特許第6261635号(P6261635)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 タイコーの特許一覧

<>
  • 特許6261635-圧入装置 図000002
  • 特許6261635-圧入装置 図000003
  • 特許6261635-圧入装置 図000004
  • 特許6261635-圧入装置 図000005
  • 特許6261635-圧入装置 図000006
  • 特許6261635-圧入装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261635
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】圧入装置
(51)【国際特許分類】
   B25B 27/06 20060101AFI20180104BHJP
   B23P 19/02 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   B25B27/06 A
   B23P19/02 B
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-44343(P2016-44343)
(22)【出願日】2016年3月8日
(65)【公開番号】特開2017-159385(P2017-159385A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2017年1月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505034418
【氏名又は名称】株式会社 タイコー
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】浅井 快春
【審査官】 中里 翔平
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−074272(JP,U)
【文献】 特開平08−011065(JP,A)
【文献】 実開昭63−057074(JP,U)
【文献】 実開平05−070871(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 27/06−27/073
B23P 19/02
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動機構を備えた装置本体と前記装置本体のアタッチメント取付部に取り付けられるアタッチメントとから成るハンドヘルド型圧入装置であって、
前記装置本体は、その下面に充電器を有するグリップとオイルタンクとを備え、その内部に駆動モータと、前記駆動モータによって駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプによって進退駆動されるシリンダーシャフトが装備されて成り、
前記アタッチメントは、前記シリンダーシャフトに固定されるプッシャーと、前記プッシャーの上面及び下面に設けられるガイドアームを摺動させ得る間隔を保持して対設される一対の枠材から成るフレームとを備え、前記フレームの空間部内に部品圧入対象部を挿入した状態で前記プッシャーが前進することにより前記部品圧入対象部への部品圧入が行われることを特徴とするハンドヘルド型圧入装置。
【請求項2】
前記アタッチメント取付部は、前記シリンダーシャフトのストローク調整ピースを介して前記装置本体に設置される、請求項1に記載のハンドヘルド型圧入装置。
【請求項3】
前記ストローク調整ピースは、前記装置本体の先端部と前記アタッチメント取付部との間にネジ付けられる外装筒と、前記外装筒内に嵌装される補助シリンダーと、前記補助シリンダー内に摺動可能に配設されて、前記シリンダーシャフトに連結される補助シャフトとから成る、請求項に記載のハンドヘルド型圧入装置。
【請求項4】
前記ガイドアームは水平方向に伸びる鞘管を有し、前記鞘管に、前記フレームの前端面側から前記鞘管に向かって水平方向に伸びて、一半部にリターンスプリングが巻装された芯杆の、前記リターンスプリングが巻装されていない他半部が挿入され、前記ガイドアームは前記鞘管を介して前記リターンスプリングによって常時復帰方向に付勢される、請求項1乃至3のいずれかに記載のハンドヘルド型圧入装置。
【請求項5】
前記フレームに、前記プッシャーの移動量測定のためのセンサ機構が設置された、請求項1乃至4のいずれかに記載のハンドヘルド型圧入装置。
【請求項6】
前記フレームの前端側内端面に、ロードセルが設置された、請求項1乃至5のいずれかに記載のハンドヘルド型圧入装置。
【請求項7】
