(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1種の、ハロゲン含有のシラン化合物の割合は、供給された成分の全質量を基準として10〜30質量%であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
前記水素化剤は、還元された状態で、水素化されるべきハロゲン原子の合計を基準として1.0〜1.5のH当量の割合で供給されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲン含有の高級シラン化合物を高級ヒドリドシラン化合物に連続的に水素化する方法に関する。特に、本発明は、ドデカクロロネオペンタシランのネオペンタシランへの水素化に関する。
【0002】
ヒドリドシラン及びヒドリドシラン化合物は、文献中に、シリコン層の作製のための可能な出発物質として記載されている。この場合、ヒドリドシランとは、主にケイ素原子と水素原子だけを含む化合物であると解釈される。
ヒドリドシラン化合物は、ケイ素原子及び水素原子の他に、更に他の基、特にアルキル基、ボラアルキル基、ホスファアルキル基、−BH
2基又はPH
2基を有していてもよい。ヒドリドシランは、気体、液体又は固体であることができ、かつ固体の場合には、主に、トルエン又はシクロヘキサンのような溶剤中に又はシクロペンタシランのような液状シラン中に可溶である。例としては、モノシラン、ジシラン、トリシラン、シクロペンタシラン及びネオペンタシランが挙げられる。少なくとも3個又は4個のケイ素原子を有するヒドリドシランは、SiH結合を有する、線状、分枝状又は(場合により二環/多環)環状の構造を有し、それぞれ一般式Si
nH
2n+2(線状又は分枝状;n≧2)、Si
nH
2n(環状;n≧3)又はSi
nH
2(n-i)(二環又は多環;n≧4;i{環の数}−1)によって記載することができる。少なくとも3個のケイ素原子を有するヒドリドシランは、高級ヒドリドシランと言われる。この高級ヒドリドシランは、その液状又は固体状の凝集状態に基づいて、その製造の際に高圧法を使用する必要がなく、その代わりに技術的に簡単に取り扱うことができる液相又は固相で作業できるという利点を有する。更に、高級ヒドリドシラン及び高級ヒドリドシラン化合物は、これらを用いて液相法によって良好なケイ素含有層を製造できるという利点を有する。
【0003】
高級ヒドリドシランの多くの製造方法は、低級ヒドリドシラン、特にSiH
4から、形式上のH
2脱離下での高級シランへの脱水素重合に基づく。この脱水素重合は、この場合、1)熱的(触媒を使用しない場合についてはUS 6,027,705 A)及び/又は2)触媒の使用、例えばa)単体の遷移金属(不均一系触媒;白金族金属、つまりRu、Rh、Pd、Os、Ir、Ptを使用する場合についてはUS 6,027,705 A;3B族〜7B族及び8族の金属、つまりCu族及びZn族なしの遷移金属/ランタニドについてはUS 5,700,400 A)、b)非金属酸化物(不均一系触媒;Al
2O
3又はSiO
2を使用する場合についてはUS 6,027,705 A);c)スカンジウム、イットリウム又は希土類の、水素化物のシクロペンタジエニル錯体(均一系触媒;US 4,965,386 A, US 5,252,766 A)、d)遷移金属錯体(均一系触媒;3B族〜7B族及び8族の金属の錯体、つまりCu族及びZn族なしの遷移金属/ランタニドの錯体、についてはUS 5,700,400 A;JP 02-184513 A)又はe)担体上に固定された所定の遷移金属(不均一系触媒;例えばSiO
2のような担体上の白金族金属を使用する場合についてはUS 6,027,705 A、炭素、SiO
2又はAl
2O
3上に固定されたルテニウム、ロジウム、パラジウム又は白金についてはUS 5,700,400 A)又は遷移金属錯体(不均一系触媒、例えばSiO
2のような担体上の白金族金属錯体を使用する場合についてはUS 6,027,705 A)により実施することができる。しかしながら、これら全ての方法は、使用される低級ヒドリドシラン自体を手間をかけて製造しなければならないという欠点を有する。更に、これらの方法については、出発物質の自然発火性に基づいて高い装置費用を必要とすることが欠点である。最終的に、この方法では、今までに十分に高い収率を実現することができなかった。更に、手間のかかる精製が必要である。
