特許第6261615号(P6261615)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6261615半導体スイッチ用の保護装置および半導体スイッチ用の保護装置を作動する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261615
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】半導体スイッチ用の保護装置および半導体スイッチ用の保護装置を作動する方法
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/08 20060101AFI20180104BHJP
   H02H 7/20 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   H03K17/08 Z
   H02H7/20 D
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-557345(P2015-557345)
(86)(22)【出願日】2013年12月27日
(65)【公表番号】特表2016-513404(P2016-513404A)
(43)【公表日】2016年5月12日
(86)【国際出願番号】EP2013078053
(87)【国際公開番号】WO2014127872
(87)【国際公開日】20140828
【審査請求日】2015年8月18日
(31)【優先権主張番号】102013202641.2
(32)【優先日】2013年2月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ライヒ,ゼバスティアン
【審査官】 白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−347550(JP,A)
【文献】 特開2009−261020(JP,A)
【文献】 特開2009−253484(JP,A)
【文献】 特開2001−044291(JP,A)
【文献】 特開平11−032429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/08
H02H 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体スイッチ(5)のための保護装置において、
該半導体スイッチ(5)における電圧(UCE)が第1閾値を超えた場合に前記半導体スイッチ(5)を所定の継続時間にわたって制御するように構成された第1過電圧保護装置(2);および
前記半導体スイッチ(5)における前記電圧(UCE)が第2閾値を超えた場合に前記半導体スイッチ(5)を制御するように構成された第2過電圧保護装置(1)を備えた半導体スイッチ(5)のための保護装置において、
前記第1過電圧保護装置(2)は第1半導体素子(D20)を含み、前記第1半導体素子(D20)は、前記半導体スイッチ(5)における前記電圧(UCE)が第1閾値を超えた場合に遮断状態から通電状態に可逆式に移行し、前記第1過電圧保護装置(2)は前記半導体スイッチ(5)のコレクタ(C)とゲート)との間に接続されており、
前記第2過電圧保護装置(1)は第2半導体素子(D10)を含み、前記第2半導体素子(D10)は、前記半導体スイッチ(5)における前記電圧(UCE)が第2閾値を超えた場合に遮断状態から通電状態に可逆式に移行し、前記第2過電圧保護装置()は前記半導体スイッチ(5)のコレクタ(C)とゲート)との間に、前記第1過電圧保護装置(2)と並列に接続されている、
半導体スイッチ(5)のための保護装置。
【請求項2】
請求項1に記載の保護装置において、
前記第1閾値が前記第2閾値よりも小さい保護装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の保護装置において、
さらに、前記半導体スイッチ(5)における切換動作を検出するように構成された切換検出器(3)を含む保護装置。
【請求項4】
請求項3に記載の保護装置において、
前記切換検出器(3)が、前記半導体スイッチ(5)が開かれた場合に前記第1過電圧保護装置(2)を作動状態に移行するように構成されている保護装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の保護装置において、
前記切換検出器(3)が、前記半導体スイッチ(5)が閉じられている場合に前記第1過電圧保護装置(2)を非作動状態に移行するように構成されている保護装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の保護装置において、
前記半導体スイッチ(5)が絶縁ゲートバイポーラトランジスタまたはMOSFETである保護装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載の半導体スイッチ(5)のための保護装置を備える、半導体スイッチ(5)を有するインバータ。
【請求項8】
請求項1から6までのいずれか一項に記載の半導体スイッチ(5)のための保護装置を作動する方法において:
前記半導体スイッチ(5)における電圧(UCE)が第1閾値を超えた場合に前記半導体スイッチ(5)を所定の継続時間にわたって制御するステップ(120);および