圧入作業時に握持するハンドルを備えた、請求項1乃至6のいずれかに記載のハンドヘルド型圧入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧入装置に関するものであり、より詳細には、例えば、各種機械器具における軸孔やボスへのブシュ圧入作業等の部品圧入作業に用いる簡易な構成のハンドヘルド型圧入装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軸を備える各種機械器具、機械部品等においては、その軸孔内に軸を低摩擦支持するブシュが圧入される。通例、このブシュの圧入にはトン単位の圧入力が必要となるため、その圧入作業は容易ではない。
【0003】
従来、このブシュの圧入作業を機械的に行うための種々のブシュ圧入装置が提唱されている(特開2005−324635号公報、特開2005−238397号公報、特開2001−62645号公報等)。しかし、従来提唱されているこれらのブシュ圧入装置は、いずれも大掛かりな構成で導入にコストがかかるものであり、手軽に利用し得るものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−324635号公報
【特許文献2】特開2005−238397号公報
【特許文献3】特開2001−62645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来提唱されているブシュ圧入装置は、いずれも大掛かりな構成で導入にコストがかかり、手軽に利用し得るものではなかった。そこで本発明は、シンプル且つコンパクトな構成で比較的低コストにて供給でき、使い勝手がよく、トン単位の圧入力が必要なブシュの圧入作業等に用いるのに好適なハンドヘルド型圧入装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、駆動機構を備えた装置本体と前記装置本体のアタッチメント取付部に取り付けられるアタッチメントとから成るハンドヘルド型圧入装置であって、前記装置本体は、その下面に充電器を有するグリップとオイルタンクとを備え、その内部に駆動モータと、前記駆動モータによって駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプによって進退駆動されるシリンダーシャフトが装備されて成り、前記アタッチメントは、前記シリンダーシャフトに固定されるプッシャーと、前記プッシャーの上面及び下面に設けられるガイドアームを摺動させ得る間隔を保持して対設される一対の枠材から成るフレームとを備え、前記フレームの空間部内に部品圧入対象部を挿入した状態で前記プッシャーが前進することにより前記部品圧入対象部への部品圧入が行われることを特徴とするハンドヘルド型圧入装置である。
【0007】
一実施形態においては、前記アタッチメント取付部は、前記シリンダーシャフトのストローク調整ピースを介して前記装置本体に設置される。例えば、前記ストローク調整ピースは、前記装置本体の先端部と前記アタッチメント取付部との間にネジ付けられる外装筒と、前記外装筒内に嵌装される補助シリンダーと、前記補助シリンダー内に摺動可能に配設されて、前記シリンダーシャフトに連結される補助シャフトとで構成される。
【0008】
一実施形態においては、前記ガイドアームは水平方向に伸びる鞘管を有し、前記鞘管に、前記フレームの前端面側から水平方向に伸びて一半部にリターンスプリングが巻装された芯杆の、前記リターンスプリングが巻装されていない他半部が挿入され、前記ガイドアームは前記鞘管を介して前記リターンスプリングによって常時復帰方向に付勢される。
【0009】
一実施形態においては、前記フレームに、前記プッシャーの移動量測定のためのセンサ機構が設置され、また、前記フレームの前端側内端面にロードセルが設置される。更に一実施形態においては、前記フレームに、圧入作業時に握持するハンドルが設置される。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述したとおりであって、シンプル且つコンパクトな構成であって、比較的低コストにて供給でき、使い勝手がよく、トン単位の圧入力が必要なブシュの圧入作業等に用いるのに好適なハンドヘルド型圧入装置を提供し得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る圧入装置の第1の実施形態の要部正面図である。
図2】本発明に係る圧入装置の第1の実施形態の要部側面図である。
図3】本発明に係る圧入装置のストローク調整ピースの構成を示す部分破断図である。
図4】本発明に係る圧入装置の第1の実施形態(一部省略)の使用状態図である。
図5】本発明に係る圧入装置の第2の実施形態の要部正面図である。
