(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ボデー内に設けた弁座シートにダイヤフラムを押圧して弁閉するダイヤフラムバルブにおいて、前記ボデーに設けたアクチュエータ内のピストン機構で前記ダイヤフラムを押圧し又は押圧を解除すると共に、前記アクチュエータのケーシングに固定側係止部を設け、かつ前記ピストン機構の適宜位置に可動側係止部を設け、前記ピストン機構を上方向の解除側に動かしたときに、前記固定側係止部と前記可動側係止部の係止位置を一致させ、かつ前記ケーシングの外方より挿通した保持部材で前記固定側係止部と前記可動側係止部を係止させて前記弁座シートに負荷を掛けずに長期保存を可能とし、バルブ使用時には、前記保持部材を前記ケーシングの外方より取り外してバルブを使用可能としたことを特徴とする高圧用自動ダイヤフラムバルブ。
前記ピストン機構は、エアーを供給してピストンを上方向に動かして前記ダイヤフラムを自力にて上方向に変形移動すると共に、全閉時に、倍力機構を介してスプリングの弾発力で下方に負荷を与える構造を有し、ピストンを上方に動かしたときに、前記保持部材でピストン機構が下がるのを防止した請求項1に記載の高圧用自動ダイヤフラムバルブ。
前記ピストン機構にエアーを供給し、ピストンを上死点へ移動させて前記固定側係止部である係止穴部に前記可動側係止部である係止溝の位置を一致させ、一致した双方の穴に外方より保持部材である保持ピンを差し込み、使用時には当該保持ピンを外方より抜き出してバルブを使用可能とした請求項1又は2に記載の高圧用自動ダイヤフラムバルブ。
前記固定側係止部である2つの係止穴部に前記可動側係止部である半円形係止溝又は係止孔の位置を一致させ、一致させた係止穴部に外方より保持部材である保持ピンを差し込み、使用時には当該保持ピンを外方より抜き出してバルブを使用可能とした請求項1又は2に記載の高圧用自動ダイヤフラムバルブ。
ボデー内に設けた弁座シートにダイヤフラムを押圧して弁閉するダイヤフラムバルブにおいて、前記ボデーに設けたアクチュエータ内のピストン機構で前記ダイヤフラムを押圧し又は押圧を解除すると共に、前記ピストン機構にピストンの上下方向の往復動に連動して上下移動する昇降体を設け、かつ前記アクチュエータのケーシングの外方より、前記昇降体を上方向の解除側に動かしたときにこの昇降体の底面側に生じる隙間に保持部材を挿入可能に設け、前記昇降体の解除側への移動時に前記昇降体底面に前記保持部材を係止させ、前記弁座シートに負荷を掛けずに長期保存を可能とし、バルブ使用時には、前記保持部材を前記ケーシングの外方より取り外してバルブを使用可能としたことを特徴とする高圧用自動ダイヤフラムバルブ。
前記ピストン機構にエアーを供給して前記ピストンを下方向に動かし、かつ前記ダイヤフラムを自力にて上方向に変形移動すると共に、全閉時に、スプリングの弾発力により前記ピストンを上方向に動かしたときに倍力機構を介して前記昇降体を下方向に移動させて負荷を与える構造を有し、ピストンを下方に動かしたときに、前記保持部材でピストン機構の昇降体が下がるのを防止した請求項5に記載の高圧用自動ダイヤフラムバルブ。
前記ピストン機構にエアーを供給し、ピストンを下死点へ移動させたときに前記倍力機構を介して前記昇降体の底面とこの底面が全閉時に当接する固定側当接面との間に隙間を設け、この隙間に前記ケーシングに形成した挿入孔から保持部材である保持ピンを差し込み、使用時には当該保持ピンの外端に形成した折曲部を摘んで前記ケーシングの外方より抜き出してバルブを使用可能とした請求項6に記載の高圧用自動ダイヤフラムバルブ。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明における高圧用自動ダイヤフラムバルブの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。この実施形態における本発明の高圧用自動ダイヤフラムバルブとして、
図1、
図2は第1実施形態を、
図3、
図4は第2実施形態を、
図5、
図6は第3実施形態をそれぞれ示している。
【0030】
図1、
図2に示す本発明の第1実施形態では、バルブ用アクチュエータ(以下、アクチュエータという。)1aは、ケーシング2aとこのケーシング2aを被蓋するためのベース体3とを有するボデー4を備え、このボデー4内に、テーパ面状部5を形成したテーパ面状部面6、固定ディスク7に形成されたテーパ面からなる固定ディスク面8、移動部材であるボール9を有する倍力機構10を備えている。さらに、アクチュエータ1aには、弁駆動用出力軸部11、ディスク12が設けられ、このアクチュエータ1aにより、ダイヤフラム13を押圧可能になっている。
【0031】
アクチュエータ1aは、ピストン14の背面に取付けたスプリング15の弾発力により、推力部材16がダイヤフラム13を閉止する構造であって、スプリング15の推力を倍力機構10により出力軸部11に拡大して出力する構造のノーマリークローズタイプの空気圧作動アクチュエータとして構成されている。
【0032】
倍力機構10は、スプリング15が推力部材16を介してダイヤフラム13を押圧する力を拡大するための機構である。この倍力機構10には、テーパ面状部面6の内側に設けられ、出力軸部11の上部に設けたディスク12面上のボール載置部17に複数個のボール9が配置され、これらのボール9が固定ディスク面8とテーパ面状部面6との間に挟持されることで構成されている。ケーシング2aとベース体3とは、密封状態で螺着されてアクチュエータ1aとして一体化される。ボール9は、例えば、鋼球よりなり、倍力機構10の内部に複数個配置される。ボール9は適宜数であればよいが、少なくとも3個以上設けることが好ましく、例えば、8〜12個程度とするとよい。この場合、出力軸部11と固定ディスク7とが安定した状態になる。
