【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題は、請求項1に記載されている、車両用の
移動式誘導性充電ステーションによって解決される。すなわち、上述の課題は、車両用の
移動式誘導性充電ステーションであって、誘導性充電ステーションは台と、台と接続されている一次コイルと、台の表面に設けられた少なくとも1つの陥入部とを有しており、陥入部には複数の内側側面が設けられており、かつ、陥入部は車両のタイヤの少なくともタイヤ接地面を収容するように構成されており、台は、表面に対向する平らな裏面を有している、ことを特徴とする、
移動式誘導性充電ステーションによって解決される。別の特性、特徴および構成は、従属請求項並びに以降の明細書に記載されている。
【0006】
本願に記載されている、車両用の
移動式誘導性充電ステーションは台を含んでおり、この台は容易に地面上に置かれる。この台は有利には柔軟性を有している。誘導性充電ステーションは少なくとも1つの陥入部を有しており、この陥入部は、車両を誘導する若しくは位置付けするために用いられる。この陥入部は、窪みまたは凹部とも称される。用語「陥入部」は一般的に、切り取りによる該当する物質的な特徴の形成の制限と解されるべきではなく、また、これに影響されない。
【0007】
特に、構造上の措置またはフロアリングの他の変更は必要ない。誘導性充電ステーションは単に、基底若しくはフロアリング上に載置される。陥入部によって、車輪が誘導される。なぜなら特に、陥入部には少なくとも1つの内側側面が設けられているからである。この陥入部によって、1つの車輪若しくは複数の(前側)車輪が誘導される。この誘導は、車両そのものを正しい位置に導く。さらに、誘導性充電ステーションは、台と接続されている一次コイルを含んでいる。一次コイルを台の上に配置することも、部分的または完全に台の中に埋め込むことも、台の中に組み込むことも可能である。台の表面に陥入部が位置しているので、一次コイルと陥入部との間の位置関係が事前に決定される。従って、陥入部内に車両が進入したときに、自動的に、一次コイルに対する車両の位置付けも行われる。
【0008】
車両用の
移動式誘導性充電ステーションを提案する。これは特に、電動車両等の自動車、ハイブリッド駆動部を備えた自動車または電動アシスト自転車用のものである。ここで、誘導性充電ステーションは柔軟な台を有している。特に商用車、例えば連結自動車、バスまたは特殊車両、例えば街路清掃車が本発明に相応して用いられる。誘導性充電ステーションは、さらに、一次コイルと陥入部とを有している。一次コイルは台と接続されており、特に、台の中に組み込むこと、または、台の中若しくは台の上に固定することが可能である。さらに、少なくとも1つの陥入部が台の表面に設けられている。陥入部を、例えば、自動車の左側または右側の1つの前輪(または1つの後輪または1つの連結自動車車輪)に対して1つ設けることが可能である。または、陥入部を2つ設けることが可能である。この場合には、自動車の2つの前輪(または2つの後輪または2つの連結自動車車輪)の各々に対して、この2つの陥入部のそれぞれ1つが割り当てられる。陥入部を2つ設ける場合、これらの陥入部は事前に定められた間隔を相互に有している。これは、特に、誘導性充電ステーションによって充電される車両のトレッドに相当する。
【0009】
上述したように、陥入部には、少なくとも1つの内側側面が設けられている。従って、進入してくる車両を誘導することができる。有利には、陥入部あたり、対向する2つの内側側面または内側側面部分が設けられている。従って各車輪は、両側に向かって誘導される。陥入部は、タイヤの少なくとも1つのタイヤ接地面を収容するように構成されている。これは、収容部の大きさ、殊に収容部の幅を規定し、さらに、陥入部の下方の柔軟な台が、車輪によって生じる力を受容することを規定する。
【0010】
台は特に、柔軟な材料、例えばマットから成る。柔軟な台を、ゴムまたはシリコーン、有利には繊維によって補強されたゴムまたはシリコーンから形成することができる。ゴムまたはシリコーンの代わりに、特にプラスチックから成る、(柔軟性に関して)比肩可能な柔軟な材料を使用することができる。さらに、陥入部の内側側面は柔軟な材料から成り、特に、台そのものと同じ材料から成る。さらに内側側面と陥入部を一体のものとして形成することができる。