【0004】
ジハロシランを、場合によりトリハロシラン及び/又はテトラハロシランと一緒に、電気化学的方法で反応させて高級ヒドリドシランを製造する他の方法も、例えばEP 0 673 960 A1に記載されている。しかしながら、この方法もまた、電気化学的反応操作に基づいて、高い装置費用及び更に高いエネルギー密度を必要とするという欠点を有する。最終的に、ここでも、予めそれぞれのジハロシラン又はトリハロシランを手間をかけて製造しなければならない。
【0005】
これとは別に、高級ヒドリドシランは、アルカリ金属を用いたハロシランの脱ハロゲン及び重縮合により製造することもできる(GB 2 077 710 A)。しかしながら、この方法は十分に高い収率を生じない。更に、この方法は選択性が僅かである。
【0006】
今までに記載された合成と比べて好ましい、高級ヒドリドシラン化合物の合成は、ハロゲン含有のシラン化合物、特にハロゲンシランの水素化にある。
【0007】
ハロゲン含有シラン化合物の合成は、先行技術に属する。同様に、それをヒドリドシランに水素化する多様な方法は既に先行技術に記載されている。
【0008】
低級クロロシランから高級クロロシランの触媒による生成は、特に十二塩化五ケイ素の生成(ネオペンタシラン、Si(SiH
3)
4の塩素類縁体、)は、例えばA. Kaczmarczyk et al., J. Inorg. Nucl. Chem., 1964, Vol. 26, 421-425又はG. Urry, J. Inorg. Nucl. Chem., 1964, Vol. 26, 409-414に記載されている。 A. Kaczmarczyk et al., J. Inorg. Nucl. Chem., 1964, Vol. 26, 421-425は、テトラクロロシランの生成下でのヘキサクロロジシランからの十二塩化五ケイ素の合成を記載している。更に、ここには、オクタクロロトリシランの相応する使用の際に、十二塩化五ケイ素とヘキサクロロジシランが生じることが記載されている。ここで使用される触媒はトリメチルアミンである。G. Urry, J. Inorg. Nucl. Chem., 1964, Vol. 26, 409-414は、テトラクロロシランの生成下でヘキサクロロジシランからの又はヘキサクロロジシランの生成下でオクタクロロトリシランからの、十二塩化五ケイ素のトリメチルアミン触媒による合成を教示している。しかしながら、ここにはこの生成物のヒドリドシランへの水素化は記載されていない。
【0009】
DE 195 02 550 A1及びJP S63-008207 A1は、水素ガスを用いて四塩化ケイ素を水素化してモノシランにすることを記載している。しかしながら、この方法は、600℃以上の温度を必要とし、加圧下で実施しなければならない。更に、水素ガスは取扱の際に手間がかかり、従って不都合である。最終的に、この方法の高級ヒドリドシランの生成のための適性は開示されていない。
【0010】
EP 2 132 137 A1は、ハロゲン化ケイ素を、モノシラン又はハロゲン化モノシラン誘導体又は高級ヒドリドシラン又は高級ハロゲン化ヒドリドシラン化合物に接触水素化する方法を記載していて、この場合、第1の工程で、ルイス酸−塩基のペアをH
2の添加下で水素化し、これを第2の工程で水素化のために使用し、第3の工程でハロゲン化水素の分離下で反応させる。この方法は回分法である。この方法は、反応の完了後に生成物を同様に生じる副生成物から分離しなければならず、装置の清浄化が必要であるという欠点を有する。この期間の間、反応容器は新たな合成のために使用されない。更に、この方法は十分な収率を生じないことが欠点である。
【0011】
US 4,601,798 Aは、SiH
4の連続的製造方法を記載していて、この場合、特に金属水素化物、例えば水素化リチウムを用いてSiCl
4のSiH
