(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261591
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】水溶性除草剤塩の相溶性を改善するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A01N 25/30 20060101AFI20180104BHJP
A01N 25/10 20060101ALI20180104BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20180104BHJP
A01N 39/02 20060101ALI20180104BHJP
A01N 39/04 20060101ALI20180104BHJP
A01N 43/40 20060101ALI20180104BHJP
A01N 57/20 20060101ALI20180104BHJP
A01N 25/02 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
A01N25/30
A01N25/10
A01P13/00
A01N39/02 A
A01N39/04 A
A01N43/40 101E
A01N43/40 101J
A01N57/20 G
A01N25/02
【請求項の数】17
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-530071(P2015-530071)
(86)(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公表番号】特表2015-526524(P2015-526524A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】US2013057431
(87)【国際公開番号】WO2014039374
(87)【国際公開日】20140313
【審査請求日】2016年8月17日
(31)【優先権主張番号】61/696,351
(32)【優先日】2012年9月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501035309
【氏名又は名称】ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100139310
【弁理士】
【氏名又は名称】吉光 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】リウ,レイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ホン
(72)【発明者】
【氏名】ケネディー,アレックス
(72)【発明者】
【氏名】タンク,ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】リ,メイ
【審査官】
三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−091531(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/069826(WO,A1)
【文献】
特開平02−017104(JP,A)
【文献】
国際公開第2004/093546(WO,A1)
【文献】
特開平05−186301(JP,A)
【文献】
特開昭64−042383(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/027349(WO,A1)
【文献】
特表2003−506381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 1/00−65/48
A01P 1/00−23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形物の生成や相分離を抑制することにより除草剤水溶液の相溶性を改善する方法であって、前記除草剤水溶液は、アリールオキシアルカン酸の水溶性塩、ピリジルオキシアルカン酸の水溶性塩およびグリホサートの水溶性塩の少なくとも1つを含み、前記除草剤水溶液に1つまたはそれ以上の表面活性相溶化剤を添加することを含む方法であって、前記表面活性相溶化剤は、ポリエチレンオキシド側鎖によってグラフトされたポリアクリレートもしくはポリメタクリレート、ポリマー性両性分散剤またはその混合物である、方法。
【請求項2】
前記アリールオキシアルカン酸が2,4−D、2,4−DB、ジクロルプロップ、メコプロップ、MCPAまたはMCPBであり、および/または前記ピリジルオキシアルカン酸がトリクロピルまたはフルロキシピルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
NH4+、Na+、K+、Ca2+、Mg2+、Fe2+、Fe3+、Cu2+、Mn2+およびZn2+から成る群より選択される1つもしくはそれ以上の無機カチオン、またはモノメチルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、ジエチルエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、トリイソプロパノールアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムおよびN,N,N−トリメチルエタノールアンモニウム(コリン)から成る群より選択される1つもしくはそれ以上のオルガノアンモニウムカチオンまたはその混合物をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記除草剤水溶液が濃縮物またはプレミックス濃縮物であり、前記濃縮物またはプレミックス濃縮物は全重量の0.05から10重量パーセントの1つまたはそれ以上の前記表面活性相溶化剤、酸当量ベースで20から60重量パーセントのアリールオキシアルカン酸の水溶性塩、ピリジルオキシアルカン酸の水溶性塩およびグリホサートの水溶性塩の少なくとも1つを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記除草剤水溶液が2,4−Dおよび/またはグリホサートの水溶性塩を含有する濃縮物である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記除草剤水溶液が散布溶液である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記表面活性相溶化剤が酸の形態であるか塩の形態であり、前記塩が有機アミン塩または無機カチオンを含有する塩であってもよく、前記有機アミン塩がモノメチルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、ジエチルエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、トリイソプロパノールアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムおよびN,N,N−トリメチルエタノールアンモニウム(コリン)より選択されるカチオンまたはその混合物を含んでいてもよい、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
