAであると判断する。そして、無線通信装置100、300はともに「STA−STA」接続ができることから、無線通信装置100はSTAであると判断する。すなわち、無線通信装置300と無線通信装置100の接続はSTA−STA接続と判断される。
【0133】
このようにして、接続方法判断部145は、以下の判断結果1を得る。
【0134】
・無線通信装置200−無線通信装置100 PCP−STA(新規接続)
・無線通信装置200−無線通信装置300 PCP−STA(接続維持)
・無線通信装置300−無線通信装置100 STA−STA(新規接続)
【0135】
<判断例2>
各能力情報は、例として、以下の内容であるとする。
・無線通信装置100の能力情報 マルチロール「可能」 接続方法「PCP−STA、STA−STA」
・無線通信装置200の能力情報 マルチロール「不可能」 接続方法「PCP−STA」
・無線通信装置300の能力情報 マルチロール「可能」 接続方法「PCP−STA」
また、利用状況情報は、例として、以下の内容であるとする。
・無線通信装置200、300の利用状況情報 接続済通信路「装置200−装置300」、利用状況「利用中」
【0136】
以上の場合、接続方法判断部145は、以下のように判断する。
【0137】
まず、接続方法判断部145は、上述した通り、利用状況情報に基づく判断を行う。すなわち、ここでは、接続方法判断部145は、接続済通信路「装置200−装置300」の利用状況が「利用中」であることから、PCPとしての無線通信装置200とSTAとしての無線通信装置300の接続を維持する、と判断する。
【0138】
次に、接続方法判断部145は、上述した通り、無線通信装置100の能力情報と無線通信装置200の能力情報に基づく判断を行う。すなわち、ここでは、無線通信装置200(PCP)と無線通信装置300(STA)の接続を維持すると接続方法判断部145が判断しており、無線通信装置200はマルチロールが「不可能」である。そのため、接続方法判断部145は、無線通信装置200はPCPであると判断する。そして、無線通信装置200は「PCP−STA」接続しかできないことから、接続方法判断部145は、無線通信装置100はSTAであると判断する。すなわち、無線通信装置200と無線通信装置100の接続はPCP−STA接続と判断される。
【0139】
次に、接続方法判断部145は、上述した通り、無線通信装置100の能力情報と無線通信装置300の能力情報に基づく判断を行う。すなわち、ここでは、無線通信装置200(PCP)と無線通信装置300(STA)の接続を維持すると接続方法判断部145が判断しており、無線通信装置300はマルチロールが「可能」で「PCP−STA」接続しかできない。そのため、接続方法判断部145は、無線通信装置300はPCP、無線通信装置100はSTAであると判断する。すなわち、無線通信装置300と無線通信装置100の接続はPCP−STA接続と判断される。
【0140】
このようにして、接続方法判断部145は、以下の判断結果2を得る。
【0141】
・無線通信装置200−無線通信装置100 PCP−STA(新規接続)
・無線通信装置200−無線通信装置300 PCP−STA(接続維持)
・無線通信装置300−無線通信装置100 PCP−STA(新規接続)
【0142】
<判断例3>
各能力情報は、例として、以下の内容であるとする。
・無線通信装置100の能力情報 マルチロール「可能」 接続方法「PCP−STA、STA−STA」
・無線通信装置200の能力情報 マルチロール「不可能」 接続方法「PCP−STA」
・無線通信装置300の能力情報 マルチロール「可能」 接続方法「PCP−STA」
また、利用状況情報は、例として、以下の内容であるとする。
・無線通信装置200、300の利用状況情報 接続済通信路「装置200−装置300」、利用状況「利用していない」
【0143】
以上の場合、接続方法判断部145は、以下のように判断する。
【0144】
まず、接続方法判断部145は、上述した通り、利用状況情報に基づく判断を行う。すなわち、ここでは、接続済通信路「装置200−装置300」の利用状況が「利用していない」であることから、PCPとしての無線通信装置200とSTAとしての無線通信装置300との接続を切断する、と判断する。
【0145】
次に、接続方法判断部145は、上述した通り、無線通信装置100の能力情報と無線通信装置200の能力情報に基づく判断を行う。すなわち、ここでは、無線通信装置200はマルチロールが「不可能」で「PCP−STA」接続しかできないことから、接続方法判断部145は、無線通信装置200はPCP、無線通信装置100はSTAであると判断する。すなわち、無線通信装置200と無線通信装置100の接続はPCP−STA接続と判断される。なお、接続方法判断部145は、無線通信装置100はPCP、無線通信装置200はSTAであると判断する場合もある。どちらがPCPになるかは、機器探索時(図3のS101、S102)に行われるロール判定の結果に従うとする。