前記半導体スイッチ(5)が第2閾値を超えている時間にわたって前記半導体スイッチ(5)を制御するステップ(130)を含む半導体スイッチ(5)のための保護装置を作動する方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、
さらに前記半導体スイッチ(5)における切換動作を検出するためのステップ(110)を含み、
前記半導体スイッチ(5)における切換動作が検出された場合にのみ、前記半導体スイッチ(5)を所定時間にわたって制御するためのステップ(120)を行う方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体スイッチを過電圧から保護するための保護装置、および半導体スイッチを過電圧から保護するための保護装置を作動する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体スイッチを電気切換素子として使用することが既知である。この場合、特にパワーエレクトロニクス機器、例えば直流コンバータまたはインバータなどにおける切換素子の開放時に、常に生じる漏れインダクタンスにより過電圧がもたらされる。半導体スイッチによって電流が遮断された場合、コレクタとエミッタとの間の半導体スイッチにおいて供給電圧よりも大きい値にまで電圧が上昇することもある。この場合に生じた電圧が半導体スイッチの最大遮断電圧を超えた場合、半導体スイッチが破壊されることもある。
【0003】
図1は、半導体スイッチT100を過電圧から保護するための簡単な保護回路を示す。この場合、半導体スイッチT100はゲート抵抗RGを介してゲートドライブ回路400によって制御される。半導体スイッチT100のコレクタCとゲートGとの間にはアバランシェダイオードD100が配置されている。半導体スイッチT100においてコレクタCとエミッタEとの間の電圧が、アバランシェダイオードD100によってあらかじめ設定された値を超えるとアバランシェダイオードD100は通電を開始する。次いで半導体スイッチT100は、少なくとも部分的に、したがってわずかに通電される。これにより、コレクタ‐エミッタ電圧が許容される高さに制限されるまで、T100のコレクタ電流の遮断速度di/dtが低減される。
【0004】
この回路の静的な構成に基づいて、開始時点は最大可能供給電圧を超えている必要がある。さもなければ、半導体スイッチT100は連続運転に移行し、これにより半導体スイッチが熱により破壊される危険性が生じる。
【0005】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102010008815号明細書は、半導体のための過電圧保護装置を開示している。この場合、半導体スイッチで実際に切換動作が行われた場合にのみ、半導体スイッチのための保護回路が作動される。保護回路は、適切に解除された後に、この場合にもコレクタ‐エミッタ電圧が最大供給電圧を超える閾値を超えた場合にはじめて応答を開始する。
【0006】
したがって、改善された半導体スイッチのための過電圧保護装置が必要である。特に迅速に応答する半導体スイッチのための過負荷保護装置が必要である。さらに危険な連続運転を確実に防止することができる過電圧保護装置が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102010008815号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明の一態様によれば、半導体スイッチにおける電圧が第1閾値を超えた場合に半導体スイッチを所定の継続時間にわたって制御するように構成された第1過電圧保護装置と;半導体スイッチの電圧が第2閾値を超えた場合に半導体スイッチを制御するように構成された第2過電圧保護装置とを備える半導体スイッチのための保護装置が得られる。
【0009】
本発明の別の一態様によれば、半導体スイッチの電圧が第1閾値を超えた場合に半導体スイッチを所定の継続時間にわたって制御するステップと;半導体スイッチが第2閾値を超えている時間にわたって半導体スイッチを制御するステップとを含む半導体スイッチのための保護回路を作動する方法が得られる。
【0010】
本発明の思想は、半導体スイッチのための過電圧保護を2段階式に行うことである。半導体スイッチの電圧が第1閾値を超えた場合には、まず半導体スイッチは時間的に限定的にのみ制御される。このように制御が時間的に制限されることにより、半導体スイッチが第1電圧閾値を超えた場合に既に連続的な通電状態に移行することが防止される。したがってこの第1閾値は比較的低く選択することができる。この場合、第1閾値が低く設定されていることにより、第1過電圧保護装置は既に早期に応答し、これにより半導体スイッチの特に迅速な保護が可能となる。
【0011】
第2ステップでは、半導体スイッチにおける電圧が第2閾値を超えるとすぐに半導体スイッチが連続的に制御される。この場合、半導体スイッチが第1過電圧保護装置によって既にあらかじめ時間的に限定的に制御されており、これにより半導体スイッチの制御入口(ゲート)がこの第1制御によって既に予備調整されていると有利である。したがって、半導体スイッチの第2過電圧保護装置の応答時には、特に迅速に通電状態に移行することができる。これにより、過電圧保護装置の迅速な応答が得られる。この場合、例えば遮断プロセスで生じる過渡的な過電圧パルスのピーク値は、迅速な応答に基づいて著しく小さくなる。
【0012】
一実施形態では、第1閾値は第2閾値よりも小さい。したがって、より小さい第1閾値を超えた場合に半導体スイッチはまず時間的に限定的に制御され、この場合に半導体スイッチのゲートは既に予備電圧を得る。より大きい第2閾値を超えた場合には、特に迅速な過電圧保護が達成される。