アリールオキシアルカン酸の水溶性塩、ピリジルオキシアルカン酸の水溶性塩およびグリホサートの水溶性塩の少なくとも1つ、およびポリエチレンオキシド側鎖によってグラフトされたポリアクリレートもしくはポリメタクリレート、ポリマー性両性分散剤またはその混合物である1つまたはそれ以上の表面活性相溶化剤を含む除草剤水溶液。
【請求項9】
前記アリールオキシアルカン酸が2,4−D、2,4−DB、ジクロルプロップ、メコプロップ、MCPAまたはMCPB、および/または前記ピリジルオキシアルカン酸がトリクロピルまたはフルロキシピルである、請求項8に記載の除草剤水溶液。
【請求項10】
NH4+、Na+、K+、Ca2+、Mg2+、Fe2+、Fe3+、Cu2+、Mn2+およびZn2+から成る群より選択される1つもしくはそれ以上の無機カチオン、またはモノメチルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、ジエチルエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、トリイソプロパノールアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムおよびN,N,N−トリメチルエタノールアンモニウム(コリン)から成る群より選択される1つもしくはそれ以上のオルガノアンモニウムカチオンまたはその混合物をさらに含む、請求項8または9に記載の除草剤水溶液。
【請求項11】
前記除草剤水溶液が濃縮物またはプレミックス濃縮物であり、前記濃縮物またはプレミックス濃縮物は全重量の0.05から10重量パーセントの1つまたはそれ以上の前記表面活性相溶化剤、酸当量ベースで20から60重量パーセントのアリールオキシアルカン酸の水溶性塩、ピリジルオキシアルカン酸の水溶性塩およびグリホサートの水溶性塩の少なくとも1つを含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の除草剤水溶液。
【請求項12】
前記除草剤水溶液が2,4−Dおよび/またはグリホサートの水溶性塩を含有する濃縮物である、請求項11に記載の除草剤水溶液。
【請求項13】
前記除草剤水溶液が散布溶液である、請求項8から10のいずれか一項に記載の除草剤水溶液。
【請求項14】
前記表面活性相溶化剤が酸の形態であるか塩の形態であり、前記塩が有機アミン塩または無機カチオンを含有する塩であってもよく、前記有機アミン塩がモノメチルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、ジエチルエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、トリイソプロパノールアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムおよびN,N,N−トリメチルエタノールアンモニウム(コリン)より選択されるカチオンまたはその混合物を含んでいてもよい、請求項8から13のいずれか一項に記載の除草剤水溶液。
【請求項15】
2,4−Dの水溶性塩および/またはグリホサートの水溶性塩、およびポリエチレンオキシド側鎖によってグラフトされたポリアクリレートもしくはポリメタクリレート、ポリマー性両性分散剤またはその混合物である1つまたはそれ以上の表面活性相溶化剤を含む乾燥除草剤組成物。
【請求項16】
NH4+、Na+、K+、Ca2+、Mg2+、Fe2+、Fe3+、Cu2+、Mn2+およびZn2+から成る群より選択される1つもしくはそれ以上の無機カチオン、またはモノメチルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、ジエチルエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、トリイソプロパノールアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムおよびN,N,N−トリメチルエタノールアンモニウム(コリン)から成る群より選択される1つもしくはそれ以上のオルガノアンモニウムカチオンまたはその混合物をさらに含む、請求項15に記載の乾燥除草剤組成物。
【請求項17】
前記表面活性相溶化剤が酸の形態であるか塩の形態であり、前記塩が有機アミン塩または無機カチオンを含有する塩であってもよく、前記有機アミン塩がモノメチルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、ジエチルエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、トリイソプロパノールアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムおよびN,N,N−トリメチルエタノールアンモニウム(コリン)より選択されるカチオンまたはその混合物を含んでいてもよい、請求項15または16に記載の乾燥除草剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
殺虫化学物質および植物成長調節物質の水性濃縮物製剤は、世界中の農業、工業、レクリエーション地域および住宅地で幅広く使用されている。このような濃縮物の活性成分には、カルボン酸またはリン酸などの酸性官能基が、より一般的にはその水溶性塩の形態で含有されることが多い。水性濃縮物は、本質的に、散布または他の手段による適用前に水で希釈することが意図される、比較的高濃度の活性成分の水溶液である。通例、水性濃縮物は、適用前にそれ自体の体積の10倍から500倍の水で希釈される。
【0002】
生産性向上が引き続き求められている今日の農薬市場において、製品の一連の最適な防除、有効性および送達効率を得るために散布タンク中で複数の製剤品を組み合わせることがますます一般化しつつある。しかし、これを行う際に、散布タンク混合物または溶液の構成成分が化学的または物理的に相互作用するときに、製品間の散布タンクでの非相溶性が生じることがあり、散布タンク混合の安定性、均質性または他の特性に対する悪影響を引き起こし、散布適用品の有効性を低下させる。散布タンク混合物または溶液の非相溶性は、結晶性沈殿、表面のスカム、油滴、ゲル、過剰な泡立ちまたは固形物塊の形成を通じて物理的に現れることがあり、散布ノズルまたはスクリーンの目詰まりが生じることがある。
【0003】
相溶性水性殺虫剤混合物または溶液は、1つまたはそれ以上の殺虫剤製品および/または他の一般に使用される成分の組合せまたは混合によって形成される場合、結果として固形沈殿物または相分離がほとんどまたは全く生じず、これらの生物学的有効性が完全に維持される、混合物または溶液として定義される。
【発明の概要】
【0004】
アリールオキシアルカン酸の水溶性塩、ピリジルオキシアルカン酸の水溶性塩またはグリホサートの水溶性塩の少なくとも1つを含む除草剤水溶液の相溶性を改善する方法であって、除草剤水溶液に1つまたはそれ以上の表面活性相溶化剤を添加することによる方法について述べる。
【0005】
さらに、アリールオキシアルカン酸の水溶性塩、ピリジルオキシアルカン酸の水溶性塩またはグリホサートの水溶性塩の少なくとも1つおよび1つまたはそれ以上の表面活性相溶化剤を含む、相溶性が改善した除草剤水溶液も提供する。
【0006】