【0146】
次に、接続方法判断部145は、上述した通り、無線通信装置100の能力情報と無線通信装置300の能力情報に基づく判断を行う。すなわち、ここでは、無線通信装置200(PCP)と無線通信装置100(STA)の接続を行うと接続方法判断部145が判断しており、無線通信装置300はマルチロールが「可能」で「PCP−STA」接続しかできない。その一方で、無線通信装置100はマルチロールが「可能」で「STA−STA」接続もできる。そのため、接続方法判断部145は、無線通信装置300はPCP、無線通信装置100はSTAであると判断する。すなわち、無線通信装置300と無線通信装置100の接続はPCP−STA接続と判断される。
【0147】
このようにして、接続方法判断部145は、以下の判断結果3を得る。
【0148】
・無線通信装置200−無線通信装置100 PCP−STA(新規接続)
・無線通信装置200−無線通信装置300 (切断)
・無線通信装置300−無線通信装置100 PCP−STA(新規接続)
【0149】
以上で判断例1〜3の説明を終える。なお、接続方法判断部145が行う判断は、判断例1〜3に限定されない。また、判断例1〜3における判断結果は、判断結果1〜3に限定されない。
【0150】
そして、接続方法判断部145は、判断結果を示す接続方法情報を生成し、無線通信装置200へ送信する。
【0151】
また、接続方法判断部145は、無線通信装置200から、無線通信装置200が生成した接続方法情報を受信すると、受信した接続方法情報(取得接続方法情報の一例)と、自分が生成した接続方法情報(生成接続方法情報の一例)とが一致するか否かを確認する。
【0152】
上記確認の結果、取得接続方法情報と生成接続方法情報とが一致した場合、接続方法判断部145は、その旨を示す一致情報を、無線通信装置200へ送信する。
【0153】
一方、上記確認の結果、取得接続方法情報と生成接続方法情報とが一致しない場合、接続方法判断部145は、その旨を示す不一致情報を、無線通信装置200へ送信する。
【0154】
そして、接続方法判断部145は、無線通信装置200から一致情報を受信した場合、生成接続方法情報および接続制御指示を接続制御部146へ出力する。
【0155】
一方で、接続方法判断部145は、無線通信装置200から不一致情報を受信した場合、生成接続方法情報および接続制御指示の出力を行わず、例えば、無線通信装置200、300と接続ができない旨の情報を表示部11へ出力する。これにより、表示部11には、無線通信装置100が無線通信装置200、300と接続できない旨が表示される。
【0156】
接続方法判断部245は、利用状況情報取得部244から接続方法判断指示を入力すると、上述した接続方法判断部145と同様に、接続方法の判断を行う。接続方法の判断の具体例は、上述した判断例1〜3と同じであり、ここでの説明は省略する。
【0157】
そして、接続方法判断部245は、判断結果を示す接続方法情報を生成し、無線通信装置100、300のそれぞれに送信する。
【0158】
また、接続方法判断部245は、無線通信装置100、300のそれぞれから、各無線通信装置が生成した接続方法情報を受信する。そして、接続方法判断部245は、受信した接続方法情報(取得接続方法情報の一例)ごとに、自分が生成した接続方法情報(生成接続方法情報の一例)と一致するか否かを確認する。
【0159】
上記確認の結果、取得接続方法情報と生成接続方法情報とが一致した場合、接続方法判断部245は、その旨を示す一致情報を、一致した取得接続方法情報の送信元である無線通信装置100または300へ送信する。
【0160】
一方、上記確認の結果、取得接続方法情報と生成接続方法情報とが一致しない場合、接続方法判断部245は、その旨を示す不一致情報を、一致しなかった取得接続方法情報の送信元である無線通信装置100または300へ送信する。
【0161】
そして、接続方法判断部245は、無線通信装置100、300の両方から一致情報を受信した場合、生成接続方法情報および接続制御指示を接続制御部246へ出力する。
【0162】
一方で、接続方法判断部245は、無線通信装置100、300の少なくとも一方から不一致情報を受信した場合、生成接続方法情報および接続制御指示の出力を行わず、例えば、無線通信装置100と接続ができない旨の情報を表示部21へ出力する。これにより、表示部21には、無線通信装置200が無線通信装置100と接続できない旨が表示される。
【0163】
接続方法判断部345は、利用状況情報取得部344から接続方法判断指示を入力すると、上述した接続方法判断部145と同様に、接続方法の判断を行う。接続方法の判断の具体例は、上述した判断例1〜3と同じであり、ここでの説明は省略する。
【0164】
