(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明の目的は、作業性に優れ、塗装後の乾燥時間が短縮され得る重防食エポキシ塗料組成物及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の一態様は、エポキシ樹脂主剤部と、下記化学式1で表されるスチレン化フェノールと、を含む重防食エポキシ塗料組成物を提供する。
【0010】
上記化学式1中、nは、1〜3の整数である。
【0011】
一実施例において、前記スチレン化フェノールが、モノスチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール、及びトリスチレン化フェノールを含み、前記モノスチレン化フェノールの含量が、前記スチレン化フェノールの全体重量を基準として、30〜50重量%であってもよい。
【0012】
一実施例において、前記スチレン化フェノールが、前記重防食エポキシ塗料組成物の硬化剤であり、前記スチレン化フェノールの含量が、前記重防食エポキシ塗料組成物の全体重量を基準として、1〜30重量%であってもよい。
【0013】
一実施例において、前記スチレン化フェノールが、前記エポキシ樹脂主剤部の非反応性希釈剤であり、前記スチレン化フェノールの含量が、前記エポキシ樹脂主剤部100重量部に対して、1〜30重量部であってもよい。
【0014】
また、本発明の他の態様は、(a)第1酸触媒の存在下で、フェノール化合物とスチレン化合物とを反応させて、第1スチレン化フェノールを製造する段階と、(b)第2酸触媒の存在下で、前記(a)段階の生成物にスチレン化合物を追加して反応させて、第2スチレン化フェノールを製造する段階と、(c)エポキシ樹脂と前記第2スチレン化フェノールとを混合する段階と、を含む重防食エポキシ塗料組成物の製造方法を提供する。
【0015】
一実施例において、前記第1酸触媒がリン酸触媒であってもよい。
【0016】
一実施例において、前記第1スチレン化フェノールが、モノスチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール、及びトリスチレン化フェノールを含み、前記モノスチレン化フェノールの含量が、前記第1スチレン化フェノールの全体重量を基準として、60〜90重量%であってもよい。
【0017】
一実施例において、前記第2酸触媒が、硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硝酸、塩酸、クレイ、及びイオン交換樹脂からなる群より選択される1つ以上であってもよい。
【0018】
一実施例において、前記第2酸触媒及び前記フェノール化合物の当量比が、0.0001:1〜0.01:1であってもよい。
【0019】
一実施例において、前記フェノール化合物及び前記(b)段階において追加で投入される前記スチレン化合物の当量比が、1:0.1〜1:1であってもよい。
【0020】
一実施例において、前記(c)段階において、前記第2スチレン化フェノールを、前記重防食エポキシ塗料組成物の全体重量を基準として、1〜30重量%混合することができる。
【0021】
一実施例において、前記(c)段階において、前記第2スチレン化フェノールを前記エポキシ樹脂100重量部に対して1〜30重量部混合することができる。
【0022】
一実施例において、前記第2スチレン化フェノールが、モノスチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール、及びトリスチレン化フェノールを含み、前記モノスチレン化フェノールの含量が、前記第2スチレン化フェノールの全体重量を基準として、30〜50重量%であってもよい。
【0023】
一実施例において、前記第2スチレン化フェノールにおける未反応の残留フェノール化合物の含量が1重量%以下であってもよい。
【0024】
本発明の一態様によれば、重防食エポキシ塗料組成物用硬化剤または非反応性希釈剤として、所定量のモノスチレン化フェノールを含むスチレン化フェノールを使用することにより、作業性を改善し、塗装後の乾燥時間を短縮させることができる。
【0025】