加えて、2,4−Dの水溶性塩および/またはグリホサートの水溶性塩ならびに1つまたはそれ以上の表面活性相溶化剤を含む無水除草剤組成物も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
アリールオキシアルカン酸の水溶性塩、ピリジルオキシアルカン酸の水溶性塩またはグリホサートの水溶性塩の少なくとも1つおよび1つまたはそれ以上の表面活性相溶化剤を含有する除草剤水溶液ならびにそのような溶液を調製する方法を提供する。本明細書に記載する除草剤水溶液は、本明細書に記載する表面活性相溶化剤を含有しない、アリールオキシアルカン酸の水溶性塩、ピリジルオキシアルカン酸の水溶性塩および/またはグリホサートの水溶性塩を含有する、すでに公知の除草剤水溶液を超える改善された相溶性を有する。本明細書に記載する表面活性相溶化剤は、固形物の形成または相分離を抑制することによって、記載した溶液の均質性を維持する。これらの表面活性相溶化剤は、無機または有機アンモニウムカチオンが存在する場合にとりわけ有用であり、溶液のpHを上昇させる必要なしに相溶化をもたらす。
【0008】
アリールオキシアルカン酸の水溶性塩、たとえば2,4−Dの塩を含有する水溶液は、酸当量(ae)濃度が約0.3重量パーセントまたはそれ以上であり、pHが約6.5またはそれ以下であり、十分な濃度の無機カチオン、たとえばK
+、Na
+、Ca
2+、Mg
2+、NH
4+、Fe
2+、Fe
3+などがあるという条件下で沈殿固形物の形成につながる、相溶性の問題を有することがある。2,4−D塩のこれらの溶液からの沈殿固形物の形成に必要な正確な条件は、使用する水の温度および硬度ならびに溶液中の構成成分の実際の組成および濃度にも依存するであろう。たとえば、800g ae/ヘクタールの比率のDMA(登録商標)−6除草剤(ダウアグロサイエンス(Dow AgroSciences)LLC、インディアナポリス、インディアナ州;約7のpH値を有する2,4−Dジメチルアンモニウム塩)および840g ae/ヘクタールの比率および47リットル/ヘクタールの散布体積のラウンドアップウェザーマックス(Roundup WeatherMax)(登録商標)除草剤(モンサント(Monsanto)、セントルイス、ミズーリ州;約4.7のpH値を有するグリホサートカリウム塩溶液)の濃縮物から調製された散布タンク混合物は、pH値が約5であり、非相溶性となり、結果として固形物が顕著に生じる。
【0009】
除草剤性能を改善させるために、グリホサートを含有する水性除草剤散布混合物にアンモニウムサルフェートを添加する常法も、相溶性の問題をもたらすことがある。たとえば、除草剤、たとえば2,4−Dジメチルアンモニウム(DMA)は、アンモニウムサルフェートが添加されたグリホサートを含有する散布混合物中に存在し、pHおよび2,4−D濃度がちょうど記載した範囲内にある場合には、固形物の結晶化が生じる可能性がある。
【0010】
アリールオキシアルカン酸の水溶性塩、ピリジルオキシアルカン酸の水溶性塩またはグリホサートの水溶性塩の少なくとも1つを含有し、1つまたはそれ以上の表面活性相溶化剤をさらに含む除草剤水溶液の相溶性を改善するための方法および組成物が提供される。本明細書に記載する除草剤水溶液で有用な表面活性相溶化剤としては、たとえば1)ポリビニルピロリドンおよびそのコポリマーまたはグラフトポリマー;2)ポリビニルアルコールおよびそのコポリマーまたはグラフトポリマー;3)ポリエチレンオキシド側鎖によってグラフトされたポリメタクリレート;4)ポリエチレンオキシド側鎖によってグラフトされたポリアクリレート;5)ポリマー性両性分散剤;6)エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマー;7)合成ラテックス;8)スルホン化リグニン(リグノスルホネートとしても公知);ならびに本明細書に記載する表面活性相溶化剤のいずれかの混合物が挙げられる。表面活性相溶化剤は、塩、たとえば有機アミン塩または無機カチオンを含有する塩の形態であることができる。有機アミン塩の例としては、オルガノアンモニウム塩が挙げられる。このような塩中に存在するオルガノアンモニウムカチオンの例としては、モノメチルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、ジエチルエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、トリイソプロパノールアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムおよびN,N,N−トリメチルエタノールアンモニウム(コリン)またはその混合物が挙げられる。有用な無機カチオンの例としては、たとえばアンモニウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムが挙げられる。塩の形態の表面活性相溶化剤が部分的にその酸形態であること、たとえば部分的に、オルガノアミンまたは他のカチオンではなく水素カチオンを有することが可能である。表面活性相溶化剤は、ポリマーに結合した1つまたはそれ以上のカルボン酸基、スルホン酸基またはホスホン酸基を有してよく、これらの酸基は塩形態で存在してよい。
【0011】
本明細書で使用する場合、コポリマーという用語は、ランダムまたはブロック配列の2つまたはそれ以上の異なるモノマー単位の重合によって形成された鎖状高分子を示す。グラフトポリマーという用語は、本明細書で使用する場合、単一のモノマーの重合によって形成された鎖状高分子であって、該モノマーが異なる化学的性質の1つまたはそれ以上の鎖状分子とさらに反応して(鎖状分子がグラフトして)該鎖状ポリマー主鎖構造上にランダムまたは通常配列の側鎖または分枝を形成する、鎖状高分子である。このようなグラフトポリマーは、鎖状ポリマー主鎖にエチレン性不飽和カルボン酸モノマー単位を含んでよい。
【0012】
本明細書に記載する方法および組成物で使用するための好適な表面活性相溶化剤としては、ポリビニルピロリドン(たとえばアグリマー(Agrimer)(登録商標)15、30、60、90)、アルキル鎖でグラフトしたポリビニルピロリドン(たとえばアグリマー(Agrimer)(登録商標)AL−10、AL−25、AL−22、AL30)、ビニルピロリドン−ビニルアセテートコポリマー(たとえばアグリマー(Agrimer)(登録商標)VA 3、VA 6、VA 5、VA 7)およびビニルピロリドン−スチレンブロックコポリマー、たとえばアグリマー(Agrimer)(登録商標)ST、アッシュランド(Ashland)(ウェイン、ニュージャージー州)の一部門であるインターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ(International Specialty Products)より入手可能なアグリマー(Agrimer)(登録商標)製品;ポリビニルアルコール、そのコポリマーおよび誘導体、たとえばCelanese(ダラス、テキサス州)より入手可能なErkol(登録商標)M05/290およびM05/190;どちらもクローダ(Croda)(エジソン、ニュージャージー州)より入手可能である、ポリエチレンオキシド側鎖でグラフトしたポリメタクリレートポリマー、たとえばアトロックス(Atlox)(登録商標)4913およびポリマー性両性分散剤、たとえばアトロックス(Atlox)(登録商標)4915;ならびにエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマー、たとえばBASF(フローラムパーク、ニュージャージー州)より入手可能であるプルロニック(Pluronic)(登録商標)F−68およびテトロニック(Tetronic)(登録商標)304が挙げられる。