4への水素化が実施される。高級ハロゲンシランのためのこの方法の適性は開示されていない。更に、この開示された方法について、この方法が塩溶融液中で実施され、従って大きな装置的な費用で実施されることが欠点である。同様に、生じる塩化リチウムの後処理を電気化学的に、手間をかけてかつエネルギーをかけて行うことも欠点である。
【0012】
JP 2003-119200 Aは、ハロゲン含有のモノシラン誘導体又はハロゲン含有の高級シランを水素化ホウ素ナトリウムで還元することを開示している。しかしながら、ここでも、この方法がバッチプロセスであることは欠点である。更に、この記載された方法は低い収率が生じるだけであり、かつ手間をかけて除去しなければならない大量の副生成物を生じる。
【0013】
WO 2008/051328 A1は、ネオペンタシラン含有組成物の製造のために、式X
3SiSiX
3のヘキサハロジシランを、第3級アミン触媒を用いて、テトラキス(トリハロシリル)シラン(Si(SiX
3)
4)及びテトラハロシランを有する第1の混合物の形成下で反応させることを教示している。この2つの主成分のテトラキス(トリハロシリル)シランとテトラハロシランとは、互いに分離することができる。得られたテトラキス(トリハロシリル)シランを、水素化ジイソブチルアルミニウムを用いて水素化することによりネオペンタシラン(Si(SiH
3)
4)に変換することができる。ここに開示された水素化方法は、回分法である。更に、この方法は、使用したハロゲンシランを基準として十分に高い収率を生じないことが欠点である。
【0014】
DE 10 2009 053 804 A1及びDE 10 2010 063 823 A1も、高級ヒドリドシラン、特にネオペンタシランの製造方法を記載している。DE 10 2009 053 804 A1による方法の場合、一般式Si
nX
2n+2の少なくとも1種のハロゲンシランと少なくとも1種の触媒とを、一般式Si
mX
2m+2の少なくとも1種のハロゲンシラン(m>n及びX=F、Cl、Br及び/又はI)とSiX
4(X=F、Cl、Br及び/又はI)との混合物の生成下で反応させ、かつ一般式Si
mX
2m+2の少なくとも1種のハロゲンシランを、一般式Si
mH
2m+2のヒドリドシランの生成下で水素化している。DE 102010063823 A1による方法の場合には、生じたヒドリドシランを同様に並行して生じたハロゲン化ヒドリドシランと分離し、後者を場合により新たに水素化する。しかしながら、この場合、付加的な水素化工程に基づき、2つの水素化工程において酸化された水素化剤が廃棄物として生じ、これは反応生成物を汚染するか又は希薄化するか又は手間をかけて分離しかつ廃棄しなければならないことが欠点である。
【0015】
従って、本発明の課題は、先行技術のこれらの欠点を回避することである。特に、本発明の課題は、簡単に取り扱うことができる技術を使用しかつ特に高い収率でヒドリドシラン化合物を生じる、ハロゲン含有の高級ヒドリドシラン化合物の水素化方法を提供することである。
【0016】
この課題は、本願発明の場合、
− 少なくとも3個のケイ素原子を有する、少なくとも1種の、ハロゲン含有のシラン化合物と、
− 少なくとも1種の水素化剤とを、
− 連続的に、
− 少なくとも3個のケイ素原子を有する、少なくとも1種のヒドリドシラン化合物と、
− 酸化された水素化剤との生成下で反応させ、
− 酸化された水素化剤を取り出し、還元し、この還元反応の反応生成物を水素化に再び供給する、
少なくとも3個のケイ素原子を有するハロゲン含有のシラン化合物の連続的水素化方法によって解決される。
【0017】
本発明により使用される、ハロゲン含有のシラン化合物とは、好ましくは、式Si
nX
2n+2-zY
z(n≧3;0≦z≦2n;X=F、Cl、Br、I;Y=H、C
1〜C
10−アルキル、BH
2、PH
2)又はSi
nX
2n-zY
z(n≧4;0≦z≦2n−2;X=F、Cl、Br、I;Y=H、C
1〜C
10−アルキル、BH、PH)の線状、分枝状又は環状の化合物であると解釈することができる。「線状」、「分枝状」又は「環状」の表示は、ケイ素原子の配置に関する表示であると解釈される。「C
1〜C