【0033】
固定ディスク7は、シャフト19を介してアクチュエータ1aの上部に固定される。その際、固定ディスク7は、シャフト19に形成された雄ねじ部20とカバー22に形成された雌ねじ部21との螺着により出力軸部11と対向するように配置される。この螺着構造によりシャフト19を上下に移動してその位置を調整でき、固定ディスク7の位置を調整可能になっている。
【0034】
シャフト19の内部には、アクチュエータ1aの外部と、推力部材16とベース体3との間を連通する吸排気口23が形成されている。この吸排気口23を介してアクチュエータ1aの外部よりピストン14とシリンダ24との間のエアー操作室25内に圧縮エアーが供給可能になっている。また、エアー操作室内のエアーの排気も、この吸排気口23からなされる。
【0035】
推力部材16は略円筒状に形成され、この1個の推力部材16がケーシング2a内に往復移動可能に収納されており、内外周側には、Oリング27が装着されている。推力部材16は、本例では1段であるが、複数段でもよい。
【0036】
出力軸部11は、ダイヤフラムピース29の上部に配設され、このダイヤフラムピース29はアクチュエータ1aに取付けたバルブ30のダイヤフラム13に直接接触して駆動させるために設けられている。出力軸部11の固定ディスク7との対向側にはディスク12が設けられ、このディスク12面上にはボール載置部17が形成されている。出力軸部11の下部には軸部31が形成され、この軸部31は、ベース体3に形成された取付穴32に挿入されており、これにより出力軸部11全体がベース体3に対して駆動自在になっている。出力軸部11とベース体3との間にはコイルスプリング33が装着されている。出力軸部11は、コイルスプリング33により、
図1において上方向に弾発付勢されている。軸部31の外周にはOリング34が装着され、このOリング34により軸部31とベース体3との間がシールされる。
【0037】
ベース体3には、前述したように出力軸部11の軸部31が挿入可能な取付穴32が形成され、この取付穴32により、出力軸部11が上下方向に案内される。ベース体3のケーシング側外周にはオネジ部35が形成され、このオネジ部35は、ケーシング2aに形成されたメネジ部36とシール部材37を介して密封シール可能に螺着接合されている。ベース体3のバルブ装着側には雄螺子38が形成され、この雄螺子38を介してアクチュエータ1aがバルブ30に着脱される。
【0038】
バルブ30はダイヤフラム弁であり、
図1、
図2、
図3、
図5に示した構造は、その一例である。このバルブ30は、一次側流路39、二次側流路40を有する弁箱41、ダイヤフラム13、弁座シート42、ダイヤフラムピース29、ボンネット43を有している。ダイヤフラム13は、弁箱41の所定位置に配設され、その上部に押圧用の押え部材としてのダイヤフラムピース29が駆動自在にボンネット43により取り付けられている。バルブ30のアクチュエータ1aとの接続側には、雄螺子38と螺合可能な雌螺子44が形成され、この雌螺子44と雄螺子38とを螺合させることにより、内部に倍力機構10を組み込んだアクチュエータ1aとバルブ30とを着脱できる。
【0039】
ダイヤフラムピース29は、アクチュエータ1aの出力軸部11の軸方向への出力により駆動する。このダイヤフラムピース29の駆動によってダイヤフラム13が弁座シート42に接離し、一次側流路39と二次側流路40とが開閉可能になる。高圧用バルブでは、ダイヤフラムピース29が弁座シート42を押圧する力は、バルブのサイズによって2000N程度から10000N程度に及ぶ。
【0040】
本例においては、推力部材16の外周側面の適宜位置には、可動側係止部45として断面が半円形状の係止溝45aが設けられ、アクチュエータ1aのケーシング2aには、固定側係止部46として係止穴部46aが、推力部材16が係止位置となったとき前記係止溝45aと前記係止穴部46aの位置が一致するように設けられる。
図1においては、固定側係止部46が2か所設けられて何れか1か所に保持ピン47a一本を挿入している状態を示しているが、より安定化のため双方に2本挿入することもできる。また、前記係止穴部46aをケーシング2aに複数箇所設けた上で、複数本の保持ピン47aを挿入して推力部材16の保持をしてもよい。
【0041】
さらに、可動側係止部45を、図示しない係止孔45aとすることもできる。係止孔45aは、推力部材16の外周側面に円筒形アクチュエータ1aの求心方向へあけられた孔であり、アクチュエータ1aのケーシング2aには、固定側係止部46として係止穴部46aが、推力部材16が係止位置となったとき前記係止孔45aと前記係止穴部46aの位置が一致するように設けられる。この場合、推力部材16には、図示しないが、回転方向の力が作用して回転することで係止穴部46aと係止孔45aの位置が円周方向にずれることを防止するための適当な回転防止手段を設けることが望ましい。
【0042】
本例では、係止溝45aは推力部材16の外周側面を一周して切り欠いた溝として形成されており、保持部材47としての保持ピン47aの先端部56が、係止穴部46aを貫通して係止溝45aに着脱可能に係合できる。また、係止孔45aは推力部材16の外周側面に、円筒形アクチュエータ1aの求心方向へ削られた孔として形成されており、保持部材47としての保持ピン47aの先端部56が、係止穴部46aを貫通して係止孔45aに着脱可能に嵌合できる。