【0013】
本明細書に記載する方法および組成物での使用に好適な合成ラテックスとしては、アクリル系、スチレン−ブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリビニルアセテートおよびビニル−アクリル系ラテックスが挙げられ、そのうちUCAR(商標)ラテックス162およびENCOR(商標)162ラテックスが例であり、アルケマ社(Arkema,Inc.)(キング・オブ・プロシア、ペンシルバニア州)より入手可能である。
【0014】
本明細書に記載する方法および組成物での使用に好適な表面活性相溶化剤としては、製紙に使用する脱リグニン木材パルプを調製するために使用するクラフトまたはサルファイトプロセスで生成される副生成物である、リグノスルホネートとしても公知のスルホン化リグニンも挙げられる。好適なリグノスルホネートとしては、これに限定されるものではないが、すべてボレガードリグノテック(Borregaard Lignotech)USA(ロスチャイルド、ウィスコンシン州)より入手可能なボレスパース(Borresperse)NA、ボレスパース(Borresperse)CA、ウルトラジン(Ultrazine)NA、ウルトラジン(Ultrazine)CA、ノーリグ(Norlig)A、ノーリグ(Norlig)TSD、ユホキサン(Ufoxane)3A、ユホキサン(Ufoxane)2およびマラスパース(Marasperse)AGが挙げられる。これらのリグノスルホネートのとりわけ好適な例としては、すべてミードウェストベーコ(MeadWestvaco)(チャールストン、サウスカロライナ州)より入手可能なポリフォン(Polyfon)(登録商標)F、H、OおよびT、またReax(登録商標)83A、85A、907および910、ならびに1つまたはそれ以上のリグノスルホネートとナトリウムナフタレンスルホネートとの組合せ、たとえばまたミードウェストベーコ(MeadWestvaco)より入手可能なクラフトスパース(Kraftsperse)(登録商標)DD−6が挙げられる。本明細書に記載するスルホン化リグニンとしては、これに限定されるものではないが、水素、アンモニウム、ナトリウムおよびカルシウムより選択される1つまたはそれ以上の無機アルカリ性カチオンならびにこれに限定されるものではないが、モノメチルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、ジエチルエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、トリイソプロパノールアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムおよびN,N,N−トリメチルエタノールアンモニウム(コリン)より選択される1つまたはそれ以上のオルガノアンモニウムカチオンも挙げられる。
【0015】
本明細書に記載するアリールオキシアルカン酸の水溶性塩としては、たとえば2,4−D((2,4−ジクロロフェノキシ)酢酸)、2,4−DB、ジクロロプロップ、メコプロップ、MCPAおよびMCPBが挙げられる。本明細書に記載するピリジルオキシアルカン酸としては、たとえばトリクロピルおよびフルロキシピルが挙げられる。アリールオキシアルカン酸およびピリジルオキシアルカン酸の水溶性塩としては、オルガノアンモニウムカチオン、たとえばモノメチルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、ジエチルエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、トリイソプロパノールアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムおよびN,N,N−トリメチルエタノールアンモニウム(コリン)またはその混合物を含有するものが挙げられる。アリールオキシアルカン酸またはピリジルオキシアルカン酸の水溶性塩を含有する水溶液は、除草散布溶液および除草剤濃縮物を含んでよい。
【0016】
除草剤水溶液の相溶性を改善するための本明細書に記載する方法および組成物は、アリールカルボン酸および/またはヘテロアリールカルボン酸除草剤の水溶性塩、たとえばアミノピラリド、クロピラリド、ジカンバ、ピクロラムなどを含有する水溶液と共に使用してもよい。
【0017】
本明細書に記載するグリホサートの水溶性塩としては、カチオンがカリウム、ナトリウムおよびアンモニウムより選択される塩、またオルガノアンモニウム、たとえばイソプロピルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、コリンなどおよびトリメチルスルホニウムカチオンならびにその混合物が挙げられる。
【0018】
本明細書に記載する無機カチオンは、測定可能な量または濃度で存在する場合に、アリールオキシアルカン酸、ピリジルオキシアルカン酸、アリールカルボン酸および/またはヘテロアリールカルボン酸(場合によりグリホサートを含有する)の水溶性塩の水溶液を非相溶性にして、固形物を形成することがある無機カチオンである。これらの無機カチオンとしては、たとえばアルカリ金属カチオン、たとえばナトリウムおよびカリウム;アルカリ土類金属カチオン、たとえばカルシウムおよびマグネシウム;遷移金属カチオン、たとえばマンガン、銅、亜鉛および鉄;ならびにアンモニウムが挙げられる。約pH6.5より低いpHレベルにおける2,4−Dおよびグリホサートの水溶性塩を含有する水溶液は、無機カチオンの測定可能な濃度の存在下では、より高いpHレベルでのそのような溶液よりも非相溶性となる傾向がある。
【0019】
無機カチオンの測定可能な濃度という用語は、本明細書で使用する場合、溶液の非相溶性に必要な他の条件すべて、たとえば溶液中に存在する除草剤カルボン酸塩の組成および濃度、ならびに水の温度、硬度およびpHが存在する場合、アリールオキシアルカン酸の溶解性塩、ピリジルオキシアルカン酸の溶解性塩、アリールカルボン酸の溶解性塩、ヘテロアリールカルボン酸の溶解性塩およびグリホサートの少なくとも1つを含有する除草剤水溶液中に存在する、その溶液からの固形物の沈殿につながる無機カチオンの濃度を示す。たとえば酸当量(ae)ベースで約0.8重量%を超える2,4−D DMAを含有し、硬度342パーツ・パー・ミリオン(ppm)および最終pH約5の水で調製された室温の水溶液中にて、酸当量ベースで約0.8重量%の濃度のグリホサートカリウムは非相溶性となる。このような除草剤溶液の相溶性は、本明細書で論じる他の因子に加えて、溶液中に存在する無機カチオンの総濃度および実際の組成に依存する。
【0020】
本明細書に記載する除草剤水溶液に無機カチオンを与える成分としては、これに限定されるものではないが、肥料、微量栄養素、硬水、同時製剤成分などを含有する製品または水溶液などならびに無機カチオン、たとえばカリウム、ナトリウムおよびアンモニウムを含有するグリホサートの水溶性塩が挙げられる。
【0021】