【0013】
別の一実施形態によれば、保護装置は、半導体スイッチにおける切換動作を検出するように構成された切換検出器を含む。したがって、半導体スイッチにおける切換動作を検出することにより、予想される過電圧に特に迅速に対応し、過電圧保護を切換動作後の時間間隔のみに限定することが可能である。
【0014】
別の一実施形態によれば、切換検出器は、半導体スイッチが開かれた場合に第1過電圧保護装置を作動状態に移行するように構成されている。これにより、過電圧保護装置の応答を半導体スイッチにおける切換動作後の期間に制限することができる。
【0015】
一実施形態によれば、切換検出器は、半導体スイッチが閉じられているか、または完全に遮断されている場合に、第1過電圧保護装置を非作動状態に移行するように構成されている。これにより、外部の出来事に基づく過電圧保護装置の応答を防止することができる。したがって他の出来事に基づく半導体スイッチの応答は除外される。
【0016】
別の一実施形態によれば、半導体スイッチは絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)またはMOSFETである。
【0017】
本発明は、さらに本発明の一実施形態にしたがった保護装置を含む半導体スイッチを備えるインバータを含む。
【0018】
一実施形態では、本発明による方法は、半導体スイッチにおける切換動作を検出するためのステップを含み、半導体スイッチにおける切換動作が検出された場合にのみ半導体スイッチを所定時間にわたって制御するためのステップが行われる。
【0019】
他の特徴および実施形態が添付の図面に関連した説明により明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】半導体スイッチを過電圧から保護するための保護回路を示す概略的な回路図である。
図2】本発明の一実施形態による半導体スイッチのための保護装置の概略的な回路図である。
図3】本発明の別の一実施形態による半導体スイッチのための保護回路を作動する方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の範囲における半導体スイッチは、半導体構造に基づいて電気接続部を開閉することができる全ての種類の切換素子である。この場合、半導体スイッチの開閉は電気信号を用いた半導体スイッチの制御によって行われる。本発明の範囲における半導体スイッチは、特にMOSFETまたはIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)である。さらに本発明による保護装置は、他の全ての種類の半導体スイッチにも使用することができる。
【0022】
本発明による保護装置は、半導体スイッチとの関連で説明されている場合であっても、他の全ての切換素子において切換素子が閉じられている場合に過電圧から保護するためにも使用することができる。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態による半導体スイッチのための切換装置の概略的な回路図を示す。この場合、半導体スイッチ5はトランジスタT1によって形成される。ゲートGに適切な制御信号を印加することにより、コレクタCとエミッタEとの間で導電性の接続部を開閉することができる。半導体スイッチ5のゲートGは制御信号によって制御され、この制御信号は、ゲートドライバ4によりゲート抵抗RGを介して半導体スイッチ5のゲートGに供給される。このようにして、半導体スイッチ5を開閉することができる。
【0024】
エミッタEとコレクタCとの間の過電圧から半導体スイッチ5を保護するために、過電圧保護装置は第1回路部分1を含み、第1回路部分1は、半導体スイッチ5のコレクタCとエミッタEとの間の第1電圧UCEが所定の閾値を超えた場合に半導体スイッチ5のゲートGを制御する。この閾値は半導体素子D10によって設定される。半導体素子D10は、例えば適切なアバランシェダイオード、ツェナーダイオード、または所定の破壊電圧を超えた場合に遮断状態から通電状態に可逆式に移行する他の構成素子であってもよい。半導体素子D10は、半導体スイッチ5のコレクタCと、トランジスタT10の制御入口との間に配置されている。
【0025】
半導体スイッチ5における電圧UCEが、半導体素子D10によってあらかじめ設定された閾値を超過した場合、トランジスタT10が制御され、通電状態に移行する。これにより、半導体スイッチ5のゲートGが制御され、これに続いて半導体スイッチ5は少なくともわずかに通電状態に移行する。半導体スイッチ5のコレクタCとエミッタEとの間で続いて設定される電流に基づいて、半導体スイッチ5のコレクタ‐エミッタ電圧UCEも減じられる。トランジスタT10と半導体スイッチ5のゲートGとの間に並行に接続された抵抗R11およびコンデンサC10を適宜に選択することにより、過電圧発生時の制御特性を意図的に設定することができる。
【0026】
さらに保護装置は動的な過電圧保護装置2を含む。この場合、半導体スイッチ5の最小のコレクタ‐エミッタ電圧UCEのための閾値は半導体素子D20によって決定される。半導体素子D20は、半導体素子D10と同様に、アバランシェダイオード、ツェナーダイオード、またはあらかじめ設定された破壊電圧を超えると遮断状態から通電状態に可逆式に移行する他の構成素子であってもよい。半導体スイッチ5におけるコレクタ‐エミッタ電圧UCEの閾値を超過した後に半導体素子D20は通電を開始する。次いでコンデンサC21を介してトランジスタT20が制御される。これにより、さらにトランジスタT20の開放時に半導体スイッチ5のゲートGが制御され、続いて半導体スイッチ5は少なくともわずかに通電状態に移行する。