10−アルキル」−基とは、ここでも及びこれ以後も、場合によりホウ素原子又はリン原子を有することができる、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であると解釈される。
【0018】
本発明による方法は、特に良好に、一般式Si
nX
2n+2のハロゲン含有のシラン化合物(3≦n≦10及びX=F、Cl、Br、I)を用いて実施することができる。特にこの場合に生じる利点は、この場合にそれぞれ生じる生成物のSi
nH
2n+2が液状であり、特に簡単に分離できることである。
【0019】
出発物質としてSi
5Cl
12(ドデカクロロネオペンタシラン)を使用する場合、この反応は特に良好に制御可能である。
【0020】
水素化の開始前に供給される出発物質流の、使用された少なくとも1種の、ハロゲン含有のシラン化合物の割合は、供給された成分(特にハロゲン含有のシラン化合物、水素化剤及び場合により存在する溶剤)の全質量を基準として、好ましくは10〜30質量%、特に好ましくは15〜27質量%である。こうして特に良好な反応収率を達成することができる。更に、この値の場合に、反応組成物は特に良好な粘度を有することができる。
【0021】
ハロゲン含有のシラン化合物を、少なくとも1種の水素化剤と反応させる。水素化剤とは、この場合、水素を供与する還元剤であると解釈される。特に、水素化剤とは、水素化物化合物である。水素化剤がLiAlH
4、NaBH
4、i−Bu
2AlHからなる化合物群から選択される場合に特に良好な収率が生じる。特にドデカクロロネオペンタシランの水素化のために、水素化剤としてi−Bu
2AlHを使用する場合に最高の収率が生じる。更に、i−Bu
2AlHは、この反応の望ましい実施の場合に、溶剤の添加なしで液相で使用できるという利点がある。
【0022】
この水素化剤を、還元された状態で、水素化されるべきハロゲン原子の合計を基準として、1.0〜1.5のH当量の割合で供給する場合に特に良好な収率が生じる。
【0023】
ハロゲン含有のシランの水素化は、好ましくは−78〜300℃の温度で及び1mbar〜40barの圧力で行われる。特に好ましくは、このハロゲン含有のシランの水素化は、−25℃〜+25℃で、0.9〜5barで行う。
【0024】
少なくとも1種の、ハロゲン含有のシラン化合物は、水素化のために、溶剤なしで又は溶剤中に溶解又は懸濁させて使用することができる。好ましくは、反応速度を高めるために、このハロゲン含有シラン化合物は、溶剤を個別に添加することなしに使用される。更に、ハロゲン含有のシラン化合物の水素化のために、酸化された状態及び/又は還元された状態で液状で存在し、それによりハロゲン含有のシラン化合物を懸濁又は溶解することができる水素化剤を使用することが好ましい。
【0025】
本発明による方法は、連続的方法である。連続的方法の場合に、この出発材料及び場合により溶剤は、例えばコンプレッサ又はポンプを用いて中断なく、つまり連続的に反応容器中へ送り込まれる。所定の時間の後に、生成された生成物は、絶え間なく、つまり連続的に反応容器から取り出される。
【0026】
本発明による反応のために、原則として、連続的な反応操作のために適した任意の全ての反応容器を使用することができる。この反応は、唯一の反応器中でも、又は複数の直列接続された反応器の組み合わせでも実施することができる。
【0027】
好ましくは、この方法は、少なくとも2つの直列接続された反応器を使用して実施される。このように、簡単な技術で特に高い収率を達成することができる。
【0028】
更に、この方法は、少なくとも2つの反応器を使用する場合に、第1の反応器中では、還元された水素化剤対酸化された水素化剤のモル比の値が0.4〜0.75、好ましくは0.5〜0.65、特に好ましくは0.55〜0.6であるように実施するのが好ましい。0.4、更には0.5、特に0.55の下限の選択は、反応の際に存在する又は生じる固体が有害に作用することがなく、この場合に第1の反応器中で既に満足のいく収率が生じる。第1の部分段階にとって既に満足のいく収率に基づいて、更に、後続する1つ又は複数の反応器中での反応操作は技術的にあまり手間をかけずに維持することができる。0.75、更には0.65、更に好ましくは0.6の上限について、反応の際に生じる廃熱量はまだ良好に制御可能である。更に、0.4〜0.75の指定された範囲は、更に好ましくは0.5〜0.65のより狭い部分範囲、より好ましくは0.55〜0.6の部分範囲は、全体として特に僅かな副生成物を生じさせるという利点を有する。特に、この方法は、少なくとも1つの水素化剤がi−Bu