肥料は、本明細書に記載する方法および組成物に場合により含まれ、水に分散または溶解されていてよく、アリールオキシアルカン酸、ピリジルオキシアルカン酸、アリールカルボン酸、ヘテロアリールカルボン酸およびグリホサートの少なくとも1つの水溶性塩を含有する水溶液と混合したときに、非相溶性の問題を引き起こすのに十分な量で、無機カチオン、たとえばアンモニウムおよびカリウムを含有してよい。本明細書に記載する方法および組成物に場合により含まれてよい肥料の量は、30パーセント以下、28パーセント以下、26パーセント以下、24パーセント以下、22パーセント以下、20パーセント以下、18パーセント以下、16パーセント以下、14パーセント以下、13パーセント以下、12パーセント以下、11パーセント以下、10パーセント以下、9パーセント以下、8パーセント以下、7パーセント以下、6パーセント以下、5パーセント以下、4.5パーセント以下、4パーセント以下、3.5パーセント以下、3パーセント以下、2.5パーセント以下、2パーセント以下、1.5パーセント以下または1パーセント以下である。肥料としては、これに限定されるものではないが、アンモニウムサルフェート(AMS)、アンモニウムホスフェート、アンモニウムニトレート、当分野で一般に28% Nまたは32% NまたはUANと呼ばれるアンモニウムニトレートおよび尿素の溶液、アンモニウムチオサルフェート、カリウムニトレート、カリウムホスフェート、カリウムクロリド、カリウムカーボネートなどおよびその混合物が挙げられる。AMSおよびUANは、その肥料特性に加えて、生物学的有効性を向上させるために、散布補助剤または水調整剤として、グリホサート除草剤処理剤と共に一般に使用される。ゆえに、AMSはグリホサートと混合されることが多く、本明細書に記載する方法および組成物は、これらの溶液をアリールオキシアルカン酸の水溶性塩、ピリジルオキシアルカン酸の水溶性塩、アリールカルボン酸の水溶性塩および/またはヘテロアリールカルボン酸の水溶性塩を含有する除草剤水溶液と組み合わせるときに、相溶性を改善するために使用できる。
【0022】
微量栄養素としては、ごく少量のみ必要とされる植物の成長および健康に必須の1つまたはそれ以上の栄養素が挙げられ、中でも、1つまたはそれ以上の無機カチオン、たとえばマンガン、銅、鉄、モリブデンおよび亜鉛のカチオンを含有してよい。このような微量栄養素は、作物植物への経済的な送達のために、アリールオキシアルカン酸の水溶性塩、ピリジルオキシアルカン酸の水溶性塩、アリールカルボン酸の水溶性塩、ヘテロアリールカルボン酸の水溶性塩および/またはグリホサートの水溶性塩を含有する除草剤散布水溶液に添加してよい。これらの除草剤散布水溶液の相溶性の問題は、本明細書に記載する、これらの溶液の非相溶性条件が存在する場合に生じることがある。
【0023】
本明細書に記載する除草剤水溶液において、特に濃縮物およびプレミックス濃縮物において、非相溶性を引き起こすことがあるオルガノアンモニウムカチオンとしては、モノメチルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、ジエチルエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、トリイソプロパノールアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムおよびN,N,N−トリメチルエタノールアンモニウム(コリン)またはその混合物が挙げられる。
【0024】
同時製剤成分としては、無機カチオンを含有する製品または成分が挙げられ、補助剤、発泡防止剤、抗菌剤、緩衝剤、防食剤、消泡剤、沈殿剤、分散剤、染料、凝固点降下剤、中和剤、浸透助剤、金属イオン封鎖剤、散布ドリフト制御剤、展着剤、安定剤、固着剤、懸濁助剤、粘度調整剤、湿潤剤などの1つまたはそれ以上より選択されてよい。
【0025】
本明細書に記載する表面活性相溶化剤は、散布タンク混合物、濃縮物またはプレミックス濃縮物中にアリールオキシアルカン酸の水溶性塩、ピリジルオキシアルカン酸の水溶性塩、アリールカルボン酸の水溶性塩、ヘテロアリールカルボン酸および/またはグリホサートの水溶性塩を含有する除草剤水溶液の相溶性を改善するために使用してよい。水性散布タンク混合物において、本明細書に記載する表面活性相溶化剤は、相溶性が改善した除草剤散布水溶液に対して、約0.01から約5重量パーセント、約0.01から約4重量パーセント、約0.01から約3重量パーセント、約0.01から約2重量パーセント、約0.01から約1重量パーセント、約0.05から約2重量パーセント、約0.05から約1重量パーセント、約0.05から約0.5重量パーセント、約0.1から約0.4重量パーセント、約0.15から約0.3重量パーセントまたは約0.15から約0.25重量パーセントを構成してよい。水性濃縮物および水性プレミックス濃縮物において、本明細書に記載する表面活性相溶化剤は、相溶性が改善した除草剤水溶液に対して、約0.05から約10重量パーセント、約0.05から約8重量パーセント、約0.05から約6重量パーセント、約0.1から約5重量パーセント、約0.2から約5重量パーセント、約0.3から約5重量パーセント、約0.4から約5重量パーセント、約0.5から約5重量パーセント、約0.5から約4重量パーセント、約0.5から約3重量パーセント、約1から約3重量パーセントまたは約1.5から約2.5重量パーセントを構成してよい。
【0026】
いくつかの例において、本明細書に記載する表面活性相溶化剤は、本明細書に記載するような除草剤水溶液中にすでに存在する無機イオンの濃度を上昇させることがあり、このような溶液において非相溶性を生じさせることがある、無機イオンを含有する可能性がある。このような場合、選ばれた表面活性相溶化剤は、表面活性相溶化剤の添加後に、上昇した無機イオン濃度を含有するこのような溶液を相溶化できるべきである。または、無機カチオンを含有しない表面活性相溶化剤、たとえばスルホン酸基が酸またはオルガノアンモニウム塩形態であるリグノスルホネート、または塩を形成できる化学官能基を含有しない表面活性相溶化剤を使用することができる。無機カチオンを含有しない、このような表面活性相溶化剤は、周囲温度および周囲温度未満の条件下での水性除草剤濃縮物およびプレミックス濃縮物の貯蔵安定性を改善するのに特に有用なことがある。
【0027】
理論に縛られることを意図するものではないが、本明細書に記載する表面活性相溶化剤は、固形分の結晶化または沈殿を防止または抑制することによって、アリールオキシアルカン酸の水溶性塩、ピリジルオキシアルカン酸の水溶性塩、アリールカルボン酸の水溶性塩、ヘテロアリールカルボン酸およびグリホサートの水溶性塩の少なくとも1つ、好適な濃度の1つまたはそれ以上の無機カチオンならびに約6.5未満のpHより構成される除草剤水溶液の相溶性を改善すると考えられる。これらの固形分の形成を防止する表面活性相溶化剤の相対有効性は、滴定分析手順において固形分の結晶化開始pH(OSPOC)を測定することによって概算することができる。特定の組成物のOSPOCは、たとえば無機カチオンのアリールオキシアルカン酸塩またはピリジルオキシアルカン酸塩、たとえば2,4−Dのカリウム塩の溶液を強酸、たとえば硫酸によって、特定のpH値(OSPOC)にて固形分または結晶が形成を開始するまで滴定することによって測定できる。本明細書に記載するいずれの特定の表面活性相溶化剤の使用により観測されるOSPOCが低ければ低いほど、該表面活性相溶化剤は、本明細書に記載する除草剤水溶液中での結晶化の防止に、したがって除草剤水溶液の相溶性の改善により良好に作用し得る。
【0028】