【0043】
推力部材16に設けられる係止溝45a又は係止孔45aの位置は、推力部材16の駆動やバルブの機能に支障のない位置であればよく、推力部材16以外の位置であっても、実施に応じて任意の位置にとることができる。
【0044】
推力部材16の係止位置は、推力部材16がダイヤフラム13を介して弁座シート42を押圧する位置以外であれば、任意の位置にとることができる。ただし、係止位置は、ピストンの最大変位位置である上死点であることが望ましい。
【0045】
固定側係止部46としての係止穴部46aの位置は、上述した推力部材16の係止位置における係止溝45aの位置と一致する位置に対して、ケーシング2aの外周側面に設けられる。
【0046】
保持ピン47aは、オペレータが手でつかむ取手部55と、固定側係止部46であるケーシング2aの係止穴部46aへ挿入される先端部56からなる。
【0047】
次に、
図1、
図2に基づき、第1実施形態において、保持ピン47aを挿通させてピストン14の可動側係止部45をケーシング2aの固定側係止部46に係止する動作及びその係止を解除する動作を説明する。
【0048】
本例では、推力部材16の駆動源の一例として、エアー操作室25と吸排気口23からなるエアー駆動源を有している。シャフト19に形成された吸排気口23より圧縮エアーが供給されると、供給された圧縮エアーは分岐口48を介してエアー操作室25へ流入し、これによりエアー操作室25内部の空気圧が上昇し、スプリング15による付勢力に打ち勝ってピストン14を、ダイヤフラム13の押圧を解除する上方向へ押し上げる。
【0049】
推力部材16は、ピストン14と連動して駆動する構造となっているため、前記ピストン14の解除側である上方向移動に連動して、推力部材16も上方向へ移動し、可動側係止部45である係止溝45aと固定側係止部46である係止穴部46aの位置が一致する係止位置で停止させる。この係止位置は、上述したように、推力部材16の上死点の位置であり、この位置であることが望ましい。
【0050】
推力部材16が上方向移動すると、推力部材16のボール9を介したディスク12に対するダイヤフラム13を押圧する下方向への押圧力がなくなり、コイルスプリング33による上方向への付勢力によってディスク12は上方向へ付勢される。このため、推力部材16の上方向移動と連動して、ディスク12と一体の出力軸部11も上方向移動して、ダイヤフラムピース29によるダイヤフラム13への押圧力がなくなる。
【0051】
ダイヤフラムピース29がダイヤフラム13から離間すると、ダイヤフラム13は、自らの反力により上方向へ変形移動し、弁座シート42から離間した旧位の形状となる。この形状は、ダイヤフラム13が弁室内部に取り付けられ外力が作用していないときの形状である。ダイヤフラム13がこの形状となっているとき、ダイヤフラム13と弁座シート42の間の離間距離は、本例においては、0.3mmから0.4mm程度である。
【0052】
このようにして推力部材16が係止位置に停止し弁開となったとき、可動側係止部45として推力部材16に設けられた係止溝45aと、固定側係止部46としてケーシング2aに設けられた係止穴部46aの位置が、互いに一致する位置となる。この状態で、保持部材である保持ピン47aの先端部56をケーシング2aの外方より円筒形アクチュエータ1aの求心方向へ挿入して、係止穴部46aを貫通させて係止溝45aへ係合させることで、可動部材である推力部材16と固定部材であるケーシング2aを互いに係止させることができるようになる。
図1は、このように保持ピン47aを挿入して、推力部材16を係止位置に係止させた状態を示す。
【0053】
推力部材16の係止がされた後、エアー操作室25に供給されているエアーを排気する。操作エアー室25のエアー排気は、上述したエアー供給の場合と逆に、シャフト19に形成された分岐口48からシャフト19内部を介して吸排気口23から排気される。エアーが排気されれば、エアー操作室25内部の気圧がなくなり、スプリング15によるダイヤフラム13を押圧する方向への付勢力が推力部材16に作用するが、上述した保持ピン47aの挿入により推力部材16がケーシング2aに係止されているため、ダイヤフラム13が弁座シート42を押圧することが防止される。
【0054】
次いで、上述のように保持ピン47aが挿入されて推力部材16が係止されている本例において、推力部材16の係止を解除するためには、保持ピン47aを外方より取り外せばよい。保持ピン47aの取手部55を手でつかんでケーシング2aから引き抜くと、推力部材16のケーシング2aへの係止が解除される。
【0055】
この場合、上記のように保持ピン47aを引き抜いて推力部材の係止を解除する前に、予め操作エアー室25に所定量のエアーを供給して空気圧を与えスプリング15による付勢力を弱めることで、保持ピン47aを外方より確実に引き抜くことができるようにすることもできる。
【0056】
係止が解除されれば、スプリング15の付勢力によって、ピストン14がダイヤフラム13を押圧する方向へ付勢されて駆動し、それに連動して推力部材16も駆動し、ボール9を介して弁駆動用出力軸部11も駆動し、ダイヤフラムピース29がダイヤフラム13を押圧して弁座シート42に圧着され、