本発明の効果は、前述した効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または特許請求の範囲に記載された発明の構成から推論可能なすべての効果を含むものと理解しなければならない。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、添付の図面を参照して本発明を説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で具現されることができ、したがって、ここで説明する実施例に限定されるものではない。なお、図面で本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細書全体を通じて類似する部分に対しては、類似の参照符号を付けた。
【0028】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているというとき、これは、「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の部材を挟んで「間接的に連結」されている場合をも含む。また、ある部分が任意の構成要素を「含む」というとき、これは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに具備できることを意味する。
【0029】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳しく説明する。
【0030】
本発明の一態様は、エポキシ樹脂主剤部と、下記化学式1で表されるスチレン化フェノールと、を含む重防食エポキシ塗料組成物を提供する。
【0032】
上記化学式1中、nは、1〜3の整数である。
【0033】
本明細書において用いられる「重防食エポキシ塗料」との語は、橋梁、海上構造物、発電設備、プラントの大型構造物、船舶、コンテナ、または過酷な腐食環境に置かれているその他の鉄構造物を腐食から長期間保護するための塗料を意味するものであり、家電用または建築外装材用で使用される通常のエポキシ塗料と区別される概念として理解され得る。
【0034】
前記スチレン化フェノールが、モノスチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール、及びトリスチレン化フェノールを含み、前記モノスチレン化フェノールの含量が、前記スチレン化フェノールの全体重量を基準として、30〜50重量%であってもよい。
【0035】
また、前記スチレン化フェノールが前記重防食エポキシ塗料組成物の硬化剤であり、前記スチレン化フェノールの含量が、前記重防食エポキシ塗料組成物の全体重量を基準として、1〜30重量%であってもよい。この際、前記スチレン化フェノールは、エポキシ主剤部に含まれるエポキシ樹脂組成物を直接硬化させる硬化剤であってもよく、別途の硬化剤とともに使用され、当該硬化剤の硬化性能及び硬化速度を促進させる硬化促進剤であってもよい。
【0036】
硬化剤である前記スチレン化フェノールの含量が、前記重防食エポキシ塗料組成物の全体重量を基準として、1重量%未満の場合、重防食塗料組成物に対する硬化促進効果が微小なことがあり、30重量%超の場合、エポキシ樹脂主剤部の耐久性や接着力が低下することがある。
【0037】
一方、前記スチレン化フェノールが前記エポキシ樹脂主剤部の非反応性希釈剤であり、前記スチレン化フェノールの含量が、前記エポキシ樹脂主剤部100重量部に対して、1〜30重量部であってもよい。非反応性希釈剤である前記スチレン化フェノールの含量が、前記エポキシ樹脂主剤部100重量部を基準として、1重量部未満の場合、エポキシ樹脂組成物に対する可塑性付与及び希釈効果が微小なことがあり、30重量部超の場合、エポキシ樹脂主剤部の耐久性や接着力が低下することがある。
【0038】
従来、エポキシ樹脂自体からなる主剤部と硬化剤部とが混合されたエポキシ塗料組成物の場合、スチレン化フェノールが前記硬化剤部の一成分として使用されたことがある。但し、硬化剤部に使用されたスチレン化フェノールは、50重量%以上のモノスチレン化フェノールを含み、これは、エポキシ塗料組成物の製造時に、主剤部とともに混合または配合され、塗料組成物に硬化性を付与するためのものであって、エポキシ塗料組成物の主剤部であるエポキシ樹脂自体の可塑性及び作業性とは関係がない。
【0039】