または、本明細書に記載する除草剤水溶液の相溶性の改善における、本明細書に記載する表面活性相溶化剤の相対有効性は、タンクミックス溶液中の無機カチオンのアリールオキシアルカン酸塩、ピリジルオキシアルカン酸塩、アリールカルボン酸塩またはヘテロアリールカルボン酸塩、たとえば2,4−Dのカリウム塩の臨界結晶化濃度(CCC)を測定することによって決定できる。特定の組成物のCCCは、組成物の飽和および過飽和溶液または混合物を調製して、次に溶液中に残存する特定の除草剤カルボン酸の濃度を測定することによって測定できる。特定の表面活性相溶化剤の使用により観測されるCCCが高ければ高いほど、該表面活性相溶化剤は、本明細書に記載する除草剤水溶液中での結晶化の防止に、したがって除草剤水溶液の相溶性の改善により良好に作用し得る。
【0029】
本明細書に記載する表面活性相溶化剤を使用して相溶化され得る本明細書に記載する除草剤水溶液は、濃縮物、プレミックス濃縮物およびこのような濃縮物もしくはプレミックス濃縮物を希釈することによって、または散布溶液の複数の成分をタンク混合することによって調製される散布溶液を含んでよい。水性除草剤濃縮物またはプレミックス濃縮物は、全組成物に対して約0.05から10重量パーセントの、0.05から8重量パーセントの、0.05から6重量パーセントの、0.1から5重量パーセントの、0.2から5重量パーセントの、0.3から5重量パーセントの、0.4から5重量パーセントの、0.5から5重量パーセントの、0.5から4重量パーセントの、0.5から3重量パーセントの、1から3重量パーセントの、または1.5から2.5重量パーセントの1つまたはそれ以上の本明細書に記載する表面活性相溶化剤ならびに酸当量ベースで約20から約60重量パーセントのアリールオキシアルカン酸(たとえば2,4−D)の水溶性塩、ピリジルオキシアルカン酸(たとえばトリクロピル)の水溶性塩、アリールカルボン酸(たとえばジカンバ)の水溶性塩、ヘテロアリールカルボン酸(たとえばアミノピラリド)の水溶性塩およびグリホサートの水溶性塩の少なくとも1つまたはこれらの塩の1つもしくはそれ以上を含有するプレミックスの使用を含んでよい。相溶性が改善した水性除草剤濃縮物またはプレミックス濃縮物は、好ましくは、製品または溶液と共に水へ希釈したときに、通常、本明細書に記載するような非相溶性を引き起こしやすい条件にて、相溶性が改善した除草剤散布溶液を形成する濃縮物中に、溶解または分散した表面活性相溶化剤を含有する溶液である。相溶性が改善した除草剤散布溶液は、散布溶液の個々の構成成分を使用時にタンク混合することによっても調製してよい。このような散布溶液は、相溶性が改善した除草剤散布溶液を形成するために、本明細書に記載するような、非相溶性を引き起こしやすい条件にて、製品または溶液と組み合わせても、または製品または溶液によって希釈してもよい。
【0030】
2,4−Dの溶解性塩、グリホサートの溶解性塩および無機カチオンを含有する散布水溶液中での本明細書に記載するような表面活性相溶化剤の使用によって、約6.5より低いpHレベルにて相溶性が改善した溶液が提供される。加えて、改善された相溶性は、約5.5より低いpHで提供することができる。さらに、改善された相溶性は、約5より低いpHで提供することができる。
【0031】
グリホサートおよび2,4−Dの水溶性塩を含有する相溶性散布水溶液は、グリホサートおよび2,4−Dの塩の水溶性濃縮物を、1つまたはそれ以上の記載した表面活性相溶化剤を含有する水溶液に添加することによって調製できる。他の同時製剤成分、たとえばこれに限定されるものではないが、分散剤、湿潤剤、散布ドリフト低減剤、肥料および発泡防止剤を含む水溶性または水分散性成分は、場合により散布溶液に添加してよい。
【0032】
本明細書に記載する方法を使用して、グリホサートおよび2,4−Dの水溶性塩ならびに無機カチオンを含有する、約6.5より低いpHにおける散布溶液の相溶性を改善する例は:
a)最終散布溶液に対して、約0.01から約5重量パーセントの表面活性相溶化剤、たとえばポリフォン(Polyfon)(登録商標)Oを含有する水溶液を調製すること;
b)最終散布溶液に対して酸当量(ae)ベースで約0.3から約5重量パーセントの2,4−Dを含む溶液を提供するために、2,4−D DMAの水性濃縮物をa)で調製した溶液に添加すること;
c)最終pHが約6.5未満である場合に最終散布溶液に対して酸当量(ae)ベースで、約0.3から約5重量パーセントのグリホサートを含む溶液を提供するために、ラウンドアップウェザーマックス(Roundup WeatherMax)(登録商標)除草剤の水性濃縮物(グリホサートカリウム塩を含有する水性濃縮物)(モンサント(Monsanto)、セントルイス、ミズーリ州)をb)で調製した溶液に添加すること;
d)最終散布溶液に対して約1から約5重量パーセントのAMSを含む相溶性溶液を与えるために、アンモニウムサルフェート(AMS)の水溶液をc)で調製した溶液に添加すること;および
e)場合により、他の不活性同時製剤成分をd)で調製した溶液に添加すること
を含む。
【0033】
さらなる例において、相溶化除草剤散布水溶液は、1つまたはそれ以上の水性除草剤濃縮物を希釈することによって、または散布溶液の構成成分をタンク混合することによって調製してよい。このような散布溶液は、全散布溶液に対して約0.01から約5重量パーセントの、約0.05から約2重量パーセントの、または約0.05から約0.5重量パーセントの本明細書に記載する1つまたはそれ以上の表面活性相溶化剤、それぞれ約0.3から約10重量パーセントの、または約0.3から約5重量パーセントの2,4−Dの水溶性塩およびグリホサートの水溶性塩ならびに場合によりいずれかの追加の成分、たとえば肥料を含んでよい。
【0034】
さらなる例において、相溶化水性除草剤濃縮物は、本明細書に記載する1つまたはそれ以上の表面活性相溶化剤ならびに2,4−Dの水溶性塩もしくはグリホサートの水溶性塩または2,4−Dおよびグリホサートの水溶性塩を含有するプレミックスを含有することができる。濃縮物は、全組成物に対して約0.05から約10重量パーセントの、約0.1から約5重量パーセントの、または約0.5から約5重量パーセントの1つまたはそれ以上の表面活性相溶化剤および酸当量ベースで約20から約60重量パーセントの少なくとも1つの2,4−Dの水溶性塩およびグリホサートの水溶性塩の少なくとも1つを含んでよい。本明細書に記載するように、相溶化水性除草剤濃縮物は、製品または溶液と共に水に希釈したときに、通常、本明細書に記載するような非相溶性を引き起こしやすい条件にて、相溶性が改善した除草剤散布溶液を形成する、濃縮物中に溶解または分散した表面活性相溶化剤を含有する溶液である。
【0035】
本明細書に記載する相溶性水性除草剤濃縮物を調製する代表的な方法では、1つまたはそれ以上の表面活性相溶化剤、2,4−Dおよびグリホサートの少なくとも1つの水溶性塩ならびに場合により、いずれの追加の成分も水中で共に混合して、水性濃縮物を提供する。成分の添加順序および混合条件は、当業者が決定することができる。
【0036】
本明細書に記載する方法および組成物は、2,4−Dの水溶性塩および/またはグリホサートの水溶性塩ならびに本明細書に記載するような1つまたはそれ以上の表面活性相溶化剤を含む、無水除草剤組成物も含む。無水除草剤組成物は、約0.05から約10重量パーセントの、約0.05から約8重量パーセントの、約0.05から約6重量パーセントの、約0.1から約5重量パーセントの、約0.2から約5重量パーセントの、約0.3から約5重量パーセントの、約0.4から約5重量パーセントの、約0.5から約10重量パーセントの、約0.5から約5重量パーセントの、約0.5から約4重量パーセントの、約0.5から約3重量パーセントの、約1から約3重量パーセントのまたは約1.5から約2.5重量パーセントの1つまたはそれ以上の表面活性相溶化剤および酸当量ベースで約20から約80重量パーセントの2,4−Dの水溶性塩もしくはグリホサートの水溶性塩または2,4−Dおよびグリホサートの水溶性塩の混合物を含むことができる。本明細書に記載するような無水除草剤組成物は、製品または溶液と共に水へ希釈したときに、通常、本明細書に記載するような非相溶性を引き起こしやすい条件にて、相溶性が改善した除草剤散布溶液を形成する。