そして、接続方法判断部345は、判断結果を示す接続方法情報を生成し、無線通信装置200へ送信する。
【0165】
また、接続方法判断部345は、無線通信装置200から、無線通信装置200が生成した接続方法情報を受信すると、受信した接続方法情報(取得接続方法情報の一例)ごとに、自分が生成した接続方法情報(生成接続方法情報の一例)と一致するか否かを確認する。
【0166】
上記確認の結果、取得接続方法情報と生成接続方法情報とが一致した場合、接続方法判断部345は、その旨を示す一致情報を、無線通信装置200へ送信する。
【0167】
一方、上記確認の結果、取得接続方法情報と生成接続方法情報とが一致しない場合、接続方法判断部345は、その旨を示す不一致情報を、無線通信装置200へ送信する。
【0168】
そして、接続方法判断部345は、無線通信装置200から一致情報を受信した場合、生成接続方法情報および接続制御指示を接続制御部346へ出力する。
【0169】
一方で、接続方法判断部345は、無線通信装置200から不一致情報を受信した場合、生成接続方法情報および接続制御指示の出力を行わず、例えば、無線通信装置100と接続ができない旨の情報を表示部31へ出力する。これにより、表示部31には、無線通信装置300が無線通信装置100と接続できない旨が表示される。
【0170】
ステップS106において、接続制御部146は、接続方法判断部145から接続制御指示を入力すると、接続方法判断部145からの生成接続方法情報が示す接続を実現する制御を行うため、無線通信装置200、300のそれぞれと通信する。すなわち、接続制御部146は、機器探索部142からの設定情報132を用いてWPAを行う。これにより、無線通信装置100と、無線通信装置200、300とは、生成接続方法情報が示す接続パターンで接続され、WiGig通信が可能になる。なお、接続制御部246、接続制御部346も、無線通信装置100との通信を受けて、WPAを行う(ステップS206、S306)。
【0171】
例えば、生成接続方法情報が上記判断結果1を示す場合、以下の制御が行われる。すなわち、接続制御部146は、無線通信装置200と無線通信装置300との間はPCP−STA接続を維持するように制御する。また、接続制御部146は、無線通信装置200と無線通信装置100との間はPCP−STA接続を新規に行うように制御する。また、接続制御部146は、無線通信装置300と無線通信装置100との間はSTA−STA接続を新規に行うように制御する。この結果、無線通信装置100、200、300は、図5に示す接続パターン1のように接続されることになる。
【0172】
また、例えば、生成接続方法情報が上記判断結果2を示す場合、以下の制御が行われる。すなわち、接続制御部146は、無線通信装置200と無線通信装置300との間はPCP−STA接続を維持するように制御する。また、接続制御部146は、無線通信装置200と無線通信装置100との間はPCP−STA接続を新規に行うように制御する。また、接続制御部146は、無線通信装置300と無線通信装置100との間はPCP−STA接続を新規に行うように制御する。この結果、無線通信装置100、200、300は、図5に示す接続パターン2のように接続されることになる。
【0173】
また、例えば、生成接続方法情報が上記判断結果3を示す場合、以下の制御が行われる。すなわち、接続制御部146は、無線通信装置200と無線通信装置300との間はPCP−STA接続を切断するように制御する。また、接続制御部146は、無線通信装置200と無線通信装置100との間はPCP−STA接続を新規に行うように制御する。また、接続制御部146は、無線通信装置300と無線通信装置100との間はPCP−STA接続を新規に行うように制御する。この結果、無線通信装置100、200、300は、図5に示す接続パターン3のように接続されることになる。
【0174】
なお、上記実施の形態において、各無線通信装置は、能力情報と利用状況情報の両方に基づいて接続方法の判断を行うとしたが、利用状況情報を用いずに、能力情報のみに基づいて接続方法の判断を行ってもよい。その場合、複数の判断結果が想定されるので、優先する判断結果を予め定めておくことが好ましい。例えば、無線通信装置100と300との接続について「PCP−STA接続」と「STA−STA接続」のいずれも可能であるとの判断結果が想定される場合、判断結果として「STA−STA接続」を採用するように予め定めておく。
【0175】
また、能力情報は、上記実施の形態の説明に限定されない。例えば、能力情報は、ブリッジ接続(PCPを経由して複数のSTAが通信可能となる接続)の可否を示す情報を含んでもよい。また、例えば、能力情報は、経路毎のサポートレートの情報を含んでもよい。経路毎のサポートレートとは、例えば、STA−STA、PCP−STA、STA−PCP−STAなどの経路毎に、通信可能な最大のレートをbps(bit per second)などの速度で表したものである。また、例えば、能力情報は、より消費電力の少ない接続方法の判断に用いられる情報として、消費電力の目安となる情報を含んでもよい。また、例えば、能力情報は、通信可能な範囲の目安となる距離、通信可能角度、電波の強度の範囲などの情報を含んでもよい。以上説明した能力情報を用いることにより、無線通信装置は、目的に応じたより最適な接続方法を判断することが可能となる。