【0011】
台の、陥入部に対向する側に位置しているフラットな裏面は、地面上で支えるために用いられる。地面上の裏面の接着力によって、十分な固定が行われる。従って、車両が内部を走行することによって誘導性充電ステーションがずれることはない。これに加えて、上部に誘導性充電ステーションが載置されている地面に誘導性充電ステーションを結合する固定手段を設けることができる。このために誘導性充電ステーションは、留め金(ボルトまたはねじを貫通させるためのもの)、または、直接的に地面と結合されるまたは間接的に機械的に地面と結合されるその他の固定手段を有することができる。
【0012】
陥入部自体は、柔軟な台の幅の方向で見て、凸の形状を有する円筒状であり、特に、アーチ状の輪郭または特別な円弧状の円周を有する円筒状である。従って陥入部は、(実質的に円柱状の)車輪の下方部分に対して相補的な形状を有している。陥入部は、特に、車輪の、陥入部が収容する部分よりも大きい曲率半径を有している、または、一般的に、車輪の、陥入部が収容する部分よりも強く湾曲していない。この形状は、ロック装置によって変化し得る。ここでこのロック装置は第1の箇所において第1の形状を有している。この第1の形状によって、陥入部への進入および陥入部からの退出が可能になる。また、ロック装置は第2の(突出)箇所において、車輪が動き出すことを阻止する形状を有している。このようなロック装置は、本願では、ロック装置が(裏面に対して垂直な)第1の箇所において内へ引っ込んでおり、第2の箇所において、裏面に対して相対的に外へ突出している実施形態として記載されている。
【0013】
柔軟な台は、さらに誘導用の溝を有し得る。この誘導溝は、陥入部へと続く。陥入部は、誘導溝よりも深い。誘導溝は、陥入部との間隔が短くなるにつれて深くなる。さらに誘導溝は、陥入部との間隔が短くなるにつれて幅が狭くなる。従って、誘導溝は、陥入部との間隔が短くなるにつれて先細る。
【0014】
陥入部は、硬い、陥入部を形作る支柱を有し得る。この支柱は例えば、プラスチックから(場合によっては金属製の挿入物、特に鋼製の挿入物を用いて)形成されている。ここでこの支柱は、柔軟な台と結合されている、または、特に、柔軟な台の中に組み込まれている。
【0015】
本発明の1つの態様では、
移動式誘導性充電装置はロック装置を有している。これは特に、充電過程の間も、安定した、正確な位置付けを保証するためである。ロック装置は、ロック面を有している。このロック面は可動である。ロック面は、陥入部内の車輪(若しくは車輪のタイヤ、特に、タイヤの少なくとも1つの側面)と物質的に接触するように構成されている。従って、ロック面と車輪との間(特にロック面とタイヤ側面との間)に静止摩擦が生じる。ロック面とはここで、内側側面若しくは内側側面の一部のことである。これは特に、内側側面若しくは一般的にロック面と機械的に結合されているアクチュエータによって動かされる。アクチュエータは、電気機械式のアクチュエータであってよい。これは例えば、ギア、例えば、ギア付きスピンドルドライブに接続されている電動機である。さらにアクチュエータは、空気圧で動くものであっても、液圧で動くものであってもよく、特に、内側側面若しくはロック面を形成する、または、内側側面若しくはロック面と力を伝達するように接続されている蛇腹の形態である。これによって、内側側面は、蛇腹内部の圧力に従って、で、陥入部の方向へ移動する。従ってアクチュエータが、ロック面と接続されている。さらにアクチュエータは、陥入部の中心の方へ、また、陥入部の中心から離れるように、ロック面を制御して動かすことができる。ロック面は、陥入部内の車輪をロックするために、陥入部の中心の方向へ制御して動かされ、かつ、陥入部内の車輪のロックを解除するために、陥入部の中心から離れる方向へ動かされる。相当する実施形態が、
図3に示されている。
【0016】