【0037】
無水除草剤組成物を調製する代表的な方法では、1つまたはそれ以上の表面活性相溶化剤、2,4−Dおよびグリホサートの少なくとも1つの水溶性塩ならびに場合により、いずれの追加の成分も水中で共に混合して、水性濃縮物を提供する。成分の添加順序および混合条件は、当業者が容易に決定することができる。本明細書に記載する成分を無水ブレンドすることによっても調製されてよい無水除草剤組成物を提供するために、水性濃縮物は次に水の除去によって濃縮してよく、次に乾燥させてよい。無水組成物を、製品または溶液を含有する散布水溶液に、通常、本明細書に記載するような非相溶性を引き起こしやすい条件にて添加して、相溶性が改善した除草剤散布溶液を形成することができる。一般に公知であるように、濃縮物製剤または無水製剤は、農業での常法に応じて、使用時に約10から約500倍希釈で水に希釈または溶解させてよい。
【0038】
本明細書に記載する方法および組成物は、望ましくない植物の成長を制御するために使用できる。このような使用において、相溶性が改善した散布水溶液の除草剤的有効量を土壌範囲または対象植物の茎葉に適用して、望ましくない雑草植物を死滅させるか、またはその好適な防除を提供する。
【0039】
代表的な農業用途で用いられる、本明細書に記載する方法および組成物に使用される活性成分の有効量は、たとえば植物の種類、植物の成長段階、環境条件の過酷さ、防除される雑草および適用条件に依存することが多い。通例、防除が必要な雑草植物を、全散布水溶液に対して酸当量ベースで約0.01から約10重量パーセントの、好ましくは約0.1から約5重量パーセントの除草剤活性成分を含有する除草剤散布水溶液と接触させる。接触はいずれの有効な方式であってもよい。たとえば植物のいずれの露出部分、たとえば葉または茎に、担体、たとえば水中の溶液としての活性成分を散布してよい。
【0040】
本明細書に記載する方法および組成物は、散布溶液に含有されている除草剤に本来耐性である、または遺伝子操作によってもしくは突然変異および選択によって該除草剤に耐性または抵抗性とされた作物中の雑草の防除にとりわけ有用である。たとえばグリホサートに耐性または抵抗性とされ、2,4−Dに本来、耐性または抵抗性であるか、または遺伝的に耐性または抵抗性とされたトウモロコシ、小麦、コメ、大豆、砂糖大根、綿、ナタネおよび他の作物を処理することができる。本発明の除草剤散布水溶液は、グリホサートに抵抗性となった多くの雑草、たとえばヒメムカシヨモギ(コニザ・カナデンシス(Conyza canadensis)、ERICA)の防除にも有効である。
【0041】
場合により、本明細書に記載する方法および組成物は、1つまたはそれ以上の界面活性剤をさらに含有してよい。界面活性剤の性質は、アニオン性、カチオン性または非イオン性であることができる。代表的な界面活性剤としては、アルキルサルフェートの塩、たとえばジエタノールアンモニウムラウリルサルフェート;アルキルアリールスルホネート塩、たとえばカルシウムドデシルベンゼンスルホネート;アルキルおよび/またはアリールアルキルフェノール−アルキレンオキシド付加生成物、たとえばノニルフェノールエトキシレート;アルコール−アルキレンオキシド付加生成物、たとえばトリデシルアルコールエトキシレート;石鹸、たとえばナトリウムステアレート;アルキル−ナフタレンスルホネート塩、たとえばナトリウムジブチル−ナフタレンスルホネート;スルホスクシネート塩のジアルキルエステル、たとえばナトリウムジ(2−エチルヘキシル)スルホスクシネート;ソルビトールエステル、たとえばソルビトールオレエート;四級アミン、たとえばラウリルトリメチルアンモニウムクロリド;エトキシ化アミン、たとえばタローアミンエトキシレート;ベタイン界面活性剤、たとえばココアミドプロピルベタイン;脂肪酸のポリエチレングリコールエステル、たとえばポリエチレングリコールステアレート;モノおよびジアルキルホスフェートエステルの塩;ならびにその混合物が挙げられる。 使用されるこれらの界面活性剤の量および組合せは、当業者が容易に決定することができる。表面活性相溶化剤について上で論じたように、記載した組成物の物理的安定性を維持するために、無機イオン、たとえばNa
+、K
+またはNH
4+を結晶化に影響を及ぼすレベルで含有する界面活性剤の使用を避けることが好都合であり得る。
【0042】
上述した具体的な方法および組成物に加えて、本明細書に記載する方法および組成物は、1つまたはそれ以上の追加相溶性成分を含有する組成物も含んでよい。これらの追加成分としては、たとえば、組成物中に溶解または分散してよい1つまたはそれ以上の殺虫剤または他の成分が挙げられ、ダニ駆除剤、殺藻剤、摂食阻害剤、殺鳥剤、殺菌剤、鳥忌避剤、化学不妊剤、落葉剤、乾燥剤、消毒剤、殺真菌剤、除草剤毒性緩和剤、除草剤、昆虫誘引物質、殺虫剤、昆虫忌避剤、哺乳動物忌避剤、交信かく乱剤、軟体動物駆除剤、植物活性化剤、植物のサイズおよび構造の調節剤、殺鼠剤、信号化学物質、相乗剤ならびに殺ウイルス剤より選択してよい。また、機能的有用性を提供する他のいずれのさらなる成分、たとえば発泡防止剤、抗菌剤、緩衝剤、防食剤、分散剤、染料、香料、凝固点降下剤、中和剤、付臭剤、浸透助剤、金属イオン封鎖剤、散布ドリフト制御剤、展着剤、安定化剤、固着剤、粘度調節添加物なども、これらの組成物に含まれてよい。
【実施例】
【0043】
以下の実施例は、本明細書に記載する組成物および方法の多様な態様を例証するために与えられ、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0044】
実施例1
本明細書に記載する表面活性相溶化剤(SAC)による2,4−Dカリウムの水溶液の結晶化開始pH(OSPOC)の低下
0.2N硫酸水溶液の添加によってpHをゆっくりと低下させながら、SACを添加したまたは添加しない、3重量パーセント(酸当量ベース)の2,4−Dカリウム(2,4−D K)の水溶液の100mLサンプルの結晶化開始pH(OSPOC;結晶が開始するときの溶液のpH)を決定した。表1に示すように、全溶液に対して0.2重量パーセントのSACを2,4−D Kの水溶液に添加することによって、SACを使用しない対照サンプルと比較して、2,4−D含有溶液のOSPOCが著しく低下した。
【0045】
【表1】