図6】本発明に係る圧入装置の第2の実施形態の要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態につき、添付図面を参照しつつ説明する。先ず、図1乃至図5に示される実施形態について説明する。本発明に係る圧入装置は、ガンタイプのハンドヘルド型圧入装置であって、その装置本体1の下面には、下端部に充電器2を備えたグリップ3と、オイルタンク4が設置される。図示してないが、装置本体1内には駆動モータと、該駆動モータによって駆動される油圧ポンプと、油圧ポンプによって進退駆動されるピストンが装備され、ピストンに連結されたシリンダーシャフト5が進退動作する。なお、装置本体1内の構成は一般的なものであるので、詳細な説明は省略する。
【0013】
装置本体1の先端部6にはネジが切られ、そこにアタッチメント連結具11がねじ付け固定されるが、この構成では、シリンダーシャフト5のストロークが、本発明において企図するストロ−クに足りない場合が少なくない。そこで、本発明においては、装置本体1の先端部6とアタッチメント連結具11との間に、シリンダーシャフト5のストロークを伸長させるための調整ピース12を介在させることとする。即ち、装置本体1の先端部6からアタッチメント連結具11を外し、そこに調整ピース12の一端部をネジ付け、調整ピース12の他端部にアタッチメント連結具11をネジ付ける(図3参照)。
【0014】
調整ピース12は、外装筒13と、その内側に嵌装される補助シリンダー14と、補助シリンダー14内に摺動自在に配設される補助シャフト15とで構成される。外装筒13は、後端部に装置本体1の先端部6をネジ込むためのメネジ部13aを備え、前端部にアタッチメント連結具11をネジ付けるためのオネジ部13bを備える。また、補助シャフト15は、後端部にシリンダーシャフト5の先端部をネジ込むためのメネジ部を備え、アタッチメント連結具11から伸び出るその先端部に、後述するプッシャー21をネジ付け固定するためのオネジ部15aを備える。
【0015】
シリンダーシャフト5のストロークの所望伸長長さに対応し得るように、調整ピース12として長さの異なる複数種のものを用意して、選択交換可能にしてもよい。
【0016】
アタッチメント連結具11には、一対の枠材22を適宜間隔を置いて対設して成るフレーム21が固定される。通例、フレーム21の枠材22は中抜きの四角形状に形成されるが、そのサイズは、ブシュ51の圧入作業時においてその内側空間部に、種々の機器のブシュ51の圧入対象となる軸受部52を挿入するのに十分な大きさとされる(図4参照)。フレーム21の端板30の内側面にロードセル29が定着され、プッシャー23による圧縮荷重が検出される。
【0017】
フレーム21内に臨む補助シャフト15の先端オネジ部15aにプッシャー23がネジ付け固定され、プッシャー23は補助シャフト15に駆動されてフレーム21の空間部内を進退動作する。プッシャー23の上面及び下面には、それぞれフレーム21の枠材22間を摺動するガイドアーム24、24aが設置される。
【0018】
各ガイドアーム24、24aには、1本又は複数本の鞘管25が水平方向に突設され、各鞘管25内に芯杆26の前半部が挿通される。芯杆26は、枠材22の先端部間に設置されたストッパー27から鞘管25に向かって水平方向に伸び、その先端部は鞘管25を通り抜け、更に、ガイドアーム24、24aを突き抜ける位置まで伸びる。芯杆26の後半部には、リターンスプリング28が巻装される。リターンスプリング28は、その一端がストッパー27に当接して押え止められ、他端が鞘管25の端面に当接して押え止められることで、常時、鞘管25を押圧付勢するよう作用する。
【0019】
フレーム21には更に、圧入作業時に握持するハンドル31と、ガイドアーム24、24aの移動量、換言すれば、プッシャー23の移動量を検出するためのセンサ機構が設置される。ハンドル31は、フレーム21の端板30に取り付けられる。センサ機構は、各枠材22から上方に伸びるセンサ取付アーム32に設置されるセンサ本体33と、上側のガイドアーム24に設置される移動ヘッド34とから成る。移動ヘッド34はプッシャー23と一体に移動し、センサ本体33によってプッシャー23の移動距離が検出される。
【0020】
そして、このプッシャー23の移動距離と、ロードセル29によって検出される当該移動距離に対応するプッシャー23の圧縮荷重とがトレースされることで、適正な押圧力を得るためのプッシャー23の移動量が取得され、それに基づいて、装置本体1内の駆動モータが制御される。
【0021】