別の実施形態では、ロック装置はロック本体を有しており、このロック本体は陥入部のそばに配置されているが、陥入部内には配置されていない。ロック本体は車輪が陥入部から動いて出ることを阻止する箇所に設けられる。ロック装置にロック本体が設けられ、ロック本体は特にアクチュエータを含む。このアクチュエータは、力を伝達するように、ロック本体と結合されている。これによってロック本体が、制御下で、陥入部の前または後ろで動かされる。ロック本体を、走行溝と陥入部との間の移行部に設けることができる、または、走行溝の、陥入部と接する終端部に設けることができる。このようなロック本体の場合には、(アクチュエータによって)、陥入部の長手延在方向に対して垂直な運動方向が生じる。ロック本体は、陥入部の前および/または後ろに、特に陥入部への進入方向に対して垂直に動かされるように構成若しくは配置されている。本願では方向に関する表現「前」および「後ろ」は、陥入部の長手延在方向(進入方向に相当する)を基準にしている。
【0017】
第1の形態では、ロック本体は次のように配置されている。すなわち、ロック本体が、表面に対して平行な運動方向を有するように配置されている。ここではロック本体は、表面に対して平行に案内される棒の形態を有している。ここで棒の代わりに、他のバーを用いることもできる。このような実施形態は、
図4に示されている。上述の形態では、ロック本体は、台の表面の上に、従って台自体の外に配置されている。
【0018】
第2の形態では、ロック本体は有利には、台の中に設けられている。ロック本体は、特に、アクチュエータと接続されていることによって、表面に対して垂直および/または裏面に対して垂直な運動方向を有する。換言すれば、アクチュエータは、ロック本体を上述の形態のように、表面に沿って動かすのではなく、表面から離れるように、かつ、表面の方へ動かす。運動方向と表面との間の正確な角度はここで重要ではない。従って第1の形態では、この運動は、表面に対して平行な方向成分を有しており、第2の形態では、この運動は、表面(特に、ロック本体の場所で)または裏面に対して垂直な方向成分を有している。第1の形態では、運動方向は、裏面に対しても平行であり、特に、裏面に対して平行に延在する運動成分を有する。
【0019】
ロック本体が表面または裏面から離れる方向、かつ、表面または裏面に近づく方向で動く場合には、ロック本体は、ロック部分と称される誘導性充電ステーションの表面の部分である。このロック部分は柔軟である、若しくは、台の残りの表面に対して動く。ここではこのロック部分は例えば、表面の一部を形成する蛇腹の一部であり得る。ロック部分は、アクチュエータによって、表面に対して垂直に動かされ、特に、表面から離れる方向と、表面に近づく方向で動かされる。択一的に、上述したように、運動方向が台の表面を基準にするのではなく、台の裏面を基準にしてもよい。
図2では、この第2の形態の1つの実施形態が示されている。
【0020】
別の態様は、誘導性充電ステーションの一部としての異物除去装置である。ここでこの異物除去装置は、異物が車両の位置付けを誤まらせるのを阻止する。このために異物除去装置は、充電過程を妨害し得る異物を除去するために用いられる。従って表面は、一次コイル上に位置し、コイル部分と称される部分を有している。このコイル部分に、異物除去装置が設けられている。
【0021】
このような態様の1つの実施形態では、異物除去装置は多数のノズルと、これらのノズルに接続された圧縮空気源とを含んでいる。圧縮空気源の代わりに、圧縮空気源接続部を設けることもできる。これらのノズルは、表面のコイル部分に位置している開口部を有している。これによって、表面のコイル部分上に位置する物体、すなわち、一次コイル上にある物体が、ノズルによって作成された圧縮空気噴射によって除去される。
【0022】
