特許第6261693号(P6261693)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6261693
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】家禽処理装置
(51)【国際特許分類】
   A22C 21/00 20060101AFI20180104BHJP
【FI】
   A22C21/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-184970(P2016-184970)
(22)【出願日】2016年9月23日
(65)【公開番号】特開2017-60466(P2017-60466A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2016年9月23日
(31)【優先権主張番号】2015494
(32)【優先日】2015年9月23日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】514175841
【氏名又は名称】メイン フード プロセシング テクノロジー ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン スタイン、アロイシウス クリスチアヌス マリア
【審査官】 青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第6017269(US,A)
【文献】 米国特許第1945357(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第0916264(EP,A1)
【文献】 特公昭28−003204(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家禽の肉の処理ラインを構成する搬送経路(1)を備え、前記搬送経路に沿って走行可能な台車(21)または接続体(10)を有し、この台車(21)または接続体(10)において家禽の肉を吊り下げ支持または上乗せ支持可能であり、台車(21)または接続体(10)は、その両側に車輪(14、22)を備え、車輪(14、22)は、台車(21)または接続体(10)に設けられた軸体または筒体(16、24)を通る車軸(15、23)に装着されて、搬送経路の両側に設けられてそれぞれの車輪(14、22)を支持する支持体(13、25)に沿って走行可能であり、それによって台車(21)または接続体(10)が前記搬送経路に沿って移動されるようにした家禽処理装置であって、
軸体または筒体(16、24)は、これら軸体または筒体を長手方向に見たときに、凸状の内部頂面(16′、24′)と凸状の内部底面(16′′、24′′)とを有することを特徴とする家禽処理装置。
【請求項2】
軸体または筒体は、その頂面と底面(16′、16′′;24′、24′′)とに、それぞれ、これら軸体または筒体の中心において凸状の頂点(17、17′;26、26′)を有することを特徴とする請求項1記載の家禽処理装置。
【請求項3】
軸体または筒体(16、24)は、その中央部において円形の断面を有するとともに、その両端部において楕円形の断面形状を有して、軸体または筒体(16、24)の両端部において車軸(15、23)に遊びを付与するものであることを特徴とする請求項1または2記載の家禽処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は家禽処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な家禽処理装置は、処理ラインを構成する搬送経路を有する。そして家禽処理装置は、上記の搬送経路に沿って走行可能な台車またはそれに類する装置(以下、「台車等」と称する)を有する。この台車等においては、家禽の肉(1羽分の肉または各部の肉)を吊り下げ支持または上乗せ支持する。この台車等は、その両側に車輪を備える。車輪は、台車等に設けられた軸体または筒体を通る車軸に装着されて、搬送経路の両側に設けられてそれぞれの車輪を支持する支持体に沿って走行可能である。それによって台車等が搬送経路に沿って移動される。
【0003】
このような家禽処理装置は、実用に供されおり公知であるとともに、たとえば、それぞれの車輪のための支持体が質量測定用の秤にマウントされているラインにおいて用いられている。台車等は支持体に沿って転動する車輪によって移動され、秤で測定が行われることによって、台車等に吊り下げ支持または上乗せ支持された家禽の肉の質量が求められる。その場合に、家禽の肉の質量を精度よく測定するためには、台車等が完全に水平であることが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実際上は、台車等が水平であるためには、車輪のための支持体が完全に水平であることが求められ、この点が問題である。車輪のための支持体が完全に水平であり、また完全水平状態を維持するために、高額の設置コストと、徹底的な維持管理にともなう高額の維持コストとが費やされる。