1アグリマー(Agrimer)(登録商標)製品は、アッシュランド(Ashland)(ウェイン、ニュージャージー州)の一部門であるインターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ(International Specialty Products)より入手可能である;Erkol(登録商標)製品は、Celanese(ダラス、テキサス州)より入手可能である;アトロックス(Atlox)(商標)およびメタスパース(Metasperse)(商標)製品は、クローダ社(Croda Inc.)(エジソン、ニュージャージー州);ポリフォン(Polyfon)(登録商標)、クラフトスパース(Kraftsperse)(登録商標)およびREAX(登録商標)製品は、ミードウェストベーコ社(MeadWestvaco Corp.)(チャールストン、サウスカロライナ州)より入手可能である;UCAR(商標)162ラテックスは、アルケマ社(Arkema,Inc.)(キング・オブ・プロシア、ペンシルバニア州)より入手可能である;テトロニック(Tetronic)(登録商標)およびプルロニック(Pluronic)(登録商標)製品は、BASF(フローラムパーク、ニュージャージー州)より入手可能である。
【0046】
実施例2
表面活性相溶化剤(SAC)を添加したグリホサートの水溶液中の2,4−Dの塩の臨界結晶化濃度(CCC)の決定
2,4−D組成物のCCCは、以下の方法を使用して測定した。結晶化を観察する各種の過飽和2,4−D濃度にて、2,4−D、グリホサート、無機イオンおよび表面活性相溶化剤を含有する散布混合物を調製した。各混合物中で形成された結晶を単離、乾燥および秤量した。各混合物から単離した結晶の量/重量を初期混合物中の2,4−D重量%酸当量濃度に対してプロットして、線形関数を得た。結晶重量対2,4−D重量%酸当量濃度の外挿した線形関数のX交点を測定することによって、CCCを決定した。たとえば、以下の手順を使用して、表2に示すCCC値を決定した:
1.適量の342ppm硬度の水および2,4−D水性濃縮物製剤、たとえばDMA塩をビルトイン1−2%重量/重量 SACありまたはなしで、100ml遠心管に添加して、均質な溶液が得られるまで混合する。
2.工程1にて2,4−D水性濃縮物中にビルトイン成分として含まれていない場合は、SACをタンク混合添加剤として添加する。
3.適量のグリホサート水性濃縮物製剤、たとえばラウンドアップパワーマックス(Roundup PowerMax)(登録商標)中に見出されるグリホサートK塩を遠心管に添加し、反転させて混合する。
4.場合により、他のタンク混合成分、たとえばアンモニウムサルフェート(AMS)を遠心管に添加する。
5.サンプルを周囲温度にて24時間にわたって平衡にさせてから、結晶沈殿を濾過、回収、乾燥および秤量する。
6.1:1の比で2,4−Dおよびグリホサートの所望の酸当量濃度を達成するための2,4−Dおよびグリホサート塩の量を添加して、水の量を残量成分として計算して、100mlの最終混合物体積を達成する。
7.通例、一連の混合物を、酸当量(ae)ベースの各除草剤塩の過飽和濃度、たとえば1.8%、2.4%および3.0%にて、上の工程に従って調製した。回収した結晶性沈殿の重量を、混合物中の2,4−Dの対応する酸当量濃度に対してプロットした。次に、結晶沈殿重量対2,4−D%酸当量濃度の線形関数を、結晶沈殿重量がゼロになる水平軸まで外挿することによって、臨界結晶化濃度(CCC)を結晶化が起こる前の最大%の2,4−D酸当量濃度として決定することができる。
【0047】
【表2】
1使用した2,4−D塩は、どちらもインディアナ州インディアナポリスのダウアグロサイエンシズ社(Dow AgroSciences LLC)より入手可能な、DMA(登録商標)−4(456g ae/L 2,4−Dジメチルアンモニウム塩を含有する水性濃縮物)またはDMA(登録商標)−6(678g ae/L 2,4−Dジメチルアンモニウム塩を含有する水性濃縮物)として供給される、金属イオン封鎖されていないジメチルアンモニウム塩;および2,4−D DMEA(456g ae/L 2,4−Dジメチルエタノールアンモニウム塩を含有する水性濃縮物)であった。
2ラウンドアップパワーマックス(Roundup PowerMax)(登録商標)は、540g ae/L グリホサートカリウム塩を含有する水性濃縮物(モンサント社(Monsanto Company)、セントルイス、ミズーリ州)である。
3ポリフォン(Polyfon)(登録商標)製品は、ミードウェストベーコ社(MeadWestvaco Corp.)(チャールストン、サウスカロライナ州)より入手可能である。
【0048】
実施例3
表面活性相溶化剤(SAC)を含有する2,4−Dコリン塩の相溶性水性濃縮物の調製およびグリホサート塩およびアンモニウムサルフェート(AMS)を含有する散布溶液での該濃縮物の希釈
表3に示す散布溶液を調製するための代表的な手順は、以下の工程を含んでいた:
1.適量の342ppm硬度の水を100ml遠心管に添加し、次に適量の2,4−D水性濃縮物製剤、たとえば2,4−Dコリン塩を添加して、均質な溶液が得られるまで混合する。
2.ビルトインSACを有する2,4−D濃縮物製剤から、またはSACもしくはその濃縮物溶液の混合物中への直接添加のどちらかによって、SACを上の散布混合物に包含させた。
3.適量のグリホサート水性濃縮物製剤、たとえばグリホサートK塩を遠心管に添加して、反転させて混合する。
4.場合により、他のタンク混合成分、たとえばAMSを遠心管に添加する。
5.1:1の比で2,4−Dおよびグリホサートの所望の酸当量濃度を達成するための2,4−Dおよびグリホサート塩の量を添加して、水の量を残量成分として計算して、100mlの最終混合物体積を達成した。たとえば840g ae/haの使用率での15gal/ac、10gal/acおよび5gal/ac散布体積は、タンク混合物中、約0.6%、0.9%および1.8%酸当量の2,4−Dおよびグリホサートそれぞれに相当する。
6.このように調製した散布溶液を周囲温度にて24時間にわたって平衡にさせてから、いずれかの結晶または沈殿の存在について調べた。
【0049】
【表3】
1使用した2,4−D塩は、インディアナ州インディアナポリスのダウアグロサイエンシズ社(Dow AgroSciences LLC)より入手可能な、DMA(登録商標)−4(456g ae/L 2,4−Dジメチルアンモニウム塩を含有する水性濃縮物)として供給される、金属イオン封鎖されていないジメチルアンモニウム塩であった。
2ラウンドアップパワーマックス(Roundup PowerMax)(登録商標)は、モンサント社(Monsanto Company)(セントルイス、ミズーリ州)から入手可能な540g ae/L グリホサートカリウム塩を含有する水性濃縮物である。
3ポリフォン(Polyfon)(登録商標)製品は、ミードウェストベーコ社(MeadWestvaco Corp.)(チャールストン、サウスカロライナ州)より入手可能である。
【0050】
本発明は、本発明のいくつかの態様の例証として意図される、本明細書に開示した実施形態によって範囲を限定されず、機能的に均等であるいずれの実施形態も本発明の範囲内である。プロセス、方法および組成物の多様な修正は、本明細書に提示および記載するものに加えて、当業者に明らかとなり、添付する特許請求の範囲内に含まれることが意図される。さらに、本明細書で開示するプロセスおよび方法工程ならびに組成物構成成分のある代表的な組合せが上の実施形態において特に論じられているが、組成物構成成分ならびにプロセスおよび方法工程の他の組合せが当業者に明らかとなり、また添付する特許請求の範囲内に含まれることが意図される。このため構成成分または工程の組合せは、本明細書に明示的に記載されることがある;しかし、明示的に指摘されなくても、構成成分および工程の他の組合せも含まれる。「含む(comprising)」という用語およびその変形は、本明細書で使用する場合、「含む(including)」という用語およびその変形と同義的に用いられ、オープンで非限定的な用語である。