別の実施形態では、異物除去装置は、アクチュエータ装置を有している。このアクチュエータは、(柔軟に形成された)コイル部分と接続されており、特に、コイル部分を動かすように構成されている。アクチュエータ装置は、コイル部分の可変の勾配を規定するように構成されている。換言すれば、アクチュエータ装置は、コイル部分を可変に傾斜させるように構成されている。ここでアクチュエータ装置は、異なる時点で起動される2つの個別アクチュエータを有し得る。これによって、時間の流れにおいて、異なる勾配が生じる。コイル部分上に位置する異物は、コイル部分のこの(一時的な)傾斜によって滑り落ちまたは転がり落ち、これによってコイル部分から(縁部領域において)除去される。アクチュエータ装置は電気機械式装置であり得る。これは例えば、コイル部分の下方に案内される、カムを備えたシャフトであるが、有利には2つの個々のアクチュエータによって構成される。(この実施例および他の実施例の)アクチュエータは、特に空気圧によって動作するアクチュエータ、液圧によって動作するアクチュエータ、または、有利には電気機械式アクチュエータであり、特に、ギア付きのスピンドルドライブと組み合わされた電動機の形態である。アクチュエータ装置のアクチュエータは、コイル部分の種々の場所に設けられており、特に、コイル部分の対向し合う終端部に設けられている。有利には、コイル部分若しくはコイル部分の縁部領域の異なる箇所に設けられている、2つのアクチュエータが使用される。またここでは、2つよりも多くのアクチュエータを使用することもできる。これらのアクチュエータは有利には縦方向に動くアクチュエータであり、裏面から離したり、裏面に近づけたりする方向の運動方向を有している。
【0023】
ノズルを用いた異物除去装置は
図5Aに示されており、傾斜を用いた異物除去装置は
図5Bに示されている。
【0024】
異物除去装置の別の実施形態では、コイル部分は少なくとも1つの点で可動である(例えば開口箇所を備えた蛇腹の形態である)。この異物除去装置は、圧縮空気源を有する、または、圧縮空気源に対する接続部を有する。これと並んで、異物除去装置は、圧縮空気源と接続された少なくとも1つのノズルを有する。これらのノズルは、コイル部分に沿って(および特に開口部分に向かって)延在している主要出力方向を有している。従って、圧縮空気がノズルを通って流れると、コイル部分の運動自由度に基づいて揺動が生じる。表面のコイル部分の上下運動を可能にするために、開口箇所は特に緩く固定されている。揺動によって、異物がコイル部分から除去される。
図5Cは、この実施形態の相応する図である。
【0025】
さらに、台の表面内に走行溝を設けることができる。この走行溝は、陥入部につながっている。この走行溝の幅は有利には、上述したように、陥入部に近づくにつれて狭まる。しかし走行溝が部分的に、または、その全長にわたって、一定の幅を有していてもよい。択一的にまたはこれと組み合わせて、走行溝の深さは、陥入部に近づくにつれて増す。これによって、陥入部への車輪の進入および誘導が容易になる。しかし同様に走行溝が、部分的に、または、その全長にわたって、一定の深さを有していてもよい。
【0026】
さらに、
移動式誘導性充電ステーションは、ヘッド部分を有し得る。このヘッド部分は有利には、(接続解除可能な)接続によって、特にプラグイン接続によって、台に固定されている。ヘッド部分は走行路外で走行溝の方へ、有利には、陥入部の、走行溝に対向している側に位置している。台が地面の上に置かれている場合、ヘッド部分は特に、陥入部と並んで配置されている。ヘッド部分は、走行溝若しくは陥入部の長手延在方向において、台と並んでいる、若しくは、ヘッド部分はこの方向において、台の後方に(すなわち進入方向に)設けられている。ヘッド部分内には、制御装置、および/または、一次コイルと接続されたパワー出力段が設けられている。パワー出力段は、一次コイルを駆動制御する。ヘッド部分は有利には硬質のケーシング、特にプラスチックから成るケーシングを有している。さらにこのケーシングが、鋼構造によって補強されていてもよい。このケーシング内には、制御装置および/またはパワー出力段が収容されている。ケーシング内に、制御装置および/またはパワー出力段が内部に収容可能な引き出し部分を設けることが可能である。ヘッド部分は、さらに、給電網との接続のために電流端子を有する。
図6Aおよび
図6Bには、これらの実施形態が詳細に示されている。
【0027】
走行溝内に、マークとして用いられる隆起部を設けることができる。例えば、陥入部に近づくにつれて、相互の間隔が短くなる複数のマークを設けることができる。これによって、運転者は、陥入部自体を見なくても、陥入部までの距離を把握することができる。
図2は、このような隆起部の例を示している。