図2に示す弁閉状態となる。このようにして、バルブ30の使用が開始される。
【0057】
なお本例の場合、保持ピン47aの取手部55が、ケーシング2a表面に対して垂直方向に突出しているので、オペレータの手による引き抜き又は挿入操作が行い易い。
【0058】
図3は、本発明の第2実施形態を示す。第2実施形態においては、第1実施形態と同一部分は同一符号を示し、以降の実施形態においては説明を省略する。
【0059】
本例においては、推力部材16の外周側面の適宜位置には、可動側係止部45として断面が半円形状の係止溝45aが設けられ、アクチュエータ1aのケーシング2aには、固定側係止部46として係止穴部46bが、一対の互いに対抗する位置に2か所設けられ、その一対が2組設けられている。推力部材16が係止位置となったとき、前記係止溝45aと前記2組の係止穴部46bの位置が一致する。
図3、
図4においては、固定側係止部46は、2組の係止穴部46bが4か所設けられ、何れか1組に保持ピン47b一本を挿入し他方の係止穴部46bから貫通させている状態を示しているが、より安定化のために双方の組に2本挿入して貫通させることもできる。
【0060】
本例では、係止溝45aは推力部材16の外周側面を一周して切り欠いた溝として形成されており、保持部材47としての保持ピン47bの先端部56が、一対の係止穴部46bの一方を貫通し、係止溝45aに沿って推力部材16と係合しつつ進入し、他方の係止穴部46bから貫通して突出している。本例によれば、保持ピン47bと推力部材16との接触面積は、
図4に示されるように、第1実施形態における接触面積よりも大きい。また、保持ピン47bは、ケーシング2と2か所の係止穴部46bで貫通した状態で保持されているので、第1実施形態における推力部材16の係止と比較して、推力部材16の保持を、より安定強固のものとすることができる。
【0061】
本例では、係止溝45aは推力部材16の外周側面を一周して切り欠いた溝として形成されており、保持部材47としての保持ピン47bの先端部56が、1組の係止穴部46bの双方を貫通して係止溝45aに着脱可能に係合できる。
【0062】
推力部材16に設けられる係止溝45aの位置は、推力部材16の駆動やバルブの機能に支障のない位置であればよく、推力部材16以外の位置であっても、実施に応じて任意の位置にとることができる。
【0063】
推力部材16の係止位置は、推力部材16がダイヤフラム13を介して弁座シート42を押圧する位置以外であれば、任意の位置にとることができる。ただし、係止位置は、ピストンの最大変位位置である上死点であることが望ましい。
【0064】
固定側係止部46としての係止穴部46bの位置は、上述した推力部材16の係止位置における係止溝45aの位置と一致する位置に対して、ケーシング2aの外周側面に設けられる。
【0065】
本例における保持ピン47bを挿通させて推力部材16の可動側係止部45をケーシング2aの固定側係止部46に係止する動作及びその係止を解除する動作は、上述した第1実施形態と同様である。
【0066】
図5は、本発明の第3実施形態を示す。本例においても、第1実施形態と同一部分は同一符号を示し、以降の実施形態においては説明を省略する。
【0067】
本例においては、推力部材16の外周側面の適宜位置には、可動側係止部45として円筒形アクチュエータ1aの求心方向以外の方向へ直線状にあけられた孔又は貫通させられた孔である係止孔45cが設けられ、アクチュエータ1aのケーシング2aには、固定側係止部46として係止穴部46cが、前記係止孔45cがあけられた孔の場合は1か所、前記係止孔45cが貫通させられた孔の場合は一対の互いに対抗する位置に2か所設けられている。推力部材16が係止位置となったとき、前記係止孔45cの開口部50と前記1か所又は1組の係止穴部46cの位置が一致する。
図5、
図6においては、貫通させられた孔である係止孔45cが1か所設けられ係止穴部46cが1組設けられて保持ピン47c一本を挿入して推力部材16及びケーシング2aを貫通している状態を示している。
【0068】
前記係止孔45cがあけられた孔である場合は、保持ピン47cの先端部56が、前記係止穴部46cを貫通して保持ピン47cと着脱自在に嵌合することができ、前記係止孔45cが貫通させられた孔である場合は、保持ピン47cの先端部56が、1組の係止穴部46cの一方を貫通して保持ピン47cと着脱自在に嵌合することができる。この場合は先端部56を係止穴部46cの他方からさらに貫通させて外方に突出させてもよいし、貫通させずに新たな保持ピンの先端部56を前記係止穴部46cの他方に貫通させて、保持ピン47cを前記係止孔45cと着脱自在に嵌合させてもよい。
【0069】
さらに、前記係止孔45cは2か所以上設けてもよく、それに対応して前記係止穴部46cも複数箇所設け保持ピン47cも複数本用いてもよい。
【0070】
また本例においては、推力部材16には、図示しないが、回転方向の力が作用して回転することで係止穴部46cと係止孔45cの位置が円周方向にずれることを防止するための適当な回転防止手段を設けることが望ましい。
【0071】
本例では、推力部材16の係止孔45cに保持ピン47cの先端部56が挿入又は貫通されているので、保持ピン47cと推力部材16との接触面積は第2実施形態における接触面積よりも大きいため、第2実施形態における推力部材16の係止と比較して、推力部材16の保持を、より安定強固のものとすることができる。特に保持ピン47cの先端部が推力部材16を貫通している場合は、その効果が大きい。