すなわち、モノスチレン化フェノールの含量が30〜50重量%である前記スチレン化フェノールを、重防食エポキシ塗料組成物の主剤部である前記エポキシ樹脂組成物の非反応性希釈剤または硬化剤として使用する場合、粘度が低下し、配合及び塗装時の作業性、流動性、及びセルフレベリング性を向上することができ、ヒドロキシ価(OH価)が従来のノニルフェノール(240〜25)と同等の水準に維持され得るため、硬化反応を促進させることができ、常温で乾燥時間が短縮され得る。
【0040】
図1は、本発明の一実施例に係る重防食エポキシ塗料組成物の製造方法を模式化した図である。
図1のように、本発明の他の態様による重防食エポキシ塗料組成物の製造方法は、(a)第1酸触媒の存在下で、フェノール化合物とスチレン化合物とを反応させて、第1スチレン化フェノールを製造する段階と、(b)第2酸触媒の存在下で、前記(a)段階の生成物にスチレン化合物を追加して反応させて、第2スチレン化フェノールを製造する段階と、(c)エポキシ樹脂と前記第2スチレン化フェノールとを混合する段階と、を含んでもよい。
【0041】
前記(a)及び(b)段階において、酸触媒の存在下で、フェノール化合物とスチレン化合物とをアルキル化反応させて、スチレン化フェノールを製造してもよい。この際、1個のスチレン化合物がフェノール化合物のオルト位またはパラ位に置換されたモノスチレン化フェノール(MSP)、2個のスチレン化合物がフェノール化合物のオルト位・パラ位、オルト位・オルト位に結合されたジスチレン化フェノール(DSP)、及び3個のスチレン化合物がフェノール化合物のオルト位・パラ位に結合されたトリスチレン化フェノール(TSP)が生成され得、各生成物の比率は、使用される触媒の種類や反応温度によって変化し得る。
【0042】
反応物質であるフェノール化合物およびスチレン化合物は、それぞれ単独で使用されるか、またはこれらの誘導体と混合して使用されてもよく、これを通じて、さらに多様な種類のスチレン化フェノールを製造できる。
【0043】
具体的に、前記フェノール化合物が、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2、5−クシレノール、3、5−クシレノール、3、4−クシレノール、2、3−クシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−オクチルフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、3、4−ジメトキシフェノール、2−メトキシ−4−メチルフェノール、m−エトキシフェノール、p−エトキシフェノール、m−プロポキシフェノール、p−プロポキシフェノール、m−ブトキシフェノール、p−ブトキシフェノール、2−メチル−4−イソプロピルフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、フェニルフェノール、レゾルシノール、及びナフトールからなる群より選択される1つ以上であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0044】
また、前記スチレン化合物が、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン、α−メチルビニルトルエン、ジメチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、及びビニルナフタレンよりなる群から選択される1つ以上であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0045】
前記(a)段階において、フェノール化合物とスチレン化合物とのアルキル化反応によって、モノスチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール、及びトリスチレン化フェノールを含む第1スチレン化フェノールが生成され得る。特に、前記(a)段階において、前記アルキル化反応にリン酸触媒を単独で適用し、前記第1スチレン化フェノールにおけるモノスチレン化フェノールの含量を60〜90重量%の範囲で増加させることができる。
【0046】
前記フェノール化合物と前記スチレン化合物とのアルキル化反応は、発熱反応に該当し、反応が進行する過程で温度が上昇するため、120〜200℃、好ましくは、140〜170℃の温度範囲で行われ得る。
【0047】
前記リン酸触媒は、一般的に活性に優れる硫酸触媒に比べて、分子構造上サイズが大きく、活性が低いため、反応温度が相対的に高い。