【0176】
また、無線通信装置は、規格で規定されている情報を能力情報として用いて接続方法を判断してもよい。例えば、無線通信装置は、接続の最大数の大きい装置間の接続方法を優先することで、後で接続する装置が増えた場合の処理を減らしたり、新たな接続を行いやすく制御したりしてもよい。また、無線通信装置は、60GHzまたは5GHzなどのマルチバンドに対応している接続方法を優先し、ロールなどを決めてもよい。この場合、無線通信装置は、PCP−STA接続と5GHzの接続を2つの装置間で確立し、通信がより途切れないようにしたり、または、データ通信機能の豊富な接続方法を優先したりしてもよい。データ通信機能とは、例えば、IP通信機能、映像伝送機能、wireless USBとしての通信機能などである。
【0177】
以上説明したように、本実施の形態の無線通信装置は、WiGig通信を行う際、自分の能力情報と、接続相手の能力情報とに基づいて、各装置をどのようなロールで接続するかを判断することを特徴とする。これにより、各無線通信装置が有する無線通信能力を考慮した適切な接続を行うことができる。
【0178】
<実施の形態の変形例>
以上、本実施の形態について説明したが、上記実施の形態は一例であり、種々の変形が可能である。以下、変形例について説明する。
【0179】
変形例1について説明する。上記実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はハードウェアとの連係においてソフトウェアでも実現することも可能である。図6は、この構成例を示す。なお、以下では、無線通信装置100を例に挙げて説明するが、無線通信装置200、300にも、それぞれ図6の構成を適用できる。
【0180】
図6の構成例1は、無線通信装置100が、WiGig通信を可能とする通信デバイス400と接続可能な構成である。無線通信装置100は、ミドルウェア101およびドライバ102を備えており、ミドルウェア101に通信設定制御部140を備えている。この通信設定制御部140は、図1に示す演算部14が備える各部を含む。すなわち、構成例1では、演算部14の各部はミドルウェア101として実現される。通信設定制御部140は、ドライバ102を介して、通信デバイス400の通信部401を制御し、WiGig通信を行う。なお、ミドルウェア101は、アプリケーションであってもよい。また、通信設定制御部140は、ドライバ102に備えてもよい。
【0181】
図6の構成例2は、無線通信装置100が、WiGig通信を可能とする通信デバイス400と接続可能な構成である。ただし、構成例2の通信設定制御部140は、通信デバイス400側に備えられている点が構成例1と異なる。通信設定制御部140は、ドライバ102を介してミドルウェア101からの要求を受け、通信部401を制御して、WiGig通信を行う。なお、ミドルウェア101は、アプリケーションであってもよい。
【0182】
変形例2について説明する。上記実施の形態では、無線通信装置100、200、300全てが接続方法の判断を行う例について説明したが、これに限定されない。例えば、機器探索を行った無線通信装置100と200だけが接続方法の判断を行ってもよい。この場合、PCPである無線通信装置200は、自分が生成した接続方法情報を無線通信装置300へ送信し、無線通信装置300は、受信した接続方法情報に基づいて接続を実行する。または、PCPである無線通信装置200だけが接続方法の判断を行ってもよい。この場合、PCPである無線通信装置200は、自分が生成した接続方法情報を無線通信装置100、300へそれぞれ送信し、無線通信装置100、300は、それぞれ、受信した接続方法情報に基づいて接続を実行する。
【0183】
変形例3について説明する。上記実施の形態では、能力情報の取得および利用状況情報の取得を、それぞれ、単独のステップ(S103、S203、S303およびS104、S204、S304)として行う例について説明したが、これに限定されない。例えば、機器探索のステップ(S101、S201)において、ビーコンまたはプローブメッセージを用いて能力情報の取得および利用状況情報の取得を行うようにしてもよい。
【0184】
変形例4について説明する。上記実施の形態では、3台の無線通信装置間で接続する例について説明したが、これに限定されない。例えば、図3のフローは、2台の無線通信装置間の接続(例えば、無線通信装置100と無線通信装置200の接続)にも有効である。または、例えば、図3のフローは、4台以上の無線通信装置間の接続にも有効である。