【0072】
推力部材16に設けられる係止孔45cの位置は、推力部材16の駆動やバルブの機能に支障のない位置であればよく、推力部材16以外の位置であっても、実施に応じて任意の位置にとることができる。
【0073】
推力部材16の係止位置は、推力部材16がダイヤフラム13を介して弁座シート42を押圧する位置以外であれば、任意の位置にとることができる。ただし、係止位置は、ピストンの最大変位位置である上死点であることが望ましい。
【0074】
固定側係止部46としての係止穴部46cの位置は、上述した推力部材16の係止位置における係止孔45cの開口部50の位置と一致する位置に対して、ケーシング2aの外周側面に設けられる。
【0075】
本例における保持ピン47cを挿通させて推力部材16の可動側係止部45をケーシング2aの固定側係止部46に係止する動作及びその係止を解除する動作は、上述した第1実施形態と同様である。
【0076】
図7、
図8は第4実施形態を、
図9、10は第5実施形態を示している。これらの実施形態は、上記実施形態とは別の構造のアクチュエータ1bへ本発明を適用した高圧用自動ダイヤフラムバルブの実施形態である。
【0077】
図7は、本発明の第4実施形態を示す。
図7の中央縦線より左側は、保持ピンが挿入されピストンが係止された状態を、中央縦線より右側は、保持ピンが引き抜かれてピストンの係止が解除された状態を示す。
【0078】
アクチュエータ1bは、ケーシング2b内に設けられて駆動するピストン14を付勢するスプリング15を有し、上記実施形態と同様に、弁体であるダイヤフラムを押圧する下方向へピストン14を付勢している。
【0079】
本例においては、ピストン14の適宜位置には、可動側係止部45として係止孔45dが一対の互いに対抗する位置に2か所設けられ、アクチュエータ1bのケーシング2bには、固定側係止部46として係止穴部46dが一対の互いに対抗する位置に2か所設けられ、推力部材16が係止位置となったとき、前記係止孔45dと前記係止穴部46dの位置が一致するように設ける。
図7においては、固定側係止部46は、本例では2か所設けて、その一方に保持部材47である保持ピン47dを1本挿入しているが、ピストン14の係止をより安定させるため双方の固定側係止部46に保持ピン47dを2本挿入してもよい。
【0080】
本例においても、上述した第1実施形態と同様に、ピストン14の位置が係止位置となっているときに、保持部材である保持ピン47dの先端部56をケーシング2bの外方より円筒形アクチュエータ1bの求心方向へ挿入して、係止穴部46dを貫通させて係止孔45dへ嵌合させることで、可動部材であるピストン14と固定部材であるケーシング2bを互いに係止させることができるようになる。
図8は、このように保持ピン47dを2本挿入して、ピストン14を係止位置に係止させた状態を示す。また、ピストン14の係止を解除するためには、保持ピン47dを外方より取り外せばよい。保持ピン47dの取手部55を手でつかんでケーシング2bから引き抜くと、ピストン14のケーシング2bへの係止が解除される。
【0081】
ピストン14に設けられる係止孔45dの位置は、ピストン14の駆動やバルブの機能に支障のない位置であればよく、ピストン14以外の位置であっても、実施に応じて任意の位置にとることができる。
【0082】
ピストン14の係止位置は、ピストン14がダイヤフラムを介して弁座シートを押圧する位置以外であれば、任意の位置にとることができる。ただし、係止位置は、ピストンの最大変位位置である上死点であることが望ましい。
【0083】
固定側係止部46としての係止穴部46dの位置は、上述したピストン14の係止位置における係止孔45dの開口部50の位置と一致する位置に対して、ケーシング2bの外周側面に設けられる。
【0084】
本例によれば、
図8に示されるように2本の保持ピンでピストン14を係止しているので、1本の保持ピン47aで推力部材16を保持する第1実施形態における場合と比較して、保持ピンに加わるピストンの付勢力が分散されバランスよく保持できることから、ピストン14やケーシング2bの形状等を傷めずより安定長期の係止ができる。また、保持ピン47dを2本有するので不意に一方の1本が外れても、他方の1本の保持ピンでピストン14の係止が持続できる。
【0085】
図9は、第5実施形態を示す。中央縦線より左側は、保持ピン54が挿入されピストン52が係止された状態を、中央縦線より右側は、保持ピン54が引き抜かれてピストン52の係止が解除された状態を示す。本例においては、第4実施形態と同一部分は同一符号を示し、説明を省略する。
【0086】
本例においては、ピストン14の適宜位置には、可動側係止部45として半円形状にピストン14の外周側面を切り欠いた係止溝45eが設けられ、アクチュエータ1bのケーシング2bには、固定側係止部46として係止穴部46eが一対の互いに対抗する位置に2か所設けられ、その一対が2組設けられており、ピストン14が係止位置となったとき、前記係止溝45eと前記係止穴部46eの位置が一致するように設ける。
図9においては、固定側係止部46は、本例では2組設けて、その一方に保持部材47である保持ピン47eを1本挿入しているが、ピストン14の係止をより安定させるため双方の固定側係止部46に保持ピン47eを2本挿入してもよい。
【0087】