【0048】
但し、前記リン酸触媒は、硫酸触媒に比べて選択性に優れ、生成されるスチレン化フェノールの組成比が硫酸触媒を使用する場合と異なり、特に前記フェノール化合物の4位にスチレン化合物が1個置換された前記モノスチレン化フェノールの含量が、生成物の全体重量を基準として、60〜90重量%、好ましくは65〜80重量%である第1スチレン化フェノールを得ることができる。
【0049】
前記(b)段階では、前記第1酸触媒と異なる触媒の存在下で、スチレン化合物を追加で投入し、前記第1スチレン化フェノールのうちモノスチレン化フェノール及びジスチレン化フェノールに対する追加のアルキル化反応を行うことができ、前記(a)段階後に残留するフェノール化合物に対するアルキル化反応を行うことができる。
【0050】
すなわち、フェノール化合物を投入せずに、スチレン化合物だけが追加で投入され、前記第1スチレン化フェノールのうちモノスチレン化フェノールがジまたはトリスチレン化フェノールに転換されるため、前記第1スチレン化フェノールにおけるモノスチレン化フェノールの含量を減少できる。
【0051】
前記フェノール化合物と前記スチレン化合物とのアルキル化反応は、発熱反応に該当し、反応が進行する過程で温度が上昇するため、90〜180℃、好ましくは、120〜160℃の温度範囲で行われ得る。
【0052】
前記(b)段階において、スチレン化合物と前記第1スチレン化フェノールとのアルキル化反応、及びスチレン化合物と残留フェノール化合物とのアルキル化反応によって、モノスチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール、及びトリスチレン化フェノールを含む第2スチレン化フェノールが生成され得る。この際、スチレン化合物と前記第1スチレン化フェノールとのアルキル化反応が相対的に優勢であるため、前記第2スチレン化フェノールにおけるモノスチレン化フェノールの含量を、前記第1スチレン化フェノールに比べて30〜50重量%に減少できる。
【0053】
モノスチレン化フェノールの含量が30〜50重量%である前記第2スチレン化フェノールを、重防食エポキシ塗料組成物の主剤部であるエポキシ樹脂組成物の硬化剤または非反応性希釈剤として使用する場合、粘度が低下し、配合及び塗装時の作業性、流動性、及びセルフレベリング性を向上することができ、ヒドロキシ価(OH価)が従来のノニルフェノール(240〜25)と同等の水準に維持され得るため、硬化反応を促進させることができ、常温で乾燥時間が短縮され得る。
【0054】
また、前記(b)段階において、スチレン化合物の投入時間および使用する触媒によって、前記第2スチレン化フェノールにおける未反応の残留フェノール化合物の含量を1重量%以下に減少させることができるので、工程効率および経済性を向上させることができる。
【0055】
この際、前記第2酸触媒は、硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硝酸、塩酸、クレイ、及びイオン交換樹脂からなる群より選択される1つが使用されてもよく、好ましくは、硫酸が使用され得るが、これに限定されるものではない。
【0056】
前記第2酸触媒と反応物質である前記フェノール化合物との当量比が、0.0001:1〜0.01:1であってもよく、好ましくは、0.0001:1〜0.002:1であってもよい。前記フェノール化合物の当量に対する前記第2酸触媒の当量の比が、0.0001未満の場合、未反応の残留フェノール化合物の除去効果が微小なことがあり、0.01超の場合、生成物の分離や回収が容易でないことがある。
【0057】
また、前記フェノール化合物及び前記(b)段階において追加で投入される前記スチレン化合物の当量比が、1:0.1〜1:1であってもよく、好ましくは、1:0.3〜1:0.5であってもよい。前記フェノール化合物の当量に対する前記追加で投入されるスチレン化合物の当量の比が、0.1未満の場合、未反応の残留フェノール化合物の除去効果が微小なことがあり、1超の場合、未反応の残留スチレン化合物が発生し、工程効率を低下させることができる。
【0058】
前記(b)段階のアルキル化反応を完結した後、塩基性水溶液を加えて、中和反応を行った後、生成した溶液を減圧濃縮して水分を除去し、濾過フィルターを使用して中和塩を除去することによって、精製されたスチレン化フェノールを得ることができる。