【0185】
変形例5について説明する。上記実施の形態において、接続方法の判断は、ユーザの希望を反映して行われてもよい。例えば、図4の状態においてユーザが無線通信装置100と300のみの接続を希望する場合、各接続方法判断部は、以下のように動作してもよい。すなわち、各接続方法判断部は、能力情報、利用状況情報に加えて、ユーザの希望(装置100−装置300のみの接続)を示す情報を操作部から取得し、それら全ての情報に基づいて接続方法の判断を行うようにしてもよい。これにより、ユーザの希望に沿った接続を実現できるとともに、ユーザにとって不要な接続を行わなくて済む。
【0186】
以上説明したように、本開示の無線通信装置は、WiGigを用いた通信を行う無線通信装置であって、前記無線通信装置の無線通信の能力を示す能力情報を記憶する記憶部と、前記無線通信装置の接続相手である第2の無線通信装置から、前記第2の無線通信装置の能力情報を取得する能力情報取得部と、前記無線通信装置の能力情報および前記第2の無線通信装置の能力情報に基づいて、前記無線通信装置と前記第2の無線通信装置をそれぞれどのようなロールで接続するかを判断する接続方法判断部と、を具備する。
【0187】
また、本開示の無線通信装置において、前記能力情報は、当該能力情報を記憶する無線通信装置が同時に複数のロールで動作できるか否か、および、当該無線通信装置とその接続相手とがそれぞれどのようなロールで接続できるか、を示す。
【0188】
また、本開示の無線通信装置において、前記能力情報取得部は、前記第2の無線通信装置が第3の無線通信装置と接続済である場合、前記第3の無線通信装置の能力情報を取得し、前記接続方法判断部は、前記無線通信装置の能力情報、前記第2の無線通信装置の能力情報、および前記第3の無線通信装置の能力情報に基づいて、前記無線通信装置と前記第2の無線通信装置と前記第3の無線通信装置をそれぞれどのようなロールで接続するかを判断する。
【0189】
また、本開示の無線通信装置において、前記第2の無線通信装置と前記第3の無線通信装置との間の接続済の通信路が利用中であるか否かを示す利用状況情報を取得する利用状況情報取得部をさらに具備し、前記接続方法判断部は、前記利用状況情報、前記無線通信装置の能力情報、前記第2の無線通信装置の能力情報、および前記第3の無線通信装置の能力情報に基づいて、前記無線通信装置と前記第2の無線通信装置と前記第3の無線通信装置をそれぞれどのようなロールで接続するかを判断する。
【0190】
また、本開示の無線通信装置において、前記接続方法判断部は、ユーザが所望する接続を示す情報に基づいて前記判断を行う。
【0191】
本開示の無線通信方法は、WiGigを用いた通信を行う無線通信方法であって、前記無線通信装置の無線通信の能力を示す能力情報を記憶するステップと、前記無線通信装置の接続相手である第2の無線通信装置から、前記第2の無線通信装置の能力情報を取得するステップと、前記無線通信装置の能力情報および前記第2の無線通信装置の能力情報に基づいて、前記無線通信装置と前記第2の無線通信装置をそれぞれどのようなロールで接続するかを判断するステップと、を有する。
【0192】
本開示の無線通信制御プログラムは、WiGigを用いた通信を行う装置のコンピュータに実行させる無線通信制御プログラムであって、前記無線通信装置の無線通信の能力を示す能力情報を記憶する処理と、前記無線通信装置の接続相手である第2の無線通信装置から、前記第2の無線通信装置の能力情報を取得する処理と、前記無線通信装置の能力情報および前記第2の無線通信装置の能力情報に基づいて、前記無線通信装置と前記第2の無線通信装置をそれぞれどのようなロールで接続するかを判断する処理と、を実行させる。
【0193】
2013年6月18日出願の特願2013−127592の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0194】
本発明は、他の無線通信装置との間で無線通信を行う無線通信装置、無線通信方法、および無線通信制御プログラムとして有用である。
【符号の説明】
【0195】
10、20、30 操作部
11、21、31 表示部
12、22、32 通信部
13、23、33 記憶部
14、24、34 演算部
100、200、300 無線通信装置
101 ミドルウェア
102 ドライバ
131、231、331 装置情報
132、232、332 設定情報
133、233、333 利用状況情報
140 通信設定制御部
141、241、341 接続開始部
142、242、342 機器探索部
143、243、343 能力情報取得部
144、244、344 利用状況情報取得部
145、245、345 接続方法判断部
146、246、346 接続制御部
400 通信デバイス
401 通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6