本例においても、上述した第2実施形態と同様に、ピストン14の位置が係止位置となっているときに、保持部材である保持ピン47eの先端部56をケーシング2bへ挿入して、係止穴部46eを貫通させて係止溝45eへ係合させることで、可動部材であるピストン14と固定部材であるケーシング2bを互いに係止させることができるようになる。
図10は、このように保持ピン47eを2本挿入して、ピストン14を係止位置に係止させた状態を示す。また、ピストン14の係止を解除するためには、保持ピン47eを外方より取り外せばよい。保持ピン47eの取手部55を手でつかんでケーシング2bから引き抜くと、ピストン14のケーシング2bへの係止が解除される。
【0088】
ピストン14に設けられる係止孔45eの位置は、ピストン14の駆動やバルブの機能に支障のない位置であればよく、ピストン14以外の位置であっても、実施に応じて任意の位置にとることができる。
【0089】
ピストン14の係止位置は、ピストン14がダイヤフラムを介して弁座シートを押圧する位置以外であれば、任意の位置にとることができる。ただし、係止位置は、ピストンの最大変位位置である上死点であることが望ましい。
【0090】
固定側係止部46としての係止穴部46eの位置は、上述したピストン14の係止位置における係止溝45eの位置と一致する位置に対して、ケーシング2bの外周側面に設けられる。
【0091】
本実施形態によれば、
図10に示されるように2本の保持ピンでピストン14を係止しているので、1本の保持ピン47b,47cで推力部材16を保持する第2、第3実施形態における場合と比較して、保持ピンに加わるピストンの付勢力が分散されバランスよく保持できることから、ピストン14やケーシング2bの形状等を傷めずより安定長期の係止ができる。また、保持ピン47eを2本有するので不意に一方の1本が外れても、他方の1本の保持ピンでピストン14の係止が持続できる。
【0092】
図11、
図12においては本発明の高圧用自動ダイヤフラムバルブの第6実施形態を示しており、
図11(a)、
図12(a)は、この実施形態におけるダイヤフラムバルブの縦断面図、
図11(b)、
図12(b)は、
図11(a)、
図12(a)におけるアクチュエータの一部省略縦中央断面図を示している。
【0093】
本実施形態におけるバルブ用アクチュエータ60は、内部にピストン機構61と、倍力機構62とを有している。
ピストン機構61は、略円筒状に形成されたケーシング70と、このケーシング70に挿着可能な略円筒状のピストン71とを有し、ケーシング70内にOリング72を介してピストン71が挿着され、ケーシング70上部に設けられた吸排気口23からの吸排気によってピストン71がケーシング70内を摺動しながら往復動自在に設けられる。ケーシング70の下部には開口部73が設けられ、この開口部73にはめねじ74、環状の係止段部75が形成される。ケーシング70には、開口部73よりケース76、ベース77が装着可能に設けられる。さらに、ベース77にはキャップ78が取付けられ、このキャップ78を介してバルブボデー79が装着される。
【0094】
倍力機構62は、ピストン71、昇降体80、カム81、スプリング82、ローラー83、出力軸部84を有し、昇降体80、カム81、スプリング82、出力軸部84の上部が装着用のケース76に装着され、昇降体80がケース76内を上下移動可能に設けられている。ローラー83はピストン71に取付けられ、後述するように、いわゆる、てこの原理を利用しながらピストン71の往復動に連動してカム81を動作するように設けられる。このような倍力機構
62を介して、ダイヤフラムバルブは、ピストン機構61の動作に応じてダイヤフラムピース29で、ダイヤフラム13を弁座シート42に押圧して弁閉される構造になっている。
【0095】
倍力機構62において、
図13に示すように、ケース76は略円板状に形成され、ケーシング70の開口部73よりベース77の上面に載置された状態で係止段部75に係止した状態でケーシング70に取付け可能に設けられる。円板状ケース76の直径方向には、昇降体80及びカム81を装着するための直線状の溝部90が形成され、この溝部90の長さ方向の両端側の底部には、連通孔91が外周面に貫通して設けられる。
【0096】
図14に示すように、連通孔91には、ケーシング70に貫通形成された挿入孔92を介して保持ピンからなる保持部材93が挿入可能に設けられる。保持ピン93は、挿入孔92への挿入時に昇降体80の底面80aが当接可能な長さに設けられ、
図11(a)に示すように、保持ピン93の外端側には手指で摘むことが可能な折曲部94が形成されている。
【0097】
ケース76の溝部90の中央には、出力軸部84の上端部を挿通可能な貫通穴95が形成され、溝部90の両側付近には、この溝部90との直交方向に2つの連通穴96が外周面に連通して形成されている。各連通穴96にはピン部材97が挿入され、このピン部材97は、ケース76の上面側から各連通穴96と交差する方向に嵌入される止めピン98で両端が位置決めされ、連通穴96に抜け止め状態で挿着される。
ケース76の直径方向における溝部90との直交位置には、スプリング82を挿入可能な有底穴99が対向して2ヶ所に形成され、これらの
有底穴99にスプリング82の一側部が挿入される。
【0098】
昇降体80は、例えば、合金工具鋼などの金属により略長方体形状に設けられ、溝部90の中央位置に装入される。
図11において、昇降体80の底面側は中央を頂部80bとした山形状に形成され、この頂部80bに貫通穴95から挿通した出力軸部84の先端が当接される。昇降体80は、後述するように、ピストン機構61の上下方向の往復動に連動して上下移動するように取付けられ、この上下移動により出力軸部84を上下動させるように設けられる。