2AlHであり、第1の反応器中で還元されたi−Bu
2AlH対酸化されたi−Bu
2AlHのモル比の値が0.5〜0.65、好ましくは0.55〜0.6であるように実施されるのが好ましい。
【0029】
好ましくは、第1の反応器は、撹拌槽型反応器(Continuous Stirred-Tank Reactor、CSTR)である。このような反応器を用いて、還元された水素化剤対酸化された水素化剤の予め好ましいことが明らかなモル比について、シラン化合物の水素化に関して50〜70Mol%の転化率を達成することができる。撹拌槽型反応器は、更に好ましくは、反応混合物の外部循環操作で運転される。外部循環操作を介して、この反応熱を良好に搬出することができ、かつより高い流動速度により物質輸送過程を付加的に促進することができる。
【0030】
この撹拌槽型反応器に、さらに1つ又は複数の反応器が後続されていてもよく、これは全体の収率を上げるという利点を有する。好ましくは、第1の反応器に後続する少なくとも1つの反応器は、流通型反応器である。好ましくは、後続する1つ又は複数の流通型反応器は、少なくとも1つの管型反応器、少なくとも1つのループ型反応器、少なくとも1つのカラム型反応器又はこれらの組み合わせである。相応する反応器は、技術的に簡単に取り扱うことができ、故障を起こしにくく、かつ良好に保全可能である。更に、この反応器を用いて、収率≧95Mol%までの、転化率の最大化を達成することができる。管型反応器を使用するのが好ましい。この反応器は、多様な種類に作製することができる。好ましくは、この反応器は、空の管として又は内部構造物、例えば充填体を備えた管として、内部熱交換器面があるか又はないスタティックミキサを備えた管として、又は螺旋管として構成されていてもよい。
【0031】
酸化された水素化物の還元は、原則として任意に実施することができる。好ましくは、酸化された水素化剤、特に生じるi−Bu
2AlClは、水素化ナトリウム又は水素化リチウムで、還元された水素化剤を直接生成しながら水素化されるか、又はNa/Mg合金を用いてまず中間体に反応させ、引く続きH
2で水素化される。これに関する手法は当業者に公知であり、L.I.Zalharkin et al.著、Izvestiya Akademii Nauk SSSR No. 10, p.p. 1894-1895, 1961並びにGB 980765 A、US 2,958,703 A、US 3,006,942 A、US 2,838,556 A、US 2,954,388 A及びUS 3,097,066 Aで公開されている。
【0032】
水素化剤の還元は、水素化剤が完全に再生されるまで実施することができる。しかしながら、水素化剤の還元は、水素化剤が完全に再生されるまで行う必要はない、というのもこれは高い装置費用を必要とするためである。好ましくは、水素化剤の再生は、この水素化剤を少なくとも85%の収率まで再生し、かつ更なる使用のために新たな水素化剤を加えるように実施することができる。
【0033】
酸化された水素化剤の取り出し、この還元、及びこの生成物の還元反応への供給(つまり、主に還元された水素化剤の供給)は、ここでもそれ自体、回分法又は連続的に行うことができる。全体の反応を特に良好に制御できるようにするために、好ましくはこの工程も同様に連続的に行う。
【0034】
水素化剤の再生の際に、更に、特に水素化ナトリウムを使用する場合に、収率を高めるために抗凝集剤又は流動助剤を添加することができる(JP 2000-256367 A参照)。
【0035】
ハロゲン含有のシラン化合物を水素化するための本発明による方法は、特に良好に、
i) 一般式Si
nX
2n+2(式中、n≧2、好ましくはn≧3、及びX=F、Cl、Br及び/又はI)の少なくとも1種のハロゲンシラン及び
ii) 第三級ホスファンPR
3、第三級アミンNR