上記構成の圧入装置を用いてブシュ51を軸受部50に圧入する作業を行うに当たっては、治具をセットしたブシュ51を軸受部50に仮嵌めし、装置本体1のグリップ3及びハンドル31を握持して、軸受部50をフレーム21内に進入させる(図4参照)。そこで、グリップ3に配備されているトリガー3aを引いて装置本体1内のモーターを始動すると、油圧ポンプ等が作動し、治具に当接しているプッシャー23が、シリンダーシャフト5及び補助シャフト15を介し、リターンスプリング28の付勢力に抗して前進し、フレーム21の端板30との間に軸受部50を挟み込んで強圧する。かくして、軸受部50に仮嵌めされているブシュ51が、軸受部50内に完全に圧入される。
【0022】
圧入作業終了後、トリガー3aを離して装置本体1内のモーターを停止させると、プッシャー23による軸受部50に対する押圧作用が解除されるに伴い、リターンスプリング28による付勢力がガイドアーム24,24aを介してプッシャー23に伝わることで、プッシャー23は元の位置に戻る。
【0023】
次いで、図5及び図6に示される第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態は、上記第1の実施形態の構成に対し、主に、センサ機構の構成とスイッチ部分の構成を変更したものである。なお、第1の実施形態におけると同じ符号を付した部分は同じ構成部分を示しているので、詳細な説明は省略する。
【0024】
第2の実施形態においては、直線型アブソリュート方式(0を基準にして、そこからの距離を表わす絶対番地方式)のエンコーダである位置検出センサ35が用いられる。図示した位置検出センサ35は、センサ本体36に2本のロッド37が摺動自在に挿通されたツインロッド方式のものであって、センサ本体36は、一対の枠材22の端部を跨ぐようにして枠材22に固定されるセンサブラケット38上に固定設置される。2本のロッド37の端部は連結部材39、40によって連結され、一方の連結部材40に、ガイドアーム24の上端から伸びるL字形のロッド駆動アーム41の先端部が固定される。
【0025】
このセンサ機構の場合は、プッシャー23が進退動作すると、その動きに追随してガイドアーム24及びロッド駆動アーム41を介し、連結部材40に連結されている一対のロッド37が一体に進退動作する。その際センサ本体36は、センサブラケット38により固定支持されていて移動しないので、ロッド37がセンサ本体36内を摺動することになる。かくして、センサ本体36内においてロッド移動量、換言すれば、プッシャー23の移動量が検出され、第1の実施形態と同様に、そのプッシャー23の移動距離と共に、その移動距離に対応するプッシャー23の圧縮荷重が、ロードセル29によって検出される。
【0026】
また、第2の実施形態においては、プッシャー23駆動のオン・オフ操作をするための第1スイッチ43が、ハンドル31の先端部に配備される。また、装置本体1の調整ピース12付近に上方に伸びる補助アーム44が設置され、それに、補助グリップ45と、オン・オフ表示ランプ、計測値表示窓等を備えた表示盤46とが取り付けられる。そして、補助グリップ45に第2スイッチ45aが配備される。なお、本装置はハンドヘルド型ではあるが、重量のあるものであるので、それを支持させて作業の円滑化を図るために、補助アーム44の先端部に吊下用リング47を配設し、そこに、作業場に掛け渡したワイヤー等を通すようにする。
【0027】
この構成の場合は、操作時に一方の手でハンドル31を握持し、他方の手で補助グリップ45を握持することになるが、その場合、ハンドル31を握持した状態のまま、親指で第1スイッチ43を操作することが可能となり、また、補助グリップ45を握持した状態のまま、親指で第2スイッチ45aを操作することが可能となるので、操作性がよい。この場合、第1スイッチ43と第2スイッチ45aとをダブルスイッチにし、双方が押されない限り動作しないようにして、安全性を図るようにすることが好ましい。
【0028】
本発明に係る圧入装置は、上記ブシュの圧入作業に好適なものであるが、これに限らず、他の種々の部品の圧入や、部位の強圧作業に用いることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0029】
1 装置本体
2 充電器
3 グリップ
4 オイルタンク
5 シリンダーシャフト
6 先端部
11 アタッチメント連結具
12 調整ピース
13 外装筒
14 補助シリンダー
15 補助シャフト
21 フレーム
22 枠材
23 プッシャー
24、24a ガイドアーム
25 鞘管
26 芯杆
27 ストッパー
28 リターンスプリング
29 ロードセル
30 端板
31 ハンドル
32 取付アーム
33 センサ本体
34 移動ヘッド
36 センサ本体
37 ロッド
38 センサブラケット
39、40 連結部
41 ロッド駆動アーム
43 第1スイッチ
44 補助アーム
45 補助グリップ
45a 第2スイッチ
46 表示盤
50 軸受部
51 ブシュ
図1
図2
図3
図4
図5
図6