【0027】
この場合、トランジスタT20と半導体スイッチ5のゲートとの間には、抵抗R21およびコンデンサC20の並列回路が配置されている。これらの素子によって、動的な過電圧保護装置2の応答時に制御信号を形成することができる。
【0028】
電圧を制限する半導体素子D20とトランジスタT20の制御信号入口との間に配置されたコンデンサC21によって、動的な過電圧保護装置2による制御の継続時間が制限される。したがって、半導体素子D20によってあらかじめ設定された閾値を超える閾値超過時にも、コンデンサC21によって設定された継続時間を超えた場合には、たとえこの時点で半導体スイッチ5のコレクタ‐エミッタ電圧UCEが半導体素子D20によってあらかじめ設定された閾値をまだ上回っているとしても、半導体スイッチ5の制御値は低減される。
【0029】
半導体スイッチ5におけるコレクタ‐エミッタ電圧UCEがさらに上昇した場合、動的な過電圧保護装置2による制御が時間的に制限されていることに基づいて、半導体スイッチ5のゲートGには既に予備電圧が印加されている。したがって、後方に接続された静的な過電圧保護装置1が半導体素子D10によってあらかじめ設定された電圧を超えて応答した場合には、静的な過電圧保護装置1による半導体スイッチ5のゲートGの制御によって半導体スイッチ5を極めて迅速に開くことができる。このように特に迅速な半導体スイッチ5の応答により、コレクタ‐エミッタ電圧UCEの過渡的な過電圧ピークは、動的な過電圧保護装置2による事前の制御が行われない場合よりも遥かに小さい。
【0030】
動的な過電圧保護装置2の制御をコンデンサC21によって意図的に時間的に制限することができるので、動的な過電圧保護装置2が半導体スイッチ5の持続的な制御をもたらす危険性はない。したがって、半導体素子D20のためには、半導体スイッチ5の最大作動電圧未満の閾値電圧を選択することができる。これにより、特に過電圧保護装置の早期の応答が可能となる。
【0031】
さらに本発明による保護装置は、動的な過電圧保護装置2の応答をさらに制限する回路部分3を含んでいてもよい。これにより、例えば、検出された過電圧がゲートドライバ4による切換動作にも起因している場合にのみ、動的な過電圧保護装置2が応答することが可能となる。特に動的な過電圧保護装置の応答のための閾値が最大作動電圧未満である場合には、切換動作以外の時間には、半導体スイッチの電圧が最大作動電圧に近い場合に動的な過電圧保護装置が応答すること、したがって半導体素子D20が保護装置の応答を誘起することを防止することができる。
【0032】
このために、ゲートドライバ4と半導体スイッチ5のゲートGとの間のゲート抵抗GRにより電圧低下を評価する切換検出器が回路部分3によって形成される。このようにして、保護したい半導体スイッチ5の遮断プロセスが実際に半導体スイッチ5のコレクタCとエミッタEとの間の過電圧の原因である場合にのみ、動的な過電圧保護装置2がトランジスタT10およびT31によって作動される。さもなければ回路は非作動状態に保持される。したがって、半導体スイッチ5の開放はゲートドライバ4の切換動作後の時点に制限される。
【0033】
半導体スイッチを過電圧から保護するための本発明による保護装置は、切換プロセス後の過渡的な過電圧から半導体スイッチが保護されることが望ましいあらゆる場合に使用することができる。特に本発明による過電圧保護装置は、例えば半導体スイッチを備える直流電圧コンバータまたは半導体スイッチを備えるインバータにおいても使用することができる。さらに本発明による過電圧保護装置は、例えば、電気駆動装置を制御するためのインバータにおいて使用することもできる。なぜならこのような構造では寄生インダクタンスが切換動作時に高い過電圧をもたらす場合があるからである。
【0034】
図3は、半導体スイッチのための保護回路を作動するための方法100を示す概略図である。この場合、ステップ110では半導体スイッチ5の切換動作が検出される。例えば、切換検出器3によって検出されるゲートドライバ4からの信号の変化を検出してもよい。さらにこの切換検出器3は、第1過電圧保護装置2を解放する。次いでさらなるステップ120で、半導体スイッチ5における電圧UCEが第1閾値を超えた場合には半導体スイッチ5が所定の継続時間にわたって制御される。この所定の継続時間の後には、電圧UCEが第1閾値を超えている場合でも半導体スイッチ5は制御されない。
【0035】
さらなるステップ130で、さらに半導体スイッチ5は、半導体スイッチ5における電圧UCEが第2閾値を超えている時間にわたって制御される。この場合、第2閾値を超えている場合の半導体スイッチ5の制御は時間制限なしに行われる。したがって、半導体スイッチ5の連続的な制御を防止し、熱による半導体スイッチ5の破壊を未然に防ぐために、第2閾値については最大作動電圧を超える電圧を選択すべきである。
【0036】
要約すると、本発明は、応答特性が改善された半導体スイッチのための保護装置に関する。保護装置は、静的構成要素の他に、動的構成要素と半導体スイッチにおける切換動作の評価装置とをさらに含む。過電圧保護装置の動的構成要素は過電圧が小さい場合に応答するが、さらに応答動作は時間的に制限されている。さらに過電圧保護装置の動的構成要素の応答は、応答が半導体スイッチにおける切換動作後にのみ行われるように制限することができる。
図1
図2
図3