【0059】
前記塩基性水溶液は、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、及び水酸化カリウム水溶液からなる群より選択される1種以上が使用され得るが、これに限定されるものではなく、穏和な条件で中和反応を行うことができるものであれば、いずれでも使用できる。
【0060】
前記(c)段階において、エポキシ樹脂と前記第2スチレン化フェノールとを混合し、重防食エポキシ塗料組成物を製造できる。
【0061】
この際、前記第2スチレン化フェノールを前記重防食エポキシ塗料組成物の全体重量を基準として1〜30重量%混合し、重防食エポキシ塗料組成物の硬化剤として使用することができる。
【0062】
また、前記第2スチレン化フェノールを前記エポキシ樹脂100重量部に対して1〜30重量部混合し、エポキシ樹脂主剤部の非反応性希釈剤として使用することができる。
【0063】
前記エポキシ樹脂及び前記第2スチレン化フェノールの種類及び含量については、前述した通りである。
【実施例】
【0064】
以下、本発明の実施例について詳しく説明する。
【0065】
<実施例1>
フェノール(100g、1eq)にリン酸触媒(0.625g、0.006eq)を投入し、スチレン(127.3g、1.15eq)を140℃から170℃に上昇するまで2時間滴下した。スチレンの滴下が完了した後、同一の温度で1時間反応をさらに進行させた。その後、反応温度を150℃に低下させ、硫酸触媒(0.019g、0.00018eq)を添加した後、スチレン(55.35g、0.5eq)を追加して30分間滴下した。スチレンの滴下が完了した後、同一の温度で1時間反応をさらに進行させることによって、スチレン化フェノールを含む溶液を得た。
【0066】
その後、得られた溶液に炭酸ナトリウム(0.698g、0.0062eq)を蒸留水に溶解させて、100℃で添加しつつ、30分間中和させた。生成された溶液を減圧濃縮により水分を除去した後、濾過フィルターを使用して中和塩を除去することによって、精製されたスチレン化フェノールを得た。
【0067】
<実施例2>
硫酸触媒の代わりにp−トルエンスルホン酸(0.036g、0.00018eq)を触媒として使用することを除き、実施例1と同様の方法で、スチレン化フェノールを製造した。
【0068】
<実施例3>
硫酸触媒の代わりにメタンスルホン酸(0.018g、0.00018eq)を触媒として使用することを除き、実施例1と同様の方法で、スチレン化フェノールを製造した。
【0069】
<比較例1>
フェノール(100g、1eq)に硫酸触媒(0.188g、0.0018eq)を投入し、スチレン(133g、1.2eq)を90℃から95℃に上昇するまで2時間徐々に滴下した。スチレンの滴下が完了した後、同一の温度でさらに1時間反応を進行させることによって、スチレン化フェノールを含む溶液を得た。
【0070】
その後、得られた溶液に炭酸ナトリウム(0.203g、0.0018eq)を蒸留水に溶解させて、100℃で添加しつつ、30分間中和させた。生成された溶液を減圧濃縮により水分を除去した後、濾過フィルターを使用して中和塩を除去することによって、精製されたスチレン化フェノールを収得した。
【0071】
<比較例2>
硫酸触媒の代わりにポリリン酸(4.7g)を触媒として使用することを除き、比較例1と同様の方法で、スチレン化フェノールを製造した。
【0072】
<比較例3>
硫酸触媒の代わりにp−トルエンスルホン酸(0.364g)を触媒として使用することを除き、比較例1と同様の方法で、スチレン化フェノールを製造した。
【0073】
<比較例4>
硫酸触媒の代わりにメタンスルホン酸(0.182g)を触媒として使用することを除き、比較例1と同様の方法で、スチレン化フェノールを製造した。
【0074】
<比較例5>
硫酸触媒の代わりにクレイ(0.56g)を触媒として使用することを除き、比較例1と同様の方法で、スチレン化フェノールを製造した。
【0075】
<比較例6>
硫酸触媒の代わりにイオン交換樹脂(0.38g)を触媒として使用することを除き、比較例1と同様の方法で、スチレン化フェノールを製造した。
【0076】
[実験例1:触媒の種類及び製造方法による生成物の組成分析]