【0005】
本発明の目的は、台車等が搬送経路の支持体上を移動するときにこの台車自体を水平にして、支持体が常に完全に水平である必要性を排除することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、搬送経路の支持体に沿って移動する台車等の姿勢と位置との精度を落とさずに処理装置の維持管理のレベルを低下できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的および他の目的そして本発明の利点は、以下の説明から明らかになるものであるが、特許請求の範囲の請求項に記載の特徴を備えた処理装置によって達成される。
【0008】
第1の本発明の処理装置によれば、軸体または筒体が、これら軸体または筒体を長手方向に見たときに、凸状の内部頂面と凸状の内部底面とを有することを特徴とする。これによって、搬送経路の両側の支持体に車輪が乗っているときに、車軸が、この車軸を通して案内する軸体または筒体に対してわずかに傾斜した状態で、これらの車軸と軸体または筒体との間に空隙を形成することができる。同時に、これによって、台車は、重力の作用を受けて、完全な水平方向の姿勢となることができる。
【0009】
軸体または筒体は、その頂面と底面とに、それぞれ、これら軸体または筒体の中心において頂点を有することが好ましい。この構成によって、車軸は、軸体または筒体の両側または両端において所要量かつ所定量の遊びを有することができる。
【0010】
現実的で好ましい実施の形態においては、軸体または筒体は、その中央部において円形の断面を有するとともに、その両端部において楕円形の断面形状を有する。それによって、軸体または筒体の両端部において車軸に所要の遊びを付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明にもとづく台車等を示す図である。
図2】本発明が適用される搬送体と搬送経路の一部とを示す等角投影図である。
図3】本発明が適用される搬送体と搬送経路の一部とを示す正面図である。
図4】搬送経路の計重秤の位置における搬送体と搬送経路の一部とを示す等角投影図である。
図5】搬送体の第1の詳細図である。
図6】搬送体の第1の詳細図であって、図5とは異なる位置での図である。
図7】本発明にもとづく装置が搬送経路に存在する状況を断面視と側面視とで表した第2の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明にもとづく装置の例示的な実施の形態の図面を参照して、以下、本発明をさらに説明する。しかし、同実施の形態は、特許請求の範囲の請求項を何ら限定するものではない。
【0013】
図面において、同じ部材には同じ符号が付されている。
【0014】
図1は本発明の第1の例示的な実施の形態を示し、台車21が家禽の肉を処理するラインに沿って走行可能であり、台車21はこの処理ラインにおける搬送経路に案内される。図1においては、このような処理ラインは示されていない。なぜなら、本発明の理解にとって重要ではないためである。また、このような処理ラインは、図2−7を参照した後述の他の例において十分に示されているからである。
【0015】
当業者によく知られており、よって本発明を理解するのに重要でないために図1には示されていないところの、家禽の肉(1羽分の肉または各部の肉)は、台車21によって吊り下げ支持または上乗せ支持される。
【0016】
台車21はその両側に車輪22を有し、これらの車輪22は、台車21の軸体または筒体24を貫通して案内される車軸23に装着されている。台車21は、各々の車輪22のための支持体25に沿って走行可能である。支持体25は、台車が搬送経路に沿って走行可能なように、処理ラインの搬送経路の両側に設置されている。本発明によれば、軸体または筒体24を軸心方向に見たときに、この軸体または筒体24は、凸状の内向き頂面(つまり空間は凸状であるが軸体または筒体24の面自体は凹んだ形状の頂面)24′と、凸状の内向き底面(つまり空間は凸状であるが軸体または筒体24の面自体は凹んだ形状の底面)24′′とを有する。軸体または筒体24の頂面24′および底面24′′は、軸体または筒体24の中央部において頂点26、26′を有することが好ましい。そして、軸体または筒体24が、その中央部において円形断面を有するとともに、その両端部において楕円形の断面を有することが特に好ましく、それにより軸体または筒体24の両端部において車軸23に遊びを付与することができる。この点は、以下において、本発明の第2の例示的な実施の形態を図2−7を用いて参照することによって、さらに説明される。そこでは、本発明にもとづく装置が用いられ、この装置は、処理ラインの搬送経路に沿って家禽の肉(1羽分の肉または各部の肉)を搬送するための搬送体の一部を構成する。