【0099】
図11(a)、
図12(a)において、カム81は略L字形状に形成され、ケース76への装着側に取付穴100、この取付穴100の他端部側にローラー83を係止可能な係止片101が設けられる。2つのカム81、81は、ケース76の中心に対称に昇降体80の上から溝部90に装入されるように取付けられ、取付穴100に前記のピン部材97が挿入されて溝部90に抜け止め状態となり、ピン部材97によりケース76に対して回動可能に設けられる。カム81の昇降体80側には、この昇降体80の両端上部の角部位が係止する係止凹部102が設けられ、この係止凹部102と昇降体80との係止により、カム81の回動に応じてその範囲が規制されながら昇降体80が昇降動作するようになっている。
【0100】
図14において、スプリング82は、上記したようにケース76の
有底穴99に一側部が挿入され、一方、このスプリング82の他端部は、
図11(b)、
図12(b)に示すように略円筒状に形成されたピストン71の底面側に当接される。これにより、スプリング82は、ピストン71内の2ヶ所に配置され、ピストン機構61からの圧縮エアー排気時に、ピストン71を同図において上方向に弾発するように設けられている。
各スプリング82、82は、右巻き、左巻きに設けられ、このように相互の巻方向が逆向きに形成されている。
【0101】
図14に示すローラー83は、
図11のピストン71内のカム81との係止位置に水平方向に2ヶ所設けられ、ピストン71の往復動に伴ってこのピストン71と一体に上下移動するようになっている。ローラー83は、ピストン71に対して回転可能に取付けられた状態でカム81の係止片101が係止され、このローラー83の移動時には、ピストン71の往復動時のカム81との摩擦抵抗が少なくなる。
【0102】
出力軸部84は、昇降体80とダイヤフラムピース29との間に設けられ、コイルスプリング33により、
図11において上方向に弾発付勢されている。これにより、前述の昇降体80が下方向からカム81側に押圧され、このカム81の回転動作により昇降体80が昇降動されるときには、この昇降動に伴って出力軸部84も一体的に上下移動可能に設けられる。このとき、昇降体80の昇動作によって出力軸部84が上方向に移動したときには、ダイヤフラムピース29も上方向に移動してダイヤフラム13が弁開状態となり、一方、昇降体80が降動作して出力軸部84が下方向に移動したときには、ダイヤフラムピース29の下方向への移動によりダイヤフラム13が弁開状態に変形される。このとき、前記の昇降体80の底面80a側が山形状に形成されていることで、出力軸部84がこの底面80a側によって調心されながら上下動され、ダイヤフラム13が均等に押圧されることで弁座シート42に均一にシールされる。これによって弁閉時のシール性が向上する。
【0103】
図11の倍力機構62において、ピストン機構61に圧縮エアーを供給してピストン71を下方向に動かしたときには、ローラー83の下方移動によってこのローラー83の外周面に沿ってコイルスプリング33で弾発された2つのカム81、81が、外方向への回転、すなわち昇降体80の押圧を緩和する方向に回転し、この昇降体80が上昇移動する。これによって、出力軸部84、ダイヤフラムピース29が上方向に移動して、ダイヤフラム13が自力にて上方向に変形移動する。
【0104】
図11に示すように、ピストンの下方向移動により倍力機構62を介して昇降体80を上方向に動かしたときには、この昇降体底面80a側と、この底面80aが全閉時に当接するケース76の固定側当接面105との間には隙間Gが生じる。この隙間Gは、ピストン71を下死点に移動させたときに最大となり、この状態においてケーシング70の外方より挿入孔92から保持ピン93を挿入可能となる。この状態で挿入孔92から保持ピン93を差し込むことで、昇降体80の解除側への移動時において昇降体底面80aに保持ピン93を係止することが可能になる。その際、昇降体底面80aが中央に向けて傾斜していることで、この傾斜によって保持ピン93が案内されて容易に挿入可能となる。
【0105】
このように、ダイヤフラムバルブの閉状態において、昇降体80の解除側への移動時に保持ピン93により昇降体80を係止することで、出力軸部84、ダイヤフラムピース29を上方に移動させてダイヤフラム13を自力で上方向に変形させた状態において、このダイヤフラム13と弁座シート42との非接触状態を保持できる。そのため、保持ピン93の差し込み後にエアーの供給を停止した場合にも隙間Gが確保され、これによってダイヤフラム13が弁座シート42に接触することが防止される。そのため、ダイヤフラム13の摩耗や劣化が防がれ、弁座シート42にも負荷を掛けずに長期保存することが可能になる。
【0106】
一方、ダイヤフラムバルブの使用時においては、保持ピン93外端の折曲部94を摘んでケーシング70の外方より抜き出すようにすればよく、
図12に示すように、保持ピン93による係止が外れることで昇降体80が下降移動し、通常の弁閉時には高圧用自動NCタイプのダイヤフラムバルブとして腐食性流体等の漏れを防ぎ、弁開時には倍力機構62を介してダイヤフラム13が動作させて細かい流量制御を行った場合にも、所定の流路を確保できる。
【0107】
このように昇降体80を用いた倍力機構62を設けていることで、この実施形態のアクチュエータでは、エアーを供給してピストン71を下方向に移動させたときに昇降体80を昇動作させて弁開状態にし、一方、エアーを排気してピストン71を上方向に移動させたときにスプリング82の弾発力で昇降体80を下方向に押圧して弁閉状態に構造に設けられている。
【0108】
また、ベース77は、ケース76と略同径の略円板状に形成され、上部外周側にはめねじ74と螺着するおねじ106が形成され、上部内周側にはキャップ78取付け用の雌ねじ107と、この雌ねじ107に続けて下方側に環状凹部108が形成されている。ベース77は、ケース76が嵌入されたケーシング70の開口部73側からめねじ74におねじ106を介して螺着され、このベース77によってケース76がケーシング70内の係止段部75により位置決め固定される。このとき、ベース77の最外周に形成されたおねじ106、ケーシング開口部73に形成された拡径状のめねじ74とが螺合して一体化されることで締付け力が強くなり、これによってガタつきの発生が防がれてアクチュエータの作動時にケース76が動いて振動や異音を発生させることがなく、ピストン71の摺動もスムーズになる。
ベース77の下部外周の3ヶ所には、雌螺子部110が120°間隔で均等に形成され、この雌螺子部110に止めネジ111が螺着される。
【0109】
キャップ78は略円筒状に形成され、上部にはベースの雌ねじ107に螺着可能な雄ねじ112と、この雄ねじ112に続けて環状凹部108に嵌合可能な環状凸部113が形成され、キャップ78下部にはバルブボデー79に形成された雌ねじ部114に螺着する雄ねじ部115が形成される。キャップ78中央には、出力軸部84挿入用の挿入穴部116が設けられている。
【0110】
この場合、キャップ78の雄ねじ112と前記ベース77の雌ねじ107とが、大径に形成されていることが望ましい。このように設けられている場合、アクチュエータ動作時の推力がこれら雄ねじ112と雌ねじ107とに加わったときにも十分な強度を確保することができ、安定した動作が可能となる。
【0111】
キャップ78は、3個の止めネジ111でベース77の外周側から固定されており、これら止めネジ111によりベース77に容易に固定可能となり、3ヶ所で強固に芯出ししながら取付けられることで、締付け後にベース77に対してキャップ78がグラつくこともない。さらに、ベース77の側面方向から止めネジ111を締付ける構造であるため、ダイヤフラムバルブが配管等に取付けられている場合にもこの配管やバルブボデー79等が邪魔になることがなく、ベース77へのキャップ78の螺入状態を調節してストローク調整を行った上で、止めネジ111により簡単にこれらを固定できる。
【0112】
この実施形態のダイヤフラムバルブにおける倍力機構62は、昇降体80とカム81との係止により動作する構造であって、昇降体80が摺動を伴って昇降することがなく、摺動部であるピストン71に保持ピン93を係止することがないため、ピストン71に負荷が掛かることがなく、ピストン71外面やケーシング70内面に傷やバリが発生するおそれがない。そのためにピストン71の摺動時に保持ピン93による傷やバリ等でOリング72が損傷したり作動不良を生じることがない。これによって、延いてはケーシング70をアルミ等の軟質材料で形成して全体の軽量化を図ることも可能になり、この場合にも保持ピン93によって傷やバリ等が発生することがない。
【0113】
図12の倍力機構62において、ピストン機構61の圧縮エアーを排気したときには、スプリング82の弾発力によりピストン71が上方向に動き、ローラー83が上方移動することで、2つのカム81、81が内方向への回転、すなわち昇降体80を下降移動させて負荷を与える方向に回転する。昇降体80の移動により、出力軸部84、ダイヤフラムピース29が下方向に移動し、ダイヤフラムピース29によりダイヤフラム13が弁座シート42に着座して弁閉状態となる。このとき、倍力機構62がカムを用いた、てこの原理を使用して昇降体80を強く押圧する機構であることから、ダイヤフラム13を弁座シート42に強く押し付けて高圧流体の場合にも確実に漏れを防止する。
【0114】
ピストン71には上方向に弾発するスプリング82が2ヶ所に設けられ、これらスプリング82の相互の巻方向が逆向きに設けられていることにより、スプリング82の圧縮時に右巻きと左向きと相合抵抗によってピストン71の回転が防がれる。このため、カム81と溝部90との擦れによる互いの干渉が抑制され、ピストン71のストロークが大きい場合にもスプリング82圧縮時のよじれによるピストン71の回転が防がれ、カム81と溝部90との擦れによる作動不良や寿命低下の危険性も回避される。さらに、ピストン71動作が正確になることで、ダイヤフラムバルブを高精度に開制御可能になる。
【0115】
なお、昇降体80は、エアーの供給で動作するピストン71の上下動に伴って内部で摺動することなくバルブ開閉できるものであればよく、ダイヤフラムバルブが、昇降体底面80aに保持ピン93を外部から係止させ、ダイヤフラムピース29の下方向の移動を規制してダイヤフラム13の摩耗や劣化を防止できるものであればよい。そのため、昇降体80は必ずしも出力軸部84やダイヤフラムピース29と別体である必要はなく、これらが一体に設けられていてもよい。
【0116】
また、この実施形態では、ケーシング70に形成した挿入孔92から保持ピン93を挿入しているが、昇降体底面80aに生じる隙間Gに挿入して昇降体80を弁開状態に保持できるものであれば、挿入部分を溝状等に設けるようにしてもよく、一方、保持部材をプレート状やその他の形状に設けてもよい。