3及び一般式
NRR′
aR″
bY
c
[式中、a=0又は1、b=0又は1、及びc=0又は1、及び
【化1】
その際、
aa) R、R′及び/又はR″は、−C
1〜C
12−アルキル、−C
1〜C
12−アリール、−C
1〜C
12−アラルキル、−C
1〜C
12−アミノアルキル、−C
1〜C
12−アミノアリール、−C
1〜C
12−アミノアラルキル、
特に好ましくは−Ph、−PhCH
3、−PhC
2H
5、−PhC
3H
7、−CH
2(C
6H
4)CH
3、−CH
2(C
6H
4)C
2H
5、−C
2H
4(C
6H
4)C
2H
5、−C
2H
4(C
6H
4)C
3H
7、−C
3H
6(C
6H
4)C
3H
7、−C
6H
2(CH
3)
3、−C
6H
3(CH
3)
2、−C
8H
7、−C
8H
6CH
3、−PhNR″′R″″、−PhCH
2NR″′R″″、−PhC
2H
4NR″′R″″、−PhC
3H
6NR″′R″″、−CH
2(C
6H
4)CH
2NR″′R″″、−CH
2(C
6H
4)C
2H
4NR″′R″″、−C
2H
4(C
6H
4)C
2H
4NR″′R″″、−C
2H
4(C
6H
4)C
3H
6NR″′R″″、−C
3H
6(C
6H
4)C
3H
6NR″′R″″、−CH
2NR″′R″″、−C
2H
4NR″′R″″、−C
3H
6NR″′R″″、−C
4H
8NR″′R″″、−C
5H
10NR″′R″″、−C
6H
12NR″′R″″、−C
7H
14NR″′R″″、−C
8H
16NR″′R″″、−C
9H
18NR″′R″″及び/又は−C
10H
20NR″′R″″(式中、R″′及びR″″=−C
1〜C
10−アルキル、−C
1〜C
10−アリール及び/又は−C
1〜C
10−アラルキル)であり、
及び/又は
2つ又は3つの基R、R′及びR″は、c=0の場合に一緒になって、Nを含めて環式又は二環式、ヘテロ脂肪族又はヘテロ芳香族の系を形成し、
特に好ましくは、この環式、二環式、ヘテロ脂肪族又はヘテロ芳香族の系はピロリジン環系、ピロール環系、ピペリジン環系、ピリジン環系、ヘキサメチレンイミン環系、アザトロピリデン環系又はキノリン環系であり、
ただし、少なくとも1つの基R、R′又はR″は、−CH
3ではなく、
及び/又は
bb) R及びR′及び/又はR″(c=1の場合)は、−C
1〜C
12−アルキレン、−C
1〜C
12−アリーレン、−C
1〜C
12−アラルキレン、−C
1〜C
12−ヘテロアルキレン、−C
1〜C
12−ヘテロアリーレン、−C
1〜C
12−ヘテロアラルキレン及び/又は−N=、
特に好ましくは、−CH
2−、−C
2H
4−、−C
3H
6−、−C
4H
8−、C
5H
10−、−C
6H
12−、−C
7H
14−、−C
8H
16−、−C
9H
18−、−C
10H
20−、−Ph−、−PhCH
2−、−PhC
2H
4−、−PhC
3H
6−、−CH
2(C
6H
4)CH
2−、−CH
2(C
6H
4)C
2H
4−、−C
2H
4(C
6H
4)C
2H
4−、−C
2H
4(C
6H
4)C
3H
6−、−C
3H
6(C
6H
4)C
3H
6−、−C
6H(CH
3)
3−、−C
6H
2(CH
3)
2−、−CH=、−CH=CH−、−N=、−N=CH−及び/又は−CH=N−であるか、
又は
cc) (a=b=c=0の場合)R=≡C−R″′(式中、R″′=−C
1〜C
10−アルキル、−C
1〜C
10−アリール及び/又は−C
1〜C
10−アラルキル)である]の化合物群からなる群から選択される少なくとも1種の触媒を、一般式Si
mX
2m+2(式中、m>n及びX=F、Cl、Br及び/又はI)及びSi
m-nX
2(m-n)+2(式中、X=F、Cl、Br及び/又はI)の少なくとも1種のハロゲンシランを有する混合物の生成下に反応させる、ハロゲン化されたシラン化合物の合成方法に引き続き行うことができる。
【0036】
本発明の主題は、更に、本発明による方法により製造されたヒドリドシラン化合物、特に本発明による方法により製造されたヒドリドシラン、並びに半導体の、電子工学的又は光電子工学的層を製造するためのその使用である。