【0017】
第2の例示的な実施の形態に関して、図2、3、4には、脚3によって吊るされた家禽の肉2のための搬送経路1が示されている。この搬送経路1には、家禽の肉2のための少なくとも1つの搬送体4が設けられている。搬送体4は家禽の肉2(1羽分の肉または各部の肉)を搬送経路1の搬送方向に沿って移動させるための台車5を備える。搬送方向は、図2図4とにおいて矢印Aで示されている。搬送体4は、鉛直方向の回転ロッド6であって、ヒンジ18によって台車5に揺動可能に吊り下げ支持されている回転ロッド6を備えている。この回転ロッド6には、搬送経路1に沿って走行可能な台車5に対する家禽の肉2(1羽分の肉または各部の肉)の向きを調整する側方突出アーム7設けられている。側方突出アーム7は、家禽の肉2を搬送経路1から側方へ移動させて、これを搬送経路1に位置する処理手段から遠ざけてバイパスさせることができる。アーム7は第1ロッド6から離れて位置し、このアーム7にはヒンジ8が設けられている。ヒンジ8には、第2ロッド9が、中間接続片または接続体10によって揺動可能に接続されている。中間接続片または接続体10は、第2ロッド9から側方へ延びるように構成されている。この構成は、図5および図6においても認めることができる。
【0018】
図5および6は、中間接続片または接続体10のための単数または複数のストッパ11が第1ロッド6に設けられているという構成についての明確な描画を表す。ストッパ11は、接続体10と、接続体10につながれた第2ロッド9とが、このストッパ11の下方の位置で揺れ動くことを防止する。このため、図5は、この構成によれば、接続体10がストッパ11にて静止され、それによって、接続体10が単数または複数のストッパ11に接触したときに、第2ロッド9が実質的に第1ロッド6の長手方向に沿って位置することを示している。図5および図6は、家禽の肉2を吊り下げるための単数または複数のフック12が第2ロッド9の下端9′に設けられていることを、さらに示している。
【0019】
接続体10が第1ロッド6における単数または複数のストッパ11から吊り下げられたときには、第2ロッド9の下端9′において単数または複数のフック12に取り付けられた家禽の肉2の質量を正確に測定することが可能である。図4図6との両方が、搬送経路1において、または搬送経路1に続いて設置された計重秤13によって、質量測定が完全に実行されることを示している。第2ロッド9に近接した単数または複数の支持輪14が、接続体10に設けられている。支持輪14は、計重秤13の支持面13′と協働する。これによって、支持輪14は、搬送体4のフック12において脚3により吊り下げ支持された家禽の肉2を、計重秤13の頂部の支持面13′に対して直接に移載する。
【0020】
図2−4により明らかであるとともに、図7の詳細図から特に明らかであるように、搬送体4は好ましくは2つ支持輪14を第2ロッド9の両側に有し、支持輪14は、接続体10の軸体または筒体16を貫通して案内される車軸15に装着されている。本発明によれば、軸体または筒体16は、凸状の内向き頂面16′と、凸状の内向き底面16′′とを有する。軸体または筒体16の頂面16′および底面16′′は、軸体または筒体16の中央部であって第2ロッド9の長手方向の軸心に一致する中央部において、頂点17、17′を有することが好ましい。これによって、第2ロッド9の両側の支持輪14について、これら支持輪14どうしの間のわずかなレベル差に対応した動きのための空隙が設けられた構成とすることができる。この動きによって、搬送経路1の両側に設置された、計重秤13の支持面13′のレベル差に対応することができる。これによって、質量測定の精度を向上させることができる。
【0021】
上記においては、例示的な実施の形態によって本発明を説明した。しかし、本発明は上記の特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内においてさまざまな実施形態に変化し得るものである。上記した例示的な実施の形態は、特許請求の範囲の請求項の限定解釈のために用いられるべきではない。これに対し、上記の実施の形態は、特許請求の範囲の請求項をこの実施の形態に限定するものではなく、請求項の用語を説明するだけの目的しか有しないものである。したがって、本発明の保護の範囲は特許請求の範囲の請求項のみにもとづいて解釈されるべきである。請求項の用語のあいまいさが、これらの例示的な実施の形態を用いて解決されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7