前記実施例1〜3及び比較例1〜6で得られたスチレン化フェノールの組成を分析するために、ガスクロマトグラフィー(GC)分析を実施し、その結果を下記表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
表1のように、実施例1〜3、及び比較例1〜5のスチレン化フェノールの場合、生成物におけるモノスチレン化フェノールの含量が30〜50重量%の範囲に調節されることを確認した。また、比較例1〜6で製造されたスチレン化フェノールの場合、未反応の残留フェノールの含量が7重量%以上であるが、実施例1〜3で製造されたスチレン化フェノールの場合、未反応の残留フェノールの含量が1重量%以下であり、スチレン化フェノール製造工程の効率が大きく向上することが分かる。
【0079】
(製造例1)
エポキシ樹脂(KER 880)、硬化剤(KCA 4304)、及び非反応性希釈剤として、実施例1のスチレン化フェノールを含む重防食エポキシ塗料組成物を製造した。具体的な配合の比率を下記表2に示す。
【0080】
【表2】
【0081】
(製造例2)
エポキシ樹脂(KER 3001−X−75、Xylene 25%含有)、硬化剤(KCA 2230−70、Xylene 20%含有)、及び非反応性希釈剤として、前記製造例に係るスチレン化フェノールを含む重防食エポキシ塗料組成物を製造した。具体的な配合の比率を下記表3に示す。
【0082】
【表3】
【0083】
(比較製造例1)
非反応性希釈剤として、フェノールとα−メチルスチレンとのオリゴマーを使用したことを除き、製造例1と同様の方法で、重防食エポキシ塗料組成物を製造した。
【0084】
(比較製造例2)
非反応性希釈剤として、フェノールとα−メチルスチレンとのオリゴマーを使用したことを除き、製造例2と同様の方法で、重防食エポキシ塗料組成物を製造した。
【0085】
[実験例2:重防食エポキシ塗料組成物の乾燥時間測定]
乾燥時間の測定のために、ガラス板(横30cm、縦2.5cm)上に塗膜用セル(厚さ200μm)を載置し、製造例1〜2及び比較製造例1〜2の重防食エポキシ塗料組成物をそれぞれセルに注いだ後、ガラス板の上端から下端まで押して、重防食エポキシ塗料組成物をコーティングした。その後、Drying time recorderを12時間測定基準に設定し、開始点を表示した後、常温で乾燥時間を測定し、下記表4に示す。
【0086】
【表4】
【0087】
表4のように、非反応性希釈剤としてスチレン化フェノールを使用した製造例1、2の重防食エポキシ塗料組成物の乾燥時間は、フェノールとα−メチルスチレンとのオリゴマーを使用した比較製造例1、2の重防食エポキシ塗料組成物の乾燥時間に比べて、それぞれ約10%〜12%短縮されることを確認した。
【0088】
[実験例3:重防食エポキシ塗料組成物の可使時間(ポットライフ)測定]
可使時間は、塗料組成物の製造時、2種以上の成分がゲル化または硬化せず、適切な流動性を維持する時間を意味し、これは、回転粘度計(Brookfield HAT Viscometer)を用いて、25℃で粘度の経時変化を観察して測定され得る。
【0089】
製造例2及び比較製造例2の重防食エポキシ塗料組成物の可使時間を上記の方法で測定し、その結果を
図2に示した。
図2のように、非反応性希釈剤としてスチレン化フェノールを使用した製造例2の重防食エポキシ塗料組成物が、フェノールとα−メチルスチレンとのオリゴマーを使用した比較製造例2の重防食エポキシ塗料組成物と類似した可使時間を示し、同等水準の粘度変化特性及び作業性を有することを確認した。
【0090】
前述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須な特徴を変更することなく、他の具体的な形態で容易に変形可能であることを理解できる。したがって、以上で記述した実施例は、すべての面において例示的なものであり、限定的ではないものと理解しなければならない。例えば、単一型に説明されている各構成要素は、分散して実施されてもよく、同様に、分散したものと説明されている構成要素が、結合された形態で実施されてもよい。
【0091】
本発明の範囲は、後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲そしてその均等概念から導出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈しなければならない。